円相場変動要因としての日銀と貿易収支
- MRA外国為替レポート
2023年4月24日号
◆先週の市場総括
先週のドル円相場は133円50銭近辺で始まり底固く、上下しながら週央には135円近辺に上昇。ただ週末にかけて133円台まで押し戻され134円近辺で引けた。
米国の経済指標が強弱入り混じるなか、引き続きFRB当局者から利上げに前向きな発言が続いた。
市場は5月FOMC会合での0.25%の利上げを8割方織り込み。金利高止まり観測もやや強まり長期金利は3.5%台を中心に底固くドルを支えた。
ユーロドル相場も週初・週末とも1.0990で結果的に横ばい。米地区連銀経済報告では米国経済はここ数週間で横ばい、融資姿勢の厳格化を報告する地区も目立った。
米国株は一部不芳な決算内容を受けて上値重く、次週の大手ハイテク決算を睨み次第に様子見。日経平均は引き続き底固い値動きとなったが米国株が動意に欠けるなか、このところの大幅上昇のあとで利益確定売りが上値を抑えた。
月曜日の東京市場では日経平均は小幅上昇。7営業日続伸。3月9日以来の高値に上昇した。前週末に発表された米銀決算が良好。銀行株がしっかり。また景気敏感株が買われ、円安で輸出関連株もしっかり。
ただ今週も続く米企業決算を前に慎重な姿勢もみられた。引けは前週末比+21円高の28,514円。
ドル円相場は底固く推移。133円80銭で始まり134円手前でもみ合いのあと134円20銭に上昇。夕刻から欧州市場にかけては134円を挟んで上下し米国市場朝方は133円80銭。ユーロ円相場も同様に147円10銭で始まり146円80銭~147円ちょうどで上下したあと147円40銭に上昇したが欧州市場では146円80銭~147円20銭。
ユーロドル相場は1.0990で始まり60に下げたあとじり高。夕刻には1.10ちょうど近辺をつけ、米国朝方は1.0960~80。
その後発表されたNY連銀製造業景気指数(4月)が予想以上に強い数字となり米金利が上昇、ドルが買われた。同指数は前月▲24.6から予想▲18.6を大きく上回り10.8とプラス圏を回復した。
米10年債利回りは3.606%へ、2年債は4.205%へ上昇。利上げ継続観測が強まり長期金利を押し上げた。
ドル円相場は134円60銭に上昇して引けは134円50銭。ユーロドル相場は1.0910に下落して1.0920台で引け。ドルインデックスは前週に101ポイント近くに下落していたがこの日は102ポイントを回復した。
ユーロ円相場は146円70銭~90銭で上下したあと引けは146円90銭台。
米国株は景気安心感で景気敏感株の一角が買われたが金利上昇が重石。NYダウは前週末比+100ドル高の33,987ドル、ナスダックは+34ドル高の12,157ドル。VIX指数は16.95ポイントまで低下した。
火曜日の東京市場では日経平均が8営業日続伸で年初来高値を更新し、昨年8月22日以来の高値をつけた。米国景気先行き懸念が緩和、中国の主要経済指標もしっかりで、景気敏感株に買いが入った。ただ上値追いには慎重で上昇幅は抑制された。引けは前日比+144円高の28,658円。
中国の3月の主要経済指標は、小売売上高が前年同月比+10.6%と前月+3.5%から伸びが加速。鉱工業生産は+3.0%と前月+2.4%からやや加速。
固定資産投資は+5.1%と前月+5.5%からやや減速。失業率は前月5.6%から5.3%に低下した。1-3月期GDPは前年同期比+4.5%と前期+2.9%から加速した。
ドル円相場は134円50銭で始まり30銭~70銭で高下したあと欧米市場にかけてはじり安。米国朝方は133円90銭。ユーロ円相場は146円90銭台で始まり147円20銭中心に推移。夕刻から欧州市場では147円30銭台に上昇。
ユーロドル相場は1.0920台で始まりじり高。夕刻から欧州市場では1.0980近辺でもみ合いとなった。
