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債務上限問題楽観で景気循環銘柄に買い戻し
  • MRA商品市場レポート

2023年5月18日 第2458号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「債務上限問題楽観で景気循環銘柄に買い戻し」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は、自国通貨建て商品や畜産品、貴金属が下落したが、その他の景気循環系商品は大幅に水準を切り上げた。

米バイデン大統領と、米下院マッカーシー議長の会談がもたれ、早期に債務上限問題が妥結する、との楽観が広がったことが特に景気循環系商品の買い戻し材料となった。

しかし、マッカーシー議長は下院で選ばれるまでに15回も投票があって選ばれた議長であり、はっきりいって共和党内で求心力がある議長ではない。

特に、共和党の保守強硬派である「フリーダム・コーカス」が、早期に妥結すれば大した労力も掛けずにバイデン大統領・民主党に塩を送ることになる、と反発する可能性は高く、これを短時間で御することがマッカーシー議長にできるとは考え難い。

昨日、米1年CDSが再び上昇しているのもそのためだろう。ただ、紆余曲折はあっても米国債がデフォルトするというのは非常に確率の低いリスクシナリオであり、それよりはこの民主・共和の「国債を人質にした政治ゲーム」が長期化することで、S&PやMoody'sなどの格付機関が、米国債を格下げないしはネガティブ・ウォッチにすることだろう。

これだけで国債の価格には下押し圧力が掛るし、現在まだ影響の実態が把握仕切れていない銀行の経営問題にも飛び火するからだ。

その意味で昨日のリスク資産価格の上昇はやや楽観的過ぎると言えるのではないか。

【本日の見通し】

本日はも米金融政策動向、債務上限問題の交渉状況、企業決算を睨み、神経質な推移が予想される。

ただし、バイデン大統領がG7に向けて旅立ったため、債務上限問題関連で目立った進捗はないと予想されることから、本日は金融政策動向、経済統計により注目が集まると考える。

とはいえ、本日発表の重要統計は強弱まちまちとなる見通しであり、本日は多くの商品が現状水準でもみ合うのではないか。

・米週間新規失業保険申請件数 市場予想 252千件(前週 264千件)

・5月フィラデルフィア連銀製造業指数 ▲20.0(前月▲31.3)

・4月米中古住宅販売 前月比▲3.2%の430万戸(前月 ▲2.4%の444万戸)

【昨日のトピックス】

昨日発表された日本のGDPは、前期比年率+1.6%(市場予想+0.8%、前期▲0.1%)と市場予想・前月を大きく上回る改善となった。

前期比では+0.4%となったが、最もプラス寄与度が大きかったのは輸入で+0.6%となった。中国の経済活動の停滞やエネルギー価格の下落が影響。

輸出には訪日外国人客の国内消費(インバウンド)が含まれるが、海外景気の減速や半導体製造装置の輸出減速で▲0.9%となり、外需は成長にマイナス寄与となった。

プラス寄与が大きかったのは個人消費で前期比+0.3%(前期+0.1%)。国内消費者支出は+0.5%(+0.4%)と好調だったが、特に耐久財(+0.1%→+0.3%)がGDP押し上げに寄与している。サービスも+0.2%(+0.4%)と好調だった。

Q223のGDPはコロナが5類に移行し、国内の移動や消費活動が回復していること、物価上昇を受けてこれまでになかったような賃上げが行われていることから恐らく消費も堅調であり、インバウンドもまだ回復していない中国勢の回復が期待されるため、好調を維持すると考える。

しかし、海外の景気は減速する見通しであり、半導体市況の回復も遅れが予想されること、資源価格が調整し、生産者物価・卸物価の低下は期待されるものの訪日客の増加で国内のモノやサービスの価格が上昇する可能性はあり、これまで直面してこなかった物価上昇が日本の経済活動の阻害要因となり得るため、遅ればせながら物価動向も注視していく必要がある。

【昨日のセクター別動向と本日の見通し】

◆原油

原油価格は上昇した。米バイデン大統領とマッカーシー米下院議長の会談を受けて合意への期待が高まったことで、過剰なリスク回避姿勢が緩和したことが背景。

昨日の米石油統計は原油在庫が市場予想に反して増加、クッシング在庫も市場予想を上回る増加となったが、石油製品出荷が回復しており、ドライブシーズン入りしたガソリン在庫の減少が顕著だった。

これによりガソリンの在庫日数は24.0日と過去5年の最低水準(23.9日)に迫り、ディスティレートも27.5日(27.4日)と引き続き製品需給はタイトな状況が続いている。

