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景気への懸念が価格下押し 露ガス供給停止でエネルギーは高い
  • MRA商品市場レポート

2022年5月13日 第2194号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「景気への懸念が価格下押し 露ガス供給停止でエネルギーは高い」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は発電燃料価格が上昇し、エネルギーセクターが総じて堅調な推移となる中、その他の商品価格は下落した。

エネルギー価格の上昇はロシアがガスを政治的に利用し始めていることで供給懸念が強まったことが背景であり、その他の商品は金融引締めの加速と中国のロックダウン期間延長報道を受けて景気への懸念が強まったこと、リスク回避のドル高進行が材料となった。

弊社が【マクロ見通しのリスクシナリオ】でリスク要因に挙げている、金融引締め過ぎによるオーバーキルリスク、コロナの感染拡大によるロックダウンリスクの両リスクが顕在化した形。

特に、中国のロックダウンは政治的な要素も絡むものであり、「メンツ」を維持するための無茶な政策といえ特に鉱物資源価格の下押し圧力を強めている。一時的なものではあるが、取り返しが付かないレベルまで景気を冷やして仕舞うリスクは無視できなくなっている。

また、景気が悪化する見通しが強まる中でドルが物色されていることは広くドル建て資産価格を下押しすることになる。

商品そのものが持っている物質的な本源価値は為替レートが変動しても変わらないため、ドル高が進行した場合、ドル建ての名目価格は下落する(ドルが強くなっているため、より少ないドルで資源を購入出来るため)。

もちろん需給ファンダメンタルズなどのその他の要因でも商品価格は動くため、ドル高=商品価格下落、に必ずしもなるわけではないが、足下はドル指数の価格に与える影響は(商品にもよるが)高まっているとの印象。

【本日の見通し】

本日は週末を控えたポジション調整で一旦買い戻しが入る商品が多いと考えるが、夜間にタカ派のクリーブランド連銀のメスター総裁の講演が予定されており、経済のオーバーキルが意識される中でもタカ派な発言を繰返すと予想されるため、上昇余地は限定されると見ている。

この状況でロシアがガス供給を絞り、再びエネルギー供給への懸念が強まっていることは、コスト上昇圧力を通じて景気にマイナスに作用し、スタグフレーションに陥るリスクを高めることになるため、引き続きロシア情勢は注視する必要があろう。

本日発表の統計で注目は、米ミシガン大学消費者マインド指数の中の1年期待インフレ率、5年ー10年期待インフレ率。

1年期待インフレ率は市場予想が5.5%(前月5.4%)と上昇見込みで、5年-10年インフレ率は前月が3.0%だった。

仮に5-10年インフレ率が上昇を始めた場合、市場や国民が1989年よりも前の高インフレ時代に戻ることを意識し始めたことになるため、今後の商品価格上昇率の目安を引き上げる必要が出てくる。

【昨日のトピックス】

上海で再びコロナの感染者が確認されたため、上海の一部地域では食料品や病院などへのアクセスがさらに制限される見通しである。上海・北京での苛烈なロックダウンは中国景気の軟着陸を困難なものにし、明らかに世界経済のリスクとなっている。

原油価格をはじめとするエネルギー価格はさほど大きく下落しておらず高値を維持しているが、鉱物資源価格が大きく下落しているのは、このロックダウン拡大が影響しているためと考えられる。

ではなぜここまで苛烈なロックダウンを行うのか。江沢民をトップとする上海閥を政治的に叩くことが目的の1つと考えられるが、これによって経済が悪化して逆に李克強に経済対策面でリードを許すなど、今回のコロナ問題が中国共産党の「権力争い」に用いられていることは間違い無いのではないか、

となると、進むも引くも政治的な判断に拠ることになるが、建前上、コロナの感染者が3日間ゼロである必要が出てくるため、恐らくロックダウン解除があるとしても6月頃ではなかろうか。

仮に6月もロックダウン、ということになれば中国の主要都市の経済活動が3ヵ月停止することになり、その影響は計り知れない。

3期目を目指す習近平は景気が悪化すれば仮に3期目が確定したとしても、他派閥の躍進を許容せざるを得なくなるため手足が縛られることになることからロックダウン解除後は積極的に景気刺激を行うと考えられるが、自ら進んで「ゼロコロナにこだわる」ことを決めた以上、それが本当に可能であるかはまだなんともいえないところである。

