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中国ロックダウン・米引締め・米統計減速で全面安
  • MRA商品市場レポート

2022年6月13日 第2215号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「中国ロックダウン・米引締め・米統計減速で全面安」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品価格は貴金属や畜産品の一部で価格が上昇したが、その他の商品は軒並み価格水準を切下げる展開となった。

経済活動が再開すると期待されていた中国だが、「ゼロコロナ政策の呪縛」から脱出することが出来ず、再び大規模なロックダウンが現実のものとなりつつある中で景気への懸念が強まったことが、主に鉱物資源価格を押し下げた。

また、注目の米消費者物価指数が想定以上の強いないようとなり、米国の金融引締め加速の可能性が高まったことが金融面でも価格を押し下げることとなった。

今のところ6月・7月の50bp利上げは確実だが、このままだと9月に50bpの利上げの可能性が高まることになる。米FRBはあくまでそのときの状況に合わせて利上げを、ということになるが基本的に「後手」に回っており、追加的な利上げの可能性は低くない。

これに加えて、その後発表されたミシガン大学消費者マインド指数が想定以上の減速となり、循環的か、あるいは商品価格の上昇に伴う消費手控えが顕在化しつつあることを示唆する内容。

これを受けて実態経済の減速観測が高まったことが景気循環銘柄の下げをさらに助長することとなった。

【本日の見通し】

週明け月曜日は、米国の金融引締め強化観測が強まっていることから、ドル指数が上昇し、ドル建て資産価格を広く下押しすると考えられる。

通常であれば、米国で弱い統計が発表されると「金融引締めはそこまで強くやらないのではないか」という期待を高めるが、FRBが景気を犠牲にしてもインフレを抑制する方針であるため、中国が困難な状況にあることを考えると、やはり年後半に掛けての商品価格調整の可能性は高いと考えられる。

【昨日のトピックス】

昨日発表された中国の消費者物価指数、生産者物価指数は同国のインフレがやや沈静化に向かっていることを示唆するものだった。

消費者物価は前年比+2.1%(市場予想 +2.2%、前月+2.1%)と市場予想を下回った。セクター別では食料品が前年比+2.3%、消費財が+3.0%であるのに対し、サービスが+0.7%と低迷した。ロックダウンの影響によるものと考えられる。

品目別では、中国国民の食卓への影響が大きい豚肉が▲21.1%と前月の▲33.3%ほどではないが前年比で低下傾向にある。

一方、自動車燃料は+27.1%(+28.4%)と高い伸びが続いている。これは他国と同じであり個人消費に悪影響が及ぶ可能性は高い。

生産者物価指数は+6.4%(市場予想+6.4%、前月+8.0%)と減速。全体的に前年比での上昇率は鈍化している。特に顕著に上昇していた鉱産(38.3%→29.7%)の減速が大きかった。

中国がインフレの状況に有ることに変わりはないが、ロックダウンが今後も行われる可能性があることや、経済のハードランディングの可能性があることを考えると金融緩和策は今後も継続すると見られ、早晩、利下げを含めた追加の緩和策が実施される可能性は高いと考える。

また5月の中国自動車生産がCAAM(China Association of Automobile Manufactures)から発表されたが、前年比▲12.6%の186万2,000台(前月▲47.6%の118万1,000台)となった。

NEV(新エネルギー車)の販売は前年比▲1.4%の162万台(前月▲43.4%の97万台)。

中国の自動車販売は緩やかな回復基調をたどると期待されるものの、ロックダウンの影響で新車販売に下押し圧力が掛っていることは無視できない。

また、ウクライナ情勢を受けた資源価格の高騰が生産車物価指数を押し上げており、自動車メーカーの業況にも影を落している。

【昨日のセクター別動向と本日の見通し】

◆原油

原油価格は上昇後、下落した。調整売りに押される展開を予想していたが、朝方は安値拾いの買いが入ったが、その後米国時間に発表された米消費者物価指数が想定よりも強い内容であり、米FRBが金融引締めを強化するのでは、との見方が強まったことが価格を押し下げる形となった。

