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英減税撤回と米統計軟調で買い戻し
  • MRA商品市場レポート

2022年10月4日 第2296号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「英減税撤回と米統計軟調で買い戻し」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品価格はその他農産品や非鉄金属、発電燃料価格が下落したが、液体エネルギーや貴金属などが大幅な上昇となった。

英国が減税措置を撤回したことで英ポンド高・ドル安となり、各国の長期金利も低下したことが実質金利を押し下げ、広くインフレ系リスク資産価格を押し上げる中、OPECが大規模な減産を検討していると報じられたことが原油高を誘発し、大幅な上げとなった。

また、米ISM製造業指数が市場予想を下回るやや弱めな内容となったことも、米国の金融引締めペースの減速観測を強めたことがファイナンシャルな面で価格を押し上げた。

実際、WSJは国連が各国中央銀行に利上げ停止要請をした、と報じており、これまでの利上げ一辺倒の状況からやや様相が変わった可能性がある。

しかし、ここで金融引締めペースの手を緩めることは、これまで積み上がった量的緩和規模が維持されることになり、バブルを再び先送りすることになる可能性があるため、FRBもこの要請に軽々に応じることはないのではないか。
(WSJの記事)
https://www.wsj.com/articles/u-n-calls-on-fed-other-central-banks-to-halt-interest-rate-increases-11664809202

【本日の見通し】

本日は、米ISM製造業指数が鈍化したことで金融政策の引締めペースが緩和する、との期待から上昇する商品が目立つと考える。

しかし同時に複数のFOMCメンバーの講演や挨拶が予定されており、この統計を受けて金融政策に関してタカ派的な発言をすれば下落し、仮に「良い兆候が見られている」といった趣旨の発言があれば、価格はさらに上昇しよう。

本日発表の統計で注目は、ユーロ圏PPIとは米製造業受注。

8月ユーロ圏PPI 市場予想 前年比+43.2%(前月37.9%)8月米製造業受注 前月比±0.0%(▲1.0%)除く輸送機器 前月比+0.2%(▲1.1%)

【昨日のトピックス】

◆製造業PMI

先週末発表された9月の中国製造業PMIは50.1(市場予想 49.7、前月49.4)と市場予想、前月とも上回り小幅な経済活動音再開を確認する形となった。ソフトランディングを目指す中国政府の対策効果(財政出動や金融緩和)が功を奏したと考えられる。

調査対象業種の21業種のうち、食料品、製茶、医薬品、鉄鋼製錬・圧延など幅広い業種で生産の改善が確認されている。

内訳を見ると、需要の指標である新規受注は49.2→49.8と回復、輸出向け新規受注は48.1→47.0と減速している。このことは、海外が金融引締めや循環的な景気減速の影響を受け、人民元安の中でも需要が減速している一方、国内は公共投資などの公的需要が旺盛だったことが窺える。

国際価格は下落しているが、人民元安の影響もあり、投入価格は上昇(44.3→51.3)、販売価格も47.1(44.5)とじわりとコスト上昇分が反映された。しかし国内需要の回復は鈍いと考えられ、上昇は抑制されている。

需給状況の指標である新規受注在庫レシオは新規受注の回復(49.2→49.8)と、生産再開による製品在庫の増加(45.2→47.3)、原材料在庫の減少(48.0→47.6)を受けて完成品が1.053(1.088)、原材料が1.046(1.025)と完成品が低下、原材料が上昇している。製品需給は緩和、原料需給はタイト化しているとみられる。

規模別の製造業PMIを見てみると、大企業が51.1(50.5)、中堅企業が49.7(48.9)、中小企業が48.3(47.6)と全ての規模で回復した。しかし中堅・中小企業の景況感は閾値の50を下回っており、まだ状況は厳しい。

9月は季節的に需要が回復しやすい月だが、10月は国慶節の大型連休があることから生産活動は抑制されると予想され、世界的な景況感の悪化を受けて需要の戻りは緩慢とみられる。ただ、政府の対策効果が徐々に顕在化しているため、景況感としては若干改善、という感じだろうか。

◆鉄鋼業PMI・建設業PMI

9月の中国鉄鋼業PMIは総合指数は46.6(前月46.1)と2ヵ月連続で回復した。しかし好不況の閾値である50を下回っており、全体の回復は遅れている状況。

内訳を見ると新規受注が輸出向けが人民元安で回復(51.6→52.8)したことを受けて全体でも45.3(43.1)と回復しており、方向性としては回復感が出始めた。

在庫は完成品(31.9→34.7)、原材料(40.4→37.0)と製造業PMIと似ているが、生産活動の回復に伴い原材料の取り崩しが発生し、それに伴い在庫が増加する流れとなっている。

