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循環論的メインシナリオ、構造論的リスクシナリオ
  • MRA外国為替レポート

2022年7月4日号

◆先週の市場総括


先週はドル円相場が一時137円をつけるなど週央にかけて円安ドル高が進んだ。週初は135円割れに下落する場面もあったが、引き続き日米金融政策格差が意識された。

パウエル議長が景気後退を厭わず物価抑制を目指す姿勢をあらためて示し、米国経済は強いとしたことがドル買い円売りを促した。

しかし週後半は弱い経済指標、インフレ高止まりのまま景気後退懸念が強まったことでドル円相場は軟調。週末には135円割れに押し戻され引けは135円台前半となった。

米10年債利回りは弱いISM製造業景気指数を受けて一時2.8%割れに低下。引けは2.889%。ドル安円高を促した。

米国株は週初から上値の重い展開。週末こそ長期金利低下に支えられたが下げ止まりが精いっぱい。日経平均も週末には26,000円の大台を割り込んだ。

ユーロ円相場は142円台で始まり上昇して一時144円をつけたが週末にかけて下落。金曜日には一時140円を割り込む場面もあった。リスク選好が後退するなか総じて円売りの手仕舞いが進んだ。

月曜日の東京市場では日経平均は2週間ぶりの高値に上昇した。前週末の米国株が上昇し、アジア株も堅調に推移したことから市場心理が改善。短期筋の買い戻しも手伝ってしっかり。前週末比+379円高の26,871円で引けた。

ドル円相場は135円10銭~20銭で始まり朝方に134円50銭に下落。その後は134円台後半で上下。夕刻は再び135円に戻し、欧州市場では135円ちょうど~10銭でもみ合いとなった。

ユーロ円相場は142円60銭台で始まり朝方90銭に上昇したあと急反落して142円10銭に。その後夕刻にかけては持ち直し、欧州市場では142円90銭~143円ちょうどで推移した。

ユーロドル相場は1.0550~70で方向感なく上下。欧州市場ではやや上昇して1.0580~90で推移した。

米国株は小幅反落。朝方は良好な耐久財受注の数字を受けて堅調だったが、その後のダラス連銀製造業活動指数が大きく悪化し下落。引き続き金融引き締め、景気悪化への警戒感も強かった。

NYダウは前週末比▲62ドル安の31,438ドル。ナスダックは▲83ドル安の11,524ドル。米10年債利回りは小幅上昇して3.205%。2年債は3.134%。

ドル円相場は強い耐久財受注の数字を受けて135円50銭に上昇も、弱い指標で反落し135円ちょうど近辺へ。引けにかけては持ち直して135円40銭~50銭で取引を終えた。

ユーロドル相場は1.0550台に下落したのち1.0610へ反発、ユーロ高ドル安。その後はじりじりと下落して引けは1.0580。

ユーロ円相場は143円割れでは底固く、143円40銭中心のもみ合いで引けた。

発表された米国の耐久財受注(5月)は前月比+0.7%と前月+0.4%から伸びが加速して予想+0.2%を上回った。一方、ダラス連銀製造業活動指数(6月)は前月▲7.3から改善予想に反して▲17.7へ大幅に悪化した。

火曜日の東京市場では日経平均が続伸。前日の米国株は下落したがしっかり。円安進行で輸出関連株が買われたほか、資源価格上昇で資源関連株も堅調。内需関連も底固い。配当取りの買いに支えられたとの見方もあった。

引けは前日比+178円高の27,049円と大台を回復した。

ドル円相場は135円40銭~50銭で始まり30銭~60銭で上下、一時135円10銭に下落した。ただ午後は堅調で東証引け頃には135円50銭に戻した。

さらに欧州市場に入ると円安が急速に進み、米国市場朝方には136円30銭までドル高円安が進んだ。ユーロ円相場は東京市場では上値の重い値動き。143円40銭で始まり上下しながら142円90銭に下落。東証引け頃は143円10銭台。

その後欧州市場に入ると急速に円安が進み144円20銭台に上昇した。ただその後はユーロ安に押されて米国市場にかけて143円10銭まで急反落した。

ユーロドル相場はアジア時間には1.0580近辺でもみ合い横ばい。欧州市場に入ると1.06ちょうど近辺に上昇したが上値重く、米国市場にかけて1.05ちょうど近辺まで大きく下落した。