米政府は景気を犠牲にしてでも原油価格を下げることに注力せんとしているようだが、その場合に懸念されるのは「原油価格が下がらないにもかかわらず、景気が減速していく」場合である。

今のところ週間石油統計でも米国の国内需要、輸出需要は明確に減速している訳ではなく、価格が急に下落する感じでもないのだが、先に景況感が悪化を始めたのは気がかりである。

この場合、時間差をもって実行される供給増加のタイミングが景気の減速(恐らく年後半)に重なると、大幅な下落になるリスクは無視できない。

今後の比較的短期的な見通しは以下の通り。現在は3,の状態にあると考えられるが、今までの増産の延長線上で、予定通りOPECプラスの増産が9月で打ち止めとなれば、2.の状態に戻ると予想される。

脱ロシアが進み、景気の後退が明確にならなかった場合、短期的に1.にシフトする可能性もゼロではなくなってきている。

<シナリオ別原油価格見通し>

1.ロシア・ウクライナ情勢沈静化せず、ロシアの原油が半分程度市場に出てこない Brent 120-150ドル

2.戦闘状態が継続し、欧州をはじめとする西側諸国がロシア原油を段階的に禁輸とし、それが実行されるBrent 100-130ドル

3.1.ないしは2.の状態で産油国のいずれかが増産する(規模による)Brent 90-125ドル

4.戦闘状態が継続するがロシアからの原油・石油製品供給が減少しないBrent 85-120ドル

5.4.の状態で産油国のいずれかが増産する(規模による)Brent 75-110ドル

6.ロシアがウクライナから撤退Brent 95-120ドル

7.6.に加えて産油国のいずれかが増産する(規模による)Brent 75-110ドル

8. 脱ロシア完了(西側諸国+OPECで完全にロシア産原油代替可能の場合)Brent 60-90ドル

9. 東西冷戦構造が構築されなかった場合(前回オイルショック時と同様に化石燃料の生産が増えて顕著な供給過剰となる場合)Brent 40-60ドル

※産油国の増産は、鍵となるイランで130万バレル、ベネズエラで50万バレル程度を想定している。OECD諸国の戦略備蓄130万バレル放出は半年の時限付。

※上記価格レンジは市場動向を反映して、逐次微修正している。

長期的な視点では、以下のような流れが想定される。基本的には下りのエスカレーターに乗る中で、供給面の材料が価格を高止まりさせる、という見通し。

2024年以降は、現在のインフレ抑制がどの程度進むか、脱ロシアがどのような形で収束するか、に依拠するためまだなんともいえないところ。

現在~Q422 需要の伸び高止まり・供給制限継続 (↑)Q422~Q123 需要の伸び減速・供給不足期 (↓)      リセッションの場合 (↓↓)Q123~Q423 需要減速底入れ・供給回復期 (↑)2024年以降 需要回復・脱ロシア進捗(非OPECプラスの増産) (→)

※矢印の向きは価格の方向性。

週明け月曜日は、ドル高進行や米ミシガン大学消費者マインド指数の悪化を受けて下値余地を探る動きになると予想する。しかし、上述の通りまだ需要が減速している感じではないため、安値拾いの買いが入り高値維持の公算。

◆天然ガス・LNG

欧州天然ガス先物価格は下落した。米Freeport社の火災の影響でLNG調達に支障が出るとみられ、スポット価格を押し上げていたがたまたま欧州が不需要期に当たること、LNG施設のキャパシティを超える調達となっている国が散見されること、から足下の影響は限定されている状況。

しかし、稼働再開が3週間であればどうにか夏の需要期前の調達には間に合いそうではある。しかし、これが延長された場合、夏場のLNGスポット価格は上昇が不可避となる。

現在の天然ガス・LNGのスポット価格変動要因を整理すると概ね以下の6点に集約される。

1.脱ロシアの継続(スポットカーゴ価格の上昇要因)2.欧州vsロシアの対立(価格の上昇要因)3.景気減速(価格下落要因)4.気象状況(今のところ需要増加で価格上昇要因)5.季節要因6.そもそもの在庫不足(在庫積増しバイアスで価格上昇要因)