クラック・スプレッドはガソリンが上昇、灯油も暖冬の影響でクラックが過去5年平均を下回っていたが回復、ディーゼルは商業向け輸送需要の減速の影響かクラック・スプレッドは低下基調にあるが、それでも過去5年平均を大きく上回って推移している。

FRBは政策金利を高値維持するか、追加利上げを実施するかを選択せざるを得なくなっている。利下げはしばらくは封印だろう。そのため、先行きの下落リスクはむしろ高まっている。

下期に掛けてノンバンクも含めた金融機関の経営環境の悪化、それに伴う信用収縮の懸念が指摘されている。

景気のソフトランディングに成功すれば供給能力の制限から年後半か来年以降、急速に価格が上昇するシナリオ、金融引締め継続を背景に金融危機・信用収縮が発生してソフトランディングに失敗、価格が急落する、の両方のリスクに晒されている状態。

前者の場合、OPECプラスの減産や非OPECプラス諸国の上流部門投資が不充分であること(脱炭素に加えて、金利高の影響もある)から、2024年の価格上昇は弊社が想定しているよりも大きなものになる可能性はある。

後者の場合、供給能力の制限から思ったほど価格は下落せず、「スタグフレーション」となる可能性は高まっている。

直近のWTI投機筋のポジションは5月9日時点でWTIがロングが前週比+14,418枚、ショートが+12,635枚とネットロングが増加。

Brentは5月9日付けのCOTレポートで、ロングが+1,284枚、ショートは+26,378枚とネットロングが大幅に減少している。

いずれも新規にショートポジションが積み上がっており、利上げ打ち止めや仮にOPECプラス減産があればそのときの買い戻し圧力は大きくなっているといえる。

今後の比較的短期的な見通しは以下の通り。

現在は 3.のうち、「OPECプラスが減産」した状態。

<シナリオ別原油価格見通し>

1. ロシアの禁輸措置が厳格に守られ、戦闘も継続  産油国(非OPECプラス)が増産/減産する(OPECプラス)する
Brent 70-95ドル/75-100ドル

2.戦闘状態が継続するがロシアからの原油・石油製品供給が減少しない
Brent 65-90ドル

3.2.の状態で産油国(非OPECプラス)が増産/減産する(OPECプラス)
Brent 60-80ドル/70-90ドル

4.ロシアがウクライナから撤退・停戦上記見通しが各々▲5ドル程度低下

(ここから先は比較的中・長期のシナリオ)

5. 脱ロシア完了(西側諸国+OPECで完全にロシア産原油代替可能の場合)
Brent 60-90ドル

6. 東西冷戦構造が構築されなかった場合(前回オイルショック時と同様に化石燃料の生産が増えて顕著な供給過剰となる場合)
Brent 40-60ドル

※上記価格レンジは市場動向を反映して、逐次微修正している。

長期的には現在のインフレ抑制がどの程度進むか、脱ロシアがどのような形で収束するか、米大統領選挙を受けた米政府の対応に依拠するためまだなんともいえないところ。

しかし、脱ロシアを継続する一方で、COP27で確認されたように脱炭素も継続、する見通しであるため当面供給面の制限は続き、原油価格は高止まり、ないしは自然エネルギー供給不足発生には高騰する可能性が高い。

Q223~Q423 需要の伸び減速・生産調整(→)グローバル・リセッション、危機顕在化の場合(↓)
Q124~Q224 需要減速底入れ・供給回復期(↑)
Q324以降 需要回復・脱ロシア進捗(非OPECプラスの増産)(↑)

※矢印の向きは価格の方向性。

本日も、経済統計というよりは連銀総裁の発言や債務上限問題の進捗状況が価格に影響を与えやすい状況に変わりはないが、バイデン大統領がG7参加で不在のため、恐らく今日は経済統計により影響を受けやすいと考える。

昨日の上昇の反動で恐らく本日は下落からスタートするが本日の米統計は強弱まちまちとなる見通しであり、結局はレンジワークか。

◆天然ガス・LNG

欧州天然ガス先物価格は下落していた期先、冬場のゾーンが物色されて上昇した。やはり冬場のヘッジが完了している訳ではなく、割安感からの買いが入ったとみられる。

弊社の直近のガス在庫動向シミュレーションでは、過去5年平均比で需要を削減せず、過去5年の最高水準のガス消費量になったとしても、ロシアの輸出がキャパシティの20%を維持できれば、ガス供給は足りるとの結果。

逆に、過去5年平均よりも+5%程度需要が増加すれば、今年の冬も足りないことになる。

また、ロシアからの供給が停止した場合、需要を過去5年平均の水準から▲20%以上削減することが必要となる。

ただし年後半に掛けて景気が減速する可能性が高く、LNGのフローも確立されていること、ロシアも原油価格・ガス価格下落による財政状況の悪化が懸念されるため更なるガス供給の削減は常識的に考えて難しいことから、気温の低下(ないしは夏場のアジアの猛暑)がなければ、調達は昨年の冬に比べれば厳しくはないと予想される。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

