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中国ロックダウン解除と米引締め懸念で高安まちまち
  • MRA商品市場レポート

2022年6月1日 第2207号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「中国ロックダウン解除と米引締め懸念で高安まちまち」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は発電燃料とエネルギーセクターが総じて上昇し、貴金属やその他農産品、穀物価格が水準を切下げた。

発電燃料価格の上昇は、欧州のロシア産原油輸入禁止決定(それが実行できるかは不透明)と、それに対する報復と考えられるロシアのガス供給停止決定(デンマーク、オランダと、ドイツの一部)を受けた供給面のリスクが強く意識された。

一方、市場参加者は「FRBはややハト派に傾いた」と見ていたのだが、FRBウォーラー理事が「インフレが沈静化するまで複数会合で50bpの利上げを実施することを支持する」と発言したことで再び金融引締めへの警戒感が強まり、ドル高が進行したことが利益確定の売り圧力を強めることとなった。

基本、金融引締めが起きる場合は資金繰りに影響が出るため、流動性が低い、あるいは変動性が高くマージンコール引き上げの可能性が高い市場から撤退する動きを強める。

ロックダウンや利上げ・QT観測を受けてポジション調整が進んでいたため影響は限定されたが、昨日は主にファンド筋のポジション手仕舞い売り圧力が強まったと考えられる。

【本日の見通し】

本日は、中国のロックダウン解除による経済活動再開と、FRBの利上げやQTの動向への懸念が再び強まっていることが相殺しあう形でファイナンシャルな要因はほぼ中立とみられ、供給面が意識される商品価格は上昇余地を探る動きになるだろう。

その意味では、今晩発表のベージュブックや、ニューヨーク連銀総裁、セントルイス連銀総裁などの発言には注目したい。また、本日からQTが始まるが、それに伴う長期金利への影響も注視する必要があろう。

予定されている経済統計では米ISM製造業指数に特に注目している。市場予想は54.5(前月55.4)と小幅に減速見込みであり、この見通し通りであればそれほど大きな影響はない。

しかし、大きく低下した場合は景気への懸念が強まり、米金融引締め観測を後退させ、仮に強い数字がでれば引締め観測が強まることになる。

なお、納期の遅延を除外したISM指数は52.4と閾値の50に近く、実は景況感はかなりのペースで鈍化していることもまた事実である。

【昨日のトピックス】

昨日発表された中国の5月の製造業PMIは49.6(前月47.4)と市場予想の49.0、前月とも大きく上回った。ロックダウン解除への期待、というよりは中国政府による経済対策ヘの期待が上回った形。好不況の判定の閾値となる50は下回っているが、この調査後に決定された上海のロックダウン解除方針を考えると、6月のPMIは50を超えてくる可能性が高い。

内訳としては需要が先行しており、新規受注は42.6→48.2、輸出向け新規受注も41.6→46.2と回復、生産も49.7(44.4)と回復。需要・生産の回復は中国の経済対策の影響が大きかったといえるだろう。

米国の金融引締め、中国のロックダウンの影響で多くのリスク資産価格が下落した影響で、購買価格は55.8(64.2)と急低下したが、最終消費の弱さから販売価格は49.5(54.4)と閾値を下回った。しかし、ロックダウン解除に伴う消費活動の回復で恐らく6月はプラスに転じるだろう。

需給状況の指標である新規受注在庫レシオは急回復。完成品が1.006(0.916)、原材料が0.978(0.847)と完成品に関しては閾値の1を上回った。まだ原材料在庫は1を回復していないため、価格上昇圧力はやや緩和されるとみる。

なお、規模別の製造業PMIを見てみると、大企業が51.0(48.1)と50を回復、中堅企業(47.5→49.4)、中小企業(45.6→46.7)も回復したが50を上回るには至らなかった。

政府が掲げる5.5%成長を達成するために必要なロックダウン解除と資金繰り支援は既に対策済みであり景気刺激のための公共投資積増しも行われる見込みであることから当面、鉱物資源価格には上昇圧力が掛ると予想される。

【昨日のセクター別動向と本日の見通し】

◆原油

原油価格はWTIが小幅安、Brentが上昇して引けた。欧州のロシアに対する制裁強化で海上輸送原油の輸入を停止、さらにより供給への懸念を強める船舶への保険も停止したことで、海上輸送の原油供給が制限される、との見方が強まったことが価格を押し上げたが、米国時間にFRBウォーラー理事がタカ派的な発言をしたことでドル高バイアスが強まり、水準を切下げた。

