ロシア制裁懸念再燃で上昇
- MRA商品市場レポート
2022年3月22日 第2158号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「ロシア制裁懸念再燃で上昇」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品価格は多くの商品価格が上昇した。ロシアに対する西側諸国の制裁が強化される可能性が強まったことで、再び供給懸念が意識されたことが背景。
欧州は実際可能とは思えないが、ロシア産原油の購入停止を検討していると報道されたことがエネルギー価格を押し上げ、さらにはその他の商品にも制裁が強化されるとの見方が強まっている状況。
やや気になるのが金のリスク・プレミアムが上昇を始めていること。今のところそれは最終手段と考えたいが、ロシアが核兵器や科学兵器を使う可能性はかなり高まっている。
当面はウクライナやその先のNATO諸国に核ミサイルが使われる可能性がゼロではなくなった、という位置づけであるが、なりふり構っていない状態に追い込まれているプーチン大統領がなにをするかは分からない。「常識的に考えて」の理屈がなかなか通り難い状態になっていることは事実だろう。
この中でFRBパウエル議長が利上げペースの加速を示唆したが、これによるドル高で価格が下落したのは今回の有事の影響を直接受け難いその他農産品などであり、昨日に関しては影響は限定された、という印象である。
【本日の見通し】
本日は、EUのロシアに対する追加制裁や、プーチン大統領の暴走を背景とする地政学的リスクのさらなるたかまりを意識する形で実物資産が物色される流れになると予想される。
足下、原油価格動向をみて株などが売買されやすくなっており、原油価格動向への注目が集まる(詳しくはセクター毎の見通しコラムを参照ください)。
【昨日のトピックス】
昨日、FRBパウエル議長はこれまでのタカ派的なトーンをさらに強め、50bpの利上げの必要性を示唆した。正直、同議長はこの数ヵ月で完全にインフレファイターに転じている。
FRB議長の発言が一貫していない、という指摘は多い。「インフレは一時的」と言っていたではないか、といった指摘がそれに当たるが現状に合わせて方針を柔軟に変えているともいえ、どことは言わないが、頑なに政策を見直そうとしない他国中央銀行より現実を見ているといえる。
とはいえ、ウクライナ危機やコロナ問題でエネルギーや資源フローが目詰まりを起こし、供給不安やそれに伴う価格上昇が経済活動に悪影響を与える可能性は日増しに強まっているといえる。
当面、価格は上昇する可能性があるが金融引き締めや資源高によるコスト増加で、年後半、景気後退とまでは行かないが世界の経済成長はフラットに近づいて行くリスクも高まっているといえるだろう。
【昨日のセクター別動向と本日の見通し】
◆原油
原油価格は急上昇した。EUがロシア産原油の制裁導入について討議を始めたことが材料となった。
このコラムでも説明しているとおり、仮にロシアの原油を米欧が輸入しなくなった場合、500万バレル程度の原油が供給されなくなるため原油は下記シナリオの1.の水準まで上昇することになる。
ただし検討されているだけであり、恐らくまだ3.のステータスとみるのが妥当だろう。
実際は同盟国である中国や、パキスタン問題でロシアの援助を得たいインドなどが「大幅なディスカウント」で購入すると見られることから玉突き的に需給が緩和すること、この状況下、ベネズエラやイランなどへの制裁が解除される可能性があること、価格上昇による需要の減速を考えると、1.の水準も長期にはならない、と見ている。
<シナリオ別原油価格見通し>
1.ロシア・ウクライナ情勢沈静化せず、ロシアの原油が半分程度市場に出てこない(ないしはその可能性が強く意識される) Brent 125-140ドル
2.1.の状態でOPECプラスのどこかが増産する(規模による)Brent 110-130ドル
