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年末に向け強まるリスク資産への下落圧力
  • MRA外国為替レポート

2021年12月20日号

◆先週の市場総括


先週はオミクロン株への警戒感と先進各国の中央銀行がそろって金融正常化スタンスを鮮明にしたことでリスク回避が強まり株価の上値は重かった。

イギリスでオミクロン株による感染者が死亡したと報じられ警戒感が高まり、また感染者数も欧州を中心に増加。米国でも警戒感が強まった。

注目のFOMCではテーパリング(量的緩和縮小)のペースを前回決定の2倍に加速することを決定し、来年3月には終わる予定。またメンバーの政策金利予想やパウエル議長の発言から、初回利上げは来年6月に実施され、来年は3回実施される可能性が極めて高くなった。

イギリス中銀は利上げを決定。ECBは量的緩和縮小の開始を決定し2023年前半には終了する見込みに。感染拡大により一時的に緩和強化するなどハト派スタンスに振れると予想されていたが、逆にタカ派スタンスに。

米国株はFOMCを想定通りの内容で通過し堅調となったが、週末にかけてあらためて下落。日経平均も29,000円に乗せたが反落し28,500円台で引け。

為替市場では週初からドルが堅調。ドル円相場は114円台に上昇。ユーロドル相場は1.12台前半に下落した。しかしその後ECBのタカ派スタンスにユーロが反発しユーロドル相場は1.13台前半、ユーロ円相場は一時129円をつけた。

ただ株安・リスク回避が強まるなか円買い戻しが強まり、影響を受けやすいクロス円相場が下落。ユーロは急速に下落して127円80銭に反落した。ドル円相場は一時113円10銭に下落したが、FRBのタカ派スタンスが支えとなり113円70銭近辺で取引を終えた。

月曜日の東京市場では日経平均が28,700円近辺で大幅高寄り。前週末の米国株が堅調だったことからグロース株中心に上昇した。ただなおオミクロン株の不透明感を消化しきれず、各国の金融政策決定会合を控えていることから反転、じり安となり上昇幅を縮めた。引けは前週末比+202円高の28,640円。

朝方発表された日銀短観は製造業の業況判断改善は極めて小幅。一方、非製造業は感染鎮静化による経済正常化を受けて改善幅がやや大きかった。

ドル円相場は早朝に113円30銭で始まり、すぐに上昇して50銭~60銭でもみ合い。欧州市場に入ると113円70銭に上昇した。一方、ユーロは軟調。ユーロ円相場は128円20銭で始まり40銭台に上昇。ただその後はじり安となり128円10銭に下落して欧州市場では10銭~30銭で上下。

ユーロドル相場は1.1320で始まり軟調。欧州市場に入る頃には1.1260へ下落した。

米国株は主要3指数がそろって反落。英国でオミクロン株による死者が確認され、米国でも感染再拡大の兆しがみられ、感染拡大への警戒感で景気敏感株中心に下落。FOMC前で高値圏から一旦利益確定売りが優勢となりハイテク株も下落した。

NYダウは▲320ドル安の35,650ドル、ナスダックは▲217ドル安の15,413ドル。VIX指数は+1.62ポイント上昇して20.31。

米10年債利回りは低下して1.419%。2年債利回りは0.637%。ドル円相場は113円40銭に下落したが、引けにかけて持ち直し113円60銭近辺で取引を終えた。

ユーロドル相場は1.13ちょうどに反発した後、1.1270~1.13ちょうどで上下。引けは1.1280近辺。ユーロ円相場は128円10銭~20銭で方向感なく上下動。

火曜日の東京市場では日経平均は反落。オミクロン株への警戒感から前日の欧米株が下落した流れを受けて売り先行。寄付き後は終始軟調で後場には28,350円近辺に下落し下げ幅は一時▲300円を超えた。

景気回復・経済正常化関連株が弱い。FOMCを前に様子見姿勢も強かった。岸田首相が自社株買い規制に言及したことで売られる場面もあった。引け際には下げ止まりやや持ち直して終値は前日比▲207円安の28,432円。

為替市場は総じて動意薄。ドル円相場は113円60銭を中心にもみ合い。ユーロ円相場は128円10銭~20銭で推移。ユーロドル相場は1.1280で始まりやや軟調で夕刻は1.1270。

欧州市場に入るとドルが下落、ユーロが堅調。ドル円相場は113円40銭台へ。ユーロドル相場は1.1320へ上昇。ユーロ円相場は128円60銭に上昇。その後、米国市場ではドルが反発。

発表された生産者物価指数(PPI、11月)が予想を上回る上昇を示したことで、量的緩和縮小(テーパリング)の加速・利上げ前倒し観測が広がり、米長期金利が上昇。ドルを押し上げた。