船舶への保険が禁止されると、海上輸送の自由度は大きく低下するため、輸出抑止の効果は大きい。

これに加えて、今年の夏の北半球の猛暑、各地で発生している渇水が水力発電を減じ、特にディーゼルオイルの需要を増加させること、そもそも石油製品の在庫水準が低い状態が続いていることから買いが入りやすくなっている。

今後の展開でやや気になっているのが、OECDで協調放出した原油の「在庫再積増しが即時に行われるかどうか」。現状を考えると先送りされることになるとは思うが、仮に価格が下落していて、やはり在庫積増しとなれば価格の上昇要因となる。

なお、掘削~生産開始までのリードタイムが1年程度に長くなってしまった。北米の生産者の上流部門投資は増加しているのだが、いろいろな制限の下、恐らく増産が始まるのは年後半以降になると予想される。

一方中期的な視点では景気が下りのエスカレーターに乗っている状況であり、多くの景気循環系商品と同様、年末に向けて水準が切り下がるという見通しは維持でよいとみている。

ただし、

1.レーショニングの影響で弊社が予想していた水準よりも低い価格で着地

2.供給不足の継続で弊社予想よりも高い水準での着地

の判断が難しい。今のところ弊社は1.2.のうち、2.の可能性が高まっているとみている。

今後の比較的短期的な見通しは以下の通り。ロシア産原油の禁輸措置が厳格化される見通しであり、2.の状態にあると考えられる。

<シナリオ別原油価格見通し>

1.ロシア・ウクライナ情勢沈静化せず、ロシアの原油が半分程度市場に出てこない Brent 120-150ドル

2.戦闘状態が継続し、欧州をはじめとする西側諸国がロシア原油を段階的に禁輸とし、それが実行されるBrent 100-130ドル

3.1.ないしは2.の状態で産油国のいずれかが増産する(規模による)Brent 90-125ドル

4.戦闘状態が継続するがロシアからの原油・石油製品供給が減少しないBrent 85-120ドル

5.4.の状態で産油国のいずれかが増産する(規模による)Brent 75-110ドル

↑ 上記は停戦が行われない場合のシナリオ

↓ 下記は停戦が行われた場合のシナリオ(現在は徐々にこちらに移りつつある)

6.ロシアがウクライナから撤退するが原油の脱ロシアが進むBrent 95-120ドル

7.6.に加えて産油国のいずれかが増産する(規模による)Brent 75-110ドル

8. 脱ロシア完了(東西諸国の分裂が発生した場合)Brent 60-90ドル

9. 東西冷戦構造が構築されなかった場合(前回オイルショック時と同様に化石燃料の生産が増えて顕著な供給過剰となる場合)Brent 40-60ドル

※産油国の増産は、鍵となるイランで130万バレル、ベネズエラで50万バレル程度を想定している。OECD諸国の戦略備蓄130万バレル放出は半年の時限付。

※上記価格レンジは市場動向を反映して、逐次微修正している。

本日は、上海のロックダウン解除と米国の利上げペース加速観測が相殺しあう形でファイナンシャルな面での上昇余地は限定されるが、欧州の原油輸入禁止方針がショートポジションの新規形成を妨げるため、高値維持の公算。

なお、Brentは限月交代となるため、6ドル近い窓が開いているがこれを埋める動き(上昇)が見られるかに注目している。

◆天然ガス・LNG

欧州天然ガス先物市場はほぼ全ゾーン上昇。ロシアがオランダとデンマークに対するガス供給を停止すると決定したほか、英シェルの子会社であるシェルエナジーがドイツに販売しているガス供給も停止すると決定したことで、供給懸念が高まったことが背景。

オランダ、デンマークはドイツやフランスほどの規模がないため影響は比較的限定される。また、ドイツについては今回の供給停止対象が12億立方メートル/年とドイツがロシアから輸入しているガスの2.5%程度と限定されている。

しかし、このようにじわりじわりと供給が絞られる状況だと、価格には上昇圧力が掛かりやすい。しかし、ロシアもこのように供給を絞っていると出てきたガスを保管出来なくなるため、減産に追い込まれる可能性もある。その場合は供給回復に時間を要することになるため、小さいリスクではない。

現在の天然ガス・LNGのスポット価格変動要因を整理すると概ね以下の5点に集約される。

1.脱ロシアの継続(スポットカーゴ価格の上昇要因)2.欧州ロシアの対立(価格の上昇要因)3.景気減速(価格下落要因)4.気象状況(今のところ需要増加で価格上昇要因)5.そもそもの在庫不足(価格上昇要因)

