CONTENTSコンテンツ

FRB理事のタカ派発言で軒並み下落
  • MRA商品市場レポート

2021年12月20日 第2099号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「FRB理事のタカ派発言で軒並み下落」

【昨日の市場動向総括】

週末の商品価格は総じて下落した。米FRBのウォーラー理事が3月利上げの可能性を示唆したことで、FRBがよりタカ派に転じるとの見方が強まったことが実質金利の上昇やドル高、株安などのドル建てリスク資産価格にとってはマイナスな材料が多数顕在化したため。

その影響もあり、週末に上昇した商品は自国通貨建て商品が主体で、次いで非景気循環・非インフレ系資産(穀物など)に限定されている。

また、米国がロシアに対する制裁を示唆しており、EUにも協力を呼びかけているが、そのことも開戦リスクを意識させるためリスク資産価格の下落要因となったようだ。

【本日の見通し】

週明け月曜日はよりタカ派に転じたとみられるFRBのスタンスを受けて、ドル高や長期金利高(というよりは原油価格下落による実質金利上昇か)を受けて総じて軟調な推移になると考える。

また、ロシア・ウクライナ情勢は全く予断を許さない状況であり、仮に開戦、ということになれば多くのリスク資産が売られ、ロシアが供給の多くを担っているガス、石油、石炭、PGM、ニッケルなどの価格は上昇することが予想される。

ロシアは今回の件は安全保障に関わる妥協案を欧米に提出、火消しに回っているとみていたが、その妥協案の内容を見るとNATOの東欧での活動を制限することを要求しており、ウクライナのみならず、バルト三国も含まれている。

こうなると、NATOに入るか入らないかの選択権をロシアが有することになり、西側諸国は到底飲める条件ではない。

となると、6割方発生しないと思っていた「見せかけ」のロシアの軍事侵攻は、その可能性が限りなく5割に近づいてきているとみる。米国は早ければ2022年早々に軍事行動が起きると予想している。

こうなると核兵器を各々保有する「米露の開戦」となるため、それでもやはり軍事衝突はないと考えるのが妥当。しかし「どうせ攻撃できないだろう」と高をくくったプーチンが電撃的に行動を起こす可能性は否定できない。

この場合、「力による現状変更は認められるのか」という話になり、中国が台湾や尖閣諸島に侵攻する可能性も高まることになるため要注意だ(オリンピックや習近平が3期を目指すため、それでも当面は軍事行動はないとみているが、軍事行動が起きないその保証はない)。

「備え無きを攻め、その不意に出ず(孫子)」

【昨日のトピックス】

週末ではないが木曜日に発表された日米欧のPMIは減速感が強まる内容だった。

非鉄金属や中国の景況感に影響を及ぼしやすい欧州の製造業PMIは、ユーロ圏が58.0(市場予想 57.8、前月改定 58.4)、ドイツが57.9(56.9、57.4)とユーロ圏全体では減速感が強まったが、ドイツは市場予想、前月共に上回っている。

しかし、オミクロン株の影響を強く受け、かつ、ロシアからのガス供給がウクライナ問題の影響もあて厳しい状況に陥ってるドイツの製造業の景況感が今後悪化する可能性は高い。

米国の製造業PMIも57.8(市場予想58.5、58.3)と減速感が強まっている。雇用情勢は回復しているもののやはりインフレに伴う価格上昇が影響していると見られ、フィラデルフィア連銀製造業景況指数も15.4(前月39.0)と低下しており、新規受注も13.7(47.4)と減速している。

仕入遅延指数も低下(35.7→31.4)、これに伴い仕入価格も急低下(80.0→66.1)しており、雇用情勢の回復により供給が回復して需給が緩和を始めた感が有る。

しかし、いずれの地域も全体として閾値である50を上回っており、現在の世界景気はまだ好調だ。とは言え一時的な調整圧力が強まっているのは事実であり、徐々に景気循環系商品価格の下押し圧力は強まることが想定される。

一方、いずれの地区もサービス業の景況感の悪化がロックダウンの影響などでじわりと広がっていることは、さらなる下押しリスクを高めることになる。

この状況で米国は早期利上げに動く可能性が指摘されており、一時的なさらなる下振れリスクを想定しておく時期にさしかかっていると言える。

ただ、来年は景気刺激に動く国が多く、恐らくコロナの影響も緩和するため「仮初めの価格下落」になると見ている。

【昨日のセクター別動向と本日の見通し】

◆原油

原油価格は総じて軟調な推移となった。前日に発表された各国の製造業PMIが概ね減速していることから需要面の減速が意識されたほか、FRBのウォーラー理事が3月利上げの可能性を指摘したため、ドルが断続的に上昇したことが価格を下押しした。

しかし、チャートの節目である200日移動平均線を割り込まずに引けており、引き続きOPECプラスの増産見送りやイラン情勢ヘの緊張からの供給逼迫が価格を支えているようだ。

週明け月曜日は目立った手がかり材料に乏しく、引き続き100日移動平均線と200日移動平均線の2つのチャートポイントでもみ合うものと予想する。

◆石炭・LNG・天然ガス

豪州石炭スワップ先物価格は横這い。新規の手がかり材料に乏しい中,高値を維持した。

中国の石炭輸送の指標の1つであるバルチック海運指数は昨日も続落している。

欧州天然ガス価格は下落後上昇。ロシアが17日のポーランド経由のパイプラインの30%を予約したことで欧州向けの供給が回復するとの期待が高まったことが価格を下押ししたものの、当初予想よりも寒い期間が短くなるものの厳冬予想であること、ウクライナ情勢を巡り、米国がEUに対してロシアのエネルギー企業向けの制裁を打診しており、そうなればさらにガス供給への懸念が強まること、から買い戻しが優勢となった。

ロシアのガス供給再開は場合によると2022年早々に行われる可能性が指摘され始めた軍事侵攻を控えた、「駆け込み輸出」の可能性も排除できない。

JKMは小幅に水準を切下げたが、それでも40ドル台は維持しており、2022年の天然ガス価格は年後半が腕に30ドルに迫る展開となっている。

ただし、スエズ以東・以西ともタンカーレートが大幅に低下している。このことはある程度調達に目処が立った可能性があることを示唆しているが、現在の欧州の状況を勘案すると、調達需要が減少したと考えるのは早計だろう。

2021年12月6日~12月12日のLNG取引は前週比▲9%の770万トン(前週+17%の840万トン)となった。スポット調達のシェアは29%(29%)と横這い。

日本、韓国、中国、台湾のターム契約による調達が減少した、スポットの比率は高く冬場に向けた輸入需要は旺盛。

米天然ガスは前日の天然ガス統計が若干強気な内容だったものの、気温上昇予想を背景に水準を切下げる動きとなった。欧米・米アジアのアービトラージの機会が広がっているが、タンカーレートが高値にあることによる経済性や、カーゴ自体が手配できない可能性があり、米国天然ガス価格は低迷が続いている。

週明け月曜日も石炭価格は北アジアの気温低下と冬場に向けた供給懸念から高値維持。

天然ガス価格はロシアの供給面での状況緩和が期待されるものの、ウクライナ情勢に進捗が見られないことから、高値維持の公算。

なお、実際に開戦となればガス価格は上昇することになるだろう。

◆非鉄金属

LME非鉄金属価格は総じて下落した。米FRBウォーラー理事が早期利上げを示唆したことで株価が下落、ドル指数も上昇したことが材料となり、手仕舞い売り圧力が強まった。

ただ、LME指定倉庫在庫の減少が確認されているため下げ幅は総じて限定されたとの印象である。また、欧州、中国のエネルギー問題が供給面の重石となっている。

中国の発電量を見ると、11月は前年比+1.9%の6,540億kwhと前月の+4.9%、6,390kwh唐は増加しているが前年比較での伸び率は鈍化している。一方で電力消費は前年比+3.9%の6,718kwh(前月+7.0%の6,603kwh)と伸びは鈍化しているが水準は発電量を上回っている。

同時同量の原則があるため両者は同じ数値であるべきだが、統計の集計方法によるものと考えられる。しかし、需給は寄りタイトであることは間違いがなくまだ本格的に電力依存の高い精錬品の生産が回復している感じはない。

同時に発表された中国の非鉄金属生産は概ね回復しているが、アルミの生産はまだ過去5年の最高水準を上回るには至っておらず(ニッケルは直近の生産統計の発表なし)、アルミ、ニッケルは金曜日は上昇している。

これは中国の問題、需要の問題というよりはウクリアナ問題を受けた米国のロシアに対する制裁への懸念が影響したと考える方が妥当だろう。早ければ2022年早々に軍事侵攻が行われる、との見方も広がっており、その場合はアルミ・ニッケルの価格はさらに上昇することになるだろう(ただしリスク要因との位置づけ)。

週明け月曜日は、目立った手がかり材料がクリスマスに向けて乏しくなるなか、米金融政策がよりタカ派に転じるとの見方から調整売りが続くと考える。200日移動平均線や50日移動平均線がサポートラインとなっている金属が多いため、この水準が目処となろう。

流動性が高い3ヵ月先渡し価格のサポートラインは以下の通り。なお、銅は主要なチャートポイントを下抜けしており、下値の目処がない。強いて言えば12月15日時点の安値が目処か。

また、ニッケル・錫に関してはロシアの特殊要因があるため、むしろアップサイドのリスクを意識する必要。ニッケルは50日移動平均線の19,779ドル、錫は11月25日の高値、40,680ドル。

銅 :9,135ドル(12月15日の安値)亜鉛 :3,323ドル(50日移動平均線)鉛 :2,283ドル(100日移動平均線)アルミ :2,570ドル(200日移動平均線)ニッケル:18,467ドル(200日移動平均線)錫 :37,927ドル(50日移動平均線)