欧州の天然ガス・LNGのスポット価格変動要因を整理すると概ね以下に集約される。

1.脱ロシアの継続(スポットカーゴ価格の上昇要因)2.LNGターミナル・ガス田の不慮の停止3.西側消費国に対するロシアの供給削減(価格の上昇要因)4.景気減速(価格下落要因)5.季節要因・気象状況(今のところ需要増加で価格上昇要因)

弊社のシミュレーションでは「欧州が完全に」ロシア産ガスを排除できるのは2027年頃。ロシアのLNGが第三国経由で欧州に流入することを想定した場合は2025年頃に脱ロシアが完了する。実際はこの中間で2026年頃に脱ロシア完了となるのではないか。

このことは、2026年以降のガス価格は(脱炭素によるガス田投資動向にもよるが)水準を切下げる可能性が高いことを示唆している。

3.4.は顕在化している。

5.は「凪」のシーズン。恐らく今年はエルニーニョ現象が発生するため夏は冷夏となる見通し。ただしエルニーニョ現象発生後はラニーニャ現象が発生することも多く、冬場のリスクは小さくはない。

米メキシコ湾発のLNGのタンカーレートは日本向け・欧州向けとも低下している。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

米天然ガス価格は小幅に下落した。気温上昇見通しが需要増加観測を強めているが、それを上回る生産見通しが需給緩和期待を高めているため。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

JKM先物期近は上昇。この数日の下落もあって割安感が出たことから冬場のピークシーズン向けのヘッジが入ったためと考えられる。

4月の中国の天然ガス(パイプラインガス+LNG)輸入は前年比+11.0%の898万トン(+11.2%の887万トン)と先月とほぼ同じ前年比水準を維持したが、それでも過去5年の最高水準は下回っている。

まだ統計が発表されていないが、国内天然ガス生産が増加しリオープンの動きが緩慢であるため、輸入が手控えられたと考えられる。また、石炭輸入が高水準なこともガス輸入の減少に影響した可能性も否定できない。

3月のLNG輸入は前年比+15.9%の536万3,000トン(前月+7.1%の652万トン)と高い水準を維持した。

3月のパイプラインベースの輸入は前年比+4.6%の351万トン(▲7.1%の345万トン)とこちらも輸入は増加した。

4月の天然ガス生産は+5.6%の1,382万4,000トン(±0.0%の1,448万5,000トン)と同じ時期の過去5年の最高水準となった。

4月の中国の電力消費量は前年比+8.5%の6,901億kwh(前月+6.1%の7,369億kwh)と伸びが加速したが季節的に数量は減少している。昨年4月はロックダウン開始月ということもあり伸びが加速していても不自然ではない。

天然ガス輸入量は、国内生産が増加しているものの増加しており、同国の経済活動が徐々に再開していることを示唆するもの。ただしペントアップ需要がどの程度継続するかは、現時点ではまだ不透明である。

季節的な猛暑、渇水などによる発電燃料輸入需要が増加する可能性があるものの、景気の回復ペースが想定よりも緩慢であるため高水準の発電燃料輸入は減速の可能性がある。

※中国のガス統計は、データ形式(年初来累計を単月に換算したものと、中国政府が発表する月次のデータなど)や単位換算で数値が一致しないことがあります。予めご容赦ください。

サハリン2は、欧米の圧力による輸入禁止よりも、欧米企業がメンテナンスから撤退していることによる中長期的な供給途絶のリスクの方が大きいだろう。

5月14日時点の日本の発電用LNG在庫は267万トン(前年同月末211万トン、2018~2022年平均249万6,500トン)と過去5年平均を回復した。

ロシア問題が継続する以上、今年の夏以降の調達懸念が払拭されている訳ではなく、先物の期先の価格は高値を維持すると予想される。

また、今年は回避されているが、豪州は国内供給が充分でない場合、通常7月1日まで、遅くとも10月1日までにガス不足の懸念を通知し、実際に国内供給が不充分と判断された場合、次の1年間は輸出が制限される(ADGSM)。

この条項が発動された場合、スポット価格の上昇リスクとなるため、意識はしておきたい。

本日も新規材料に乏しい中、現状水準維持と考える。しかし、景気の先行きを意識して冬場の需給がそれほどタイトにならないのではとの見方が強まっており、期先に下押し圧力が掛りやすい地合に。

