米中交渉楽観続き総じて堅調
- MRA商品市場レポート for PRO
2019年2月19日 第1485号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「米中交渉楽観続き総じて堅調」
昨日の商品市場は米国主要市場が休場で動意薄い中、引き続き米中貿易交渉の進捗を期待した買いが入り堅調な推移となった。
昨日最も上昇したのは中国株で、先週発表された与信関連統計が市場予想を上回った事や、上述の米中交渉の進捗期待が株価を押し上げている。
現在市場は米中交渉の進捗を期待して堅調に推移している。「米中とも景気が減速しており、どうしても両国とも何かしらの妥協をしたい」というのが、市場の大方の見方である。
同時に米中の根源的な対立は解消することはなく、今回貿易面で何らかの合意があったとしても先々また別の問題が噴出するというのもコンセンサスだろう。
しかし、
また、
引き続き、「その影響が大きいため何らかの合意に至る」というのがコンセンサスではあるものの、やはりこちらも米中貿易交渉と同様、ハードBrexitの選択肢を排除すべきではないだろう。
本日は独ZEW景況感指数などの発表があるが、
◆昨日の商品市場(個別)の総括
---≪エネルギー≫---
原油価格は高値圏での推移となった。米国主要市場が休場の中動意薄かったが、足元、米中貿易交渉の進捗期待がリスク資産価格を大きく押し上げているが、同時に景気の先行きへの懸念も根強く、結果的にチャートを意識したテクニカルな取引が値動きを主導する状態が続いている。
原油価格はしばらくレンジワークになると考える。
昨年の商品価格の下落要因の主因の1つであるFRBの利上げ・
ただし、1月発表のIMFの2019年の経済見通しは+3.5%
米中貿易交渉は次官級協議が行われているが、
また、Brexitもどのような形になるかわからない。
北米の増産がQ119も緩やかに増加すると予想されること、
短期的には投機筋動向が価格に影響を与えやすいが、
米国のデータは1ヵ月前のデータであり正直参考にならない。
中長期的には中国の人口ボーナス期が2030年頃まで続く事、
なお、EVが普及して原油需要は2035年~
また、EV化が進むにつれて同時に発生する、
実際に減少に転じるのは世界的に人口伸びの鈍化が実感される頃(2050年頃)になるのではないか。
この見通しの上昇リスクを現物の需要・供給に分けてみてみると、需要面は原発事故などの突発事象で他のエネルギーを原油で代替せざるを得なくなった時がこれに当たるが、これはなかなか想定し難い。
供給面は、以下のようなものが上昇リスクと考えられる。
1.ベネズエラの内戦ぼっ発
2.中東情勢の悪化
3.上流部門投資低迷の影響
1.のベネズエラ問題は顕在化しつつある。現在、米国が支持するグアイド国会議長が暫定政権の大統領を宣言、国家が二分される可能性が出てきた。
ただし、OPECがたまたま減産を行っており、
2.の中東情勢はより混迷を極めている。年初は、「米国+
OPECもカタールが脱退、反サウジアラビアの姿勢を強め、
通常であれば増産攻勢が強まり、価格の下落要因となりそうだが、軍事的な衝突やサウジ対する制裁やそれに対する報復としての原油輸出停止も、今のところカショギ氏殺害について世界中から非難されていることから鳴りを潜めているが、ムハンマド皇太子が今のポジションにいる以上ない話ではない。
仮に、イランやサウジが軍事的に衝突した場合や、米国のイランに対する制裁が貫徹され、本当にイランが原油輸出できなくなるような場合には、ホルムズ海峡封鎖の可能性が高まるため、原油価格が100ドルを超えても何ら不思議はない。ただ、
金融面・政策面では、以下の要因が上昇リスクとなる。
1.米金融規制緩和
2.米景気拡大ペースの鈍化に伴う利上げペースの減速
3.2.
