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ドル高モメンタムの喪失、広がる円買い戻し
  • MRA外国為替レポート

2022年12月5日号

◆先週の市場総括


先週は急速にドル安・円高が進んだ。前週に公表された11月のFOMC議事要旨で利上げペースダウン意見が多数と再確認されドル金利先高感が後退、ドル先安感が後退した流れが続いた。

米10年債利回りは前週末の3.69%から週末には3.49%に低下。ドル円相場は週初の139円台前半で始まり早々に138円割れ。さらにパウエル議長が講演で利上げペースダウンを示唆するとさらにドル安の流れが強まった。

金曜日の欧州市場では133円台に下落。週末の雇用統計は強めで一時136円に急反発する場面もあったが利上げペースダウンとの見方は変わらず134円30銭で取引を終えた。

ユーロドル相場も週初の1.0380近辺から週末には1.0540へユーロ高ドル安。米国株は金利先高感後退が支えとなったが景気悪化懸念が重石。

ハイテク株は支えられたが景気敏感株は軟調となった。NYダウはやや上昇したにとどまった。

日経平均はドル金利低下や米国株の底固さが支えとなったが、景気悪化懸念やドル安円高が重石となり28,000円割れで取引を終えた。

月曜日の東京市場では日経平均は小幅続落。週末に米ハイテクが下落したことから半導体関連が軟調。中国でゼロコロナ政策が生産や消費など景気の重石となるとの懸念が下押し要因となった。引けは前週末比▲120円安の28,162円。

為替市場では円が堅調。リスク回避が強まるなか円買い戻しが強まった。ドル円相場は139円20銭~40銭で始まり138円40銭に下落。その後70銭に持ち直すも午後には137円80銭まで下落した。

ユーロ円相場も144円60銭近辺で始まり早々に下落して143円台前半で上下動。ユーロドル相場は1.0380近辺で始まりやや下落して1.03台半ばで推移した。

欧州市場に入るとユーロが上昇。ECBラガルド総裁が講演で、インフレ率はまだピークアウトしておらず上振れリスクが高い、金融政策は未だ緩和的、とタカ派姿勢を示した。

ユーロドル相場は1.049台へ急騰。ユーロ円相場も145円ちょうどへ急騰した。ドル円相場は138円を挟んで上下し137円60銭~80銭でもみ合い。

一方、米国市場に入るとドルが反発。発表されたダラス連銀製造業活動指数(11月)は7ヵ月連続でマイナスとなったものの前月▲19.4から予想を上回って改善し▲14.4と強め。FRB当局者からタカ派発言が相次ぎ米長期金利を押し上げた。

NY連銀総裁は、2024年まで利下げに着手せず2023年は高水準を維持する、と述べた。セントルイス連銀総裁は、市場はFRBがより積極的になるリスクを軽視している、と語った。米10年債利回りは一時3.7%台に上昇しドルを押し上げた。

ユーロドル相場は急反落して引けは1.0340近辺。ドル円相場は138円90銭~139円ちょうど。ユーロ円相場はユーロ安ドル高に押されて143円60銭に反落した。

ドルインデックスは反発して106.69ポイント。米国株は主要3指数がそろって下落。

NYダウは大幅安。中国でのデモ拡大で景気懸念が広がった。タカ派発言も嫌気。NYダウは前週末比▲497ドル安と大幅安、33,849ドルで引け。ナスダックは▲176ドル安の11,049ドル。米10年債利回りはリスク回避が強まるなか3.686%に低下して引けた。

火曜日の東京市場では日経平均が3営業日続落。米ハイテク株の下落が重石。アップル社の生産調整、FRB当局者のタカ派発言などが重石となった。下げ幅は一時▲260円超。