【昨日のセクター別動向と本日の見通し】

◆原油

原油価格は小幅に続伸した。OPEC・IEA月報の見通しは両者のスタンスの差もあって強弱まちまちとなった。どちらかと言えばテクニカルな上昇で50日移動平均線のレジスタンスをトライする動きだったと考えられる。

昨日発表されたOPEC・IEA月報は異なる見通し。OPECは需要見通し下方修正も、ロシアの生産見通しもついに下方修正したためCall on OPECは増加、IEAはロシアの生産見通しを据え置いたため、Call on OPECは減少した。

目先、需給が直ちに緩和する材料は以下の通りだが、1~3が顕在化している状況。このまま、2.3.が継続した場合、マクロ経済のリスクシナリオの1つとして上げていた「経済オーバーキル」のリスクが高まることになる。

1.戦略備蓄放出の大盤振る舞い

2.西側諸国(除く日本)の急速な金融引き締めによる景気減速観測

3.中国のオミクロン株感染拡大によるロックダウン拡大・需要減少

4.停戦

下記シナリオは数ヵ月の短期的なものであるが、長期的にはレーショニング・金融引き締めの影響・景気循環による需要減少による基準価格(供給懸念が後退したときの着地点となる価格)は徐々に切り下がると考えている。

年後半に掛けて米金融引き締めが進むことによる景気過熱感の沈静化で、年後半にかけての価格見通しは下向きである。

なお、現在の状況は2.にあると考えられるが、足下の景気減速に伴う需要減少を背景に、価格のレンジ(下限)をさらに下方修正した。

<シナリオ別原油価格見通し>

1.ロシア・ウクライナ情勢沈静化せず、ロシアの原油が半分程度市場に出てこない(ないしはその可能性が強く意識される) Brent 120-140ドル

2.戦闘状態が継続し、欧州をはじめとする西側諸国がロシア原油を段階的に禁輸とするBrent 95-120ドル

3.1.ないしは2.の状態で産油国のいずれかが増産する(規模による)Brent 90-115ドル

4.戦闘状態が継続するがロシアからの原油・石油製品供給が減少しないBrent 85-110ドル

5.4.の状態で産油国のいずれかが増産する(規模による)Brent 75-105ドル

↑ 上記は停戦が行われない場合のシナリオ

↓ 下記は停戦が行われた場合のシナリオ(現在は徐々にこちらに移りつつある)

6.ロシアがウクライナから撤退するが原油の脱ロシアが進むBrent 95-115ドル

7.6.に加えて産油国のいずれかが増産する(規模による)Brent 75-100ドル

8. 脱ロシア完了Brent 50-75ドル

9. 東西冷戦構造が構築されなかった場合(前回オイルショック時と同様に化石燃料の生産が増えて顕著な供給過剰となる場合)Brent 40-60ドル

※産油国の増産は、鍵となるイランで130万バレル、ベネズエラで50万バレル程度を想定している。OECD諸国の戦略備蓄130万バレル放出は半年の時限付。

本日も100日移動平均線のサポートと50日移動平均線のレジスタンスラインの中で方向感に掛ける展開が予想される。

金融の引締め過ぎリスクが高まる中で、タカ派のクリーブランド連銀のメスター総裁の講演が予定されており、どちらかと言うと価格の方向性は下向きか。

◆石炭

豪州石炭スワップ先物価格は水準を切り上げ400ドルを目指す展開。ガスプロムがヤマル欧州パイプラインの停止を発表したため、発電燃料需要が増加、石炭価格もこれに連れる形となった。

足下、中国のロックダウンの影響で石炭不足が発生する、との中国政府の見通し通りの展開となっており、石炭輸入は中国で増加していると考えられる他、気温上昇の影響もあって石炭不足に喘ぐインドの調達も増加しているとみられる。