◆鉄鋼・鉄鋼原料

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは上昇、豪州原料炭スワップ先物は小幅に下落、大連原料炭先物は上昇、上海鉄鋼製品先物は上昇した。

来年のオリ・パラを控えた駆け込み生産需要が鉄鋼原料価格を押し上げており、総じて高値を維持している。木曜日のPMIの数値減速は余り影響していない感じ。

なお、来年開幕のオリ・パラの期間、北京市、天津市、河北省、山西省、山東省、河南省では粗鋼生産を▲30%以上削減、河北省唐山市は大気汚染物質の排出を▲40%以上削減、山西省は鉄鋼やアルミ、鋳造、セメントなどの建材生産を制限、河北省はセメント生産を制限する方針を打ち出している。

概ね、新年以降3月15日までが規制対象期間になるが、これに備えた「駆け込み生産」があと2週間ほど続くことになるだろう。

週明け月曜日は目立った材料がなく、余り市場の動向とは関係無く鉄鋼生産が進むと予想されるため、これもまた在庫水準とは関係無く鉄鋼原料が物色される流れは継続すると予想され、高値維持の公算。

◆貴金属

昨日の貴金属セクターは総じて下落した。FRBウォーラー理事が早期利上げの可能性について言及したことで実質金利が上昇、ドル指数も上昇したことが影響した。銀・PGMは株価の下落の影響も受けた。

しかし、米国がロシアに対する制裁を示唆しており、それに伴うパラジウムをはじめとするPGM供給ヘの懸念がパラジウムの買い戻し材料となり、前日比プラスで引けている。

週明け月曜日は目立った手がかり材料に乏しいが、貴金属価格の発射台となる米金融政策がよりタカ派に転じる可能性が強まっているため、金銀価格は下値余地を探る展開。

PGMについては米国のロシア制裁観測や、南アフリカの電力供給問題を材料に、買い戻しが入る展開を予想。

◆穀物

シカゴ穀物価格は上昇した。米FRBによる早期利上げ観測の高まりでドル高・株安となり広く景気循環銘柄が売られる中、非景気循環銘柄であり、かつ、ラニーニャ現象発生時に買いが入りやすい穀物セクターが物色される流れとなった。

この上昇で、トウモロコシは200日移動平均線を、大豆は50日移動平均線のレジスタンスラインを各々上抜けしており、テクニカルに買いが入りやすい地合に。

本日はFRBがよりタカ派に転じた可能性が意識される中でドル高が進行することが価格を下押しするが、景気循環系商品から非景気循環系商品へのシフトが起きる可能性があるため、高値維持の公算。

※中長期見通しは個別セクターのコラムをご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【マクロ見通しのリスクシナリオ】

・ロシアと西側諸国の軍事衝突のリスク(世界経済の減速要因)

・コロナウイルスの感染再拡大(オミクロン株の影響)によるロックダウンが景気循環系商品の需要を減じる場合(価格下落要因)。

・資源価格上昇によるインフレや、米テーパリング・利上げ観測を背景とした新興国通貨安で新興国が想定以上のペースで利上げを行わねばならず、世界的に金融引き締めモードに転じた場合(リスク資産価格の下落要因)。

・米中対立激化による、新冷戦構造が発現しブロック経済圏が発生して貿易活動が鈍化する場合(場合によると武力衝突も)。

・米中対立が、自国内の混乱などを理由に急に「手打ち」となった場合(景気のポジティブリスク・中国がさらに力を付け、将来米中が武力衝突するリスク)。

・発電燃料供給不足による工場稼働停止や消費低迷で景気が減速する場合(リスク資産価格の下落要因)。

・中国不動産問題の沈静化に時間が掛り、信用収縮に繋がる場合(工業金属などの景気循環系商品を筆頭に、リスク資産価格の下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(これは人口動態を考えると、現実のリスクとなるのは2030年以降か)。

・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。

逆に脱炭素に向けたインフラ投資の加速で資源価格が急上昇、金融緩和マネーが大量に市場に滞留する中でハイパーインフレとなるリスク。

・来年の中間選挙を控えて、バイデン大統領が国内の支持を得られない場合。議席確保のためのなりふり構わない政策がインフレをもたらすリスク(景気加熱後に急減速する要因)。

・独政権交代後の国内求心力が低下、域内最大経済国のドイツ経済が減速する場合、また、EUの指導力が低下し域内経済が停滞する場合(景気減速要因)。

・ロシア・ウクライナ・ベラルーシ・欧州を巡る対立が激化し、軍事的な衝突が発生する場合(景気の減速を通じて景気循環系商品価格の下落要因)。

・次の成長ドライバーとして期待されるインド経済が、期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。

2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2023~2024年頃。

・アフガン情勢の混乱が域内経済に混乱(大量の難民発生、コロナの感染拡大が欧州圏にもたらされるなど)をもたらし、米中対立を先鋭化させる場合(景気の減速要因)。

◆個別商品市場中期見通し


---≪エネルギー≫---

【原油価格見通し】

原油価格は米国が金融引き締めのスタンスに舵を切りつつある中で、オミクロン株の影響による医療逼迫を背景に特に欧州がロックダウンをせざるをえないかもしれない状況にあることを考えると、中期(1~3ヵ月)的には水準を切り下げる展開になると予想される。

しかし、ウクライナを巡るロシアと欧米の対立で仮にロシアのエネルギー企業が制裁された場合、ガス供給のみならず原油供給も制限される可能性があること、米国の窮状を見透かしたイランの核交渉が不調であり、イランからの原油供給増加も難しくなってきたことが価格を下支えすると考える。

原油価格上昇に伴い米国のシェールオイル生産は回復、最大生産地域であり、生産コスト低いるPermianの生産はコロナ前の水準をほぼ回復した。

しかしその他の地域は回復が見られておらず、シェールオイル全体の12月の生産は2020年3月の8.56MBDよりも▲0.66MBD万少ない7.93MBDとなる見込み。

また、リグの稼働も脱炭素などの影響低調で、増産はこれまで掘削したが稼働させていなかった井戸の稼働によるものに止まっており、完成非稼働井戸数はピーク時の半分まで減少している。

期間の長い中期的(来年の春以降)には、経口薬の開発やコロナとの付き合い方が分る(もうウィズ・コロナで走るしかない)などで恐らくコロナによる移動制限が解除され、輸送燃料需要が回復することからやはり上昇に転じるとみている。

ワクチン・経口薬の開発は進捗しており、時間経過と共にコロナの感染拡大によるエネルギー価格への影響は小さくなっていくことだろう。

米DOEの2021年供給は95.59MBD(前月95.93MBD)、需要は96.90MBD(97.52MBD)、需給バランスは▲1.31MBDの供給不足(▲1.59MBDの供給不足)。

2022年は供給が101.41MBD(101.41MBD)、需要が100.89MBD(100.89MBD)、需給バランスは+0.47MBDの供給過剰(+0.52MBDの供給過剰)。

【見通しの固有リスク】

・ロシアのウクライナ侵攻に対して、欧米がロシアのエネルギー企業に制裁、供給が逼迫下場合(価格の上昇要因)。

・気温低下による暖房向け燃料需要が増加、ないしは不稼働の液体系燃料発電(ディーゼルや重油)を有する国や地域が再稼働を決定した場合(価格の上昇要因)。

・電力・ガスをはじめとするエネルギー供給制限が経済活動を強制的に停止させ、需要が減少する場合(価格の下落要因)。

・米国経済が正常化する中で金融緩和解除が加速、急速なドル高を通じて投機的な売り圧力が高まる場合(価格の下落要因)。

・OPECプラスの増産ペースの遅れないしは上流部門投資不足による供給不足。またはイランを巡り武力衝突や制裁解除が遅れた場合(価格上昇要因)。

あるいは上流部門投資をしてこなかった結果、思った増産ができない場合(価格上昇要因)。

価格が上昇する中でOPEC諸国の減産維持統制が効かなくなり、増産競争に舵が切られる場合(下落要因)。

・脱炭素の進捗、生活様式の変化による構造的な需要減少が加速した場合(価格下落要因)。

・脱炭素の過剰な進捗による供給懸念(価格上昇要因)。

1.中東産油国の財政悪化によって情勢不安が顕在化、供給途絶リスクが高まる場合

2.中東以外の産油国の生産者の破綻

3.上流投資部門投資が減速し、インドなどの新興国需要顕在化時に供給が間に合わない場合

4.価格面、数量面で予算を確保できない産油国が、OSPを大幅に引き上げる場合(第3次オイルショック)

なお、脱炭素が完了しても100%原油が不要になることはなく、OPECの価格支配力が増すため、この場合でも価格は上昇へ。

【石炭価格見通し】

海上輸送石炭価格は高値を維持すると考える。中国政府主導の増産・価格引き下げ策の影響で水準は低下したものの、中国・インドなどの石炭火力中心の地域の石炭在庫水準はまだ低く、冬場の電力需要向けの調達は旺盛で、供給不足に伴い稼働を停止する工場が増加していることから。

中国政府主導による石炭増産は、これから冬が本格化するなかで、主要生産地が中国北部であることを考えると思った通りの増産ができるとは考え難い。

ただ、11月の生産は3億7,084万トンと過去最高水準となった。しかし問題は寒さが厳しくなる12月~3月も増産が可能かどうかである。

11月の中国の石炭輸入は前年比+198.1%の3,505万2,000トン(前月+96.2%の2,694万トン)と過去5年レンジを上回っている。豪州からの輸入もオフィシャルに再開しており、国内需給は緩和期待が高まる。