4.米中貿易戦争が終結する場合
1.は中間選挙で民主党が下院を押さえたため、その可能性はほぼゼロになった。
2.は1月のFOMCでFRBはハト派的なスタンス(
4.は短期的に貿易分野で米中が合意することはあるかもしれないが、長期的な覇権を競う争いであるためそう簡単に終息するとは思えない。
下落リスクは需要面は何かしらの信用リスクが顕在化することが材料となる。
1.中国の金融市場・住宅市場正常化推進加速
2.米国の中国制裁強化による中国の財政状況悪化ないしは地方政府のデフォルト
3.地政学的リスク(特に需要面では欧州の混乱)の顕在化
4.北朝鮮戦争の開戦や中東情勢悪化を受けたリスク回避の動きの強まり
5.株価の調整
6.トランプ政権の保護主義政策推進
7.新興国の財政状況悪化ないしはデフォルト
1.の中国の金融市場・住宅市場正常化は不採算の国家プロジェクトを見直すなど緩やかに調整が起きているが、足元は米国の制裁強化の影響でむしろこちらにブレーキを踏む動きになっている。
2.は構造的な中国の経済成長減速に、米国の制裁強化が重なっているためデフォルトまでは行かなくとも地方政府の財政状況が悪化し、地域経済に影響を与える可能性は低くなくなっている。
3.は既に顕在化しつつあるが、欧州で与党が野党に敗れ、極右・極左が台頭することや、
中東についてはイランと米国の対立、イランとサウジの対立継続がリスク要因だ。イスラエルでの大使館移転の動きの拡大が、中東諸国を刺激し、イスラエルとアラブ諸国の対立が深まるリスクも無視できない。
5.は既に顕在化した。
6.は同盟国に対しては事前の期待通り常識的な落としどころを探る動きになりつつある。しかし大統領選挙まで「戦う大統領」のポーズを示しておかなければならないため、何かしらの果実を得るまで関税問題は解決しない。
7.
仮にデフォルトしたり、内戦で政権が倒れた場合、ベネズエラの次期大統領がこの契約は無効として、
この場合、中国国家開発銀行や中国輸出入銀行の負担となり、最終的には中国政府の負担となる。崩壊の危機に直面しているベネズエラであるが、これ以外の国もデフォルトする可能性はあるため、氷山の一角ともいえる。今のところベネズエラ問題のみで中国が崩壊するとみる向きは少ないが、そのリスクは無視できない。
供給面は、以下の要因が主な下落リスクシナリオだ。
1.北米の増産加速
2.OPECの結束の揺らぎ
1.は米国のパイプラインのキャパシティ問題もあり、増産ペースは鈍化している。原油価格が採算ラインに乗ってから増産が始まるまでの時間差や新しいパイプラインの稼働時期を考えると、今年から再び増産ペースが加速すると予想される。
2.は、12月のOPEC総会の結果を見てもわかるように、
ムハンマド皇太子の強硬姿勢に嫌気が指し、財政状況も厳しくなったカタールがOPEC脱退を決定するなど、
石炭価格はじりじりと水準を切り下げる展開となっている。北朝鮮への制裁強化や中国の環境を意識した減産の影響で需給がタイト化し、価格水準が大きく切り上がったが、現在の供給環境を所与のものとしたとき、価格動向を左右するのはやはり景況感、すなわち需要動向である。
最大消費国である中国の景況感は悪化しており、
なお、米国と北朝鮮の交渉が進捗し、制裁が緩和された場合にはさらに価格は下押しされることになると予想される。しかし、北朝鮮が核開発を継続している可能性が高い中、制裁緩和の可能性は高くない。
それよりは、米中貿易戦争の激化で中国が米国に従わない、親北傾向を強める韓国が非合法に北朝鮮に対する制裁を緩和する、という展開はあり得るだろう。2019年のびっくり予想ではないが、
ただし、環境規制強化の世界的な流れを受けて、上流部門投資が抑制される見通しであることに伴う供給制限から下値余地も限定されると考える。この場合、石炭先物の期先の価格が目安として参考になるが、85ドル程度が下値の目途になるのではないか。
なお、1月の中国の貿易統計が発表されたが、
この間、発電向けの石炭輸入が認められていたが、1月からこの規制が撤廃されたことによるもの。また、中国最大の発電所も在庫の再備蓄を開始しており、今後、中国の輸入は回復が予想される。
但し、1月の輸入増加時でも石炭価格は下落しており、やはり供給面というよりは景況感(=需要)動向の方が価格に与える影響の方が大きいといえる。
---≪LME非鉄金属≫---
