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気迷いのなか休暇シーズン入り
  • MRA外国為替レポート

2022年11月21日号

◆先週の市場総括


先週は米国の生産者物価指数が引き続きインフレの緩和を示した。鉱工業生産は弱かったが小売売上高は堅調な消費動向を示し、景気懸念が急速に強まる事態とはならず。

FRB当局者の発言が続き、内容には硬軟あったがタカ派発言が多く市場の利上げペース緩和期待が後退。米長期金利は低下一服。ドル安に歯止めをかけた。ドル円相場は下げ一服。140円をはさんで方向感なく週を通じて狭いレンジでの上下動に終始した。

ユーロ高ドル安にも歯止め。1.04では上値の重さが目立った。米国株は個別決算を受けてまちまちの動き。利上げペース緩和期待の後退で上値を重くした。

日経平均は米国株高に支えられ28,000円の大台に乗せた。ただ利益確定売りも嵩んで週末にかけては上昇一服。

月曜日の東京市場では日経平均が反落。前週末の大幅高の反動、短期的過熱感から利益確定売りが優勢となった。引けは前週末比▲300円安の27,963円。

為替市場では円高が一服し円安方向に揺り戻し。ドル円相場は早朝に138円台半ばで始まりすぐに139円90銭台に上昇。その後は反落し138円80銭~139円20銭近辺で上下し、夕刻は一段高となって139円20銭~60銭近辺で上下した。

ユーロは方向感なく上下。ユーロ円相場は早朝に143円台後半から144円40銭へ。その後押し戻されて143円60銭近辺で推移した。

ユーロドル相場は1.0370近辺で始まり下落して0.0310台~40で上下しさらに軟調。夕刻にかけて1.0300近辺に下落したあと1.0350。

欧州市場から米国市場朝方にかけてはドルが堅調。FRBウォーラー理事が、金利到達点はなお遠い、とタカ派発言。

NY連銀の期待インフレ率調査で1年が前月(9月)の5.4%から5.9%へ、3年が2.9%から3.0%へ上昇。米10年債利回りが一時3.9%台に、2年債が4.44%に上昇。ドルを押し上げた。

ドル円相場は140円80銭へ。ユーロドル相場は1.0270へ、ドル高が進んだ。

ユーロ円相場は144円80銭に上昇。ただその後ブレーナード理事が、利上げペース減速がまもなく適切になる、と述べたことで長期金利は低下。10年債は3.865%、2年債は4.404%へ低下して引けた。

ドル高は一服した。ドル円相場は140円10銭~80銭で上下したあと139円70銭~80銭で引け。ユーロドル相場は1.0330に上昇したあと上下しながら1.0350~60に続伸し引けは1.0330近辺。

ユーロ円相場は144円30銭に下落したあと145円20銭に上昇し、その後反落して144円20銭で引け。

米国株は反落。先週末にかけての急騰の反動で利益確定売りが嵩んだ。NYダウは前週末比▲211ドル安の33,536ドル、ナスダックは▲127ドル安の11,196ドル。

原油価格WTI先物は中国での感染拡大・経済停滞・需要減懸念で下落し85.87ドル。

火曜日の東京市場では日経平均は小幅高。前日の米株安を受けて下落して始まったが、利上げ減速見通しが支え。決算を材料に一部銘柄に買い。中国のゼロコロナ政策修正期待も支えとなった。引けは前日比+26円高の27,990円。

発表された日本のGDP(7-9月期速報)は前期比年率▲1.2%とプラス予想に反してマイナスとなった。

中国の10月の主要経済指標は小売売上高が前年同期比▲0.5%と前月2.5%から失速。5か月ぶりのマイナスとなりゼロコロナ政策の影響が強く出た。鉱工業生産は+5.0%、固定資産投資は+5.8%。

ドル円相場は朝方堅調。140円50銭に上昇し、その後も140円台前半で上下した。しかし欧州市場に入るとドルが下落。ドル円相場は139円20銭まで大きく下落した。

ユーロ円相場は144円50銭近辺で始まりじり高。夕刻から欧州市場では144円80銭~145円ちょうどで推移。ユーロドル相場は1.0330で始まり小動き。欧州市場に入るとユーロ高ドル安となり1.0410へ上昇した。

発表されたドイツZEW景況感指数(11月)は前月▲59.2から▲36.7へ大きく上昇し予想を上回り改善した。米国市場朝方にかけてはやや円高に動きつつ小動きもみ合い。ドル円相場は139円70銭に反発したあとじり安となり139円20銭~40銭で推移。

