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米金融引締め継続再認識と中国ロックダウン懸念で軟調
  • MRA商品市場レポート

2022年10月31日 第2315号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「米金融引締め継続再認識と中国ロックダウン懸念で軟調」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品価格は米国の個人消費・所得・PCEデフレータが高い水準を維持したため、米国の金融引締め政策が変更されるわけではないことが改めて意識され、金利が上昇、広くインフレ資産価格を押し下げることとなった。

上昇したのは発電燃料やバッテリー向けの鉛など、冬場を意識した商品。世の中はニッケルなどの電池に注目が集まっているが、鉛は環境面での問題が指摘されていると同時に、世界的に既に用いられているバッテリー向けの金属であり、買いが入った。

先週まで買い戻しが入ってきた非鉄金属だが、中国の党大会の結果、独裁が進んでいることに伴う先行きの不安に加え、再び中国ではコロナの感染が拡大しており、ロックダウンがあるのでは、との懸念が強まったことで価格は下落した。

また、BBCが伝えるところではチベットで大規模なデモが発生しており、その映像が流出、同地域に限らず、習近平政権の政策に対する不満が国内で高まっていることを示唆する報道だった。

【本日の見通し】

週明け月曜日は、11月のFOMCを直前に控え、基本的にはポジション調整的な取引が主体になると予想され、高安まちまちの展開を予想。

月曜日発表される統計で注目は以下の通り。

10月中国製造業PMI 市場予想49.8(前月50.1) 中国非製造業PMI 50.1(50.6)

10月ユーロ圏CPI 前月比+1.2%(前月+1.2%) コア 前年比+5.0%(+4.8%)

10月シカゴ連銀製造業PMI 47.0(45.7)

【昨日のトピックス】

注目の米PCEデフレータは前月比+0.3%(市場予想+0.3%、前月+0.3%)、前年比+6.2%(+6.3%、+6.2%)と、ほぼ市場予想通りながら減速感が強まっていないことが確認された。

なお、コアについては前月比+0.5%(+0.5%、+0.5%)、前年比+5.1%(+5.2%、+4.9%)と前月から伸びが加速している。

一方で個人所得は前月比 +0.4%(+0.4%、+0.4%)と底堅く、支出も+0.6%(+0.4%、+0.6%)、インフレを考慮した実質前週比は+0.3%(+0.2%、+0.3%)と市場予想を上回る伸びとなり、物価上昇がありつつも個人消費が堅調であることが示された。

また、貯蓄率は3.1%(3.4%)と前月から低下しており、貯蓄を取り崩しながら消費を行っていることが明らかになっている。

この1週間の大きなテーマだった「金融引締めのやり過ぎ」が再び調整される可能性を意識させる内容だったといえるが、同時に、金融引締め過ぎの新興国経済への悪影響を考えると、一旦、様子を見たいというのがFRBの正直なところではないか。

ほどほどの統計を受けて、「12月」FOMCでの利上げの確率は50bpが45.6%と、前日の40.4%から上昇している。しかし注目は、75bpの利上げの可能性も16.3%と前日の8.7%から上昇している点だ。

11月のFOMCを受けて「金融政策の見通し修正の再修正」がある可能性が出てきた。ただ、基本的に金融引締めは継続するため、景気が悪化してリスク資産価格に下押し圧力がかかる、というのは引き続きメインシナリオだろう。

【昨日のセクター別動向と本日の見通し】

◆原油

原油価格は下落した。統計が強めの内容になるなか、買われ過ぎの反動で下落すると予想していたが、その通りの展開となった。

米統計がさほど悪くない中で、金融引締め観測は継続しつつ、景気の循環に従って水準を切り下げる、という流れは変わらないと考えられる。

しかし、当面はBrentは50日移動平均線(93ドル)をサポートラインとし、100日移動平均線となる99.40ドルがレジスタンスとして意識されるだろう。しばらくはこのレンジでの推移になるのではないか。

今後の比較的短期的な見通しは以下の通り。

現在はOPECの減産により、1.の状態に戻った。しかし11月頃から米国の増産が始まると予想されるため、早晩、2.に移行すると考えられる。また11月の米中間選挙で共和党が勝利した場合、化石燃料の増産には弾みが付くだろう。

ただ、そろそろロシア産原油の輸入制限が始まる見通しであり、主要なマーカー原油価格には上昇圧力が掛ることが予想され、景気減速に伴う価格下落を限定し、原油価格の下支え要因となろう。

ロシア産原油の禁輸に伴うタンカーの不足や航路変更の影響で、FOBとCIF価格の乖離(日本の場合JCCとドバイのスプレッド)が広がる可能性がある。

また、中国が強左の政権になったことから台湾有事のリスクは高まり、中東から日本への航路も旅程が長くなり、コスト増となってFOBとCIFの乖離を拡大する可能性が出てくるため(JCCとドバイ・オマーン、Brentなどとの乖離幅拡大)、今後の中国・台湾情勢はより注意が必要であり、ビジネスリスク・市場リスクを回避する意味で、米国などの同盟国からの調達を増加させる必要が出てくると考えられる。