PPIは前月比が前月+0.6%から+0.8%に加速。前年同月比も+8.6%から+9.6%に大きく上昇率が加速した。

米10年債利回りは一時1.47%に上昇した後1.444%。2年債利回りは0.659%に上昇。

ドル円相場は113円70銭台に上昇。ユーロドル相場は1.1250台へ下落。ユーロ円相場は128円ちょうど近辺に下落した。米国株は主要3指数がそろって続落。

オミクロン株への警戒が残るなかPPIが強い数字となり金利先高感が強まったことが重石。

ハイテク株中心に売りが広がった。ナスダックは前日比▲175ドル安の15,237ドル。NYダウは▲106ドル安の35,544ドル。VIX指数は+1.58ポイント上昇して21.89。

水曜日の東京市場では日経平均が小幅反発。米国株の下落を受けて28,350円近辺で小幅安寄りしたものの米国株に比べた割安感から下値も押し目買いで固く持ち直し。28,500円台を一時回復。

ただFOMCの結果を前に様子見姿勢も強く、やや反落して28,400円~450円でもみ合いとなった。引けは前日比+27円高の28,459円。

為替市場はFOMC結果待ちで動意薄。ドル円相場は113円70銭台でもみ合い。ユーロややや強含み。ユーロドル相場は1.1250~60でもみ合い夕刻には1.1270中心。ユーロ円相場は128円ちょうど近辺で始まり夕刻は128円20銭~30銭。

発表された中国の主要経済指標(11月)は、小売売上高が前年同月比+3.9%と前月+4.9%から鈍化。半導体不足による自動車生産・供給不足が影響した。

鉱工業生産は同+3.8%と前月+3.5%から伸びが加速したが予想通り。固定資産投資は+6.1%から+5.2%へ減速した。

欧州市場から米国市場にかけてドルはFOMCを先取りするかたちで堅調。ドル円相場は113円80銭~90銭で推移。ユーロドル相場はじり安となり1.1250~60に押し戻された。ユーロ円相場は128円ちょうど~10銭。

注目のFOMCの結果は予想通り。資産購入額の縮小ペースは毎月150億ドルから300億ドルに倍増。量的緩和縮小の終了時期は11月の会合で年央とされていたが、今回の決定で3月半ばと前倒しされた。

声明文からインフレは一時的との表現は削除された。パウエル議長は会見で、政策金利は最大雇用に達するまで維持する、としつつも、メンバー全員が来年には達成できると予測している、とし、テーパリング終了から利上げまで長い時間は生じない、として年央にも利上げに踏み切ることを示唆した。

ただバランスシート縮小については慎重な構え。

公表されたメンバーによる予測では、政策金利は2022年に3回、中央値は0.875%(0.75~1.00%)、23年に3回、同1.625%(1.50~1.75%)、24年に2回、同2.125%(2.00~2.25%)、と示された。

ほぼ予想通りの内容に長期金利は落ち着いた動き。米10年債利回りは1.44%から1.48%に上昇したが反落して1.458%。2年債利回りは小幅上昇して0.665%。

ドルは発表後に上昇したが反落。ドル円相場は114円20銭台に上昇した後、引けは114円ちょうど近辺。ユーロドル相場は1.1220台に下落したが反発して1.1290台で引け。ユーロ円相場は米国株が堅調に推移したこと、リスク選好に支えられて上昇し128円80銭。

米国株は主要3指数がそろって反発。NYダウは前日比+383ドル高の35,927ドル、ナスダックは+327ドル高の15,565ドル。米長期金利が落ち着いた動きとなり、当面の懸念材料を通過したことで大きく上昇した。VIX指数は▲2.60ポイント低下して19.29。

木曜日の東京市場では日経平均が大幅高。FOMCは想定通りの内容となり、米長期金利は落ち着いた動き。イベントを無事に通過したことで米国株がハイテク株中心に大幅高となったことで、日本株にも強気心理が回復した。

ドル円相場は114円ちょうど近辺で始まり堅調で114円10銭~20銭でもみ合い。ユーロドル相場は128円80銭近辺でもみ合いの後129円10銭に上昇。ユーロドル相場は1.1290近辺でもみ合い夕刻には1.1320に小幅上昇した。

この日は欧州ほか各国で金融政策決定会合が相次いだ。ノルウェー中銀が政策金利を0.25%から0.50%へ利上げ。イギリス中銀は市場の据え置き予想に反し0.10%から0.25%に引き上げることを決定した。

