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大局観からみたFRBタカ派の「反省と焦り」
  • MRA外国為替レポート

2023年5月29日号

◆先週の市場総括


先週は日経平均がバブル後最高値を更新、ドル円相場は再び140円台に上昇した。

日本株上昇の原動力は海外勢の旺盛な日本株買い。主要因は日銀の超金融緩和継続姿勢、景気堅調とインバウンド、企業の好業績・経営改革・株主還元姿勢の強まり、など。

著名投資家バフェット氏が日本株に強気姿勢を示したことから流れが続いている。

先週、植田総裁はあらためて超金融緩和政策維持の姿勢を示した。一方で米国ではFRB当局者のタカ派発言が散見された。パウエル議長は利上げか据え置きかリスクは半々と追加利上げに慎重姿勢を示している。

しかし足元の経済指標、とくに消費・物価指標が底固さを示していることから、市場の年後半利下げシナリオが揺らいでいる。

6月会合での追加利上げ予測は過半となり、据え置きでも7月に利上げ、との見方が台頭してきた。米長期金利は上昇基調。

ECBラガルド総裁も追加利上げに前向きな姿勢を示し、あらためて内外金融政策格差を材料に円が全面安となった。

ドル円相場は週末に140円台後半で高値引け。ユーロ円相場も150円台後半に上昇した。

日経平均は31,000円台をつける場面もありバブル後最高値更新を伺う動きが週末まで続いた。米国の債務上限問題については楽観的な見方が優勢。

月曜日の東京市場では日経平均が8営業日続伸。とくに新たな材料はなかったが海外勢の買いが続き上昇した。引けは前週末比+278円高の31,086円。

ドル円相場は東京市場では上昇一服も欧米市場では堅調。東京市場は138円ちょうどで始まり137円台後半で上下したあと夕刻には137円80銭~138円ちょうど近辺で上下。

欧州市場から米国市場にかけて138円40銭~70銭に上昇して上下し引けは138円60銭近辺。

この日もFRB当局者からタカ派発言が散見され米長期金利が上昇。ドルを押し上げた。ただむしろ円が全面安。

ユーロ円相場は東京市場で149円ちょうどを中心に上下したが、欧米市場では149円60銭~90銭でもみ合い引けは149円80銭近辺。ラガルド総裁が6月会合での利上げを示唆。

ユーロドル相場は終始方向感なく上下。1.08台前半で小動き、もみ合い、横ばいに終始し引けは1.0810近辺で東京朝方と変わらず。

米国株はまちまち。債務上限問題を巡る協議が再開。不透明感が上値を抑えた。FRB当局者のタカ派発言も金融引き締め長期化による景気悪化要因と意識された。米10年債利回りは3.717%へ、2年債は4.320%へ上昇。

NYダウは前週末比▲140ドル安の33,286ドル。ナスダックは+62ドル高の12,720ドル。

セントルイス連銀総裁は、インフレ抑制にはあと2回の利上げが必要、とし、ミネアポリス連銀総裁は、6月会合での利上げは五分五分、見送ってもインフレ高止まりなら利上げ再開もありうる、と述べた。

一方、アトランタ連銀総裁は、追加利上げ決定の前に少し待つことに抵抗感はない、と据え置きを示唆。リッチモンド連銀総裁は、6月会合は予断を持たず、と述べた。

火曜日の東京市場では日経平均が9営業日ぶりに反落。午前中は+260円続伸したが後場に反落。半導体製造装置を輸出管理するとの方針で関連銘柄が大幅安。全体としては買われ過ぎの反動で利益確定売りに押された。引けは▲129円安の30,957円。

ドル円相場は東京市場から欧米市場を通じて方向感なく上下した。138円60銭で始まり昼前に90銭に上昇したが夕刻にかけて138円20銭台までじり安。

欧米市場では40銭~60銭で上下したあと一時90銭に上昇したが反落。概ね30銭台~70銭台で上下し引けは138円60銭近辺で引けた。

ユーロ円相場は149円80銭で始まり朝方一時150円をつけたがその後夕刻にかけて149円10銭までじり安。欧米市場では149円台前半で上下もみ合い、引けは149円30銭近辺。

