ドル金利先高感の上乗せはあるか
- MRA外国為替レポート
2023年3月6日号
◆先週の市場総括
先週のドル円相場は経済指標の強弱で上下に振れた。136円台半ばで始まり週前半は米国の経済指標が軒並み弱く米10年債利回りの上昇が4%を前に一服。ドル円相場は135円台に下落する場面も散見された。
ただ中国のPMI景況感指数が強く景気回復期待が強まると米長期金利が上昇。さらに根強いインフレ圧力を示す指標を受けて木曜日には10年債利回りは一時4.09%まで上昇する場面もみられた。
ドル円相場は一時137円台を回復。しかし利上げ長期化の織り込みも進み、利上げ加速の可能性が低下し、4%台では債券投資需要が根強く週末のポジション調整もあり長期金利は上昇一服。ドル円相場は136円割れに押し戻されて引け。
欧州では大幅利上げ継続を巡り意見が割れていることが明らかに。ユーロドル相場は1.05台半ばで始まり週央には1.06台後半に上昇。その後は1.06台前半で推移した。
ユーロ円相場は144円ちょうど近辺で始まり幾度か145円台に乗せたが引けは144円台半ば。米国株は中国景気回復期待と長期上昇一服で週末にかけて堅調。日経平均も年初来高値をつけ28,000円の大台に迫って高値引けとなった。
月曜日の東京市場では日経平均は小幅安。米国で利上げ長期化観測が強まり米国株が軟調だったことが重荷となった。ドル高円安は輸出関連銘柄の支えとなったがハイテク銘柄には売り。引けは前週末比▲29円安の27,423円。
ドル円相場は136円台前半で上下動。136円40銭近辺で始まり134円ちょうどに下落したあと20銭~40銭でもみ合い。
欧州市場でも134円ちょうど~40銭で上下したあと、弱い米国の経済指標を受けて一時135円90銭に下落した。総じてドルは利食い売りに押された。
ユーロは堅調。ユーロドル相場は1.0550近辺で始まり東京市場では閑散小動き。欧州市場でも1.05台半ば。その後米国市場では1.0620へ上昇した。
ユーロ円相場は143円90銭で始まり143円台後半で上下したあと夕刻は144円10銭に上昇。143円80銭に押し戻されたものの、ユーロ高ドル安に支えられて144円50銭に続伸した。
発表された米国の耐久財受注(1月)は前月比▲4.5%と前月+5.6%から予想以上の減少。ダラス連銀製造業活動指数(2月)は前月▲8.4から▲13.5へ悪化。
米10年債利回りは3.97%に上昇していたが低下して3.92%。2年債は4.78%に低下。
ドルは利食い売りに押された。米国株は長期金利低下や短期的な売られ過ぎ感による押し目買いが支えとなり上昇。ただ利上げ長期化懸念が払しょくされたわけではなく上値は重かった。
NYダウは前週末比+72ドル高の32,889ドル、ナスダックは+72ドル高の11,466ドル。
ドル円相場はその後やや反発して136円20銭~30銭でもみ合い引け。ユーロドル相場は1.0580へ反落したあと持ち直し引けは1.0610。ユーロ円相場は堅調に推移して144円50銭近辺で取引を終えた。
火曜日の東京市場では日経平均が小反発。前日の米国株高が支え。ただバリュー株の一角に利益確定売りが入ったほか、日本郵政によるゆうちょ銀行株の売り出しによる需給悪化懸念も重石となった。引けは前日比+21円高の27,445円。
ドル円相場は136円20銭~30銭で小動きもみ合い。ただ東証引け後に円安に振れ夕刻、欧州市場にかけて136円80銭に上昇して米国市場朝方にかけては60銭~80銭で上下した。
ユーロ円相場は144円50銭で始まりやや下落して30銭中心にもみ合い推移。夕刻から欧州市場にかけては急速に円安に振れて145円20銭へ上昇。145円ちょうど~20銭でもみ合いとなった。
ユーロドル相場は1.0610で始まり、1.0580~1.06ちょうどで小動き。欧州市場にかけて上昇し1.06ちょうど~20でもみ合いとなった。
米国市場朝方にかけてはユーロ高、円安がもう一段進んだが、その後は軒並み弱い米経済指標で円買い戻しが強まりドル円相場、ユーロ円相場ともに円高に振れた。
