強まる米国経済楽観、円を巡る状況変化
- MRA外国為替レポート
2023年6月5日号
◆先週の市場総括
先週は火曜日にドル円相場が141円に迫るなか、財務省・日銀・金融庁が3者会合を実施し円安の動きを牽制。投機筋の円買い戻しでドル円相場は138円台に押し戻された。
ただ米国の経済指標が雇用の底固さ、インフレ鈍化、と総じて望ましい状況を想起させ、債務上限問題の与野党合意とあいまってドルは堅調。FRB当局者からは6月会合で一旦は利上げ見送りとの発言が相次ぎ過度な金融引き締め継続観測が後退。
リスク選好は回復し米国株は週末に大幅高、長期金利は上昇。週末には再びドルは堅調、円は軟調となりドル円相場は140円ちょうど近辺で取引を終えた。
ユーロドル相場は週後半には一時1.07割れするなどドルは対ユーロでも堅調だった。日経平均は海外勢の買いが引き続き旺盛でバブル後の最高値を更新する展開が続き、週末は31,500円台で引けた。
月曜日の東京市場では日経平均が3営業日続伸。朝方は米国の債務上限問題でバイデン大統領とマッカーシー下院議長が基本合意、と報じられ、31,500円台に上昇する場面もあった。
その後は利益確定売りも入り引けは前週末比+317円高の31,233円で引け。1990年7月下旬以来、33年ぶりの高値を更新した。海外勢の買いが続き先物や値がさ株を中心に全体を押し上げた。
ドル円相場は上値の重い展開。140円60銭で始まり朝がた90銭に上昇したあと夕刻にかけて140円20銭へ下落。欧州市場では一時50銭に戻したが概ね20銭~30銭で上下。その後はじり高で140円40銭。
米国市場が休場で動意薄だった。ユーロ円相場は150円80銭で始まり朝方151円ちょうどをつけたが夕刻にかけては軟調となり150円60銭~80銭。欧州市場ではさらに150円10銭まで下落した。引けは150円40銭。
ユーロドル相場は小動き。東京市場では1.0720で始まり夕刻は1.0740。欧州市場ではやや下押して1.0710近辺でほぼ動かず引けた。米10年債利回りは3.76%、2年債は4.606%。
火曜日の東京市場では日経平均が4営業日続伸。バブル後最高値を更新した。日本株の先高感で海外短期筋が先物中心に買いを入れた。円安も支え。ただ利益確定売りも入り引けは前日比+94円高の31,328円。
ドル円相場は140円40銭で始まり朝方140円ちょうどに下落。その後午後には急速に円安が進み東証引け近辺には140円90銭台に上昇し141円に迫った。
そのタイミングで財務省・日銀・金融庁が3者会合を開催と報じられ円は買い戻された。
140円20銭割れに下落したあと60銭近辺に戻すなど140円台前半で値動きの荒い展開。米国市場朝方にかけて139円60銭に下落した。神田財務官は、為替相場はファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要、過度な変動は望ましくない、と定型的な文言を表明した。介入実施の意向については当然ながらノーコメント。
米国市場では一時140円台に戻す場面もあったが、139円70銭~90銭で上下し引けは80銭。ユーロ円相場は東京市場では150円40銭で始まりちょうど近辺に下落。その後ドル円相場と同様に午後に150円60銭に急上昇した。夕刻にかけて149円80銭に下落。
米国市場朝方は150円50銭に反発し30銭~50銭で上下したあと149円80銭に下落。引けは150円10銭。
ユーロドル相場は1.0710で始まり夕刻にかけて軟調で1.0670へ下落。米国市場朝方にかけて1.0740に反発したが反落し1.0730台。
米国株はまちまち。エヌビディアの好業績予想から生成AI関連銘柄に買いが広がった。ただ債務上限問題を巡り不透明感が再燃。与野党の強硬派が反対姿勢を示しており31日の下院での法案採決が難航するとの見方が強まった。