ただ前日に急落した中国株が反発したことは一定の安心感をもたらした。引けは▲135円安の28,027円。

ドル円相場は138円90銭で始まり朝方60銭割れに下落したが、仲値決定のタイミング、10時頃に円売りが強まり139円30銭に上昇。

ただ上昇は一時的ですぐに138円60銭に押し戻され午後は40銭~70銭での推移。さらに欧州市場にかけて137円90銭まで下落した。

中国景気不安や欧州金利先高感の後退で米10年債利回りが3.64%に低下したのにつれてドル安円高に振れた。

ユーロ円相場は143円60銭で始まり144円ちょうど近辺に上昇。夕刻から欧州市場に入って143円10銭に下落しもみ合いとなった。

ユーロドル相場は1.0340で始まり1.0390に上昇したが夕刻に反落して欧州市場では1.0350~90で上下動。

発表されたドイツ消費者物価指数(11月)は前年同月比+10.0%と前月+10.4%での高止まり予想を下回った。このためECBの利上げ幅縮小予想が強まりユーロをやや下押した。

米国市場に入るとドルは反発。前日のFRB高官の相次ぐタカ派発言で翌日のパウエル議長の発言もタカ派に傾くとの見方から長期金利が反発。10年債が3.75%に上昇しドルを押し上げた。

ドル円相場は138円80銭台へ上昇、ユーロドル相場は1.0330近辺に下落した。ドル円相場はその後弱い米消費者信頼感指数を受けて20銭台に下落したが、その後は持ち直して引けは138円70銭近辺。

ユーロドル相場も1.0370へ反発したものの1.0330近辺へ押し戻されて引け。ユーロ円相場は143円10銭~30銭でのもみ合いとなり20銭近辺で引けた。

米国株は小動き。中国景気への懸念が弱まったもののFRBのタカ派スタンスへの警戒感も残り上値の重い値動き。NYダウは前日比+3ドル高でほぼ変わらず33,852ドル。ナスダックは▲65ドル安の10,983ドル。

米消費者信頼感指数(11月)は前月102.5から100.2へ2か月連続で悪化したものの予想100.0をやや上回った。

ケースシラー住宅価格指数(9月)は前年同月比+10.6%と前月+13.1%から上昇率が低下。全国的に上昇率が鈍化したと報告された。

水曜日の東京市場では日経平均が小幅ながら4営業日続落。中国のゼロコロナ政策修正期待が下支えとなったものの、パウエル議長講演を前にタカ派発言への警戒感が上値を抑制した。引けは前日比▲58円安の27,968円。

ドル円相場は138円70銭で始まり、米国でのイベントを前に方向感なく上下動。夕刻まで概ね138円40銭~80銭で推移した。ユーロドル相場はやや堅調。1.0330で始まり夕刻には1.0380。

ユーロ円相場は143円20銭で始まり20銭~70銭で上下したあと夕刻は144円10銭。欧州市場から米国市場朝方にかけては一段とユーロ高円安が進んだ。

ユーロ円相場は144円90銭近辺に上昇。その後はユーロ安ドル高に押されて143円60銭に急反落した。

米国市場朝方にドルは上昇。ADP雇用報告(11月)は雇用者数前月比+127千人と前月+239千人から減少し2021年2月以降で最も少なくなった。JOLT求人者数(10月)も前月10,717千人から10,334千人に減少。シカゴ購買部協会景気指数(11月)も前月45.2から37.2に予想を大きく下回る数字となった。

しかしGDP(7-9月期改定値、前期比年率)が速報+2.6%から+2.9%に大幅上方修正されたことを材料に、パウエル議長がタカ派発言をする見通しを織り込んでドル買いが進んだ。

ドル円相場は欧州市場で138円50銭~139円ちょうどで上下したあと、米国市場朝方に139円90銭まで上昇。ユーロドル相場は1.0290近くまで下落した。

しかしその後ドルは急反落。パウエル議長は講演で、金利のピークは9月の見通しを上回る可能性が高いとタカ派ニュアンスを残しつつ、早くて12月会合での利上げペースダウンを示唆。過剰な引き締めを望んでいない、と述べた。

また公表されたベージュブック(地区連銀経済報告)では、経済活動は横ばいまたは若干拡大している、として判断を下方修正。労働需給は全般に弱まった、物価上昇のペースは全般的に減速した、と記された。

