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強気の米統計で総じて軟調
  • MRA商品市場レポート

2022年12月6日 第2341号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「強気の米統計で総じて軟調」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品価格は中国関連の工業金属価格が上昇したが、その他は総じて軟調な推移となった。米国のサービス業PMIの改定値が小幅に改善、ISM非製造業指数が大幅な改善となったことで、雇用市場のタイト化継続を材料とした金融引き締め長期化観測が台頭したことが材料。

昨日発表された米ISM非製造業指数は市場予想の53.5、前月の54.4を大きく上回る56.5となり、米国の景況感はまだ悪化していないことが確認された。通常55を上回っていれば、かなり好況と言える。

内訳を見ると、新規受注は輸出向け新規受注が38.4(前月47.7)と海外景気の悪化を反映した形となったが、新規受注は56.0(56.5)と国内向けの需要が旺盛であることを示唆。

一方で雇用は51.5(49.1)と上昇しており、サービス業の雇用環境が引き続きタイトであることが確認された。コロナ以降、労働参加率が上昇していない(年齢的に離職した人も多い)ことが背景にあると考えられる。

これにより、賃金インフレ圧力は残存し、金融引き締めは継続することになるだろう。

ただし、FedWatchでは、12月の50bp利上げの可能性は77.0%(前日78.2%)と高い水準を維持しているが、来年6月頃がピークとみられる政策金利は、一昨日は4.75-5.00%の確率が38.0%と最も高かったが、直近は5.00-5.25%の確率が37.7%と最も高くなった。

利上げは幅が縮小しても、パウエル議長のいう通り長期化する可能性があり、その場合はリスク資産価格の下押し圧力となろう。

【本日の見通し】

本日は目立った大きなイベントや統計の発表がなく、昨日の下落を受けていったん買い戻しが入る商品が目立つと考えるが、米国の金融引き締めが改めて意識されていることから、結果、軟調な推移になると考える。

予定されているイベントで注目は米ジョージア州の上院選決戦投票。世論調査では民主党優位、とされているがこの類いの予想はほとんど当たった試しがない。

ただ、ハーシェル・ウォーカー氏はトランプ大統領の影響が大きく、かつ、今回の選挙に少なからず影響した妊娠中絶の問題で同氏にはマイナスに作用すると見られる(ウォーカー氏は中絶反対や家族の価値を選挙戦で主張していたが、過去に交際していた女性に中絶費用を支払った、というスキャンダルが報じられたため)。

この場合、民主党がハリス副大統領の1票を投じなくても過半数以上を確保できることになるため、バイデン政権が「内向きの調整」に掛ける労力を多少削減できるため、政権の安定運営には大きなプラスとなる。

【昨日のトピックス】

これまで厳しく管理されてきた中国のゼロコロナ政策だが、全土に広がる反政府デモを沈静化させなければ、反政府活動が活性化する可能性があるため、想定されていたよりも早いタイミングで修正される可能性が高まっている。

この数日、中国政府は複数の都市でコロナ規制を緩和し始めた。雲南省では4日からPCR検査の結果を提示せずとも公共交通機関を利用できるようになり、広西壮族自治区ではホテルと観光地を除いて、公共の場所に入るために検査義務を撤廃した。

黒竜江省では公共の場所を訪れる際の検査結果は不要隣、北京や深セン、広州なども部分的に規制を緩和している。

これらを市場は前向に解釈しているようだが、若干の緩和でありゼロコロナ政策は継続している。日本は中国と並んでコロナ政策の緩和が行われていない国、とされているが、中国の様に公共交通機関や公共施設の出入りにPCR検査は不要である。

ただ、中国政府が経済的・社会的コストの増加を最小限に食い止めなければ共産党政権の基盤が弱体化する、と判断しており、共産党維持のために現実路線に舵を切り始めていることは事実だろう。

ただ、繰り返すがゼロコロナ政策は継続している。今、欧米の様に完全に解除すれば今度は医療崩壊などが起きかねないため、それに対する準備の期間を考えるとやはり現実的には来年の全人代以降に解除、となるのがメインシナリオである。

【昨日のセクター別動向と本日の見通し】

◆原油

原油価格は下落した。取引序盤はEUのロシア原油に対する価格上限設定案が供給に障害をもたらす、というよりは今回の制裁が実質的にロシア産原油の供給を(特に新興国や中立の第三国向けに)担保するような内容だったことで、これを先取りして下落していたことの材料出尽くしで上昇していた。

しかし、米サービス業PMIの改定値が上方修正されたあたりからドル高が進行、その後のISM非製造業指数が良好な内容だったこともあり、下げ幅を拡大した。

ロシアは自国でタンカーを調達、恐らく国家財政を用いて船舶保険を掛けることを検討しているとみられ、ロシア→新興国・第三国向けの輸出は確保されると考えられる。また、上限価格以下では従来の欧米からの付保も可能だ。