ドル円相場は136円90銭をつけたあと135円80銭へ、ユーロ円相場は145円40銭から144円ちょうど近辺へ、ともに急落した。ユーロドル相場も1.0640に上昇していたが、緩やかに下落して1.0580近辺で引け。ユーロ円相場はそのまま144円ちょうど近辺でもみ合い引け。ドル円相場はやや持ち直し136円20銭で引けた。
米国の経済指標は軒並み弱かった。ケースシラー住宅価格指数(12月)は前年同月比+4.6%と前月+6.8%から上昇率が低下。シカゴ購買部協会景気指数(2月)は前月44.3から45へ改善予想に反し43.6に悪化。昨年11月以来の水準に低下した。
リッチモンド連銀製造業指数(2月)も同様に前月▲11から▲5への改善予想に反して▲16に悪化。2020年5月以来の低水準。コンファレンスボードによる消費者信頼感指数(2月)も前月106から108.5への改善予想に反して102.9へ想定外の悪化。こちらも昨年11月以来の低水準となった。
米長期金利は上昇一服。10年債は一時3.98%に序章していたが3.92%へ低下し前日と同水準。2年債は4.84%。米国株は下落。朝方に長期金利が大きく上昇したことで下落。その後は持ち直したものの金融引き締めへの警戒感は拭えず。経済指標の弱さも景気悪化懸念となり重石となった。
NYダウは前日比▲232ドル安の32,656ドル。ナスダックはプラス圏を維持していたものの引けにかけてマイナスに沈んだ。前日比▲11ドル安の11,455ドル。
なお米国の指標に先立って発表されたカナダのGDP(10-12月期)は前期比年率±0.0%と前期+2.9%から急減速し予想+1.5%を大きく下回った。
カナダ中銀は3月の金融政策決定会合で金利を据え置く方針を示していたが、それを支持する内容となった。
水曜日の東京市場では日経平均が続伸。米国株安で下落して始まったが中国の経済指標が強く中国景気回復期待で鉄鋼・機械に買いが集まった。期末の配当権利取りの買いも支えとなり、引けは前日比+70円高の27,516円。
発表された中国のPMI景況感指数(2月)は製造業が前月50.1から予想50.7を上回り52.6に、サービス業が前月54.4から56.3にそれぞれ改善。総合指数は52.9から56.4へ上昇した。
民間調査の財新製造業PMIは前月49.2から51.3への改善予想を上回る51.6だった。
為替市場ではユーロが堅調。とくにユーロ円相場が上昇。中国景気回復期待が背景とみられる。ユーロ円相場は144円ちょうどで始まり夕刻には144円80銭。その後欧州市場にかけては40銭~80銭で上下したが米国市場にかけては145円30銭まで上昇した。
ユーロドル相場は1.0580で始まり欧州市場では1.0670~90へ上昇。
ドイツ連銀総裁が、大幅な追加利上げが3月会合のあとも必要な可能性がある、と発言しユーロの支えに。
ドル円相場は136円20銭で始まり40銭近辺でもみ合い。その後欧州市場から米国朝方にかけてはユーロ高ドル安に押されて135円20銭台に下落した。
米国市場ではドルが底固く推移。ユーロ高は一服。ユーロドル相場は1.0650~70で上下し引けは1.06070。
ドル円相場は136円30銭に大きく反発したが、弱めのISM製造業景気指数を受けて135円70銭に反落、引けにかけて持ち直して136円20銭。米長期金利の上昇が支えとなった。
米国の製造業PMI(2月改定値)は速報47.8から47.3に下方修正。ISM製造業景気指数は前月47.4から予想48.0への改善予想より弱めの47.7。雇用指数が50.6から49.1に悪化。新規受注は42.5から47.0へ改善したがなお50割れ。
そうしたなか価格指数が44.5から51.3に上昇。インフレ圧力の高まりを示したと受け止められた。
米10年債利回りは一時4%台に乗せ引けは3.996%。2年債は4.880%に上昇。ドルを支えた。