米10年債利回りは3.79%台に上昇していたが急低下して3.604%。2年債も4.325%に低下。

ドル円相場は137円60銭台まで急落。その後はやや戻して引けは139円ちょうど~10銭。ユーロドル相場は1.0430へ急騰。その後は1.04ちょうど近辺に戻して引け。

ドルインデックスは前日の106.81から一時107ポイント台に上昇したあと105.80に急落し引けは106ポイントちょうど近辺。

ユーロ円相場は乱高下。144円台後半~143円台半ばで上下して引けは143円70銭。米国株は利上げペースダウン見通しを好感し急騰。NYダウは前日比+737ドル高の34,589ドル、ナスダックは+484ドル高の11,468ドルで引けた。

木曜日の東京市場では日経平均は反発。前日の米国株が大きく上昇。値がさ株中心に買われ上昇幅は一時+400円を超えた。一方ドル安円高が重石。

米国経済指標の発表を控え様子見もあり、引けは+257円高の28,226円。

為替市場では前日からのドル安円高の流れが変わらず。ドル円相場は138円10銭で始まり大きく下落し仲値10時近辺には136円50銭近辺へ。

その後一時137円ちょうどまで戻したが上値重く80銭近辺で上下したあと午後には136円20銭近辺に下落。さらに欧州市場に入った夕刻には135円80銭台までドル安円高が進んだ。

ユーロ円相場も143円70銭で始まり142円台半ばに下落してもみ合い、さらに夕刻には142円ちょうど近辺まで下落した。

ユーロドル相場は1.04ちょうど近辺で始まり1.0460へじり高。ただ夕刻には1.04ちょうど近辺に反落した。欧州市場から米国市場朝方にかけては円高一服で指標待ち。

ドル円相場は136円70銭に反発したあと20銭~60銭で上下動。ユーロ円相場は142円台前半で上下したあと143円へ。その後発表された米国の経済指標が総じて弱くドルは一段と下落した。

個人所得・消費支出(10月)は前月比+0.7%・+0.8%と予想通り前月から伸びが加速。一方、消費支出物価指数は前年同月比+6.0%と前月+6.2%から上昇鈍化、コア指数も+5.1%から+5.0%へ。

週次の失業保険申請件数は継続受給者数が前週の1,551千人から1,608千人に増加。

最も市場への影響が大きかったのがISM製造業景気指数(11月)。前月50.2から49.8への悪化予想に対し49.0と大きく悪化して景況感の分かれ目である50を一気に割り込んだ。

内訳をみても雇用指数が50.0から48.4へ、新規受注が49.2から47.2へ、価格指数が46.6から43.0へ低下した。

ドル円相場は135円60銭割れに下落。その後136円台に戻したが反落して引けは135円30銭近辺。

ユーロドル相場は1.0530へユーロ高ドル安が進んだあと反落したが引けは1.0520近辺。ユーロ円相場は142円台前半に押し戻され引けは142円20銭近辺。

ドルインデックスは前日の106近辺から104.71まで下落した。

米10年債利回りは3.510%へ大幅低下。2年債も4.236%に低下。

米国株はまちまち。前日に大幅高の反動で利益確定売りが優勢。弱い経済指標を受けて景気敏感株が売られた。長期金利低下はハイテク株、高PER銘柄の支えとなった。NYダウは前日比▲194ドル安の34,395ドル。

ナスダックは+14ドル高の11,482ドル。この日、FRBバー副議長は、利上げペース減速は賢明、と述べた。

金曜日の東京市場では日経平均が大幅反落。前日に米国景気不透明感から米国株が下落。ドル安円高が進んだことも重石となった。引けは前日比▲448円安の27,777円。

為替市場では欧州市場に入り急速に円高が進んだ。ドル円相場は135円30銭で始まり135円ちょうど~50銭で上下し10銭~20銭でもみ合い。その後欧州市場に入ると早々に133円60銭台まで急落した。

ユーロ円相場は142円40銭で始まり142円台前半で上下。夕刻には140円80銭に下落した。ユーロドル相場は1.0520近辺で始まり小動き。欧州市場でも1.0520~40で推移した。米国の雇用統計を見守り小動き。

