ポジション調整一巡、注目は再び金融政策へ
- MRA外国為替レポート
2021年12月13日号
◆先週の市場総括
先週はオミクロン株に対する過度な警戒感が後退しリスク選好が回復。米国株を中心に株価は持ち直し、米10年債利回りも反発上昇した。2年債利回りは利上げ前倒しを織り込んで0.7%に迫った。
前週末まではリスクポジションの圧縮や手仕舞いで株安、円高、ドル安が進んだが、その流れは週初に一服した。米政権のファウチ首席医療顧問が感染者の重症化度合いは低そうだと述べたことが支え。
中国人民銀行が預金準備率を引き下げるなど当局が景気下支え策を強化したことも好感された。
インフレ高進が警戒されるなか週末に発表された米国の消費者物価指数(11月)は、前年同月比+6.8%に加速したが市場の予想通りで過度な警戒感が一服。株価を支えた。
NYダウは前週末比で約1,500ドル上昇し35,970ドルと36,000ドル目前を回復。ナスダックも+550ドル上昇して15,630ドル。日経平均は29,000円の大台手前で利益確定売りが優勢となったが前週末の28,000円ちょうど近辺から反発した。
ドル円相場は週初に113円台を回復すると113円台後半で推移する時間帯が長かった。引けは113円台半ば。ユーロ円相場も129円台に乗せる場面もあるなど堅調。ユーロドル相場は1.13を中心に推移し横ばい。円が総じて軟調。
月曜日の東京市場では日経平均が小幅下落。前週末に米国のグロース株・高PER銘柄が大きく下落した影響で、日本株もハイテク関連株中心に下落。寄付き直後に前週末比▲300円下落し27,700円へ。
一方、値ごろ感から押し目買いも根強く、米国株先物が堅調に推移したこともあり、じり高となり下げ幅を縮めて引けにかけては27,900円~950円でもみ合い。前週末比▲102円安の27,927円で引け。
為替市場ではドルが堅調。ドル円相場は112円80銭で始まり小高く90銭~113円ちょうど近辺でもみ合い。夕刻から欧州市場にかけては113円30銭に上昇した。
ユーロドル相場は1.1310で始まり1.1270台に下落。ユーロ安ドル高。ユーロ円相場は127円70銭で始まり軟調。127円50銭~60銭で推移した。
欧州市場ではユーロが持ち直し。ユーロドル相場は1.1310へ、ユーロ円相場は128円ちょうどへ反発。ドル円相場はやや押され113円10銭~20銭で推移した。
米国株は主要3指数がそろって反発。オミクロン株への懸念が後退し景気敏感株中心に買われNYダウは大幅高。前週末比+646ドル高の35,227ドルで引けた。ナスダックは+139ドル高の15,225ドル。
バイデン政権のファウチ主席医療顧問はオミクロン株に関して、明確な見解を示すには時期尚早だが感染者の重症化度合いはそれほど高くないようだ、と述べた。VIX指数は▲3.49ポイント低下して27.18。
原油価格WTI先物は前週末から3ドルほど上昇して69.49ドル。米2年債利回りは0.631%に上昇。10年債利回りも1.435%に上昇した。
ドル円相場は113円50銭に上昇した後、30銭~50銭で上下して引けは50銭近辺。ユーロドル相場はユーロ安ドル高に振れて1.1270~90で上下して引けは1.1280近辺でもみ合い引け。
ユーロ円相場は127円70銭に下落した後、反発して128円ちょうど~128円10銭。ドルインデクスは96.29。中国人民銀行はこの日、預金準備率の引き下げを発表。中小企業の資金繰り支援を行い、経済を支える姿勢を示した。
火曜日の東京市場では日経平均が大幅反発。オミクロン株に対する過度な警戒感が後退。前日に米国株が大きく上昇したことも支え。景気敏感株を中心に買われた。
寄付きは28,200円近辺で高寄りし、28,000円に小幅押されたものの、その後は終始右肩上がり。引け間際には28,600円をつけ28,455円で引けた。