ミネアポリス連銀総裁は、次回のFOMCでの利上げ幅は0.25%か0.50%かオープンとし、メンバーの予測が重要、と述べた。米国株は引き締め長期化懸念、米長期金利上昇がとくにハイテク株に重石。
NYダウは前日比+5ドル高。ナスダックは▲76ドル安の11,379ドル。原油価格は中国景気回復期待から上昇基調が続き77ドル台後半。
木曜日の東京市場では日経平均は小幅反落。前日の米ハイテク株安を受けグロース株に売り。一方バリュー株には買い。配当狙いの買いも引き続き支えとなり引けは▲17円安の27,498円。
ドル円相場は136円20銭で始まり堅調。アジア時間に米10年債が4%台に上昇してドルを支えた。夕刻には136円90銭に達した。ただ欧州時間に入ると136円30銭に反落。
ユーロドル相場は概ね一貫して下落。1.0670で始まり1.0580へユーロ安ドル高が進んだ。ユーロ圏CPI(2月速報)は前年同月比+8.5%と前月+8.6%からわずかに低下。一方コア指数は+5.6%と前月+5.3%から上昇。
公表されたECB理事会議事要旨(2月会合)では過度な金融引き締めへの懸念は時期尚早とされた。米国市場ではドル円相場はさらに上昇。上下しながら
137円10銭まで上昇した。米長期金利の上昇が後押し。発表された米国の週次の失業保険新規申請件数は190千件と前週192千件から増加予想に反してわずかながらも減少し引き続き労働市場がタイトであることを示した。
単位労働コスト(10-12月期)は前期比年率が+3.2%と前期+1.1%から加速し予想+1.4%を大きく上回り、賃金インフレの強さを示した。労働生産性は+3.0%から+1.7%へ低下。
利上げ長期化懸念が強まり、米10年債利回りは一時4.09%まで上昇。ただその後はタカ派とされるアトランタ連銀総裁が、次回3月会合の利上げは0.25%が望ましいと強く推奨する、夏には利上げ停止の可能性がある、と述べたことで上昇一服。4.062%で引け。2年債は4.891%に前日比小幅上昇。
ドル円相場は136円60銭~137円ちょうどで上下し引けは136円70銭~80銭。ユーロドル相場は1.06を中心に上下し引けは1.06ちょうど近辺。ユーロ円相場はアジア時間では145円台前半で上下し欧州時間には145円ちょうど。
欧州市場から米国市場にかけては軟調となり144円80銭~145えんちょうどで引けた。
米国株は上昇。中国景気回復期待、セールスフォース社の業績好調を受けて同社株が大幅高となり指数を牽引。長期金利上昇が一服したことで底固く推移した。NYダウは前日比+341ドル高の33,003ドル、ナスダックは+83ドル高の11,462ドル。
FRBウォラー理事は、インフレとの戦いは想定より長くなる、金利の最終到達水準を5.1%~5.4%に引き上げを支持、場合によってはさらに引き上げる必要、と述べた。
金曜日の東京市場では日経平均が大幅高。前日の米国株が堅調。中国景気、個人消費回復期待から消費関連銘柄が買われた。ファーストリテーリング社が大幅高となり指数を押し上げ。引けは前日比+428円高の27,927円と今年の高値を更新した。
発表された都区部の消費者物価指数(3月、コア指数)は前年同月比+3.3%と前月+4.3%から上昇鈍化。失業率は2.5%から2.4%に低下。有効求人倍率は1.35倍で変わらず。
中国の財新サービス業PMI(2月)は55.0と前月52.9からさらに上昇し予想54.8を上回った。
為替市場では、円安、ドル高、ともに一服。ドル円相場は小動きながら上値の重い展開。136円70銭~80銭で始まり50銭~70銭にレンジを切り下げてもみ合い。東証引け後から欧米市場にかけて下落基調となり135円80銭。
ユーロ円相場も144円90銭近辺でもみ合いのあと、欧米市場では144円30銭に下落した。ユーロドル相場は1.06ちょうどから1.0630に上昇して上下動。
欧州のサービス業PMI(2月確報)は速報から小幅下方修正。米国では逆に50.5から50.6へわずかに上方修正。
