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景気循環系商品売られる~後半買い戻しも
  • MRA商品市場レポート

2022年6月8日 第2212号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「景気循環系商品売られる~後半買い戻しも」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は穀物やその他農産品、貴金属などの景気に循環し難い商品価格が上昇し、その他は総じて軟調な推移となった。

世界銀行の経済見通しが大幅に下方修正されて(詳しくは昨日のトピックスを参照ください)景気の先行きへの懸念が強まったことが景気循環系商品を下押しした一方、それを受けた長期金利の低下やドル安進行がドル建て資産価格の上昇要因となった。

という意味では景気に循環しない商品はドル安を材料に上昇した、という形だろうか。経済環境や供給環境にももちろん左右されるのだが、景気に連動し難い農畜産品セクターが上昇している場合は消去法的な物色となっていることが多く、景気の先行きに対する不透明感が強まるときにありがちな値動き、といえる。

【本日の見通し】

本日は米国の金融政策動向を意識しつつ、高値圏で神経質な推移が続くと考えられる。その意味では米10年債入札動向は重要になってくる。

前回の10年債入札は発行総額が360億ドル、最高落札利回り2.943%、最低落札利回り2.800%、応札倍率は2.49倍。

最高落札利回りは昨年11月以降一貫して上昇しており、本日の入札で3%を超えるか否かが1つのポイントとなる(10年国債の利回りは現時点で2.99%)。

この水準を下回ればリスク資産価格には金融面で上昇圧力が掛かり、上回れば金融引締め加速(9月50bp、あるいは75bp利上げ)観測を強め、リスク資産価格の下落要因になると見ている。

【昨日のトピックス】

昨日発表された世界銀行の経済見通しは下方修正され2.9%成長(前回見通し比▲1.2%)に下方修正され2023年に関しても3.0%と成長ペースの戻りは緩慢とした。

主に、ロシアのウクライナに対する侵略とそれに伴う経済混乱、サプライチェーンのリスク、インフレの継続、財政状況の悪化が成長ペースを鈍化させるとしており、見通しのリスクとして、高インフレ継続でスタグフレーションに陥る可能性を挙げている。

仮に今回の調整局面でリセッションを回避出来ても、長期にわたって低成長と高インフレに悩まされるリスクも指摘していた。

先進諸国の見通しは2.6%(▲1.2%)とやはり下方修正され、2023年は2.2%(▲0.1%)とこちらも下方修正された。インフレと、インフレ制御目的の金融引締めが見通しの重石となっている。

日本は先進諸国内でも低い水準となる1.7%(▲1.2%)、2023年が1.3%(+0.1%)の見通し。

米国は2022年が2.5%(▲1.2%)、2023年が2.4%(▲0.2%)。金融引締め、エネルギ-価格の上昇、サプライチェーンの混乱が背泳。

新興国 3.4%(▲1.2%)、2022年が4.2%(▲0.2%)と、引き続き世界経済の牽引役となるが、インフレ抑制のための米国の金融引締めの影響を受けることは免れないとの見方。

中国の経済見通しは4.4%(▲0.7%)と下方修正され、2023年は5.2%と前回見通しを据え置いた。しかし、2022年の成長ペースを下方修正したため、2023年に関しても実質下方修正である。ロックダウンの影響が確実に経済に悪影響をもたらしたといえる。

IMFの見通しよりもさらに低い見通しであり、中国政府が標榜する5.5%の成長達成はかなり困難な状況になっている、という判断である。結果、特に鉱物資源価格の下押し要因となる。

次の商品需要の牽引役になると考えられているインドの見通しも、2022年が7.5%(▲1.2%)2023年が7.1%(+0.3%)と、2023年には回復する見通し。

今後の商品需要動向を占う上では、人口ボーナス期入りしているインドの需要がどれだけ回復するかは重要なポイントになる。

【昨日のセクター別動向と本日の見通し】

◆原油

原油価格は上昇した。需給バランスがタイトな状況が続く中、米国債利回りの低下に伴うドル安進行が価格を押し上げた。

米DOEの月報が発表され、需給見通しは下方修正(緩和方向)され、特に2023年の需給見通しが緩和方向に修正されたが、足下の需給タイト感が解消している訳ではないことから、足下の価格動向には影響を与えなかった。