LME非鉄金属価格は高安まちまちとなった。足元、
非鉄金属価格はレンジワークを継続すると考える。
昨年のインフレ系リスク資産価格の下落要因であった、米国の断続的な利上げ、
なお、昨年後半にかけての下落で水準が切り下がったが、実質金利の低下を受けて年初から価格が上昇、チャート上のテクニカルポイントを上抜けしたため、コアレンジが上に切り上がっている。
ただし、1月発表のIMFの2019年の経済見通しは+3.5%
しかし今後、需要をけん引していくと考えるインドの成長見通しはIMF見通しで引き上げられ(+7.4%→+7.5%)、
非鉄金属需要の伸びは足元減速しているが、
米中貿易交渉は次官級協議が行われているが、
また、Brexitもどのような形になるかわからない。
なお、年後半にかけて米国の減税効果が剥落することから上値も重く、
米国の制裁の影響は顕在化しつつある。1-
さらに中国の1-12月期の固定資産投資は前年比+5.9%
工業生産も年間累計では前年比+6.2%(+6.3%)、
構造的な成長ペースの鈍化に、循環的な減速、米中貿易戦争の影響が顕在化し始めているとみられる。
日本の歴史を見てもわかるように、人口動態のピークアウトは住宅セクターの鎮静化につながりやすく、今後はこれまで作ってきたバブルをいかに混乱なく潰せるかどうかである。
この状況に関して習近平国家主席は「急激かつ深刻な危機に直面している」と発言、中国が置かれている状況が外から見ているよりも深刻である可能性が高いこと、同時に中国政府は国内景気維持のために、経済対策を行わざるを得ない状況にあることを示している。
短期的には投機筋の動向が重要になるが、
投機筋のLME+
買い越し枚数はトン数換算ベースで3,341千トン(3,
中長期的な見通しは人口動態が重要になるが、中国の人口ボーナス期は2030年頃まで続く事、
また主に中国の環境規制強化に伴うスクラップの自由度の低下や、世界的な脱炭素の流れは逆に抗うつ資源需要を高めるとみられることも価格を押し上げよう。
一帯一路構想は「中国の周辺国の実効支配」を目的とするものであることは明確であり、このまま世界中がすんなりこれを受け入れるかは微妙だ。実際パキスタン、ネパール、ミャンマーの水力発電プロジェクトが相次いでキャンセルになっている。マレーシアの鉄道案件も先送りとなった。
また、2018年の軍事費も前年比+8.1%の1兆1,
恐らく、市場が期待していたほどのペースで一帯一路政策が進行することはないだろう。そんな中、
中国の資金繰りが悪化している可能性は高く、中国は日本の支援を欲しがっている、とも考えられる。軍事衝突を回避しつつ、中国をたたく戦略を採用している米国がこれを看過するかは疑問である。
この見通しの上昇リスクは需要面では、
1.中国の景気刺激策の実施
2.環境規制の強化で特殊需要が増加する(軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル・銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、
3.トランプ政権のインフラ投資計画実施
4.米中貿易戦争が終結する場合
などが考えられる。
1.は米国の経済制裁を受けて、構造的な景気の軟着陸を目指すには内需刺激しかなくなっており、預金準備率の引き下げや、住宅セクターの再度の過熱を容認する可能性は排除できなくなっている。
ただ、既に預金準備率の引き下げは実施されているが地方政府財政も逼迫していることから支出の拡大となる公共投資の規模拡大は限定されると予想される。
2.の環境規制強化の流れの中でのEVブームは、
3.はそもそも大きな政府を目指している民主党の理解が得られやすいため、メキシコとの壁は作らないと思うが一部実施される可能性は高まった。
4.は短期的に貿易分野で米中が合意することはあるかもしれないが、長期的な覇権を競う争いであるためそう簡単に終息するとは思えない。
供給面は個別性が強いが、
1.大規模鉱山の減少に伴う安価な資源確保環境の悪化(コストを掛ければ採掘できる。リサイクルの充実は必須)
2.中国の環境規制強化に伴う減産の継続
3.石炭価格上昇による生産コスト(電力コスト)の高止まり
4.銅に関してGrasberg鉱山の減産
5.ヴァーレの尾鉱ダム事故による環境規制強化に伴う減産
4.