<シナリオ別原油価格見通し>

1.戦闘状態が継続し、欧州をはじめとする西側諸国がロシア原油を段階的に禁輸とし、それが実行される(ないしはOPECプラスの減産)Brent 85-105ドル

2.1.の状態で産油国(非OPECプラス)が増産するBrent 80-100ドル

3.戦闘状態が継続するがロシアからの原油・石油製品供給が減少しないBrent 75-95ドル

4.3.の状態で産油国(非OPECプラス)が増産するBrent 70-90ドル

5.ロシアがウクライナから撤退上記見通しが各々▲5ドル程度低下

(ここから先は比較的中・長期のシナリオ)

6. 脱ロシア完了(西側諸国+OPECで完全にロシア産原油代替可能の場合)Brent 60-90ドル

7. 東西冷戦構造が構築されなかった場合(前回オイルショック時と同様に化石燃料の生産が増えて顕著な供給過剰となる場合)Brent 40-60ドル

※上記価格レンジは市場動向を反映して、逐次微修正している。

中期的な視点では、基本的には下りのエスカレーターに乗る中で、供給面の材料が価格を高止まりさせる、という見通し。ただし徐々に供給面の障害が緩和しつつある状況。

より長期となる2024年以降は、現在のインフレ抑制がどの程度進むか、脱ロシアがどのような形で収束するか、に依拠するためまだなんともいえないところ。

しかし、脱ロシアを継続する一方で、脱炭素も、ということになれば供給面の制限は続くため、原油価格は高止まりする可能性が高いと考える。

足下の脱炭素のための化石燃料採掘制限は、「今を生きる人々」の生活にマイナスに作用していると言わざるを得ない。100年後よりも今である。

Q422 需要の伸び減速・供給制限継続・金融引締め継続(↓)  想定よりも早くリセッション入りした場合(↓↓) Q123~Q123 需要の伸び減速・供給不足期 (→)      グローバル・リセッションの場合 (↓)Q323~Q423 需要減速底入れ・供給回復期 (↑)2024年以降 需要回復・脱ロシア進捗(非OPECプラスの増産) (↑)

※矢印の向きは価格の方向性。

週明け月曜日は、原油市場に影響を与える固有の材料に乏しいため、レンジワークになると考える。

◆天然ガス・LNG

欧州天然ガス先物価格は小幅に続伸した。欧州が天然ガス価格にレンジを設定する、と報じられたことが価格を押し下げていたが詳細がまだ不明であり、実効性への不透明感も有ることから、やや買い戻しが入った形。

ただし、タンクの余剰スペース不足、洋上待機LNG船数の高止まりなど、恐らく今年の12月頃までは気温の大きな変化がなければ供給に問題はなく、期近(スポット)価格を押し下げよう。

欧州のガス在庫は、仮に欧州が需要を▲15%削減することができれば、この冬は仮にロシアからの供給が停止したとしても充分な状況だが、弊社のシミュレーションだと11月一杯で過去5年平均を在庫が下回り始めると予想され、年末頃から価格に上昇圧力がかかると予想される。

ただし、▲15%の削減が本当に可能であればこの冬、過去5年平均を大きく下回る在庫減少にはならない。

しかし、厳冬になったりガス供給インフラに不慮ないしは故意の傷害が発生した場合はこの限りではない。

4月以降はラニーニャ現象収束が期待され、景気の減速から一旦ガス価格は水準を切下げると予想され、足下のガス調達への懸念は後退しているといえる。

しかし2023年の春先のガス在庫の水準が非常に低くなった場合、ノルドストリーム1・2が不稼働のままの可能性が高いことを考えると、2023年のガス調達は2022年よりも厳しい状態になると予想される。

ロシアの欧州に対するガス供給国としての地位は低下しており、現在、欧州向けのガス・フローはさらに減少している。これはロシア側が供給を絞ったというよりは、欧州側で足下、在庫積増しの需要が旺盛ではないことを示唆している。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

ただし、欧州最大のガス消費国であるドイツはLNGのターミナルを持たないため、少なくともあと数年は以下の対応が必要になる。

1.域内供給の増加2.その他の熱源の利用(風力、太陽光、石炭、原発)3.需要の削減

また、ガス供給の不足が原料としてのガス供給不足につながり、化学製品の供給途絶を通じて世界のサプライチェーンに影響を及ぼすリスクは小さくない。

現在の欧州の天然ガス・LNGのスポット価格変動要因を整理すると概ね以下に集約される。

1.脱ロシアの継続(スポットカーゴ価格の上昇要因)2.LNGターミナル・ガス田の不慮の停止3.西側消費国に対するロシアの嫌がらせ(価格の上昇要因)4.景気減速(価格下落要因)5.季節要因・気象状況(今のところ需要増加で価格上昇要因)

