リスクは欧州に集中、そして持っているか、いないか
- MRA外国為替レポート
2022年3月7日号
◆先週の市場総括
先週もウクライナ情勢により市場は左右された。停戦協議が行われたものの目立った進展はなく、ロシアによる攻撃は継続。さらに一部原子力発電所がロシア軍により攻撃され制圧されると市場心理が大きく悪化した。
プーチン大統領の頑なな姿勢から軍事侵攻およびこれに対する経済制裁の長期化、景気への悪影響が懸念され週末にかけてリスク回避が強まった。
こうしたなかでも米国の雇用情勢は堅調で、インフレ懸念は強まったまま。パウエルFRB議長は議会証言で金融正常化を進める姿勢を示した。3月の会合で0.25%の利上げを実施すると明言した。
原油価格WTIは前週末の91ドル台から週末には115ドル台に急騰。
米国株はウクライナ情勢を受け安値圏で上下。日経平均は週末に年初来安値を更新するなど軟調で引けは26,500円台。
為替市場ではユーロが週末にかけ大きく下落。ユーロドル相場は1.12台後半から1.09台前半へ、ユーロ円相場は130円台前半から125円台半ばへ急落。ドルは堅調。ドルインデックスは96台半ばから98台半ばへ。
ドル円相場は115円台を中心に底固く推移。ただ週末にはリスク回避が強まり米長期金利が低下したことも手伝って114円80銭に下落して引けた。
月曜日の東京市場では早朝に為替市場が乱高下。ユーロが急落。週末に欧米を中心にしてロシアの金融機関の大半をSWIFTから排除することを決定。ロシア中銀との取引を禁止。外貨を凍結し、ルーブル防衛策を封じた。
一方、欧州へのエネルギー供給が滞り経済への悪影響が強まるとの見方が帯同した。ユーロドル相場は前週末の1.1270から1.1130に急落。ユーロ円相場も130円ちょうどから128円ちょうど近辺に下落して始まった。
ドル円相場も連れて115円10銭近辺に下落。ただその後はいずれも持ち直し。ユーロドル相場は1.1190に、ユーロ円相場は129円40銭に急反発。ドル円相場は115円80銭近辺に上昇した。
その後は揺り戻し反落したが、協議開始との報に、日本時間夕刻、欧州市場、米国市場にかけてユーロは持ち直した。ユーロドル相場は1.1150に押した後、上下動しながら1.1240台へ上昇しNY引けは1.1210~20。
一方、ユーロ円相場は128円80銭から129円80銭へ上昇したが、米国時間には下落して128円80銭近辺で引け。ドル円相場はアジア時間に115円50銭~60銭でもみ合い。欧州から米国市場にかけては114円90銭台に下落して引けた。
米長期金利低下が下押し要因。日経平均は追加制裁への警戒感で下落してスタート。下げ幅は一時▲200円に。ただ両国が停戦に向けて協議を行うとの報に、一方的に弱気に傾けるのも手控えられ下げ止まり。後場はじり高。引けは+50円高の26,526円。
欧州ではロシア企業との取引停止や出資解消が相次いだ。ルーブルは急落。ロシア中銀はルーブル防衛のため背策金利を9.5%から20.0%に引き上げた。
ロシア大手銀行の欧州子会社が破綻に瀕していると報じられた。週明けの米国株は米欧の対ロシア制裁拡大を嫌気して一時▲500ドル超下落し33,500ドル近辺に。ただその後は下げ幅を縮めて引けは▲166ドル安の33,892ドル。
ナスダックは+56ドル高の13,751ドル。VIIX指数は+2.56ポイント上昇して30.15と高水準。
原油価格WTI先物は95.72に4ドル超上昇した。リスク回避、利上げ加速観測が後退し米10年債利回りは1.827%へ、2年債利回りは1.434%へ低下。
火曜日の東京市場では日経平均が26,850円近辺で高寄りして始まった。ロシアのSWIFT排除決定を織り込み、第一回停戦協議が不調に終わったものの二回目を実施との報道で様子見。