ただし価格見通しに関しては、足下の需給タイト感を背景に上方修正している。

また、昨日は世銀の経済見通しが発表され、弱気な内容だったがこちらも余り価格には影響を及ぼさなかった。市場の原油市場動向を判断する上での材料としては、金融政策と供給面に焦点が当たっていることがうかがわれる。

今後は需要と供給の方向性に焦点が集まる。需要は伸び減速の見通しであり、供給は増加の見通しで、基本的には価格には下押し圧力が掛かりやすくなるはずだ。

しかし需要がいつ減速を始めるのか、供給がどのタイミングで再開されるか、に関してコロナの影響、ロシア問題、サプライチェーンの問題、人手不足、異常気象、といった不確定要素が余りに多く、下落タイミングを推定するのがかなり困難な状況になっている。

米国のシェールオイルの掘削~生産開始までのリードタイムが1年程度に長くなってしまった。北米の生産者の上流部門投資は増加しているのだが、いろいろな制限の下、恐らく増産が始まるのは年後半以降になると予想される。

結局、供給面の状況は改善していないこと、需要はまだ堅調であることから当面高値を維持する可能性は高く、年末の着地点が弊社の4月予想よりも高くなる可能性も高まっている。

今後の比較的短期的な見通しは以下の通り。現在は3,の状態にあると考えられる。

ただ、今までの増産の延長線上で、予定通り増産は9月で打ち止めとなれば、2.の状態に戻ると予想される。

なお、ロシアの軍事侵攻は恐らく長期にわたること、制裁は見える未来では継続される見通しであることから、ロシア軍撤退・非撤退による場合分けは本日から行わないことにした。

<シナリオ別原油価格見通し>

1.ロシア・ウクライナ情勢沈静化せず、ロシアの原油が半分程度市場に出てこない Brent 120-150ドル

2.戦闘状態が継続し、欧州をはじめとする西側諸国がロシア原油を段階的に禁輸とし、それが実行されるBrent 100-130ドル

3.1.ないしは2.の状態で産油国のいずれかが増産する(規模による)Brent 90-125ドル

4.戦闘状態が継続するがロシアからの原油・石油製品供給が減少しないBrent 85-120ドル

5.4.の状態で産油国のいずれかが増産する(規模による)Brent 75-110ドル

6.ロシアがウクライナから撤退Brent 95-120ドル

7.6.に加えて産油国のいずれかが増産する(規模による)Brent 75-110ドル

8. 脱ロシア完了(西側諸国+OPECで完全にロシア産原油代替可能の場合)Brent 60-90ドル

9. 東西冷戦構造が構築されなかった場合(前回オイルショック時と同様に化石燃料の生産が増えて顕著な供給過剰となる場合)Brent 40-60ドル

※産油国の増産は、鍵となるイランで130万バレル、ベネズエラで50万バレル程度を想定している。OECD諸国の戦略備蓄130万バレル放出は半年の時限付。

※上記価格レンジは市場動向を反映して、逐次微修正している。

長期的な視点では、以下のような流れが想定される。基本的には下りのエスカレーターに乗る中で、供給面の材料が価格を高止まりさせる、という見通し。

2024年以降は、現在のインフレ抑制がどの程度進むか、脱ロシアがどのような形になるか、に依拠するためまだなんともいえないところ。

現在~Q123 需要の伸び減速・供給不足期Q223~Q423 需要減速底入れ・供給回復期2024年以降 需要回復・脱ロシア進捗(非OPECプラスの増産)

本日も基本的には供給面がフォーカスされるため、高値維持の公算。ただし米10年債入札などの結果を受けてドル高に再度振れる可能性もあり、昨日の上げが為替由来のものであった可能性が高いことを考えると、その場合は下振れリスクが意識されることに。

なお、夜間発表予定の米石油統計は、原油在庫が▲2.4MBの減少が予想されているが、朝方発表のAPI統計では+1.8MBの増加が確認されており、予想外の在庫増加となって価格下落要因となるか。

◆天然ガス・LNG

欧州天然ガス先物市場は小幅に続落した。

ロシアからの輸入は継続する可能性が高いこと(現に現在も続いている)、域内の重要生産国であるノルウェーのガス生産は過去5年平均程度であるがネット輸出は増加しており、LNGの輸入フローも高水準であること、価格上昇や季節的な需要の減少を背景に、足下の需給が緩和していることが背景。