価格に対する説明力が高い新規受注在庫レシオは完成品が1.31(1.35)とやや緩和、原材料が1.22(1.07)とこちらはタイト化している。恐らく製品価格は高止まり(在庫は増えたがまだ閾値の50を下回っているため充分ではなく、価格高止まり)、原料価格の上昇が見られるだろう。

住宅セクターの指標である建設業PMIは60.2(56.5)と大幅な回復となったこの水準は2021年8月以来である。中国政府の住宅バブル潰しが経済全体を不安定にしているため、それを沈静化させる目的で実施されている公共投資や金融緩和が奏功しているとみられる。

しかし、住宅バブル抑制が中途半端に終った場合、住宅バブル問題を先送りすることになるため先行きの不透明感が高まっていることは拭えない。

【昨日のセクター別動向と本日の見通し】

◆原油

原油価格は上昇した。OPECプラスが▲100万バレルを超える減産を検討していると伝えられたことで、供給のタイト化観測が強まったため。

しかし、ISM製造業指数が市場予想を下回ったことから引けに掛けては上げ幅を削る展開となった。

解釈が難しいが、これまでは「需給ファンダメンタルズ>金融要因」だったものが「需給ファンダメンタルズ<金融要因」となり転換点を迎え、景気の減速に焦点が当たり始め、しばらくドル安と原油安が発生する可能性が出てきた。

景気減速が明確になれば、OPECプラスの減産効果は薄まることになる。▲100万バレルの減産を達成するにはサウジアラビアの決断が必要になる。

前回コロナ・ショック時以降のOPECプラス減産による価格上昇は、

1.大規模経済対策で景気が回復基調にあったこと2.想定よりもかなり早くワクチン開発に成功し、経済活動が早期に回復したこと3.減産を渋っていたロシアをサウジアラビアが押さえ込み、OPECプラスが大幅減産を成功、OPECプラスの信頼(供給者として信用できるという意味ではない)が回復したこと

が価格上昇に寄与した。

しかし今回は景気が減速する局面であり、3.が達成できたとしても効果が減じられ、最終的にはOPECプラス諸国が外貨獲得競争に陥り、OPECプラスが増産に踏み切るという展開はありえる。この場合価格は大きく下落することが予想される。

価格は供給よりも需要の動向、景気動向が左右するため、最大消費国である米国が強い意志を持って金融引締めを継続している以上、基本的に価格は中期的に下落すると予想される。

欧州各国はロシア産原油価格に上限を設定しようとしているが、こうした良いとこ取りをロシア側が認めるかどうかは不透明であり、ロシアとの取引を断絶していない中立国(中国やインド、OPECプラスメンバーである中東諸国など)経由で西側諸国が原油を購入するルートはまだ残ると考えられる。

価格に上限を付けたとしてもそれが機能するのは供給過剰の時のみである。

今後の比較的短期的な見通しは以下の通り。

現在は2.の状態にある。しかし、エネルギー不足に喘ぐ欧州がロシア産原油を容認する動きがみられ始めており、3.に移行する可能性が出てきた。

さらに米国がSPRを放出するなどの「追い打ち」を掛けているため、4.ヘの以降も有り得る状況。結局、景気が悪化する局面では供給制限が余りに顕著でない限りは価格は下落する、ということである。

<シナリオ別原油価格見通し>

1.戦闘状態が継続し、欧州をはじめとする西側諸国がロシア原油を段階的に禁輸とし、それが実行される(ないしはOPECプラスの減産)Brent 85-105ドル

2.1.の状態で産油国(非OPECプラス)が増産するBrent 80-100ドル

3.戦闘状態が継続するがロシアからの原油・石油製品供給が減少しないBrent 75-95ドル

4.3.の状態で産油国(非OPECプラス)が増産するBrent 70-90ドル

5.ロシアがウクライナから撤退上記見通しが各々▲5ドル程度低下

(ここから先は比較的中・長期のシナリオ)

6. 脱ロシア完了(西側諸国+OPECで完全にロシア産原油代替可能の場合)Brent 60-90ドル

7. 東西冷戦構造が構築されなかった場合(前回オイルショック時と同様に化石燃料の生産が増えて顕著な供給過剰となる場合)Brent 40-60ドル

※産油国の増産は、鍵となるイランで130万バレル、ベネズエラで50万バレル程度を想定している。

※上記価格レンジは市場動向を反映して、逐次微修正している。

長期的な視点では、基本的には下りのエスカレーターに乗る中で、供給面の材料が価格を高止まりさせる、という見通し。ただし徐々に供給面の障害が緩和しつつある状況。

2024年以降は、現在のインフレ抑制がどの程度進むか、脱ロシアがどのような形で収束するか、に依拠するためまだなんともいえないところ。ただし想定よりも景況感の悪化速度が速い様に感じる。

