CONTENTSコンテンツ

堅調もパウエル議長講演を受けて上げ幅削る
  • MRA商品市場レポート

2022年8月29日 第2270号(簡易版)商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「堅調もパウエル議長講演を受けて上げ幅削る」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品価格は株価の上昇を背景とするリスク選好の動きが続き堅調な推移となったが、注目のジャクソン・ホールでのパウエル議長の講演がタカ派な内容となり、想定よりも長い時間金融引き締めが行われる(というよりは政策金利が高い水準で維持される)との見方が広がり株価が急落、ドル指数も上昇したため上げ幅を削る展開となった。

ある意味、景況感と金融引き締め緩和観測を材料にしたリスク選好による価格の乖離が、昨日のJHでのスピーチによって修正されたと言えるだろうか。

実需が主導する商品市場はこのスピーチを受けてもそこまで大きく動かなかったが、金融商品的な色彩が強く、国債や物価連動債に連動する貴金属は急落している。

恐らく、このスピーチを受けて景気の循環通りにリスク資産価格が調整する流れに徐々に移行していくと考えられ、需要の見通しを議論する上での「将来の発射台」が低くなることが想定される。

これをベースに各商品ごとに共有の状況がどうなるかが重要になるが、現在世界中の注目を集めているガスと石炭は、景気の減速が多少産業向けの需要を減じることが予想されるものの、この冬場はロシアの「嫌がらせ」を受けて供給が制限されるため、高い水準を維持すると予想される。

【本日の見通し】

週明け月曜日は目立った手掛かり材料に乏しいがジャクソン・ホールシンポジウムでのパウエル議長発言を受けて広くリスク資産が売られる流れになると考える。

但し、対立が深まっているロシアと欧州の関係を受けてガス供給は制限されるため、ガス・石炭などの供給面の問題が意識されている商品は景況感の減速にもかかわらず高値を維持するのではないか。

【昨日のトピックス】

昨日のジャクソン・ホールシンポジウムでのパウエル議長の発言は、価格上昇にかけている株式市場の投資家にとっては厳しい内容だったといえるが、実体経済とリスク資産価格の乖離を埋める強い決意を示した内容であり、個人的には評価すべき内容だった、と見ている。

仮にバブル状態が許容されるとその分実体経済と乖離が発生し、やはり近い将来同じ「バブルつぶし」の必要性が出てくる。もし現在、中途半端なつぶし方をしてしまうと、今後起こる可能性が高い調整局面での調整幅が大きくなり、それこそ何らかのショックが発生する可能性が高まってしまい、将来の期待される成長のチャンスがなくなる、ないしは先送りされるリスクが高まることが予想される。

その中で、市場からの批判や非難はあろうが、強い意志を示したという意味で評価されるのではないか。しかしこうした政策は結局、結果がすべてであり、これが正しい政策だったかどうかはあと数年たたないとわからない。

とはいえ足元のリスク資産の水準と景況感の差を埋めていく決意であることが示されたことを考えると、やはり原油や工業金属などの景気に循環する商品価格には下押し圧力がかかる可能性がより高まったと見るべきだろう。


主要ニュース/エネルギー・メタル関連ニュース/主要商品騰落率/主要指数/市場の詳細データPDFは、有料版「MRA商品市場レポート」にてご確認いただけます。
【MRA商品市場レポート】について