【見通しの固有リスク】

・ロシアのウクライナ侵攻に対して、欧米がロシアのエネルギー企業に制裁、供給が逼迫下場合(価格の上昇要因)。

・今冬はラニーニャ発生が厳冬リスクを高めているが、懸念に反して暖冬となる場合(価格下落要因)。

・電力・ガスをはじめとするエネルギー供給制限が経済活動を強制的に停止させ、需要が減少する場合(価格の下落要因)。

・Nord Stream2の稼働が早期に行われ、天然ガス価格が急落する場合(下落要因)。

・世界的な環境重視型世界へのシフトを受けた、石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念(価格の上昇要因。これは既に顕在化)。

・中国と豪州の対立、中国国内の生産能力増強に伴う、海上輸送炭需要の減少。

【天然ガス・LNG】

天然ガス価格は中国の経済活動が活発である一方、ロシアからのガス供給が回復せず、欧州域内最大の原発を保有するフランスの原発稼働率がメンテナンスの影響などで低下していることから火力発電向けの燃料需要が旺盛なこと、石炭価格も高値を維持していること、独新政権のカーボンクレジットに下限(60ユーロ)を付ける方針などを受けたカーボンクレジット価格の上昇で、価格は高値を維持すると考える。

ノルドストリーム2はドイツ当局が承認プロセスに入っていると伝えられているが、通常のスケジュールだと2022年3月頃まで掛る見込みである。しかし、ウクライナを巡る混乱でノルドストリーム2自体が延期される可能性も否定はできず、急に供給不安が高まっている状況。

仮にウクライナと戦闘状態に入れば、常識的に考えてもウクライナ経由でガスが欧州に供給されるとは考え難い。その場合、戦闘の期間にもよるが長びけば春先以降の欧州のガス需給にも大きな影響が出ることが予想される。

武力による現状変更を認めると、今後、中国の武力による現状変更も認めることになるため欧米の反発は非常に強いと考えられ、ロシアが実際に軍事侵攻した場合、かなり大規模な戦闘になるリスクがある。

仮に、ガスプロムが欧州のガスタンクを充填しても欧州在庫は過去5年の最低水準を回復できない見込みであり、やはりこの冬(ないしは冬場の調達に目処が立つ2~3月頃まで)の間は高値が続くと予想される。

足下懸念しているのはJKMの期間構造が変化し、期先のJKM価格も上昇、来年1年間は30ドルが意識される状態になっていることだ。

石炭忌避の動きから先進国ではCoal to Gasが加速するとみられること、この冬場の調達不足が来年も影響すること、が意識されこの水準が定常化するかもしれない。

そんな中、主要電力会社がJEPX向けの販売価格をJKM連動に変更しつつある。このことはこうしたスポットLNG市場の動向が国内の電力価格に大きな影響を及ぼす可能性が出てくる点は、意識する必要がある。

11月の中国の天然ガス生産は前年比+5.2%の177億3,000万立方メートル(前月+15.8%の164億5,000万立方メートル)と増加、過去5年レンジを上回っている。

11月の中国の天然ガス輸入は前年比+16.9%の1,073万トン(前月+8.3%の938万トン)と過去5年レンジを上回っており、輸入ペースが加速している。

10月の中国のLNG輸入は前年比+22.9%の617万トン(前月+17.8%の675万トン)と過去5年レンジを大きく上回り、構造的な需要増加は続いている。

中国はパイプライン経由での天然ガスは主にトルクメニスタンから行っているが、「シベリアの力」パイプラインが開通して以降、ロシアからの調達も増加している。

ロシアの中国向け輸出は増加していた。そもそもシベリアの力経由での輸出は2021年で85億立方メートルに増加させる見込みであり、輸出の増加は契約通りとするロシアの主張に沿っている。

しかし10月までの輸出が62.9億立方メートルであり(天然ガス1トン=1,220立方メートルと換算)、単純計算だと2021年の輸出見通しは75.5億立方メートルと、計画に届かない。中国向けの輸出が急減したことが影響している。

この数字を見るに、ロシアが意図的に欧州の邪魔をしている訳ではなく、実際に国内供給を優先させている可能性は否定できない。

長期契約のLNGに関しては、原油リンクとなるため上昇見通しだが、価格反映までに3ヵ月程度の時間差があるため(消費者への影響はさらに3ヵ月後)、現時点ではまだ上昇していないと考えられる。次の懸念は夏のピーク時の電力・ガス価格への影響だろう。

【見通しの固有リスク】

・今冬はラニーニャ発生が厳冬リスクを高めているが、懸念に反して暖冬となる場合(価格下落要因)。

・電力・ガスをはじめとするエネルギー供給制限が経済活動を強制的に停止させ、需要が減少する場合(価格の下落要因)。

・Nord Stream2が稼働して欧州のガス需給が緩和した場合(価格下落要因)。

・石炭と同様、「化石燃料であること」を理由に上流部門投資が制限される、あるいは原油生産減少による随伴ガス供給が減少する場合(構造的な価格上昇要因)。

・産油国の減産継続による随伴ガス供給の減少懸念(価格上昇要因)。

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが483,233枚(前週比 ▲9,352枚)ショートが136,096枚(+10,743枚)ネットロングは347,137枚(▲20,095枚)

Brentはロングが245,999枚(前週比+1,294枚)ショートが91,581枚(+933枚)ネットロングは154,418枚(+361枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は短期的には上昇圧力が強まるが、中期的には調整圧力が強まる展開が予想される。冬場の発電燃料供給は欧州・中国共に十分な状態ではなく供給懸念が強まっていることが背景。

また、ロシアとウクライナの対立を受けた、ロシアに対する制裁強化懸念が強まっており、RusalやNornickelに対する制裁が行われ、供給が減少する可能性も供給面からニッケルやアルミ、銅の価格を下支えしよう。

実際、LME指定倉庫在庫の水準はリーマンショック前の価格高騰時の水準まで低下しており、供給面のリスクが浮き彫りになっている。

既にLMEインデックスはこのときの水準を上回っており地合は強い。しかし景気の循環的な減速と春先に向けての生産回復から数ヵ月のスパンでは一旦下落すると考えるのが妥当だろう。

また、中国の不動産市場の調整で減速しており製造業PMIを見るに世界景気も一旦ピークアウトしていると考えられることも中期的に価格を押し下げると考える。

なお、長期的にはインドの人口ボーナス期入り、まだ脱炭素の流れが続いていること、省エネや脱炭素の流れに変わりがないため、供給面・需要面の制限から価格が上昇するという見通しを変更する必要はないと考えている。

また、米政権による大規模なインフラ投資が行われる見通しであることも、鉱物資源需要の増加を通じて非鉄金属価格を押し上げよう。

しかし、バイデン政権支持率低下で、増税を伴う経済対策は受け入れられない可能性は高く、当初予定通りの規模で実行されるかは微妙に。1兆ドルインフラ投資は成立したが、1.75兆ドルの歳入・歳出法案の行方は不透明であり、実行されない可能性も考える必要がある。

【2022年LME金属需給見通し】

銅 生産 26,351千トン(前年25,043千トン) 需要 26,782千トン(25,613千トン) 需給 ▲432千トン(▲571千トン)

亜鉛 生産 14,293千トン(13,975千トン) 需要 14,423千トン(14,092千トン) 需給 ▲130千トン(▲117千トン)

鉛 生産 12,437千トン(12,437千トン) 需要 12,463千トン(12,243千トン) 需給 ▲26千トン(+194千トン)

アルミ 生産 68,782千トン(67,005千トン) 需要 70,116千トン(67,503千トン) 需給 ▲1,334千トン(▲498千トン)

ニッケル 生産 2,886千トン(2,602千トン) 需要 2,960千トン(2,758千トン) 需給 ▲75千トン(▲156千トン)

錫 生産 423千トン(413千トン) 需要 428千トン(425千トン) 需給 ▲5千トン(▲13千トン)

※カッコ内は修正前予想。

【金属固有の材料】

・インドネシアニッケル銑鉄(NPI)生産、2022年はこれまでの能力増強で増産の見込み。

2020年の新規追加キャパシティは36万7,000トン、2021年は10万1,000トン。

これらの新規キャパシティからの2021年の生産見通しは38万5,000トン(前年比+19万5,000トン)、2022年は45万6,000トン(7万1,000トン)の見込み(BBG調べ)

中国の発電量を見ると、11月は前年比+1.9%の6,540億kwhと前月の+4.9%、6,390kwh唐は増加しているが前年比較での伸び率は鈍化している。一方で電力消費は前年比+3.9%の6,718kwh(前月+7.0%の6,603kwh)と伸びは鈍化しているが水準は発電量を上回っている。

同時同量の原則があるため両者は同じ数値であるべきだが、統計の集計方法によるものと考えられる。しかし、需給は寄りタイトであることは間違いがなくまだ本格的に電力依存の高い精錬品の生産が回復している感じはない。

同時に発表された中国の非鉄金属生産は概ね回復しているが、アルミの生産はまだ過去5年の最高水準を上回るには至っておらず(ニッケルは直近の生産統計の発表なし)、アルミ、ニッケルは金曜日は上昇している。

これは中国の問題、需要の問題というよりはウクライナ問題を受けた米国のロシアに対する制裁への懸念が影響したと考える方が妥当だろう。

早ければ2022年早々に軍事侵攻が行われる、との見方も広がっており、その場合はアルミ・ニッケルの価格はさらに上昇することになるだろう(ただしリスク要因との位置づけ)。

【中国重要統計の評価】

11月の中国の製造業PMIは50.1(前月49.2)と改善した。生産が52.0(48.4)と回復したことが影響した。しかし、新規受注(48.8→49.4)、輸出新規受注(46.6→48.5)と回復しているものの依然として50の閾値を大半のサブインデックスが下回っている。