3.戦闘状態が継続するがロシアからの原油・石油製品供給が減少しないBrent 90-125ドル
4.3.の状態でOPECプラスのどこかが増産するBrent 80-105ドル
↑ 上記は停戦が行われない場合のシナリオ
↓ 下記は停戦が行われた場合のシナリオ(現在はこちらに移行しつつある)
5.ロシアがウクライナから撤退Brent 70-100ドル
6.5.に加えてOPECプラスのどこかが増産Brent 60-80ドル
本日もウクライナ・ロシアの停戦合意動向が価格を左右することになるが、目先はG7を控えた欧米の追加制裁がエネルギー分野で起きるかどうかが重要であり、引き続き報道睨みの展開になる。
◆石炭・LNG・天然ガス
豪州石炭スワップ先物価格は続落して330ドルを割り込んだ。そもそも高値過ぎたこともあって、中国の増産期待などを通じて価格が低下したとみられる。
ただし主要生産国からの供給は滞っており、需給はタイトで下がったと言っても価格は充分高い。
しかし足下、石炭価格と原油価格の相関性は高く、Brent116ベースだとNEWC価格は374ドル程度が説明可能な水準であり、原油価格高騰と春先に向けた需要の減少の綱引きとなるだろう。
欧州天然ガス価格は下落した。Gazpromが技術的に可能であれば欧州向けのガス供給は続けると発言したことで供給懸念がやや後退したことが背景。
なお、ロシアからの欧州へのガス供給は継続しているが過去5年レンジの最低レベルであり恐らく価格面から割安なLNGを求める動きが強まっているとみられる。上述の通り、ロシア側は基本的には要請があれば供給を行うため、欧州側が調達を行っていない可能性が高い。
需要が景気の影響や春に向けて減速している可能性はあるが今後、冬に向けてタンクのキャパシティ90%まで在庫を積み増す見通しであることを考えると、LNGなどの調達にシフトしている可能性が高いが、LNGのみで今冬(その前にこの夏は猛暑の可能性)の在庫を充分にするには、ロシアからの供給は欠かせない。この間、TTFやJKMの価格は高止まりしよう。
ただ、ガス供給が偶発的な物理攻撃で技術的に不可能となる可能性も、現在のウクライナ・ロシア情勢をみるにない話ではない。
中長期的に脱ロシア戦略をEUは進める方針であるが、ロシアの扱いがどうなるかはよく分からないが、恐らくガス・LNG市場は需給が緩和して下落に転じるのではないか。
ただしこれは「脱炭素の枷」が外れた状態になったうえで成立するものだ。今までのようにデモまで起こして上流部門開発を停止せよ、という動きが強まったままの状態が続くようであれば、恐らく上流部門投資が行われず、価格は上昇したままとなる可能性がある。
なお、欧州に供給できない分を中国にという報道もあるが、ロシアのパイプラインシステムは東西で分断されているためこれを開通させるためには相当規模の融資が必要になる。シベリアの力2の稼働も必須だろう。
この場合、現在、ロシアに対して欧米諸国が資金を提供することはないため、力を貸すならば中国であるがその負担を中国のみで引き受けるとは考え難い。「割安」という意味では既に稼働しており、現在日本が死守しているサハリン1・2を取得することを中国は考えているのではないか。
仏独の原発の稼働率はフランス・ドイツとも低下している。
米国天然ガス価格は上昇。欧州向けの輸出増加や原油生産が横這いであることで、年初は過去5年平均を上回っていたが足下過去5年平均を大きく下回っており、米国内需給のタイトさが意識されたと考えられる。
JKMは欧州ガス価格の下落もあって小幅に水準を切下げた。期間構造は期近の下げが大きい。
3月6日時点の発電用LNG在庫は147万トン(前年同月末241万トン、過去4年平均219万トン)と水準は低く、今年の夏は猛暑が見込まれているため、夏場の供給不足のリスクは小さくない。