しかし、冬場の購入者側のヘッジ需要はまだあると考えられ、期先の下落余地も限定されると考える。

※LNGの数量とガスベースの換算レートは、注記がなければBP・東京ガス提示の数値を使用している。 LNG1トン=2.19立方メートル(液体)=1,360立方メートル(気体)= 46MMBtu LNG船1隻 147,000立方メートル=67,000トン 1BCF=28百万立方メートル 1Gwh=10.55百万立方メートル=1,055万立方メートル=7,757トン 1Mwh=10.55千立方メートル

◆石炭

豪州石炭スワップ先物はほぼ全ゾーンパラレルに上昇、API2石炭も上昇した。ガスに買い戻しが入る中、石炭もこの数日の調整で割安感が出ていることからヘッジ買いが入ったためと考えられる。

ただし、大きく水準が変化している訳ではなく、これまでと比較して比較的低い水準でレンジワーク、という印象。ただし、ここに来て中国の豪州炭輸入が増加している。グローバル・ポートの調査では、5月15日時点の中国の石炭輸入は107万1,000トンと、前週の35万3,000トンから大幅に増加している。

現在のガス価格(JKM)との関係性を元に回帰分析を行うとNEWC価格は130ドル、±1標準偏差で60~200ドル程度までが統計的に説明可能なレベル。

しかし、期先の価格は現在の生産コストに近いことを考慮すると、期先の価格が150~160ドル程度であることを考えると、実際は150~200ドルが説明可能なレンジか。

2023年~2024年は例年と同じ気象見通し(ということは昨冬が暖冬だったため、今冬は昨冬よりも寒い)であることを考えると、年後半に向けて価格上昇リスクは小さくないとみる。

ロシア問題が継続する以上、欧州が完全に脱ロシアを達成することが期待される2027年(早ければ2025年)までは、ピークシーズン中の価格上昇リスクはつきまとう。

そろそろ夏場を意識した調達が本格化する。そして今年のアジアの夏は例年よりも暑い夏にある可能性があり、南アジアでは既に記録的な熱波が観測されている地域も多い。そのため、北半球の夏場に向けた日中の石炭需要で再び上昇基調に転じるだろう。

4月の中国の石炭輸入は原料炭・燃料炭合計で前年比+72.7%の4,067万6,000トン(前月+150.7%の4,116万5,000トン)と過去5年レンジを大幅に上回る水準となった。

昨年のロシアの軍事侵攻による物流の停滞から輸入は減少していたため発射台が低かったこともあるが、中国のリオープンと豪州に対する制裁解除、中国南部の渇水の影響で高水準の輸入が続いている。やはり、この国の発電燃料は石炭なのだ。

国別の輸入内訳がまだ公表されていないため詳細が不明だが、豪州に対する制裁を解除しており、今後も輸入は増加が予想される。

4月の中国の石炭生産は、前年比+2.7%の3億7,400万トン、1,246万トン/日(前月+5.4%の4億1,900万トン、1,351万トン/日)と伸びがさらに減速した。

中国の消費電力は前年比+8.5%の6,901億kwhと前月から伸びは加速したが季節性もあり総量は減少している。この状況で豪州炭の輸入再開で4月の石炭輸入が記録的な水準である事もあり生産が低迷したと考えられる。

今後、輸入需要の増加があるかは発電需要に依拠するが、季節的な気温の上昇や渇水による電力供給減少がなければ、経済活動の回復ペースの鈍さから高水準の輸入ペースは鈍化の可能性がある。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

本日は、割安感からの買い継続で上昇余地を探るが、現状の価格レンジを大きく変化させるほどの上昇にはならないと考える。

◆LME非鉄金属

LME非鉄金属市場は大幅に上昇した。米債務上限問題が解決するのではとの期待が高まっている事で、リスク回避的に売られてきた非鉄金属にも買い戻しが入った。

しかし、そもそも非鉄金属価格の下落は債務上限問題以上に、中国の需要の回復が想定以上に緩慢であることの影響が大きいため、さらに買い戻しが入るかどうかは微妙な情勢。

数量ベースでの把握が困難だが、金額ベースの中国製造業の在庫循環図は意図せざる在庫積増し局面の終期にあり、まだ在庫の調整が必要な状況とみられる。

基本、最大消費国である中国の経済活動の戻りが鈍い中、米金融引締め状態が継続される見通しであることが、非鉄金属価格を押し下げている。現物の需給だけで非鉄金属市場動向は語ることができないため、市場のセンチメントを織り込むことが見通しを考える上では重要な局面になっている。

COTレポート(+CFTCのCME銅売買動向)による、ファンド筋の売買動向はさらにネット売り越し幅を拡大した。CME銅を除く全ての金属がロング減少・ショート積増しとなっている。

