米英エネルギー制裁強化で上昇
- MRA商品市場レポート
2022年3月9日 第2150号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「米英エネルギー制裁強化で上昇」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品価格は非鉄金属セクターが景気への懸念でニッケルを除いて下落した。ニッケルはステンレス大手の青山集団がショート・スクイーズを受けたことによる上昇で、取引停止となっている(詳しくは非鉄金属のコラムをご参照ください)。
その他の商品はロシアに対する制裁や、ロシア・ウクライナからの供給停止を受けて軒並み上昇、パニック買いの様相を呈している。
昨日の上昇は、米国がロシア産原油の停止を決定、英国も同様、その他の国は各々の判断に任せるとしたものの、EUが今年中にロシア産のガスの3分の1に減らす、という方針を示したことが影響している。5日ほど前にIEAが年内にロシア産のガス需要を3分の1減らせる、とした予測の2倍だ。
もはや、どの段階で「第3次オイルショック」の名称を公式に誰が認めるか、の状況である(詳しくは週末のMRA's Eyeで解説予定)。
しかし、上述の通りのLNGシフトを欧州が行った場合、日本のLNG調達にも影響が及ぶことになる。運が悪いことに今年の夏の予想は気象庁の予想では例年よりも暑い夏になりそうである。
https://www.jma.go.jp/bosai/season/#term=season
この場合、スポットでLNGを調達する必要性が出てくるが余りにLNGのスポット価格が上昇した場合、あるいは欧州向けや他国向けに流出して確保できなかった場合、欧州で既に起きているような電力供給に影響が出る可能性がある。
少し先のことではあるが今年の夏をどうするか、については考えるべき時期に来ているといえる。
【本日の見通し】
本日もロシア・ウクライナ情勢を受けて高値維持の公算。
ウクライナ問題で余り採り上げられていないが、本日投開票が行われる韓国大統領選挙は注目が必要と見ている。
保守・野党のユン・ソクヨル候補が、与党のイ・ジェミョン候補を若干リードしているようだがまだ分からない。今回注目している理由は極東地域の地政学に影響するためである。
ユン候補は明確に「日米間で安保協力」「日韓の歴史問題は解決済」のスタンスであり明らかに西側陣営の候補だが、イ候補は「米中間のバランス外交」「日本の真摯な謝罪が必要」と、中国よりだったムン大統領と基本的には変わらない。
そもそも米中対立の緩衝地帯として、韓国の立ち位置が非常に厳しいことは否定できない。そのため、中国との融和策をとらんとすることはある意味現実的な対応ともいえる。
ただ、リスクシナリオではあるが与党が勝利した場合、韓国が米中対立の緩衝地帯ではなく、日本が米中対立の最前線となる可能性がある。少なくともムン政権時代に韓国と日本との関係は悪化している。今回の選挙の結果は日本にとっては小さいものではないため、注目したい。
【昨日のトピックス】
欧州はエネルギー危機に直面して、ロシアからの化石燃料依存度を引き下げる政策目標を発表し、今年中にロシアからのガス供給を3分の1に減らす目標を上げた。
また、今年の冬までに現在30%程度まで低下しているガスの貯蔵量を90%まで引き上げる、としている。ガス貯蔵の積み上げと、ロシアからのガス依存引き下げは再生可能エネルギーの加速(太陽光、風力)や、各家庭の省エネ(各家庭へのヒートポンプの提供)を進め、LNGの輸入を増やすというものである。
同時に、エネルギー安保と防衛力強化を目的とした大規模な共同債の発行も検討していると伝わった。
手元で取得できるBPデータは2020年が最新なのでこれを元にすると、2020年の欧州のロシア産ガス・LNGの輸入量は1,849億立方メートル、これを3分の1に減らすということは、1,348億立方メートルをLNGや再生可能エネルギー、省エネで「年内に」賄うというものだ。これをサポートするための資金調達、ということだ。