3月7日~13日のLNGトレードだが、取引量は+11%の810万トンとなった。スポット取引のシェアは23%と先週の29%から低下。韓国のスポット調達が増加したが西欧向けは減少した。長期契約分の増加は、日本、韓国、中国、台湾が増加。
なお、欧州は米国からのLNG調達が前月比▲14%減少したが、その代わり、ロシアのYamal LNGの輸入が増加したことでロシア産が+27%と増加している。やはり両地域はまだエネルギー供給面で切り離せるような状況にないことを示唆している。
本日の石炭価格はロシア・ウクライナの情勢不安が再び高まっていることで、説明力の高い原油価格が上昇したことを受けて上昇余地を探る動きに。
天然ガス価格はロシア・ウクライナ情勢不安も供給継続が価格を下押ししているが、それでも供給は充分ではなく価格は高値維持の公算。
※LNGの数量とガスベースの換算レートは、注記がなければBP提示の 1トン=1,360立方メートルを用いている。
◆非鉄金属
LME非鉄金属価格はまちまち。FRBパウエル議長がタカ派的な発言(50bpの利上げ)をしたことで金融引き締め観測が強まり、米長期金利上昇が価格を下押しする一方、ロシアに対する追加制裁への懸念からロシア銘柄となる商品には上昇圧力が掛った。
銅やアルミなどは金融政策などのマクロ要因の影響を受けやすい。
また、昨日はアルミ関連でニュースがあった。豪モリソン首相はロシアに対するアルミナの供給を即時停止すると発表した。これにより供給懸念が台頭し価格は急騰している。
LME指定倉庫在庫の水準で説明可能なアルミ価格は2,998ドル、誤差考慮後(2標準偏差)は3,418ドルであり、現在の水準はこれを上回っている。供給懸念が顕著であることの証左だ(軽いスクイーズに)。
NEWCを元にした回帰では3,458ドル、1標準偏差考慮後の水準が3,587ドルであり、コスト面からはまだ上昇余地があることになる。
また、G7を控えてロシアに対してエネルギー分野の制裁が強化される見通しが示されると、供給懸念から亜鉛は上昇した(なお昨日欧州のガス価格は下落しているが、亜鉛にはエネルギー価格上昇のワンクッションが入らず、買いが入ったようだ)。
一方、取引が停止されていたニッケル価格は昨日も値幅制限一杯の▲15%下落となっている。しばらくはスクイーズ後の相場修正で下落圧力が掛る展開が続いている。
ニッケル在庫との関係から単純に算出されるニッケル価格の推計値は23,994ドル程度に低下しているが、供給不安を材料に統計的には上ブレしており、2標準偏差の誤差を考慮すると29,482ドル程度が在庫で説明可能な上限となる。
本日はロシア関連銘柄であるアルミ、亜鉛は上昇、取引停止からの調整売り圧力が強いニッケルは調整で下落、その他の金属は米利上げ加速緩速で調整すると見る。
◆鉄鋼・鉄鋼原料
中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは小幅に下落。豪州原料炭スワップ先物は下落、大連原料炭価格は下落、上海鉄鋼製品先物は直近限月が下落、中心限月が上昇した。
中国全土に新型コロナの感染報告が拡大し、中国の経済活動が鈍化するとの見方が強まったことが需要減速観測を強めたため。足下、鉄鉱石在庫の水準は高いが、在庫日数ベースでは35.2日と過去5年平均の36.8日を下回っており、やや需給はタイトだ。鉄鋼製品価格からの鉄鉱石価格推計値は153ドルと足下の水準よりもやや高い。
中国原料炭港湾在庫の指標である京唐港の原料炭在庫水準は絶対水準が過去5年の最低水準であり在庫日数も同様と極めて需給はタイト。
鉄鋼製品価格を元にした回帰分析の結果、鉄鉱石価格は151ドル、原料炭価格は228.6ドル程度が推測値。
本日は中国の経済活動鈍化観測で価格は低下するが、原料炭に関しては供給懸念が解消していないため高値維持の公算。
◆貴金属