NYダウは前日比▲50ドル安の33,042ドル。ナスダックは+41ドル高の13,017ドル。
原油価格WTI先物は69.46ドルに下落。需要の弱まりや減産の不透明感が価格を下押した。米長期金利は低下。10年債は3.692%、2年債は4.46%。
発表された米国のケースシラー住宅価格指数(3月)は前年同月比▲1.1%と下落は続いたが前月比は+0.4%と下げ止まりの気配を示した。
コンファレンスボードが発表する消費者信頼感指数(5月)は前月103.7から102.3へ低下。インフレでマインド悪化が続いている。ダラス連銀製造業活動指数(5月)は前月▲23.4から▲29.1へ悪化した。
水曜日の東京市場では日経平均が5営業日ぶりに反落。中国の経済指標が弱く景気懸念から関連銘柄が売られた。日本の鉱工業生産(4月)も予想外に前月比マイナス。
前日に円高けん制とみられる財務省・日銀・金融庁3者会合が開催された流れで円高気味。高値更新していたこともあり利益確定売りが入りやすかった。引けは前日比▲440円安の30,887円。
中国の製造業PMI景況感指数(5月)は前月49.2から49.4へ小幅改善予想に反して48.8へ悪化。非製造業も56.4から54.5へ悪化した。
ドル円相場は139円80銭近辺でもみ合いが続いたあと午後には30銭近辺に下落。ただその後欧州市場にかけては持ち直し139円80銭~140円ちょうどで上下。米国市場では強い雇用指標を受けて一時140円40銭に上昇した。ただすぐに反落し139円台後半で上下したあと続落し139円30銭近辺でもみ合い引けた。
米国のJOLT求人数(4月、雇用動向調査)は10,103千人と前月9,400千人から増加。一方、シカゴ購買部協会景気指数(5月)は前月47.3から48.6への改善予想に反して40.4へ大きく悪化。半年ぶりの低水準。9ヵ月連続で景況感の分かれ目である50を割り込んだ。
ジェファーソンFRB理事は、次回6月会合では利上げ見送りが適切、ただ据え置きでもピークに達したと考えるべきではない、と7月の利上げ可能性に含みを残した。
フィラデルフィア連銀総裁は現時点では利上げをスキップすべき、とした。米長期金利はやや低下。10年債は3.643%へ、2年債は4.392%へ。
ユーロドル相場は東京市場では1.0730~40で始まり夕刻にかけて軟調、1.0660へ下落。欧州市場から米国市場にかけて1.07ちょうど近辺に戻したがそこまで。その後は1.0630台に反落したあと1.0690に反発して引けた。
ユーロ円相場は軟調。東京市場で150円ちょうど~10銭で始まり午後には148円80銭まで下落した。リスク回避や円安けん制で円買い戻しが進んだ。
欧州市場では149円台後半に反発したが上値重く反落。148円台後半~149円手前での推移となり148円90銭近辺で引け。
米国株は下落。債務上限問題は下院で関連法案の議決に向けて綱渡りの状態。中国景気不安や金融引き締め継続懸念が下押し要因に。NYダウは一時▲300ドル安。ただ下げ止まり引けは▲134ドル安の32,908ドル。ナスダックは▲82ドル安の12,935ドル。
原油価格WTI先物は中国景気懸念から下落し68ドル近辺。公表されたベージュブック(米地区連銀経済報告)では景気鈍化の兆しが指摘され、雇用・インフレが減速と総括された。
木曜日の東京市場では日経平均が反発。米国株安を受けて軟調にスタートしたが持ち直し。前日の上昇一服で過熱感がやや緩和。買い遅れた投資家から買いが入り支えた。
主力値がさ株を中心に上昇。引けは前日比+260円高の31,148円。
中国の財新製造業PMI(5月)は前月49.5から50.9に改善し景況感の分かれ目50を上回った。ドル円相場は139円30銭で始まり朝方一時139円割れ。その後夕刻にかけて持ち直し139円90銭台に上昇したが欧州市場では139円40銭近辺まで押し戻された。