米長期金利上昇一服は支えに。底固く推移して一時27,000円に迫った。ただ積極的に買う材料もなく後場はじり安。上げ幅を縮めて引けは前日比+317円高の26,844円。
ドル円相場は114円90銭台で始まり朝方一時115円30銭に上昇したが買いは続かず夕刻から欧州市場で114円70銭台に下落。ユーロ円相場は128円80銭から一時129円20銭に上昇したが上値重く反落。128円80銭~129円20銭で上下し夕刻は129円20銭。
ユーロドル相場は1.1210台で始まりやや押して1.1190~1.1200で推移し夕刻は1.1230に小じっかり。しかし欧州市場に入るとウクライナ情勢の一段の悪化からリスク回避が強まり株安・ユーロ安が進んだ。
ロシア軍が攻撃を一層激化して一般市民への無差別爆撃を開始した。欧州株は大幅安。ドイツ10年債利回りはマイナスに低下。ユーロドル相場は米国市場にかけて1.11ちょうど近辺に大幅安。ユーロ円相場も127円40銭に下落した。
ドル円相場は落ち着いた値動きで114円80銭~90銭で推移。
米国株も大幅安。ウクライナ情勢悪化、原油価格急騰により景気先行き不安が台頭した。
WTI先物4月限月は一時106ドル台に上昇し引けは103ドル台半ば。NYダウは一時33,100ドル近辺へ800ドルほど急落。その後は下げ止まったが底値圏でもみ合い引けは▲597ドル安の33,294ドル。ナスダックは▲218ドル安の13,532ドル。VIX指数は+3.17ポイント上昇して33.32と高水準。
強まるリスク回避に米10年債利回りは一時1.7%割れに低下して引けは1.731%。2年債利回りは1.345%に低下。
ドル円相場は114円70銭にやや下落してから90銭に戻して引け。ユーロドル相場はやや戻し1.1130、ユーロ円相場は127円80銭。米国のISM製造業景気指数(2月)は先月57.6から58.6へ改善。新規受注指数は57.9から61.7に大きく改善した。
水曜日の東京市場では日経平均は26,500円近辺で大幅安寄り。ウクライナへの攻撃激化、ロシアへの制裁強化で経済への悪影響懸念が広がった。アジア時間に原油価格が一段高となったことも懸念を強めた。
日経平均は26,300円近辺へさらに下落してもみ合い。引けにかけて下げ止まり、引けは前日比▲451円安の26,393円。
ドル円相場は114円80銭~90銭で始まり底固く115円ちょうど~10銭でもみ合い夕刻は115円10銭。ユーロは値動き荒く軟調。夕刻から欧州市場にかけて大きく下落した。
ユーロ円相場は127円80銭~90銭で始まり一時128円をつけたが上値重く128円でもみ合い。その後は127円30円に大幅安。ユーロドル相場は1.1120~30でもみ合いの後、1.1060へ下落した。
欧州株は反発。米国株も大きく反発し前日の下げを取り戻した。停戦協議の再開見通しを好感。パウエル議長の議会証言で目先の大幅利上げ懸念が後退。経済指標も強く、景気敏感株が堅調。
原油高でエネルギー株がしっかり。長期金利上昇で金融株も買われた。
NYダウは前日比+596ドル高、ナスダックは+219ドル高。VIX指数は30.74に低下。米国で発表されたADP雇用報告(2月)は雇用者数前月比が+475千人と予想を上回る大幅な増加。前月の数字も当初の▲301千人減少から一転して+509千人の大幅増加に上方修正された。
公表された地区連銀経済報告(ベージュブック)では、米国経済は緩やかに拡大している、物価上昇ペースは強く一部で加速している、雇用・労働需要は強く広範に人手不足、とされた。
パウエル議長は議会証言で、3月会合では0.25%の利上げが適切、と明言。インフレリスクが強まれば0.25%を上回る利上げも否定せず。ウクライナ情勢による短期的不透明感には柔軟に対応する、と述べた。