昨日の貴金属価格は上昇した。FRBパウエル議長が50bpの利上げありえる、と発言したことを受けて実質金利が上昇し、金の基準価格は1,536ドル(前日比▲40ドル)と下落したのだが、リスク・プレミアムが400ドル(+54ドル)と大幅に上昇したため、全体でプラスとなった。
ロシアのウクライナ侵攻への指標の1つとなっているパラジウムは大幅に上昇して2,595ドルとなっており、昨日の上昇はウクライナ危機を背景とするロシアへの追加制裁懸念が材料になったと考えるのが妥当だろう。
実際、豪州がロシアに対してアルミなの供給を即時に停止するなど、西側諸国の制裁は強化されている。
本日はG7を控えてロシアに対する制裁強化観測が強まっていること、それに伴うロシアの暴発(日ロ平和条約交渉も停止)への懸念から安全資産需要が高まっているため、貴金属セクターは金融引き締めはあるものの上昇余地を探る動きに。
◆穀物
シカゴ穀物市場は大幅に上昇した。西側諸国によるロシアの制裁強化の可能性が高まる中、報復で穀物供給が制限される可能性や、ほぼウクライナで春小麦などの「春の播種」が事実上不可能になりつつあることが供給懸念を高めているため。
ただでさえ現在はラニーニャ現象発生中であり、これが秋まで続く見通しであることから供給減少となる可能性が高い。
本日もロシア・ウクライナ情勢次第の状況が続くが、ロシアに対する追加制裁の可能性がたかまっていることや供給懸念から上昇余地を探る動きに。
※中長期見通しは個別セクターのコラムをご参照ください。
【マクロ見通しのリスクシナリオ】
・ロシア・ウクライナの衝突の影響が長期化し、欧州を中心に景気が減速する場合。
また、ロシアに対する制裁がロシアが主要生産地である商品の供給を制限し、価格を押し上げ、景気を悪化させるリスク(価格下落要因)。
なお、今回の戦争の後、ロシアがソ連復活を目指してジョージアやモルドバに侵攻するリスクや、今回の対応如何では中国が台湾を武力で早期に併合する可能性を高めることになる。
・ロシア国債のデフォルトや、ロシアからのビジネス撤退が企業や信用市場に大きな影響を与え、クレジットクランチ(信用収縮)が発生する場合。
・米国経済が正常化する中で金融引き締めが加速、経済をオーバーキルしてしまった場合(価格下落要因)。
・コロナウイルスの感染再拡大(オミクロン株の影響)によるロックダウンが景気循環系商品の需要を減じる場合(価格下落要因)。
・米中対立激化による、新冷戦構造が発現しブロック経済圏が発生して貿易活動が鈍化する場合(場合によると武力衝突も)。
むしろこの可能性は高待っており、リスクシナリオではなくなりつつある。
・米中対立が、自国内の混乱などを理由に急に「手打ち」となった場合(景気のポジティブリスク・中国がさらに力を付け、将来米中が武力衝突するリスク)。
・発電燃料供給不足による工場稼働停止や消費低迷で景気が減速する場合(リスク資産価格の下落要因)。
・中国不動産問題の沈静化に時間が掛り、信用収縮に繋がる場合(工業金属などの景気循環系商品を筆頭に、リスク資産価格の下落要因)。
・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(これは人口動態を考えると、現実のリスクとなるのは2030年以降か)。
・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。
逆に脱炭素に向けたインフラ投資の加速で資源価格が急上昇、金融緩和マネーが大量に市場に滞留する中でハイパーインフレとなるリスク。
・来年の中間選挙を控えて、バイデン大統領が国内の支持を得られない場合。議席確保のためのなりふり構わない政策がインフレをもたらすリスク(景気加熱後に急減速する要因)。
・独政権交代後の国内求心力が低下、域内最大経済国のドイツ経済が減速する場合、また、EUの指導力が低下し域内経済が停滞する場合(景気減速要因)。
・次の成長ドライバーとして期待されるインド経済が、期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。