これに伴い生産量は大幅に減少する見込みで2018年の54万4
2018年の世界の生産上位10社の増産は+6.8%
Cobre Panamaプロジェクトの増産で15万トン程度が見込まれてい
5.は今後のブラジル政府の対応によるが、汚染物質の流出や人が多数死亡していることを考えると、鉱山の種類・企業に関係なく金属生産に影響が及ぶ可能性がある。
金融面・政策面では、以下が主な上昇リスク要因だ。
1.米金融規制緩和
2.米景気拡大ペースの鈍化に伴う利上げペースの減速
3.2.
1.は中間選挙で民主党が下院を押さえたため、その可能性はほぼゼロになった。
2.は1月のFOMCでFRBはハト派的なスタンス(
下落リスクは多く、以下があげられるが主に信用リスクの拡大が要因の軸となる。
1.中国の金融市場・住宅市場正常化推進加速
2.地政学的リスク(特に需要面では欧州の混乱)の顕在化
3.株価の調整
4.米輸入規制強化並びにそれに対する報復
5.ベネズエラをはじめとする新興国のデフォルト
1.の中国の金融市場・住宅市場正常化は不採算の国家プロジェクトを見直すなど緩やかに調整が起きているが、足元は米国の制裁強化の影響でむしろこちらにブレーキを踏む動きになっている。
2.は既に顕在化しつつあるが、欧州で与党が野党に敗れ、極右・極左が台頭することや、
中東についてはイランと米国の対立、イランとサウジの対立継続がリスク要因だ。イスラエルでの大使館移転の動きの拡大が、中東諸国を刺激し、イスラエルとアラブ諸国の対立が深まるリスクも無視できない。
3.は既に顕在化した。
ただし足元は売り一巡でむしろ株価には上昇圧力が掛かっており、逆に買い材料に転じている。
4.は同盟国に対しては事前の期待通り常識的な落としどころを探る動きになりつつある。しかし大統領選挙まで「戦う大統領」のポーズを示しておかなければならないため、何かしらの果実を得るまで関税問題は解決しないだろう。
5.
仮にデフォルトしたり、政権が倒れた場合、ベネズエラの次期大統領がこの契約は無効として、
この場合、中国国家開発銀行や中国輸出入銀行の負担となり、最終的には中国政府の負担となる。崩壊の危機に直面しているベネズエラであるが、これ以外の国もデフォルトする可能性はあるため、氷山の一角ともいえる。今のところベネズエラ問題のみで中国が崩壊するとみる向きは少ないが、そのリスクは無視できない。
---≪鉄鋼原料≫---
中国向け海上輸送鉄鉱石スワップ価格は小幅上昇、原料炭スワップ先物は価格提示なし、中国鉄鋼製品価格は上昇した。
鉄鋼製品先物価格は上昇したが、現物市場では価格はほぼ前日と変わらなかった。
鉄鉱石価格は高値圏での推移になると考える。ヴァーレの尾鉱ダム決壊の供給への懸念が意識されることが価格を押し上げる一方、米中協議の先行きが不透明で、中国国内の景気先行き不透明感が強いことが価格を押し下げるため。
ヴァーレの尾鉱ダム決壊の影響を正確に予想することは難しいが、少なくともヴァーレが保有する17の尾鉱ダムには監査が入り、
既に追加で1つ、ブツクツ鉱山の尾鉱ダムの運転免許が取り消されている。結果、ブラジルで採掘の許可を得るは今までよりも困難になり、供給を抑制することが予想される。
主要生産地である唐山市の直近の鉄鋼生産者稼働率は75.8%
需要に関しては、IMFやEUの景気見通しが参考になる。
しかし今後、需要をけん引していくと考えるインドの成長見通しはIMF見通しで引き上げられ(+7.4%→+7.5%)、
とはいえ、足元の景気減速が顕著であるため、中国人民銀行は預金準備率引き下げ、
直近で発表された中国鉄鋼業PMIは51.5(前月45.6)
しかし、鉄鉱石の輸入量は過去5年平均をやや上回る程度。先日発表された中国鉄鋼業PMI指数の原材料在庫指数は55.7(
中期的には、鉄鋼製品生産の減速で鉄鋼向け鉄鉱石需要の減速が予想されることが、価格の上値を押さえると考えられる。
鉄鋼製品在庫は前週比+190.8万トンの1,613.