50の閾値を上回っているのは生産と購買量、かなり低下したが投入価格指数、業界動向指数のみであり、統計としてはそこまで強い統計だったとは言い難い。

価格に対する説明力が高い新規受注・在庫レシオは、原材料在庫レシオが1.036(前月1.038)と低下、完成品在庫レシオは1.031(1.054)と低下しており、再び原材料・完成品を巡る需給は緩和している。非鉄金属価格をはじめとする工業金属価格の下押し要因となる。

一方で、これまで工業金属価格の上昇を牽引してきたのは中国の住宅セクターであるが、鉄鋼業PMIは59.1(前月56.9)と改善している。

昨年からの不動産セクターの規制強化で減速傾向が強まっていた。しかし、エバーグランデ問題を皮切りに住宅市場が混乱する可能性が高まったため、中国政府は「三道紅線」を設定、レバレッジ規制の遵守状況によって開発業者の借り入れ能力が決まる。

しかし、この規制導入で健全な企業、国有企業ですら物件の買い取りを渋り始めたため、この規制を緩和し物件取得目的の債務に関しては、借入比率の算出に含めないとした。恐らくこの規制の若干の緩和が建設業セクターのマインドを改善した物と考えられる。

ただしレバレッジ規制は継続する見込みであり、不動産セクター全体に下押し圧力が掛かっている状況に大きな変化はない。

11月の中国の貿易統計を見ると、ベンチマークである精錬銅の輸入は前年比▲9.1%の51万402トン(前月▲33.5%の41万1,000トン)と過去5年平均を上回り輸入が増加した。

10月は9月の下落で9,000ドルまで水準が低下していたため、輸入が加速したとみられる。

一方、銅精鉱の輸入は前年比+19.6%の218万8,000トン(前月+6.3%の179万7,000トン)と高い水準を維持している。国内在庫水準の低さと、通常年末にかけて増加する電線向けの投資需要の回復が影響しているとみられる。

エネルギー不足の影響で輸入の伸びが減速していたが、中国政府の対策推進によりやや国内生産が回復した可能性はある。ただ、銅製錬事業者の10月の稼働率は86.1%と前月、過去5年の最低水準より低く、まだ回復は確認されていない。

10月の銅スクラップの輸入は前年比+98.1%の13万3,011トン(前月+68.3%の13万4,454トン)。

統計からはまだ中国の工場の生産・稼働の混乱は続いており、正常化はまだ先になると予想される。

工業金属のフロー需要に影響する工業生産は、単月ベースでは+3.8%(前月+3.5%)とやや回復したが、1-11月累計で前年比+10.1%(1-10月期+10.9%)と伸びが鈍化しており、電力供給不足によって工業活動が減速したと見られる。

一方、不動産開発投資は1-11月期累計で前年比+6.0%の13兆7,314億元(1-10月期+7.2%の12兆4,934億元)とこちらも減速している。習近平国家主席が直々に不動産規制緩和の指示を出したことも頷ける。

ストック需要の指標である固定資産投資も年初来累計で+5.2%(+6.1%)とこちらも減速が鮮明に。公的セクターの伸び鈍化は所与(+4.1%→+3.0%)としても、よりボリュームの大きな民間部門が前年比+7.7%(+8.5%)と伸びが減速しており、全体として中国政府によるバブル抑制行動が影響したと考えられる

ただし、中国政府は不動産規制緩和と、預金準備率の引き下げといった景気刺激策の影響で減速は数ヵ月後に底入れするだろう。電力供給の制限やオリ・パラの開催を考えると、回復は3月以降になるのではないか。

【政策動向・脱炭素】

政策動向・脱炭素の流れは中長期的な材料。米バイデン政権は8年間で1兆2,000億ドルのインフラ投資計画実施計画。

道路・橋梁・主要プロジェクトに1,090億ドル、電力インフラに730億ドル、旅客・貨物鉄道に660億ドル、ブロードバンド・インターネットサービスに650億ドル、公共交通機関に490億ドル、空港に250億ドルを投じる。

さらには2022年度予算も戦後最大となる歳出を6兆ドルと、以上と戦後最大の水準とする方針。

これらの需要は景気に関係なく発生する需要であるため、需要の見通しは底堅く、価格の調整があっても下値余地は限定される可能性が高い。

これまで中国が鉱物セクターの需要動向に関して主役であり、今後も非鉄金属価格の動向は中国動向が左右するが、「新規の需要」については欧米動向が重要になる可能性は意識しておきたいところ。

この場合、米国の景気回復=ドル高・金属価格上昇、という構図も考えられる。

米国・中国・インドがどのような動きをするかに環境政策は左右されるが、ここまでの各国の動きを見ていると当面は環境向けに使用される金属の需要増加は「今後10年・20年の大きなテーマ」となる可能性が高い。

軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル、銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルト、リチウムなど。

なお、EV戦略に慎重なスタンスだったトヨタ自動車が2030年までにEV車を350万台/年販売する方針。

そもそもトヨタは世界で一番モーターやバッテリーを組み込んだ自動車を販売してきた企業であり、その企業が本気になったということは、現在、EV車販売首位のテスラの販売能力を遙かに上回ると予想される。

この場合、バッテリー向け資源需要が構造的な増加局面に入る可能性が高まることになる。

ただし、バッテリーの必須資源を、政治的な対立が予想され、安定的なサプライヤーとしての信用が高くない中国以外からの調達をどれだけ引き上げることができるかも非常に重要な論点となる。

脱炭素の一環でEV戦略を国として進めるならば、資源外交はより重要になる。戦略物資が新しく1つ加わったと考えるべきである(アンモニアや水素の製造で引き続き原油は必須資源)。

【見通しの固有リスク/個別金属の特殊要因】

・ウクライナ問題を巡り、ロシアが欧米から制裁を受けてニッケルやアルミなど、同国への供給依存が高い商品の供給が逼迫する場合(価格の上昇要因)。

・中国不動産大手恒大集団の破綻懸念が中国の住宅セクターに広がり、中国の不動産バブルがはじける場合(価格下落要因)。

・ロジスティクスに障害が残る中、非鉄金属の偏在が現物プレミアムを押し上げるリスク(北米で顕在化)。

・猛暑や渇水による燃料価格上昇で、1.電力供給不足による稼働停止・供給減少、2.発燃料価格の上昇を通じて生産コストが上昇する、場合(価格上昇リスク)。

・米国経済が正常化する中でドル高が進行し、投機買いが膨らんでいる非鉄金属市場で投機の手仕舞い売り圧力が高まる場合(下落リスク)。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・チリやペルーで広がる左派勢力伸長に伴う大衆迎合的な政策が可決し、鉱山生産に過剰なロイヤルティが適用される場合(供給減少ないしは生産コスト上昇で価格の上昇要因)。

チリでは上院が(修正の可能性を含み)以下の法案を可決。12月19日の大統領選決選投票の結果で、左派のガブリエル・ボリック氏が勝利した場合、法制化される可能性が高い。

3%の新ロイヤルティに加え、銅価格に連動して税額が賦課される仕組み。

2ドル~2.5ドル/ポンド(4,406~5,508ドル/トン):15%2.5ドル~3(5,508~6,609):35%3ドル~3.5(6,609~7,711):50%3.5ドル~4(7,710~8,813):60%4ドル~4.5(8,813~9,914):70%

年間販売量が5万トン未満の小規模生産者は品位95%の粗銅の場合▲5%の軽減税率、アノードの場合(99.4~99.6%)が適用される。

2023年までは現行の営業利益率によって5~14%の鉱業ロイヤルティが適用されるが、2024年以降は新税制を適用。

・メキシコは鉱業改革法の中で、エネルギー転換に必要なリチウムとその他の戦略的鉱物の採掘権をこれ以上容認しないとしており、これに銅やネオジム、プラセオジムなどのレア・アースも含まれる可能性。

・インドネシアが再び低品位ニッケル鉱石の輸出を制限する場合(ニッケル価格の上昇要因)。

・LMEベースメタルではないが、中国ではレア・アースの生産を国有企業に集約して管理する動きが強まっており、今後の自動車セクターの中核となる電気自動車生産のサプライチェーンに大きな影響を与える可能性。

レア・アース大手五鉱稀土は、親会社の中国五鉱集団がアルミ大手のチャイナルコやレア・アースの大産地である江西省政府との間でレア・アース関連資産の戦略的な再編交渉を進めていると発表。

中国政府が2020年および2021年に許可したレア・アースの採掘割当量を見ると、CMRE、チャイナルコ、江西省地方政府傘下企業の3社だけで、中国全土で採掘を許可された(ジスプロシウムなど)重希土類の割当量の67.9%、(ネオジムやセリウムなど)軽希土類の割当量の39.1%を占める。

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

また、環境に配慮したメタル使用の義務化などが欧州で進む場合などのコストアップ(グリーン・メタルの義務化によるコスト増加)。

中国の環境規制強化に伴う供給の減少。エネルギー排出量の多い新疆ウイグル自治区でのアルミ生産は減産の影響は既に材料視されている。

【投機筋のポジション動向】

・LME投機筋買い越し金額 前週比▲3.0%の251億ドル(前週 259億ドル)・LME投機筋買い越し数量 前週比▲4.8%の5,171.0千トン(前週 5,431.2千トン)

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は中国政府の発電燃料供給不足と環境改善目的の鉄鋼製品生産減少、中国不動産セクターの調整は継続する可能性が高く、鉄鋼向け需要が減少する見通しであることから水準を切下げる展開を予想。

ただ、現在の鉄鋼製品価格は「対鉄鉱石で割高、対原料炭対比で割安」であり、この状況が安定化した場合、「鉄鋼製品価格下落、鉄鉱石価格上昇、原料炭価格下落」となるシナリオの蓋然性が高い。