日々これらに関わる材料が処理されて価格が動いているが、欧州が脱ロシアを進める方針に変わりはなく、スポットのガス調達を増やして調達構造を変化させる見通しであり、「脱ロシアの供給ソースの完全確保」が出来るまではスポット価格は高い水準を維持する、というのがメインシナリオとなる。

LNGのターミナルを持たない域内最大のエネルギー消費国であるドイツは、

1.域内供給の増加2.その他の熱源の利用(風力、太陽光含む)3.需要の削減

によってガス在庫を積み上げるしかないが、結局その大半はロシアからの輸入に頼らざるを得ない。なお、欧州全体のガス在庫は5月29日時点で46.2%(前日45.8%)と順調に在庫が積み上がっている。

しかし、欧州はまだ良いのだが、現在戦闘状態にあるウクライナのガス在庫の水準が著しく低い。ウクライナは欧州域内で最大の貯蔵能力を有するが、現在の在庫積増し進捗状況は5月29日時点で16.8%(16.7%)とほとんど在庫が積増しできていない状況。

仮に冬場にガスが不足した場合、欧州諸国からウクライナへの融通も視野に入れる必要があり、冬場に天然ガスが不足するリスクはまだ回避できていない。

この場合、国民の生活や産業に著しい不利益が生じるため、欧州域内からロシア制裁解除の声が高まる可能性はある。ロシアが音を上げるか、欧州か、まさにチキンゲームの様相を呈している。

※週次の更新となります。

米国天然ガス先物市場は大幅に下落。気温の見通しがやや穏やかなものに修正されたことが背景。しかし、猛暑観測や渇水の影響、欧州向けの輸出増加観測から依然、高い水準での推移となっている。

※週次の更新となります。

JKM先物は全ゾーン上昇。ロシアの欧州向けガス供給が追加的に停止される見通しが示されたことでスポットカーゴの需要が増加するとの見方が強まったことが背景。

足下の「適正な」価格、即ち供給に問題が全くない場合の価格は期先の価格を参考にする必要がある。現時点で確認できる期先の価格は2023年12月が最長であるが、23ドル程度。即ち、現状に於いては20ドル前後が「基準」になると考えられる。

5月22日時点の日本の発電用LNG在庫は199万トン(前年同月末194万トン、過去4年平均198万トン)と減少。今年の夏は猛暑が見込まれているため、夏場の供給不足のリスクは小さくない。

5月23日~29日のLNGトレードだが、取引量は730万トン(前週720万トン)、スポット取引のシェアは25%(前週33%)と低下した。

スポット契約は日本・韓国・中国・台湾の輸入が前週比▲46万トンの大幅な減少となったことがスポット取引のシェアを低下させた。また、欧州・イタリア向けも▲25万トンの減少となった。

長期契約ベースの輸入は日本(+21万トン)、中国(+16万トン)の増加となったが全体として緩やかな増加に止まった。

本日はロシアからの供給制限が少しずつ顕在化しており、需給ファンダメンタルズをタイト化させる見通しであるため高値維持の公算。

※LNGの数量とガスベースの換算レートは、注記がなければBP提示の 1トン=1,360立方メートルを用いている。

◆石炭

豪州石炭スワップ先物価格は上昇した。ロシアの欧州向けガス供給制限が実施されたことでガス価格が上昇したことを受けて、競合燃料である石炭も買われることとなった。

ロックダウンの解除が

1.中国国内の供給の回復>需要の増加、となるのか2.中国国内の供給の回復<需要の増加、となるのか

は、まだなんともいえないところだが、今のところ1.となる可能性が高まっている。中国6大電力会社の石炭在庫、インドの石炭在庫水準も低く、まだ需給はタイトといえる。

ガス価格の下落が石炭価格下落の必要条件になるとみていたが、ロシアのガス供給制限実施を受けて足下、ガス価格が上昇しており石炭価格はさらに低下し難くなってきた。

中国政府は2022年の石炭生産目標は昨年12月の過去最高水準を上回る1,260万トン/日(3億9,060万トン/月)に設定しているとされ、これが達成されるとほぼ輸入が不要となる。

なお、4月の中国の石炭生産は、前年比+12.6%の3億6,300万トン(1,209万トン/日)と前月の+16.1%の3億9,600万トン(1,277万トン/日)からは減少している。

結局、海上輸送炭の輸入需要は昨年までよりは低下しているものの、完全に不要という訳ではない。4月の国別の燃料炭輸入はインドネシアからの輸入が前月比+191万トン、ロシアが+43万トン、カナダが13万トン増加している。