注目の雇用統計(11月)は予想より強かった。非農業部門雇用者数は前月比+263千人と前月+261千人と変わらず予想+200千人を上回った。失業率は3.7%で予想通り前月と不変。

平均時給は前月比+0.6%と前月+0.4%から上昇が加速し予想+0.3%への減速予想を大きく上回った。前年同月比も+4.7%から+5.1%に加速。

これを受けて米長期金利が急反発しドルを押し上げた。米10年債利回りは3.50%近辺から3.61%に急上昇。2年債も4.185%から4.38%へ。

ドル円相場は134円20銭近辺から136円ちょうど近辺へ急騰。ユーロドル相場は1.0540近辺から1.0430へ急落。ただその後FRBの利上げペースダウンは変わらないとの見方が強まり長期金利は反転低下。10年債利回りは3.49%へ低下し雇用統計前の水準を下回った。

2年債は4.282%へ低下。ドルは急反落してドル円相場は134円30銭近辺で引け。

ユーロドル相場は反発して1.0540へ全値戻しとなった。ドルインデックスは前日から小幅安の104.50。ユーロ円相場は140円台~142円台で乱高下した後、引けは141円60銭。

米国株はまちまち。強い雇用統計を受けて長期金利が上昇したことで下落したが、その後金利反落で持ち直し。NYダウは前日比+34ドル高の34,429ドル。ナスダックは▲18ドル安の11,463ドル。

◆今週の3つの注目ポイント


1.米国の経済指標

景気指標は弱めだったが雇用統計は予想外の強い数字となった。今週の数字が、景気悪化、インフレ鎮静化を示すか。

月曜日 ISM非製造業景気指数(11月、予想53.4、前月54.4)    製造業新規受注(10月、前月比、予想+0.7%、前月+0.3%)    サービス業PMI(11月確報、速報46.1)

火曜日 貿易収支(10月)

木曜日 米週間新規失業保険申請件数

金曜日 生産者物価指数(11月、前年同月比、予想+7.1%、前月+8.0%、コア、予想+5.8%、前月+6.7%)

2.欧州の経済指標

スタグフレーションが懸念されていた欧州では、景気悪化が想定よりも深刻にならないのではないかとの見方が台頭している。足元の数字が楽観・悲観どちらに傾くか。ユーロ高ドル安に歯止めがかかるか、さらにユーロ高が進むか。

月曜日 ユーロ圏小売売上高(10月、前月比、予想▲1.7%、前月+0.4%)    サービス業PMI(11月確報、ユーロ圏、速報48.6)

火曜日 ドイツ製造業新規受注(10月、前月比、予想▲0.2%、前月▲4.0%)

水曜日 ドイツ鉱工業生産(10月、前月比、予想▲0.5%、前月+0.6%)

3.中国の経済指標

中国景気には足元の悲観と政策修正による期待が入り混じる。足元の数字がリスク回避・リスク選好いずれを強めるか。株価および円の強弱に与える影響はどうか。

月曜日 財新サービス業PMI(11月、予想48.0、前月48.4)

水曜日 貿易統計(11月、貿易収支、予想780億ドル黒字、前月850億ドル黒字、輸出、前年同月比、予想▲3.6%、前月▲0.3%、輸入、同、予想▲5.0%、前月▲0.7%)

ほか、オーストラリア準備銀行が火曜日に政策金利を2.85%から3.10%へ0.25%、水曜日にカナダ中銀が3.75%から4.25%へ0.50%、それぞれ引き上げる見込み。

◆今週のMRA's Eye


ドル高モメンタムの喪失、広がる円買い戻し

先週末の米雇用統計は予想より強い数字だった。ドル円相場はそれまでの弱い数字やFOMC議事要旨やパウエル議長の利上げペースダウン示唆から一時133円台まで下落したが、雇用統計の発表直後には136円ちょうど近辺まで急反発した。

しかしNY市場引けにかけては反落して結局は134円30銭近辺で取引を終えた。

個別の経済指標の強弱はあるが大きな流れは変わらない。ISM製造業景気指数はPMI景況感指数に続いて景況感の分かれ目である50を割り込んだ。インフレ関連指標は上昇率のピークアウトを示している。