ただし上限設定により新興国・第三国からも値切られる可能性は高く、ロシアも望む価格での販売は困難で、財政上は負担が重くなる。

ロシアはこの上限価格設定プログラム参加メンバーに対しては原油を販売しない、としているが恐らくしばらくの間は売り手・買い手双方の都合でそうはならないだろう。また、ロシアのDruzuhbaパイプライン(150万バレル/日)は稼働している。

弊社の直近の試算では2023年の原油平均価格は、Brentで88.19ドル、WTIで80.08ドル程度だが。仮にロシア産原油の市場からの退場リスク・プレミアムが剥落した場合、この平均価格はBrentで77.41ドル、WTIは72.21程度まで低下する余地が生まれることになる。

実際の着地の水準はこの2つの見通し(ロシア原油退場・非退場)の中間程度に落着くことになるだろう。

今後の比較的短期的な見通しは以下の通り。

中国が極左の政権になったことから台湾有事のリスクは高まり、中東から日本への航路も旅程が長くなり、コスト増となってFOBとCIFの乖離を拡大する可能性が出てくるため(JCCとドバイ・オマーン、Brentなどとの乖離幅拡大)、今後の中国・台湾情勢はより注意が必要であり、ビジネスリスク・市場リスクを回避する意味で、米国などの同盟国からの調達を増加させる必要が出てくると考えられる。

<シナリオ別原油価格見通し>

1.戦闘状態が継続し、欧州をはじめとする西側諸国がロシア原油を段階的に禁輸とし、それが実行される(ないしはOPECプラスの減産)Brent 85-105ドル

2.1.の状態で産油国(非OPECプラス)が増産するBrent 80-100ドル

3.戦闘状態が継続するがロシアからの原油・石油製品供給が減少しないBrent 75-95ドル

4.3.の状態で産油国(非OPECプラス)が増産するBrent 70-90ドル

5.ロシアがウクライナから撤退上記見通しが各々▲5ドル程度低下

(ここから先は比較的中・長期のシナリオ)

6. 脱ロシア完了(西側諸国+OPECで完全にロシア産原油代替可能の場合)Brent 60-90ドル

7. 東西冷戦構造が構築されなかった場合(前回オイルショック時と同様に化石燃料の生産が増えて顕著な供給過剰となる場合)Brent 40-60ドル

※上記価格レンジは市場動向を反映して、逐次微修正している。

中期的な視点では、基本的には下りのエスカレーターに乗る中で、供給面の材料が価格を高止まりさせる見込み。

より長期となる2024年以降は、現在のインフレ抑制がどの程度進むか、脱ロシアがどのような形で収束するか、に依拠するためまだなんともいえないところ。

しかし、脱ロシアを継続する一方で、COP27で確認されたように脱炭素も継続、する見通しであるため当面供給面の制限は続き、原油価格は高止まりする可能性が高いと考える。

足下の脱炭素のための化石燃料採掘制限は、「今を生きる人々」の生活にマイナスに作用していると言わざるを得ない。100年後よりも今である。

Q422 需要の伸び減速・供給制限継続・金融引締め継続(↓)  想定よりも早くリセッション入りした場合(↓↓) Q123~Q123 需要の伸び減速・供給不足期 (→)      グローバル・リセッションの場合 (↓)Q323~Q423 需要減速底入れ・供給回復期 (↑)2024年以降 需要回復・脱ロシア進捗(非OPECプラスの増産) (↑)

※矢印の向きは価格の方向性。

本日は、再び米国の利上げの可能性が意識されていること、価格上限設定、OPECプラスなどのイベントをこなし、軟調な推移になると予想する。

◆天然ガス・LNG

欧州天然ガス先物価格は小幅に続落。在庫の積み上がりや気温がやや落着いていることが材料となっている。

欧州はガス問題に取り組むため、▲15%の需要削減を目指しているが、これは日割り換算すれば、12ヵ月中、2ヵ月分のガスの使用を削減することを意味し、週間ベースでは丸一日、ガスを使わない日を作るのと同じである。これは簡単なことではない。

省エネ技術の積極的な導入がなければ、この需要削減は難しいだろう(省エネで進んだ技術を持つ日本にとってはチャンス、なのだが活かし切れていない)。

省エネを進めるにせよ時間が掛るため、結局の所当面は「寒さを我慢する」しかない。そのためやはり年明け以降の需給は厳しくなるというのがメインシナリオだ。

ロシアに対する制裁はガスよりも原油の方が金額的にも影響が大きいが、10月はガスプロムが価格高騰を背景に4,160億ルーブルの納税をしたと報じられており、ロシア政府の財政状況はエネルギー価格の高騰の恩恵を受けている。