一方、既に鉄鉱石在庫は絶対水準・在庫日数水準でも過去5年の最高水準を上回っており、現状、製鉄所の稼働停止が続くのであれば「もう要らない状態」である。

となると、当面は鉄鉱石価格は低迷を余儀なくされ、製鉄所の稼働がエネルギー問題などが解消して再稼働するまでは低迷し、その後、割安になりすぎた水準が訂正される中で上昇に転じる、と考えるのが妥当ではないか。

また、来年は米欧中のインフラ投資による建材向け需要増加が期待されることも、鉄鉱石価格のさらなる下落を抑制すると考える。

なお、鉄鉱石先物の期先の価格が限界生産コストの目安として意識されるが、100ドル程度だった期先の水準は80ドル台で推移しており、中期的な価格の目線はやや切り上がった。

原料炭については中国の国内生産の回復と、豪州からの輸入再開で徐々に中国の国内需給が緩和すると見られるため、長期的には下落に転じると考える。

しかし足下は豪州の中国向け輸出再開を受けて海上輸送市場が逼迫すると見られ、海上輸送炭価格は一旦上昇余地を探る動きに。

【中国の政策動向】

中国共産党は2021年から始まった5ヵ年計画で鉄鋼生産量の削減の必要性を表明している。今のところ昨年の生産量を超えないようにする、というのが中国政府の目標。

最大生産都市である唐山市は、2021年20日~12月31日まで、大気汚染基準に違反し、データを改ざんした4社は7月~12月末まで▲30%減産、その他の16社は12月末まで▲30%の減産を新たに実施することを義務づけられている。

これにより、唐山市の粗鋼生産は前年比▲2,223万トンの1億2,177万トン、鉄鉱石需要は▲3,500万トン減少するとみられている。

中国3番目の鉄鋼ハブである山東省は、2021-2025年の5ヵ年計画で、素行の環境上限(一般炭消費量535キログラム、2020年は547キログラム)、硫化物排出を0.3キログラム(2020年 0.85キログラム)、窒素化合物排出を0.6キログラム(1.6キログラム)、水の使用量を2.85立法メートル(3立方メートル)に低減させる計画。

なお、来年開幕のオリ・パラの期間、北京市、天津市、河北省、山西省、山東省、河南省では粗鋼生産を▲30%以上削減、河北省唐山市は大気汚染物質の排出を▲40%以上削減、山西省は鉄鋼やアルミ、鋳造、セメントなどの建材生産を制限、河北省はセメント生産を制限する方針を打ち出している。

概ね、新年以降3月15日までが規制対象期間になるが、これに備えた「駆け込み生産」があと2週間ほど続くことになるだろう。

粗鋼生産が減少すれば、鉄鉱石の在庫水準の指標である在庫日数も、分母が小さくなるため上昇が予想され、鉄鉱石価格の下落要因となる。これは原料炭も同様。

【中国重要統計の評価】

11月の中国鉄鋼業PMIは総合指数は36.6(前月38.30)と減速が続いた。冬場で市場全体の活動が鈍化していること、環境保全や電力供給不足を背景とする生産制限が生産活動を鈍化させていることが影響した。

実際、サブインデックスの新規受注は減速(39.0→28.2→25.9)、輸出向け新規受注(39.5→38.7→34.8)と内外需とも減速している。価格は低下したものの需要を喚起するには至っていない。

価格に対する説明力が高い新規受注・完成品レシオは0.91(前月0.92)と低下しており製品需給は緩和している。生産調整(36.8→33.5)があっても在庫積み上がりやすい地合になっており、足下の需要が旺盛ではないことを示唆している。

これまで工業金属価格の上昇を牽引してきたのは中国の住宅セクターであるが、鉄鋼業PMIは59.1(前月56.9)と改善している。

昨年からの不動産セクターの規制強化で減速傾向が強まっていた。しかし、エバーグランデ問題を皮切りに住宅市場が混乱する可能性が高まったため、中国政府は「三道紅線」を設定、レバレッジ規制の遵守状況によって開発業者の借り入れ能力が決まる。

しかし、この規制導入で健全な企業、国有企業ですら物件の買い取りを渋り始めたため、この規制を緩和し物件取得目的の債務に関しては、借入比率の算出に含めないとした。恐らくこの規制の若干の緩和が建設業セクターのマインドを改善した物と考えられる。

ただしレバレッジ規制は継続する見込みであり、不動産セクター全体に下押し圧力が掛かっている状況に大きな変化はない。

一方、製造業PMIは50.1(前月49.2)と改善した。生産が52.0(48.4)と回復したことが影響した。しかし、新規受注(48.8→49.4)、輸出新規受注(46.6→48.5)と回復しているものの依然として50の閾値を大半のサブインデックスが下回っている。

50の閾値を上回っているのは生産と購買量、かなり低下したが投入価格指数、業界動向指数のみであり、統計としてはそこまで強い統計だったとは言い難い。

工業金属のフロー需要に影響する工業生産は、単月ベースでは+3.8%(前月+3.5%)とやや回復したが、1-11月累計で前年比+10.1%(1-10月期+10.9%)と伸びが鈍化しており、電力供給不足によって工業活動が減速したと見られる。

一方、不動産開発投資は1-11月期累計で前年比+6.0%の13兆7,314億元(1-10月期+7.2%の12兆4,934億元)とこちらも減速している。習近平国家主席が直々に不動産規制緩和の指示を出したことも頷ける。

ストック需要の指標である固定資産投資も年初来累計で+5.2%(+6.1%)とこちらも減速が鮮明に。公的セクターの伸び鈍化は所与(+4.1%→+3.0%)としても、よりボリュームの大きな民間部門が前年比+7.7%(+8.5%)と伸びが減速しており、全体として中国政府によるバブル抑制行動が影響したと考えられる

ただし、中国政府は不動産規制緩和と、預金準備率の引き下げといった景気刺激策の影響で減速は数ヵ月後に底入れするだろう。電力供給の制限やオリ・パラの開催を考えると、回復は3月以降になるのではないか。

【中国鉄鋼製品輸出入・在庫動向】

11月の中国の鉄鋼製品の輸入は前年比▲23.0%の142万4,000トン(前月▲41.6%の112万7,000トン)と回復した。国内製鉄所の稼働が低迷(主要生産地である唐山市の高炉稼働率は過去5年平均である72.8%を下回る72.2%)を受けて、輸入品需要が高まったと考えられる。

11月の中国粗鋼生産は前年比▲25.1%の6,931万トン(10月▲24.5%の7,158万トン、9月▲21.2%の7,375万トン、8月▲13.2%の8,324万トン、7月▲8.4%の8,679万トン、6月+1.5%の9,388万トン、5月+6.6%の9,945万トン)と大気汚染防止の観点と、燃料供給の問題から生産減少が続いている。

一方、11月の鉄鋼製品の輸出は前年比▲0.9%の436万1,000トン(前月+11.4%の450万トン)と前月から前年比の伸びを縮小させ過去5年の最低水準に。やはり国内供給を優先させていることが窺える。

なお、中国の鉄鋼製品需要は鈍化しているとみられるが、在庫水準は前週比▲46万8,000トンの1,063万2,000トン(過去5年平均 816万4,000トン)と例年を上回るが季節的な減少が続いている。

【中国鉄鉱石輸出入・在庫動向】

11月の鉄鉱石の輸入は前年比+7.0%の1億496万トン(前月▲14.2%の9,160万トン)と急増した。鉄鉱石在庫の水準が低かったこと、価格が急落したことによる割安感からの輸入増加だったと考えられる。

ただし、鉄鉱石在庫の水準は既に高いため、鉄鉱石価格が割安ではあるものの12月以降の輸入は減速するのではないか。

鉄鉱石港湾在庫は前週比+150万トンの1億5,750万トン(過去5年平均1億3,003万6,000トン)、在庫日数は40.6日(過去5年平均 31.8日)と数量ベース・日数ベースでも過去5年の最高水準を上回っており、需給が緩和していることは明確で価格の下押し要因となる。

【中国原料炭輸出入・在庫動向】

原料炭は中国の生産活動回復が継続しているが、前年比の伸び鈍化が明確になってきたため(中国政府の方針通り)、価格は下落余地を探る動きになると考える。

また、中国政府は原料炭を含む石炭の国内生産を増加させる方針であることも、海上輸送原料炭価格を下押ししよう。

とは言え、環境規制強化の流れで世界的に原料炭供給を増加させられる地域が限定されることから、下落余地も同様に限定される都見るのが妥当だ。

10月の中国の原料炭輸入は前年比▲25.7%の438万4,018トン(前月▲35.3%の434万6,477トン)と回復しているが、過去5年レンジを下回った状態が続いている。ただし注目すべきは豪州からの輸入が回復している点である。「背に腹はかえられない」状態に中国はおかれていると言えるだろう。

中国の港湾在庫の水準は鉄鋼の最大生産省である河北省の主要港である、京唐港の港湾在庫は前週比▲9万トンの200万トンとなったが、過去5年の最高水準である205万トンを上回っている。

在庫日数は9.6日と、過去5年の最高水準である9.1日を上回っており、鉄鋼製品生産がこの水準で続けば十分な在庫が確保されていることになる。

【見通しの固有リスク】

・中国の不動産セクター減速が、建材需要を減少させる可能性(鉄鋼製品価格の下落を通じて鉄鋼原料価格の下落要因)。

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合(価格上昇要因)。

・コロナウイルスの感染拡大長期化による、鉱山生産の減少リスク(価格上昇要因)。

---≪貴金属≫---

【貴金属価格見通し】

【金】

金価格は米FRBはテーパリングを加速、早ければ来年3月にも利上げが行われる可能性が否定出来なくなって来たため、総じて軟調な推移になりやすい。

ただし、市場の反応はこれと異なり「利上げによって成長鈍化で10年債利回り低下」となっており、テーパリングペース加速と全く整合していない。また、インフレ懸念がまだ払拭仕切れていないこともあって、しばらくは高値での推移が続くのではないか。