ただし、基本的にTTFの期間構造や絶対水準は変化しておらず、冬場の調達に懸念が残る状態が続く。

現在の天然ガス・LNGのスポット価格変動要因を整理すると概ね以下の6点に集約される。

1.脱ロシアの継続(スポットカーゴ価格の上昇要因)2.欧州vsロシアの対立(価格の上昇要因)3.景気減速(価格下落要因)4.気象状況(今のところ需要増加で価格上昇要因)5.季節要因6.そもそもの在庫不足(在庫積増しバイアスで価格上昇要因)

日々これらに関わる材料が処理されて価格が動いているが、欧州が脱ロシアを進める方針に変わりはなく、スポットのガス調達を増やして調達構造を変化させる見通しであり、「脱ロシアの供給ソースの完全確保」が出来るまではスポット価格は高い水準を維持、その後は下落、というのがメインシナリオとなる。

LNGのターミナルを持たない域内最大のエネルギー消費国であるドイツは、あと数年は

1.域内供給の増加2.その他の熱源の利用(風力、太陽光含む)3.需要の削減

によってガス在庫を積み上げるしかない。結局その大半をロシアからの輸入に頼らざるを得ない。なお、欧州全体のガス在庫は6月5日時点で51.4%(前日51.0%)と順調に在庫が積み上がっており、「このペースで行けば」10月までに90%の在庫積増しが達成出来る可能性が高まっている。

欧州全体では良いのだが、現在戦闘状態にあるウクライナのガス在庫の水準が著しく低い。ウクライナは欧州域内で最大の貯蔵能力を有するが、現在の在庫積増し進捗状況は17.6%(17.5%)とほとんど在庫が積み増しできていない状況。

仮に冬場にガスが不足した場合、欧州諸国からウクライナへの融通も視野に入れる必要があり、冬場に天然ガスが不足するリスクは無視できない。

なお、一部の国ではLNGの受入キャパシティ上限まで輸入が増加しており、これ以上輸入量を増加させるのは技術的に困難とみられる。

これらのリスクが顕在化した場合、自国民の生活や産業に著しい不利益が生じるため、欧州域内からロシア制裁解除の声が高まる可能性はある。ロシアが音を上げるか、欧州か、まさにチキンゲームの様相を呈している。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

米国天然ガス先物市場はほぼ変わらず。かねてからの在庫低下と気温上昇見通し、渇水の影響で天然ガス需要は増加すると見られており9ドルオーバーの状態が続いている。

なお、米DOEの天然ガス需給見通しでは2023年に現在の在庫積み不足が解消するとしており、その場合、期先の水準である5ドル程度までの下落はありえるだろう。

なお、HHの直近限月価格は9ドル前後だが、カリフォルニア南部のガス価格は10.21ドルまで上昇しており、足下の需給がタイトであること示唆している。

※週次(原則金曜日)の更新となります。

JKM先物は全ゾーンパラレルに小幅に下落した。欧州天然ガス価格が下落したこと、中国の経済活動の戻りが緩慢であるとみられること、などが材料となった。

なお、今冬・来年以降の天然ガス価格水準は高止まりしており、構造的な需要増加の可能性を示唆している。

6月8日時点の日本の発電用LNG在庫は214万トン(前年同月末204万トン、過去4年平均195万トン)と増加し、例年の在庫水準を上回った。

今年の夏は猛暑が見込まれているため、夏場の供給不足のリスクは小さくなく、実際、政府は夏場の省電力を要請している。

5月30日~6月5日のLNGトレードだが、取引量は731万トン(前週716万トン)と増加した。スポット取引のシェアは31%(前週25%)と上昇した。

スポット契約は欧州・イタリア向けが+27万トンの大幅な増加となった。主にイタリアの輸入増加によるもの。一方、日中台韓の輸入量は+15万トンの増加。韓国の輸入増加の影響。