「脱ロシアの供給ソースの完全確保」が出来るまではスポット価格は高い水準を維持、脱ロシア完了後は下落、というのがメインシナリオとなる。

現在、2.に関して、米Freeport社のLNGターミナル火災による輸出停止リスク、ナイジェリアの洪水によるLNG輸出停止が顕在化している。

Freeportの再開予定は11月上旬から中旬、ナイジェリアは未定。あとは既述であるが、ノルドストリームの稼働が当面見込めなくなったことが挙げられる(これはむしろ3.に当たるか)。

3.は欧州で顕在化している状況で、ノルドストリームを巡るロシアの対応をみるにサハリン2も冬場に稼働を停止する可能性はある。

今回のノルドストリーム1・2の破壊は、ロシアの攻撃とした場合、以下がその背景となる。

・9月27日に開通した「バルティック・パイプライン(ノルウェー→デンマーク→ポーランド→欧州域内)」も「破壊可能である」との脅し。

・米国の圧力で開通していなかったノルドストリーム2は、パイプラインが1本残っているためこれを開通させる。

4.はもはやリスクではなく、顕在化している。

5.に関しては、今年の冬一杯、ラニーニャ現象が継続する見通しであり(米NOAAは9-11月が91%、2023年1-3月に54%を予想)しばらく気象状況はガス価格にプラスに作用することが予想される。

LNGのタンカーレートはスエズ以東・以西とも高い水準でほぼ横這い。

10月10-16日のLNGトレードは、740万トン(前週745万トン)と減少、スポットLNGカーゴのシェアは20%(23%)と低下した。日中台韓向けのカーゴは10万トン増加したが、南アジア向けの供給が減少した。

欧州向けのLNGカーゴは、北西報酬向けが190万トンと前月から+58%の増加となった。米国、カタール、「ロシア」からの供給増加で。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

米国天然ガス先物は小幅に続落。北米の気温上昇見通しが価格を押し下げている。

また、米国のガスHDDは低下しており、過去5年レンジを下回っている。足下の暖房需要が例年を下回っていることが足下の価格下げの要因。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

JKM先物は期近が変わらず、期先は上昇した。今年の冬の調達不安は気温の急低下がなければ充分、という状態になりつつあるが期先に関しては今年の冬場の状況によっては在庫積み増しが困難であるため、高い水準を維持している。

9月の中国の天然ガス輸入は前年比▲4.4%の1,015万トン(前月▲15.2%の885万トン)と前年比での減少幅を縮小させており、調達が増加している。マイナス幅の縮小は主にパイプラインでの輸入増加に起因する。

とはいえLNG輸入は前年比▲12.6%の590万トン(前月▲29.0%の472万トン)と前年比のマイナス幅を縮小させながら、冬場に向けた調達増加が確認されている。

パイプラインベースの輸入は前年比+9.7%の425万トン(+9.0%の413万トン)と輸入の伸びが増加。

中国国内の天然ガス生産は9月は+4.1%の164億立方メートル(前月+7.0%の169億8,000万立方メートル)と伸びは鈍化したが、過去5年の最高水準を上回る生産が続いている。

中国の経済活動は鈍化し、発電向けの需要は減少しているとみられたが、気温の低下もあり需要が増加している可能性が高まっている。

実際、ロシアなどから取得したLNGの転売を制限するなどの措置が取られているため、想定よりも中国国内の需給がタイト化し、スポットLNG価格などの押し上げ要因となる可能性ができてきた。

※中国のガス統計は、データソースや単位換算で数値が一致しないことがあります。予めご容赦ください。

サハリン2中長期的な観点では以下の2点が意識すべきリスクとなる。ただ、ノルドストリームの破壊工作報道をみるに、「欧州と米国に協力するならば、日本にもLNGを供給しない」という可能性も残るため、短期的なサハリン2リスクは上昇している。

1.ロシアが契約を一方的に履行しない場合はスポット市場で調達せざるを得ず、その場合は調達コストが3倍~4倍に上昇し、コスト増加は最大で1兆円/年を超える

2.仮に契約が継続したとしても欧米からのメンテナンスのための部品がなければ、LNGプラントの稼働が困難になり、生産量が自然に減少してしまう

10月23日時点の日本の発電用LNG在庫は256万トン(前年同月末207万トン、2017~2021年平均239万6,800トン)と増加、この時期の過去5年の最高水準であり、足下、在庫は潤沢。

日本も欧州と同様で、冬場のフローの確保が重要になる。日本の場合長期契約の比率が高いため調達に問題ないと考えるが、欧州・ロシア情勢次第でロシアが嫌がらせをしてくる可能性は排除できない。