米国で発表された住宅着工件数(3月)は季節調整済み年率換算で前月1,450千戸から1,420千戸にやや減少。許可件数は1,524千戸から1,413千戸に減少した。
米長期金利の上昇は一服。2年債は概ね横ばいの4.203%。10年債は低下して3.578%。
米国株は小幅安。決算発表を控え動意が薄く方向感なく推移した。NYダウは前日比▲10ドル安の33,976ドル。ナスダックは▲4ドル安の12,153ドル。VIX指数は16.83まで低下した。
ドル円相場はやや持ち直し133円ちょうど~30銭で上下しながら次第に小動きとなり引けは134円10銭。ユーロドル相場は1.0970近辺でもみ合い引け。ユーロ円相場は147円10銭で引け、アジア時間から欧米市場を通じて総じて横ばい上下動。
水曜日の東京市場では日経平均が9営業日ぶりに反落。ただ下げ幅は小幅だった。利益確定売りが優勢となるなかも、円安が支えとなった。引けは▲52円安の28,606円。
ドル円相場は134円10銭で始まりもみ合い水準を段階的に切り上げ夕刻は70銭近辺に上昇。
発表されたイギリスの消費者物価指数が予想を上回り+10.1%と依然と2桁となったことでイギリス中銀の利上げ継続観測が台頭。英長期金利が上昇。世界的インフレの根強さが意識されて米長期金利も上昇。
米10年債利回りは一時3.63%をつけた。ただ米国市場では上昇一服。米10年債利回りは3.591%で引け。
ドル円相場は134円30銭に反落したあとは70銭~80銭でもみ合い引けは134円70銭。ユーロ円相場は147円10銭で始まり40銭でもみ合い、欧州市場に入ると堅調となり80銭に上昇。ただその後は147円10銭に反落、ドル円相場と同様持ち直して147円70銭~60銭で引け。
ユーロドル相場はアジア時間では動意薄。1.0970で小動き。夕刻から欧州市場にかけては上下しながら1.0920に下落した。ただ米国市場では1.0980に持ち直し引けは1.0960。
米国では利上げ継続観測が重石となり米国株はまちまち。NYダウは前日比▲79ドル安の33,897ドル。ナスダックは+13ドル高の12,167ドル。
公表された米地区連銀経済報告(ベージュブック)では、米経済はここ数週間横ばいとされた。12地区のうち5地区が活動に変化なし、4地区が緩やかに拡大、3地区が活動はわずかに鈍化、と報告。また複数の地区が融資姿勢の引き締まり、厳格化を報告した。
木曜日の東京市場では日経平均は小幅反発。朝方は欧米の金融引き締め長期化観測やテスラ社の不芳な決算を受けて売り先行。
ただ岸田首相が対日投資促進策を提示。半導体などサプライチェーンの確率に数値目標を定めたことから具体策への期待が高まり半導体関連株が買われた。引けは前日比+50円高の28,657円。
ドル円相場は134円60銭~70銭で始まり仲値10:00近辺に135円手前まで上昇。ただその後は反落して午後は40銭まで押し戻された。
ユーロ円相場も同様の値動き。147円50銭~60銭で始まり80銭に上昇。午後には30銭に反落した。
発表された日本の通関統計(3月)は貿易収支が▲7,540億円の赤字となり、前月の▲8,980億ドルから減少。予想1兆3,000億ドルを下回った。欧州市場ではややドル高円安に振れたが方向感定まらず。
ドル円相場は134円50銭~80銭近辺で上下。その後米国の経済指標に弱い数字が相次ぐと円高に振れて134円10銭中心の値動き。終盤は下げ止まり引けは134円20銭。ユーロ円相場は欧州市場で147円80銭に上昇したが反落して米国市場では概ね147円10銭~20銭で推移した。
ユーロドル相場はアジアから欧米市場にかけて概ね横ばい。1.0960で始まり欧州市場で50~80で上下し米国市場では1.0990に上昇。ただ上昇も弱く引けは1.0970。
