宇露協議に進展なく米原油SPR放出報道で総じて軟調
- MRA商品市場レポート
2022年4月1日 第2164号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「宇露協議に進展なく米原油SPR放出報道で総じて軟調」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品価格は天然ガスやゴム・コーヒーなどの一部のその他農産品を除き、軒並み水準を切下げる展開となった。
中国でオミクロン株の感染が拡大していることや、中国の製造業PMIが減速したこと、進展が期待されたロシア・ウクライナの停戦協議は目立った進捗が無かったことが景況感の悪化や需要自体の減少観測を強めた。
また、米国が戦略備蓄放出を決定、ただし単発の放出ではなく100万バレル/日を半年間放出するというかなり踏み込んだ在庫放出を決定したことで原油価格が急落したことも、全体の商品相場の押し下げに寄与することとなった。
昨日で嵐の様なQ122が終了したが、この間の商品相場の騰落をセクター別に見てみると以下の通りとなっており、いわゆる伝統的金融資産が売られ、商品が買われるという「供給不安が商品価格を押し上げ、それに伴う金融引き締めが債券価格を低下させ、商品価格の上昇や金融引き締めが企業業績・株価を押し下げる」と解釈されていたことがわかる。
やはり、株価が上昇したり債券利回りの上昇が落着くためには商品価格の低下が必要条件になりそうだが、供給面の不安が直ちに解消するという状況ではない。
エネルギー +38.2%原油 +37.5%穀物 +22.5%LME非鉄金属 +19.5%畜産・関連製品 +11.8%貴金属 +7.3%ソフト +0.8%主要株価 ▲2.2%先進国債権 ▲4.8%
【本日の見通し】
本日はIEAの緊急会合が予定されており、恐らく米国の戦略備蓄放出に歩調を合わせて先進各国が戦略備蓄放出を決定すると予想されることから、原油価格の下落が資源国通貨安・ドル高、期待インフレ率の低下を通じて広く商品価格を押し下げると予想される。
ただし実際に強調放出が決定されないようであれば、逆に上昇することになるのではないか。
この他、ロシア・ウクライナ情勢不安で直接影響を受けているEUと中国の首脳会議が予定されており、この内容にも注目したい。
予定されている経済統計では米ISM製造業指数に注目している。市場予想は59.0(前月58.6)と改善見込みであり景気循環系商品価格の下支え要因となろう。
なお、先ほど発表された日銀短観は、大企業製造業、非製造業とも悪化しており、先行き見通しも悪化見通しであり良い内容とはいえなかった(詳しくは明日以降のレポートで)。
【昨日のトピックス】
◆製造業PMI
3月の製造業PMIは49.5(前月50.2)と予想に反して減速し、閾値の50を下回った。コロナの感染再拡大を受けて上海などの主要都市で都市封鎖が行われ、経済活動鈍化への懸念が強まったことが背景。
新規受注も48.8(50.7)、輸出向け新規受注も47.2(49.0)と急減速、生産も49.5(50.4)と低下、国内活動の減速を受けて輸入も46.9(48.6)と低下、購買量も48.7(50.9)と減少を余儀なくされた。中国国内の経済活動は明確に鈍化しているといえる。
一方、ロシア問題を背景に資源価格が高騰しているため、投入価格は66.1(66.0)と昨年10月以来の高水準となり、価格上昇が消費を冷やす可能性も高まっている。
なお、今回の統計の調査期間が上海ロックダウンが始まる3日前の25日までだったことから4月のPMIはさらに悪化する可能性が高い。
需給状況の指標である新規受注在庫レシオは、完成品が1.032(1.054)、原材料が0.998(1.072)と急低下、原材料については閾値の1を割り込んだ。足下の工業原料需給は緩和している可能性が高い。
なお、規模別の製造業PMIを見てみると、著しく減速していた中小企業の景況感が46.6(45.1)と回復したが閾値の50は下回っており、好調だった中堅企業も48.5(51.4)と閾値を割り込んでおり、好況なのは大企業(51.8→51.6)のみの状態。