結局、ロックダウンは中国の電力需要を減じるものの、生産も制限するため海上輸送炭市場をタイト化させているといえるだろう。

日本も対岸の火事ではなく、今年の夏は猛暑が予想されているため、石炭価格の高騰が電力会社の業績を圧迫するのみならず、逆ざや発生に伴う電力供給制限が起きる可能性も意識しなければならない状況。

また、夏場の電力供給不足のリスクは米国でも指摘されており、北米電力安定供給審議会(NERC)は、米国では五大湖周辺から西海岸に掛けて猛暑や干ばつなどの影響で電力不足に陥るリスクに警鐘を鳴らしている。

これに加えて電力供給不足を補うため、ドイツがロシアからのガス供給途絶に備えるため、休止予定だった石炭火力発電所を利用する方針を表明しており、構造的な石炭需要は底堅く、価格を高値に維持するとみる。

本日は、ロシアの欧州向けガス供給制限を受けたガス価格の上昇もあり、石炭価格は高値維持の公算。

◆非鉄金属

LME非鉄金属価格は総じて堅調な推移となった。中国のロックダウン解除の動きを受けた経済活動再開期待で上昇省していたが、米国時間にFRBウォーラー理事が複数回の会合で50bpの利上げ実施を支持、と伝わると「やや」ハト派に傾いていた市場参加者が再びFRBのタカ派転向を懸念して長期金利が上昇、ドル高が進行したことで上げ幅を削る展開に。

なお、昨日発表された中国の製造業PMIは市場予想を上回ったが、好不況の閾値である50を上回るには至っていない(詳しくは昨日のトピックスを参照)。

中国のロックダウンで価格が下落していたが、上海ロックダウンが始まった4月1日のLME指定倉庫在庫の合計は▲18.0%と大幅な減少となっている。

しかし、金属によって在庫動向はまちまちであり、在庫の増減を変化率で見てみると以下の通りまちまちである。

銅 +58.8%亜鉛 ▲39.5%鉛 +0.3%アルミ ▲27.8%ニッケル ▲0.9%スズ  +50.8%

また簡易的な需要の指標であるオフワラント率は以下の通りだ。

銅 36.6%亜鉛 46.5%鉛 13.2%アルミ 58.3%ニッケル 13.1%スズ  12.6%

まとめると、電力供給の影響で欧州地区の生産に影響が出ている亜鉛とアルミの在庫減少が顕著で倉庫からの払い出しの動きも活発であるが、ベンチマークである銅や、ミャンマーからの鉱石輸出が再開したスズなどの払い出しは低調であり需要が鈍化していることが窺える。

徐々に固有の要因が価格に影響し始めていることが分かる。こういった金属毎の値動きの差は、金融政策の変更や景気の転換点に訪れることが多いため、日々の在庫・オフワラント動向には注意したいところだ。

本日も上海ロックダウン解除に伴う買い戻しがはいり上昇すると見るが、米金利が再び上昇してドル高バイアスが強まっていることがこれを相殺するため上昇余地は限定の公算。

◆鉄鋼・鉄鋼原料

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップはまちまち、豪州原料炭スワップ先物は小幅高、大連原料炭価格は小幅に下落、上海鉄鋼製品先物は直近限月が大きく下落し、その他の限月は上昇した。

経済活動再開に伴う在庫積増しの動きが始まっているとみられ、鉄鋼原料価格は高止まりしている。しかし、まだロックダウンの本格解除となっていないため緩やかな上昇に止まっている。

昨日発表された5月の中国鉄鋼業PMIは総合指数は40.9(前月40.5)と4ヵ月振りに回復、しかし50の閾値を割り込む状態が2020年6月から続いており、まだ回復には至っていない。しかしエピデミックの収束の兆しが見え始めており、生産指数は42.7(38.6)と回復している。

しかし、このアンケートを採ったタイミングではまだロックダウンは解除されておらず新規受注(33.6→32.4)は低迷し、輸出向け新規受注も同様(44.5→40.9)と同様である。

経済活動再開を見越した生産の回復と、新規受注の伸び鈍化の影響で完成品在庫・原材料在庫とも閾値の50は上回っていないが回復基調にある。

結果、新規受注完成品レシオは0.65(0.81)と低下、原材料は0.89(1.06)といずれも閾値の1を下回り需給は緩和した状態にある。

しかし、ロックダウン解除が決定されたことから恐らく新規受注も回復が見込まれ、在庫水準の低さから需給はタイト化に向かい、価格には上昇圧力が掛かりやすい地合になると予想される。