Q422 需要の伸び減速・供給制限継続・金融引締め継続(↓)  想定よりも早くリセッション入りした場合(↓↓) Q422~Q123 需要の伸び減速・供給不足期 (↓)      グローバル・リセッションの場合 (↓↓)Q323~Q423 需要減速底入れ・供給回復期 (→)2024年以降 需要回復・脱ロシア進捗(非OPECプラスの増産) (↑)

※矢印の向きは価格の方向性。

本日は、OPECプラスの減産報道、金融要因、米国の景気減速観測が交錯する中、現状水準でのもみ合いを予想する。

◆天然ガス・LNG

欧州天然ガス先物価格は続落。在庫積増しの進捗の影響で、ノルドストリームのパイプライン破壊工作報道を受けて反射的に買い戻しが入ったが、既にノルドストリームは停止しているため、足下の在庫積増しによって在庫が潤沢であることから、再び売りが入った。

欧州全体の在庫水準が95%まで積み上がった場合、ガス在庫はLNGと合わせて凡そ1,100億立方メートル程度となる(LNG在庫の数量データを、「ガス化前の液体の容量」として誤って計算しておりましたため、実際の数量よりも過大に在庫を見積もっておりました。大変失礼いたしました。謹んで訂正いたします)。

フローの供給と需要を以下の通りと見積もると

・トルコラインなどからの供給が継続 8,000万立方メートル/日・10月~3月期のノルウェーの輸出とその他の国の増産 4億3,500立方メートル/日(BP2021年データの欧州合計から英国とウクライナを控除したもの)・10月~3月期の欧州LNG輸入 2億立方メートル/日・10月-3月のEU19のガス消費量を昨年程度13億8,000万立方メートル/日(ここから過去5年平均の▲15%を削減)

ロシアからの欧州向けの供給が完全に停止しても、消費量の削減で在庫は欧州全体で240日分ある計算となり、ガス供給に問題はない。

しかし、仮に需要を削減できなかった場合、155日で在庫がなくなるため、3月には在庫が枯渇することになる。仮にロシアからの供給が完全に止まった場合はここからさらに半月ほど、在庫の枯渇タイミングが早まることになる。

また、需要見通しが非常に難しいのだが、▲20%までの削減の必要が出てきたとも報じられており、気温次第でこの見通しは何とでもなってしまうことになる。

また、ノルウェーのパイプラインが攻撃されるかもしれない、という報道やLNG輸出に支障が出るリスクも有り得るため、まだなんともいえないところ。

この計算は前提が多いため正確ではないが、これまでの戦略が奏功して以前よりは冬場を乗り切れる可能性が高いものの、まだ予断を許さない状況は続くということである。

また、この冬を乗り切ったとしても2023年の春先のガス在庫の水準が非常に低くなる可能性はあり、さらに在庫積増し開始時期の始めからロシアのガス供給が絞られる可能性があることを考えると、来年の夏・冬も安泰とはいえない。

結局、脱ロシアが達成されるまでは供給は不安定ということだろう。

しかし、欧州がこの冬を乗り切れてしまいそうな状況にあるため、長期にわたってロシアが無理をすることがなかなか厳しくなってきたといえる。ロシアの月次財政収支は、今年の6月から赤字に転じている。

そのためロシアもこの冬が「勝負」と考えている可能性は高く、この冬が取りあえず目先の「ガス戦争のピーク」になるのではないか。恐らく4月以降はラニーニャ現象が収束すること、景気の減速から一旦ガス価格は水準を切下げると予想される。

欧州の先物市場で取引をしている市場参加者は、価格高騰と高変動性に伴うマージンコール(証拠金)の引き上げを受けて市場参加者の資金繰りが極端に悪化しており、クレジット・クランチに繋がるのではないか、との懸念が広がっている。

ただし、取引所に当局が介入して価格をゆがめた場合、その市場で取引する参加者が減少して、市場が機能不全に陥るリスクがある。

また、実勢と乖離して電気やガスの市場価格を変更した場合、価格上昇による需要減少が起きず、却ってエネルギー不足が発生するリスクも高まることになる。

フォンデアライエン委員長は、欧州が購入しているLNGの指標をTTFからJKM(など)に変更することも主張している。パイプライン経由ベースのTTFとLNGでは市場が異なる、という主張のようだ。

これにより、TTFの価格は下落し、JKMが上昇する可能性が出てくる。しかし、指標を変更したとしても、この冬の供給リスクは変わらない。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