なお、4月以降はラニーニャ現象収束が期待され、景気の減速から一旦ガス価格は水準を切下げると予想され、足下のガス調達への懸念は後退しているといえる。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

欧州最大のガス消費国であるドイツはLNGのターミナルを持たないため、少なくともあと数年は以下の対応が必要になる。

1.域内供給の増加2.その他の熱源の利用(風力、太陽光、石炭、原発)3.需要の削減4.浮体式ターミナルの活用

また、ガス供給の不足が原料としてのガス供給不足につながり、化学製品の供給途絶を通じて世界のサプライチェーンに影響を及ぼすリスクは小さくない。

欧州の天然ガス・LNGのスポット価格変動要因を整理すると概ね以下に集約される。

1.脱ロシアの継続(スポットカーゴ価格の上昇要因)2.LNGターミナル・ガス田の不慮の停止3.西側消費国に対するロシアの嫌がらせ(価格の上昇要因)4.景気減速(価格下落要因)5.季節要因・気象状況(今のところ需要増加で価格上昇要因)

「脱ロシアの供給ソースの完全確保」が出来るまではスポット価格は高い水準を維持、脱ロシア完了後は下落、というのがメインシナリオとなる。今のところ脱ロシア達成には5年程度かかると考えている。

現在、2.に関して、米Freeport社のLNGターミナル火災による輸出停止リスク、ナイジェリアの洪水によるLNG輸出停止が顕在化している。

Freeportの再開予定は来年以降、ナイジェリアは未定。

3.4.は顕在化している。

5.に関しては、今年の冬一杯、ラニーニャ現象が継続する見通しであり(米NOAAは9-11月が91%、2023年1-3月に54%を予想)しばらく気象状況はガス価格にプラスに作用することが予想される。

LNGのタンカーレートはスエズ以東・以西とも急低下しており、足下のLNG調達需要が低下していることを示唆している。しかし、足下の気温低下で今後、再び上昇する可能性は高いとみている。

11月21-11月27日のLNGトレードは、850万トン(前週820万トン)と増加、スポットLNGカーゴのシェアは17%(20%)と低下。

スポットカーゴは北欧・イタリア向けが減少(▲28万トン)、ただしこれはターム契約に置き換わった形。日中台韓の輸入は▲17万トンの減少。主に中国のロックダウンの影響で追加需要が減少した。ターム契約による調達は増加。

なお、洋上在庫は前週比で▲8%減少しているが、過去5年平均の2倍以上の在庫水準を維持。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

米国天然ガス先物は下落。米東部の気温が例年よりもかなり高くなる、との見通しを受け、需給ひっ迫懸念が後退していることに加え、Freeportの輸出再開にかなりの遅れが出ていることが材料となった。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

JKM先物はほぼパラレルに下落。欧州のガス価格が気温の影響でやや低下したことが材料となった。

10月の中国の天然ガス(パイプラインガス+LNG)輸入は前年比▲18.9%の761万トン(前月▲4.4%の1,015万トン)と前年比での増加幅を急速に減少させた。パイプラインガス、LNGどちらが減少したかはまだ詳細が発表されていないため分からない。

10月のLNG輸入は前年比▲34.6%の403万トン(前月▲12.6%の590万トン)と大幅に減少している。

10月のパイプラインベースの輸入は前年比+11.6%の358万トン(前月+9.7%の425万トン)と輸入の伸びは減速している。

中国国内の天然ガス生産は10月は+12.3%の184億8,000万立方メートル(前月+4.1%の164億1,000万立方メートル)と生産は増加した。

天然ガス輸入量の減少を見ると、1.石炭生産が高水準であり電力向けのガス需要がさほど旺盛ではない、2.中国国内の天然ガス生産の増加、3.中国景気の減速、のいずれかないしは複合要因と考えられるが、1~3全てが該当すると考えられる。

※中国のガス統計は、データソースや単位換算で数値が一致しないことがあります。予めご容赦ください。

サハリン2は、以下の2点が意識すべきリスクとなる。

1.ロシアが契約を一方的に履行しない場合はスポット市場で調達せざるを得ず、その場合は調達コストが3倍~4倍に上昇し、コスト増加は最大で1兆円/年を超える(今のところこのリスクは後退)

2.仮に契約が継続したとしても欧米からのメンテナンスのための部品がなければ、LNGプラントの稼働が困難になり、生産量が自然に減少してしまう

3.ロシア側が日本に対する嫌がらせで販売を渋る(ただし、歳入確保のため、ロシアは積極的にカードを切る可能性は低い)

11月27日時点の日本の発電用LNG在庫は253万トン(前年同月末216万トン、2017~2021年平均243万8,000トン)と増加、過去5年の最高水準であり在庫は潤沢。

