中国コロナ規制緩和期待で上昇もタカ派なパウエル発言を受けて上げ幅削る
- MRA商品市場レポート
2022年11月3日 第2318号(簡易版)商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「中国コロナ規制緩和期待で上昇もタカ派なパウエル発言を受けて上げ幅削る」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品価格は軒並み水準を切り上げた。中国のコロナ政策緩和期待を受けた買い戻しの流れが継続したため。
注目のFOMCは予想通り75bpの利上げとなり、さらに12月の利上げペースの緩和も示唆したことからリスク資産価格の上昇要因となった。
しかし、パウエル議長の記者会見での発言では「ペースは落すが、ピーク時の金利は従来の想定よりも高くなる」と明言しており、結局金融引き締め加速のタカ派な会合だったといえる。
目標として物価上昇率を2%を下回る水準に抑えることを堅持しており、それまで金融引き締めを継続しないとインフレが定着する、との見方も示した。
しかし、インフレは需要・供給どちらかを引締め・緩和しないと解消しないが、今回のインフレは人手不足や東西対立、ロシアの侵略戦争の影響で一部の部材の供給に障害が生じていることに起因するものであり、東西分裂が緩やかに起きる中では西側諸国内での生産能力の増強が必須となる。
その中で金融引き締めを行うことは、供給能力増強のための投資が手控えられるということであり、パウエル議長の主張と裏腹に、一旦2%に落ちたとしても景気が回復すればまたインフレが再燃する可能性も充分に有り得る。
景気の循環的な回復は恐らく2023年後半からと見られるため、来年中頃にインフレが沈静化したとしても、また物価が上昇を始めるリスクは無視できない。
日本は資源価格に関しては、契約の影響で時間差を以て最終価格に反映される(1ヵ月程度で改定されるガソリンは別だが)ため、値上げはこれからが本番である。
既に何社か企業決算が発表されたが、素材価格の上昇を転嫁できているところとできていないところ、両方出始めているが転嫁できている企業も全てを転嫁できている訳ではなく、企業業績の重石となりつつある。
従来、商品価格動向が業績に影響を与えない業種も、光熱費が業績を悪化させているケースも多く、最早、価格変動リスクの制御はある特定の企業に限った問題ではなくなっていると考えるべきである。
このとき、従来通りの数量削減では吸収仕切れない状態である。川下の価格に対する価格転嫁を進めつつも、先物や金融商品を用いたリスクマネジメントを検討することも重要な選択肢の1つだろう(安直に先物を使えば良い、というものでもなく、そのためには体制整備などの事前準備が必須)。
「減益見込み企業の約8割が「原材料高騰」を理由に(東京商工リサーチ)」
https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20221019_01.html
「原材料高、企業業績を圧迫(日経新聞)」
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO78607420Q1A221C2DTA000/
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