域内最大の消費国であるドイツはガス供給に関し、早期警告、警報、緊急の3段階を設置しており、今は警報のレベル。

仮に緊急(Emergency)となった場合、病院や家庭など向けの供給を優先することになるため、企業活動が停止するリスクが高まることになる。

また、ドイツ政府はガス国内大手の国有化を検討、企業破綻を回避して夏冬のシーズンに供給懸念が顕在化しないよう手を打ち始めた。

ドイツはLNGのターミナルを持たないため、少なくともあと数年は以下の対応が必要になる。

1.域内供給の増加2.その他の熱源の利用(風力、太陽光含む)3.需要の削減

また、ガス供給の不足が原料としてのガス供給不足につながり、化学製品の供給途絶を通じて世界のサプライチェーンに影響を及ぼすリスクは小さくない。

化学世界最大手のBASFは緊急時には原料用のガスを一般消費用に開放する方針も表明している。

現在の天然ガス・LNGのスポット価格変動要因を整理すると概ね以下に集約される。

1.脱ロシアの継続(スポットカーゴ価格の上昇要因)2.LNGターミナル・ガス田の不慮の停止3.西側消費国に対するロシアの嫌がらせ(価格の上昇要因)4.景気減速(価格下落要因)5.気象状況(今のところ需要増加で価格上昇要因)6.季節要因7.そもそもの在庫不足(在庫積増しバイアスで価格上昇要因)

「脱ロシアの供給ソースの完全確保」が出来るまではスポット価格は高い水準を維持、脱ロシア完了後は下落、というのがメインシナリオとなる。

現在、2.に関して、米Freeport社のLNGターミナル火災による輸出停止リスクが顕在化している。再開予定は11月上旬から中旬。あとは既述であるが、ノルドストリームの稼働が当面見込めなくなったことが挙げられる(これは3.に当たるか)。

3.は欧州で顕在化している状況で、ノルドストリーム問題をみるにサハリン2も冬場に稼働を停止する可能性もある。

4.はもはやリスクではなく、顕在化し始めているともいえる。

5.に関しては、今年の冬一杯、ラニーニャ現象が継続する見通しであり(米NOAAは9-11月が91%、2023年1-3月に54%を予想)しばらく気象状況はガス価格にプラスに作用することが予想される。

LNGのタンカーレートはスエズ以東・以西とも急上昇しており、冬場に向けた調達が本格化していることを示唆している。なお、タンカーレートの上昇タイミングは例年よりも早い。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

米国天然ガス先物は下落。ハリケーン「イアン」がフロリダ半島に上陸、メキシコ湾の生産プラットフォームへの影響が限定される中で、消費側の減少観測が強まったことが背景。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

JKM先物は下落、欧州天然ガス価格が下落したことを受けて水準を大きく切下げた。

一方、気温というよりは金融引締めの効果やエネルギー高で倒産する企業が欧州などで増加していることによる需要面のリスクが意識され始めている。

ただ、需要は気温次第であることに変わりはないため、少なくともこの冬は景気による需要減少観測の影響は軽減されるのではないか。

中国の8月の天然ガス輸入は前年比▲15.2%の885万トン(前月▲6.9%の870万トン)と前年比での減少幅が拡大はしたが、過去5年平均を上回る水準を維持した。

中国の国としてのガスへの転換は進んでいるが、ロックダウン後の経済活動の回復が遅れていることを示唆している。また、中国国内の天然ガス生産が増加していることも輸入の伸びが鈍化している背景にある。

中国の天然ガス生産は8月時点で+7.0%の169億8,000万立方メートル(前月+8.2%の170億6,000万立方メートル)と、伸びが鈍化しているが過去5年の最高水準だった前年を上回っている。

※中国のガス統計は、データソースや単位換算で数値が一致しないことがあります。予めご容赦ください。

サハリン2中長期的な観点では以下の2点が意識すべきリスクとなる。ただ、ノルドストリームの破壊工作報道をみるに、「欧州と米国に協力するならば、日本にもガスを供給しない」という可能性も残るため、短期的なサハリン2リスクは上昇していると考える。

1.ロシアが契約を一方的に履行しない場合はスポット市場で調達せざるを得ず、その場合は調達コストが3倍~4倍に上昇し、コスト増加は最大で1兆円/年を超える

2.仮に契約が継続したとしても欧米からのメンテナンスのための部品がなければ、LNGプラントの稼働が困難になり、生産量が自然に減少してしまう

9月25日時点の日本の発電用LNG在庫は269万トン(前年同月末300万トン、2017~2021年平均233万5,000トン)と増加、過去5年水準を上回っているため「足下の」在庫は充分。

しかし欧州と同様で、冬場のフローの確保が重要になる。日本の場合長期契約の比率が高いため問題ないと考えるが、欧州・ロシア情勢次第でロシアが嫌がらせをしてくる可能性は排除できない。

9月12日-18日のLNGトレードは682万トン(先週696万トン)と減少、スポット取引のシェアは22%(前週23%)と変わらず。

スポット需要はスペインや東南アジアで増加した。ターム契約は北欧とイタリアで減少、日中台韓の調達は増加。

本日は、ロシアからのガス供給途絶の懸念はあるものの、既にほとんどのガスパイプラインが停止している状態であることからむしろ景気そのものに焦点が当たる可能性が高く、軟調な推移か。