注目のISM非製造業景気指数(2月)は前月55.2から55.1へわずかに悪化したが54.5への大幅悪化ほどとならず。雇用は50.0から54.0へ、新規受注は60.4から62.6へ上昇したが、価格指数が67.8から65.6へ低下した。
米債券市場では週末のポジション調整から債券買い戻しが入り10年債利回りは3.958%へ大きく低下。2年債は4.861%へ小幅低下。10年債の4%台での需要が旺盛であることを示した。
米国株は堅調。ISM非製造業景気指数が利上げ長期化をさらに意識させる内容とならず、長期金利低下で安心感。NYダウは+387ドル高の33,390ドル。ナスダックは+226ドル高の11,689ドル。
ドル円相場はISMを受けて136円40銭に上昇したものの長期金利低下に押され反落し引けは135円90銭。ユーロドル相場は1.0590に反落したあと持ち直し1.0630~40で引け。ユーロ円相場は144円台半ばで上下し引けは144円50銭。
◆今週の3つの注目ポイント
1.米国の経済指標
ISM景気指数の発表が終わり今週末金曜日は雇用統計(2月)の発表が控える。雇用堅調や賃金上昇圧力がどの程度か。非農業部門雇用者数前月比は予想+200千人。前月が想定外の+517千人だったことでサプライズとなった。
ただ季節調整がうまくいっていない可能性もありその修正にも留意。均してどうか。
失業率は3.4%のまま横ばい予想。平均時給は前年同月比が+4.4%から+4.7%へ加速すると予想され、その通りとなれば再び賃金インフレ警戒感が強まり長期金利上昇圧力が強まる可能性がある。
その他、月曜日は製造業新規受注(1月、前月比、予想▲1.8%、前月+1.8%)、水曜日にADP雇用報告(2月、雇用者数前月比、予想+200千人、前月+106千人)、木曜日にJOLT求人数(1月)、チャレンジャー人員削減数(2月)、週次の失業保険申請件数、など雇用関連指標が発表となる。
2 パウエル議長議会証言、ベージュブック
7日火曜日に上院で、8日水曜日に下院で、パウエル議長が半期に一度の議会証言を行う。前回FOMC後の会見でインフレ鈍化が始まったと述べたが、その後直近の強い経済指標、とくに雇用物価指標を受けて発言のニュアンスがタカ派に傾くか。認識の変化がみられるか注目される。
また水曜日にはベージュブック(地区連銀経済報告)が公表される。3月のFOMCでの景気物価動向の判断ベースとなる報告。景気の底固さやしぶといインフレ動向などが報告されるか。すでに市場は利上げ長期化を織り込んでいるが、さらにそうした見方が強まるか、逆に冷やされるか。
3 日銀金融政策決定会合、黒田総裁会見
木曜日、金曜日の2日間にわたり日銀金融政策決定会合が開催される。黒田総裁のもとでの最後の会合となり、終了後に定例会見が行われる。政策は現状維持とみられるが、リスクシナリオとして、イールドカーブコントロールの修正ないし撤廃をサプライズで行いけじめをつけるとの見方も。
ただすでに植田新総裁が決まり、その方針が予想外にハト派とみられていることから大きなインパクト、とくに円高に振れるリスクは少ないか。最後にこの10年を振り返りどのように自己評価するか。
ほか、水曜日にはECBラガルド総裁が発言。火曜日に中国の貿易収支(2月)、水曜日に日本の国際収支(1月)が発表となる。
◆今週のMRA's Eye
ドル金利先高感の上乗せはあるか
市場ではFRBの利上げ織り込みが定着し、FF金利が現状の4.75%から5.50%ないし5.75%まで引き上げられるとの見方が大勢となった。
先週の経済指標は企業の価格上昇懸念や賃金インフレが続き、あるいは懸念が強まっていることを示した。さらに景気が底固く推移するとの見方から利下げ開始が後ろ倒しとなり、タイミングが計れず。
米10年債利回りは一時4.09%まで上昇した。中国のPMI景況感指数が製造業・サービス業ともに強く、中国景気回復期待が強まったことも背景だ。
先走る市場の金利先高感、金利高止まり感に対し、地区連銀、FRB当局者、FOMCメンバー、パウエル議長はどのような判断を示すか。従来の認識に変化があるか。一連の経済指標を受けてどの程度タカ派に傾いているかが気になるところ。