なお、熱量換算ベースでの回帰分析を行うと、石炭価格は過去の価格の関係性と比較した場合原油・天然ガスから大きく上方に乖離しており、需要面というよりは供給面の問題が価格を押し上げていると考えられる。

中国は、以下の理由から引き続き石炭不足・電力不足が発生する可能性を懸念しているが、恐らくこのリスクは顕在化していると考えられる。。

1.ロックダウンの影響

2,コロナの影響による燃料輸送の障害

3.異常気象による水力発電の不足

4.電力価格に制限が設けられていることによる石炭生産の阻害

中国政府は2022年の石炭生産目標は昨年12月の過去最高水準を上回る1,260万トン/日(3億9,060万トン/月)に設定しているとされ、これが達成されるとほぼ輸入が不要となる。

なお、3月の中国の石炭生産は、前年比+16.1%の3億9,600万トン(1,277万トン/日)まで急増している。しかし貿易統計では石炭輸入が急増しており、ロックダウンの影響で国内の生産・供給が滞り、電力需要を満たすほどではないことを示唆している。

結局、ロックダウンは中国の電力需要を減じるものの、生産も制限するため海上輸送炭市場をタイト化させているといえるだろう。

日本も対岸の火事ではなく、今年の夏は猛暑が予想されているため、石炭価格の高騰が電力会社の業績を圧迫するのみならず、逆ざや発生に伴う電力供給制限が起きる可能性も意識しなければならない状況。

本日も、インド・中国をはじめ調達圧力が強いことから高値維持の公算。

◆天然ガス・LNG

欧州天然ガス先物市場は下落した。ロシアがヤマル欧州パイプラインの停止を決定したことで供給不安が一気に高まった形。このコラムでも繰返しているように、欧州が10月1日までにガスの在庫をキャパシティの90%に引き上げるには、需要を顕著に減少させなければ、ロシア産ガスが必要であることはほぼ自明である。

仮に今年90%の在庫積増しを達成したとしても、脱ロシアが完全に終了するまで欧州はLNGを積極的に輸入すると予想される。なお、欧州全体のガス貯蔵率は5月10日時点で37.7%(前日37.2%)と積増しは進んでいるが、十分ではない。

通常欧州は夏場に掛けてはガス需要が減少するのだが、冷夏にならずに猛暑になった場合など、この在庫積み増しのハードルは上がることになる。

LNGのターミナルを持たない域内最大のエネルギー消費国であるドイツは、

1.域内供給の増加2.その他の熱源の利用(風力、太陽光含む)3.需要の削減

によってガス在庫を積み上げるしかないが、結局その大半はロシアからの輸入に頼らざるを得ない。現在のドイツの在庫率は39.0%(38.8%)と積増しは進捗しているがまだ目標の半分に達していない。

米国天然ガス先物市場は続伸した。欧州ガス価格の上昇と、米域内在庫水準の低さ、南部の気温上昇、北西部の気温急低下見通しが背景。

JKM先物は期先が大幅な上昇となった。ロシアがドイツ向けのガス供給を削減していることを受けて、将来のスポット調達需要増加観測が強まり特にオンシーズン(冬場)向けの需要が増加するとみられたことが材料。

5月8日時点の日本の発電用LNG在庫は202万トン(前年同月末194万トン、過去4年平均198万トン)と先週から増加した。今年の夏は猛暑が見込まれているため、夏場の供給不足のリスクは小さくない。

5月2日~8日のLNGトレードだが、取引量は836万トン(前週695万トン)、スポット取引のシェアは25%と前週と変わらず。

スポット契約は日本・韓国・中国の輸入が前週比+36万トン増加した。ほとんどが日本と中国の輸入増加によるもの。ほとんどの地区で輸入が増加している。

長期契約ベースの輸入は、主に南アジア向けが+43万トンの増加となった。主にインド向けの増加によるもの。北欧とイタリア向けの輸出も+41万トンの増加で、主にベルギー、フランス、英国の輸入増加によるもの。