米10年債利回りは大きく上昇。一時1.91%をつけて引けは1.882%。2年債利回りは1.514%。ユーロは下げ止まり乱高下の後上昇。1.1060~1.1110で上下した後、引けは1.1120。ユーロ円相場は128円20銭に上昇した後、上下しながら127円70銭に反落。
米国市場では株高、リスク選好が強まるなか上下しながら128円50銭~60銭に上昇した。ドル円相場は堅調。115円50銭に上昇した後、一時20銭台に下落する場面もあったが反発。115円50銭~60銭で引けた。原油価格WTI先物(4月限月)は一時112ドル台半ばに上昇し、110円60銭で引けた。
木曜日の東京市場では日経平均は前日の米国株が大きく上昇したことを受けて幅広く買いが入って26,650円近辺で高寄り。ただその後は26,500円に下落するなど上値は重かった。
原油価格がアジア時間にさらに上昇したことで伸び悩み。26,650円近辺に反発したものの引けにかけて26,600円割れに下落。上げ幅を縮めて+184円高の26,577円で引け。
為替市場ではドルが堅調、ユーロが軟調。ドル円相場は115円50銭で始まりじり高。夕刻には115円70銭~80銭で推移。ユーロドル相場は1.1120で始まり1.11ちょうど近辺でもみ合い。さらに1.1070に下落した後、1.1080~90中心にやや値動き荒く上下した。
ユーロ円相場は128円50銭で始まり20銭に下落。その後は40銭中心にもみ合ったが20銭~40銭で推移した。
欧州時間には再びリスク回避が強まった。プーチン大統領はマクロン大統領と会談、ウクライナへの攻撃は非武装化まで貫徹する、と述べた。ウクライナとロシアの協議には目立った進展なし。制裁強化や経済への悪影響長期化懸念から欧州株は大幅安。
米国株も欧州株ほどではなかったが軟調。ウクライナ情勢に進展なく経済制裁が長期化する懸念、パウエル議長の発言でウクライナ情勢にかかわらず金融正常化が淡々と進むとの見方からハイテク株中心に下落した。
ナスダックは前日比▲214ドル安の13,537ドル。NYダウは▲96ドル安の33,794ドル。VIX指数は▲0.26ポイント小幅低下したが30.48と高止まり。
欧州通貨は下落。ユーロドル相場は1.1040~50で上下し引けは1.1060近辺。ユーロ円相場は127円60銭に下落して60銭~80銭で上下し引けは80銭。ドル円相場はリスク回避、米長期金利が上昇一服するなか軟調。115円40銭~50銭でもみ合い引けた。
発表されたISM非製造業景気指数(2月)は前月59.9から56.5に悪化。供給網の混乱や人手不足が影響したとみられている。
パウエル議長は議会証言でウクライナ情勢を受けて、少なくとも物価上昇圧力がかかる、と述べた。米2年債利回りはやや上昇して1.528%。10年債利回りはやや低下して1.842%。
原油価格WTI先物は一時116ドル台に上昇したが、イラン核合意の進展によるイラン産原油による供給増加との見方もあり反落して107ドル台。荒い値動きが続いている。
金曜日の東京市場では日経平均が大幅反落、一時年初来安値を更新した。ロシア軍がウクライナの原子量発電所を攻撃、との報で情勢緊迫化が嫌気され、26,400円台で安寄り後に急落。前日比▲800円超下落して25,800円割れ。年初来安値を更新した。
停戦協議の難航や経済制裁の長期化により景気見通しが不透明となったとの懸念が広がった。
後場にかけては26,000円台を回復する場面もあったが上値重く、25,900円台中心にもみ合い。引けは▲591円安の25,985円。
為替市場ではユーロが値動き荒いなか下落。ユーロ円相場は127円80銭で始まり株価が下げ足を速める傍らで127円割れに急落。その後60銭に反発する場面もあったが夕刻にかけて127円20銭~40銭で上下し127円10銭近辺。
ユーロドル相場は1.1060で始まり1.1010に下落。その後は1.1030中心に1.1010~50で上下し夕刻は1.1020近辺。