しかし、単純なシミュレーションでも、▲15%の需要削減ができなければ冬場の調達は不充分であり、かつ、本当に在庫がゼロ近傍になれば来年の調達圧力が高い状態は続くことから、期先は下げ難いと考える。

なお、冬場の調達がある程度目処が立つ3月頃から、景気や気温、ラニーニャ現象終了を織り込んで水準を切下げるとみているが、下値も堅かろう。

※LNGの数量とガスベースの換算レートは、注記がなければBP提示の数値を使用している。 1トン=1,360立方メートル 1BCF=28百万立方メートル 1Gwh=10.55百万立方メートル=1,055万立方メートル 1Mwh=10.55千立方メートル

◆石炭

豪州石炭スワップは小幅に続落。競合燃料である欧州ガス価格が下落したことを受けて。

現在の生産コストの指標である期先の価格は、長らく維持してきた300ドルを下回り、290ドルに低下した。景気悪化に伴う需要見通しが引き下げられていると考えられることが背景。

8月の中国の石炭輸入は原料炭・燃料炭合計で前年比+5.0%の2,945万6,000トン(前月▲22.1%の2,352万3,000トン)と急回復し、過去5年平均を上回った。

価格水準は高いが、国内の供給が低迷している、ないしはロシアを支援するために輸入を増加させていると考えられる。

8月の中国の石炭生産は、前年比+10.5%の3億7,000万トン、1,195万トン/日(前月+18.6%の3億7,266万トン、1,202万トン/日)と、生産は前年比では高い水準を維持したが、海外からの輸入がほぼ不用になる政府目標(1,260万トン/日)は下回った状態が続く。

ロシアに対する「応分の協力」で輸入を増加させたため、生産が調整された可能性がある。

現在は中国国内と海上輸送炭市場は分離しているが、中国が経済対策を実行し、冬場のリスク回避姿勢を強めた場合、海上輸送炭市場に影響を及ぼすリスクは無視できないだろう。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

現在、ロシア炭を西側諸国が使うことは(建前上)できないため、いわゆるコストカーブの「低価格帯」がごっそり抜け落ちた形となっている。そのため、ロシアを抜いた需給バランスが豪州炭価格を押し上げている状況であり、ロシアの石炭輸出も週次ベースで減少を続けている。

期先の価格をみるに、2022年初の限界生産コストは125ドル程度だったが、これが290ドル程度まで上昇してしまった。これが解消するには需要の減少か、鉱山生産の増加が必要条件となる。

恐らく景気が減速するなかで石炭需要も減少が見込まれるものの、「脱ロシア」を進める中では高カロリー炭の需要は継続する見込みであり、かつ、欧州は石炭活用に舵を切っていること、欧州がこれまで行ってきた脱石炭への強制的な取組みにより、供給能力は制限されていることから、下がっても250ドル程度が基準となってしまう。

需給ファンダメンタルズの前提条件が変わってしまった、ということだ。

仮にロシアへの制裁が解除されれば、下落時の価格は290ドルではなく、125ドル程度になるが、当面それは見込み難い。

異常気象に伴う事故も多く、少なくとも今年の冬のピークシーズンの間は流動性リスクが高い状態が続きそうだ。

本日は、欧州ガス価格が調整していることを受けて、引き続き軟調な推移を予想する。ただし、冬場に向けた調達需要は旺盛と見られ、高値を維持の公算。

基本的に冬場の調達に目処が立つまでは石炭価格は高止まりしやすい。主要生産国(豪州・ロシア・インドネシア・米国・南アフリカ)の輸出はようやく過去5年平均を回復したが不安定であり、ガス在庫の積み上がりを受けた代替燃料としての在庫積増し需要がある中で高値を維持しよう。

しかし、この冬が終了した場合(来年3月頃)、基本は景気減速とラニーニャ現象収束(期待)と金融引締め加速を受けた景気の減速による需要の減少で下落すると見ている。

◆非鉄金属

LME非鉄金属価格は軒並み下落した。最大の買い手である中国勢が国慶節の休日で不在であることが価格を下押しした。

中国の経済対策期待が価格を押し上げると予想していたが、ゼロコロナ政策の堅持に加えて金融政策の影響が需給バランスのタイト化期待を完全に相殺して上回っている状況。

今後も世界的な金融引締めが先進・新興国を問わず継続すると見られることから、この利上げラッシュが落着くまでは価格のリスクは下向きとなる。

米国の利上げ打ち止めが来年の春頃とみられているため、非鉄金属価格は来年春~夏頃に底入れするのではないか。

今後の非鉄金属価格動向は、短期・中期・長期で分けて考える必要がある。

短期的には、米金融引締め長期化観測が世界に波及していること、中国の電力不足やロックダウン、洪水・地震、足下の欧州のガス価格の下落による生産回復期待の影響で軟調な推移になると考える。