本日も、ロシアが政治的な駆け引きにガスを積極的に使い始めたことから供給不安根強く高値維持の公算。

※LNGの数量とガスベースの換算レートは、注記がなければBP提示の 1トン=1,360立方メートルを用いている。

◆非鉄金属

LME非鉄金属価格は軒並み下落した。上海のロックダウン解除期待が高まっていたが新規感染者が確認され、ロックダウンが継続する見通しとなったことが中国・欧州の需要を減じるとの見方が強まった。

また、工場停止や物流停止による二次被害(中国企業から部品や部材を調達している企業の生産活動停止)も拡大しており、鉱物資源需要を一時的に大きく減じている状況。

足下、マクロ経済のリスク要因として上げていた「金融引締めによる経済オーバーキル」と「ロックダウンによる経済活動鈍化」の2つのリスク要因が顕在化しつつある(後者は既に顕在化)状況。

なお、中国の苛烈なロックダウンによる経済活動の停滞と、米QTによる流動性の低下が価格の下落に拍車を掛けているが、欧州ではディーゼルオイルの不足も手伝って輸送手段が限られており、現物プレミアムの上昇が顕著になっている。

現物プレミアムに関しても金属によっては先物取引が存在するためヘッジが可能であるが、取引出来ない金属は多く、調達コストの押し上げ要因となっている。このあたりは、脱ロシアを進める中では調達企業側のリスクとなろう。

また、中国は国内の物流ハブである無錫市の規制を緩和したが、それでもステンレス鋼の輸送が滞っているとの指摘があった。

これまでの価格下落は中国政府の強制的な経済活動停止によるものであり、投機筋の買越しも急速に減少、純粋な投資であるファンド勢のポジションが軽くなっていることも考えると、ロックダウンが明ければ再び価格は上昇すると予想される。

しかし、この上昇は一時的であり、このまま米国の利上げやQTが予定通り進むのであれば年末に向けて再び水準を切下げる展開が予想される。

中国ロックダウンの影響が欧州に波及することを考えると、先日引き上げた非鉄金属価格見通しの水準を、再度変更する可能性は否定出来ない。

本日も売られすぎ感から一旦実需の買いが入るとみるが、ファンド勢の手仕舞い圧力が価格を押し下げておりやはり軟調な推移を継続か。

◆鉄鋼・鉄鋼原料

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは下落、豪州原料炭スワップ先物は下落、大連原料炭価格は下落、上海鉄鋼製品先物は下落した。

ロックダウン解除への期待が高まっていたが上海で感染が報告され、3日間ゼロコロナであればロックダウン解除のルールに従いロックダウンが延長されたことで景気への懸念がさらに強まり、鉄鋼製品価格の下落を受けて鉄鋼原料価格も下押しされた。

短期的にはロックダウンの影響で価格には下押し圧力が掛りやすく、中期的にはロックダウン解除後の経済対策の効果で鉄鋼製品・鉄鋼原料価格とも上昇圧力が掛りやすい。

もう少し長い期間でも、中国政府は企業に対して2022年の粗鋼生産を2021年を下回るよう指導しており、結果的に鉄鉱石需要が減少すると予想され、国内生産の増加や投機規制強化によって鉄鉱石価格は低下すると考える。

現在の鉄鋼製品価格を基準にした回帰分析の結果は、鉄鉱石価格が146ドル、原料炭価格が255ドルとなっており、鉄鉱石価格は推測値を下回っている。

本日は上海のロックダウンが延長される見通しであり、鉄鋼原料価格は下値余地を探る展開に。ただし割安感がある鉄鉱石には打診的な買いが入るか。

◆貴金属

昨日の金価格は長期金利が定価したが、期待インフレ率も低下したため実質金利が上昇、金の基準価格が低下、ドル高進行でリスク・プレミアムも低下(ドル増価によるドル建て資産価格の下落。昨日、リスク・プレミアムは▲3.4%低下しているが、このうちドル指数の増価が+1.0%であり、▲3.4%のウチ▲1%がドル指数要因、ということ)したため、大幅な下落となった。

銀は金価格の下落を受けて大幅に下落。プラチナも下落、景気が意識されているためパラジウムはさらに大きな下落となった。

本日の貴金属価格はテクニカルな買い戻しが入り上昇すると見ている。しかし夜間にタカ派のクリーブランド連銀のメスター総裁の講演が予定されており、この状況に於いてもタカ派発言が繰返される可能性があるため、上値も重いと考える。