オミクロン株への脅威が残るなか、6%にも達する見通しのインフレが賃金上昇にも及ぶ警戒感を優先し苦渋の選択となった。

注目のECB理事会では政策変更は見送られたが、感染拡大で一時的な緩和強化などハト派に傾く可能性も取り沙汰されるなか、結果は想定外のタカ派となった。

現状のパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)を3月に終了することを決定。その後は既存の購入プログラム(APP)を徐々に減額することを明らかにした。

これによれば2023年前半には購入終了となり、半ば以降には利上げが可能な状況となる。

これを受けてユーロは上昇。ユーロドル相場は1.1290に下落していたが1.1360へ、ユーロ円相場は128円90銭から129円60銭へ急騰した。

米国株はハイテク株中心に下落。あらためてFRBやその他中銀のタカ派スタンスが嫌気され、前日の売り方の買い戻しが一服した後で軟調となった。ナスダックは▲385ドル安の15,180ドル。

NYダウは午前中に+260ドル上昇していたが、ハイテク株の下落に連れて反落し▲29ドル安の35,897ドル。VIX指数は+1.28ポイント上昇して20.57。

株安・リスク回避で米長期債は買われ金利は低下。10年債利回りは1.424%、2年債利回りは0.615%に。円は一転して全面高。ユーロ円相場は128円50銭へ1円超急落。引けはやや戻して128円80銭。

ドル円相場も大きく下落した後113円60銭~70銭でもみ合いとなり引けた。ユーロドル相場は1.13ちょうど近辺に下落した後じり高となり1.1330。

米国の経済指標は、11月の住宅着工件数が季節調整済み年率換算で1,679千戸と前月1,520千戸から大幅増。フィラデルフィア連銀製造業景気指数(12月)は39.0から15.4へ大きく低下。

鉱工業生産(11月)は前月比+0.5%と前月+1.6%から伸びは鈍化。設備稼働率は76.4%から76.8%に上昇して予想通り。

PMI景況感指数(12月)は欧州ではサービス業が感染拡大の影響で悪化。米国では製造業が58.3から57.8へ小幅悪化、サービス業が58.0から57.5へ悪化したが悪化幅は欧州より小さかった。

新興国ではトルコ中銀が逆行するように予想通り利下げを実施。政策金利は15.0%から14.0%へ。一方、メキシコ中銀は市場の0.25%利上げを上回る0.50%の利上げを実施し政策金利は5.0%から5.5%に。

金曜日の東京市場では日経平均が大幅反落。前日の上昇の大半を失った。FRBに続きイギリス中銀、ECBが金融正常化への動きをみせたことで米国株がハイテク株を中心に大幅安となったことが投資家心理を悪化させた。

また日銀も金融政策決定会合で大企業向けのコロナ対策資金支援を縮小することを決定したことも嫌気された。

28,800円台前半で安寄りした後、後場には下げ足を速め、前日比▲520円安の28,545円で安値引け。ドル円相場は113円70銭で始まり80銭をつけた後反落して50銭~60銭でもみ合い。

ユーロ円相場は128円80銭で始まり90銭をつけた後50銭に小幅安。ユーロドル相場は1.1330で始まり1.1350へ上昇。その後は方向感定まらず上下。

発表されたドイツIFO景況感指数(12月)は前月の96.5から94.7に悪化した。欧州時間に入るとユーロが下落。米国市場にかけて大幅安となった。

リスク回避による円買い戻しがクロス円相場中心に広がり、ユーロ円相場が大きく下げた。

ユーロ円相場は128円70銭近辺から米国市場引けには127円80銭近辺へほぼ1円下落。ユーロドル相場は1.1340から1.1240へ下落した。

ドル円相場はリスク回避の円買い戻しに押され一時113円10銭台に下落したがその後反発して113円70銭近辺でもみ合い取引を終えた。

米国株はNYダウが大幅下落。米・英・ユーロ圏で金融正常化の動きが鮮明となるなか、オミクロン株への警戒感もあり、景気敏感株が下落。NYダウは寄付きに大幅下落して前日比▲600ドルの下げ。一旦下げ止まり反発したが上値重く反落して安値引け。

リスク回避による資金流入で10年債利回りが1.412%に小幅低下。ハイテク株にはむしろ押し目買いが入り下落は限定的となった。

ナスダックは▲10ドル安の15,169ドル。VIX指数は+1.09ポイント上昇して21.62。

米2年債利回りは小幅上昇して0.646%。FRBウォーラー理事は、来年3月のFOMC会合で利上げも選択肢、利上げ後に速やかにバランスシートの縮小に着手することができる、と述べた。