ただし日本も欧州と同様で、冬場のフローの確保が重要になる。気温次第で来年の2月頃にガス供給が不足して価格高騰、ということも有り得る。

また、今年の冬を乗り切れたとしても来年の夏以降の調達への懸念が払拭されている訳ではなく、先物の期先の価格は高値を維持しよう。

本日も気温動向に一喜一憂の展開だが、冬が始まっていることもあり高値維持の公算。

欧州は▲15%~▲20%の需要削減ができなければ、来年の春のガス在庫の水準は例年を下回ることが予想され、2023年のガス調達はより厳しい状態になるリスクがある。引き続き、冬場の気温次第。

なお、冬場の調達がある程度目処が立つ3月頃から、景気や気温、ラニーニャ現象終了を織り込んで水準を切下げるとみているが、ロシアからのガスフローが事実上途絶していることを考えると、下値も堅かろう。

※LNGの数量とガスベースの換算レートは、注記がなければBP提示の数値を使用している。 1トン=1,360立方メートル 1BCF=28百万立方メートル 1Gwh=10.55百万立方メートル=1,055万立方メートル 1Mwh=10.55千立方メートル

◆石炭

豪州石炭スワップは続伸。ガスの在庫スペースが減少する中で、冬場の石炭調達需要が増加しているためと考えられる。

逆に、ガスの貯蔵スペースに空きが出れば、ガス在庫積み上げにシフトすると考えられる為、逆説的だがその場合、石炭価格は下落する可能性がある。

基本的に発電燃料の供給環境は厳しく、冬場は高値を維持するというのがメインシナリオであることは変わりない。

ただし、NEWCスワップの出来高の推移を見ると低調で、値が飛びやすい状態が継続しており、気温変化を材料に石炭価格もボラタイルな展開が予想される。

なお、石炭の一大輸出国である豪州は、石炭価格の高騰を受けて国内向けの石炭価格に上限を設定することが議論されている。

インドネシアで合ったように、仮に国内向けの価格に上限が設定された場合、より高く売れる輸出を優先して国際市場需給の緩和に寄与...とういことにはならないだろう。

今後は、ロシアの体制が変わり、より穏健で西側諸国が付き合うに足る国にならない限り、ロシア炭が市場の需給を緩和する方向には働き難いが、足下、景気の減速や北半球の気温が事前予想よりも温暖であることが価格を下押ししている。

しかし、10月の中国の石炭輸入は原料炭・燃料炭合計で前年比+8.3%の2,918万トン(前月+0.5%の3,304万8,000トン)と高水準を維持し、過去5年レンジを上回っており、中国が「徐々に」海上輸送炭市場に復帰しつつある。

国別の輸入内訳がまだ公表されていないため詳細が不明だが、冬場に備えた調達の再開、ないしはロシアを支援するために輸入を増加させていると考えられる。

10月の中国の石炭生産は、前年比+3.6%の3億7,009万トン、1,194万トン/日(前月+15.7%の3億8,672万トン、1,289万トン/日)と減速したが、それでも同じ時期の過去最高水準を上回っている。

海外からの輸入がほぼ不用になる政府目標(1,260万トン/日)を上回っているが輸入が増加しており中国国内の需給がタイト化している可能性が出てきた。

もしくはロシアに対する「応分の協力」で輸入を増加させたため、生産が調整された可能性がある。

現在は中国国内と海上輸送炭市場は分離しているが、中国が経済対策を実行し、冬場のリスク回避姿勢を強めた場合、海上輸送炭市場に影響を及ぼすリスクは無視できないだろう。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

現在、ロシア炭を西側諸国が使うことはできないため、いわゆるコストカーブの「低価格帯」がごっそり抜け落ちた形となっている。そのため、ロシアを抜いた需給バランスが豪州炭価格を押し上げている状況。

期先の価格をみるに、2022年初の限界生産コストは125ドル程度だったが、現在は250~300ドルとなっている。この水準がさらに低下するには需要の減少か鉱山生産の増加が必要条件となる。

しかし、「脱ロシア」を進める中では高カロリー炭の需要は継続する見込みであり、かつ、欧州は石炭活用に舵を切っていること、欧州がこれまで行ってきた脱石炭への強制的な取組みにより、供給能力は制限されていることから、下がっても250~300ドル程度が基準となってしまう。

仮にロシアへの制裁が解除されれば、下落時の価格は現在の期先の価格ではなく125ドル程度になるが、当面それは見込み難い。

異常気象に伴う事故も多く、少なくとも今年の冬のピークシーズンの間は流動性リスクが高い状態が続きそうだ。

本日も、冬本番であり石炭在庫積み上げの動きはまだ続くと考えられ、高値維持の公算。

なお、ロシアとの対立やそれに伴うインフレ発生、その抑制のための金融引締めで欧州はスタグフレーションに陥っており、冬場が終了する3~4月以降はラニーニャ現象の収束と合わせて水準を切下げる公算。