ただ、今は季節的に在庫積み増し時期であるため、旺盛な需要に対応するために在庫を積み増しているともいえるため、在庫の取り崩しが始まる3月以降の鉄鋼製品在庫水準の変化により注目する必要がある。
一方、鉄鉱石在庫は前週比+195万トンの1億4,
しかし、
米中貿易交渉は次官級協議が行われているが、
また、Brexitもどのような形になるかわからない。
米中貿易戦争は長期化がやはり前提であり、中国の構造的な需要の伸び鈍化が継続する見込みであることや、年後半にかけて米国の減税効果が剥落することから、
結局、工業金属の最大消費国である中国への制裁は緩和はすれども継続する見込みであるため、工業金属需要にとってマイナスに作用することは避けえない。
米国の制裁の影響は顕在化しつつある。1-
さらに中国の1-12月期の固定資産投資は前年比+5.9%
工業生産も年間累計では前年比+6.2%(+6.3%)、
構造的な成長ペースの鈍化に、循環的な減速、米中貿易戦争の影響が顕在化し始めているとみられる。
日本の歴史を見てもわかるように、人口動態のピークアウトは住宅セクターの鎮静化につながりやすく、今後はこれまで作ってきたバブルをいかに混乱なく潰せるかどうかである。
この状況に関して習近平国家主席は「急激かつ深刻な危機に直面している」と発言、中国が置かれている状況が外から見ているよりも深刻である可能性が高いこと、同時に中国政府は国内景気維持のために、経済対策を行わざるを得ない状況にあることを示している。
鉄鋼製品需要の伸びは足元減速するとみられるが、長期的には強気である。価格が上昇するのはおそらく次の需要のけん引役となるインドが人口ボーナス期入りする2020年以降になるだろう。
なお、アジア開発銀行は2016年~
一帯一路構想は「中国の周辺国の実効支配」を目的とするものであることは明確であり、このまま世界中がすんなりこれを受け入れるかは微妙だ。実際パキスタン、ネパール、ミャンマーの水力発電プロジェクトが相次いでキャンセルになっている。マレーシアの鉄道案件も先送りとなった。
また、2018年の軍事費も前年比+8.1%の1兆1,
恐らく、市場が期待していたほどのペースで一帯一路政策が進行することはないだろう。そんな中、
中国の資金繰りが悪化している可能性は高く、中国は日本の支援を欲しがっている、とも考えられる。軍事衝突を回避しつつ、中国をたたく戦略を採用している米国がこれを看過するかは疑問である。
上昇リスクについては、以下のようなものが考えられる。
1.中国の景気刺激策の実施
2.一帯一路構想が市場予想を上回るペースで実施される場合
3.米国のインフラ投資計画が実際に実施される場合
1.は米国の経済制裁を受けて、構造的な景気の軟着陸を目指すには内需刺激しかなくなっており、預金準備率の引き下げや、住宅セクターの再度の過熱を容認する可能性は排除できなくなっている。
ただ、既に預金準備率の引き下げは実施されているが地方政府財政も逼迫していることから支出の拡大となる公共投資の規模拡大は限定されると予想される。
2.はそのプロジェクトの質(たち)の悪さから導入を見送る国が増えており、中国自体の資金繰りの問題もあって以前ほど高いリスクではない。
3.は民主党が選挙で下院の過半数を占めたことから実施の可能性が後退した。しかしそもそも民主党は大きい政府を標榜しているため、部分的な財政出動で合意する可能性はある。
下落リスクは信用リスク系のものが多いが以下が主なところだ。
1.中国の住宅バブル崩壊
2.中国のインフラ投資が財政悪化で規模が期待ほどにはならない場合
3.何らかの理由で北朝鮮に対する制裁が解除され、原料炭価格が下落する場合
4.地政学的リスクの顕在化
5.米輸入規制強化並びにそれに対する報復
6.ベネズエラをはじめとする新興国のデフォルト