ユーロドル相場は小動き。1.0810で始まり00~20で小動きのあと欧州市場では1.0760台に下落。米国市場では1.0770近辺で推移して引けた。

発表されたPMI景況感指数(5月速報)はユーロ圏製造業が前月45.8から44.6へ、サービス業が56.2から55.9へともに悪化。米国は製造業が50.2から48.5へ悪化して景況感の分かれ目である50を再び割り込んだ。

サービス業は53.6から55.1へ改善。製造業が余剰在庫と受注減で不振の一方、サービス業は旅行需要の回復などで堅調。

米新築住宅販売(4月)は季節調整済み年率換算が656千戸から683千戸に増加。リッチモンド連銀製造業指数(5月)は前月▲10から▲8への改善予想に反して▲15へ悪化した。

米国株は下落。債務上限問題は合意に至らず。双方から前向きな発言で完全なリスク回避には陥らなかったが不透明感は残存。NYダウは前日比差▲231ドル安の33,055ドル、ナスダックは▲160ドル安の12,560ドル。米10年債利回りは3.696%へ低下、2年債は4.319%で概ね横ばい。

水曜日の東京市場では日経平均が続落。一部海外短期筋が利益確定売り。中国でコロナ感染拡大との報道でインバウンド期待が抑制された。一時▲400円安。ただ海外投資家の日本企業経営改革期待は根強く下支え。引けは▲275円安の30,682円。

ドル円相場は138円60銭で始まり午後には20銭近辺に軟化。ただ夕刻から欧州市場では戻して40銭~60銭で推移した。米国市場にかけては再び円が売られ、ドル円相場は139円40銭まで上昇。その後139円ちょうど~40銭で上下して引けは139円40銭。

ユーロ円相場は東京市場で149円20銭~30銭でのもみ合いのあと夕刻には30銭~60銭に上昇。欧州市場で148円80銭に下落したが米国市場では149円60銭~90銭で上下して引けは80銭。円がドルとユーロ双方に対して売られた。

ユーロドル相場は1.0770で始まり小動き。欧州市場から米国市場では1.0750~90で上下し引けは1.0750台。

この日FRBウォラー理事は、6月に利上げ見送りでも7月利上げが適切となる可能性がある、インフレが2%に戻っているとの確証がなければ利上げ終了を支持しない、と述べた。

米長期金利は上昇。10年債は3.748%、2年債は4.378%へ。米国株は債務上限問題を巡る交渉で進展がみられなかったことが重石となり下落。NYダウは前日比▲255ドル安の32,799ドル、ナスダックは▲76ドル安の12,484ドル。

イエレン財務長官は、6月上旬で資金繰り破綻は確実、と述べた。公表されたFOMC議事要旨(5月2日・3日開催分)では利上げ継続か打ち止めかで意見が割れていることが明らかになった。

幾人かは追加引き締めが正当化されるかもしれない、と追加利上げを支持。どの程度利上げが適切か不透明、経済指標の見極めが必要、との見解がみられた。

木曜日の東京市場では日経平均が3営業日ぶりに反発。米半導体メーカー・エヌビディア社が好決算と良好な業績見通しを発表したことで、値がさ半導体株中心に買いが広がり全体を支えた。

一方、依然として米債務上限問題は重石。引けは前日比+118円高の30,801円。

ドル円相場は139円40銭で始まり朝方一時138円80銭台に下落したが、すぐに持ち直して139円60銭近辺で上下。欧州市場では30銭~60銭で上下したあと米国市場では上昇。139円20銭から140円20銭まで上昇して10銭近辺で引けた。

予想を下回ったものの底固い雇用市場、1-3月期GDPの上方修正、など米金融引き締め長期化観測が根強かった。

加えて日銀の植田総裁が会見であらためて緩和継続姿勢を示したことで円の全面安。内外金融政策格差があらためて意識された。

ユーロドル相場は東京市場では1.0750台で始まり上値重く1.07台前半で上下。米国市場では1.0710~30の狭いレンジで方向感なくもみ合い引けは1.0720。ドルインデックスは堅調で104ポイント台に乗せた。