また、今年の冬を乗り切れたとしても来年の夏以降の調達への懸念が払拭されている訳ではなく、先物の期先の価格は高値を維持しよう。

週明け月曜日は、足下の調達一巡を受けて期近は低水準での推移が続くが、期先は高止まりした状態が続くと考える。

今年の冬は、どれだけ欧州が需要を削減できるかどうかがポイントだが、ガスの供給元の1つである米国の気温が平年よりも高いことは、欧州のガス調達の助けとなる。

とはいえ、▲15%~▲20%の需要削減ができなければ、来年の春のガス在庫の水準は例年を下回ることが予想され、2023年のガス調達はより厳しい状態になるリスクがある。引き続き、冬場の気温次第だ。

なお、冬場の調達がある程度目処が立つ3月頃から、景気や気温、ラニーニャ現象終了を織り込んで水準を切下げるとみているが、上述の理由から下値も堅かろう。

※LNGの数量とガスベースの換算レートは、注記がなければBP提示の数値を使用している。 1トン=1,360立方メートル 1BCF=28百万立方メートル 1Gwh=10.55百万立方メートル=1,055万立方メートル 1Mwh=10.55千立方メートル

◆石炭

豪州石炭スワップは期先が小幅に上昇した。

この数週間、石炭価格とガス価格の間にはそこまで明確な価格の相関性は確認されていないが、脱ロシア問題は来年も続き、ロシア産以外の高カロリー炭を求める動きが続くため、価格の絶対水準が切り上がっている状況。

ロシアの体制変更があり、より穏健で、西側諸国が付き合うに足る国にならない限り、ロシア炭が市場の需給を緩和する方向には働き難い。

9月の中国の石炭輸入は原料炭・燃料炭合計で前年比+0.5%の3,304万8,000トン(前月+5.0%の2,945万6,000トン)と高水準を維持し、過去5年レンジを上回った。

国別ではインドネシアからの輸入が前月比+296万トンと大幅に増加、モンゴルも+30万トン増加している。一方でロシアからの輸入は▲223トンと減少している。

冬場に備えた調達が再開されたことは、海上輸送炭市場需給のタイト化に繋がる。豪州からは引き続き輸入していないが、巡り巡って海上輸送炭市場のタイト化に寄与しよう。

9月の中国の石炭生産は、前年比+15.7%の3億8,672万トン、1,289万トン/日(前月+10.5%の3億7,000万トン、1,195万トン/日)と大幅に増加、同じ時期の過去最高水準を上回っている。

海外からの輸入がほぼ不用になる政府目標(1,260万トン/日)を上回っているが輸入が増加しており中国国内の需給がタイト化している可能性が出てきた。

もしくはロシアに対する「応分の協力」で輸入を増加させたため、生産が調整された可能性がある。

現在は中国国内と海上輸送炭市場は分離しているが、中国が経済対策を実行し、冬場のリスク回避姿勢を強めた場合、海上輸送炭市場に影響を及ぼすリスクは無視できないだろう。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

現在、ロシア炭を西側諸国が使うことはできないため、いわゆるコストカーブの「低価格帯」がごっそり抜け落ちた形となっている。そのため、ロシアを抜いた需給バランスが豪州炭価格を押し上げている状況。

期先の価格をみるに、2022年初の限界生産コストは125ドル程度だったが、現在は270~300ドルであり、これが低下するには需要の減少か鉱山生産の増加が必要条件となる。

10月に入ってからの水準切下げは期近のみではなく期先が下落得しているため、景気が減速するなかでの石炭需要減速を織り込み始めたと考えられる。

しかし、「脱ロシア」を進める中では高カロリー炭の需要は継続する見込みであり、かつ、欧州は石炭活用に舵を切っていること、欧州がこれまで行ってきた脱石炭への強制的な取組みにより、供給能力は制限されていることから、下がっても250ドル程度が基準となってしまう。

仮にロシアへの制裁が解除されれば、下落時の価格は現在の期先の価格ではなく、125ドル程度になるが、当面それは見込み難い。

異常気象に伴う事故も多く、少なくとも今年の冬のピークシーズンの間は流動性リスクが高い状態が続きそうだ。

週明け月曜日は、新規手掛かり材料に乏しい中、現状の高値水準を維持すると考える。

ロシアとの対立やそれに伴うインフレ発生、その抑制のための金融引締めで欧州はスタグフレーションに陥っており、冬場が終了した場合にはラニーニャ現象の収束と合わせて水準を切下げる公算。

ただし、恐らく来年も発電燃料調達を巡り、厳しい状況は続くと予想されるため下落しても余地は限定されるとみる。

◆非鉄金属

LME非鉄金属価格は続落。米ドルが上昇したこと、中国でコロナの感染が再び拡大し、ロックダウンの懸念が強まったこと、チベットで大規模なデモが発生したことなどが同国経済の悪化懸念を強め水準を切下げた。