以上を勘案すると、結局の所、金価格は1,700ドル~1,800ドルのレンジで推移する可能性が高く、FRBが懸念しているように5%や6%のインフレが続くのならば、このレンジが上振れする可能性がある(逆の場合は下振れる)と言うことだろう。

なお、過去5年平均を基準にすると名目金利1bpに対する金価格の感応度は±3ドル弱であり、米10年金利が現在の水準から30bp上昇すれば▲90ドルの下落圧力となる(60bpで▲180ドル)。

現在の金の実質金利で説明可能な価格(金基準価格)は1,661ドル、そこからの乖離(リスク・プレミアム)は137ドル。

リスク・プレミアムは、過去3ヵ月平均で130ドル、6ヵ月で160ドル、1年で165ドル、5年で180ドルとなっている。

なお、金価格を実質金利要因と為替要因に分類した場合、為替要因はリスク・プレミアムのところに内包されると整理している(為替は名目金利の影響も受けるので、純粋に為替の要因のみ切り出すのが困難であることから)。

【銀】

銀価格は金価格との比較感で売買されるが、金銀レシオは現在、80.4倍。過去1年を基準にすると72倍、5年では80倍、2000年以降では66倍程度が妥当。

今後、さらに金銀レシオが低下するには、工業需要の増加が必須。今後、IT化の進捗でエレクトロニクス向けの需要が増加することが必要。

太陽光パネルの増設は、バイデン政権が再びウイグル人自治区向けの制裁を強化しているため十分な需要の伸びが期待できず、しばらく、太陽光向けの需要は低迷すると見る。

なお、銀価格=金価格÷金銀レシオ であり、金銀レシオが低下することで金価格が変動した時の弾性値が上昇(ボラティリティは上昇し、足元金の2倍に上昇)する点は留意。

(例)金が2,000ドル、銀が20ドルのとき 金銀レシオが100倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1セント変化 金の変化率は±0.05%、銀は±0.05%

 金銀レシオが1倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1ドル変化 金の上昇率は±0.05%、銀は±5%

【PGM】

プラチナ価格は自動車の半導体供給不足の影響で急落していたが、半導体供給が回復しつつあるため、来春以降は需要増加で価格は上昇圧力を強める展開が予想される(中期的な見通し)。

需給バランスは投機を除けば供給過剰であり、投機筋の「思惑」が価格を左右しやすい。その意味ではトヨタ自動車がEVに舵を切ったことは、PGMにとってはかなりマイナスな材料となる。

ただ、車での移動が大半である米国が充電ステーションを整備してまでEVに舵を100%切るとは考え難く、来年の中間選挙で民主党が苦戦することはほぼ必定であることを考えると、一定のガソリン車需要は残る(あるいは減少ペースが脱炭素派が期待するほどのものではない)可能性は排除できない。

また、仮に脱炭素が加速するならば、EVではなくて燃料電池車、という選択も残されている。この場合、パラジウムではなくプラチナが使用されるため、いずれのシナリオでも、長期的にはパラジウムの価格は下押し圧力が掛りやすい。

とはいえ、当面は自動車販売動向を注視する必要。

11月の米自動車販売は年率1,286万台(市場予想1,342万台、前月1,299万台)と減速、目先はパラジウム価格の下落要因に。

中国の自動車販売は中国自動車工業協会の集計で以下の通り自動車販売の低迷は続いている。半導体供給の回復で反転すると考えるが、Q122以降になろう。

11月 前年比 ▲9.0%の252万2,000台10月 ▲9.0%の233万3,000台9月 ▲19.5%の206万6,000台8月 ▲17.4%の179万8,841台7月 ▲11.8%の186万3,550台。6月 ▲12.4%の201万5,309台5月 ▲3.0%の212万7,000台4月 +8.8%の225万台3月 +76.5%の252万5,000台2月 +371%の146万台1月 +30%の250万台

調査会社のオートフォーキャスト・ソリューションズによれば半導体不足による供給減少による減産が9月26日時点で▲893万4,000台に上るとし、2021年の減産規模は▲1,030万台に達するとみている。これは昨年の販売台数(7,700万台)の13.4%に相当する。

この回復がある、ないしは供給側の混乱(南アフリカ)による生産減少がなければ、PGM価格は低水準で推移しよう。

【見通しの固有リスク】

・主要生産国の南アフリカの電力供給不安や、コロナウイルスの影響拡大で供給が滞る場合(PGMの価格上昇要因)。

南アフリカ政はEskomの一部石炭火力に対する温室効果ガス排出規制を免除する申し出を棄却したことで、同国の3分1の電力供給16,000MWの供給が困難になる可能性。

・米国をはじめとする先進諸国が金融引き締め方向に舵を切っており、アフリカや中南米、東南アジア、東欧など新興国から資金が流出して信用リスクが高まる場合(安全資産価格の上昇要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加(実際に破綻が意識されるのは2030年以降か)。

・世界的なEVシフト加速による、PGM需要の激減。

ただし、環境重視型社会へのシフトが加速、「水素社会」まで到達すると、燃料電池車需要が増加して構造的にプラチナ価格の上昇要因となる可能性。

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが298,142枚(前週比 ▲2,376枚)、ショートが95,741枚(+12,408枚)、ネットロングは202,401枚(▲14,784枚)、銀が63,669枚(+739枚)、ショートが41,685枚(+8,588枚)、ネットロングは21,984枚(▲7,849枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが27,853枚(前週比 +797枚)ショートが24,122枚(+3,128枚)、ネットロングは3,731枚(▲2,331枚)

パラジウムが2,637枚(▲225枚)、ショートが6,411枚(+818枚)ネットロングは▲3,774枚(▲1,043枚)

---≪農産品≫---

【穀物価格見通し】

シカゴ穀物価格は堅調な推移になると考える。冬場のラニーニャ現象の発生(北半球の天候相場は終了も、南半球の天候相場入り)による供給懸念が強まっていることや、脱炭素進捗に伴う代替エネルギー需要が高まることが材料。

11月の中国の大豆輸入は前年比▲10.6%の857万トン(前月▲41.2%の611万トン)と急速に回復し、過去5年平均を回復した。

中国の大豆港湾在庫は過去5年レンジの最高水準は下回っているが、高い水準を維持している。)

Locust Watchではソマリアで発生したバッタが周辺地域に展開を始めている。ただし例年よりも小雨であるため、影響は限定されているとの印象。

しかし、ソマリアの一部とエチオピア南部に群れが移動しており、現在、食糧危機で治安が悪化しているエチオピアでの蝗害発生による、さらなる治安の悪化は無視できないリスクになっていると考えるべきだろう。
https://www.fao.org/ag/locusts/common/ecg/75/en/211214HoA.jpg

【見通しの固有リスク】

・ラニーニャ現象発生による投機筋の買い圧力の強まり(価格の上昇要因)。

・環境重視型社会へのシフトにより、燃料向け穀物需要が増加する場合(価格の上昇要因)。現在はそれほどの数量でもない、バイオディーゼル向けの大豆需要増加など。

・新型コロナウイルスの影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

【米農務省需給報告データ】

・米作付け意向面積トウモロコシ 9,114万エーカー(市場予想9,313万エーカー、前年9,699万エーカー)大豆 8,760万エーカー(9,010万エーカー、8,351万エーカー)小麦 4,636万エーカー(4,495万エーカー、4,466万エーカー)綿花 1,204万エーカー(1,215万エーカー、1,370万エーカー)

・米穀物最終作付け面積 実績(前年)トウモロコシ 9,269万エーカー(9,082万エーカー)大豆 8,756万エーカー(8,383万エーカー)小麦 4,674万エーカー(4,425万エーカー)

・12月米需給報告単収見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 177.0Bu/エーカー(NA、177.0)大豆 51.2Bu/エーカー(NA、51.2)小麦 44.3Bu/エーカー(NA、44.3)

・12月米需給報告生産見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 150億6,200万Bu(NA、150億6,200万Bu)大豆 44億2,500万Bu(NA、44億2,500万Bu)小麦 16億4,600万Bu(NA、16億4,600万Bu)

・12月米需給報告輸出見通し(実績/前月)トウモロコシ 25億Bu(NA、25億Bu)大豆 20億5,000万Bu(NA、20億5,000万Bu)小麦 8億4,000Bu(NA、8億6,000万Bu)

・12月米需給報告在庫見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 14億9,300万Bu(14億7,479万Bu、14億4,000万Bu)大豆 3億4,000万Bu(3億5,471万Bu、3億4,000万Bu)小麦 5億9,800万Bu(5億8,921万Bu、5億8,300万Bu)

・9月末四半期在庫 実績(前期末)トウモロコシ 12億3,600万Bu(41億1,100万Bu)大豆 2億5,600万Bu(7億6,900万Bu)小麦 17億8,000万Bu(8億4,500万Bu)

・11月CONABブラジル作付け面積(市場予想/前月)トウモロコシ 2,089万ha(2,086万ha、2,087万ha)大豆 4,027万ha(4,042万ha、3,992万ha)

・11月CONABブラジル生産量(市場予想/前月)トウモロコシ 1億1,671万トン(1億1,929万トン、1億1,631万トン) 単収 5,587kg/ha(5,717kg/ha、5,575kg/ha)大豆 1億4,201万トン(1億4,415万トン、1億4,075万トン) 単収 3,526kg/ha(3,569kg/ha、3,526kg/ha)

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが495,864枚(前週比 +13,436枚)、ショートが69,243枚(▲2,371枚)ネットロングは426,621枚(+15,807枚)