◆非鉄金属

LME非鉄金属価格はまちまち。中国のゼロコロナ政策の見直し期待を背景にニッケルやスズなどには買い戻しが入っているが、金融政策の影響を受けやすい銅やアルミなどの価格は、米国のISM非製造業指数の改善を受けたドル高の影響で水準を切下げる形となった。

中国政府のゼロコロナ政策はこれまでの非常に厳格なものから若干修正された感じはある。しかし、現実問題としてロックダウンは解除されている訳ではなく、こうした方針変更に伴う非実需の年末を控えた買い戻しが入っている(クリスマス前の買い戻しが入っている)と整理する方が自然ではないだろうか。

10月の中国の非鉄金属生産が発表されたが、ほとんどの金属の生産が大幅に増加し、過去5年レンジを上抜けている。ゼロコロナ政策の一部解除(再びロックダウンが始まってる地区があるようだが)、エネルギー供給不足の解消などが影響していると考えられる。

今後、不動産開発業者の支援が進む中では需要の回復が期待されるため、生産も増加が予想される。

なお、長期の構造的な需要増加による価格上昇は、来年後半からと考えており、今回の上昇は11月末のファンド決算を意識した買い戻しと考えられること、米国の金融引き締めが継続する見通しであることから、12月以降は調整圧力が強まるのではないか。

なお、リスクとしてはファイナンシャルな影響で、米利上げ打ち止め直後から価格が上昇する場合だ。恐らく早ければ3月、遅くとも6月のFOMCで利上げは打ち止めになるとみられ、Q223から景気回復を先取りして価格が上昇する可能性はあろう。

10月の中国の貿易統計では、ベンチマークである銅地金・製品輸入は前年比▲1.5%の40万4,414トン(前月+25.6%の50万9,954トン)と過去5年平均を割り込んだ。

一方、銅鉱石の輸入は前年比+3.8%の186万8,751トン(前月+7.7%の227万3,426トン)と過去5年の最高水準で推移している。

10月の中国の精錬銅生産は+11.5%の95万3,000トン(前月+6.9%の94万6,000トン)と過去5年の最高水準を上回っている。

生産と輸入を合計した供給量は前年比+7.3%の135万7,000トン(前月+12.8%の145万6,000トン)と過去5年平均を上回っており需要は堅調だが、前年比増加幅が減速している。

10月の銅スクラップの輸入は前年比▲15.2%の11万2,857トン(前月+24.2%の16万6,988トン)と前月からは前年比の伸びが減速、過去5年平均は下回った状態。

銅地金の輸入の急減速、スクラップ輸入の低迷を見ると中国国内の需要の回復は緩慢と見られる。前月までは回復感が強かったが、やはりゼロコロナ政策堅持の方針が重石となっているようだ。

また、3期習近平政権はイデオロギー重視で経済通がおらず、経済以上に体制維持に力を注ぐと考えられ、台湾問題などの対応を優先する可能性が高いことから、2023年以降の銅需要は落ち込む可能性があり、需要・価格のリスクは下向きだ。

今後の非鉄金属価格動向は、短期・中期・長期で分けて考える必要がある。

短期的に非鉄金属価格が上昇するには、

1.中国の経済活動が回復すること(必要条件)

2.株価が上昇すること

3.期待インフレ率が上昇すること

が必要となるが、現在、1.は中国政府が不動産会社に対する資金繰り支援強化を決定したこと、ゼロコロナの方針微修正がプラスに作用するが、コロナ感染拡大に伴うロックダウンは継続しているため、影響は中立。2023年の中国の経済政策を占う必要があり、12月の中央経済工作会議は重要になる。

2.については、ISM非製造業指数を受けて金融引き締めへの懸念が強まったことからマイナス、3.は原油価格の下落で低下しやすい。1~3を総合すると、下落しやすい地合は続いていると考える。

中期的には景気の循環によって、恐らく来年のQ223~Q323あたりが景況感の底になると考えられ、そのあたりまでは調整圧力が掛かり頭重い推移に。

世界景気が在庫の投資循環サイクル通りに起きることを前提とすると、特段政府が対策を行わなかった場合(自然体の場合)、景気後退入りはQ323からとなるため、Q323~Q423が景気の底になる可能性もあり、この場合はQ124~Q224に回復基調に戻る展開が想定される。

ただし、IMFが経済見通しで指摘しているようにインフレ沈静化に時間が掛れば、長期的に引締め的な金融政策が世界で継続、特に財務体力がなく、同時にインフラ向け投資の潜在需要が大きな新興国の需要を減じると見られるため、この場合は価格の回復はさらにずれ込むことがリスクとして意識される。