9月の中国の貿易統計では、ベンチマークである精錬銅の輸入は前年比+25.6%の50万9,954トン(前月+26.4%の49万8,189トン)と前年比では高い伸びを維持し、過去5年平均を上回った。

一方、銅鉱石の輸入は前年比+7.7%の227万3,426トン(前月+20.1%の226万9,858トン)と過去5年の最高水準を上回る状態が続いている。

中国政府の経済対策期待や電力供給障害の解消、TCが高止まりしていることなどが材料になったとみられる。

8月の銅スクラップの輸入は前年比+19.1%の15万4,636トン(+3.9%の15万5,169トン)と低迷、過去5年平均は上回っていない。

精錬銅の輸入の水準が過去5年平均を回復、鉱石輸入も増加していることから中国国内の需要が回復していると考えられる。実際、工業生産や固定資産投資は前年比での上振れ幅を拡大している。

しかし、固定資産投資の伸びはその多くが公的需要であり、政策の支援がなければ回復持続は困難といえるだろう。

また、3期習近平政権はイデオロギー重視で経済通・市場経済推進派がおらず、かつ、他派閥が政策メンバーにほぼいないことから政策のチェック機能が低下し、経済合理性に乏しい政策が遂行される可能性があること(ゼロコロナ政策など)、さらには台湾問題などの対応を優先する可能性が高いことから、2023年以降の銅需要は落ち込む可能性があり、需要・価格のリスクは下向きだ。

今後の非鉄金属価格動向は、短期・中期・長期で分けて考える必要がある。

短期的に非鉄金属価格が上昇するには、

1.中国の経済活動が回復すること(必要条件)

2.株価が上昇すること

3.期待インフレ率が上昇すること

が必要となるが、現在、1.は中国の経済統計をみるに、これまで党大会のために遮二無二行ってきた経済対策の効果が顕在化していることが、統計で確認された。

しかし、習近平独裁で同国の経済政策への期待は低下しており、党大会も終了したことから1.は今後剥落が予想される。

2.については米金融引締め減速観測が強まったことでプラス、3.も同様である。しかし1.の期待剥落の影響が大きいため、結局非鉄金属価格は現状水準を維持となる。

中期的には景気の循環によって、恐らく来年のQ223~Q323あたりが景況感の底になると考えられ、そのあたりまでは調整圧力が掛かり頭重い推移に。

世界景気が在庫の投資循環サイクル通りに起きることを前提とすると、特段政府が対策を行わなかった場合(自然体の場合)、景気後退入りはQ323からとなるため、Q323~Q423が景気の底になる可能性もあり、この場合はQ124~Q224に回復基調に戻る展開が想定される。

ただし、IMFが経済見通しで指摘しているようにインフレ沈静化に時間が掛れば、長期的に引締め的な金融政策が世界で継続、特に財務体力がなく、同時にインフラ向け投資の潜在需要が大きな新興国の需要を減じると見られるため、この場合は価格の回復はさらにずれ込むことがリスクとして意識される。

また新興国の景気のクラッシュがなくとも、2023年は最大消費国である中国で「財政の崖」が発生するリスクがあるため、いずれにしても2023年の価格のリスクは下向きである。

長期的には脱炭素、脱ロシア、中国・インドの「W人口ボーナス期」入り、東西の緩やかな分裂に伴うサプライチェーン再構築のためのインフラ投資継続、といった材料を考えると、鉱物資源需要は増加して価格には構造的な上昇圧力が掛かると考えるのが妥当だろう。

早ければ来年後半から、再び長期的な上昇トレンドに入ることになると予想している。

価格上昇にキャップがかかるとすれば、「脱炭素向け需要の過熱で価格が高騰し、脱炭素シフトができなくなる場合」「資源が足りなくなる場合」が逆説的だが有り得るシナリオ。

週明け月曜日は、中国で再びゼロコロナへの懸念が強まっていること、米金融政策の修正の微調整の可能性が高まっていることから、軟調推移を予想。

◆鉄鋼・鉄鋼原料

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは下落、大連先物は上昇、豪州原料炭スワップ先物は横這い、大連原料炭価格は下落、上海鉄筋先物は大幅に下落した。

最大消費国である中国は習近平の独裁が進み、ゼロコロナ政策も堅持される方向性が示されているが、再び中国全土で感染が拡大していることが景気への懸念を強めたことが材料。

9月の中国の鉄鋼製品の輸入は前年比▲29.3%の89万82トン(前月▲15.7%の89万3,460トン)と低迷が続き、同じ時期の過去5年の最低水準を下回る状態が続いている。そもそも中国国内の粗鋼生産能力が高く、粗鋼生産の回復が輸入を阻害したと考える。