発表された中国の11月の貿易統計は、貿易収支が前月845億ドルの黒字から717億ドルの黒字に減少。輸出は前年同月比+22.0%と前月+27.1%から伸びが鈍化、一方で輸入は+31.7%と前月+20.6%から伸びが加速した。
為替市場ではリスク選好の回復でクロス円相場を中心に円が軟調。ドル円相場は113円50銭を中心にもみ合いの後、上昇して70銭近辺で推移。ユーロ円相場は128円ちょうど近辺で始まり128円50銭に上昇。ユーロドル相場は1.1280で始まり上昇して1.1290~1.13ちょうど。
欧州市場に入るとユーロが下落。ユーロ円相場は127円70銭へ、ユーロドル相場は1.1230へ下落した。ドル円相場はユーロ円相場の下落に押されて113円50銭に反落。
発表されたドイツZEW景況感指数(12月)は前月31.7から29.9に悪化。現況指数は12.5から▲7.4に大幅悪化。感染拡大や供給制約が重石となったとされた。一方、欧州株は堅調。
米国市場では米国株が大幅続伸。前日にオミクロン株への警戒感が後退した流れが続き、この日はハイテク株も堅調。NYダウは+493ドル高の35,720ドル。ナスダックは+461ドル高の15,686ドル。VIX指数は▲5.29ポイント低下して21.89と市場心理は落ち着きを取り戻した。
原油価格WTI先物は+2.5ドル上昇して72ドル。米10年債利回りは1.477%に、2年債利回りは0.685%に上昇した。
ドル円相場は113円80銭に上昇した後、50銭~80銭で上下を繰り返し引けは113円50銭近辺。
ユーロ円相場は127円70銭~90銭でもみ合いの後、127円90銭~128円ちょうどに上昇。ユーロは対ドルでも持ち直し1.1270で引けた。
なおオーストラリア準備銀行は金融政策決定会合を開き、政策金利の据え置きと現状の資産買い入れを来年2月まで継続することを決定した。ロックダウンの影響での景気回復停滞を考慮。ただしオミクロン株については経済拡大を妨げるとみていない、と楽観的な見方を示した。
水曜日の東京市場では日経平均が大幅続伸。28,800円台半ばで高寄りし、すぐに600円近辺に反落したがその後は堅調。後場は28,800円~900円で推移し引けは前日比+405円高の28,860円。オミクロン株への警戒感が後退する流れが続いた。
米国ハイテク株が大幅高となったことでグロース株が堅調。引けにかけては週末のSQを意識した買いが支えたとみられる。中国株もこのところの当局の景気てこ入れ姿勢を受けて堅調。
発表された7-9月期GDPは小幅下方修正。景気ウォッチャー調査(11月)は現況指数が前月55.5から56.3に改善も先行きは小幅悪化。
ドル円相場は113円50銭を中心に上下。夕刻から欧州市場にかけては113円30銭~60銭で上下した。ユーロ円相場は127円90銭~128円ちょうどでもみ合いの後20銭近辺に上昇したが、その後は上値重く128円ちょうど~20銭で上下。
ユーロドル相場は1.1270で始まりやや上昇して1.1290近辺でもみ合い。
米国株は小幅高。NYダウは小幅高で上昇一服。前日比+35ドル高の35,754ドル。ナスダックは+100ドル高の15,786ドル。前日までに大幅に上昇した後で、来週のFOMCも視野に入り慎重。消費関連に買いが入ったものの利益確定売りもあり上昇力は鈍かった。
VIX指数は▲1.94ポイント低下して19.95で投資家心理が落ち着きを取り戻していることを示した。
ファイザー社はワクチン3回の接種でオミクロン株に予防効果があると表明。
JOLT求人件数(10月)は11,033千件と前月10,602千件から増加して企業の求人意欲が極めて強く、労働市場が引き続き堅調であることを示した。
米10年債利回りはリスク選好が回復するなか入札が不振で1.528%へ大きく上昇。2年債利回りは0.684%に高止まり。為替市場ではリスク選好の回復を反映した値動き。