また新興国の景気のクラッシュがなくとも、2023年は最大消費国である中国で「財政の崖」が発生するリスクがあるため、いずれにしても2023年の価格のリスクは下向きである。

長期的には脱炭素、脱ロシア、中国・インドの「W人口ボーナス期」入り、東西の緩やかな分裂に伴うサプライチェーン再構築のためのインフラ投資継続、といった材料を考えると、鉱物資源需要は増加して価格には構造的な上昇圧力が掛かると考えるのが妥当だろう。

価格上昇にキャップがかかるとすれば、「脱炭素向け需要の過熱で価格が高騰し、脱炭素シフトができなくなる場合」「資源が足りなくなる場合」が逆説的だが有り得るシナリオ。

本日は、米金融政策ヘの評価が再びややタカ派に傾くことが価格を押し下げるが、中国のゼロコロナ政策方針微修正がまだ材料視されているため、特に金融政策の影響を受けやすい、銅・アルミ、銅価格動向の影響を受けやすい亜鉛も下落、ニッケルやスズは中国のゼロコロナ政策方針微修正を材料に堅調推移を予想。

◆鉄鋼・鉄鋼原料

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは大幅に上昇、大連先物は上昇、豪州原料炭スワップ先物は上昇、大連原料炭価格は下落、上海鉄筋先物は上昇した。

中国政府がゼロコロナ政策の方針を微修正し、規制緩和を進める都市が増加していることが、公共投資を主体とする建設需要の回復に寄与すると判断されたことが材料となった。ペントアップ需要の顕在化と、その中で鉄鋼原料在庫の水準が低いことから、価格は水準を切り上げている。

11月の中国鉄鋼業PMIは総合指数40.1(前月44.3)と悪化した。コロナの影響に伴う経済活動の停止に加え、資金繰り懸念が解消していないことが背景と考えられる。

内訳を見ると新規受注が34.5(43.4)と大幅に減速)、輸出向け新規受注も45.8(47.7)と減速を余儀なくされている。人民元安はあるものの、中国の外も米国を除けば景気が減速している、ということだ。

在庫は完成品が37.4(36.1)、原材料が36.0(37.0)と完成品が増加、原材料が減少している。生産が増加(38.8→39.3)したことで完成品在庫が増加、原材料在庫が取り崩されたようだ。

価格に対する説明力が高い新規受注在庫レシオは完成品が0.92(1.20)と緩和、原材料が0.96(1.04)とこちらも緩和した。需要の減速が影響していると見られる。

鉄鋼製品の主要用途先である住宅セクターの指標である建設業PMIは55.4(58.2)と前月からさらに減速。中国政府が不動産業界向けの資金繰り支援策を打ち出したが、その影響はまだ顕在化していないとみられる。

ゼロコロナ政策は微修正はあるものの継続、不動産業界向け支援策の効果が出るまでは時間がかかると思われることを考えると、鉄鋼市場の需給は緩和した状態が続き、鉄鋼原料価格の頭を重くしよう。

なお、中国政府は不動産業を救済するよりは信用不安の拡大にならないよう、金融機関の支援(資本注入)を優先すると考えられ、リーマン・ショックのような信用不安の連鎖的な拡大リスクは「今のところ」回避できると見ている。

基本は鉄鋼製品価格で説明可能なブレーク・イーブン価格程度までの下落はあろうが、相場がオーバーシュートすることも多いため、その場合、期先の価格が参考になる。足下、鉄鉱石では90~95ドル程度、原料炭は220~230ドル程度となる。

10月の中国の鉄鋼製品の輸入は前年比▲31.7%の77万2,270トン(前月▲29.3%の89万82トン)と低迷が続き、同じ時期の過去5年の最低水準を下回る状態が続いている。そもそも中国国内の粗鋼生産能力が高く、粗鋼生産の回復が輸入を阻害したと考える。

10月の中国粗鋼生産は前年比+11.4%の7,976万トン(前月+17.9%の8,695万トン)と減速し、過去5年平均を下回った。中国政府は2022年の粗鋼生産を2021年実績を上回らないようにする計画。

10月の鉄鋼製品の輸出は前年比+15.2%の518万4,380トン(前月+1.2%の498万トン)と前年ベースでの伸びが回復、過去5年平均を復帰した。人民元安が輸出を加速させているとみられる。

10月の鉄鉱石の輸入は前年比+3.7%の9,500万トン(前月+4.3%の9,971万トン)と前年比でプラスを維持、過去5年平均も維持した。

ロックダウン解除後も経済活動の回復は緩慢だが、人民元安の進行が輸出を促進したとみられる。

週末発表の在庫統計は、鉄鉱石在庫が前週比▲50万トンの1億3,7505万トン(過去5年平均 1億3,847万4,000トン)、在庫日数は31.8日(+0.9日、過去5年平均33.6日)。