しかし、今年はラニーニャ現象が夏まで続く見込みであり、かつ、再生可能エネルギーからのエネルギー供給が低下したために化石燃料に頼らざるを得なくなったことを忘れてはならない。
仮に1,348億立方メートルをLNGで調達するとした場合、LNGの年間取引量は4,879億立方メートルであり27.7%に相当する。スポット調達をしているLNGを「全て」欧州のために回したとしても足りないことになる。
さらに、年末までにガス貯蔵を90%、としているがこれもロシアからの供給が安定し、かつ、LNGをボランタリーに欧州に提供する、あるいは欧州人が結束して日本並みの省エネに乗り出す、あるいは石炭火力や原発をさらに稼働させる、ということが必要になると思われ、正直実現は難しいのではないか、との印象は否めない。
ただ、これぐらいのアドバルーンを上げないと全ての欧州諸国や企業、国民がやる気にならないと思われるのであえて高い目標を掲げた、ともいえる。それだけ欧州の危機感は強い、ということだ。
しかし、脱炭素も期限を設けて上流部門投資を強制的に抑制し、その結果がこのエネルギー危機であるので、期限を開示しなくても(個別に伝達すれば)良いのでは?という気がすることも否めない。
確実にいえることは、LNGのスポットカーゴは奪い合いになり、ロシア産以外のLNGの価格は上昇することになること、脱炭素が加速するためそのための資源需要は増加すること、その太陽光やEVなどの必須資源はロシアと同盟を組む中国が供給元であることだろう。
そして、ロシアとの取引を継続している国々はロシア以外から調達するよりも割安な価格でエネルギーを確保できる可能性があることを示唆している。
誤解を恐れずにいえば、欧州のプランの中に原子力は含めるべきだったといえる。今既にそこにあるエネルギーであり、自国の判断で稼働が可能なためだ。
もちろん重大事故が発生した場合の影響は最も大きく深刻であるため、安直に再稼働がと言うわけにはいかないが、安全に稼働させるにはどうするか、ということを真剣に考えるべき時期に来たのではないだろうか。
【昨日のセクター別動向と本日の見通し】
◆原油
原油価格は上昇。米欧が協力してロシア産原油の禁輸に踏み切るとの報道を受けて買い戻しが入った。
今のところロシアの原油の50%が輸出されなくなったとした場合、原油価格は125~140ドルのレンジで取引されるとみているが、それはある程度時間を掛けて織り込んでおり、今このレンジに入った状態。
それでもまだ現物供給は続いているためこの程度で済んでいるが、さらに制裁が進んで本当に現物が取れなくなった場合、このレンジ以上に上昇する可能性は充分にありえる。
「現物がない」場合の上昇は、昨日のニッケル相場のスクイーズをみても明らかなように、「青天井」だ。
昨日Shellはロシアビジネスから撤退、スポット市場でもロシア産原油を購入しないことを決めた。これによりウラル原油の需給は緩和し、逆にBrentをはじめとするその他の原油需給がタイト化するため、両原油のスプレッドは弊社がデータを可能な期間で過去最大に拡大している。
このことは、制裁によって我々が通常目にしているBrentやWTIほどロシア原油価格が上がらず、「販売できている原油からの収入」も減少が見込まれることを示唆する。
ただ、仮に制裁があっても主に反西側諸国向けにロシア産原油が流通するため、実際の国際原油の需給バランスは単純な数字の計算通りタイト化するとは言い切れない。
本日もウクライナ情勢次第の状況が続き、高値維持の公算。今のところロシア産原油供給減少はある程度織り込んでいるが、徐々にこれが顕在化してじりじり水準が切り上がる展開か。
◆石炭・LNG・天然ガス
豪州石炭スワップ先物価格は再び上昇して420ドル台を維持。欧米の制裁強化とそれを受けた代替エネルギー確保の動きが強まる中、石炭調達圧力が強まったことが背景。