9月の中国粗鋼生産は前年比+17.9%の8,695万トン(前月+0.8%の8,387万トン)と回復し、過去5年平均を上回った。中国政府は2022年の粗鋼生産を2021年実績を上回らないようにする計画。

9月の鉄鋼製品の輸出は前年比+1.2%の498万トン(前月+21.8%の615万2,910トン)と前年ベースでの伸びが急減速した。政府の経済対策期待と、国内製品在庫水準の低さが輸出を鈍化させているとみられる。

9月の鉄鉱石の輸入は前年比+4.3%の9,971万トン(前月▲1.3%の9,621万トン)と前年比でプラスに転じ、過去5年平均を維持した。

ロックダウン解除後も経済活動の回復は緩慢だが、中国政府の対策期待や製品在庫の低さから、先々の鉄鋼製品在庫積み増しに備えた動きが見られているためと考えられる。

週末発表の在庫統計は、鉄鉱石在庫が前週比+80万トンの1億3,200万トン(過去5年平均 1億3,617万トン)、在庫日数は28.0日(+0.2日、過去5年平均30.6日)。

鉄鋼製品在庫は▲56万7,000トンの1,094万3,000トン(過去5年平均1,135万5,000トン)、原料炭在庫は▲15万トンの92万トン(131万トン)、在庫日数は▲0.7日の3.5日(過去5年平均5.5日)。

鉄鉱石、原料炭ともやや在庫はタイトな状態になっている。

中国の不動産セクターは低迷しており、人口動態的に中長期的に成長ペースが鈍化する可能性は高い。

直近発表された不動産販売・開発などの統計は同国の不動産市場が回復していないことを示唆している。

不動産セクターが不調だと中国地方政府の重要な財源である不動産関連収入が減少するため、何らかの対策を行わなければ、中国経済がスパイラル的に悪化する可能性が出てくる。

この状況で不動産セクターのテコ入れをすることは非常に議論が割れるだろうが、現状は対策実施は不可避の状況と整理するのが適切だろう。

なお、中国政府は不動産業を救済するよりは信用不安の拡大にならないよう、金融機関の支援(資本注入)を優先すると考えられ、リーマン・ショックのような信用不安の連鎖的な拡大リスクは「今のところ」回避できると見ている。

基本は鉄鋼製品価格で説明可能なブレーク・イーブン価格程度までの下落はあろうが、相場がオーバーシュートすることも多いため、その場合、期先の価格が参考になる。足下、鉄鉱石では75ドル程度、原料炭は230ドル程度となる。

週明け月曜日は、中国景気の先行き不透明感が強まっている中で、またしてもゼロコロナによるロックダウンへの懸念が強まっていることから、水準を切下げる展開を予想。

◆貴金属

昨日の金価格は下落した。米統計を受けて調整的に長期金利が上昇、実質金利も上昇したこと、ドル高も進行したことが材料。

銀価格は金価格に連れ安、PGMは株価の上昇はあったが、週末を控えた利益確定売りに押された。

金の基準価格は▲12ドルの835ドル、リスク・プレミアムは▲7ドルの810ドル。

仮に過去5年平均程度にリスク・プレミアムが回帰するとすれば260ドル程度が過去5年平均でありこの水準までの回帰があれば、金価格は1,000ドル程度までの下落余地があることになる。

ETFの管理残高と金価格の間には高い相関性が見られるが、過去10年のデータを元にするとここまでの下落の場合、現在のETFの管理残高の凡そ半分に当たる金が流出する必要がある。

現在の金基準価格の下落とリスク・プレミアムの上昇は、異常なペースで進む政策金利の上昇によるものであり、恐らく来年のはる頃には利上げペースが減速、実質金利も低下して基準価格は切り上がり、リスク・プレミアムは低下すると見られるため、1,000ドルまでの下落は恐らく起きないと考えられるが、1,200ドル程度までの下落リスクは有り得るのではないか。

大規模プレイヤーの金市場からの退場は、ETFの他、各国中央銀行の金準備売却のいずれかとなるが、後者が戦争や制裁による国の資金繰り悪化で金を売却せざるを得ないときに恐らく限定されることを考えると、引き続きETFの動向が重要になる。