◆穀物

シカゴ穀物市場は上昇した。注目の米需給見通しは強気と判断され、総じて水準を切り上げる展開となった。

トウモロコシ生産は市場予想を上回ったものの、前年から大幅な減産となることが買い材料視された。大豆は生産が記録的な豊作を見込むものの、油脂向けの需要増価観測を背景に需給がタイトな状態が続くとみられた。

小麦は期末在庫が市場予想・前月も下回ったことが材料となった。結局、需給がタイトであり材料を一応確認した上で買いが入った、とうい感じだろうか。

昨日発表の米需給報告の概要は以下の通り。

・4月米単収見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 177.0Bu/エーカー(179.87、177.0)大豆 51.5Bu/エーカー(51.5、51.4)小麦 46.6Bu/エーカー(NA、44.3)

・4月米生産見通しトウモロコシ 144億6,000万Bu(147億8,200万Bu、151億1,500万Bu)大豆 46億4,000万Bu(46億2,604万Bu、44億3,500万Bu)小麦 17億2,900万Bu(18億2,000万Bu、16億4,600万Bu)

・4月米輸出見通しトウモロコシ 24億Bu(NA、25億Bu)大豆 22億Bu(NA、21億1,500万Bu)小麦 7億7,500万Bu(NA,7億8,500万Bu)

・4月米在庫見通し(市場予想/前月)トウモロコシ 13億6,000万Bu(13億1,783万Bu、14億4,000万Bu)大豆 3億1,000万Bu(3億1,173万Bu、2億6,000万Bu)小麦 6億1,900万Bu(6億6,352万Bu、6億7,800万Bu)

本日は昨日の上げが大きかったため、週末と言うこともあり一旦下落するとみるが、需給ファンダメンタルズはタイトであり下落余地は限定されるだろう。

※中長期見通しは個別セクターのコラムをご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【マクロ見通しのリスクシナリオ】

・米国経済が正常化する中で金融引き締めが加速、経済をオーバーキルしてしまった場合(価格下落要因)。

・コロナウイルスの感染再拡大(オミクロン株の影響)によるロックダウンが景気循環系商品の需要を減じる場合(価格下落要因)。

・発電燃料供給不足による工場稼働停止や消費低迷で景気が減速する場合(リスク資産価格の下落要因)。

・脱炭素・脱ロシア進捗による資源需要の高まりによる価格上昇や、資源の供給不足(枯渇のリスクも)が発生し、経済活動が抑制される場合(価格上昇→景気減速による価格下落リスク)

・米中対立激化にロシア問題も加わり、新冷戦構造が発現しブロック経済圏が発生して貿易活動が鈍化する場合(場合によると武力衝突も)。

・自由主義国vs専制主義国の対立加速、自国内の混乱などを理由に急に「手打ち」となった場合(景気のポジティブリスク・中国がさらに力を付け、将来米中が武力衝突するリスク)。

・ロシア・ウクライナの衝突の影響が長期化し、欧州を中心に景気が減速する場合。

また、ロシアに対する制裁がロシアが主要生産地である商品の供給を制限し、価格を押し上げ、景気を悪化させるリスク(価格下落要因)。

ウクライナへの侵略戦争は長期化がほぼ確実であり、景気下押し要因となるという展開はメインシナリオとなる可能性。

・ロシア国債のデフォルトや、ロシアからのビジネス撤退が企業や信用市場に大きな影響を与え、クレジットクランチ(信用収縮)が発生する場合。

・中国不動産問題の沈静化に時間が掛り、信用収縮に繋がる場合(工業金属などの景気循環系商品を筆頭に、リスク資産価格の下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(これは人口動態を考えると、現実のリスクとなるのは2030年以降か)。

・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。

逆に脱炭素に向けたインフラ投資の加速で資源価格が急上昇、金融緩和マネーが大量に市場に滞留する中でハイパーインフレとなるリスク。

・次の成長ドライバーとして期待されるインド経済が、期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。

2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2023~2024年頃。


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