大豆はロングが123,569枚(▲1,688枚)、ショートが60,348枚(▲5,255枚)ネットロングは63,221枚(+3,567枚)

小麦はロングが109,485枚(▲2,488枚)、ショートが97,520枚(+1,214枚)ネットロングは11,965枚(▲3,702枚)

◆本日のMRA's Eye


「迫るインフレ・3つの「二重・重複」リスク~価格上昇と高変動性への対処」

市場ではインフレへの懸念が強まり、11月のFOMCでも早期のテーパリング開始、場合によると終了後に速やかに利上げが行われる可能性が出てきた。

直近のFF金利先物ベースでは来年9月頃の利上げ実施を市場は既に織り込み始めている。今のところこのインフレはコロナの影響による資源国の生産回復の遅れや工場のロックダウンによる稼働停止、労働力の不足や昨年から続く異常気象や、脱炭素の流れを受けた化石燃料の需給バランスのタイト化を背景にエネルギー価格の上昇と供給不足が発生、やはり工場の稼働が停止していることによる供給制限が発生していることによるものであり、「厳冬」「コロナ」「労働力問題」が解消すれば時間経過と共に解消すれば通常の状態に戻る、と考えられている。

しかし、ここに来てFOMCメンバーもインフレが一時的なものではなく、調整があったとしても当初の見通し通りまでインフレが沈静化するかに関して、やや懐疑的な見方をするメンバーが増えている。現在の行き過ぎた価格上昇は前年比での価格上昇であるため、時間経過と共に前年比上昇率は落着くことが予想されるものの、「3つの二重(重複)」が資源価格を押し上げる可能性があるため、今までと同じような経済・市場動向にならないリスクも考える必要がある。

3つのリスクとはこの場合のリスクは「インフレを発生させる可能性があるリスク」という意味だが、大きな3つの項目が重なる、すなわち「二重投資」や「重複」が起きるということだ。日本語英語で言えば「3つのW」とも言えるだろうか。

具体的には。

1.中国・インドの同時人口ボーナス期入りによる投資増加2.脱炭素・有炭素の二重投資3.親米・親中経済圏の二重投資

の3つである。

まず1.は以前から弊社が主張しているが、労働人口の比率が非労働人口の2倍を超える「人口ボーナス期」入りした場合、過去の経験則では人口ボーナス期入りした国の資源需要は大幅に増加する。

ちなみに日本が人口ボーナス期入りしていたのは、1964年からだ。この時期、日本は当時の池田勇人首相による「所得倍増計画」が実行されていた時期である。

中国は1994年頃から人口ボーナス期入りしているが、この時期は中国が改革開放を進めていた時期に重なり、2002年12月のWTO加盟以降、世界の工場としての地位を獲得して急成長を遂げた。

一方、インドは2018年頃から人口ボーナス期入りしていると考えられ、今後、近代化投資が加速する可能性は高いと考えられる。実際、モディ政権は今年の8月、1.35兆ドルのインフラ投資計画を発表、雇用を創出し、産業の生産性向上と景気浮揚につなげるとしている。

IMFの2021年10月時点の見通しでは、インドの2021年の名目GDPは2兆9,461億ドルであり、GDPの46%に相当する規模だ。

この世界で1位・2位の人口を抱える中国・インドは国連データを元にすると2032年頃まで「同時に人口ボーナス期入り」する状態となる。中国も既に新興国とは言えない超大国であるが、まだ人口動態的には成長する国なのだ。そのため、両国の為政者が政治的に失敗しなければ、かなり堅い需要となると予想される。

脱炭素のリスク

11月12日まで英国のグラスゴーでCOP26が開催された。想定していた通りであるが、先進国と新興国の間でのスタンスの差が浮き彫りとなった。しかし、その規模やスピード感は変更があるかもしれないが、しばらくの間脱炭素が進む可能性は高いと考えられる。

恐らく、環境改善のために脱炭素を進めることは積極的に否定されるものではなく、約束通りであれば2030年を区切りとして脱炭素のための設備投資が継続するというのがメインシナリオだろう。

しかしIEAの試算だと、実質温室効果ガス削減を達成するには2030年までに1,000ギガワットを超える太陽光・風力発電の新規投資が必要とされている。

1,000ギガワットといってもピンと来ないが、世界最大の原子力発電所である柏崎刈羽原子力発電所の発電能力が8ギガワット、ギガソーラーでも1ギガワット~1.2ギガワット程度であることを考えると、その規模がいかに大きいかがよく分る。

仮にこれを達成しようとした場合、投資に必要な資源の需要が増加して価格が高騰することが予想される。そしてその価格上昇はいわゆるコスト削減で間に合うようなものではなく、その資源価格の上昇は企業ないしは最終消費者に転嫁されることになる。

結果、それを消費価格に転嫁すれば販売される電力価格は上昇する可能性は高い。実際、IEAの見通しでも、取得が困難な資源へのシフトが必須、とされており、市場の独占度合いが高い商品(レア・アースやコバルト、銅やリチウムなどの脱炭素に必要とされる元素)の価格は想定以上に上昇すると予想される。

その一方で今回の欧州ガス危機で判明したように、消費側の構造が代わるには時間が掛る上、自然エネルギーの供給は、異常気象などを切っ掛けに「同時に供給不足になる」リスクがある。

この場合、生産において電力供給の安定性が要求される半導体製造企業の停止や、場合によると病院など、人間の声明に関わる設備の稼働が停止する可能性も出てくる。

つまり、脱炭素完了後の世界がどのような世界になるか、現時点ではなんとも言えないが、「いつでも人間の都合で発電できる仕組み」は完全に脱炭素が完了するまでは少なくとも維持しておく必要がある、ということである。

欧州ではフランスが原子力発電の開発・拡大を掲げている。危機的な事故が発生した時の環境汚染度合いは最も高いが、脱炭素、という観点からすると最も温室効果ガスの排出が少ない。日本の場合は原発の再稼働が難しい環境にあるため、結局化石燃料に頼らざるを得なくなると考えられる。

現在でも「化石燃料の上流投資は止めるべきだ」という論調が欧州を中心に強い。

仮に完全脱炭素が完了し、仮に化石燃料価格の影響を受けない世の中が達成可能だとしても、上流部門投資が減少する中、脱炭素が完了するまでは厳冬・猛暑、渇水・洪水などで化石燃料を使わざるを得ない場合、供給がタイトな状態であるため価格は急上昇しやすくなる。

逆にその季節が終了すれば価格は急落することになるため、電力価格のみならず、ガソリンなどの燃料価格も「高い水準で乱高下」する可能性が高い。

米中対立のリスク

米中は「協業可能なところでは協業を」というトーンではあるものの、米中対立が続く中では製造業は安定した数量・価格で調達できないリスクが高まることが予想される。

特に今回の新型コロナウイルス問題で判明したことは、「世界の工場」となった中国が多くの生活必需品、製品製造の必須部品のサプライチェーンにおいて非常に重要な地位を占めていることだ。

中国が穏健で、西側諸国(親米国)との関係が良好であるならばそれでも問題はないが、習近平国家主席が2020年4月の共産党内の会議で「世界のサプライチェーンの我が国への依存関係を高め、中国に供給を停止する外国への強力な反撃・抑止力を形成しなければならない」と自ら発言しているように、サプライチェーンの中国一極集中のリスクは格段に高くなっている。

そうなると、米国圏・中華圏共にビジネスを展開しようとした場合、両陣営の基準にあわせた調達・(製品)供給体制を整える必要が出てくる。これは米国基準、中国基準、両方を満たすために製造ラインを2つ保有しなければならない可能性が出てくる、とも言い換えられるだろうか。

また、米国も景気刺激といいつつも、1兆ドル規模のインフラ投資を行う計画である。これは国富を集中して、中国に対抗できる国にという米議会の方針を示したものであり、こうした投資も資源価格を押し上げることになるだろう。

今後の世界

脱炭素と米中対立は政治的な対立でもあるため、米昼間選挙や大統領選挙のタイミングで逆回転する可能性はある。例えば脱炭素は共和党が勝利すれば「元に戻す」という可能性もある。それでも中国・インドインフラ投資はこの10年は同時に進むと予想されるため、投資コストの上昇が資源価格を押し上げるだろう。

また、脱炭素を巡る政治的な動きで需要の高まる資源(元素)の期待需要は非常に不安定に推移し、価格の変動性が増すことが予想される。また、化石燃料の上流部門投資が抑制されれば、気候の変化で価格が乱高下する可能性は高い。

既に商品の価格変動性は増している。実際、銅と原油の価格変動性は通常よりも高く、40%内外での推移だ。これはおよそ7割の確率で、現在の価格が1年後に±40%の価格変動が有り得ることを示唆している。

つまり、市場価格の変動性が低いときには、「使用量の削減」や「省エネ」の効果は大きかったが、恐らく資源価格の上昇が予想される中では使用量の削減を進める数量のリスクマネジメントだけではなく、価格面のリスクマネジメントも非常に重要な経営課題になると予想される。

◆主要ニュース


・12月日本製造業PMI速報 51.1(前月改定 53.0)
 サービス業 54.2(54.5)
 コンポジット 51.8(53.3)

・11月首都圏マンション販売 前年比+95.4%の5,452戸
 (前月▲38.8%の2,055戸)

・12月ユーロ圏製造業PMI速報 58.0(前月改定 58.4)
 サービス業 53.3(55.9)
 コンポジット 53.4(55.4)

・12月独製造業PMI速報 57.9(前月改定 57.4)
 サービス業 48.4(52.7)
 コンポジット 50.0(52.2)

・10月ユーロ圏貿易収支(季節調整済) 24億ユーロの黒字
(前月61億ユーロの黒字)
 調整前 36億ユーロの黒字(73億ユーロの黒字)