ロングポジションの解消も進んでポジションが軽く、新規ショートも積み上がっているので、イベントリスク終了後には上昇に転じるとみているが、それにはまだ時間が掛りそうだ。

直近でネット売り越しだったのは、2020年6月はまさにコロナ危機時だったが、このときは大幅な財政出動や金融緩和が行われ、物流の停滞やコロナの影響による鉱山生産減少が意識され始めたタイミングであり、この後、ネット買越しは増加して価格は上昇している。

今回は、金融引締め継続、財政も削減、物流停滞は解消し、鉱山生産も回復していることから、2020年とは逆の動きになる可能性は低くない。やはり構造的な脱炭素向けの需要増加が期待され、景気が底入れするとみられる2023年後半以降までは上値は重いのではないか。

最大消費国である中国の景況感は良いとは言えず、4月の中国製造業PMIは49.2(市場予想 51.4、前月 51.9)と市場予想、前月とも下回り、中国のペントアップ需要の顕在化が一巡した可能性があることを示唆する内容となった。

中国製造業PMIは新規受注、生産、雇用、納期(調整項目)、在庫の主要5指標を元に算出されているが、前月からの変化による「寄与度」を見ると、新規受注のマイナス寄与度(▲1.44)が大きく、次いで、生産(▲1.10)、雇用(▲0.18)の寄与度が大きかった。

景気回復局面では新規受注が生産を促し、雇用に繋がるという過程を経ることが多いが今回は明確に新規受注に減速がみられ、今回の回復がペントアップ需要の顕在化による一時的なものである可能性が高まった。

実際、輸出向け新規受注の減少が▲2.8に止まる一方、新規受注全体では▲4.8となっており、輸入も48.9(前月50.9)と▲2.0の低下となっており「国内の新規受注が低迷」していることを示唆している。

需給状況の指標である新規受注在庫レシオは完成品が0.988(1.083)、原材料が1.019(1.110)と両方とも低下しているが、完成品は閾値の1を下回っている。

生産が減少しているにもかかわらず完成品在庫の水準は49.4(49.5)と小幅にしか調整していない。いわゆる「意図せざる在庫積増し局面」にあるとみられる。規模別の製造業PMIも全ての規模で閾値の50を下回っており、やはり世界景気の減速を受けて景況感は減速する可能性が高いと見るべきだろう。

4月の中国の貿易統計では、ベンチマークである銅地金・製品輸入は前年比▲12.5%の40万7,293トン(前月▲19.0%の40万8,174トン)と過去5年の最低水準を下回った。

一方、銅鉱石・コンセントレートの輸入は前年比+11.8%の210万2,572トン(▲7.5%の202万1,293トン)と過去5年の最高水準で推移している。

3月の中国の精錬銅生産は+10.8%の104万5,000トン(1-2月+14.3%の194万5,000トン)と過去5年の最高水準を上回っている。

精錬品の輸入減少や銅精鉱の輸入減少は調達面の問題(在庫の低さ)を背景とするものである可能性が高く、製品生産が増加していることから、ペントアップ需要の顕在化が起きているものと見られる。

3月の銅スクラップの輸入は前年比+18.4%の17万7,571トン(前月+58.3%の17万3,825トン)と過去5年平均を上回っている。

長期的には脱炭素、脱ロシア、中国・インドの「W人口ボーナス期」入り、東西の緩やかな分裂に伴うサプライチェーン再構築のためのインフラ投資継続、といった材料を考えると、鉱物資源需要は増加して価格には構造的な上昇圧力が掛かると考えるのが妥当だろう。

早ければ2023年後半から、こうした構造的な需要増加が顕在化する可能性があると見ている。

価格上昇にキャップがかかるとすれば、「脱炭素向け需要の過熱で価格が高騰し、脱炭素シフトが経済的な不利益をもたらす場合」「資源が足りなくなる場合」が逆説的だが有り得るシナリオ。

本日は、債務上限問題を楽観した買い戻しはいったん一巡したと考えられ、ドル高が進行していることを考えると再び下落すると考える。

同時に、債務上限問題への楽観が価格を下支えするため、下落余地も限定されるのではないか。

◆鉄鋼・鉄鋼原料

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは上昇、大連は上昇、豪州原料炭スワップ先物は横這い、大連原料炭価格は下落、上海鉄筋先物は上昇した。

中国の重要統計は同国経済活動が停滞していることを示唆するものだったが、逆に政策対応期待を高めたことで鉄鋼製品価格が堅調に推移しており、現状、在庫日数ベースでは水準が低い、鉄鋼原料価格にも上昇圧力が掛った。