中国政府の経済対策と、電力不足による金属供給減少が一定の価格下支え効果をもたらすと予想する。

短期的に非鉄金属価格が上昇するには、

1.中国の経済活動が回復すること(必要条件)

2.株価が上昇すること

3.期待インフレ率が上昇すること

が必要となるが、現在、1.は中国の重要統計をみるに回復基調にあるが、2.3.は米金融引締め策の影響でむしろ株価は調整し、期待インフレが低下する可能性が高いため、しばらくは軟調な推移となりやすい。。

この状況を勘案すると、やはり上値は重く、公共投資の実施期待が価格をある程度下支えする程度に止まるのではないか。

中期的には景気の循環によって、恐らく来年のQ223~Q323あたりが景況感の底になると考えられ、当面調整圧力が掛かることになる。

ただし、世界景気が在庫の投資循環サイクル通りに起きるのであれば、特段政府が対策を行わなかった場合(自然体の場合)、景気後退入りはQ323からとなるため、Q323~Q423が景気の底になる可能性も否定しない。

この場合はQ124~Q224に回復基調に戻る展開が想定される(欧米の調査機関はこちらのシナリオを支持しているところが多い)。

2023年は最大消費国である中国で「財政の崖」が発生するリスクがあるため、いずれにしても2023年の価格のリスクは下向きである。

長期的には脱炭素、脱ロシア、中国・インドの「W人口ボーナス期」入り、といった材料を考えるとやはり鉱物資源需要は増加し、価格には構造的な上昇圧力が掛かると考えるのが妥当だろう。

来年後半から再び長期的な上昇トレンドに入ることになると予想している。

ただしその価格上昇の発射台となる価格が、例えば銅で6,000ドル台になるのか、7,000ドル台になるのかは、今年から来年に掛けての中国の景気減速度合いに依拠するため、まだなんともいえない。

本日は、中国勢不在の中価格が下押しされやすいが、昨日のISM製造業指数を受けてドル安が進行しているため、割安感からの実需買いが予想され、上昇余地を試す展開を予想。

◆鉄鋼・鉄鋼原料

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは下落、大連先物は休場、豪州原料炭スワップ先物は上昇、大連原料炭価格は休場、上海鉄筋先物は休場だった。

中国の大型連休のため市場参加者が限られ、買い手不在の中で水準を切下げた。原料炭先物は限月交代の影響によるもの。

先週末発表の在庫統計は、鉄鉱石在庫が前週比▲2,700万トンの1億3,510万トン(過去5年平均1億3,225万トン)、在庫日数は29.8日(▲0.6日、過去5年平均29.8日)。

鉄鋼製品在庫は▲45万トンの1,143万2,000トン(過去5年平均1,235万8,000トン)、原料炭在庫は+20万トンの194万トン(127万2,000トン)、在庫日数は+1.1日の8.0日(過去5年平均5.3日)と増加しており、各々需給は緩和しつつある状況。

中国の不動産セクターは低迷しており、恐らく人口動態的に中長期的に成長ペースが鈍化する可能性は高い。

直近発表された不動産販売・開発などの統計は同国の不動産市場が回復していないことを示唆している。

不動産セクターが不調だと中国地方政府の重要な財源である不動産関連収入が減少するため、何らかの対策を行わなければ、中国経済がスパイラル的に悪化する可能性が出てくる。

この状況で不動産セクターのテコ入れをすることは非常に議論が割れるだろうが、現状は対策実施は不可避の状況と整理するのが適切だろう。

なお、中国政府は不動産業を救済するよりは信用不安の拡大にならないよう、金融機関の支援(資本注入)を優先すると考えられ、リーマン・ショックのような信用不安の連鎖的な拡大リスクは「今のところ」回避できると見ている。

基本は鉄鋼製品価格で説明可能なブレーク・イーブン価格程度までの下落はあろうが、相場がオーバーシュートすることも多いため、その場合、期先の価格が参考になる。足下、鉄鉱石では80ドル程度、原料炭は230ドル程度となる。

本日は、中国の国慶節の休日で買い手不在の中、水準を切下げる展開を予想。

◆貴金属

昨日の金価格は上昇した。弱めのISM製造業指数を受けて長期金利が低下、実質金利も大幅に低下したことが価格を押し上げた。

銀は金価格の上昇を受けて大幅に上昇、20ドルの大台を超えた。金銀レシオは一気に82倍に低下。ISM製造業指数の減速を受けて、金融引締めが早期に終了するかもしれない、との期待と、金銀レシオがボリンジャーバンドの上限に張り付き「銀割安」の要素を呈していたことから、金融引締め減速観測が銀価格を押し上げた。