発表された米国の経済指標は弱かった。週次の失業保険新規申請件数は前週の240千件から245千件に増加。継続受給者数は1,804千件から1,865千件に増加。雇用情勢の緩和を示した。
フィラデルフィア連銀製造業景気指数(4月)は前月▲23.3から▲15.6への改善予想に対し▲31.3へ大幅悪化。
中古住宅販売(3月)は季節調整済み年率換算で前月458万戸から444万戸に減少。景気先行指数(3月)は前月比▲1.2%と前月▲0.5%からさらに悪化が加速した。
米長期金利は低下。10年債利回りは3.534%、2年債は4.145%。
米国株は下落。前日引け後に決算発表したテスラ社の業績が不芳で自動車全般に売りが広がった。預金が減少した銀行も売られた。全般に減益決算が嫌気されNYダウは前日比▲110ドル安の33,786ドル。ナスダックは▲97ドル安の12,059ドル。
原油価格WTI先物は景気後退リスクが意識され77.29ドルに続落。
金曜日の東京市場では日経平均が反落。テスラの業績悪化から自動車関連株が売られ円高も重石。ただ日銀の金融緩和継続、東証のPBR改善要請による企業の対応期待は支えとなった。引けは▲93円安の28,564円。
ドル円相場は134円20銭で始まり午後にかけて円高が進み133円70銭~90銭で上下。ユーロ円相場は147円20銭で始まり146円40銭に下落した。
ユーロドル相場は1.0970で始まり動意なく小動き横ばい。欧州市場に入ると1.0940に下落した。
発表された欧州のPMI景況感指数(4月速報)は、ユーロ圏製造業が前月47.3から45.5に悪化、サービス業が55.0から56.6に改善。
ドイツは製造業が44.7から44.0へ悪化、サービス業が53.7から55.7に改善した。
欧州市場では円は反落。ドル円相場は134円10銭へ、ユーロ円相場は147円ちょうど近辺に反発した。
米国市場朝方にかけてはドルが軟調。ドル円相場は133円60銭へ、ユーロドル相場は1.0990へ上昇。ユーロ円相場は146円50銭~80銭で上下し147円ちょうどをつけたあと146円60銭に下落。
発表された米国のPMI景況感指数は強い数字だった。製造業は前月49.2から50.4へ、サービス業は52.6から53.7へ、総合指数は52.3から53.5へ改善した。いずれも景況感の分かれ目である50を上回った。
米長期金利は小幅上昇。10年債は3.568%へ、2年債は4.180へ。
ドルは上昇、円は反落。ドル円相場は134円50銭へ、ユーロ円相場は147円60銭へ反発した。
ユーロドル相場は1.0940へ反落。ただ反応は限定的で引けにかけては揺り戻し、ドル円相場は134円10銭で引け、ユーロドル相場は1.0990、ユーロ円相場は147円40銭で引けた。
米国株は動意薄。次週に大手ハイテク企業の決算発表を控え様子見姿勢が強かった。5月初のFOMCでは0.25%の利上げが8割ほど織り込まれた。
◆今週の3つの注目ポイント
1.日銀金融政策決定会合、植田総裁会見
木曜日・金曜日の2日間、日銀金融政策決定会合が開催され、終了後に植田総裁が会見を行う。植田新総裁のもとで最初の会合となるが、現行の超金融緩和政策の修正がどこまで議論されるか。
今回の会合では政策修正、イールドカーブ・コントロールの撤廃などは想定されていない。
ここ最近の総裁のハト派発言で修正期待は後退しているが、総裁が会見でいかなるスタンスを示すか。何らかの前向きな方向感、次回会合に向けての方向感が示されるかどうかがポイント。
また公表される展望レポートで景気物価情勢について、過度な緩和政策修正の根拠となりうる見通しが示されるか。
2.米国の経済指標
米国の経済指標は強弱入り混じり、当局者のタカ派発言とあいまって、利上げ打ち止め期待、早期利下げ観測に揺らぎもみえる。重要指標は月末月初となるが、注目すべき指標も多い。強弱がFOMCへの期待感・予測を左右しよう。