2.に関しては地方財政が悪化していることは確かなようで、財政状況を悪化させるような財政追加出動よりは金融緩和に舵が切られる可能性が高く、その顕在化の可能性も高まっている。
4.は既に顕在化しつつあるが、欧州で与党が野党に敗れ、極右・極左が台頭することや、
中東についてはイランと米国の対立、イランとサウジの対立継続がリスク要因だ。イスラエルでの大使館移転の動きの拡大が、中東諸国を刺激し、イスラエルとアラブ諸国の対立が深まるリスクも無視できない。
5.は貿易戦争が開戦となったが、一時的に貿易分野で米中が妥協する可能性出てきた。しかし、今回の対立は覇権争いが目的であるためことがあります仮に妥協があってもそれは仮初の妥協と考えておくべきだろう。
6.は比較的現実のものとなるかもしれない。中国はベネズエラに対して622億ドル程度の融資(The Inter-American Dialogue調べ)をしていると考えられ、これは1,
仮にデフォルトしたり、政権が倒れた場合、ベネズエラの次期大統領がこの契約は無効として、
この場合、中国国家開発銀行や中国輸出入銀行の負担となり、最終的には中国政府の負担となる。崩壊の危機に直面しているベネズエラであるが、これ以外の国もデフォルトする可能性はあるため、氷山の一角ともいえる。今のところベネズエラ問題のみで中国が崩壊するとみる向きは少ないが、そのリスクは無視できない。
---≪貴金属≫---
金銀価格は上昇した。米国市場が休場の中で実質金利に着目した売買が手控えられる一方、米中交渉の進捗期待を受けたドル安の進行が金銀価格を押し上げた。
PGMはパラジウムが金銀価格の上昇や景気への楽観から大幅に上
金価格はもみ合うものと考える。
また、
英Brexitはメイ政権の離脱案が否決されたことで先行きが全
結果3月末までに何かの合意をEUとしなければならなくなってい
金価格に対する実質金利の説明力が高いことは繰り返しこのコラムで解説している通りであるが、名目金利の決定要因は景気動向そのものや、株価動向などの影響を受けるが、基本的には中央銀行の金融政策動向が左右している。
(以降の分析の詳細は2019年1月17日付けMRA's Eyeを参照ください)
過去の利上げと金価格の感応度を分析すると、仮に今年の米利上げが1回、2回だった場合各々金価格を▲100ドル、▲
同様に、期待インフレ率に対する原油価格の影響は大きく、仮にWTIが現在の50ドル近辺から40ドル程度まで下落した場合に
以上を整理すると金価格が最も上昇する場合は、「利下げ実施(1回)、中東情勢不安顕在化」
最も下落する場合は、「利上げ2回実施、原油価格下落」で、1,
これに地政学が加わると、最も上昇する場合が、「利下げ実施(1回)、中東情勢不安顕在化、米国債リスク顕在化」であり、1,
逆に、「利上げ2回実施、原油価格下落、イベントリスクの顕在化なし」の場合は985ドルまで下落となる。
1月のFOMCを受け、「利上げなし、原油価格は緩やかな上昇、
銀は、Silver Instituteなどの分析では、鉱山生産が前年比▲2%となる一方、需要面は工業需要が緩やかな増加に止まる一方、世界的な再生可能エネルギーへの移行圧力が強まっていることから、太陽光発電需要が見込まれるため、需給はタイトに推移すると見られている。
しかし、価格決定要因としては、金との相対価格がより説明力が高く、引き続き80前後の金銀レシオを維持しつつ、
今後については金価格が、実質金利の低下を背景に堅調に推移すると考えられることから、同様に高い水準を維持すると考える。
足元、
銀価格は金銀在庫レシオの高止まりを受け、中期的には76倍~
最も上昇する場合は金価格が1,
しかし実際には金1,300ドル、金銀レシオ80倍程度で16.