ユーロ円相場は144円20銭近辺に下落。ユーロドル相場は1.0430に上昇したあと1.04ちょうど近辺。

注目の米生産者物価指数(PPI、10月)は前年同月比+8.0%と前月+8.5%から大きく低下。コア指数も同様に+7.2%から+6.7%へ。これを受けて利上げ縮小観測が強まり長期金利が大きく低下。米10年債利回りは一時3.75%へ。

発表直後にドルは急落。ドル円相場は一時137円70銭をつけた。ユーロドル相場は1.0480へ。ただすぐに反発して139円30銭に戻してその後は139円ちょうど~30銭で上下した。ユーロドル相場は1.0360~80に反落した。

その後、ロシアがウクライナ侵攻後最も激しいミサイル攻撃を実施。ウクライナの隣国、NATO加盟国であるポーランドに着弾して被害が出たとの報にユーロ安、ドル高、円安に振れた。

ユーロドル相場は1.0280に急落。ただその後は戻して1.0360近辺。ユーロ円相場は144円20銭~90銭で上下していたが143円40銭に急落。その後反発して引けは144円10銭。ドル円相場は139円10銭~20銭で引けた。

米国株は上昇。弱いPPIを受けて長期金利が低下したことを好感。NYダウは一時前日比+450ドル高。ハイテク株が堅調。

ただポーランドにミサイル着弾との報に上げ幅を縮め、引けは+56ドル高の33,592ドル。ナスダックは+162ドル高の11,358ドル。発表されたNY連銀製造業景気指数(11月)は前月▲9.1から+4.5へ予想外の大幅改善となった。

水曜日の東京市場では日経平均が小幅高。米利上げペース緩和期待が支えとなるなか、ポーランドにミサイル着弾との報でリスク警戒から一時▲250円安。ただウクライナの迎撃ミサイルの可能性が高まり、バイデン大統領が抑制的な姿勢を示していることから持ち直した。引けは+38円高の28,028円。

ドル円相場は139円30銭近辺から朝方138円70銭台に下落。ただリスク回避が緩和すると昼過ぎには140円30銭近辺まで大きく持ち直した。ただその後は反落し139円70銭~90銭近辺で推移。

さらに欧州市場に入ると30銭近辺まで下落した。その後は円高一服で139円30銭~60銭を中心に上下。

ユーロ円相場は144円10銭から朝方143円60銭に下落したが欧州リスク警戒感の緩和で持ち直し。昼過ぎには145円ちょうど~20銭で推移。夕刻から欧州市場ではさらに145円20銭~40銭でもみ合い。

ユーロドル相場は1.0360近辺で始まり1.03台で方向感なく上下。その後欧州市場にかけ持ち直し1.0430台に上昇した。

米国の経済指標はまちまち。小売売上高(10月)は前月比+1.3%と前月+0.0%から予想以上の伸びとなり消費の堅調さを示した。ただ鉱工業生産(同)は前月+0.4%から▲0.1%に急ブレーキがかかった。設備稼働率も80.3%から79.9%に低下。

ドルは一時ドル高に振れたがすぐに押し戻された。ドル円相場は一時140円ちょうど近辺に上昇したが139円10銭近辺に反落。その後は139円20銭~70銭で上下して50銭近辺で引け。

ユーロドル相場は1.0380割れに下落したが1.04台を回復。その後も1.0360~1.04ちょうどで上下して引けは1.04近辺。

ユーロ円相場は144円台後半~145円台で上下し引けは145円ちょうど近辺。米10年債利回りは3.68~3.69%に低下。2年債はほぼ変わらず4.36%近辺。

米国株は下落。個人消費は堅調さを示したが一部小売決算が不芳だったこと、半導体メーカーが減産見通しを表明したことが重石となった。

NYダウは前日比▲39ドル安の33,553ドル、ナスダックは▲174ドル安の11,183ドル。

木曜日の東京市場では日経平均が反落。前日に米国で半導体関連株が下落したことが重石となった。

一方で観光関連、リオープン銘柄の一角には買い。引けは前日比+97円高の27,930円。

ドル円相場は139円50銭で始まりNY市場から引き続き30銭~70銭を中心に方向感なく上下した。ユーロ円相場は145円ちょうど近辺で始まりやや下落して144円70銭~90銭で上下。

ユーロドル相場は1.04ちょうど近辺で始まり1.036に下落したあと夕刻にかけて1.04へじりじりと反発。欧州市場に入ると一時円高となりドル円相場は138円90銭をつけたがすぐに反発。米国市場にかけては右肩上がりとなり140円80銭近辺まで上昇した。

ドルは対ユーロでも上昇。ユーロドル相場は1.0310割れに大きく下落した。セントルイス連銀総裁が、政策金利はインフレ抑制のために十分な水準まで達していない、として積極的な利上げ姿勢を示した。