2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2023~2024年頃。
・アフガン情勢の混乱が域内経済に混乱(大量の難民発生、コロナの感染拡大が欧州圏にもたらされるなど)をもたらし、米中対立を先鋭化させる場合(景気の減速要因)。
◆本日のMRA's Eye
「ウクライナ危機の食品市場への影響」
ウクライナとロシアの停戦実現への期待はあるが、仮に停戦合意しても、ウクライナの現政権を打倒するまでプーチン大統領が戦闘行為を終了しない可能性も十分ありえる。
小職はその分野の専門ではないためなんともいえないところだが、少なくともこの数ヵ月にわたりウクライナの主要地域では通常の経済活動を行うことは難しいのではないだろうか。
仮に停戦合意になったとしても現在停止しているオデッサ、イリチェスク、マリウポリの港湾が全て速やかに稼働するのも難しいとみている。結果、これらの港から出荷される穀物類の供給は制限されることになる。
黒海周辺地域は穀物の一大生産地であり、特に小麦の生産シェアは大きい。米農務省の見通しでは2020-2021年で両国を合計して13.9%が見込まれている。
小麦は基本的に自国で消費することを目的とするため、輸出市場でのシェアは、輸出余力のある地域(国内消費量の少ない地域)の影響力が大きくなる。輸出シェアが大きい国を並べると、米国(10.7%)、豪州(13.5%)、カナダ(7.6%)など、人口の割に広大な国土を有する国の輸出シェアが高く、シア・ウクライナも同様で両国の輸出シェアは合計で25.6%に達すると予想されている。
さらに懸念されるのが今回の戦闘が4月の後半から5月にかけて行われるウクライナの小麦の播種に影響が及ぶ場合だ。
現在の戦況をみるに、停戦後に直ちにウクライナ人が生産地に戻り、小麦を播種して生産に直ちに復帰するというシナリオは想定し難い。また仮に戻ったとしても、ロシア軍が農作業に使う耕運機などを接収し、要塞建設などに使用している模様で恐らく農作業ができる状態ではない。
もし実際に播種が行われ無かった場合、物理的に小麦供給が減ることになる。小麦ばかりでなくライ麦もウクライナ・ロシアの輸出シェアが大きく、各々16.7%、12.9%となる見込みであり、こちらも影響が無視できない。
なお、中国がロシアの小麦を輸入する、との報道があったがこれはロシア支援というよりは中国の小麦の作柄が歴史上最悪となる見通しであり、それに伴う供給不足への懸念が強まったことが主因と考えられる。
中国共産党の歴史は飢餓との歴史でもあるのだ。やはり昨年から続くラニーニャ現象が世界の穀物生産に大きな影響を与えているといえるだろう。
このコラムでは何回か取り上げているが、ラニーニャ現象発生時は特に小麦が不作になって供給が厳しく、価格上昇と共に地政学的リスクが高まって暴動が発生することが多い。
今年はこの異常気象に伴う不作のリスク顕在化の可能性が潜在的に高いうえ、ウクライナ情勢の悪化が追い打ちを掛ける形となり、食品とは直接関係しないが中東北アフリカ産油国の政情が不安定化するリスクは無視できない。
小麦以外でも両国の輸出市場における供給シェアが大きいのは、主要植物油の1つであるひまわり油で植物油消費の9.5%を占める。そして両国のひまわり油生産は合計で世界生産の58.1%、輸出シェアは77.3%(ロシア30.0%、ウクライナ47.3%)に達する。
ひまわり油生産に関しても小麦の生産と同様、今回の戦争の影響を受ける可能性は高く、その他油脂類への影響は不可避である。これは戦争が終ると下落する、という類いのものではなく本穀物年度の供給が減少するリスクを織り込んで上昇している可能性は高く日常生活への影響は小さくない。
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