・11月EU27ヵ国新車登録台数 前年比▲20.5%の713,346台
 (前月▲30.3%の665,001台)
 年初来±0.0%の8,904,900台(+2.2%の8,191,709台)

 欧州合計 ▲17.5%の864,119台(▲29.3%の798,693台)
 年初来 +0.8%の10,824,670台(+2.7%の9,960,706台)

・11月独生産者物価指数 前月比+0.8%(前月+3.8%)
 前年比+19.2%(+18.4%)

・12月独IFO企業景況感指数 94.7(前月 96.6)
 期待指数 92.6(94.2)
 現状指数 96.9(99.0)

・11月ユーロ圏消費者物価指数 前月比+0.4%(前月+0.8%)
 前年比+4.9%(+4.1%)、コア指数 +2.6%(+2.0%)

・米週間新規失業保険申請件数 206千件(前週188千件)
 失業保険継続受給者数 1,845千人(1,999千人)

・11月米住宅着工件数 前月比+11.8%の167.9万戸(前月▲3.1%の150.2万戸)

・11月米住宅建設許可件数 前月比+3.6%の171.2万戸(前月+4.2%の165.3万戸)

・12月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数 15.4(前月39.0)
 新規受注 13.7(47.4)
 仕入価格 66.1(80.0)
 販売価格 50.4(62.9)
 受注残 11.4(27.4)
 入荷遅延 31.4(35.7)
 在庫水準 13.2(13.5)
 雇用者数 33.9(27.2)
 6ヵ月先景況指数 19.0(28.5)

・11月米鉱工業生産 前月比+0.5%(前月+1.7%)
 設備稼働率 76.8%(76.5%)
 製造業生産 +0.7%(+1.4%)

・12月米製造業PMI速報 57.8(前月改定 58.3)
 サービス業 57.5(58.0)
 コンポジット 56.9(57.2)

・12月カンザスシティ連銀製造業活動 24(前月24)
 生産 10(17)、出荷 20(2)
 仕入価格 73(77)、販売価格 43(50)
 新規受注 27(▲4)、受注残 13(10)
 輸出 3(7)、サプライヤー納期 44(57)
 原材料在庫 23(21)、完成品在庫 7(▲2)

・ECB政策金利を±0.00%に据え置き。上限政策金利も0.25%に据え置き、下限政策金利は▲0.5%に据え置き。パンデミック緊急拡大プログラム(PEPP)は2022年3月で終了。代わりにAPPはQ222から400億ユーロに増額、Q322は300億ユーロに。

・ECBラガルド総裁、「ECBが来年利上げをする可能性は極めて低い。オミクロン株の経済への影響は分析できていない。」

・日銀当座預金残高の預金金利 ▲0.1%(前回 ▲0.1%)、10年債金利の誘導目標 ±0.0%(±0.0%)、ETF、REITの買い入れ方針は現状維持。

・米駐中大使にニコラス・バーン氏指名、上院は賛成多数で承認。

・S&P、中国恒大を格下げ。一部デフォルトに。

・米国、EUに対してロシアのエネルギー・銀行などの企業への制裁を要請。

・仏、英国からの入国を原則禁止。オミクロン株の感染拡大で。

・トルコ中央銀行、4ヵ月連続で政策金利引き下げ。

・ロシア中銀政策金利を7.5%から8.5%に引き上げ。次回、2月の会合でも引き上げの必要性を示唆。

・FRBウォーラー理事、「3月15-16日の会合で利上げを行う可能性がある。テーパリングを3月に終らせた意図はそこにある。」

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】

・DOE天然ガス稼働在庫 3,418BCF(前週比▲87BCF)
 東部 818BCF(▲25BCF)
 中西部 982BCF(▲37BCF)
 山間部 199BCF(▲7BCF)
 太平洋地区261BCF(▲5BCF)
 南中央 1,158BCF(▲13BCF)

・ベイカー・ヒューズ週間米国石油リグ稼働数475(前週比+4)
 ガスリグ 104(前週比▲1)。

・ロシア、土壇場でポーランド経由のパイプラインの約30%を予約。

【メタル】

・11月中国粗鋼生産 前年比▲18.4百万トンの69.3百万トン(前月 71.6百万トン)

・11月中国精錬銅生産 前年比▲68千トンの877千トン(前月 855千トン)

・11月中国銅製品生産 前年比+23千トンの1,937千トン(前月 1,701千トン)

・11月中国精錬亜鉛生産 前年比▲8千トンの572千トン(前月 532千トン)

・11月中国精錬鉛生産 前年比+45千トンの673千トン(前月 622千トン)

・11月中国プライマリアルミ生産 前年比▲81千トンの3,101千トン(前月 3,132千トン)

・11月中国アルミ製品生産 前年比▲0.18百万トンの5.20百万トン(前月 4.84百万トン)

・ペルー、Las Bambas鉱山の地域住民が企業側の和解案を拒否、MMGは主要な鉱山の稼働停止を始める。

・PPC、2022年の銅供給は前年比+2.6%の2,485万4,000トン、需要は+2.4%の2,474万5,000トンを想定、需給バランスは+5万2,000トンの供給過剰を予想(前年+10万9,000トンの供給過剰)。コロナの影響があるも主要鉱山からの大規模な生産停止は想定せず、大規模鉱山の稼働で銅精鉱需給が緩和に向かうと予想。需要は中国の価格抑制方針で減速も、長期的には再エネ向けの需要が増加するため強気の見通し。

・Rusal、シベリアのTaishetアルミ精錬所を稼働(42万8,500トン/年)

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.SHF亜鉛 ( ベースメタル )/ +3.33%/ +14.67%
2.パラジウム ( 貴金属 )/ +3.14%/ ▲26.96%
3.SHF 銀 ( 貴金属 )/ +2.25%/ ▲15.23%
4.SHFアルミ ( ベースメタル )/ +2.23%/ +24.23%
5.SHFニッケル ( ベースメタル )/ +2.01%/ +17.06%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
66.欧州排出権 ( その他 )/ ▲13.55%/ +124.85%
65.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ ▲4.06%/ +511.52%
64.CME木材 ( その他農産品 )/ ▲2.68%/ +24.74%
63.NYM RBOB ( エネルギー )/ ▲2.58%/ +50.65%
62.ビットコイン ( その他 )/ ▲2.57%/ +62.91%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :35,365.44(▲532.20)
S&P500 :4,620.64(▲48.03)
日経平均株価 :28,545.68(▲520.64)
ドル円 :113.63(▲0.04)
ユーロ円 :127.72(▲1.07)
米10年債 :1.40(▲0.01)
中国10年債利回り :2.89(▲0.00)
日本10年債利回り :0.05(+0.00)
独10年債利回り :▲0.38(▲0.03)
ビットコイン :46,873.03(▲1238.65)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :32.94(▲0.26)
エネルギー :59.61(▲0.42)
ベースメタル :24.82(▲0.33)
貴金属 :28.57(+0.14)
穀物 :25.48(▲0.27)
その他農畜産品 :27.52(▲0.27)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :63.20(+0.11)
Brent :54.89(▲0.46)
米天然ガス :58.94(▲1.59)
米ガソリン :61.53(+0.48)
ICEガスオイル :57.71(▲1.71)
LME銅 :19.70(▲1.05)
LMEアルミニウム :25.49(+0.42)
金 :16.87(▲0.23)
プラチナ :29.46(▲0.28)
トウモロコシ :14.84(▲0.12)
大豆 :16.87(▲0.23)

【エネルギー】
WTI :70.86(▲1.52)
Brent :73.52(▲1.50)
Oman :72.34(▲1.38)
米ガソリン :212.17(▲5.61)
米灯油 :221.99(▲4.64)
ICEガスオイル :641.50(▲11.50)
米天然ガス :3.69(▲0.08)
英天然ガス :344.90(▲14.58)

【貴金属】
金 :1798.11(▲1.24)
銀 :22.37(▲0.12)
プラチナ :935.80(▲4.50)
パラジウム :1788.72(+54.41)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :9,505(+10:15B)
亜鉛 :3,395(+38:35B)
鉛 :2,313(▲6:11.5B)
アルミニウム :2,711(+66:17C)
ニッケル :19,700(+200:140B)
錫 :38,800(+300:750B)
コバルト :70,291(+681)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :9446.00(▲31.50)
亜鉛 :3381.00(▲76.00)
鉛 :2303.50(▲9.50)
アルミニウム :2733.50(+52.50)
ニッケル :19620.00(▲30.00)
錫 :38420.00(▲660.00)
バルチック海運指数 :2,379.00(▲119.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR中国、1営業日前) :115.9(+3.14)
SGX鉄鉱石 :111.79(+1.68)
NYMEX鉄鉱石 :111.64(+0.45)
NYMEX豪州原料炭スワップ先物 :335.33(▲0.17)
大連原料炭先物 :324.53(+2.15)
上海鉄筋直近限月 :4,680(+6)
上海鉄筋中心限月 :4,521(+44)
米鉄スクラップ :585(±0.0)

【農産物】
大豆 :1285.25(+8.00)
シカゴ大豆ミール :379.50(+7.20)
シカゴ大豆油 :53.88(▲0.77)
マレーシア パーム油 :4879.00(+2.00)
シカゴ とうもろこし :593.25(+2.00)
シカゴ小麦 :775.00(+4.50)
シンガポールゴム :192.50(+1.20)
上海ゴム :14530.00(+125.00)
砂糖 :19.11(▲0.29)
アラビカ :235.90(▲1.05)
ロブスタ :2439.00(+8.00)
綿花 :107.30(▲2.38)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :80.80(+0.45)
シカゴ生牛 :134.75(▲0.53)
シカゴ飼育牛 :160.25(▲2.33)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。