米10年債利回りは一時3.8%に上昇しドルを押し上げた。引けは3.773%にやや戻した。2年債は4.452%に前日4.36%から上昇。

ドル円相場は引けにかけてやや押して140円20銭近辺。ユーロドル相場は1.0370近辺。ユーロ円相場は145円50銭に上昇して引けは30銭近辺。

米国株は下落。FRBの利上げ積極姿勢を懸念して軟調。NYダウは前日比▲7ドル安の33,546ドル。ナスダックは▲38ドル安の11,144ドル。

原油価格WTI先物主限月は81.64ドルに大きく下落。中国でゼロコロナ政策にもかかわらず感染が拡大していることが嫌気された。

発表された米国の経済指標はまちまち。週次の失業保険新規申請件数は予想より少なく222千人。住宅着工(10月)は季節調整済み年率換算で1,425千戸と予想よりやや多め。

一方、フィラデルフィア連銀製造業景気指数(11月)は前月▲8.7から改善予想に反して▲19.4と大幅に悪化した。

金曜日の東京市場では日経平均が小幅続落。FRB当局者のタカ派発言を受け市場心理が悪化。28,000円の大台近くでは利益確定売りも目立ち上値が重かった。引けは前日比▲30円安の27,899円。

ドル円相場は140円20銭で始まり50銭をつけたが反落して139円60銭台~140円ちょうどでもみ合い。欧州市場では一時140円30銭に上昇したが押されて139円70銭~140円ちょうどで上下した。

米国市場に入りFRB当局者から再びタカ派発言がみられると米長期金利が上昇。ドル円相場は140円40銭近辺でもみ合い引けた。

ユーロドル相場は1.0370で始まり1.03台後半でもみ合い。欧州市場でも概ね水準は変わらなかったが、米国市場に入りドル高が強まり1.0320に下落して引けた。

ユーロ円相場は東京市場で145円20銭~30銭で始まり夕刻は145円ちょうど~10銭。その後は一時145円50銭をつけたが米国市場ではユーロ安ドル高の勢いに押されて144円50銭台に反落した。引けはやや戻して144円90銭。

この日はボストン連銀総裁が、追加利上げは必要、景気抑制スタンスはしばらくの間維持する必要、0.75%の利上げは依然として検討されている、とした。

米10年債利回りは3.83%へ、2年債は4.53%へ上昇。米国株は小幅高。一部小売決算が予想を上回り、前日引け後の半導体決算も良好。ディフェンシブ銘柄も買われた。

NYダウは寄付き後に一時+280ドル高。ただ金利上昇が嫌気して上げ幅を縮めた。引けは+199ドル高の33,745ドル。ナスダックは+1ドル高の11,146ドル。原油価格WTI先物は景気悪化懸念に押されて80.11ドルに下落した。

◆今週の3つの注目ポイント


23日水曜日は日本が休場。米国市場は24日木曜日はサンクスギビングで休場、翌金曜日はブラックフライデーで短縮取引。

1.米国の経済指標

先週の米経済指標は強弱まちまち。景気の底固さを示し、当局者のタカ派発言とあいまって長期金利の低下に歯止めをかけた。今週の指標はどうか。

火曜日にリッチモンド連銀製造業指数(11月、予想▲6、前月▲10)、水曜日に耐久財受注(10月、前月比、予想+0.3%、前月+0.4%)、週次の失業保険申請件数、新築住宅販売(10月、季節調整済み年率換算、予想575千戸、前月603千戸)、が発表される。

2.FOMC議事要旨(11月開催分)、ECB理事会議事要旨(10月開催分)

水曜日(日本時間木曜日未明)にFOMC議事要旨(11月開催分)が公表される。同会合では声明文が修正されこれまでの急速な利上げの効果のタイムラグを考慮するとの一文が加わった。

また利上げペース鈍化が具体的に視野に入った。タカ派姿勢の変化があらためて確認されるか。

また木曜日にECB理事会議事要旨(11月開催分)が公表される。欧州ではスタグフレーションリスクが意識されるなかインフレ抑制姿勢が維持されている。ただラガルド総裁は米国とは状況が異なるとして利上げスタンスの違いも明確にしている。

タカ派度合いの違い、今後の利上げペースへの示唆、欧米間の金融政策スタンスの格差がどのようにイメージされるか。

3.PMI景況感指数(11月)

日本経済は水曜日にPMI景況感指数(11月)が発表される。景気悪化傾向が一段と鮮明となるか。とくに米国景気の悪化トレンドがさらに確認されるかがポイント。

ユーロ圏は製造業が前月46.4から46.0へ、サービス業が48.6から48.1へ小幅悪化予想。

米国は製造業が50.4から49.9へこの間の悪化局面で初めて景況感の分かれ目である50を割る予想。サービス業はすでに50割れで前月47.8から47.7へ小幅悪化が見込まれている。