ユーロ円相場は円安の勢いが勝り、東京市場では149円80銭で始まり150円ちょうど近辺で推移。欧州市場では149円台後半で上下したが米国市場では一段と円安が進み150円20銭で引けた。

米長期金利は上昇。10年債は3.822%へ、2年債は4.537%へ。

米国株は利上げ継続観測が強まり長期金利が上昇したことが重石となったが、半導体関連、ハイテク株が上昇した。NYダウは前日比▲35ドル安の32,764ドル、ナスダックは+213ドル高の12,698ドル。

金曜日の東京市場では日経平均が続伸。前日に米ハイテク株高や円安を受けて値がさ電機株・精密機械株が買われ指数を押し上げた。一方利益確定売りが上値を抑えた。引けは前日比+115円高の30,916円。

ドル円相場は140円10銭で始まり軟調。夕刻には139円50銭に下落した。欧州市場では60銭~80銭で上下。

その後発表された米国の消費支出価格指数(コア)の上昇率が前月+4.6%から予想+4.6%を上回り+4.7%に加速。個人消費支出は前月比+0.8%と高い伸びだった。

6月のFOMC会合での据え置きと利上げは半々だったが、指標を受けて利上げ予想が6割ほどと上回った。米2年債利回りは4.576%に上昇。ドル円相場は140円30銭に上昇しもみ合いのあと70銭へ一段高。140円60銭~70銭でもみ合い引けた。

ミシガン大学消費者信頼感指数(5月確報)は59.2と上方修正された。一方、期待インフレ率は1年が速報4.5%から4.2%へ、5年-10年は3.2%から3.1%へ下方修正された。

米国株は大幅高。債務上限問題が進展との報道を受けて安心感が強まった。金融引き締め観測は強まったが個人消費はしっかりとの見方が支えとなった。NYダウは前日比+328ドル高。前日のエヌビディアの極めて強気な業績見通しを受けたハイテク株買いの流れが続き、ナスダックは+277ドル高の12,975ドル。

ユーロドル相場は東京市場では1.0720-30でもみ合いの後、レンジをやや切り上げて欧州市場では1.0760。米国市場ではドル高ユーロ安に振れ1.07ちょうどに下落したあと引けは1.0730近辺。

ユーロ円相場は東京市場では150円20銭で始まり夕刻には149円80銭近辺に下落。しかし欧州市場から米国市場にかけて上昇して150円80銭で取引を終えた。

◆今週の3つの注目ポイント


月曜日の米国市場は休場。

1.米国の経済指標

先週はFRB当局者の相次ぐタカ派発言や強めの景気物価指標を受け、次回6月FOMC会合での利上げ予測が6割近くとなり、また6月休止でも追加利上げ実施との観測が強まった。

今週は重要な経済指標の発表が相次ぐことから、6月会合での利上げの有無を決定づけるか。

火曜日 ケースシラー住宅価格指数(3月、前年同月比、予想▲1.6%、前月+0.4%) コンファレンスボード消費者信頼感指数(3月、予想99.0、前月101.3) ダラス連銀製造業活動指数(5月、前月▲23.4)

水曜日 シカゴ購買部協会景気指数(3月、予想48.6、前月47.3) JOLT求人数(4月、雇用動向調査、求人数、予想9,590千人、前月9,400千人)

木曜日 ADP雇用報告(5月、雇用者数前月比、予想+165千人、前月+296千人) PMI製造業景況感指数(5月確報) 米週間新規失業保険申請件数 ISM製造業景気指数(5月、予想47.0、前月47.1)

金曜日 雇用統計(5月、非農業部門雇用者数・前月比、予想+190千人、前月+253千人、失業率、予想3.5%、前月3.4%、平均時給・前年同月比、予想+4.4%、前月+4.4%)

2.ベージュブック(米地区連銀経済報告)

水曜日にベージュブックが公表される。6月のFOMC会合における政策判断の前提となる景気物価動向について各地区からいかなる報告が示されるか。

このところややしっかりした経済指標が散見されるが、景気物価、雇用情勢の定性的な判断はどうか。

追加利上げを様子見する材料となるか、追加利上げがなお必要とのタカ派の見解を後押しするか。週末の雇用統計と併せて、市場の利上げ有無予測を決定づける材料となりそうだ。