また、豪州北部の洪水の影響で石炭供給に影響が出るのではとの見方も価格を押し上げている。
仮に石炭やガスに制裁が及んだ場合、原発の稼働率を上げ、同時に石炭輸入を増加させる必要が出てくる。2020年実績ではロシアからの欧州の石炭輸入は50.2%に達する。
これを他地域に振り返る、というのであれば豪州炭や南ア炭、インドネシア炭価格の上昇は不可避である(ロシア炭が中国に流入し、それによる輸出市場需給緩和はありえるが恐らく影響は限定)。
欧州天然ガス価格は上昇下後下落し、214.5ユーロ/Gwhで引けた。EUが脱ロシアを目指してLNGヘのシフトを進め再生可能エネルギーも強化する方針を打ち出したことや、そもそも景気が悪くなる、あるいはこの価格では電力会社は「赤字を出しながら電力を供給する」ことになるためさすがに買い手控えが発生したとみられる。
恐らく、電力価格の上限撤廃などを行い、最終消費者に価格が転嫁できる状態にならなければ、電力自体が供給されなくなるという最悪の事態が想定される。もはや価格上昇は許容する必要がある。
仮にロシアから欧州ヘのガスが止まった場合、独ベアボック外相は「数週間でガスが枯渇し、電気が止まる」と発言しており、それが実際に起きた場合欧州経済は壊滅的な被害を受けることはほぼ間違いが無い(ガス供給停止やロシア産ガスの調達先変更による影響は昨日のトピックスを参照)。
TTFの期間構造は昨日の反動でほぼ全ゾーン小幅に低下している。
なお、欧州に供給できない分を中国にという報道もあるが、リンク先の記事の通りガス田の位置、パイプラインの配置を考えると欧州分を中国に回す、ということは現時点ではほぼ不可能で、ロシア側も制裁を科されなければ供給は継続すると見られる。
https://oilgas-info.jogmec.go.jp/info_reports/1007679/1007948.html
仏独の原発の稼働率はフランスが上昇したが、ドイツは再び低下している。
米国天然ガス価格は気温の上昇見通しで下落した。しかし、米国もガス・LNGのフローが変化する可能性が高く、中期的な見通しは強気である。
極東のガス価格であるJKMは下落したがそれでも40ドルを維持した。期近の下落幅が大きかった。昨日の反動と見られる。
今後は欧州とカーゴの取り合いが発生することは必定であり、まずはターム契約で増加可能な分を増加させることになるが、スポットカーゴの調達は今後、ロシア・ウクライナ情勢次第でさらに厳しくなることが想定される。
2月27日時点の発電用LNG在庫は180万トン(前年同月末230万トン、過去5年平均万トン)と過去5年の最低である166万トンは上回っているが水準は低く、今後、欧州向けのLNG融通が増えるとみられることから、気温低下(ないしは夏場の上昇)があった場合充分な在庫ではなくなった。
2月21日~27日のLNGトレードだが、取引量は+20%の850万トンとなった。スポット取引のシェアは30%と先週の22%から上昇。東南アジア、北欧(英国、オランダ)向けのフローが増加した。
長期契約は韓国、中国の調達が増加。ロシアのヤマルLNGプロジェクトとサハリンプロジェクトからの輸出は増加。ヤマルの稼働率は113%に達した。
今後、ロシアからの供給減少の可能性が高いため、米国から欧州へのカーゴ融通が加速すると見られる。ただ、あと1ヵ月程度で冬場が終了するため、状況はやや厳しさが緩和する期待はあるが、やはり状況は厳しいと言わざるを得ない。
本日もロシアからの石炭供給懸念と豪州炭の供給懸念、豪州の調達熱源変更観測を材料に、海上輸送石炭価格は高値維持の公算。
天然ガス価格はロシアに対する制裁強化がガス供給に影響することは不可避の情勢であり、ロシアも対抗措置をちらつかせていることからスポットカーゴ需要の増加で天然ガス・LNG価格は高値維持の公算。
※LNGの数量とガスベースの換算レートは、注記がなければBP提示の 1トン=1,360立方メートルを用いている。
◆非鉄金属
