パウエル議長発言を受け引き続き下落
- MRA商品市場レポート
2023年5月4日 第2448号(簡易版)商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「パウエル議長発言を受け引き続き下落」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場はその他農産品やLME非鉄金属の一角が上昇したが、総じて軟調な推移となった。米FOMCでパウエル議長が「インフレ鈍化がなければ利下げはない」としたことで、金融引締め長期化観測が強まったことで、景気への懸念が強まった。
平時であればおかしな話だが、この連休中に発表された米統計は良好なものが多く、ISM製造業指数は50の閾値を下回っているものの前月から改善、ISM非製造業指数やADP雇用統計も市場予想・前月を上回っており、米国のタイトな雇用環境、それを受けた賃金上昇圧力、それに伴う個人のインフレ許容力の高まりが、FRBの姿勢をタカ派に傾けている。
しかし、FRBはそもそも2023年は利下げはない、としてきたがその通りの結果になっているだけともいえ、年初から指摘しているようにFRBのスタンスと市場の期待を埋める動きがこの数週間、みられていると考えられる。
景況感の改善はインフレ懸念の高まりや資源価格の高騰をもたらすため、インフレ抑制が一丁目一番地であることを考えると、今回のFOMCでの発言はある意味妥当であり、逆説的では有るがこれによって年後半に金融引き締め過ぎを緩和する利下げが実施できる余地が出てくることになる。
足下、米FRBはややタイミングが早いシクリカルな景気回復のペースを抑制する(インフレを抑制する)ために政策金利高止まりを容認するとみられ、その間、商品価格、特にエネルギー価格に下押し圧力が掛ることになろう。
またこの間、米景気減速懸念と利上げ継続のECBのスタンスの差からドル安となりやすく、米景気の影響を「直接」受け難い中国が最大小国である非鉄金属の価格はドル安が支えることになるだろう。
市場の注目度が高い金は昨日も上昇している。長期金利低下に伴う実質金利低下が影響しており、基準価格は前日比+26ドルの954ドル、リスク・プレミアムは▲4ドルの1,096ドルと高止まりしている。
穀物は、ウクライナがクレムリンをドローン攻撃したとの報道を受けて(ウクライナは当然否定)、小麦・トウモロコシなどの輸出が停止されるのではとの懸念とドル安の影響で、大幅な上昇となった。
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