足下、金価格に対して説明力が高いのは期待インフレ率そのものであり、金融政策動向、原油価格動向、QTの動向が影響していることが分かる。

Q422の弊社予想原油価格を元に期待インフレ率・金価格の推定を行うと1,650ドル程度が予想され、金融引締めがあっても下げ余地は比較的限定されることになる。

銀価格は、投機的な動きに価格が左右されやすくテクニカル分析が比較的有効に機能する。

景況感を材料に金銀レシオが決まり、金融引締めをして景気を減速させようとしている状況だと、基本的には供給過剰で工業向けの金属である銀は、対金で割安に推移しやすい。

やや緩和的なスタンスにシフトしたかと思われた金融政策は、再び引締め気味にシフトしていることが実需減速懸念を高めており、銀価格を下押ししている。

週明け月曜日は、米国の金融政策方針修正の微調整で実質金利に上昇圧力が掛ると思われることから、水準を切下げる展開になると予想。

ただし、FOMCを控えているため、ポジション調整的な取引が主体で大きく水準が変わることにはならないと思料。

◆穀物

シカゴ穀物市場は総じてやや軟調。米金融引締め政策は維持される、との見方から金利上昇とドル高が進行したことが背景。

9月の中国の大豆輸入は前年比+12.2%の772万トン(前月▲24.5%の716万6,000トン)と急回復したが、過去5年平均は下回っている。

現在、中国の輸入大豆の港湾在庫水準は604万8,650トンと、過去5年レンジを下回る水準であり、調達意欲が旺盛とみられる。国内の豚肉価格が上昇していることも生産増加の必要があり、大豆輸入増加に寄与していると考えられる。

今後は冬場のラニーニャ現象がアラビア半島・北アフリカ周辺に降雨をもたらしており、サバクトビバッタの大量越冬を可能にするため、2023年にかけて穀物供給リスクが来年まで継続する可能性がある。

なお、今のところバッタの大量発生は確認されていない。

また、ロシアのウクライナ侵攻は終了の気配が見えず、11月19日が期限とされるウクライナ穀物の輸出合意が延長されるかどうか不透明であり、中・長期的なリスクは引き続き上向きと考えている。

週明け月曜日は、米国の金融政策方針修正の微調整で実質金利に上昇圧力が掛ると思われることから、水準を切下げる展開になると予想。

ただし、需給ファンダメンタルズはタイトであること、また、ただし、FOMCを控えているため、ポジション調整的な取引が主体で大きく水準が変わることにはならないとみる。

※中長期見通しは、7月・11月にリリースの商品市場為替市場動向見通しをご参照ください(有料)。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【マクロ見通しのリスクシナリオ】

・ロシア暴発による核ミサイル使用、それに伴う東西の全面戦争の勃発(可能性は極めて低いリスク)。

・資源価格(電力価格を含む)の上昇による市場取引のマージンコール上昇で、マージンコールを差し入れられない市場参加者がポジションを外し、市場が機能しなくなる場合(LMEニッケルで見られたような事態が発生して市場が混乱する場合)。

追い証の負担増加に耐えられず、連鎖的にエネルギー企業の倒産が発生する可能性。

・米国経済が正常化する中で金融引き締めが加速、経済をオーバーキルしてしまった場合(価格下落要因)。

また、米国の金融引締めが新興国経済(特に、中東、北アフリカ、東欧、中南米など)に打撃を与える可能性(既に顕在化か)。

インフレ抑制が上手くいかず、スタグフレーション状態が長期化する場合。

・習近平国家主席の独裁体制構築による同国の景気減速リスク。台湾・尖閣を含む有事発生の懸念(リスク資産価格の下落要因となるが、日本にとってはCIF上昇で調達コスト上昇要因に)。

2022年の中国党大会を経て、ゼロコロナ政策継続の可能性が高まったことからロックダウン発生の可能性は排除できず、中国景気がハードランディングするリスク(工業金属などの景気循環系商品を筆頭に、リスク資産価格の下落要因)。

一連の「締め付け強化」に対する中国各地での暴動発生。

・渇水、猛暑厳冬、発電燃料供給不足による工場稼働停止や消費低迷で景気が減速する場合(リスク資産価格の下落要因)。

・脱炭素・脱ロシア進捗による資源需要の高まりによる価格上昇や、資源の供給不足、ロシアの意図的な供給停止(枯渇のリスクも)が発生し、経済活動が抑制される場合(価格上昇→景気減速による価格下落リスク)

・米中対立激化にロシア問題も加わり、緩やかな新冷戦構造が発現しブロック経済圏が発生して貿易活動が鈍化する場合(既にメインシナリオ)。

台湾有事の発生(リスク資産価格の下落要因)。

・自由主義国vs専制主義国の対立加速、自国内の混乱などを理由に急に「手打ち」となった場合(景気のポジティブリスク・中国がさらに力を付け、将来米中が武力衝突するリスク)。

・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。

逆に脱炭素に向けたインフラ投資の加速で資源価格が急上昇、金融緩和マネーが大量に市場に滞留する中でハイパーインフレとなるリスク。

・次の成長ドライバーとして期待されるインド経済が、期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。

2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2023年後半~2024年頃。

・日本政府の財政規律感の欠如による、実質的な日銀による財政ファイナンスにより海外からの信認が低下、円が暴落して先進国市場に混乱をもたらす場合(徐々に顕在化している可能性があるリスク要因)。