日々これらに関わる材料が処理されて価格が動いているが、欧州が脱ロシアを進める方針に変わりはなく、スポットのガス調達を増やして調達構造を変化させる見通しであり、「脱ロシアの供給ソースの完全確保」が出来るまではスポット価格は高い水準を維持、その後は下落、というのがメインシナリオとなる。

LNGのターミナルを持たない域内最大のエネルギー消費国であるドイツは、あと数年は

1.域内供給の増加2.その他の熱源の利用(風力、太陽光含む)3.需要の削減

によってガス在庫を積み上げるしかない。結局その大半をロシアからの輸入に頼らざるを得ない。なお、欧州全体のガス在庫は6月9日時点で50.8%(前日50.5%)と順調に在庫が積み上がっており、「このペースで行けば」10月までに90%の在庫積増しが達成出来る可能性が高まっている。

欧州全体では良いのだが、現在戦闘状態にあるウクライナのガス在庫の水準が著しく低い。ウクライナは欧州域内で最大の貯蔵能力を有するが、現在の在庫積増し進捗状況は18.0%(17.9%)とほとんど在庫が積み増しできていない状況。

仮に冬場にガスが不足した場合、欧州諸国からウクライナへの融通も視野に入れる必要があり、冬場に天然ガスが不足するリスクは無視できない。

なお、一部の国ではLNGの受入キャパシティ上限まで輸入が増加しており、これ以上輸入量を増加させるのは技術的に困難とみられる。

これらのリスクが顕在化した場合、自国民の生活や産業に著しい不利益が生じるため、欧州域内からロシア制裁解除の声が高まる可能性はある。ロシアが音を上げるか、欧州か、まさにチキンゲームの様相を呈している。

LNGのタンカーレートはスエズ以西・以東とも上昇しているが、特に以西の価格が季節性を無視して顕著に上昇している。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

米国天然ガス先物市場は下落。FreeportのテキサスLNGターミナルでの火災の影響で域内のガス供給が増加し、需給が緩和するとの期待が高まっていることが背景。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

JKM先物は下落した。中国上海がまたロックダウンとなる見通しであり、中国向けのガス需要が減少するとみられたこと、米FreeportのLNGターミナルでの火災により欧州ガス価格が前営業日に上昇していたが、不需要期であることもあって水準を切下げたため、その影響を受けた。

本邦企業も同社からかなりまとまった規模のLNGを輸入する契約となっているが、仮に稼働停止が長びいた場合、代替調達をしなければならなくなるため、スポット価格の上昇要因となる。

6月8日時点の日本の発電用LNG在庫は214万トン(前年同月末204万トン、過去4年平均195万トン)と増加し、例年の在庫水準を上回った。

今年の夏は猛暑が見込まれているため、夏場の供給不足のリスクは小さくなく、実際、政府は夏場の省電力を要請している。

5月30日~6月5日のLNGトレードだが、取引量は731万トン(前週716万トン)と増加した。スポット取引のシェアは31%(前週25%)と上昇した。

スポット契約は欧州・イタリア向けが+27万トンの大幅な増加となった。主にイタリアの輸入増加によるもの。一方、日中台韓の輸入量は+15万トンの増加。韓国の輸入増加の影響。

長期契約ベースの輸入は日本と中国向けが各々▲15万トン、▲39万トンの減少となった。

週明け月曜日も不需要期に当たること、米国からの供給減少が3週間は続く見通しであることから、高値ながらも調整圧力が強まる展開を予想。問題は7月以降である。

※LNGの数量とガスベースの換算レートは、注記がなければBP提示の 1トン=1,360立方メートルを用いている。

◆石炭

豪州石炭スワップ先物価格は期先が下落した。米Freeport社のLNGターミナル事故で欧州のガス価格が上昇していたが、不需要期に当たることもありやや調整圧力が強まった。

また、上海でロックダウンが再開される見通しであることが、中国国内の需要低下観測を強めたことも価格を下押しした。

しかしそれでも石炭価格は高い。在庫水準の低さ、夏場に向けた調達圧力、供給ソースの制限が背景にある。期近と期先の価格差を流動性プレミアム(コンビニエンスイールドの効果)とするならば、180ドル程度の流動性プレミアムが付加されていることになる。