鉄鋼製品在庫は+2万1,000トンの935万トン(過去5年平均906万5,000トン)、原料炭在庫は+12万トンの112万トン(171万8,000トン)、在庫日数は+0.5日の4.8日(過去5年平均 7.5日)と少ない。

鉄鉱石、原料炭とも在庫はタイトな状態が続いている。仮に中国がゼロコロナ政策を撤回するならば、調達圧力は高まることになろう。

本日も、中国のゼロコロナ政策の微修正が継続していること、鉄鋼原料・鉄鋼製品在庫の水準が低いことから年末・年始に向けて在庫積増しの動きが強まると予想され水準を切り上げる展開を予想。

◆貴金属

昨日の金価格は下落した。米ISM非製造業指数が市場予想を上回り、米国の利上げは継続する、との見方が再び強まったことが背景。

金の基準価格は▲39ドルの949ドル、リスク・プレミアムは+11ドルの824ドル。

銀は金価格の下落もあり大幅な下落に。金銀レシオは79.5倍。PGMは株価の調整もあり、前日比大幅安で引けた。

金価格は仮に過去5年平均程度にリスク・プレミアムが回帰するとすれば280ドル程度が過去5年平均でありこの水準までの回帰があれば、金価格は1,200~1,300ドル程度までの下落余地があるが、この場合、ETFの管理残高は半分減少することになる。

現在の金基準価格の下落とリスク・プレミアムの上昇は、各国の政策金利の上昇継続観測によるものであるが、リスク・プレミアムは上昇ペースの鈍化でターミナルレートの低下を織り込み、構成要素中のドル安の影響が大きくなっている。

恐らく来年の春頃(初夏)には米国の利上げが打ち止めとなり、実質金利も低下して基準価格は切り上がると予想される。

一方、金融引き締めの打ち止めで信用リスクが低下するため、リスク・プレミアムは低下すると予想されるが、仮にリスク・プレミアムの剥落があっても1,200ドル程度が限界と考えている。

足下、金価格に対して説明力が高いのは期待インフレ率そのものであり、金融政策動向、原油価格動向、QTの動向が影響していることが分かる。

Q422の弊社予想原油価格を元に期待インフレ率・金価格の推定を行うと1,650ドル程度が予想され、金融引締めがあっても下げ余地は比較的限定されることになる(なお、ロシア産原油の禁輸の影響が殆どないとした場合、この予想価格は1,630ドル程度に低下)。

銀価格は、投機的な動きに価格が左右されやすくテクニカル分析が比較的有効に機能する。

景況感を材料に金銀レシオが決まり、金融引締めをして景気を減速させようとしている状況だと、基本的には供給過剰で工業向けの金属である銀は、対金で割安に推移しやすい。

しかし、米国内の太陽光パネル供給・設置は民主党政権下で継続の見込みであり、徐々に金銀レシオには低下圧力が掛る展開が予想される。

本日は、米国の金融引き締め観測が再び意識されていることから、貴金属セクターは軟調な推移を予想。

◆穀物

シカゴ穀物市場は下落した。米ISM非製造業指数を受けて再び米国の利上げ観測が意識され、それに伴うドル高や原油安が価格を押し下げることとなった。

今後は冬場のラニーニャ現象がアラビア半島・北アフリカ周辺に降雨をもたらしており、サバクトビバッタの大量越冬を可能にするため、2023年にかけて穀物供給リスクが来年まで継続する可能性がある。

なお、今のところバッタの大量発生は確認されていない。

本日は、米国の金融引き締めが再び意識されていることから、軟調推移を予想する。

※中長期見通しは、7月・11月にリリースの商品市場為替市場動向見通しをご参照ください(有料)。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【マクロ見通しのリスクシナリオ】

・日本政府の財政規律の欠如による、実質的な日銀による財政ファイナンスにより海外からの信認が低下、円が暴落して先進国市場に混乱をもたらす場合(アジア危機ならぬ、日本危機のリスクだが経常収支黒字の間は顕在化し難いリスク)。

・ロシア暴発による核ミサイル使用、それに伴う東西の全面戦争の勃発(可能性は低いリスク)。

そこに至らないまでも、NATO加盟国に対する攻撃に対して報復の経済制裁、それに対するカウンター報復が発生した場合(景気の下押し要因)。

・資源価格(電力価格を含む)の上昇による市場取引のマージンコール上昇で、マージンコールを差し入れられない市場参加者がポジションを外し、市場が機能しなくなる場合(LMEニッケルで見られたような事態が発生して市場が混乱する場合)。