疑似鉄鋼原料価格(鉄鉱石:原料炭=1.6:0.9で加重平均したもの)を元に鉄鋼製品との回帰を行うと、この数年の原料炭取得の困難さから有意な相関関係は喪失しているが、直近1年のデータを元にすると、概ね現在の鉄鋼原料価格と鉄鋼製品の価格はこの回帰直線上に位置する。

恐らく、鉄鋼原料の供給問題はそれほど意識されていないため、鉄鋼製品価格が鉄鋼原料価格変動のカギを握るが、少なくとも鉄鋼製品の最終需要は強くないため総じて下押し圧力が掛りやすいと考えている。

週間の鉄鋼製品港湾在庫統計は、鉄鋼製品在庫は▲45万9,000トンの1,411万4,000トン(過去5年平均 1,553万4,000トン)と減少、徐々に過去5年平均に水準は近づいている。

鉄鋼原料は、鉄鉱石在庫が前週比▲90万トンの1億2,830万トン(過去5年平均 1億3,654万6,000トン)、在庫日数は24.7日(▲0.2日、過去5年平均29.3日)。在庫は日数ベースでも、数量ベースでも鉄鉱石在庫の水準は低い。

主要原料炭の輸入港である京唐港の原料炭在庫は+12万トンの145万トン(163万2,000トン)、在庫日数は+0.4日の5.2日(過去5年平均 6.6日)とこちらも、日数ベースでも、数量ベースでもタイトな状態だが、徐々に緩和してきている。

4月の中国鉄鋼業PMIは総合指数が45.0(前月48.4)と減速した。新規受注の落ち込みが特に顕著(50.2→39.9)だが、輸出新規受注は55.5(42.1)と増加していることを勘案すると、国内需要が急速に減少している可能性があることを示唆。

実際、中国の棒鋼先物価格は4月末時点で前年比▲29.4%(前月末▲19.1%)と低下しており、前月比ベースでも下落している。各調査レポートでも指摘されているように、「価格を下げないと売れない」状況にあると考えられる。

鉄鋼製品の需給の指標となる新規受注完成品レシオは0.87(1.13))と大幅に低下、原材料レシオも1.02(1.31)と急低下しており、鉄鋼原料・製品需給とも急速に緩和。

これまでの需要は政府のテコ入れによるものと考えられるが、それが剥落している状況。やはり更なる不動産バブルの発生は容認できないという視点では、これまでの需要回復は持続可能ではないといえる。

とはいえ、中国の建設業PMIは63.9(65.6)と減速してはいるものの、非常に高水準を維持しており、恐らく不動産在庫の削減は進むと期待されるため当面、回復感は持続すると考えられる。

4月の中国の鉄鋼製品の輸入は前年比▲39.1%の58万4,930トン(前月▲32.6%の68万1,840トン(前月▲33.7%の63万トン)と低迷が続き、同じ時期の過去5年の最低水準を下回る状態が続いている。

4月の中国の鉄鋼製品の輸出は前年比+59.3%の793万2,430トン(前月+59.7%の789万トン)と過去5年レンジを上回る高い水準を維持している。

4月の中国粗鋼生産は前年比▲0.2%の9,264万トン(前月+8.4%の9,573万トン)と急減速したが、まだ過去5年平均は上回っている。

国内で生産した鉄鋼製品が国内で処理仕切れず輸出に回していたが、それも厳しくなってきたために生産量を減らし始めたと考えられる。製造業全体の在庫循環図は意図せざる在庫減少局面の終期にあり、まだ在庫調整が必要な事を示唆している。

鉄鋼原料価格が中期的にも世界的な景気減速局面入りを背景に、下落に転じるとの見方は、現時点で変更の必要はないだろう。

本日は、中国の政策期待と、景気の回復の鈍さ、鉄鋼原料在庫水準の低さ、といった強弱材料が混在する中、現状維持と考える。

◆貴金属

昨日の金価格は実質金利の上昇と、債務上限問題解決への期待からやや軟調な推移となった。銀は小幅に上昇、プラチナは株価の上昇もあって上昇、パラジウムは金価格の下落に連れた。

債務上限問題ヘの楽観が強まった、とされるが期間1年の米国債CDSは165bpと昨日から上昇している。米大統領と米下院議長の会談がもたれているものの、共和党内で求心力がある議長ではないため、まだ完全妥結までは安心できない、ということなのだろう。

金価格に占めるリスク・プレミアムのシェアが上昇しているが、上昇要因の主なところは、以下の通り。

1.ドル決済停止などの米国の将来的な制裁を反米国・第三国が意識し始めたこと

2.ロシアの戦争長期化を受けて台湾などの軍事侵攻への懸念が強まったこと

3.米金融引締め継続による企業破綻・新興国破綻懸念

4.米国の債務上限問題を受けた格下げないしはデフォルト懸念

4.に関しては6月15日の米連邦税収が無事終了するまでは、債務上限問題や米国債の格下げ懸念がつきまとう。現在の金価格はこのリスクを織り込んでいると考えられ、6月15日のXデーを無事乗り切ることができれば、このプレミアムが剥落して水準を切下げるのではないか。

