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ややハト派なFOMCでリスク資産価格上昇
  • MRA商品市場レポート

2022年5月5日 第2188号(簡易版)商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「ややハト派なFOMCでリスク資産価格上昇」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場はエネルギーセクターが軒並み上昇、非鉄金属や貴金属も上昇し、その他農産品が主に下落した。

注目のFOMCはパウエル議長が75bpの利上げにさほど積極的ではないことが示され、「ややハト派」な内容と受け止められた結果、市場に安心感をもたらし広くリスク資産に買い戻しが入る流れとなった。

ただ今後、3ヵ月でQTのペースが950億ドルに達する見込みであり、金融引き締めはかなりのペースで行われる見通し。そのため昨日のリスク資産価格上昇は過剰な引き締めの反動による上昇だったと考えるのが妥当だろう。

エネルギーは欧州が対露制裁をさらに強化する方針を示したことが材料になっており、ロシアがウクライナへの攻撃を止める気配がないことを考えると今後、この類いの制裁はやはり拡大していくと考えるべきではないか。

しかし、エネルギーに関しては「脱ロシア」中は価格が上昇する可能性が高いものの、中国やインドといったロシアよりのスタンスを維持する国々がロシア産の原油を購入、最終的にはロシア分の原油が「浮く」ことになり価格が下落すると予想される。

しかしこれも、西側諸国や中東で充分な原油の増産が起きたり、代替燃料の確保が確実になった場合にのみいえることであり、この通りになるかはまだ予断を許さない状況。

【昨日のトピックス】

昨日のFOMCは想定通り50bpの利上げが決定され、今後、50bpの利上げが複数回行われる可能性が示唆された。ただしFOMC後の記者会見では75bpの利上げについては余り積極的ではないとパウエル議長が発言している。

注目すべきはQTのペースであり、475億ドルからスタートして3ヵ月後に950億ドルに加速する見通し。前回のQTが最終的に500億ドル/月だったことを考えるとかなりのペースでの縮小となる。

今回の利上げや金融引き締めは現在のインフレが過剰であることを考えると、妥当な対応と考えられるが、2000年以降のFRBの利上げ時期とイメージが重なる。

この時は「Y2K問題(2000年問題)」があり、市場の混乱を回避するために利上げが遅れ、ITバブルを誘発しその後はじける形となった。

今回は、コロナ問題(+その後のウクライナ問題)で利上げやQTをためらっていたが、それが資源インフレの遠因となったことも否定出来ず、前回と同様に慌てて金融引き締めを行っている、との印象は否めない。

仮に拙速に引き締めを急げば同様のバブル崩壊+新興国経済の混乱がもたらされる可能性があり、放置すればインフレが加速することになるため、非常に難しい舵取りをFRBは要求されることになると予想される。

前回はこの後に中国経済の勃興、という救世主があったが、今後はブロック経済化が進む中で景気の牽引役がどこの国、どこの分野になるのかが判然としない。この状況で資源の取り合いになり、低成長下での資源価格上昇、というシナリオもありえる状況である。


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