円が全面安。ドルも軟調。クロス円相場中心に円安が進んだ。ユーロ円相場は128円ちょうど近辺から129円10銭に上昇。ユーロは対ドルでも1.1270から1.1350近辺へ上昇。
ドル円相場は113円90銭に上昇した後は反落して113円60銭~70銭。引けは113円70銭近辺。その他、豪ドル円相場、NZドル円相場でも円安。豪ドル、NZドルは対ドルでも上昇した。
木曜日の東京市場では日経平均が小幅反落。前日まで2日間で900円超上昇した後、29,000円目前で利益確定売りが優勢となった。
円安一服は輸出関連銘柄に重石。寄付きからじり安となり▲135円安の28,725円で安値引け。中国恒大集団のドル債務利払いが確認できず格付け機関フィッチは一部デフォルトを認定した。
為替市場ではアジア時間から欧州、米国市場にかけて終始ユーロが下落。来週のECB理事会で、従来の資産購入プログラムを一時的かつ限定的拡大を検討する、との報道がユーロ安を促した。
欧州では感染拡大で行動規制が広がるが、イギリスが感染拡大により行動規制を強化。欧州株は全般が下落。ユーロドル相場は東京市場1.1350から夕刻1.1320に下落した後下げが加速。欧州から米国市場にかけて1.1280まで大幅安となった。引けは1.1290近辺。
リスク選好が後退するなか東京市場で円安は一服、円は全般に堅調。ユーロ円相場は129円ちょうどで始まり夕刻には128円40銭~50銭。その後続落して127円90銭台に下落した。
米国市場の引けはやや戻して128円10銭。ドル円相場も株安、リスク回避、米長期金利低下で軟調。米10年債利回りはアジア時間から低下した。113円70銭~80銭でのもみ合いで始まり夕刻には40銭に下落、その後欧州時間には下げ止まり113円50銭中心に推移した。
米10年債利回りは米国市場で1.48%割れに低下。ドル円相場は113円30銭に下落した。ただ30年債入札が不調となると米10年債利回りは反発して1.50%台に上昇。2年債利回りは引き続き上昇傾向で0.692%と0.7%に迫った。
ドル円相場は113円60銭に反発して引けは113円50銭。米国株は消費者物価指数の発表を翌日に控え様子見ムードが強かった。
NYダウは前日とほぼ変わらず35,754ドル。米債利回りが反発したこともありナスダックは大きく下落。引けは▲269ドル安の15,517ドル。VIX指数は+1.68ポイント上昇し21.58。週次の失業保険新規申請件数は184千件とさらに減少して52年ぶりの低水準となった。
金曜日の東京市場では日経平均が続落。前日に米国ハイテク株が大きく下落したことを受けてグロース株中心に売りが先行。米国の消費者物価指数の発表を前に持ち高調整の売りも入った。
28,500円台で安寄りした後は500円~600円でもみ合い、引けにかけて下落して前日比▲287円安の28,437円で取引を終えた。
ドル円相場は113円50銭で始まり午前中に一時30銭台に下落したが概ね50銭中心に上下。ユーロ円相場も同様に128円10銭で始まり一時127円90銭台に下落したが、その後は128円20銭~30銭でもみ合い。ユーロドル相場は1.1290~1.13ちょうどでもみ合い。
東証引け後から欧州市場ではドルが堅調。ドル円相場は113円80銭に上昇。ユーロドル相場は1.1270に下落。
注目の米国消費者物価指数(CPI、11月)は前月比が+0.8%と前月+0.9%から上昇率がやや鈍化、一方、前年同月比は+6.2%から+6.8%に加速して39年振りの高水準となった。
コア指数は前年同月比+4.6%から+4.9%に加速。ただ予想通りの数字で警戒感を強めていた市場は落ち着きを取り戻した。