3.米国の連邦政府債務上限問題

イエレン財務長官は連邦政府資金繰りが窮する新たなデッドラインとして6月5日、来週の月曜日との見方を示した。

与野党協議は連日行われており、楽観的な見解も述べられているが、肝心の合意にはなお至っていない。市場ではいずれ合意との楽観的な見方が大勢だが、ギリギリまでずれ込むことで不安感が台頭する可能性には留意が必要だ。

ほか、懸念される中国の景気動向に関し、水曜日に製造業・非製造業PMIが、木曜日に民間調査の財新製造業PMIが発表される。

◆今週のMRA's Eye


大局観からみたFRBタカ派の「反省と焦り」

FRBの政策金利に関するメインシナリオは、タカ派寄りのリスクシナリオへとバイアスが傾いている。

市場はこれまでFOMCで示されてきたターミナルレート、政策金利の最終到達水準である5.25%までの利上げが終了したことで、次は利上げ打ち止め、さらには年後半の利下げを2回~3回織り込んでいた。

そこまで急速な利下げはないものの、利上げ打ち止めから年末にかけては利下げが具体的に視野に入るというのがメインシナリオ。しかしFRBタカ派はまだ利上げが不十分との見解を示し続けている。

パウエル議長はなお追加利上げに慎重な構えだが、当局者のタカ派発言が相次いでいることから、6月利上げ、ないし一旦利上げ見送りでも7月に追加利上げ、というシナリオが現実味を帯びてきたようにみえる。

市場もやむなく追加利上げをやや織り込み、また年後半の利下げ見通しを修正。それにともなって米長期金利は再び上昇しているのが足元の動向だ。

現状をやや大局的にみれば、FRBタカ派の言い分も理解可能だ。インフレ率がなかなか鎮静化しないことに焦っているのだろう。

というのも、ここに至るまで、金融緩和を放置し過ぎた、あるいは本来は必要なかった大規模緩和の実施、その修正である金融引き締めの遅れ、が、かつてないほどのインフレ高騰を招いたとの反省があるのではないか。

米国のインフレ、失業率、政策金利の流れを振り返れば、後講釈ながらも、結果的にFRBが金融緩和状態を放置し過ぎたようにみえる。2007年から2008年にかけてのリーマンショックはかつてないほどのショックを米国経済のみならず世界経済全体に与えた。

失業率は急速に上昇、インフレ率は大きく低下。米国でも「日本化」、デフレ経済への突入、失われた数年となるとの懸念が広がった。

ただ金融正常化、バブルの修正、ショックの吸収を経て、2010年には失業率はピークアウトして改善に向かう。デフレは回避され2012年にはインフレ率はコアCPIが2%近辺で安定的に推移するようになった。

米国経済は2012年頃には危機から立ち直ったとみられる。

ただ政策金利は2015年半ばまではゼロ金利が維持された。インフレ率がコアで2%、政策金利がゼロ金利、実質金利がマイナス2%の状態が数年続き、景気を刺激し続けた。

失業率は低下を続けたが、コアインフレ率は一向に上昇せず2%近辺で安定。低インフレ・景気堅調の「ゴルディロックス」=非常に都合の良い状態となった。これが当局の安心感、利上げ見送りを支えたとみられる。

なおも当局はデフレへの回帰をやや懸念し、あるいはディスインフレ時代の到来を信じていたのかもしれない。リーマンショックの後で、期待インフレ率が低下していたことも事実だろう。

さすがに失業率が完全雇用に達したことで、2016年に入ると非常にゆっくりと政策転換する。本格的に利上げ、金融引き締めを始めたのは2017年に入ってからだ。

そしてコアインフレ率を上回る水準2.25%に政策金利が達したのは2018年の秋になる。その後1年あまり経ったところで新型コロナ感染拡大により米国あるいは世界経済が大混乱となった。

失業率は急騰したことを受けてFRBは一気にゼロ金利政策に回帰し量的緩和を実施した。このコロナ禍とそこからのリオープンが政策対応、インフレとの戦いを困難としている根本にある。