LME非鉄金属価格はニッケルが急騰、10万ドルをタッチして下落したがLMEが取引を呈しした。1980年代の「スズ危機」以来の取引停止である。
背景には青山鉄鋼集団はヘッジ目的で売りポジションを保有していたが、ロシアからの供給不安を背景とするニッケル供給途絶懸念を背景にした価格高騰でマージンコールが発生、支払いができなくなった。
通常、生産者であれば現物を引き渡せばそれで大丈夫なのだが、青山集団はこのコラムでも時々コメントしているように保有している在庫はフェロニッケルであり、LMEの受渡適格品ではない。
結果、ポジションを損失覚悟で買い戻しせざるを得なくなったが、マージンコールを支払えないという情報が前日から流れていたので、買い戻しの際に売り方が手を引いたとみられ、典型的なスクイーズとなった。
LMEはこれを受けて3月8日グリニッジ標準時間00:00以降の取引を「キャンセル」扱いすることを決めた。LMEは3月11日までに取引を再開すると予想していない、としており取引の再開にはかなり時間が掛りそうである。今回の出来事は非鉄金属市場の歴史に名前が残るイベントになるだろう。
その他の金属はスズが上昇、鉛と亜鉛が上昇したが、アルミ・銅は景気への懸念から下落した。両金属は非鉄金属の中でも景気への影響が強い(流動性の問題から、投機的な取引の対象になりやすい)。
スズは半導体向けの需要が堅調で在庫減少も背景に上昇している。亜鉛は恐らくエネルギー価格の上昇が、鉛はロシア問題を受けた鉛バッテリーを含む蓄電需要の思惑が価格を押し上げたと考えられる。
本日も、供給不安と景気の先行き懸念の綱引きで高値推移になると予想される。なお、在庫水準で「ギリギリ」説明が可能な水準はアルミが3,400ドル程度、ニッケルは25,300ドル程度。
本日はまずニッケルについては上述の通り下落すると見るが、昨日下落している非鉄金属には割安感(といっていいか分からないが)から買いが入るだろう。ただし供給制限が強まることは明確であり、やはり高値は維持すると見ている。
◆鉄鋼・鉄鋼原料
中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは高値を維持、豪州原料炭スワップ先物は大幅に上昇、大連原料炭価格は小幅に上昇、上海鉄鋼製品先物は小幅に下落した。
ロシア・ウクライナの戦争によるウクライナの港湾停止により、同国からの鉄鉱石供給減少懸念が強まっていることが鉄鉱石価格を高値に維持している。
また、豪州の洪水、ロシア炭の供給停止観測が原料炭市場の需給をタイト化させており高値維持となった。
本日もウクライナ情勢・豪州の天候要因、中国の製造業稼働回復観測を背景とする原料炭・鉄鉱石供給懸念から鉄鋼原料価格は上昇を予想、鉄鋼製品価格も上昇すると予想。
◆貴金属
昨日の貴金属セクターは大幅に上昇した。金はゼレンスキー大統領がNATO加盟を要求しないとの報道を受けて停戦合意への期待が若干高まりリスク選好が回復する局面があったが、米英のロシア制裁を受けて期待インフレ率が上昇したことで金基準価格は1,686ドル(前日比+1ドル)と高値維持、リスク・プレミアムが366ドル(+53ドル)と上昇したため、2,000ドルを上回った。
銀は金価格の上昇を受けて大幅に上昇、PGMはロシアへの制裁強化観測を受けて特にパラジウムの上昇が顕著となった。
パラジウムはガソリン自動車の排ガス触媒に使われるためこの供給が停止することは自動車販売に影響する。また、パラジウムは半導体の配線や電極のメッキに用いられるため、このコスト上昇や供給減少は一部の半導体の供給に影響を与える可能性があるため、要注意だ。
本日も金価格がロシア・ウクライナ情勢を受けて、実質金利面、リスク回避面(クレジット・クランチも意識される状況)で高値を維持する見込みであること、工業品であるパラジウムなどの供給が制限される可能性があることから高値維持の公算。
◆穀物
シカゴ穀物市場はトウモロコシ・大豆が上昇、小麦が暴落した。