短期的な価格動向を占う上で参考になる投機筋の売買動向は、1月22日時点で金のロングが▲15,286枚の186,
統計の発表が再開されたが、1ヵ月前の統計でありあまり参考にならない。
PGM価格は金銀価格が高値圏を維持するため同様に高値圏を維持
中期的には、世界景気の減速に伴う自動車販売の減速、それに伴う自動車向け排ガス触媒需要の減速が価格を下押しすると考える。
パラジウムはリースレートが10%台前半まで低下しており、
中国の12月の自動車販売(工場出荷数)は前年比▲13.0%
米国の1月の自動車販売は1,660万台(市場予想1,
1月の米消費者信頼感は120.2と前月の126.
ちなみに1月の米コンファレンスボード消費者信頼感指数では、
弊社は需給面の見通しに関しWPICの見通しを参考にしているが
2019年の自動車向けの触媒需要は前年比▲
この結果、地上在庫は312万オンス(2018年 266万5,000オンス))に増加する見込みで、在庫日数も146.8日(128.
なお、南アフリカのPGM生産指数は11月時点で114.7(
1月22日現在、CFTCのプラチナポジションはロングが▲
CFTCデータの発表は再開されたが、
---≪農産品≫---
シカゴ穀物価格はシカゴが休場だった。
穀物価格は再び現状水準でもみ合うものと考える。
しかし、2018-
12月の米需給報告では、トウモロコシの在庫見通しが17億8,
CONABの見通しでは大豆生産が1億1,153万4,
1月22日付のCFTC投機筋ポジションは、
なお、CFTCデータの発表が再開されたが、
◆本日のMRA's Eye
「Brent/WTIスプレッドは拡大へ」
多くの商品がレンジワークとなっているが、世界のマーカー原油であるWTIとBrentの値動きに差異が出始めている。
Brentがバックワーデーションになっているのは、
WTIの期近の価格動向を占う上で重要なクッシング在庫は、
弊社は米国のガソリンを含む輸送燃料需要動向を占う上で、「米自動車総走行距離」
マイナスになっているわけではないので、輸送量の増加は継続しているものの、想定しているよりも強くはないということだ。
こうした動きを受けてオプション市場でも少し動きがでてきた。
今のところOPECの減産でBrentやDubaiは強含み推移
なお、
◆主要ニュース
・12月日本機械受注総額 前月比 ▲18.6%の2兆3,207億円(前月+8.3%の2兆8,506億円)、前年比▲1.6%(+
船舶電力を除く民需 前月比▲0.1%の8,626億円(±0.0%の8,631億円)、前年比▲3.0%(▲7.9%
◆エネルギー・メタル関連ニュース
【エネルギー】
・特になし。
【メタル】
・インド最高裁、Vedantaに対して銅精錬所の再開認めず。
◆主要商品騰落率
【上昇率上位5商品】
商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.中国CSI300 ( 株式 )/ +3.21%/ +14.45%
2.TCM天然ゴム ( その他農産品 )/ +2.39%/ +7.09%
3.TCM灯油 ( エネルギー )/ +2.05%/ +10.99%
4.日経平均 ( 株式 )/ +1.82%/ +6.33%
5.パラジウム ( 貴金属 )/ +1.67%/ +15.52%
【下落率上位5商品】
商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
68.TGE大豆 ( 穀物 )/ ▲11.45%/ ▲2.00%
67.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ ▲3.90%/ ▲25.04%
66.LME鉛 3M ( ベースメタル )/ ▲2.26%/ +0.97%
65.欧州排出権 ( 排出権 )/ ▲2.02%/ ▲19.53%
64.SHF 金 ( 貴金属 )/ ▲1.95%/ +0.80%
※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。
◆主要指標
【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :休場( - )
S&P500 :休場( - )
日経平均株価 :21,281.85(+381.22)
ドル円 :110.59(+0.12)
