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米雇用統計を受けて軟調
  • MRA商品市場レポート

2022年1月10日 第2108号(簡易版)商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「米雇用統計を受けて軟調」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品価格は総じて軟調な推移となった。注目の米雇用統計は雇用者数の増加ペースが鈍化したものの20万人オーダーの雇用者数の増加が確認され、失業率は3.9%(市場予想4.1%、前月4.2%)と3%台に低下、労働参加率も61.9%(前月61.9%)と高い水準を維持しており、米市場が完全雇用に近い状態になっていることを意識させる内容だった。

また、平均賃金の前年比は+4.7%(市場予想+4.2%、前月+5.1%)と鈍化したものの市場予想を上回った。

結局、米国の労働市場は雇用のミスマッチがありつつも回復基調が持続しており、失業率の低下と共に消費者物価指数や賃金が上昇するフィリップス曲線が回復していることを示している。

長い間、IT革命やそれに伴う生産性の向上、中国が世界の工場となりデフレを輸出していた時代が終了した可能性も否定できなくなってきた。

基本、コロナの影響による供給制限が物価上昇をもたらしている、という解釈で間違いはないと思われるが、「そうでは無かった場合」を想定、備えるべき時期にさしかかっていると言える。

この統計を受けて米金融引き締め観測が強まり、多くのリスク資産価格が下落することとなった。しかし、供給面が意識されていることもあってエネルギーや非鉄金属の価格水準は高いままだ。

先進各国の中央銀行はインフレにはなれていない。我々日本は特にそうだ。この状態でのインフレ進行、資源価格の上昇、同時に金融引き締めを背景とする株価の調整、景気の減速が発生しかねない。

また、デフレの時は通貨の価値が上がることもあって、暴動が起きることはそれほど多くないが、インフレの場合は通貨価値が下落するため、特に新興諸国で暴動が起きやすくなる。

カザフスタンの暴動はエネルギー価格の高騰に不満を持った住民のデモが暴徒化したもの(一部報道ではロシアが関与を強めるために、暴動を煽った、との陰謀論も指摘されている)だが、背景はエネルギー価格や食品価格といった生活に必要な物資の価格が上昇していることが背景である。

このようなリスクは今後、各地で頻発する可能性は低くないと考えられる。


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