ユーロ円相場も149円ちょうどで始まり一時148円60銭に下落したが持ち直し。夕刻から欧州市場には149円60銭台に上昇した。
ユーロドル相場は1.0690で始まり小動き。夕刻に1.0660に下落したあと11.0710に反発した。欧米市場では全般的にドル売り戻しが優勢でドル軟調。
発表された米国の経済指標は雇用堅調ながらインフレ鈍化を示唆する内容。FRB当局者の利上げ一旦見送りとの発言から過度な金融引き締めへの懸念が後退した。米10年債利回りは3.598%へ、2年債は4.340%へ小幅低下。
ドル円相場は強いADP雇用報告を受けて一瞬139円90銭に上昇したが、週次の失業保険申請件数が弱めですぐに反落。さらにISM製造業景気指数を受けて一瞬138円40銭へ下落する場面もあった。その後は戻して138円80銭近辺でもみ合い引け。
ユーロドル相場は上昇。終盤は1.0760でもみ合い引け。ユーロ円相場は148円70銭に下落したあと持ち直し149円40銭近辺で引けた。
米国株は主要指数が揃って上昇。NYダウは前日比+153ドル高の33,061ドル、ナスダックは+165ドル高の13,100ドル。VIX指数は15.65ポイントまで低下した。
雇用堅調も労働コスト低下、インフレ鈍化を示す指標が散見されたことが好感された。債務上限問題は下院を通過し上院での審議へ。原油価格WTI先物は中国景気懸念がやや一服して70.10ドルへ小幅反発。
欧州では発表されたユーロ圏消費者物価指数(5月)は前年同月比+6.1%と前月+7.0%から低下したが、ECBはなおインフレ率が高すぎるとしてさらなる引き締め姿勢を維持。
米国の経済指標は単位労働コスト(1-3月期確報)が前期比年率速報+6.3%から+4.2%へ下方修正。PMI製造業景況感指数(5月確報)は速報48.5から48.4へ小幅下方修正。
ADP雇用報告(5月)は雇用者数前月比が+296千人から+170千人への鈍化予想に対して+278千人と強い数字。一方、週次の失業保険申請件数は前週229千人から232千人と微増。ISM製造業景気指数(5月)は前月47.1から46.9へ悪化。
ただ内訳で、雇用指数は50.2から51.4へ改善、樹修は45.7から42.6へ悪化、価格判断は53.2から44.2へ大きく低下した。
金曜日の東京市場では日経平均が大幅続伸。前日の米ハイテク株高、米利上げ見送り観測、上院での債務上限効力停止法案可決、などを材料に買われた。1990年7月以来の33年振り高値を更新。引けは前日比+376円高の31,524円。
為替市場では米雇用統計発表を控え総じて小動き。ドル円相場は138円80銭で始まり139円ちょうどをつけたが上値は抑制され午後から欧州市場にかけては138円80銭~139円ちょうどで上下。
ユーロドル相場は1.0760近辺で動意なくもみ合い、欧州市場では1.0760~80で上下。ユーロ円相場は149円40銭で始まり30銭~60銭で上下したあと60銭近辺で小動きもみ合い。
注目の米雇用統計(5月)は非農業部門雇用者数が予想を大きく上回る増加を示した。前月が+253千人増から+294千人増に上方修正されたうえで当月は+339千人増。一方、失業率は前月3.4%から3.7%に上昇。平均時給は前年同月比が前月の+4.4%から+4.3%へ上昇鈍化した。
雇用堅調もインフレ圧力の低下を示す望ましい内容に株価は大幅高。6月利上げ見送りとの見方に支えられた。上院で債務上限の効力を2025年1月まで停止する法案を上院も可決したことも安心感。
NYダウは前日比+701ドル高と大幅に上昇し引けは33,762ドル。ナスダックは+139ドル高の13,240ドル。VIX指数は14.60まで低下した。
リスク選好の回復で米長期金利は上昇。10年債利回りは3.699%へ、2年債は4.511%へ。ドルは上昇。リスク選好の回復で円は軟調。