長期契約ベースの輸入は日本と中国向けが各々▲15万トン、▲39万トンの減少となった。

本日も欧州の需要の鈍化が価格を下押しするが、中国の経済活動再開による需要増加や米国からのカーゴ減少(域内需要の高まり)観測が価格を下支えすると考える。

※LNGの数量とガスベースの換算レートは、注記がなければBP提示の 1トン=1,360立方メートルを用いている。

◆石炭

豪州石炭スワップ先物価格は大幅な低下となり、400ドルを割り込んだ。欧州のガス調達圧力の弱まりで天然ガス価格が下落、それに伴い価格が下落したと考えられる。

また、ロックダウン解除後の中国の経済活動回復が緩慢であることも、価格の下押し要因となったようだ。しかし、経済活動は再開の見通しであり、在庫の水準の低さを考えると石炭価格は高止まりする可能性が高い。

期近と期先の価格差を流動性プレミアム(コンビニエンスイールドの効果)とするならば、180ドル程度の流動性プレミアムが付加されていることになる。

中国政府は2022年の石炭生産目標は昨年12月の過去最高水準を上回る1,260万トン/日(3億9,060万トン/月)に設定しているとされ、これが達成されるとほぼ輸入が不要となる。

なお、4月の中国の石炭生産は、前年比+12.6%の3億6,300万トン(1,209万トン/日)と前月の+16.1%の3億9,600万トン(1,277万トン/日)からは減少している。

結局、海上輸送炭の輸入需要は昨年までよりは低下しているものの、完全に不要という訳ではない。4月の国別の燃料炭輸入はインドネシアからの輸入が前月比+191万トン、ロシアが+43万トン、カナダが13万トン増加している。

結局、ロックダウンは中国の電力需要を減じるものの、生産も制限するため海上輸送炭市場をタイト化させているといえるだろう。

日本も対岸の火事ではなく、今年の夏は猛暑が予想されているため、石炭価格の高騰が電力会社の業績を圧迫するのみならず、逆ざや発生に伴う電力供給制限が起きる可能性も意識しなければならない状況。

また、夏場の電力供給不足のリスクは米国でも指摘されており、北米電力安定供給審議会(NERC)は、米国では五大湖周辺から西海岸に掛けて猛暑や干ばつなどの影響で電力不足に陥るリスクに警鐘を鳴らしている。

これに加えて電力供給不足を補うため、ドイツがロシアからのガス供給途絶に備えるため、休止予定だった石炭火力発電所を利用する方針を表明しており、構造的な石炭需要は底堅く、価格を高値に維持するとみる。

足下、ガス価格に調整圧力が強まっていることから、価格裁定の観点からも下押し圧力が強まると予想。しかし、在庫が不充分であることに変わりはないため、高値維持の見通しは変更せず。

◆非鉄金属

LME非鉄金属価格は概ね下落した後、引けに掛けて買い戻しが入ったが前日比マイナスで引ける金属が目立った。

昨日は固有の手がかり材料に乏しく、一昨日の上昇の反動と、世界銀行の経済見通しの大幅な下方修正を受けて市場参加者のセンチメントが悪化して水準を切下げていたが、米長期金利低下に伴うドル指数下落を受けて一斉に買い戻しが入った。

昨日の値動きは需給、というよりはファイナンス面の影響が大きかったと考えられる。

本日はまた昨日の反動で買い戻しが入ると考えられる。ただし、米国の10年債入札の結果によっては再び為替がドル高に振れる可能性も否定出来ず、その場合は引けに掛けて水準を切下げる展開を予想。

◆鉄鋼・鉄鋼原料

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは上昇、豪州原料炭スワップ先物は上昇、大連原料炭価格は小幅に下落、上海鉄筋先物は直近限月が変わらず、中心限月が小幅に下落した。

中国の鉄鋼製品価格は先週の龍船節明けの企業活動が緩慢であり、小幅に水準を切下げた。ロックダウンが2ヵ月に及んだことから、通常の計画的な工場停止ではないため、正常な状態に戻るのに手間取っている可能性は高い。

鉄鋼製品価格は小幅に下落したが、鉄鉱石は在庫減少と今後の企業活動再開を見越した在庫積増しの動きが継続していると見られる。原料炭に関しては最早構造的な供給不足の状態を解消出来ておらず、高値圏での推移が続いている。

鉄鋼製品価格で説明可能な水準は、鉄鉱石が142ドル、原料炭が現在の期先の価格水準とほぼ同じ240ドル。原料炭に関してはスポットと期先の価格差である250ドル程度が流動性プレミアムと考えられる(コンビニエンスイールドの効果)。