◆今週の3つの注目ポイント


1.米国の経済指標

引き続き景気に前向きな数字が確認されるか。

水曜日 中古住宅販売(11月、季節調整済み年率換算、予想654万件、前月634万件) 消費者信頼感指数(12月、予想110.7、前月109.5)

木曜日 米週間新規失業保険申請件数 個人所得・消費支出(11月、前月比、予想+0.5%・+0.5%、前月+0.5%・+1.3%) 消費支出物価指数(前年同月比、予想+5.7%、前月+5.0%、コア指数、同、予想+4.5%、前月+4.1%) 耐久財受注(11月、前月比、予想+2.0%、前月▲0.5%) 新築住宅販売(11月、季節調整済み年率換算、予想769千戸、前月745千戸)、

とくに個人消費支出、消費支出物価指数には注目が集まろう。

2.日銀金融政策決定会合議事要旨、消費者物価指数

一連の中央銀行による政策決定会合で相次いで金融正常化のスタンスが明確となるなか、日銀金融政策決定会合ではコロナ対応としての大企業向け資金繰り支援の縮小が決定された。

なおも中小企業に対する支援は継続。かつ金融正常化や量的緩和縮小を意味するわけではないとされているが、どのようなニュアンスの議論か。あらためて先進各国のなかで最もハト派スタンスであることが明らかとなるか。

また金曜日には消費者物価指数(11月)が発表される。総合指数は前年同月比で前月の+0.1%から+0.5%への上昇予想。ただ食料品とエネルギー価格を除くベースでは▲0.7%と前月と同様大幅なマイナスが見込まれている。

欧米に比べてほとんどインフレ懸念が生じておらず、日銀がハト派姿勢を維持する根拠。

3.クリスマス休暇

今週は米国市場が木曜日に債券市場が半日の短縮取引。金曜日が株・債券ともに休場。次第に市場参加者が減少し、売買高低迷による流動性低下が想定される。そうしたなか、リスクポジションの圧縮が強まれば荒れ相場となる可能性があり注意を要する。

◆今週のMRA's Eye


年末に向け強まるリスク資産への下落圧力

先週、リスク資産価格、リスクポジションにはさらに逆風が強まった。オミクロン株の感染は欧州を中心にグローバルに広がっている。

米国でも感染者数が増加。日本でも水際でなんとか食い止められているようだが、発見される感染者数が日々増加。国内での市中感染の可能性が日々高まるなか、感染者数は増加傾向にある。

欧州では行動規制強化の動きもみられ景気拡大が鈍化するリスクが懸念される。ファンダメンタルズ面、企業業績面から株価にはマイナスとなり、リスク選好全般が弱まりやすい。

景気動向に懸念が高まるなか、一方で各国中央銀行は金融正常化への舵切りを一段と明確にしている。FRBは量的緩和縮小ペースを11月会合の決定から2倍に加速。来年の3月には資産購入を停止することとなった。

さらにメンバーの予測から6月の利上げ開始の可能性が示唆され、来年は3回の利上げが実施される見通しが示された。

さらにタカ派の意見もみられる。ウォーラー理事は週末に来年3月に利上げ実施を議論することも選択肢と述べ、また利上げ開始後は速やかにバランスシートの縮小を開始すべきとも述べた。

FOMCメンバーのなかにはかなりタカ派の意見が強まっているようだ。

感染拡大が深刻化するイギリスでもBOEが利上げに踏み切った。足元の景気懸念よりも中長期的なインフレへの対処を優先させた。

そしてECBも資産購入の減少を明確に決定した。コロナ対応として導入した緊急資産購入プログラムを徐々に縮小して来年3月で終了。さらに引き続いてベースで実施している資産購入もその後引き続き減額する。

その延長線上でみれば2023年前半には資産購入額はゼロとなる見込みだ。

欧州域内での感染拡大、景気への下押し懸念で一時的に緩和強化、ハト派に傾くとみられただけに、逆に金融正常化に一歩前進したことは市場にとって予想外だ。

そのほかノルウェーでも利上げが実施され政策金利は0.25%から0.50%へ。メキシコ中銀は5.0%から5.5%へ、市場の予想を上回る幅で利上げを実施した。

さらに日銀もコロナ対応の資金支援に限っては大企業向けを縮小することを決定した。金融環境は緩和気味で株価も堅調なことから、もはやコロナ有事の大企業向け資金支援は必要ないとの判断だ。

コロナ禍以降は、感染拡大による景気懸念でも、中央銀行が緩和強化することでリスク回避は相殺され、あるいはさらに将来の景気回復期待もあいまって、金融相場によりリスク選好が強化された。