◆本日のMRA's Eye


「中国を巡る食品調達のリスク」

中国で党大会が閉幕し、多くのチャイナ・ウォッチャーの予想に反して習近平国家主席は党執行部を全て習派で独占し、実質的な独裁体制を整えた。

こうなった背景の詳細な分析は中国分析の専門家に譲るが、恐らくこれまで政敵を「脱腐敗キャンペーン」と称して次々と失脚させて現在の地位を固めたこともあり、中国の歴史上多くのトップがそうであったように自身の周りを腹心で固めておかないと不安ということの現れではないだろうか。

また、中国経済が外部から見る以上に厳しい状況にあり、習近平国家主席への求心力を高めなければこの難局を乗り切れないかもしれない、との共産党の総意だった可能性もある。

今回の党大会では、ゼロコロナ政策の悪影響や不動産市況の悪化といった国内情勢不安を背景に国民の目を海外に向けようとするためか、あるいは毛沢東もなし得なかった台湾併合を達成し中国史に名前を残したいと習氏が考えたからか、あるいはその両方か。

本当のところは分からないが、台湾に対する武力行使を否定しなかった。ただ習氏は、台湾併合は中国の安全保障に資すると判断している可能性がある。

中国は大陸国家ながら、多くの資源や食品の輸入を海外からの海上輸送に頼っている。現在、世界の海上覇権を握っているのは米国であり、太平洋の西側も米国の監視下にある。

そのため仮に米国が海上を封鎖した場合、中国の食品やエネルギーの輸入に影響が出て、深刻な食糧・エネルギー問題が発生する可能性があるのだ。

中国は一大農業国であるが、近代化の過程で農村部人口が減少して労働力が不足している。その中で食の西欧化による穀物消費量が増加、肉類消費の増加も特に穀物需要に影響を及ぼすようになり、自国内の生産だけでは充分ではなくなってきている。

中国の主要穀物(小麦、トウモロコシ、コメ)の自給率(本稿の場合、生産量を生産量+輸入量で割ったものを自給率としている)を米農務省のデータを元に算出すると、2007-2008年の自給率は小麦が100%、トウモロコシが100%、コメが99.7%とほぼ自給できていたのだが、2022-2023年の自給率は小麦が93.6%、トウモロコシが93.8%、コメが96.7%に低下している。

この状況で、トランプ前大統領が対中制裁強化を決定、関税が強化された。

この時期から中国の穀物輸入は増加しているが、米国との対立で海上輸送が困難になり、食料品の確保が今案になるとの懸念が強まったことが背景にあるのではないか。

中国がどれだけ穀物在庫を積み上げてきたかを世界在庫にシェアで見て見ると2022-2023年は小麦が53.8%、トウモロコシが67.2%、コメが63.0%になると予想されるが、米中対立が始まる前の2016-2017年のシェアは小麦が42.5%、トウモロコシが63.4%、コメが65.5%と、コメ以外の在庫シェアは来年の見通しよりも低い水準だった。

中国共産党は毛沢東時代に発生した飢饉の苦い経験から食料品供給不足の発生を警戒していても当然だが、14億人を飢えさせないようにすることは簡単ではない。この時、中国は米国産農産品の輸入増加で合意していたが、どちらかと言えば食料の安全保障の観点から在庫を積み増ししたと考える方が妥当ではないか。

なお、大豆に関しては自国内で供給が充分ではなく、自給率は15.8%程度に止まる見込みであり、今後も輸入依存度は高止まる公算。

大豆を絞ったもので作られる大豆ミールは中国人にとって重要な豚の飼料に用いられるが、この大豆ミールの原料である大豆だけは海外からの調達に頼らざるを得ない。

輸入先は主に米国とブラジルである。大豆の米中対立前の2016年暦年の輸入シェアはブラジルが45.7%、米国が40.4%とほぼ同量だった。しかし、2021年はブラジルが60.2%、米国が33.5%と明らかに米国からの調達を減らしている。

このことは中国が米国との対立のリスクを考慮し、中国と対立しないと考えられる中立国からの輸入を増やしていることを示唆するものである。

今後、米中の対立が意識される中で、中国は穀物を含む在庫の積増しと国内生産増加を強化すると考えられる。輸入を増加させる場合、日本が中国に買い負けるという可能性も出てくる。

またそれだけではなく東西対立が厳しくなった場合、中国が日本に対して食料品の輸出を停止する可能性も有り得る。

日本の食料品および動物輸入の中国依存は高く、金額ベースでは2022年8月までの年初来累計で米国(24.5%)に次ぐ2位の13.4%となっている。今後、国防やエネルギー調達の安全保障ばかりではなく、こうした食料調達の安全保障についても一考する必要が出てくるだろう。


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