ドル円相場は140円ちょうど近辺まで上昇してもみ合い引け。ユーロドル相場は1.0710へ下落。ユーロ円相場は緩やかに円安に振れて149円90銭で取引を終えた。
◆今週の3つの注目ポイント
1.米国の経済指標
先週の米地区連銀経済報告では景気鈍化・雇用緩和・インフレ鈍化の傾向が方向された。同様に、先週末の雇用統計は雇用堅調・インフレ鈍化を示した。今週の指標はどうか。
月曜日 サービス業PMI(5月確報、速報55.1) ISM非製造業景気指数(5月、予想52.5、前月51.9、雇用指数、前月50.8、新規受注指数、同56.1、価格指数、同59.6) 製造業新規受注(4月、前月比、前月+0.9%)
水曜日 貿易収支(4月)
木曜日 米週間新規失業保険申請件数
2.中国の経済指標
中国景気に先行き不安が強まるなか指標の強弱はどうか。
月曜日 財新サービス業PMI(5月、前月56.4)
水曜日 貿易収支(5月、予想、黒字716億ドル、前月、黒字902億ドル) 輸出入動向(同、前年同月比、輸出、予想+8.0%、前月+8.5%、輸入、前月▲7.9%)
金曜日 消費者物価指数(5月、前年同月比、予想+0.4%、前月+0.1%)生産者物価指数(同、予想▲3.2%、前月▲3.6%)
3.日本の国際収支
木曜日に日本の国際収支(4月)が発表される。すでに発表されている通関統計では貿易収支は4,320億円の赤字となり、3月の7,540億円の赤字から赤字幅は縮小。これが確認されるか。
また貿易外の収支、サービス収支の動向がどの程度改善しているかが注目される。
インバウンド増加による旅行収支の黒字増加が続いているか。一方でその他サービスの支払いが増加していないか。円の需給のベースラインが改善しているか、改善が止まりあるいは逆に悪化しているか、気になるところ。
◆今週のMRA's Eye
強まる米国経済楽観、円を巡る状況変化
先週のベージュブック、米地区連銀経済報告では、景気鈍化、雇用緩和・インフレ鈍化の兆しが報告された。経済指標はなお雇用の堅調を示すなか物価関連指標がやや鈍化。雇用を悪化させることなくインフレが鈍化することで、FRBが追加利上げを見送ることができる、との理想的な見方が市場で強まった。
FRBの金融政策を巡っては、追加利上げを主張するFRB当局者の相次ぐ発言で6月に利上げ実施の確率を6割程度織り込んでいた。パウエル議長は追加利上げに慎重な姿勢を示していたが、タカ派に押されて追加利上げに踏み切らざるを得ないとの見方が強まった。
ただ先週には、ベージュブックの内容や、インフレ関連指標が弱めだったこと、さらには一転して当局者からひとまず利上げ様子見との発言が相次ぎ、6月会合での利上げ確率は5割未満に低下した。
なお6月会合で利上げ見送りでも7月会合で再利上げはありうる、との見方も残っており追加利上げの可能性は五分五分といったところ。
一方、景気・雇用・物価動向が好ましい方向に向かっているとの見方が強まり、年後半の利下げシナリオは後退している。
2回ないし3回利下げとの市場予想が大勢だったが、7月にようやく利上げ打ち止めが明確となるとすれば、時間軸でみて、その後年内に3回の利下げは考えにくい。10-12月期に利下げが視野に入る程度とみるのが現実的だ。
追加利上げを見送るなか、緩やかに景気が減速、インフレも鈍化していく、との展開は、FRBにとって理想的。金融市場にとっても悪くないシナリオだ。
債務上限問題のひとまずの与野党合意により混乱が回避されたこととあいまって、リスク選好が強まるのは頷ける。
展開としては、金融引き締めによる景気鈍化、金融混乱による景気下押し圧力、インフレ鈍化、利上げ打ち止め、ドル金利先高感のピークアウトから先安感への転換が、ドル円相場のピークアウトをもたらす、との予想がメインシナリオ。