米10年債利回りはやや低下して1.489%、2年債利回りは0.66%。高PER銘柄、ハイテク関連株は堅調。ナスダックは+113ドル高の15,630ドル。NYダウは+216ドル高の35,970ドル。VIX指数は▲2.79ポイント低下して18.79。
為替市場ではCPI発表後にドルが反落。ドル円相場は大きく反落して一時113円20銭台をつけたが、その後は持ち直し113円40銭~50銭で引け。ユーロドル相場は1.1320へユーロ高ドル安が進んだ。ユーロ円相場は127円80銭に下落した後、反発して128円40銭で引けた。
発表されたミシガン大学消費者信頼感指数(12月)は前月67.4から70.4に改善した。
◆今週の3つの注目ポイント
今週は各国で金融政策決定会合が相次ぐ。
1.FOMC(連邦公開市場委員会)、パウエル議長会見
14日火曜日・15日水曜日の2日間にわたりFOMCが開催される。
結果は日本時間木曜日未明4:00。同4:30からパウエル議長が会見を実施する。
今回の会合では、量的緩和縮小ペースの加速、前回決定の倍額300億ドルとして終了時期を前倒しすることが検討されると予想されている。
声明文では「インフレは一時的」との文言が削除される見込み。同時に公表されるメンバーの予測で政策金利見通しが早期利上げ、前回から前倒しを示すか。パウエル議長の発言も含めてタカ派姿勢があらためて確認されるか。長期金利に上昇圧力がかかりドルを支えることとなるか。
2.米国の経済指標
今週は重要指標の発表が多い
火曜日 生産者物価指数(PPI、11月、前年同月比、予想+9.2%、前月+8.6%)
水曜日 NY連銀製造業景気指数(12月、予想25.0、前月30.9) 小売売上高(11月、前月比、予想+0.8%、前月+1.7%) 輸入物価指数(同、前月比、予想+0.8%、前月+1.2%)
木曜日 住宅着工件数(11月、季節調整済み年率換算、予想1,570千件、前月1,520千件)、 週間新規失業保険申請件数 フィラデルフィア連銀製造業景気指数(12月、予想28.5、前月39.0) 鉱工業生産(11月、前月比、予想+0.7%、前月+1.6%) 設備稼働率(予想76.8%、前月76.4%) PMI景況感指数(12月、製造業、予想58.5、前月58.3 サービス業、予想58.8、前月58.0)
3.ECB理事会、ラガルド総裁会見、日銀金融政策決定会合、黒田総裁会見
木曜日にECB理事会が開催され終了後にラガルド総裁が会見を行う。欧州では感染再拡大が深刻化しており景気への悪影響が懸念される。
先週はECBが一時的に景気下支えのために緩和を強化する、との報道もあった。ラガルド総裁は2022年の利上げの可能性は少ないと表明しており、今回の会合でどの程度ハト派姿勢の強化がみられるか。
一方、日銀金融政策決定会合が木曜日、金曜日の2日間開催される。日本国内では感染状況は極めて落ち着いているもののインフレ圧力はなお弱く緩和姿勢の維持が想定される。
日米欧の金融政策スタンス格差、限界的な姿勢変化が注目され、それに応じて主要3通貨の強弱に影響しよう。
また木曜日にはイギリス中銀、メキシコ中銀、トルコ中銀が政策決定会合を開催。イギリスは据え置き、メキシコは利上げ、トルコは利下げが予想されている。
ほか、月曜日には日銀短観が発表され業況判断DIが小幅改善する見込み。水曜日には中国の主要経済指標(小売売上高、鉱工業生産、固定資産投資)が発表される。また木曜日には日本の貿易収支(11月)が発表される。
◆今週のMRA's Eye
ポジション調整一巡、注目は再び金融政策へ
オミクロン株が確認されて2週間ほど経った。なおも詳細な解明はされていないが、どうやら感染力が極めて強いものの重症化率は低いということが判明しつつあるようだ。
それにともなって市場の過度な警戒感は鎮静化しつつある。
株価は反転上昇。為替市場では円高が一服した。いずれもリスクポジションの手仕舞いが要因。とりあえずポジションを落としておこうという動きがもたらした。