すでに何人かの当局者が、2月の会合では利上げ幅を0.25%に縮小せずに0.50%を維持すべきだったと発言していた。
一方、タカ派とされるアトランタ連銀総裁は先週、次回3月会合での0.25%利上げを強く推奨している。市場では0.50%に利上げ幅を拡大するとの見方も強まったが、その可能性は低そうだ。
すでに数次にわたり大幅な利上げを続けてきたあとの微調整段階に入っており、その方針を揺るがすほどの事態は生じていない。また市場へのメッセージとしても、一旦、0.50%から0.25%に利上げ幅を縮小したあとに再び0.50%に拡大すれば、FRBが対処を誤った、コントロールを失ったとの印象を生じかねない。そうした事態は回避するとみられる。
また、パウエル議長は以前、一旦利上げを停止してから再開することは考えていない、と述べた。それを併せて考えれば、0.25%の利上げを今後の会合で連続してどこまで実施するかということになる。
その意味でターミナルレート、政策金利の最終到達水準が何%になるかがポイント。
12月FOMC会合で示されたFF金利のメンバー予測中心値は5.1%だった。誘導水準を5.00%~5.25%までの利上げで終了。その後様子見という見方が大勢だった。
これに対し、先週、FRBのウォラー理事は、ターミナルレートを5.1%から5.4%に引き上げることを支持、と述べた。また週末に公表されたFRBの金融報告では、FOMCはインフレを目標の2%に戻すことに強くコミットしている、十分に景気抑制的なスタンスを実現するため継続的な利上げが適切、と記していた。
来週のパウエル議長による議会証言はこの報告に沿った内容になるとみられる。
総じてみれば、あと0.25%の利上げを3回。5.50%まで利上げを実施するというところがコンセンサスとなるのではないか。
そうなると、現状の市場の利上げ予想、5.75%までの織り込みはやや行き過ぎとなり、下方修正される可能性がある。
一方、その後の利下げはなかなか見通しにくい。
FRB、パウエル議長は、かねてより、インフレ抑制に時間がかかる、その道のりはでこぼこで一筋縄ではいかない、との見方を示していた。
足元の状況はその通り。総じてみれば、利上げの回数を増加する、ターミナルレートを引き上げる、というよりも、引き上げた金利水準、ターミナルレートをどれほど維持するか、という議論になりそうだ。
その長期化が2年債利回りや10年債利回りの押し上げにつながっている。2年債利回りは4.9%に達しており、高金利長期化を織り込んでいる。ターミナルレートの引き上げがなければ追加的な上昇の可能性は低そうだ。
利上げ強化、高金利長期化となれば景気抑制が一段と強まる。
ソフトランディングが難しくなりハードランディングの可能性が高まる。
足元で中国景気回復期待がインフレ見通しを強め、結果として利上げが長期化するとの見方も強めている。一方で中国需要に支えられて米国経済のハードランディングが避けられるかは不透明だ。
中国景気が堅調だとしても、その好影響が米国経済に及ぶかは不明。米国内経済は金融引き締めの影響を色濃く反映する可能性がある。
為替市場においては、足元で強まるドル金利先高感、高止まり感、によってドルが底固い値動きを続けそうだ。ただドル金利先高感は概ね為替市場には織り込まれたとみられる。
現時点でドル円相場のリスクは上下双方に均衡。リスク選好が維持されボラティリティが安定、金利差に基づくキャリートレードの積み上がりなどが支えればじり高はありうる。
一方、FOMCで市場のドル金利先高を織り込み過ぎが修正された場合、あるいはハードランディング懸念で金融市場混乱が生じた場合にはダウンサイド。
ドル安円高の流れが再度明確になるタイミングは当初予想よりも後ろ倒し。年央以降、5月に利上げが打ち止めとなったことが6月会合で明確になることが、その必要条件となりそうだ。
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