中国政府は2022年の石炭生産目標は昨年12月の過去最高水準を上回る1,260万トン/日(3億9,060万トン/月)に設定しているとされ、これが達成されるとほぼ輸入が不要となる。

なお、4月の中国の石炭生産は、前年比+12.6%の3億6,300万トン(1,209万トン/日)と前月の+16.1%の3億9,600万トン(1,277万トン/日)からは減少している。

結局、海上輸送炭の輸入需要は昨年までよりは低下しているものの、完全に不要という訳ではない。4月の国別の燃料炭輸入はインドネシアからの輸入が前月比+191万トン、ロシアが+43万トン、カナダが13万トン増加している。

日本も対岸の火事ではなく、今年の夏は猛暑が予想されているため、石炭価格の高騰が電力会社の業績を圧迫するのみならず、逆ざや発生に伴う電力供給制限が起きる可能性も意識しなければならない状況。

また、夏場の電力供給不足のリスクは米国でも指摘されており、北米電力安定供給審議会(NERC)は、米国では五大湖周辺から西海岸に掛けて猛暑や干ばつなどの影響で電力不足に陥るリスクに警鐘を鳴らしている。

これに加えて電力供給不足を補うため、ドイツがロシアからのガス供給途絶に備えるため、休止予定だった石炭火力発電所を利用する方針を表明しており、構造的な石炭需要は底堅く、価格を高値に維持するとみる。

週明け月曜日は上海ロックダウンの影響で軟調な推移を予想。

◆非鉄金属

LME非鉄金属価格は続落した。最大消費国である中国の上海で再び大規模なロックダウンが発生する見通しとなり、6月一杯は経済活動が停滞する可能性が出てきたことが、工業需要の減少観測を強めて価格を下押しすることとなった(詳しくは本日のMRA's Eyeをご参照ください)。

また、昨日は米国の消費者物価指数が市場予想を上回る上昇となったこと、経済定期に繋がりの強い欧州でもECBが金融引締めを加速させる方針であることが、価格を下押しすることとなった。

基本的には中国政府の景気刺激を受けて価格は上昇すると予想されているものの、コロナの影響によりこれが不透明になり、足下、リスクシナリオが顕在化する可能性が高まってきている状況。

先行きについても非鉄金属価格は中国の経済対策の影響で夏場に向けて一旦戻す、と考えていたもののこのゼロコロナ政策が頑なに維持される以上、経済対策を行っても実際に行動が出来ないため、むしろ足下のリスクは下向きになりつつあるといえる。

なお、この状況に於いてもLME指定倉庫在庫の減少は続いており、現物プレミアムも特に欧米で高止まりしており、除く中国世界の状況に大きな変化がないのも事実。

非鉄金属の期間構造はアルミとニッケル以外は引き続きバックワーデーションの状態(アルミは期先から再びバックワーデーションになっているが、ニッケルは全ゾーンコンタンゴとなっている)。

週明け月曜日はロックダウンの影響が続くと予想されることから、軟調推移を予想。ただし2日間の下落が大きかったこともあり、主に実需筋と考えられる安値拾いの買いが下支えすると考える。

◆鉄鋼・鉄鋼原料

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは下落、豪州原料炭スワップ先物は大幅に続落、大連原料炭価格は下落、上海鉄筋先物は直近限月が変わらず、中心限月が下落した。

上海で大規模なPCR検査が行われ、その結果を受けて再び大規模なロックダウンが6月一杯は起きるのではないか、との見方が強まったことが背景。

週末発表の週間在庫では、鉄鉱石が▲370万トンの1億2,830万トン(過去5年平均1億3,006万6,000トン)、原料炭が前週比+4万トンの10万トン(同159万トン)と明らかに在庫水準は低い。

一方、鉄鋼製品在庫は+18万6,000トンの1,640万9,000トン(1,218万9,000トン)と水準は高く、ロックダウンの影響による需要の減少が深刻だったことを示唆している。

景気刺激策や在庫水準の低さが需給ファンダメンタルズ面で価格を下支えするものの、今後、先が見えないロックダウンによる期待需要減少の影響の方が大きいといえる。

週明け月曜日はロックダウンの影響にもよるが、恐らく6月一杯はいくつかの地域でロックダウンが行われることは確実であり、工業活動の減速で鉄鋼製品。鉄鋼原料価格とも水準を切下げる展開を予想。