中国の鉄鋼需要を牽引してきたのは建設セクターだが、5月の建設業PMIは52.2(前月52.7)と減速が続いた。まだロックダウンが継続していることが影響しているとみられる。

しかし、中国政府は景気刺激に舵を切っていること、ロックダウン解除を決定したことでこの数値も回復することになろう。

本日も中国の経済活動再開期待を受けた鉄鋼製品需要の回復と価格上昇を受けて、鉄鋼原料価格も上昇余地を探る動きになると考える。

少なくとも今後数週間で、鉄鉱石価格は現在の鉄鋼製品からの推測値である140ドル程度までの上昇はあると見ている。

◆貴金属

昨日の金価格は下落した。金融引締めのペースが鈍化するのでは、との期待があったが昨日、FRBがウォーラー理事が「インフレが沈静化するまで50bpの利上げを続けることを排除しない」と発言したことで、ハト派にやや傾いていた市場がFRBのタカ派スタンスを再認識して長期金利が上昇、実質金利が上昇したことが背景。

基準価格は1,267ドル(前日比▲37ドル)、リスク・プレミアムは571ドル(+19ドル)。銀は金価格の下落もあり大きく低下、プラチナは中国の経済活動再開などを受けた先行き期待で上昇、パラジウムも同様だったが株価の下落に押されて前日比マイナスで引けている。

本日も再び米国の金融引締めへの警戒が強まる中、軟調地合になると考えるが、同時に原油価格の上昇が期待インフレ率を高めるため、結果的に高値を維持の公算。

◆穀物

シカゴ穀物市場は大幅に下落。黒海からの輸出再開の可能性が意識され、需給緩和期待が高まったことが背景。高値で推移していた原油価格が調整したことも、トウモロコシ価格の下落や油脂類価格への下押し圧力となったようだ。

穀物セクターの投機筋のネット買越し幅は大きく、昨日は米国時間に株価が大きく調整したこと、ドル高の進行もあって利益確定の売りに押されたと考える。

本日は穀物市場の需給ファンダメンタルズに大きな変化がない中、昨日の大幅な下落を受けたテクニカルな買い戻しで上昇すると見る。

ただ、朝方発表の作付動向ではトウモロコシと大豆の作付が進捗しており、これらに関しては上値は重いと考える。

春小麦は依然として作付が進捗しておらず、冬小麦の作況も最悪の状態であり高値維持の公算。

※中長期見通しは個別セクターのコラムをご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【マクロ見通しのリスクシナリオ】

・米国経済が正常化する中で金融引き締めが加速、経済をオーバーキルしてしまった場合(価格下落要因)。

・コロナウイルスの感染再拡大(オミクロン株の影響)によるロックダウンが景気循環系商品の需要を減じる場合(価格下落要因)。

・渇水に拠る水不足や、発電燃料供給不足による工場稼働停止や消費低迷で景気が減速する場合(リスク資産価格の下落要因)。

・脱炭素・脱ロシア進捗による資源需要の高まりによる価格上昇や、資源の供給不足(枯渇のリスクも)が発生し、経済活動が抑制される場合(価格上昇→景気減速による価格下落リスク)

・米中対立激化にロシア問題も加わり、新冷戦構造が発現しブロック経済圏が発生して貿易活動が鈍化する場合(場合によると武力衝突も)。

・自由主義国vs専制主義国の対立加速、自国内の混乱などを理由に急に「手打ち」となった場合(景気のポジティブリスク・中国がさらに力を付け、将来米中が武力衝突するリスク)。

・ロシア・ウクライナの衝突の影響が長期化し、欧州を中心に景気が減速する場合。

また、ロシアに対する制裁がロシアが主要生産地である商品の供給を制限し、価格を押し上げ、景気を悪化させるリスク(価格下落要因)。

ウクライナへの侵略戦争は長期化がほぼ確実であり、景気下押し要因となるという展開はメインシナリオとなる可能性。

・ロシア国債のデフォルトや、ロシアからのビジネス撤退が企業や信用市場に大きな影響を与え、クレジットクランチ(信用収縮)が発生する場合。

・中国不動産問題の沈静化に時間が掛り、信用収縮に繋がる場合(工業金属などの景気循環系商品を筆頭に、リスク資産価格の下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(これは人口動態を考えると、現実のリスクとなるのは2030年以降か)。

・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。

逆に脱炭素に向けたインフラ投資の加速で資源価格が急上昇、金融緩和マネーが大量に市場に滞留する中でハイパーインフレとなるリスク。

・次の成長ドライバーとして期待されるインド経済が、期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。

2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2023~2024年頃。


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