ネガティブショックで急速にリスク回避が強まった場合、通常は手仕舞いが生じるが、1週間ないし2週間程度で終わるのが通常。いつまでもポジション整理が続くことはなく、またそれによる相場動向がトレンドとして継続することはない。
リスク回避が続くケースは景気悪化トレンドが続く場合で、それがなければ一時的・短期的な値動きにとどまる。もともとそうした性質があるところに、今回はオミクロン株に関する不安感を鎮静化する情報が加わり、ほぼ1週間程度でポジション調整が一巡した。
ただこれで市場のリスク選好が急速に回復するかというと難しいだろう。
重症化リスクは少ないとみられるとはいえ、欧州では感染拡大による経済活動規制強化の動きがみられる。少なからず景気に悪影響をもたらす可能性はあろう。一方、米国では感染拡大の悪影響はみられないが、こちらは金融正常化が加速する可能性がある。
量的緩和縮小(テーパリング)のペース加速や、縮小終了時期が前倒しとなることによって利上げ開始も前倒しとなる可能性が織り込まれつつある。
これらはリスク選好を抑制しリスク資産価格の上値を重くする要因だ。加えて年末というタイミングもある。来年の見通しに不透明感が強まるなか休暇シーズンを迎えている状況では、積極的にリスクをとろうという動きは抑制される。
今週は日米欧で金融政策決定会合が開催され、それぞれスタンスの違いが明確となりそうだ。
FOMCではテーパリングのペース、毎月の資産購入額の縮小を倍増し、終了時期を6月から3月頃に前倒しするのではないか、との市場観測が強まっている。
テーパリングの終了が利上げの前提条件だが、その結果、利上げ開始も早めることが可能となる。その結果、市場の利上げ織り込みは来年2回から3回が主流になりつつある。
今回はメンバーによる景気・物価・金利予測が示されるが、政策金利の予測が前回9月会合から利上げ前倒しを示すようなら、市場の見方を後押しすることになる。
将来の利上げを反映しやすい2年債利回りは0.7%近辺まで上昇した。一方で10年債利回りは景気拡大が抑制されるのではないか、との見方もあり、上昇が抑制されている。
ただインフレ率は高止まりするとみられ、2年債-10年債利回り格差が縮小しつつも全体の水準が上昇する流れが続きそうだ。仮に景気拡大が明確に続く場合には10年債利回りの上昇が加速するリスクもある。
一方、欧州では感染拡大による景気回復の停滞が懸念され、ECBが金融正常化・量的緩和縮小ではなく、逆に一時的に緩和を強化するとの報道もあった。
木曜日のECB理事会でどの程度ハト派的なスタンスが示されるか。FRBがどの程度タカ派的なスタンスに振れるか注目されているのとは正反対だ。
こうした状況はある程度織り込み済みではあるが、金融政策に関しては材料出尽くしとはなりにくい。
ユーロドル相場はここ1か月ほど1.12~1.13近辺でもみ合いが続いている。ただ今後もユーロ安ドル高基調が継続するリスクが高い。その結果、ドルインデックスは上昇基調となるとみられる。今回の両会合でどの程度の政策ギャップが明らかとなるかは注目される。
日銀も金融政策決定会合を開催する。政治・政策との連携姿勢が根強いが、新政権のもとでどのようなニュアンスが示されるか。
安部政権ではリフレ政策がメインとなり、大規模な金融緩和、ゼロ金利政策と積極的な量的緩和が展開された。足元でも安倍元首相は積極財政とそれを支える日銀の大規模量的緩和・国債購入を主張している。
一方、岸田政権はややスタンスが異なるようだ。景気対策を強化しつつも財政健全化も重視している。ただ政府が景気対策を強化するなか日銀にも緩和継続圧力がかかることには変わりはない。
また一般的に、政府が財政健全化に軸足を移すのであれば、金融政策は緩和的な政策をとりやすい。
感染状況という観点からは円には最も安心感があろう。ただ市場の関心が感染状況から離れ、金融政策を重視するなら引き続き円が軟調となりそうだ。