ゼロコロナを標榜している以上、しばらく中国経済は鈍化が不可避であり、さらに景気刺激などの一連の対策は国有企業中心の大企業がメリットを享受しているが、規模の小さい企業はその恩恵をまだ受けていない。一連の対策の効果が出るにはまだ時間を要しよう。
◆鉄鋼業PMI・建設業PMI
3月の中国鉄鋼業PMIは総合指数は44.3(前月47.3)と2ヵ月連続で減速、50の閾値を割り込む状態が2020年6月から続いている。コロナの感染拡大による経済活動自体の鈍化が影響したためと考えられる。
生産は45.4(49.2)と大幅に減速、新規受注・輸出受注とも各々39.3(43.2)、42.9(47.3)と低下している。新規受注の減速はコロナによる建設開始の遅れなどが影響したと考えられる。
この結果、製品供給が減少したため特に完成品在庫が顕著に低下(35.9→31.2)しており、原材料在庫もロシア問題の影響による現物市場の流動性低下、物流障害の影響で38.2(42.7)と低下している。
結果、新規受注完成品レシオは1.26(1.20)と上昇、原材料レシオも1.03(1.01)と上昇しており、経済活動鈍化にも関わらず統計上の需給はタイトであるため価格には原材料・製品とも上昇圧力が掛るのではないか。
中国の鉄鋼需要を牽引してきたのは建設セクターだが、3月の建設業PMIは58.1(前月57.6)と回復している。
中国政府は昨年後半から再び住宅市場規制を緩和し始めており、それに伴うものと考えられる。しかしこのことは中国政府が不動産市場の過熱を沈静化させることが容易ではないことをうかがわせるもの。
【昨日のセクター別動向と本日の見通し】
◆原油
原油価格は大きく下落した。バイデン大統領が国家戦略備蓄から「日量」100万バレルを半年間放出する、と決定したことが材料となった。
これまで戦略備蓄の放出は一時的な供給途絶に対応するもの、という整理だったが明らかに使い方が変わってきている。100万バレルを半年間増産し続けるのと同じ効果であり、即時に需給緩和要因となる。
ただ、今回の決定は別途交渉が進められていたイランとの核合意が難航しており、即時に合意に至らないのでは無いかとの見方が米政権内で強まったため、秋の選挙を控えた苦肉の策といえる。
また、OPECプラスは想定通り43.2万バレルの増産を決定した。小規模生産国の生産能力の問題も有るが、それ以上にイエメンで行われている代理戦争に対する米国の対応への不満(イランには制裁解除で、サウジアラビアには武器供与凍結(後に解除))から、米国の要請には与しない、という姿勢を貫いている。
バイデン政権はオバマ・トランプ・バイデンと続くこの14年近い時間の流れの中で状況が変わっていることを十分に理解出来ていなかった(そもそも異常気象やロシア情勢といった想定外の事態で原油価格がここまで上昇するとは想定していなかった)といえるだろう。
現在のシナリオ別原油価格見通しでは、米国が「OPECの代わりに」増産したため、4.の状態にあると考えられる。なお、この数週間の情勢変化を受けて各シナリオの想定レンジを微調整している。
下記シナリオは数ヵ月の短期的なものであるが、長期的にはレーショニング・金融引き締めの影響・景気循環による需要減少による「基準価格(供給懸念が後退したときの着地点となる価格)は徐々に切り下がっていると考えている。
<シナリオ別原油価格見通し>
1.ロシア・ウクライナ情勢沈静化せず、ロシアの原油が半分程度市場に出てこない(ないしはその可能性が強く意識される) Brent 125-140ドル
2.1.の状態で産油国のいずれかが増産する(規模による)Brent 110-130ドル
3.戦闘状態が継続するがロシアからの原油・石油製品供給が減少しないBrent 100-125ドル
4.3.の状態で産油国のいずれかが増産する(規模による)Brent 80-115ドル
↑ 上記は停戦が行われない場合のシナリオ
↓ 下記は停戦が行われた場合のシナリオ(現在は徐々にこちらに移りつつある)
5.ロシアがウクライナから撤退Brent 90-100ドル