本日も中国の経済活動再開を受けて高値維持の公算。

◆貴金属

昨日の金価格は上昇した。米景気の先行きを再び懸念する(というよりはこれまでの金利上昇が急速だったため、その調整)動きで長期金利が低下、実質金利も低下したことが材料となった。

金の基準価格は1,259ドル(前日比+13ドル)、リスク・プレミアムは592ドル(▲2ドル)だった。

銀価格は金価格の上昇もあって小幅高。PGMはほぼ銀と同じ相場展開だったが、引けに掛けての戻りが鈍く、結局前日比マイナスで引けている。

本日の金価格は米国10年債の入札結果を受けて神経質な推移となるだろう。

前回の10年債入札は発行総額が360億ドル、最高落札利回り2.943%、最低落札利回り2.800%、応札倍率は2.49倍となっている。

最高落札利回りは昨年11月以降一貫して上昇しており、本日の入札で3%を超えるか否かが1つのポイントとなる(10年国債の利回りは現時点で2.99%)。この水準を下回れば金価格上昇、銀も上昇、インフレ抑制が穏やか、との見方からPGMにも上昇圧力が掛ろう。3%を超えれば逆に下落すると予想される。

◆穀物

シカゴ穀物市場はまちまち。

トウモロコシは上昇。需給ファンダメンタルズがタイトな中、米長期金利低下を背景とするドル安が進行したことが材料。大豆も同様。

小麦は不作が伝えられていた中国で収穫が進んでおり、進捗率が55%に達したことや、出荷が絶望視されていた小麦の輸出に関して、(それがロシア産なのか、ウクライナから強奪したものかはさておき)、ロシアがトルコと小麦輸出で協議していることが材料となった。

一時の過剰な供給面での不安は徐々に後退している。実際、豪州やカナダの豊作見通しで小麦の供給はウクライナをはじめとする黒海周辺、欧州の減産分はかなりの部分相殺されると、米農務省は予想している。

しかし、異常気象の影響やウクライナ・ロシアからの輸出を楽観しすぎている感は否めず、基本的には需給はタイトと考えるべきだろう。

本日も需給ファンダメンタルズがタイトな状態に変化なく、かつ、米国債利回りが低下し、ややドル高に修正圧力が掛かっていることから高値維持の公算。

※中長期見通しは個別セクターのコラムをご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【マクロ見通しのリスクシナリオ】

・米国経済が正常化する中で金融引き締めが加速、経済をオーバーキルしてしまった場合(価格下落要因)。

・渇水に拠る水不足や、発電燃料供給不足による工場稼働停止や消費低迷で景気が減速する場合(リスク資産価格の下落要因)。

・脱炭素・脱ロシア進捗による資源需要の高まりによる価格上昇や、資源の供給不足(枯渇のリスクも)が発生し、経済活動が抑制される場合(価格上昇→景気減速による価格下落リスク)

・米中対立激化にロシア問題も加わり、新冷戦構造が発現しブロック経済圏が発生して貿易活動が鈍化する場合(場合によると武力衝突も)。

・自由主義国vs専制主義国の対立加速、自国内の混乱などを理由に急に「手打ち」となった場合(景気のポジティブリスク・中国がさらに力を付け、将来米中が武力衝突するリスク)。

・ロシア・ウクライナの衝突の影響が長期化し、欧州を中心に景気が減速する場合。

また、ロシアに対する制裁がロシアが主要生産地である商品の供給を制限し、価格を押し上げ、景気を悪化させるリスク(価格下落要因)。

ウクライナへの侵略戦争は長期化がほぼ確実であり、景気下押し要因となるという展開はメインシナリオとなる可能性。

・ロシア国債のデフォルトや、ロシアからのビジネス撤退が企業や信用市場に大きな影響を与え、クレジットクランチ(信用収縮)が発生する場合。

・中国不動産問題の沈静化に時間が掛り、信用収縮に繋がる場合(工業金属などの景気循環系商品を筆頭に、リスク資産価格の下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(これは人口動態を考えると、現実のリスクとなるのは2030年以降か)。

・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。

逆に脱炭素に向けたインフラ投資の加速で資源価格が急上昇、金融緩和マネーが大量に市場に滞留する中でハイパーインフレとなるリスク。

・次の成長ドライバーとして期待されるインド経済が、期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。

2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2023~2024年頃。


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