小麦価格の下落はさすがにここまで上昇したこともあり、生産者のヘッジ売りが入ったことが価格を押し下げた。トウモロコシ価格はロシア情勢不安を受けたトウモロコシ輸出の減少観測が価格を押し上げた。
大豆価格は上昇。ロシア・ウクライナからの植物油供給減少観測や、EUの脱炭素加速にともなうバイオ燃料需要の増加観測が強まっていることが背景。なお、南米の降雨による増産期待をロシア・ウクライナ情勢不安が上回っている状況。
今後も、ロシア・ウクライナ情勢不安が特にトウモロコシと小麦の供給懸念を強めるため、高値維持の公算。
なお、小麦に関しては港の閉鎖や、今後、西側諸国向けに小麦やトウモロコシが長期にわたって供給されない、というリスクに加え、戦争が長期化した場合黒海周辺地域での小麦生産ができなくなるリスクを想定する必要が出てきた。
※中長期見通しは個別セクターのコラムをご参照ください。
【マクロ見通しのリスクシナリオ】
・ロシア・ウクライナの衝突の影響が長期化し、欧州を中心に景気が減速する場合。
また、ロシアに対する制裁がロシアが主要生産地である商品の供給を制限し、価格を押し上げ、景気を悪化させるリスク(価格下落要因)。
なお、今回の戦争の後、ロシアがソ連復活を目指してジョージアやモルドバに侵攻するリスクや、今回の対応如何では中国が台湾を武力で早期に併合する可能性を高めることになる。
・ロシア国債のデフォルトや、ロシアからのビジネス撤退が企業や信用市場に大きな影響を与え、クレジットクランチ(信用収縮)が発生する場合。
・米国経済が正常化する中で金融引き締めが加速、経済をオーバーキルしてしまった場合(価格下落要因)。
・コロナウイルスの感染再拡大(オミクロン株の影響)によるロックダウンが景気循環系商品の需要を減じる場合(価格下落要因)。
・米中対立激化による、新冷戦構造が発現しブロック経済圏が発生して貿易活動が鈍化する場合(場合によると武力衝突も)。
むしろこの可能性は高待っており、リスクシナリオではなくなりつつある。
・米中対立が、自国内の混乱などを理由に急に「手打ち」となった場合(景気のポジティブリスク・中国がさらに力を付け、将来米中が武力衝突するリスク)。
・発電燃料供給不足による工場稼働停止や消費低迷で景気が減速する場合(リスク資産価格の下落要因)。
・中国不動産問題の沈静化に時間が掛り、信用収縮に繋がる場合(工業金属などの景気循環系商品を筆頭に、リスク資産価格の下落要因)。
・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(これは人口動態を考えると、現実のリスクとなるのは2030年以降か)。
・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。
逆に脱炭素に向けたインフラ投資の加速で資源価格が急上昇、金融緩和マネーが大量に市場に滞留する中でハイパーインフレとなるリスク。
・来年の中間選挙を控えて、バイデン大統領が国内の支持を得られない場合。議席確保のためのなりふり構わない政策がインフレをもたらすリスク(景気加熱後に急減速する要因)。
・独政権交代後の国内求心力が低下、域内最大経済国のドイツ経済が減速する場合、また、EUの指導力が低下し域内経済が停滞する場合(景気減速要因)。
・次の成長ドライバーとして期待されるインド経済が、期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。
2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2023~2024年頃。
・アフガン情勢の混乱が域内経済に混乱(大量の難民発生、コロナの感染拡大が欧州圏にもたらされるなど)をもたらし、米中対立を先鋭化させる場合(景気の減速要因)。
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