6.5.に加えて産油国のいずれかが増産する(規模による)Brent 70-90ドル
※産油国の増産は、鍵となるイランで130万バレル、ベネズエラで50万バレル程度を想定している。米国の戦略備蓄100万バレル放出は半年の次元付。
本日も下値余地を探る展開を予想する。IEAの緊急会合開催が予定されており、日本をはじめとする主要国が戦略備蓄を協調放出する可能性があるため。ただこれは短期的な(半年程度)の時限措置であり、その後、在庫を積み増す、あるいは生産能力を増強することが価格安定のためには必須であることは付言しておきたい。
◆石炭・LNG・天然ガス
豪州石炭スワップ先物価格は小幅に下落したが250ドル台を維持した。限月交代後、窓埋めの動きも見られず流動性危機がやや後退したように見られる。
競合燃料であり、石炭よりもより流動性があるTTFとの相関では、石炭価格は260ドル程度が妥当な水準。
なお、欧州最大の電力需要国であるドイツの発電量は季節性以上に減速している。恐らく、春に向かっていることと景気が減速していること(あるいは省エネ)が影響しているとみられる。
その中で「安定的な熱源」として石炭の比率が過去7日平均で40.1%に達した。そもそもドイツは石炭火力の国であり、自国でも自給できるレベルの石炭を生産していた。まだ統計では明確に確認されていないが、ドイツの石炭生産は今後、脱炭素・脱ロシアが達成されるまでは増加すると予想される。
ただこうなった場合、COP26での石炭生産制限など、欧州主導で決めた枠組みを変更することになる。
欧州天然ガス価格は期近が上昇した。ロシアからのガス供給、一時、ドイツがユーロ建てでの決済を認められ、ペスコフ報道官もルーブル建てへの変更は時間が掛ると発言していたことで急落していたが、引き続きプーチン大統領がルーブル建てに移行する方針を主張したことで、供給懸念が強まったことが背景。
ロシア側も揺れているが、プーチン大統領はルーブル建てで無ければ供給を停止する趣旨の発言をしており、これまでのロシアの軍事行動を含む一連の対応をみていると、可能性がないとはいえない。
実際にルーブル建て決済が強要されるかどうかはまだ分からないが、今のところそれは行われておらず、今後の問題、という整理になろうか。
ただし域内の生産は減速しており、LNG市場の需給もタイトであるため、結果的に冬の前に90%の在庫水準を達成するには、ロシアからのガス供給は欠かせない。
今のところ欧州の天然ガス在庫は季節性よりも早いタイミングで増加に転じており、このペースであれば在庫の積増しは無理ではなくなってきた。
ただし、Gazpromが欧州に保有するタンク(総キャパシティの1割程度)に在庫を積んだとしてもそれは安全保障上のリスクのある在庫であるため、実質的には現在の貯蔵能力の90%が在庫積増しの上限、といえる。
中長期的に脱ロシア戦略をEUは進める方針であるが、脱ロシアが完了してからはガス・LNG市場は需給が緩和して下落に転じる可能性が高い。ガスに関しては「上流部門投資を制限」という枷は外されたと考えて良いだろう。
仏独の原発の稼働率はフランス・ドイツとも低下している。
米国天然ガス価格は欧州ガス価格の上昇と、気温低下予報を受けて上昇。
JKMは2023年春までの価格が上昇した。ロシアのガス販売をルーブル建てとする方針をプーチン大統領が堅持していることで供給懸念が高まったことが背景。
恐らく今のメインシナリオでは脱ロシア完了後にJKM価格も下がると予想されるが、それが達成されるまでの移行期間中はガス価格は高い状態が続く可能性がある。
3月27日時点の日本の発電用LNG在庫は166万トン(前年同月末241万トン、過去4年平均219万トン)と再び減少している。今年の夏は猛暑が見込まれているため、夏場の供給不足のリスクは小さくない。
3月21日~27日のLNGトレードだが、取引量は先週と変わらず770万トン(前週▲5%の770万トン)となった。スポット取引のシェアは28%と前週の34%から低下。長期契約ベースの調達が、スポットベースの調達減少を相殺した形。
スポット契約は英国とフランスの調達が減少、長期契約は逆に英国とフランスの調達が増加した。