◆貴金属

昨日の金価格は評価の難しい1日。まず、注目の米消費者物価で物価上昇率が加速したことを受けてピークアウト観測が強まっていたインフレ懸念台頭、米金融引締め強化観測を受けて水準を切下げたが、その後発表されたミシガン大学消費者マインド指数が大幅な減速となったため、米景気への減速懸念が強まり、リスク回避的に安全資産が物色される流れとなった。

結局、米国の金融引締めは加速せざるを得ず、同時に景気も減速するというスタグフレーションリスクが高まり、新興国などの経済状況悪化も懸念され、信用不安が高まっている、と整理出来る。

銀は金価格の上昇を受けて上昇、PGMは株の調整はあったが金価格上昇の影響がこれを上回った形。

週明け月曜日は目立った手がかり材料に乏しい中、金利上昇が基準価格を押し上げるものの、信用リスクの高まりを回避するための安全資産需要が高まると考えられることから、結局高値を維持の公算。

PGMは株が調整すると見られることから、軟調推移を予想。

◆穀物

シカゴ穀物市場はトウモロコシが上昇、大豆、小麦が下落した。需給報告がほぼ予想に近い数字であったことから、米消費者物価指数の上昇を受けたドル高進行の影響が強く出たため。

金曜日に発表されたUSDA需給報告の予想は以下の通り。生産見通しは大豆が市場予想比下振れしたが、トウモロコシ・小麦は上振れ、前月との比較では、トウモロコシが下方修正されたが、大豆は横這い、小麦は上方修正された。

在庫見通しはトウモロコシ・小麦が上方修正、大豆が下方修正、前月比ではトウモロコシと小麦が増加、大豆が減少となった。

内容的にはまちまちで評価が難しいところだが、過剰な生産減少見通しが多少修正された、

・6月米単収見通し実績(市場予想、前月)トウモロコシ 177.0Bu/エーカー(177.1、177.0)大豆 51.5Bu/エーカー(51.5、51.5)小麦 46.9Bu/エーカー(NA、46.9)

・6月米生産見通しトウモロコシ 144億6,000万Bu(144億4,993万Bu、147億6,000万Bu)大豆 46億4,000万Bu(46億4,148万Bu、46億4,000万Bu)小麦 17億3,700万Bu(17億1,913万Bu、17億2,900万Bu)

・6月米輸出見通しトウモロコシ 24億Bu(NA、24億Bu)大豆 22億Bu(NA、22億Bu)小麦 7億7,500万Bu(NA、7億7,500万Bu)

・6月米在庫見通し(市場予想/前月)トウモロコシ 14億Bu(13億5,144万Bu、13億6,000万Bu)大豆 2億8,000万Bu(2億9,415万Bu、3億1,000万Bu)小麦 6億2,700万Bu(6億2,270万Bu、6億1,900万Bu)

週明け月曜日は、目立った手がかり材料に乏しいが、再び米金融引締め観測が強まる中でドル高が進行しやすく、軟調推移を予想。

※中長期見通しは、7月・11月にリリースの商品市場為替市場動向見通しをご参照ください(有料)。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【マクロ見通しのリスクシナリオ】

・米国経済が正常化する中で金融引き締めが加速、経済をオーバーキルしてしまった場合(価格下落要因)。

・渇水に拠る水不足や、発電燃料供給不足による工場稼働停止や消費低迷で景気が減速する場合(リスク資産価格の下落要因)。

・脱炭素・脱ロシア進捗による資源需要の高まりによる価格上昇や、資源の供給不足(枯渇のリスクも)が発生し、経済活動が抑制される場合(価格上昇→景気減速による価格下落リスク)

・米中対立激化にロシア問題も加わり、新冷戦構造が発現しブロック経済圏が発生して貿易活動が鈍化する場合(場合によると武力衝突も)。

・自由主義国vs専制主義国の対立加速、自国内の混乱などを理由に急に「手打ち」となった場合(景気のポジティブリスク・中国がさらに力を付け、将来米中が武力衝突するリスク)。

