CONTENTSコンテンツ

インフレ警戒で鉱物価格下落エネルギーは上昇
  • MRA商品市場レポート

2022年5月6日 第2189号(簡易版)商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「インフレ警戒で鉱物価格下落エネルギーは上昇」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は欧米極東天然ガス、石炭価格、原油価格などのエネルギーセクターの価格が軒並み上昇し、非鉄金属や貴金属といった鉱物資源価格が下落した。

FOMCでの決定が「やや」ハト派と受け止められたことが前日はリスク資産価格の上昇要因となったものの、「インフレ抑制がこれでは上手くいかないのでは」「QTは想定通りの早いペースで行われる」など解釈はまちまちだが、結局の所インフレや長期金利上昇が景気にマイナスと判断されたことが、多くのドル建て資産価格を押し下げることとなった。

エネルギーに関しては、EUが6ヵ月で段階的にロシア産原油の禁輸を実施する方針であることや、OPECプラスが事前予想通りの増産に止まることが確定したことで、OPECは消費国よりもロシアとの連携を強く意識していることを確認したこともエネルギー価格の上昇要因となった。

また、イランとの核合意交渉も暗礁に乗り上げており、即時の増産が可能な地域は最早米国のみとなったことも、供給不安を高めた。なお、一昨日発表の米石油統計では、米国の原油生産は増加していない。

非鉄金属は中国のロックダウン・GWの影響で経済活動が停滞した状態が続いており、ドル価格の上昇が価格を押し下げた。

一方、穀物セクターはかねてからの不作とロシア・ウクライナからの供給不安が価格を押し上げている状況。

【昨日のトピックス】

昨日開催のOPECプラス会合は、事前予想通り43.2万バレルの増産を継続する方針が示された。

現状、ロシア産原油の需要は低下しており、「それ以外の原油」の需要が増加している状況で、ウラル原油の対ドバイ原油でのディスカウントは▲20ドルに達している。

しかし、ドバイ・ウラルスプレッドを子細に確認すると、スプレッド水準はやや縮小を始めている。このことは中国やインドを始め、オランダなどの国もロシア産原油を割安感から買い求めており、結局の所、自国民の生活維持のプライオリティの方が遙かに高い、ということを示している。

恐らく、脱ロシアが声高に叫ばれる中では原油は高値を維持し、その後はなし崩し的にロシア産原油が西側諸国にも流入して価格は前回のオイルショックの時の様に下落すると予想されるが、それ以上に厳密に「ロシアの原油を購入しない」となれば、原油は西側価格と東側価格の二重価格となり、資源が乏しい西側諸国は、東側諸国に比べて高い水準で原油を買わざるを得ない状況になるシナリオも想定される。

どのような世の中になるかは、MRA's Eyeでも解説したように、「脱ロシア」をどのような形で達成することが出来るか、に掛っており、それには西側諸国全体のコンセンサスが必要となるがまだ明確な方向性が打ち出せていないのが現状である。

となると、基本的にはしばらく原油価格は高く、金融引き締めの影響で年末にかけて下落するものの、西側諸国が購入出来る原油が限定されるため、さほど価格は下がらない、という整理になるだろうか。


主要ニュース/エネルギー・メタル関連ニュース/主要商品騰落率/主要指数/市場の詳細データPDFは、有料版「MRA商品市場レポート」にてご確認いただけます。
【MRA商品市場レポート】について