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ロシア進軍リスクシナリオ顕在化
  • MRA商品市場レポート

2022年2月23日 第2140号(簡易版)商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「ロシア進軍リスクシナリオ顕在化」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品価格は多くの商品が上昇した。ロシアがウクライナ東部、ドネツク・ルガンスク両共和国に対して軍事侵攻を開始(ロシアの理屈では、独立国として承認し、同盟国の治安維持のために軍を派遣したという立て付け)、ロシアに対する欧米への制裁懸念で市場は総リスクオフとなり、ロシアからの供給に頼る商品は買い戻しが入ることになった。

商品先物市場や現物市場においては、大手の供給能力低下はスクイーズを招くため、先行きが不透明な場合買い戻しを先行する。

もちろん、投機が先んじてこの価格上昇のポジションを取ることもあるが、どちらかと言えば現物供給不安に根ざした、売りポジションの解消(買い戻し)がドライバーである。

今後は欧米の制裁動向と、それに対するロシアの反応次第なので、なんともいえない。財政その他を考えるとロシア側に仕掛けるゆとり(あるいは長期戦を許容できる財政的なゆとり)はなかったはずだが、それでも攻撃をしているため、キエフ侵攻の可能性も米インテリジェンスが指摘しているように「ない話」」ではなくなった。

(詳しくは以下のMRA's Eyeをご参照ください)

・2022年1月20日「ロシア・ウクライナ軍事衝突懸念」
https://marketrisk.jp/news-contents/contents/20512.html

・2022年2月15日「ロシア不安の資源供給への影響」
https://marketrisk.jp/news-contents/contents/20462.html

・2022年2月22日「ロシア軍事侵攻の金価格への影響」
https://marketrisk.jp/news-contents/contents/20540.html

※2月15日、22の解説は、有料の商品市場レポートの読者の方向けにメールで配信しています(上記リンクから全文は参照できません)

なお、日経新聞にもコメントが引用されたが、原油150ドルはロシアの原油・石油製品輸出が半分減少(欧州・米国向けの輸出が止まる場合など)した場合の水準であり、単純な需給バランスのみから推定される価格。

デマンドプルの価格上昇ではないため、上昇は一時的なものに止まるとみるが、本当に下落するかどうかはまさに制裁次第。

金についてはかなり戦争開始(キエフ侵攻)を意識した水準まで上昇しているが、これ以上の上昇がある場合は、1.原油価格の高騰、2.株下落による長期金利の低下、3.キエフへの侵攻、が有る場合であり、当面2,000ドルを意識した展開になるとみている。

なお、昨日発表された米統計は良好な内容だったが、ウクライナ問題で完全に消し飛んでしまい、余り材料にはならないとみられる。

欧州はノルドストリーム2の停止を決定、これにより欧州のエネルギー調達はかなり不安定な状態になることが確定した。恐らくウクライナが戦闘状態になれば、ウクライナ、ベラルーシ経由でガスは供給されなくなるだろう。

この場合、オミクロンや年初のエネルギー危機で減速感が強まっている欧州の景気が悪化する可能性は極めて高い。また大量な難民の流入も欧州経済を混乱させることになるだろう。


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