ドル円相場は底固く推移。115円50銭近辺で始まり30銭に下落したものの夕刻には115円50銭近辺にもち直し。
欧州から米国市場にかけてユーロは一段安。米国朝方にかけて大幅安となった。ユーロドル相場は1.09割れ、ユーロ円相場は126円ちょうどへ。ドル円相場は115円40銭中心に上下。
注目の米雇用統計(2月)は強い数字。非農業部門雇用者数は前月比+678千人と予想+400千人を大きく上回った。失業率は前月4.0%から3.8%に低下した。ただ平均時給は前月比変わらず、前年同月比は前月の+5.7%から+5.1%に低下した。
為替市場は反応薄。米国株は朝方大幅に下落。NYダウは前日比▲500ドル安となり33,300ドル割れ。その後は下げ止まり33,600ドルに反発して300ドル台~600ドルで上下。引けは▲179ドル安の33,614ドル。
ナスダックは▲224ドル安の13,313ドル。VIX指数(株価ボラティリティインデックス、通称・恐怖指数)は+1.50ポイント上昇し31.98と引き続き高水準。ロシア軍の原発制圧でリスク回避が一段と強まった。
原油価格WTI先物4月限月は大幅高。前日から8ドル上昇し115.68ドル。金相場は続伸して1,966ドル台と2,000ドルに近づく動き。
米国債は買われて10年債利回りは一時1.69%に低下し引けは1.737%。2年債は1.49%。
為替市場ではリスク回避が強まるなかユーロ全面安から円独歩高に。ユーロ円相場は125円ちょうど近辺へ、ドル円相場は114円70銭割れへ下落。その後は円高一服。ドル円相場は上下しながら持ち直し引けは114円80銭近辺。ユーロ円相場はじり高となり終盤は125円40銭~60銭でもみ合い40銭台で引け。
ユーロドル相場はじり高となり1.0930近辺。ドルインデックスは98.5に上昇した。
◆今週の3つの注目ポイント
1.ECB理事会、ラガルド総裁会見
木曜日にECB理事会が開催され終了後にラガルド総裁が会見を行う。前回会合後の会見で総裁は、3月の会合で新たな見通しとともに政策を見直す、と述べた。
タカ派に傾いたかにみえた総裁だが、足元のウクライナ情勢の悪化やエネルギー供給懸念・価格高騰、景気悪化懸念を受け、スタンスはどのように変化しているか。
再び様子見、現状の緩和をひとまず継続ないし金融正常化一旦停止などの判断となるか。欧州経済の先行き見通し不透明感や懸念が示され、あるいは金融正常化小休止、ならユーロ安が継続する可能性がある。
2.米国の経済指標
木曜日の消費者物価指数(2月)が注目される。先週末の雇用統計は強い数字で労働市場の堅調さを示した。さらにインフレ高止まりとなれば、FRBの利上げスタンスがさらに強化されよう。
前年同月比は前月+7.5%から+7.9%に上昇予想。コア指数は前月+6.0%予想から+6.4%への上昇予想。ほか水曜日にJOLT求人者数(1月)、木曜日に週次失業保険申請件数、金曜日にミシガン大学消費者信頼感(3月、予想61.5、前月62.8)が発表される。
3.ウクライナ情勢
引き続き進展には留意。状況悪化、制裁強化、となればリスク回避はさらに強まろう。プーチン大統領の姿勢からすれば、メインシナリオは交渉難航、危機の深刻化か。
一方、停戦協議が進展する可能性もゼロではない。その場合は市場心理が改善し、急速に株価が反発、あるいは長期金利上昇、ユーロ反発、円安の可能性も。いずれにせよボラティリティの高い状況は続きそうだ。
ほか、中国全人代が5日から開催されるなか7日には中国外相が会見。同じく7日には中国の貿易収支、9日には生産者物価指数、消費者物価指数が発表される。
また欧州の指標もいくつか発表されるが、ウクライナ情勢緊迫前の情報であり、強い数字には反応しにくく弱い数字には反応しやすいとみられる。
◆今週のMRA's Eye
リスクは欧州に集中、そして持っているか、いないか