本日も石炭価格は、競合燃料である天然ガス価格がロシアからの供給契約の不透明さから高値を維持する可能性が高いことから、同様に高値を維持の公算。
今後については豪州やインドネシアからの供給減少の回復の度合い、ドイツが自国内の石炭増産に舵を切っているか否か、などがポイントとなる。
LNG・天然ガスはロシアとの供給計約の不透明さから高値維持の公算。
※LNGの数量とガスベースの換算レートは、注記がなければBP提示の 1トン=1,360立方メートルを用いている。
◆非鉄金属
LME非鉄金属価格はまちまちだった。ただし先月発表された中国製造業PMIがオミクロン株の感染拡大を受けたロックダウンの影響で悪化しており、今後もロックダウンが続く見通しであることから総じて下押し圧力が強まる展開となっている。
スズは在庫水準の低下を材料に上昇したとされているが、それよりは100日移動平均線でサポートされ、実需筋もこの水準までの下落があれば、打診的に安値拾いの買いをしていると考えられる。
銅は小動きでもみ合った結果、前日比プラス。亜鉛も同様、鉛はこれといって材料が合ったわけではないが前日比プラス、アルミは石炭価格の下落もあって下落、ニッケルも青山集団ショック以降の取引沈静化の流れの中で、昨日は調整した。
なお、関係者のコメントとしてバイデン政権は国防法に基づき、バッテリー向けの金属開発を支援する可能性があると報じられた。
具体的には、リチウム、ニッケル、グラファイト、コバルト、マンガンなどの鉱物を対象とし、鉱山会社は7億5,000万ドルの資金を活用することが出来る。
脱炭素・脱ロシアのためにはバッテリー投資が不可欠だが、重要部材や資源の多くを中国が保有していることを考えるとその実効性はかなりハードルが高いと思っていたが、米政権はかなり本気といえる。
しかし、全ての必須元素をカバー出来る訳ではないため、結局、外交努力は必須であり、場合によると対立する国や地域に供給を依存する脱炭素手法は選択しない(出来ない)と言うことも起こり得る。
本日は最大消費国である中国の経済活動がロックダウンの影響で鈍化していること、株の調整や価格に対する影響が大きいドル指数の上昇を受けて軟調な推移を予想する。
◆鉄鋼・鉄鋼原料
中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは小幅に上昇、豪州原料炭スワップ先物は小幅に下落、大連原料炭価格は上昇、上海鉄鋼製品先物は上昇した。
発表された中国鉄鋼業PMIはオミクロン株の影響で総じて減速していることを確認する内容だったが、新規受注の減少と同時に新規受注在庫レシオも上昇しているため、一定の原材料調達ニーズがあると見做されたことや、鉄鋼ミル稼働率の低下を背景に鉄鋼製品在庫の水準が低く、鉄鋼製品価格が高値で推移していることも影響したとみられる。
鉄鋼製品価格からの回帰分析による鉄鉱石価格は156ドル程度、原料炭価格は243ドル程度が目処。
本日は上海で大規模なロックダウンが起きていること、それに伴う経済活動の鈍化観測が鉄鋼製品生産減少を通じて価格を逆に押し上げることから、鉄鋼原料価格も高値維持の公算。
◆貴金属
昨日の貴金属価格は金は小幅上昇、その他は前日比マイナスで引けた。
金は原油価格急落を受けた実質金利の上昇を受けて基準価格が下押しされたが、(前日比▲16ドルの1,490ドル)ロシアとウクライナの停戦協議で期待された進捗が見られなかったことを受けてリスク・プレミアムが上昇(+20ドルの447ドル)したため、結果、前日比小幅高で引けた。
銀も同様の展開だったがこちらは前日比小幅マイナスで引け。プラチナも同様。
パラジウムはロシア・ウクライナの停戦協議で目立った進捗が見られなかったことから上昇していたが、実質金利の急騰を受けてベンチマークの金が引けに掛けて調整したことで、水準を切下げた。
本日は株価の調整による長期金利低下を、原油価格の調整圧力の強まりが相殺する形が想定され、現状水準でのもみ合いが続くと予想。
◆穀物
シカゴ穀物市場はまちまち。昨日発表された米作付意向面積で、トウモロコシ・小麦の作付が市場予想を下回ったことが価格の上昇要因となったが、引けに掛けて進んだドル高進行で上げを削る展開となった。