コロナ禍は景気堅調ななかで発生した経済の「強制停止」だった。バブルの崩壊や金融混乱・ショックではない。

根本対策は保健政策であり、財政金融政策は、本来、ミクロの困窮者に行われるべき筋合いだった。

しかし政治的な問題もあり財政はマクロにばら撒かれ、マクロ政策である金融緩和もフル動員となった。人々の行動は停止し、サービス業は一気に悪化したが、一方で、モノへの消費は通常通り、あるいはむしろサービスに向かっていた分がモノの消費に振り向けられたことでかえって堅調に。

物流需要はむしろ旺盛となったが、物流を担う人員が不足し供給制約が生じた。活発なモノの消費に加え、ウクライナショック、資源価格の高騰が加わって物価高騰を招いた。また行動制約の結果、IT関連消費も活発になり、IT関連消費もバブル的な賑わいをみせていたとみられる。

コロナ禍があくまでも経済の強制停止だったことから、そのブレーキが緩むと早々に経済は回復へ。今度はモノへの消費が停滞し、サービス消費へのペントアップディマンドが噴出したと考えられる。

外食や旅行需要、その他サービス消費が活発化。その反面、モノへの消費は減速し、製造業が余剰在庫や受注減に見舞われているというのが現状だろう。

こうした急激な経済活動の変化、需要構造の二極化とその強弱の入れ替わりといったミクロの急速な変化は、マクロ経済をコントロールする金融政策の運営にとって極めてやっかいだろう。

最終的にはインフレ抑制という命題がすべてとなるが、サービス需要の抑制をマクロの金融政策で図れば、ただでさえ苦戦している製造業がさらに悪化するだろう。

不動産分野においては、コロナ禍で住宅需要はなお底固いとみられるが、就業様式の構造的な変化で商業用不動産の業況悪化は深刻。金融引き締めはさらに状況を悪化させる。

シリコンバレーバンクの破綻は、個別行の問題ではあるものの、コロナ禍によるIT関連バブルや貯蓄余剰による預金急増によるあだ花が、急激な金融引き締め・長期金利急騰により杜撰なALM管理とともに問題を噴出させたと総括できる。

その間のFRBの金融政策をみれば、結果的に、金融正常化、コロナ禍に対応した(本来は対応しなくてもよかった)過剰な金融緩和の解除、さらには引き締めが遅すぎた。インフレ率との比較では1年、動くのが遅かったようにみえる。

インフレ率を大幅に下回る政策金利状況、実質金利の大幅なマイナスで景気が急回復しインフレが加速。ここ何十年もない水準にインフレ率が上昇してしまった。

ディスインフレや期待インフレ率の安定に慢心していたが、期待インフレ率がコロナ禍やリオープンで一気に高まった。ある意味、部分的にはコロナバブル、あるいはリオープンバブルが生じており、それがインフレを高止まりさせている。

FRBタカ派にしてみれば、緩和解除・引き締めの遅れを後悔し、バブル潰しの金融引き締め強化に前のめりになっている可能性がある。

そうしたタカ派の心理、伝統的なインフレ抑止の中銀の姿勢からすれば、かつて日本のバブル潰しがそうだったように、一時的には苛烈な金融引き締めに傾くリスクがある。

パウエル議長は政策のタイムラグを考慮する意向だが、タカ派は足元のインフレ率をみてなお引き締めを主張する。インフレは景気の遅行指標であり、それはバックミラーをみながら運転するようなもの。

さらなる引き締め強化の帰結としては、バブル終焉。今回の場合はそれのみならず、すでに停滞しているセクターが一段と抑制される可能性がある。

現在、このリスクシナリオの可能性がやや高まっている。ここで様子見に転ずることなく、さらに追加利上げをしていくようなら、のちのちの景気失速リスクが一段と高まる。

当面は景気堅調にドルもしっかりとなりそうだが、やや長い目でみればドル反落リスクは高まるだろう。ドル緩やかな下落シナリオ、から、ドル堅調持続、というより、ドル乱高下シナリオ、のリスクが高まっているようにみえる。


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