ECBラガルド総裁が、7月の利上げは0.25%、と述べたことで大幅利上げ期待が剥落。ユーロが売られた。

米国株は値動きの荒い展開。朝方は中国の感染対策緩和に関する報道で買われNYダウは前日比+450ドルほど上昇。しかし消費者信頼感指数が弱く景気後退懸念が強まったことで前日比▲500ドル近く下落。日中高値からの下げ幅は900ドル以上となった。

引けは▲491ドル安の30,946ドル。ナスダックは▲343ドル安の11,181ドル。

米10年債利回りは前日からやや低下して3.175%、2年債は3.115%。

ドル円相場は上値重くなり136円10銭近辺で引け。ユーロドル相場は下落一服し1.0520。ユーロ円相場は143円20銭で引け。

発表された米国の消費者信頼感指数(6月)は前月106.4から98.7へ大きく悪化。リッチモンド連銀製造業指数(6月)は前月▲9から▲19へ予想以上に悪化した。NY連銀総裁は、米国経済は堅調に推移しており景気後退は想定していない、と述べたが市場は反応薄だった。

水曜日の東京市場では日経平均は5営業日ぶりに反落。前日に米国株が下落。景気悪化懸念が広がるなか、27,000円の大台で利益確定売りが嵩んだ。引けは前日比▲244円安の26,804円。

ドル円相場は136円10銭で始まり上値の重い値動き。東証引け頃は135円80銭に下落した。

ユーロ円相場は143円20銭近辺で始まり10銭~40銭で上下し昼過ぎには143円50銭に上昇。ただその後は大きく下落して東証引け頃には142円50銭。

ユーロドル相場は1.0520で始まり小動きもみ合い、午後には1.0490に下落した。

その後欧州市場から米国市場にかけては大きく円が売られた。ドル円相場は米国時間午前中には137円ちょうど近辺まで上昇。ユーロ円相場は143円80銭に急反発したあと40銭~80銭で上下した。

ユーロは米国市場で軟調。ユーロドル相場は1.0430へ下落してもみ合い。ユーロ円相場も142円60銭に下げた。

ドイツの消費者物価指数が予想より低い上昇率となったことで金融引き締めが穏やかになるとの観測からユーロが売られた。

ドル円相場も上昇一服となり136円40銭に反落し、引けは50銭~60銭。引き続き日米金融政策格差を材料にドル買い円売りが活発化。

この日行われたECBフォーラムで、FRBパウエル議長は、インフレ抑制が最優先、米国経済は力強く引き締めに耐えられる、経済の減速よりインフレ抑制に失敗するほうが問題、との認識をあらためて示した。

米国株はまちまち。NYダウは3営業日ぶりに反発。ナスダックは3営業日続落。景気減速懸念、金融引き締め懸念が上値を抑制した。

発表された米国のQ122GDP確報は予想外に下方修正され前期比年率▲1.6%に。個人消費も大きく下方修正されて+1.8%となった。

米10年債利回りは小幅低下して3.087%、2年債は3.043%。世界銀行のラインハート総裁は、ソフトランディングは難しくリセッションは避けられない、と述べた。

木曜日の東京市場では日経平均が大幅安。前日にFRBパウエル議長が物価抑制に失敗することのほうが問題として景気悪化を厭わない姿勢を示したことで、世界景気後退懸念が重石となった。

また国内の鉱工業生産指数(5月)が前月比▲7.2%と大きく悪化したことも売り材料に。半導体指数も低下した。

日経平均は寄付きから終始軟調で引けは▲411円安の26,393円。発表された中国のPMI製造業景況指数(6月)は50.2と前月49.6から持ち直したが反応は薄かった。

ドル円相場は136円60銭~70銭でもみ合い、午後に入ると下落し欧州市場前には136円ちょうどに下落。欧州市場では136円40銭に持ち直した。

ユーロ円相場は142円60銭~80銭で上下したあと円買い戻しに押されて141円90銭に下落。ユーロドル相場は1.0440で始まり、小動きのなか次第に持ち直し夕刻は1.0460。