ただ足元では米景気が底固く推移し、その結果ドル金利先安感が強まるタイミングは後ずれ。ドル円相場のドル安円高方向への基調転換も想定より遅くなりそうだ。少なくとも7-9月期は130円台後半を中心になお高止まりする可能性が強まっている。
円安基調の転換にはECBの金融政策動向も鍵を握る。
ECBはあと2回ほど利上げを実施しそうだ。その後、打ち止めとするのか、なおも追加利上げ睨みとなるのかは今のところ不透明。ただここにきてインフレ鈍化が順調なことから、打ち止めの可能性が高まっている。
欧州の景気物価動向には、中国景気物価の動向の影響も大きい。その中国の景気回復は捗々しくなく、物価は生産者物価ベースで前年比マイナス、消費者物価ベースでは1%未満と足元ではディスインフレないしデフレ状態だ。
生産拠点である中国での物価動向は、グローバルなモノのベースでのインフレ圧力が大きく緩和していることを示す。
欧米双方にとってはインフレ抑制に追い風。金融引き締めを過剰に実施しなくても済む根拠になる。
ただ米国では、インフレの注目点はサービス価格に移っている。もっぱらサービス需要の堅調さに起因するインフレで、その抑制は金融引き締めでは難しい可能性がある。
結局のところ、コロナ禍対策による財政支出・家計の貯蓄増がある程度解消し、サービス支出へのペントアップディマンド(鬱積した需要)が冷めるまで、待つしかなさそうだ。
一方、円を巡る状況も変化しており、あるいは変化する可能性がある。ベースラインの貿易収支、サービス収支は大幅に改善し巨額の赤字はコロナ前のレベルに近づいている。
旅行収支はリオープンで順調に黒字が回復、拡大しつつある。これはドル円相場が150円台に上昇した局面との大きな違いだ。
当該時期には日本の貿易収支は1ヵ月で2兆円を超える赤字となっていた。旅行収支も入国規制でほぼゼロだった。
先週、日本の通貨当局は円安を牽制。140円台が警戒ゾーンであることを暗に示した。昨年は145円で介入を実施したことから、特定の水準ではないとはいえ、レベルを気にしていることも事実だろう。
介入実施の可能性は現時点で小さいとみるが、当時と比べてベースラインの対外収支が大きく改善していることは、当局にとって安心材料、ないし追い風かもしれない。
日銀のスタンス変化にも留意を要する。植田総裁が金融政策修正に非常に慎重との見方が広がり、現行の超金融緩和政策が予想以上に長期化するとの見方が主流となっている。
海外勢は、年初には一旦は政策変更をにらみ円高方向への基調転換を予想したが、今では円安基調継続との見方に戻った。
ただ日本の景気物価動向から政策修正を再度織り込み直し、円先安感の後退、円売りの抑止、円買い戻しにつながる可能性がある。6月会合では政策修正はなさそうだが、7月会合では修正の可能性は排除できない。
最近の円安要因として、日本株の上昇を挙げる見方もある。
海外勢が日本株を積極的に購入しているが、そのほとんどが円売りの為替ヘッジをかけるか、あるいは円資金をファイナンスして買っているとみられる。
となると、海外勢の日本株買いそのものは円相場にとって中立となる。ただしすでに保有している日本株に関して円売りヘッジしていた場合、日本株が上昇し保有時価が増加した場合、為替ヘッジ比率を維持するため、その増加分の円売りを自動的に行う必要がある。
円安だから日本株が上昇する、というよりも、為替ヘッジの機械的なオペレーションで、日本株高が円安につながるというメカニズムになる。
ただし、黒田バズーカの後の海外勢の日本株保有の低下を踏まえれば、当時ほどこうしたメカニズムは強く働いていないとみられる。
今は大きく減少した日本株保有を増やし始めた段階。また株価上昇が止まれば円売りも止まる、調整すれば円買い戻しが生じるという点には留意が必要だ。
主要指標は、有料版「MRA外国為替レポート」にてご確認いただけます。
【MRA外国為替レポート】について