月曜日 シカゴ連銀全米活動指数(3月) ダラス連銀製造業活動指数(4月)
火曜日 ケースシラー住宅価格指数(2月、前年同月比、前月+2.5%) リッチモンド連銀製造業指数(4月、前月▲5) コンファレンスボード消費者信頼感指数(4月、予想104.1、前月104.2)
水曜日 耐久財受注(3月、前月比、予想+0.9%、前月▲1.0%)
木曜日 GDP(1-3月期、速報、前期比年率、予想+2.0%、前期+2.6%、消費支出価格指数、前期比年率、予想+4.7%、前期+4.4%) 米週間新規失業保険申請件数
金曜日 雇用コスト指数(1-3月期、前期比、予想+1.1%、前期+1.0%) 個人所得・消費支出(3月、前月比、予想+0.2%・▲0.1%、前月+0.3%・+0.2%) 個人消費支出価格指数(同前年同月比、予想;4.1%、前月+5.0%、コア、予想+4.5%、前月+4.6%)
シカゴ購買部協会景気指数(4月、予想42.8、前月43.8) ミシガン大学消費者態度指数(4月確報)が発表される。
3.欧州の経済指標
ECBラガルド総裁はインフレは依然として高すぎるとして、なおも追加利上げの必要性を指摘している。一方で景気動向は利上げに耐えるか。米国との対比で底固さを示し、ユーロ高ないしドル安を支持するか。
月曜日 ドイツIFO企業景況感指数(4月、予想93.7、前月93.3)
木曜日 ユーロ圏経済信頼感指数(4月、予想99.8、前月99.3) 消費者信頼感指数(4月確報、予想▲19.2、速報▲17.3)
金曜日 ドイツ消費者物価指数(4月、前年同月比、予想+7.3%、前月+7.4%) GDP(1-3月期速報、前期比、予想+0.3%、前期+0.9%) ユーロ圏(同、予想+1.3%、前期+1.8%)
このほか、米国では大手IT企業の決算に注目。日本では週末に雇用、生産、都区部物価指標が発表される。
◆今週のMRA's Eye
円相場変動要因としての日銀と貿易収支
円相場を左右する要因は金利面では日銀の金融政策動向、収支面では貿易収支動向だ。超金融緩和政策と急激な貿易赤字拡大で、ともに円安を促してきた。ただ、いずれも変化の兆しも見受けられる。
超金融緩和政策には修正の議論が高まり、貿易赤字は昨年夏秋をピークに減少傾向にある。一方、その変化の足取りがこの先も順調か、懐疑的にならざるをえない要素もなお残っている。
植田日銀新総裁が決まって以降、現行の金融政策の修正期待は弱まっている。就任前には現行の超緩和政策を支持する姿勢を示したが、これは黒田総裁への配慮と思われた。
しかし着任後もとくにその姿勢に変化はなく、イールドカーブ・コントロールとマイナス金利の継続を示唆している。物価目標についても2%を維持。来年は再び2%割れに低下するとの見方だ。
世界景気の減速・悪化を踏まえ、また欧米でのインフレ率低下基調がなお続くとすれば、日本のインフレ率にも低下圧力がかかることは否めない。
そうしたマクロのトレンドがみえるなか、行き過ぎた金融緩和政策、イールドカーブ・コントロールとマイナス金利を修正するところまでは行うのか。
これらはデフレ脱却のための異例の措置だったはずで副作用も伴う。デフレとは程遠い状況となった現状では、マクロのトレンドとは別に、この部分の撤廃は遅まきながら実施すべきとの意見は妥当だ。今週の金融政策決定会合で議論の進展はあるのか注目される。
もっとも円相場へのインパクトはさほど大きくないだろう。
長期金利抑制策を撤廃しても、長期金利の上昇は限定的とみられる。
現在、当局のコントロール外にある金利スワップ市場において10年金利は1%を下回っている。現在の国債利回りの上限は0.5%。その差は大きくない。
