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ガス価格高騰続く
  • MRA商品市場レポート

2022年8月26日 第2269号(簡易版)商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「ガス価格高騰続く」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品価格は欧州ガス価格の上昇を受けて発電燃料価格が高騰、長期債利回り低下で貴金属なども上昇した。

一方OPEC減産観測を受けて原油は上昇していたが、景気の先行き不安を材料に短期的な買われ過ぎの反動で下落、トウモロコシも連れ安となったため穀物セクターも軟調な推移となった。

基本的に今晩のジャクソン・ホールシンポジウムでのパウエル議長発言待ちの状態だが、恐らくタカ派な発言をするだろう、ということが織り込まれているためよほどタカ派な発言でない限り、むしろ講演は「材料出尽くし」としてリスク資産の買い材料となる可能性がある。

しかし、より強い発言が出ればやはりドル建て資産価格、景気循環系商品価格には下落圧力が掛ることになるだろう。

なお、9月のOPECプラス会合では減産が支持される可能性が高まっている。

理由はいくつか挙げられているが、1.仮にイランが核合意に復帰した場合100万バレルオーダーでの増産が予想される、2.原油のスポット価格と先物価格の乖離が過去最大になっており、先物市場が現物市場と乖離しているためそれを調整する、などが理由として挙げられている(続きは「本日の見通し」で)。

【本日の見通し】

本日もジャクソン・ホールシンポジウムでのパウエル議長発言を控えて様子見気分が強いが、今のところ「タカ派発言」は織り込んだ可能性が高く、アジア~欧州時間はむしろリスクテイク再開でリスク資産は堅調な推移になるのではないか。

その他の予定で注目は、米個人消費とデフレータ。市場予想は以下の通りで減速が見込まれている。

7月米個人所得 市場予想 前月比+0.6%(前月+0.6%)個人支出 +0.5%(+1.1%)デフレータ 前月比±0.0%(+1.0%)、前年比+6.4%(+6.8%)コアデフレータ 前月比+0.2%(+0.6%)、前年比+4.7%(+4.8%)

【昨日のトピックス】

OPECプラスは9月会合で減産を検討している。イランが核合意に復帰した場合、最大で130万バレル程度の増産余地が残ることが背景とされる。

しかし、7月のOPECプラスの生産は目標に▲300万バレル達しておらず、実質的には既に減産が行われているが、それでも価格が下落しているためイランの増産があるならなおさらだろう。実際、この減産が行われていた7月中、原油価格は下落しているのだ。

しかし同時にサウジアラビアのアブドルアジズ石油相は、「現在の原油価格は実態を反映していない。スポット価格と先物価格が乖離している」としており、そのために減産をするといったニュアンス。https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR22CLB0S2A820C2000000/

しかし実際に減産が行われれば需給がタイト化するのは現物のスポット市場であり、石油相の発言が現物と先物の価格差を埋めることを目的としたものであれば、それは余り効果がないのではないか。

恐らく問題になっているのは、先物価格は販売する原油価格の算出に用いられるためこれが下落していると彼らが想定しているよりも安い価格で原油を販売しなければならなくなる点だろう。

契約の内容にもよるが、一般に「船積み月の原油先物の月間平均価格」で販売価格が決定され、これに現物と先物の価格差を考慮した調整金が上乗せ(/減額)されて販売価格が決る。

通常、先物と現物の価格差はこの調整金で調整することになっているが、今回問題にしているのは先物価格そのものと考えられる。

ただ、OPEC側が言うとおり減産するならば現物価格も上昇するため、現物と先物の価格差は埋まらないと予想される。

それよりも先物は現物の需給だけでなく、先々の見通しも反映して決定しているため、これが現物と乖離しているから、といって調整するのはやや筋違いな気もしなくもない。

いずれにしても9月の会合は減産が検討されているため、景気の循環を反映した原油価格の下落には一定の歯止めが掛ることになるだろう。


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