景気悪化・インフレ鎮静化の流れは明確になっている。そのなかで雇用堅調を示す個別の指標がみられても、政策判断に揺らぎはないだろう。

次回12月のFOMCでの政策判断の前提となる地区連銀経済報告(ベージュブック)では、景気判断が下方修正された。

今回の報告では、経済活動は横ばいまたは若干の拡大、と表現。10月下旬の前回11月FOMC会合の前提判断では、緩やかに拡大もバラつきがある、とされていた。

そこからFRBの景況判断が悪化したことは明らかだ。また物価についても、上昇ペースが全般的に減速、と記された。前回は、全般的に緩やかとなりピークアウトの兆し、とされていた。

ここでも一歩、インフレ鎮静化傾向との判断が進んだ。雇用情勢についても、労働需要は全般に弱まった、としている。

ADP雇用報告では雇用者数の増加は減少し2021年2月以来の水準に。企業サイドからの労働需要を示すJOLT求職者数も10月は前月から減少した。雇用統計の数字は確かに強めだったが、地区連銀の定性判断も弱めであり、強い数字はノイズだった可能性もある。

雇用統計は相場の大勢に影響せず。市場では一瞬金利は上昇したがすぐに押し戻された。利上げ幅縮小の判断には変化がないとの見方が優勢となったためだ。

ファンダメンタルズの大きな流れに変化がなければ、FRBの政策判断が引き締めサイドに逆行する可能性は低い。

ドル金利先安感が後退し、長期金利は長めの期間から低下傾向を強め、ドル先高感が後退。ドル安の流れが続いたことは当然か。

値動きからみても、すでにドル高モメンタムを喪失。ドルインデックス、ドル円相場、ともに今年春以降の上昇トレンドの支持線を明確に割り込んでドル高の終焉を示した。ドル高は終わった、との判断が大勢だろう。

加えて、欧州経済の動向やECBの政策判断もドル高のピークアウトひと役買っている。

金融引き締めはFRBよりも緩やかに、しかし、やや長く継続するとみられている。足元で景気見通しがやや改善。来年にも想定される景気後退がそれほど酷いものにならないのではないか、との見方が台頭している。

一方、インフレ率は米国を上回って上昇し高止まりしている。こうした欧米の景気物価動向のタイムラグ、それに応じた金融政策スタンスのタイムラグ、金利先高感の強弱が、ユーロ高ドル安を支える要因ともなっている。

ユーロドル相場の動向はドルインデックスの動向そのもの。そのドル高トレンドの終焉がそのまま円買い戻しに結び付いている。円売りは対ドル中心に拡大していたが、ドル高円安が終わったことで円買い戻しが他の通貨に対しての円高にも広がった。

ユーロ円相場はなお140円台を維持しているが、この水準は長期的にみればかなりユーロ高円安だ。均衡水準は120円台からせいぜい130円台前半だろう。

もっとも、足元では海外投機筋にドル売り円買いのポジションも増えているのではないか。

雇用統計に対して瞬間的に大きくドル高円安に振れたことは、ドル買い戻し・円売戻が出たとみられるためだ。

ドル買い円売り一辺倒ではなくなったことで、今後は度々こうしたかたちで瞬間的にドル高円安に振れるリスクもありそうだ。

気になるのは日本のFX投資家・投機筋のスタンス。さすがにドル売り円買いも増えているようだが、ポジションは大きくドル買い円売りに傾いたまま。140円台半ばで高値掴みしたまま含み損を抱えているようだ。

日本のFX投資家は粘り強く損切りは容易に発生しない。ただ戻り売り意欲が強まっており、さらにドル安円高が進むとさすがに損切りのドル売り円買い戻しが生じる可能性もある。

結果的に投機を中心にみた短期バイアスは上下均衡。一方、大きな流れ、リスクバイアスはドル安円高サイドにさらに明確に傾いたままだ。来年春から年央以降とみていた130円割れの可能性が想定よりも前倒しになるリスクもある。


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