欧州市場ではユーロが下落、ドルが上昇。ドイツ小売売上高が弱く、またリスク回避がユーロの重石となった。

ユーロドル相場は1.0390に、ユーロ円相場は141円40銭に下落した。ドル円相場は136円40銭に持ち直し。しかし米国市場ではドル安円高が進んだ。

弱い経済指標で米長期金利が低下しドルを押し下げた。

週次失業保険申請件数は230千件で高止まり。注目の個人所得・消費支出(5月)は、所得が前月比+0.5%、消費が同+0.2%と、消費が大きく伸び悩み。物価上昇を差し引いた実質消費は同▲0.4%と減少。インフレが消費に悪影響を与え始めていることが明確に。

消費支出価格指数は前年同月比+6.3%、コア指数が同+4.7%と前月+4.9%から上昇率が鈍化した。

またシカゴ購買部協会景気指数(6月)は前月60.3から56.0へ大幅に悪化した。

米10年債利回りは一時3%割れに低下し引けは3.015%。2年債は一時2.92%に低下したあと2.957%で引け。ドル円相場は弱い指標と長期金利低下を受けて135円60銭まで下落してもみ合い。引けにやや持ち直して135円70銭台。

ユーロドル相場も反発しユーロ高ドル安に。1.0480に戻してもみ合い引け。

ユーロ円相場は142円ちょうど~20銭で底固くもみ合い引けは142円30銭。米国株は下落。NYダウは弱い指標をうけて朝方は前日比▲600ドルの大幅安。消費関連を中心に売られた。

その後は下げ幅を縮めたが引けは▲253ドル安の30,775ドル。ナスダックは▲149ドル安の11,028ドル。VIX指数は+0.55ポイント上昇して28.71と高止まり。

原油価格WTI先物は景気悪化懸念で下落し105.76ドル。

金曜日の東京市場では日経平均が大幅下落。前日の米国の経済指標で世界景気減速懸念が強まり、景気敏感株を中心に売られた。

朝方発表された日銀短観で大企業製造業の現状判断DIが前回14から9に悪化したことも要因。非製造業については経済活動正常化や今後の期待感が支えとなったが、全般的に企業がコスト高を転嫁できずに収益が圧迫されていることが明らかになった。引けは▲457円安の25,935円。

ドル円相場は135円70銭台で始まり朝方136円をつけたが上値重く急反落。東証引け頃には134円80銭~135円ちょうどで推移した。ユーロ円相場も同様に142円30銭で始まり20銭~40銭で上下した後、141円ちょうどを中心に、140円80銭~20銭で上下した。

円買い戻しが進み、円が全面高。ユーロドル相場は1.0480近辺で始まり方向感なく推移し夕刻は1.0440~70で上下した。

欧州市場にかけてドル円相場は135円60銭へ、ユーロ円相場は141円90銭に反発したが、その後はユーロ安とともに再び円高に振れた。

ユーロ圏CPI(6月)が強めの数字となり欧州景気減速懸念がユーロを下押した。ユーロドル相場は米国市場にかけて1.0370へ、ユーロ円相場は139円80銭まで下落した。

注目の米国のISM製造業景気指数(6月)は予想を下回る弱い数字となった。前月56.1から55.0への小幅悪化予想に対し53.0へ。新規受注指数は55.1から49.2に悪化した。

これを受けて米10年債利回りは一時2.8%を下回る水準まで低下。ドルを押し下げた。ドル円相場は135円50銭近辺から134円80銭へ下落した。

ただ長期金利低下が米国株を下支え。高PER銘柄、ハイテク株の一角や、景気悪化に強いディフェンシブ銘柄に買いが入った。3連休前の買い戻しも支え。

NYダウは一時▲200ドル超下落していたが、引けにかけて上昇して+321ドル高の31,097ドルで取引を終えた。

ナスダックは+99ドル高の11,127ドル。米10年債利回りは反発して2.889%。2年債は2.839%。

ドル円相場もつれて反発して135円20銭で引け。ユーロドル相場はユーロ高ドル安方向へ反発し引けは1.0430。ユーロ円相場は141円ちょうど近辺。

◆今週の3つの注目ポイント


1.米国の経済指標

このところ景気後退懸念が強まるなか、経済指標がさらに懸念を後押しするか。長期金利動向、株価の反応、そしてドル円相場の上値がさらに重くなるか。

火曜日 製造業新規受注(5月、前月比、予想+0.5%、前月+0.3%) 耐久財受注(5月確報)