欧米の長期金利がすでにピークアウトし、低下基調にあるとすれば、この状況は大きく変わらないだろう。
またマイナス金利解除、ゼロ金利に回帰したとしても、これがテクニカルな修正となれば金利先高感は強まらない。
円長期金利の上昇は限定的で金利面からの円高圧力はせいぜい5円程度にとどまるのではないか。ドル円相場へのインパクトという面ではドル金利の変化が大きく勝るだろう。
貿易収支には変化もみえてきた。直近の通関統計(3月)では貿易赤字額は季節調整前で7,540億円まで縮小した。1月は一時的に3兆円を超えたものの、昨年の夏秋にかけて連続して2兆円を超える状況からは改善してきたようだ。
改善に寄与しているのは輸入金額の減少。同時期に輸入金額は毎月10兆円~11兆円に達していた。それがここ数か月は9兆円前後まで減少している。
その背景は高騰していた資源価格の上昇一服、原油価格の調整と考えられる。
昨年2月にウクライナ紛争が勃発し、原油価格は夏前にかけてWTIベースで1バレル100ドルを超える状況が続いた。
概ね日本の輸入金額はこれに3ヵ月程度のタイムラグで反応することから、夏から秋にかけて輸入金額が大幅増。円建ての輸入金額は円安の影響を受けて増加するため、原油価格動向に輪をかけて増加した。
この状況が足元で変化している。WTIは足元で80ドル割れに下落。円建ての原油価格でみると昨年春夏のピークから4割ほど価格が下落している。
OPECが減産に合意したことでドル建て価格の下落に歯止めがかかったが、世界景気の減速・後退観測は根強く、上値の重い状況は当面続きそうだ。
欧米の金融引き締め強化の影響は今後も景気下押し圧力となることから、当面は資源価格の調整が続き、結果として輸入金額の減少は続きそうだ。
ただ原油価格調整の背景にある世界景気の悪化は日本にとって輸出金額の低迷につながる面もある。輸出入の収支尻としての貿易赤字の減少が緩慢となる可能性には留意する必要がある。
その他の要因にも強弱双方見受けられる。赤字減少要因としては、まず訪日外国人の急増が挙げられる。
訪日外国人者数はコロナ前の水準を回復しつつあり、旅行収支の黒字が寄与する可能性がある。その影響度合いは昨年の夏場と比べれば3,000億円程度。
これを大きいとみるか、少ないとみるか。
さらに前年対比で赤字縮小効果が見込まれるのが医薬品の輸入減少。昨年の輸入金額増加の2番目の要因はコロナワクチン輸入の急増もあった。
足元ではワクチン接種は一巡しており、これが一定程度の赤字減少要因となりそうだ。一方で、情報通信関連のフィー支払いがサービス収支の悪化をもたらす可能性がある。chatGPTなど利用増加が幾分か収支を悪化させる可能性もある。
総じて貿易赤字はピークアウトし対外収支は改善基調にあるものの、その道筋は順調とばかりもいえないようだ。
毎月2兆円を超える赤字だったところから、1兆円程度まで減少したとみられるが、さらに収支トントンまで減少するかは疑わしい。
長い目でみれば、東日本震災前は1兆円程度の黒字。それが震災による原発稼働停止・原油等エネルギー輸入の急増で概ね収支トントンを中心に上下していた。
これがコロナ禍やウクライナ紛争による収支悪化で2兆円を超える赤字に転落。そこからの改善過程ということになる。毎月の貿易赤字が概ね1兆円を下回るところまで安定するかどうかが、円安圧力がさらに緩和するかどうかの鍵となる。
相場への影響は、行き過ぎた円安の修正という範囲にとどまるだろう。現在のドル円相場130円台は大きくドル高円安に振れた水準だ。
黒田総裁が円安にブレーキをかけたのが125円近辺で「黒田ライン」と呼ばれていた。そこを割り込んでドル安円高に振れるかどうか。現時点では中長期的に110円に到達するのが困難なようにもみえる。
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