◆今週のMRA's Eye


気迷いのなか休暇シーズン入り

先週、相次いだFRB当局者のタカ派発言で米長期金利の低下が一服。ドル安にも歯止めがかかった。

景気悪化を示す指標もさほど顕在化せず。市場はFRBの利上げペースダウンを織り込みつつも、利上げの打ち止め水準=ターミナルレートについて、明確なイメージを模索している。

5%程度で打ち止めとの見方が大勢だったが、5%台後半まで引き上げられるかもしれないとの懸念も皆無ではない。

インフレ率低下傾向は明確となってきたが、景気悪化が一段と明確にならなければ、利上げ打ち止めの決定的な証拠をつかんだとまでいえず。とくにFRB当局者の大勢が利上げのパスについてどのようにみているのかが鍵。

景気配慮で利上げペースダウンは確実とみられるが、この先はより明確な利上げ打ち止め時期、水準を探る気迷いの時間帯が続きそうだ。

そうしたなか、今週から米国ではいよいよ休暇シーズン入りとなる。サンクスギビング、クリスマス商戦のスタートとなるブラックフライデーが週末にかけて控える。一般的におよそ1か月は仕事の手が緩む。決算時期となることもあり、市場の流動性や売買動向に影響が生じる。

ヘッジファンドは11月末決算が多い。ドル円相場が150円台でピークアウトして140円割れに急落したのは、FRBの利上げペースダウンが確実となったことや日本東京による大規模な円買い介入の効果がある。

加えて11月に入り1年のパフォーマンスの総決算時期となり、手仕舞いが入りやすいタイミングだったこともあろう。

総じて、1年を通じて、あるいは数か月間続いたトレンドに逆の動きが生じやすい。

投機筋のポジションは基本的に順張りであり、その手仕舞いは相場に逆方向の圧力となる。例外的に、明らかに年明けにかけても相場環境が変わらない確信があればポジションを維持することになる。

ただ今年の場合はFRBの金融政策変化が見込まれることから、ドル買い継続とはなりにくいだろう。

12月にかけては金融機関や一般企業も12月末の決算を意識することになり、その影響もでる。海外金融機関の為替ディーラーはそろそろ1年間の業績考課に直面する。

まずは自己申告を作成し上司に提出する時期だ。それをとりまとめ、評価が行われ、年明けにボーナスが支給される。したがってすでにポジションに含み益があれば利益確定が入りやすい。

そして有給休暇を使って休暇を楽しむのが通常だ。休暇中も相場を追いかけなければならないのは嫌なもの。ポジションをもって長い休暇に入ることは嫌がる。

結果、手仕舞いが活発化する。さらに売買も手控えられる。市場参加者が少なくなることで市場の流動性が落ち、荒れ相場となりやすい。

未だ収益目標に達していない場合には「最後の悪あがき」も生じるが、目的が年内の収益積み上げであることから、極めて短期の売買となるだろう。結果、一定のトレンドは生じず、荒れ相場が強まるのみだ。

12月にかけてはまた、ドル高になりやすい時期ともいわれる。12月決算を前に米国企業が海外から収益を引き上げ本国に送金することが一因のようだ。

海外で積み上げた資金・収益をドルに転ずるためにドル買いが強まるとみられている。

とくに海外収益を国内に還流させる、国内投資を促進させる、など時限立法がされている場合はその動きが強まる。

今年はどうか。

インフレ対策のため国内需要を抑制する局面。税制により国内への資金還流・国内投資促進、景気刺激という状況ではない。

一方、企業には例年の資金吸収需要はありうるが、問題はドル高だろう。外貨で稼いでいた場合、このレベルでドルに両替すれば目減りが激しい。

できればもう少しドル安になってから外貨をドルにしたいということになりそうだ。そのため今年は例年に比べてドル買いが少なくなる可能性がある。

総じて、留意すべきは市場参加者が少なくなることによる荒れ相場のリスク。ボラティリティが上昇する可能性がある。

ドル円相場のリスクバイアスとしてはなおもドル安円高サイド。相応に利益確定のためのポジション手仕舞い、今年の場合であればドル売りは生じたとみられるが、なおもドル売り円買い需要が残っている可能性がある。

年末にかけての米企業によるドル買い需要はドルを支える可能性はあるが、例年よりは弱いと想定される。当面は140円の攻防、1か月程度の下値は135円程度とみられる。しかし12月のFOMCや経済指標次第で、さらなるドル安円高リスクには留意が必要だろう。


主要指標は、有料版「MRA外国為替レポート」にてご確認いただけます。
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