水曜日 サービス業PMI(6月改定値) ISM非製造業景気指数(6月、予想54.5、前月55.9)

木曜日 ADP雇用報告(6月、雇用者数前月比、予想+200千人、前月+128千人) 米週間新規失業保険申請件数 貿易収支(5月)

金曜日 雇用統計(6月、非農業部門雇用者数前月比、予想+240千人、前月+390千人、失業率、予想3.6%で前月と不変、平均時給・前年同月比、予想+5.1%、前月+5.2%)

2.FOMC議事要旨、FRB当局者発言

水曜日に6月14日・15日に開催されたFOMCの議事要旨が公表される。この会合では直前のCPIが強い数字だったことで事前に0.75%に利上げ幅が拡大するとの見方が強まり、その通り0.75%の利上げが実施された。

それまでは0.5%の利上げを6月、7月、そして9月も実施とされていただけに、どのようなタカ派寄りの議論となったか。

景気悪化を厭わずにインフレ抑止を図るスタンスがすでに明確だが、メンバー内での意思統一はできているか。

ほか、木曜日にはウォラー理事、セントルイス連銀総裁、金曜日にはNY連銀総裁の発言機会があり、今後の物価・景気見通しと金融政策方針への言及が注目される。

3.ECB理事会議事要旨、当局者発言、欧州の経済指標

木曜日にECB理事会議事要旨(6月9日開催分)が公表される。同会合では異例の次回7月会合での0.25%利上げが事前表明された。加えてラガルド総裁は9月会合で0.50%の利上げの可能性にも言及。

量的緩和終了は7-9月期の早い段階とされていたが、ぎりぎり前倒しの7月1日となった。

一方、クレジット環境の悪化により、その後の緊急会合でイタリア国債の購入による過度な金利上昇抑制の道を開いた。

タカ派スタンスがあらためて確認されるとともに、ウクライナ情勢の悪影響による景気見通し悪化について、どのような見方、スタンスとなっているか確認される。

そのなかでユーロ圏PPI(5月)、ドイツ製造業新規受注(5月)、ユーロ圏小売売上高(5月)、ドイツ鉱工業生産(5月)などの経済指標がさらなる景気悪化を示すか。

金曜日には欧州で経済フォーラムが開催されラガルド総裁や各国連銀総裁の発言も予定されており、発言ニュアンスが注目される。

◆今週のMRA's Eye


循環論的メインシナリオ、構造論的リスクシナリオ

ドル円相場はやや上値が重くなってきた。FRBはインフレ抑制を無条件に達成するべく強い金融引き締めを継続する姿勢を示している。

米国経済は力強いとしているものの、実際の経済指標の悪化は続いている。PMI景況感指数は欧米いずれにおいても景況感の分かれ目である50に近づいており、先週末に発表されたISM製造業景気指数(6月)も前月の56.1から一気に53.0まで悪化した。

米国の個人消費はインフレの影響でブレーキがかかり始め、物価高と消費悪化・景気悪化が併存するスタグフレーションの様相が強まった。

こうした状況で米国株は週末こそやや反発したが、軟調な展開が続いている。

利上げ継続にもかかわらず、景況感の悪化、投資家のリスク選好後退、安全資産への資金流入により、米10年債利回りは3%を大きく割り込んだ。

さらには、金融政策、先々の利上げ、政策金利動向を反映しやすい2年債利回りも2.839%に低下。景気後退の可能性を示唆するとされる2年・10年の逆イールドこそ回避されたが、年末に3%台半ばまでの利上げ実施方針が示されているなか、その先の利上げ打ち止め、緩和への転換をも示唆しはじめた。

ただ、為替市場では内外金融政策の格差への注目は衰えず円全面安が進んでいる。

金融政策格差、短期金利差はなおもドルに優位、円に不利に働く状況で、この点だけみればドル高円安基調が続くということになる。

ドル円相場は米長期金利との相関が高かった。概ね米10年債利回りが3.5%で135円近辺との相関。その米10年債利回りはピーク3.5%からすでに2.8%台まで低下した。