しかし現状では、強まるインフレ圧力のもと、感染拡大でも金融当局は過剰な金融緩和をむしろ縮小するスタンスだ。

景気動向が急回復局面から巡航速度へ軟着陸を探るなか、金融政策による下支えが縮小することは、いずれもリスク選好にとってマイナス要因。株価が調整し、一時的にせよリスク回避が強まることは否めない。

またクリスマス休暇に向けて米国市場が休場となり、また市場参加者が減少して市場の流動性が低下することは懸念要因だ。リスクの引き受け手が少なくなり、リスクポジションの圧縮、手仕舞い、を円滑に行いにくくなる可能性がある。

結果的に、とくに今週は荒れ相場となりやすい。株価急落のリスクには留意を要するだろう。リスク資産全般には下落圧力がかかる。

為替市場でもそうした動きが反映されそうだ。再び投機ポジションの圧縮、手仕舞いが強まり、短期リスクが顕在化する可能性がある。為替相場は2通貨間の交換レートなので、手仕舞いによる影響はポジションがどのように傾いているか次第で異なる。

相対的に目立つのは円売りポジションでなおも円買い戻しによる円高への動きありそうだ。

ただ投機筋全般の動きを表象するシカゴIMMポジションは、最新の先週火曜日時点で円売り越しが53千枚と、一時の100千枚程度から半減している。

先週木曜日、金曜日に、リスク回避から円が全面高となった値動きを踏まえれば、かなりポジションが整理された可能性がある。此の先の短期円高リスクはさほど大きくないことも想定される。

一方、ドルについては、投機筋の動きとは別の要因が働こう。リスクポジションの圧縮はドルキャッシュへの資金回帰となる。

米国株からドルキャッシュないし米国債への資金移動ではドルへの影響は中立。ただ米国外の資産からの資金移動ではドル高となる。

米国債への資金流入は米長期金利の低下となるが、これは金融政策と別の要因であり、逆行するようなドル高がみられる可能性もある。ドル円相場は引き続き底固く、仮に円高に振れても一時的かつ軽微となりそうだ。

◆主要指標


【対円レート】
ドル :113.63(▲0.04)
ユーロ :127.83(▲0.95)
英ポンド :150.512(▲0.91)
豪ドル :81.012(▲0.67)
カナダドル :88.159(▲0.81)
スイスフラン :122.989(▲0.66)
ブラジルレアル :19.9663(▲0.02)
中国人民元 :17.793(▲0.07)
韓国ウォン(日本円=100) :9.631(+0.03)

【対ドルレート】
ユーロ :1.124(▲0.009)
英ポンド :1.3245(▲0.008)
豪ドル :0.7125(▲0.006)
カナダドル :1.2889(+0.011)
スイスフラン :0.9234(+0.004)
ブラジルレアル :5.6858(▲0.002)
中国人民元 :6.3754(+0.007)
韓国ウォン :1180.82(▲3.06)

【主要国政策金利】
米国 :0.25
ユーロ :0.00
日本 :0.00

【主要国長期金利】
米10年債 :1.40(▲0.01)
米2年債 :0.64(+0.02)
日本10年債利回り :0.05(+0.00)
日本2年債利回り :0.05(+0.00)
独10年債利回り :▲0.38(▲0.03)
独2年債利回り :▲0.72(▲0.03)

【主要株価指数・ビットコイン】
NY ダウ :35,365.44(▲532.20)
NASDAQ :15,169.68(▲10.75)
S&P500 :4,620.64(▲48.03)
日経平均株価 :28,545.68(▲520.64)
ドイツ DAX :15,531.69(▲104.71)
インド センセックス :57,011.74(▲889.40)
中国上海総合 :3,632.36(▲42.65)
ブラジル ボベスパ :107,200.60(▲1,125.70)
英国FT250 :22,780.38(+132.42)
ビットコイン :46873.03(▲1238.65)

【主要商品価格】
WTI :70.86(▲1.52)
Brent :73.52(▲1.50)
米ガソリン :212.17(▲5.61)
米灯油 :221.99(▲4.64)

金 :1798.11(▲1.24)
銀 :22.37(▲0.12)
プラチナ :935.80(▲4.50)
パラジウム :1788.72(+54.41)
銅 :9505.00(+10:15B)
アルミニウム :2711.00(+66:17C)
※貴金属はニューヨーククローズ。ベースメタルは3ヵ月公式セトル価格。
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

シカゴ大豆 :1285.25(+8.00)
シカゴ とうもろこし :593.25(+2.00)
シカゴ小麦 :775.00(+4.50)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。
※ 「休場」となっているものは、取引所が休場ないしはデータ更新時点で最新データを取得できなかった場合を指します。