・ロシア・ウクライナの衝突の影響が長期化し、欧州を中心に景気が減速する場合。

また、ロシアに対する制裁がロシアが主要生産地である商品の供給を制限し、価格を押し上げ、景気を悪化させるリスク(価格下落要因)。

ウクライナへの侵略戦争は長期化がほぼ確実であり、景気下押し要因となるという展開はメインシナリオとなる可能性。

・ロシア国債のデフォルトや、ロシアからのビジネス撤退が企業や信用市場に大きな影響を与え、クレジットクランチ(信用収縮)が発生する場合。

・中国不動産問題の沈静化に時間が掛り、信用収縮に繋がる場合(工業金属などの景気循環系商品を筆頭に、リスク資産価格の下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(これは人口動態を考えると、現実のリスクとなるのは2030年以降か)。

・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。

逆に脱炭素に向けたインフラ投資の加速で資源価格が急上昇、金融緩和マネーが大量に市場に滞留する中でハイパーインフレとなるリスク。

・次の成長ドライバーとして期待されるインド経済が、期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。

2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2023~2024年頃。

◆本日のMRA's Eye


「遅れる銅価格反発のタイミング」

非鉄金属と中国の経済状況を把握する上で重要な銅価格は、再び水準を切下げる動きになっている。6月1日に解除され、今後の経済活動再開が期待されていた中国であるが、再び上海がロックダウンされることとなった。

上海の16の行政区のうち、14がこの週末の封鎖計画の対象となっている。封鎖地域は2日間(この週末)の外出禁止と、9日から12日間の検査実施が通知されており、ロイターなどが報じるところでは少なくとも3つの地区の住民は6月23日まで5回の検査が義務づけられるようだ。

先行きは不透明であるが、中国景気にマイナスであることは確実であり、中国が最大消費国である非鉄金属を含む鉱物セクターの価格には下押し要因となる。非鉄金属のベンチマークである銅も当然同じである。

最大消費国である中国の銅の顕在需要(生産+輸入-輸出±在庫増減)を見てみると3月をピークに減速しており、高い水準を維持してはいるものの、

1.中国共産党のバブル抑制策

2.コロナの感染拡大防止のためにこだわり続けているゼロコロナ政策による経済活動の強制停止

の影響で景気が減速局面にあることを示唆している。

しかし、3期目を目指す習近平国家主席がこのまま景気が減速することを容認するとは考え難い。

新しく発生したロックダウンは最短でも6月一杯まで続く可能性が出てきたが、この影響を相殺するために経済対策を強化することは必至であり、かつ、ロックダウン期間中のペントアップ需要が顕在化することから、夏場に掛けては一旦上昇余地を試す動きになると予想される。

しかし、弊社はその上昇が6月からと考えていたため、これが先送りになることになる。

経済活動が再開されれば、ロックダウンの影響によって最大の銅需要である電線向け投資も急減速していたが、これも恐らく加速するため銅価格の上昇要因となる。

これまで中国国内の在庫調整が進んでいたため、これらの特殊需要が顕在化する中では銅が不足することになり、鉱石の輸入や精錬銅の輸入は増加が予想され、中国外の市場の需給はタイト化することになろう。

しかし、こうした公共投資は価格の下支え要因にはなるが、仮に今回のロックダウン期間中に中国経済が修復不可能なレベルまで減速する、いわゆるハードランディングとなる可能性も否定出来ない。

ただ、現時点ではリスクシナリオの位置づけるべきであり、基本的には一旦上昇したの地に、年末に掛けて景気循環や米国の金融引締めの影響の方が大きく作用して銅を含む景気循環系の商品価格に下押し圧力がかかる、というのが面シナリオである。

過去3年のデータを元にした分析では、足下、銅価格に対して最も説明力が高いのは米S&P500であり、株価動向に銅価格は左右されやすい。

主要アナリストのS&P500の年末予想は現時点の中央値で4,800ポイント。昨年末の水準が4,766ポイントであるため銅価格とS&P500の上昇率の回帰分析の結果を基にすると2022年末の銅価格は9,668ドルが目処となる。


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