ただリスク選好が強まりにくい状況では投機的な円売りは抑制され、円安の勢いは緩慢にとどまるだろう。
とくに年内は市場参加者が動きにくく、新たなリスクポジションをとる動きが抑制されるなら、ドル円相場は113円台~114円台の動きとなるか。115円台に再び乗せてくるのは来年に入ってからとなりそうだ。
メインシナリオにおけるリスクバイアスはドル高円安。ドルは独歩高となり、円とユーロは当面弱さ比べの点で同等か。
ユーロ円相場は横ばい圏の動きとみるのがメインシナリオ。ただリスク選好の後退や欧州経済の停滞、ECBの一時的緩和強化、が明確となれば、一時的に円よりもユーロが軟調となる可能性もある。
◆主要指標
【対円レート】
ドル :113.44(▲0.05)
ユーロ :128.32(+0.15)
英ポンド :150.534(+0.50)
豪ドル :81.325(+0.23)
カナダドル :89.166(▲0.11)
スイスフラン :123.141(+0.28)
ブラジルレアル :20.1999(▲0.16)
中国人民元 :17.8(+0.01)
韓国ウォン(日本円=100) :9.599(▲0.07)
【対ドルレート】
ユーロ :1.1313(+0.002)
英ポンド :1.3273(+0.005)
豪ドル :0.7172(+0.002)
カナダドル :1.2722(+0.001)
スイスフラン :0.9213(▲0.002)
ブラジルレアル :5.6092(+0.029)
中国人民元 :6.37(▲0.008)
韓国ウォン :1181.19(+7.16)
【主要国政策金利】
米国 :0.25
ユーロ :0.00
日本 :0.00
【主要国長期金利】
米10年債 :1.48(▲0.02)
米2年債 :0.65(▲0.03)
日本10年債利回り :0.06(+0.01)
日本2年債利回り :0.06(+0.00)
独10年債利回り :▲0.35(+0.01)
独2年債利回り :▲0.69(+0.01)
【主要株価指数・ビットコイン】
NY ダウ :35,970.99(+216.30)
NASDAQ :15,630.60(+113.23)
S&P500 :4,712.02(+44.57)
日経平均株価 :28,437.77(▲287.70)
ドイツ DAX :15,623.31(▲15.95)
インド センセックス :58,786.67(▲20.46)
中国上海総合 :3,666.35(▲6.69)
ブラジル ボベスパ :107,758.30(+1,467.10)
英国FT250 :22,927.71(▲220.33)
ビットコイン :47952.18(▲45.58)
【主要商品価格】
WTI :71.67(+0.73)
Brent :75.15(+0.73)
米ガソリン :213.72(+0.88)
米灯油 :225.16(+0.13)
金 :1782.84(+7.51)
銀 :22.20(+0.23)
プラチナ :945.65(+6.69)
パラジウム :1764.32(▲52.95)
銅 :9531.00(▲26:12B)
アルミニウム :2619.00(▲15:6B)
※貴金属はニューヨーククローズ。ベースメタルは3ヵ月公式セトル価格。
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック
シカゴ大豆 :1267.75(+3.25)
シカゴ とうもろこし :588.50(±0.0)
シカゴ小麦 :782.00(+8.50)
※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。
※ 「休場」となっているものは、取引所が休場ないしはデータ更新時点で最新データを取得できなかった場合を指します。