さすがにドル円相場も137円から135円近辺に押し戻されたが、米長期金利動向からドル高円安方向に乖離し相関は崩れている。

リスク回避、ドル短期金利上昇、はドルキャッシュへの資金逃避を促す面もあり、投機筋の円買い戻しにもかかわらず、足元でドルが支えられている面もあろう。

そうした側面がありながらも、ドル高円安は循環的にピークアウトしつつあるとみる。

米国景気はすでに大きく減速、さらには急速に後退に向かっている。それに応じて、FRBの金融引き締めは10-12月期には最終段階を迎える可能性がある。

米長期金利の水準からみれば、市場はそれ以上に利上げ継続を懐疑的にみているということになる。

ドルがもっとも堅調となるのは、米国景気堅調・株価堅調・金利上昇、の組み合わせ。このうち前者2つはさらに崩れるだろう。

株価調整も長期金利上昇に応じたPER低下=株式益回りの上昇の範囲内。長期金利からみた相対的な割安感は生じていない。今後は業績悪化による株価調整が続く可能性が高い。

また3つ目の金融引き締めに支えられた金利上昇も、政策金利動向と長期金利動向の逆行というかたちで崩れつつある。循環的には7-9月期がドル高円安のピークとなる、というのがメインシナリオ。年末には130円割れも視野に入る。

循環的側面からみたリスクシナリオとしては、景気悪化・株価調整・金利低下でもリアルマネーのドル資金回帰がなお強くドルを支え続けるケース。

消極的なドル買いが想定以上に強まるケース。

投機筋の手仕舞いによるドル売り円買いを、投資家によるドル買いが吸収しドル安円高を妨げるケース。

また、米国景気後退・世界景気後退となれば通常は様々な国際商品価格が下落し、日本の対外収支が改善し貿易赤字が縮小して円安圧力が解消に向かう。

しかし景気とは別の供給要因での価格高止まりが続くようなら、収支面での円高圧力が生じない。この場合は130円台前半で高止まりとなる。

一方、ドルにとってバラ色のシナリオは発生確率が低いだろう。

米国経済が景気後退を回避するなかでインフレがある程度鎮静化しFRBが利上げをペースダウンしつつも高水準に金利を維持する、といったことは現状からは想定しにくい。

循環的なシナリオからすれば、目先は大きく景気が悪化するものの来年早々にはインフレがある程度鎮静化。来年央からはFRBの政策焦点が物価抑制重視から景気配慮に転換するケース。株価が堅調となりイールドカーブはポジティブになる展開。

来年秋には翌年の大統領選挙に向けた景気モメンタムが必要だろう。

そのために、景気の発射台は今年末から来年初には下がっていても問題なく、インフレが早期に鎮静化していることが政権にとって重要。FRBがフリーハンドを手にするためにも必要だ。

一方、構造論的には円安が極度に進む、あるいは円安が定着するリスクシナリオもある。

グローバルにディスインフレから普通にインフレの時代に逆戻りしたとすると、円安バイアスがかかりやすい。ディスインフレのもとでは日本のデフレ・ディスインフレ・超低金利はさほど目立たなかった。

しかし、90年代あるいは極端には80年代のインフレ時代に逆戻りすると、世界全体の名目金利水準が上昇し、日本の超低金利が際立ったまま、円高に戻りにくくなる。

ディスインフレをもたらしたのは、グローバリゼーションで謳歌した自由貿易や生産効率化や貿易流通の活発化だったとすると、ウクライナ情勢による「東西対立」の再燃、温暖化対策によるエネルギー効率の犠牲、などはその逆流となり、インフレ要因ということになる。

大きくとらえれば、日本経済はグローバリゼーションでメリットを享受してきた。

貿易に何の支障もないことが日本にとって最も重要。国際商品価格が低位安定していることも日本にとって有利な環境だ。

それが崩れた状態が常態化するとなれば、日本経済ないし円の立ち位置が、ギャップダウンしてもおかしくない。

こうしたことは、目の前の為替相場にすぐに反映するものではないが、長期的にみて、あとから判明するものだ。

現時点でイメージすれば、従来は100円~115円が中心レンジだったものが、仮説として、110円~140円へ、ドル高円安方向にシフトしながら変動幅を拡大したといったところだろう。

この先3年程度のうちに生じるドル安円高局面で110円に達成することなく、再び循環的にドル高円安となるなら、そうした変化を疑ってみる必要がある。


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