ただし、目先は6月1日が資金枯渇日とされており、そこまでに合意する必要が出てきた。

各国政府・中央銀行の金準備の積み上げがどの程度金価格を押し上げるかは、データの即時性がないため分析が難しいが、仮にETFと同じインパクトがあると仮定すれば、100トンの積み上げで40ドル程度の価格上昇要因となる。

ちなみに、2021年末から今年1月までの各国の金準備の増加は、IMFデータを元にすれば先進国が45トン、新興国が337トンであり政府・中央銀行の金準備積増しは382トンとなる。これだけで156ドル程度の価格押し上げ要因。

なお、WGCは2022年の政府・中央銀行の金購入が1,136トンだったとしている。これを基準にすれば454ドルの価格上昇要因となる。

基準価格をざっくり1,000ドルとし、各国当局の金準備積み上げは「原則売却されない」と仮定すると、金価格の「発射台」はIMFベースであれば1,156ドル、WGCベースでは1,454ドルとなる。

簡単な要素分析で現在の信用リスクが550ドル程度であるため、IMFベースであれば1,706ドル、WGCベースでは2,004ドル程度となる。現在の価格水準は主ねこのIMFベースの価格となっている。

恐らく信用リスク分は上述のXデーを過ぎれば剥落するため、過去5年平均程度である330ドル程度までの下落があるとすれば、▲220ドル程度の下落要因となる。年後半の金価格の目線は1,785ドル程度、ということになろうか。

なお、実質金利が上昇する中で、金価格には下押し圧力が掛かりやすいため、年末に向けて水準を切下げるという見通しは維持の方針。

銀価格は、投機的な動きに価格が左右されやすくテクニカル分析が比較的有効に機能する。

月次の金銀レシオはボリンジャーバンドの下限まで低下していたが、再び上限を目指す動きとなっている。景気の先行きへの懸念が強まっていることが背景。

仮にボリンジャーバンドの上限に達するならば、21ドル程度までの下落余地があることになるが、現在は50日移動平均線でサポートされており、仮に金価格の調整があれば比較的大きな下落となる可能性が出てきた。

実際、銀のチャートはダブルトップを形成していたため、テクニカルには売りが入りやすい地合。

本日は、米統計の改善を受けた金融引締め観測、それを受けた信用リスクの高まりへの懸念で現状水準維持の公算。PGMは株価の下落もあり、水準を切り下げる展開を予想。

◆穀物

シカゴ穀物市場は下落した。ドル高が進行したことや作付の進捗に加え、懸念されていたウクライナ産穀物輸出に関して、ロシアと2ヵ月延長で合意したことが売り材料視された。

本日は、昨日の下落で割安感が出たことからいったん打診買いで上昇すると見るが、インフレヘの対応からドル高が継続する見通しであること、足下、トウモロコシ・大豆は豊作見通しであることから結局下落するとみる。

※中長期見通しは、7月・11月にリリースの商品市場為替市場動向見通しをご参照ください(有料)。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【マクロ見通しのリスクシナリオ】

・債務上限問題を契機とする、米国債のデフォルトないしは格下げリスク(ほとんどの商品価格の下落要因に)。

・日本政府の財政規律の欠如、成長期待への失望から円が暴落するリスク。

・景気が想定よりも早く底入れしてインフレが再燃、あるいは景気を刺激する目的で早期の利下げが行われ資源価格が高騰、各国中銀の金融政策が再びタカ派の状態になった場合(リスク資産価格の上昇→下落リスク これは結局顕在化した)

新興国の破綻、先進国も含めた債券の格下げによる金融機関・ファンドの突発的な損失拡大による信用収縮、低格付企業の破綻や、市場変動性の高まりによるファンド破綻などもリスクに。

・ロシア暴発による核ミサイル使用、それに伴う東西の全面戦争の勃発(可能性は非常に低いリスク)。

そこに至らないまでも、NATO加盟国に対する攻撃に対して報復の経済制裁、それに対するカウンター報復が発生した場合(景気の下押し要因)。

・習近平国家主席の独裁体制構築による同国の景気減速リスク。台湾・尖閣を含む有事発生の懸念(リスク資産価格の下落要因となるが、日本にとってはCIF上昇で調達コスト上昇要因に)。