大豆は作付面積が市場予想を上回ったことに加え、四半期末在庫の水準が市場予想を上回ったことで水準を切下げている。
作付意向面積、四半期末在庫の結果は以下の通りだった。
全小麦 4,735万エーカー(市場予想4,791万エーカー、前年4,636万エーカー)トウモロコシ 8,949万エーカー(9,197万エーカー、9,114万エーカー)大豆 9,096万エーカー(8,891万エーカー、87,600万エーカー)コメ 245万エーカー(251万エーカー、271万エーカー)
全小麦在庫 10億2,500万Bu(10億3,929万Bu、13億7,800万Bu)トウモロコシ 78億5,000万Bu(78億7,896万Bu、11億6,420万Bu)大豆 19億3,100万Bu(19億769万Bu、31億5,200万Bu)
本日は基本的に供給不足であることから再び情緒余地を探る展開を予想。
※中長期見通しは個別セクターのコラムをご参照ください。
【マクロ見通しのリスクシナリオ】
・ロシア・ウクライナの衝突の影響が長期化し、欧州を中心に景気が減速する場合。
また、ロシアに対する制裁がロシアが主要生産地である商品の供給を制限し、価格を押し上げ、景気を悪化させるリスク(価格下落要因)。
なお、今回の戦争の後、ロシアがソ連復活を目指してジョージアやモルドバに侵攻するリスクや、今回の対応如何では中国が台湾を武力で早期に併合する可能性を高めることになる。
・ロシア国債のデフォルトや、ロシアからのビジネス撤退が企業や信用市場に大きな影響を与え、クレジットクランチ(信用収縮)が発生する場合。
・米国経済が正常化する中で金融引き締めが加速、経済をオーバーキルしてしまった場合(価格下落要因)。
・コロナウイルスの感染再拡大(オミクロン株の影響)によるロックダウンが景気循環系商品の需要を減じる場合(価格下落要因)。
・米中対立激化による、新冷戦構造が発現しブロック経済圏が発生して貿易活動が鈍化する場合(場合によると武力衝突も)。
むしろこの可能性は高待っており、リスクシナリオではなくなりつつある。
・米中対立が、自国内の混乱などを理由に急に「手打ち」となった場合(景気のポジティブリスク・中国がさらに力を付け、将来米中が武力衝突するリスク)。
・発電燃料供給不足による工場稼働停止や消費低迷で景気が減速する場合(リスク資産価格の下落要因)。
・中国不動産問題の沈静化に時間が掛り、信用収縮に繋がる場合(工業金属などの景気循環系商品を筆頭に、リスク資産価格の下落要因)。
・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(これは人口動態を考えると、現実のリスクとなるのは2030年以降か)。
・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。
逆に脱炭素に向けたインフラ投資の加速で資源価格が急上昇、金融緩和マネーが大量に市場に滞留する中でハイパーインフレとなるリスク。
・来年の中間選挙を控えて、バイデン大統領が国内の支持を得られない場合。議席確保のためのなりふり構わない政策がインフレをもたらすリスク(景気加熱後に急減速する要因)。
・独政権交代後の国内求心力が低下、域内最大経済国のドイツ経済が減速する場合、また、EUの指導力が低下し域内経済が停滞する場合(景気減速要因)。
・次の成長ドライバーとして期待されるインド経済が、期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。
2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2023~2024年頃。
・アフガン情勢の混乱が域内経済に混乱(大量の難民発生、コロナの感染拡大が欧州圏にもたらされるなど)をもたらし、米中対立を先鋭化させる場合(景気の減速要因)。
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