追い証の負担増加に耐えられず、連鎖的にエネルギー企業の倒産が発生する可能性。

・米国経済が正常化する中で金融引き締めが加速、経済をオーバーキルしてしまった場合(価格下落要因)。

また、米国の金融引締めが新興国経済(特に、中東、北アフリカ、東欧、中南米など)に打撃を与える可能性(既に顕在化か)。

インフレ抑制が上手くいかず、スタグフレーション状態が長期化する場合。

・習近平国家主席の独裁体制構築による同国の景気減速リスク。台湾・尖閣を含む有事発生の懸念(リスク資産価格の下落要因となるが、日本にとってはCIF上昇で調達コスト上昇要因に)。

2022年の中国党大会を経て、ゼロコロナ政策継続の可能性が高まったことからロックダウン発生の可能性は排除できず、中国景気がハードランディングするリスク(工業金属などの景気循環系商品を筆頭に、リスク資産価格の下落要因)。

一連の「締め付け強化」に対する中国各地での暴動発生。

・渇水、猛暑厳冬、発電燃料供給不足による工場稼働停止や消費低迷で景気が減速する場合(リスク資産価格の下落要因)。

・脱炭素・脱ロシア進捗による資源需要の高まりによる価格上昇や、資源の供給不足、ロシアの意図的な供給停止(枯渇のリスクも)が発生し、経済活動が抑制される場合(価格上昇→景気減速による価格下落リスク)

・米中対立激化にロシア問題も加わり、緩やかな新冷戦構造が発現しブロック経済圏が発生して貿易活動が鈍化する場合(既にメインシナリオ)。

台湾有事の発生(リスク資産価格の下落要因)。

・自由主義国vs専制主義国の対立加速、自国内の混乱などを理由に急に「手打ち」となった場合(景気のポジティブリスク・中国がさらに力を付け、将来米中が武力衝突するリスク)。

・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。

逆に脱炭素に向けたインフラ投資の加速で資源価格が急上昇、金融緩和マネーが大量に市場に滞留する中でハイパーインフレとなるリスク。

・次の成長ドライバーとして期待されるインド経済が、期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。

2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2023年後半~2024年頃。

◆本日のMRA's Eye


「高まる中東依存度 脱炭素・脱ロシアの中で」

原油価格は景気減速観測と金融引き締めの効果で減速を始めている。このコラムでは繰り返し主張しているように、景気動向(需要動向)の価格に与える影響が最も大きい。

そして、特に最大消費国である米国の動向が価格に影響を最も与えるが、まだインフレは完全に沈静化しておらず、今後もインフレ沈静化を目的とした金融引き締めが原油価格を押し下げることになるだろう。

その結果、米国の原油生産も原油価格の調整を受けて回復の足取りは重い。米エネルギー情報局の集計では、主要なシェールオイル鉱床からの生産はネットで前月比小幅なプラスを続けているが、まだプレ・コロナの生産量を回復するには至っていない。

原油生産の回復ペースが遅い理由としては、1.脱炭素に伴う米国内での原油増産に対するコンセンサスの遅れ、2.原油高・石油製品高であえて化石燃料を増産するインセンティブが企業側にないこと、3.コロナの影響による人材不足、資材不足、4.脱炭素の流れを受けてエネルギー供給のバランスを取るバイアスが掛っていること、などが影響しているとみられる。

今後、仮に金融引き締めが加速して企業の資金繰りに影響が出るようであれば、その面でも開発・設備投資が抑制される可能性も出てくる。

しかし、北米を含むエネルギー企業のフリーキャッシュフローは記録的な水準だが、充分に投資に回されていない。これは化石燃料の需給構造やパリ協定批准に伴う化石燃料の将来的な需要の強制削減を考えると、現在の生産活動に投資を行うことのリスクが意識されているためと考えられる。

しかし、米国の原油生産は米エネルギー情報局の見通しでは来年、過去最高水準に達するとみられており、原油市場の需給は2022年比で緩和の見通しだ。

当面の過不足の調整は即時生産能力(1ヵ月程度で増産ができる能力)を維持しているサウジアラビアなどのOPECヘの依存が高まることになる。

ただしOPEC盟主のサウジアラビアと米国の関係は「価値を共有しないもの」との経済合理性での関係であり、対ロシア協調路線や減産カードが経済的・政治的に効果を維持できている状況であれば、米国の要請に従う必要はなく、西側諸国が期待するような増産を実施するとは考え難い(今は減産に舵)。

サウジアラビアが増産を拒否したことに対して「報いを与える」とバイデン大統領は発言したことがあるが、現状、サウジアラビアに対して効果的な制裁や罰を与えることは実質的に不可能であり、脱炭素や脱ロシアが進捗しない限りは西側諸国はOPEC諸国の発言を無視できない状態が続くことになると予想される。


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