PGMはプラチナ・パラジウムとも株高を受けて水準を切り上げ。

金の基準価格は+75ドルの857ドル、リスク・プレミアムは▲36ドルの843ドル。

仮に過去5年平均程度にリスク・プレミアムが回帰するとすれば250ドル程度が過去5年平均でありこの水準までの回帰があれば、金価格は1,100ドル程度までの下落余地があることになる。

ETFの管理残高と金価格の間には高い相関性が見られるが、過去10年のデータを元にするとここまでの下落の場合、現在のETFの管理残高の凡そ半分に当たる金が流出する必要が出てくる。

荒唐無稽なレベル、と思われるかもしれないが2015年のETFはこの水準であり、このときの金価格は1,200ドル台だった。

現在の金基準価格の下落とリスク・プレミアムの上昇は、異常なペースで進む政策金利の上昇によるものであり、恐らく来年のはる頃には利上げペースが減速、実質金利も低下して基準価格は切り上がり、リスク・プレミアムは低下すると見られるため、1,000ドルまでの下落は恐らく起きないと考えられるが、1,200ドル程度までの下落リスクは有り得ると考えている。

大規模プレイヤーの金市場からの退場は、ETFの他、各国中央銀行の金準備売却のいずれかとなるが、後者が戦争や制裁による国の資金繰り悪化で金を売却せざるを得ないときに恐らく限定されることを考えると、引き続きETFの動向は重要。

なお、足下、再び金価格に対して説明力が高いのは期待インフレ率であり、金融政策動向、原油価格動向、QTの動向が影響していることが分かる。

Q422の弊社予想原油価格を元に期待インフレ率・金価格の推定を行うと1,640ドル程度が予想され、金融引締めがあっても下げ余地は比較的限定されることになる。

しかしこの水準は既に目前に迫っており、これまで説明力が高かった期待インフレ率単体での分析は、再び機能しなくなる可能性が出てきた。

銀価格は、10月3日の上げで主要なレジスタンスラインを上回った。基本的には、景況感を材料に金銀レシオが決まり、金融引締めをして景気を減速させようとしている状況だと、基本的には供給過剰で工業向けの金属である銀は、対金で割安に推移しやすい。

これまでリスク資産価格に対してマイナスのドライバーだった米金融政策が、やや緩和的な方向にシフトするならば、景気減速(実需減速)の懸念がやや緩和するため、金融面・実需面で上昇しやすくなる。

しかし、米国が金融引締めを止める訳ではないことから、基本的には軟調な推移となりやすく、当面は100日移動平均線のサポートを維持できるかが焦点となろう。

本日は、米ISM製造業指数の減速を受けて、金融引締めペースの鈍化観測が強まっていることから堅調な推移が予想されるが、本日はFOMCメンバーの講演や挨拶が多数予定されており、従来通りのタカ派のコメントが出れば、再び下落だが、現状を容認した場合、上げ幅を拡大する展開を予想。

◆穀物

シカゴ穀物市場はまちまち。トウモロコシと小麦は米国時間に入ってから急落、その後ドル安の進行もあって買い戻された。恐らくテクニカル要因と考えられる。

は原油価格の上昇を受けて上昇、下落に連れ安となり、大豆は同様の展開もドル安が支えとなった。

大豆は上昇。特段材料があったというよりも先週末発表のUSDAの四半期末在庫を受けた急落の後、ドル安が引き金になって上昇したと考えられる。

小麦は下落。プーチン大統領はトルコのエルドアン大統領に対して、ウクライナの穀物輸出に関する国際的な取り決めが必要、と発言しているが昨日の1分足を見ていると大豆とほとんど同じ動きであり、昨日はプログラム売買が主体だったと考えられる。

先週末に発表されたUSDAの四半期末在庫は以下の通り。

・9月末四半期在庫 実績(前期末)トウモロコシ 13億7,700万Bu(14億9,548万Bu、43億4,600万Bu)大豆 2億7,400万Bu(2億4,322万Bu、9億7,100万Bu)小麦 17億7,600万Bu(17億9,338万Bu、6億6,900万Bu)

今後は秋~冬にかけてのラニーニャ現象の発生もあり、さらに、冬場のラニーニャ現象がアラビア半島周辺に降雨をもたらし、バッタの大量越冬を可能にするため、2023年にかけて穀物供給リスクが来年まで継続する可能性があること、ロシアの穀物輸出停止リスクヘの懸念は拭い切れて居ないことから、中・長期的なリスクは引き続き上向きと考えている。

本日は、やはり北米はトウモロコシ・大豆が不作の見通しであること、原油価格の戻りもあり、上昇余地を試す展開を予想。

※中長期見通しは、7月・11月にリリースの商品市場為替市場動向見通しをご参照ください(有料)。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【マクロ見通しのリスクシナリオ】