ユーロ円 :125.12(+0.33)
米10年債利回り :2.66(±0.0)
独10年債利回り :0.11(+0.01)
日10年債利回り :▲0.02(▲0.00)
中国10年債利回り :3.11(+0.03)
ビットコイン :3,872.57(+307.78)
【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :19.65(+0)
エネルギー :29.59(▲0.23)
ベースメタル :16.57(+0.27)
貴金属 :15.38(▲0.1)
穀物 :13.20(±0)
その他農畜産品 :20.69(+0.02)
【主要商品ボラティリティ】
WTI :27.25(▲2.04)
Brent :23.10(▲0.01)
米天然ガス :50.23(+0.85)
米ガソリン :39.12(▲0.15)
ICEガスオイル :21.60(▲0.03)
LME銅 :12.89(▲0.37)
LMEアルミニウム :17.09(▲0.03)
金 :11.52(±0)
プラチナ :16.45(+0.01)
トウモロコシ :11.45(±0)
大豆 :11.52(±0)
【エネルギー】
WTI :56.06(+0.47)
Brent :66.49(+0.24)
Oman :66.93(+0.20)
米ガソリン :156.95(▲0.34)
米灯油 :202.10(+0.07)
ICEガスオイル :617.00(+1.50)
米天然ガス :2.63(+0.01)
英天然ガス :45.78(▲1.86)
【石油製品(直近限月のスワップ)】
Brent :66.49(+0.24)
SPO380cst :420.33(▲2.39)
SPOケロシン :80.48(▲0.19)
SPOガスオイル :80.60(▲0.22)
ICE ガスオイル :82.82(+0.20)
NYMEX灯油 :201.82(+0.01)
【貴金属】
金 :1326.89(+4.40)
銀 :15.81(+0.02)
プラチナ :806.47(▲1.33)
パラジウム :1457.55(+23.96)
※ニューヨーククローズ。
【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :6,240(+57:29.5B)
亜鉛 :2,629(▲10:3B)
鉛 :2,043(▲30:14C)
アルミニウム :1,854(▲9:31.5C)
ニッケル :12,415(+215:65C)
錫 :21,175(+155:100B)
コバルト :31,000(±0.0)
(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :6261.00(+37.00)
亜鉛 :2643.50(▲20.50)
鉛 :2030.00(▲47.00)
アルミニウム :1854.00(▲1.50)
ニッケル :12465.00(+50.00)
錫 :21155.00(+50.00)
バルチック海運指数 :639.00(+11.00)
※C=Cash2M コンタンゴ、B=Cash2M バック
【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR青島) :休場( - )
SGX鉄鉱石 :88.41(+0.30)
NYMEX鉄鉱石 :休場( - )
NYMEX原料炭スワップ先物 :休場( - )
上海鉄筋直近限月 :3,767(+46)
上海鉄筋中心限月 :3,645(+10)
米鉄スクラップ :休場( - )
【農産物】
大豆 :休場( - )
シカゴ大豆ミール :休場( - )
シカゴ大豆油 :休場( - )
マレーシア パーム油 :2206.00(+6.00)
シカゴ とうもろこし :休場( - )
シカゴ小麦 :休場( - )
シンガポールゴム :162.00(+2.30)
上海ゴム :11550.00(▲70.00)
砂糖 :休場( - )
アラビカ :休場( - )
ロブスタ :1529.00(±0.0)
綿花 :休場( - )
【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :休場( - )
シカゴ生牛 :休場( - )
シカゴ飼育牛 :休場( - )
※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。