中国による台湾併合(武力行使、対話による併合、どちらでも)半導体覇権を中国が握る場合。

一連の「締め付け強化」に対する中国各地での暴動発生。暴動激化で中国が分裂するリスク(極めて可能性の低いリスク)。

・渇水、猛暑厳冬、発電燃料供給不足による工場稼働停止や消費低迷で景気が減速する場合(リスク資産価格の下落要因)。

・脱炭素・脱ロシア進捗による資源需要の高まりによる価格上昇や、資源の供給不足、ロシアの意図的な供給停止(枯渇のリスクも)が発生し、経済活動が抑制される場合(価格上昇→景気減速による価格下落リスク)

・米中対立激化を受けたブロック経済圏が発生して貿易活動が鈍化する場合(既にメインシナリオ)。

台湾有事の発生(リスク資産価格の下落要因)。

・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。

逆に脱炭素に向けたインフラ投資の加速で資源価格が急上昇、金融緩和マネーが大量に市場に滞留する中でインフレとなるリスク。

また、再生可能エネルギーのコスト上昇で化石燃料回帰が起きる場合。

・次の成長ドライバーとして期待されるインド経済が、期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、モディ支持率の低下による近代化投資の遅れ、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。

2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2023年後半~2024年頃。

◆本日のMRA's Eye


「鉄鋼製品・原料価格は下落へ」

4月の中国鉄鋼業PMIは総合指数が45.0(前月48.4)と減速した。新規受注の落ち込みが特に顕著(50.2→39.9)だが、輸出新規受注は55.5(42.1)と増加していることを勘案すると、国内需要が急速に減少している可能性があることを示唆している。

これまでの鉄鋼製品の需要が国内の需要(ペントアップ需要+地方政府財政を何とかしなければならない中での不動産市場のテコ入れ)が増加ことによるものであったと考えられ、それが足下一巡したと考えるのが妥当だろう。

中国政府としても、2010年頃に人口動態がピークアウトして構造的に住宅セクターの不調を解消する体力が低下している中で、さらに景気をテコ入れするために不動産セクターを加熱させる訳にはいかない。

共産党政府がそこを無視して住宅セクターをテコ入れする事は考えられなくもないが、日本が不動産を海外の投資家に売却して市場を建て直した時と異なり、中国での外国人の不動産取得はハードルが高い。

共産党はこれを緩和することも考えているようだが、基本的に外国人への販売は不良不動産市場を支えるほどの規模にはなり得ないだろう(海外不動産市況はチャイナ・マネーが押し上げていることも事実であり、逆は難しい)。

このように考えると、加速度的なペースで不動産市況が回復することは難しく、緩やかなペースでの回復が前提となりそうだ。

この状況で、鉄鋼製品の需給の指標となる新規受注完成品レシオは0.87(前月1.13))と大幅に低下しており、原材料レシオも1.02(1.31)と急低下。鉄鋼原料・製品需給とも急速に緩和していることが窺える。

中国の棒鋼先物価格も過去5年の最低水準まで価格が下落。例年よりも早い水準で減少が続いていた鉄鋼製品在庫の水準は、徐々に過去5年平均に近づいている状況。

一方で中国の鉄鋼製品輸出は過去5年の最高水準を上回り、輸入は低迷している状況。このことは、中国国内の鉄鋼製品需要の回復が遅れており、人民元安傾向も相まって海外に販路を見いだしている状況といえる。

中国の鉄鉱石輸入はQ123は過去5年レンジの上限で推移してきたが、足下急速に減少している。原料炭輸入も大幅に増加していたが、恐らく減少に転じるのではないか。

鉄鋼原料価格動向を占う上では最終製品である鉄鋼製品価格動向が重用になる。両者の価格の関係性はコロナ禍で壊れてしまったが、直近1年にフォーカスすれば回復しており、鉄鋼製品価格が原料価格動向を左右しやすい。

鉄鋼製品価格は、1.中国の国内需要が製作のテコ入れなどで年末に掛けて回復すると予想されること、2.しかし一方で、欧米は製作金利の高止まりが継続することから輸出向け需要が減少すると予想されること、から1.2.が相殺し合い、当面過去5年の最低水準で横這い推移になるのではないか。

結果、6ヵ月程度の時間差があるが、国内鉄鋼原料価格(大手製鉄会社の提供sる鉄鋼製品価格)も下落するとみられる。

国内の鉄鋼製品価格はこの数年、中国の棒鋼価格動向の影響を強く受けるようになっているが、概ね3ヵ月程度で価格が反映される。

指標となる国内圧延鋼材価格(東京製鐵提示)は円建てでまだ高止まりしているが、これは円安の影響に因るものであり、米国景気の減速で年後半に掛けては低下すると予想される。価格の回復は恐らく景気が底入れすると期待される2024年以降になるのではないか。これはその他の工業金属と同じ、とみている。


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