・資源価格(電力価格を含む)の上昇による市場取引のマージンコール上昇で、マージンコールを差し入れられない市場参加者がポジションを外し、市場が機能しなくなる場合(LMEニッケルで見られたような事態が発生して市場が混乱する場合)。

追い証の負担増加に耐えられず、連鎖的にエネルギー企業の倒産が発生する可能性。

・米国経済が正常化する中で金融引き締めが加速、経済をオーバーキルしてしまった場合(価格下落要因)。

また、米国の金融引締めが新興国経済(特に、中東、北アフリカ、東欧、中南米など)に打撃を与える可能性。

・中国のゼロコロナ政策にこだわるスタンスがロックダウンを頻発させ、中国景気がハードランディングする場合(工業金属などの景気循環系商品を筆頭に、リスク資産価格の下落要因)。

それに伴う各地での暴動発生。

・渇水、猛暑厳冬、発電燃料供給不足による工場稼働停止や消費低迷で景気が減速する場合(リスク資産価格の下落要因)。

・脱炭素・脱ロシア進捗による資源需要の高まりによる価格上昇や、資源の供給不足、ロシアの意図的な供給停止(枯渇のリスクも)が発生し、経済活動が抑制される場合(価格上昇→景気減速による価格下落リスク)

・米中対立激化にロシア問題も加わり、緩やかな新冷戦構造が発現しブロック経済圏が発生して貿易活動が鈍化する場合(既にメインシナリオ)。

台湾有事の発生(リスク資産価格の下落要因)。

・自由主義国vs専制主義国の対立加速、自国内の混乱などを理由に急に「手打ち」となった場合(景気のポジティブリスク・中国がさらに力を付け、将来米中が武力衝突するリスク)。

・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。

逆に脱炭素に向けたインフラ投資の加速で資源価格が急上昇、金融緩和マネーが大量に市場に滞留する中でハイパーインフレとなるリスク。

・次の成長ドライバーとして期待されるインド経済が、期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。

2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2023年後半~2024年頃。

・日本政府の財政規律感の欠如による、実質的な日銀による財政ファイナンスにより海外からの信認が低下、円が暴落して先進国市場に混乱をもたらす場合(徐々に顕在化している可能性があるリスク要因)。

◆本日のMRA's Eye


「日本の人口動態のリスク(その1)」

◆中国の構造的な成長はやや長びく公算 インドの成長急拡大期間は短縮

少し前であるが、国連の人口統計と見通しが発表された。この統計は通常2年毎に更新されるが、今回はコロナの影響もあり3年振りの更新となった。

弊社は将来の商品需要動向を考える上で最も確度が高い指標であるとして重視しており、かのピーター・ドラッカーも人口の変化を労働力、経済を予測する上で信頼できる指標として重視している。

これまでは中国が経済成長のドライバーだった。商品需要の伸びが最も顕著になると考えられる人口ボーナスのピーク(15歳以上64歳以下の国民の数(生産年齢人口)をその他の年齢の国民の数で除した数値(人口ボーナス指数)が、最も高くなる年)は中国の場合、前回2010年だったが今回の統計では2009年に1年早まっている。労働人口のピークは2015年で変わらない。

生産年齢人口の比率が非生産年齢人口の2倍を下回る「人口オーナス期」入りは、前回が2032年だったが2035年に3年延長された。

これは1人っ子政策を止め、2人の子供を産んでも良い政策に転換したことがある程度影響したとみられる。これにより、中国の構造的な成長の期限は恐らくあと13年程度続くことになり、中国の構造的な国力衰退のタイミングはやや後ろ倒しになることになる。

人口動態の減速は構造的な成長力の低下をもたらすため、この時期がやや延期されることは政権の政策的な自由度がある程度増すことを意味する。

中国に次ぐ成長のドライバーとして期待されるインドは、人口ボーナス期入りが2019年と前回の2018年から1年遅くなり、人口動態のピークは2032年と前回の2035年から3年早くなった。

人口オーナス期入りは2052年と前回の2056年から4年早くなっている。インドは人口ボーナス期を享受できる期間が前回の統計発表時の38年から33年に5年も短縮したことになる。

中国は1996年に人口ボーナス期入りし、その終了が2035年であるため成長期間は39年と、実はインドよりも長いことになる。これらのことは、中国の構造的な需要の増加は前回の想定から長くなり、インドとの「W人口ボーナス期」の期間が長くなる、ということである。

恐らくこの13年間、近代化のためのインフラ投資に必要な工業金属の需要はこれまでの想定以上に増加することが予想される。

しかし、その後はインドが想定よりも早く人口ボーナス期を終了するため、長期的には工業金属需要の増加はこれまでの想定よりも早く減速する見通しとなることを示唆している。なお、インドが将来、中国のような「世界の工場」になる素養はあるがまだなんともいえない。


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