ウクライナ情勢はさらに悪化。停戦協議が続いているものの、ロシアの頑なな態度からみて一定の解決にはなお相当な時間を要しそうだ。とくに経済制裁の長期化は確実な情勢でその影響が懸念される。
結果として軍事的・経済的リスクは欧州に集中している。
ロシア軍が原子力発電所を攻撃したうえで制圧。市街地への攻撃が激化しており、欧米を中心としたロシアへの非難は一段と強まった。
原子力施設の保守運営にトラブルが生じ事故が生じれば欧州地域に未曽有のリスクとなる。電力供給が止まれば東欧を中心にエネルギー不足にさらに追い討ちがかかる。
ロシアから欧州への天然ガス供給が長期間停止し、代替輸入も困難が伴うことから、欧州経済への悪影響は避けられない。エネルギー価格の全般的な上昇は世界経済全体に悪影響を及ぼすが、欧州は価格のみならず数量の確保に直面している。
こうした状況ではECBが金融正常化を進めることは困難だろう。
2月3日に開催された直近のECB理事会で、ラガルド総裁はそれまでのハト派寄りの姿勢を一転し予想外にタカ派寄りの姿勢を示した。インフレは予想より長期に高止まりが続く見通し、とし、リスクは上向きと述べた。
ECBは全ての政策手段を適宜調整する用意がある、として、年内利上げを否定しなかった。
3月会合で、物価見通しの引き上げ、資産買い入れの縮小の前倒し、利上げの前倒しの余地が拡大、が想定されていた。それが、足元のウクライナ危機を受けて大きく修正されるとみられる。
物価見通しはエネルギー価格の急騰によってさらに上振れしそうだ。しかし需要の強さではなく供給不足や輸入価格の上昇によるもので、景気には下押し圧力となりかねない。
少なくとも金融政策は現状維持、様子見とせざるを得ないのではないか。
欧州経済への懸念、金融正常化の休止観測、から、先週、ユーロは対ドル、対円で大きく下落した。とくに、欧米間の景況格差は拡大し、同時に金融政策格差も広がりそうだ。
ユーロ安ドル高基調がなおも続く可能性が高い。また欧州発リスク回避イベントでは、ロジカルにユーロ安円高が想起されやすく、対円での下値模索も続きそうだ。
そしてエネルギー資源を持っているか、いないか、も経済への悪影響、通貨の強弱に影響する。
これまでも地政学的リスクは幾度となく発生した。しかし一大資源国であるロシアが当事者となって、局地リスクでなく地理的に欧州全域を巻き込んで東西冷戦を彷彿させる状況となることはなかった。
ここまで資源を持っているか、持っていないか、が大きく明暗を分けるのは今回が初めてだろう。
こうした視点からみても、欧州から地理的に距離があり最大のエネルギー産出国である米国の強味が際立つ。
一方で日本はエネルギー資源に関しては持たざる国の筆頭であり、欧州ほどではないが経済への悪影響が懸念される。すでに資源価格の高騰で輸入金額は急増し、1月の貿易収支は2兆円を超える赤字となった。貿易から生じる為替需給では大きく円安圧力がかかった状態。
さらに原油価格が急騰、その他の資源、農産品価格も上昇したことで一段と円安になりやすい状況だ。
為替市場で際立つのはユーロ安豪ドル高。
オーストラリアは、地政学リスクの発生地から最も遠く、天然ガスや小麦などの一大産出地であることがその背景だ。新興国通貨は、リスク回避局面では売られやすいが、地域的な近さ・遠さによる影響や、それ以上に資源国か否かで明暗が分かれる。
最後にリスク回避の深度について。ロシア向け債権は不良債権化する可能性が高い。
しかし個別の金融機関において処理可能な範囲内となりそうだ。
リーマンショックの際のように複雑化したロシア関連金融商品が大量に流通しているわけでもない。銀行間信用が脅かされるまでにはならないとみるのがメインシナリオ。
ただ信用スプレッドの拡大が一段と悪化し企業金融全般に悪影響が生じるリスクは監視し続ける必要がある。
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