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QT意識されるも総じて堅調
  • MRA商品市場レポート

2022年5月2日 第2185号(簡易版)商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「QT意識されるも総じて堅調」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場はエネルギーセクターやその他農畜産品価格が上昇し、非鉄金属等も物色され、総じて堅調な推移となった。

発表された米個人消費は総じて堅調な内容だったが、デフレーターの伸びは強い状態が続いておりこの状況でFRBが利上げやQTのペースを遅らせるとは考え難い状況。恐らく次回FOMCでは想定通り50bpの利上げが日本時間5月5日早朝に決定されることになるだろう。

このせいもあってか、10年債利回りは引け際に掛けて上げ幅を加速させ、株価はハイテク株を中心に売られる流れとなった。貴金属セクターも実質金利の上昇で下落している。

なお、4月6日に公表されたFOMC議事録を見るに、QTの規模は950億ドル/月のペースになることが示唆されている。内訳を見ると、米国債が600億ドル、住宅ローン担保証券(MBS)が350億ドル、となっており早ければ今回のFOMCで縮小開始が決定されることになる。

ブレイナード理事は5月からの開始をほのめかしているが、恐らく本命は6月とみられている。しかし5月下旬から実施ということもありえる状況。

この状況だと、多くのコモディティ価格に対する株価の説明力が高待っているため、長期金利の上昇と株の調整で商品価格には下押し圧力が掛りやすくなる。

ただ、供給面の制限が大きいため急に下落するということにはならないとみるが、将来の「供給障害解消後」の下落幅は拡大しているとみておく必要があるのではないか。

【昨日のトピックス】

◆製造業PMI

4月の製造業PMIは47.4(前月49.5)と市場予想は上回ったものの、大幅な減速となった。明らかにロックダウンの動きが拡大していることに伴う、強制的な経済活動の制限が影響したと考えられる。これで2ヵ月連続で閾値の50を下回った。

前回のPMIがロックダウンが始まる3日前の3月25日までのアンケートだったため、4月のPMIは大幅な悪化になると予想していたが、予想通りの内容となった。

新規受注も42.6(48.8)、輸出向け新規受注も41.6(47.2)と急減速、生産も44.4(49.5)と低下し、国内活動の減速を受けて輸入も42.9(46.9)と低下、中国国内の経済活動は明確に鈍化している。

一方、ロシア問題を背景に資源価格が高騰しているため、投入価格は64.2(66.1)と高井水準を維持している。しかし前月からは減速した。

需給状況の指標である新規受注在庫レシオは、完成品が0.874(0.998)、原材料が0.918(1.032)と両方とも閾値の1を割り込み、国内工業品需給が緩和していることを示唆している。

なお、規模別の製造業PMIを見てみると、唯一50を上回っていた大企業が48.1(51.3)と急減速、中堅企業(48.5→47.5)、中小企業(46.6→45.6)と軒並み急減速している。

ゼロコロナを標榜している以上、しばらく中国経済は鈍化が不可避であり、政府が掲げる5.5%成長を達成するためには、まずは資金繰り支援の金融緩和が必要であり、さらにはロックダウン解除後の景気刺激のための公共投資積増しが必要になると考える。当面、鉱物資源価格には下押し圧力が掛ることになろう。

◆鉄鋼業PMI・建設業PMI

4月の中国鉄鋼業PMIは総合指数は40.5(前月44.3)と3ヵ月連続で減速、50の閾値を割り込む状態が2020年6月から続いている。コロナの感染拡大による経済活動自体の鈍化が影響したため。

生産は38.6(45.4)と大幅に減速、新規受注は33.6(39.3)と減速したが、輸出向け新規受注は44.5(42.9)と回復した。国内情勢の悪化を外需で補う動きと見られるが、それでも閾値の50を回復するには至っていない。

この結果、需要の減速が影響したため、完成品在庫は経済活動鈍化にもかかわらず41.4(31.2)と急回復しており(原材料在庫は現時点で弊社はデータを取得出来ず)、製品需給が緩和していることを示唆している。

結果、新規受注完成品レシオは0.81(1.26)と急低下、経済活動鈍化に平仄を合わせて鉄鋼製品需給は緩和しているといえ、ロックダウン解除が起きるまでは、鉄鋼製品・鉄鋼原料とも軟調な推移になりやすい。

中国の鉄鋼需要を牽引してきたのは建設セクターだが、4月の建設業PMIは52.7(前月58.1)と減速した。不動産市場の加熱沈静化に努めてきた中国政府だが、今後はより刺激に舵を切らざるを得ないと考える。


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