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過渡期か転換点か~米長期金利動向が意味するもの
  • MRA外国為替レポート

2022年1月10日号

◆先週の市場総括


先週は、週初に米国株は堅調に始まったが、週末にかけてFRBの金融正常化前倒し観測が強まり高PER銘柄・ハイテク株を中心に下落した。世界的な感染拡大のなかでも景気回復継続期待は維持された。

しかし水曜日に公表された12月のFOMC議事録であらためてタカ派姿勢が確認され、とくにバランスシート縮小に前向きな意見がみられたことで、金融正常化前倒し懸念が強まった。

米10年債利回りは週初から上昇していたが、さらに上昇が加速し週末には一時1.8%をつけた。2年債利回りも利上げを着実に織り込んで週末には一時0.90%に達した。

ドル円相場は米金利上昇やリスク選好に支えられ116円30銭台に上昇した。ただ本邦輸出勢の円買いや週末にかけてはポジション調整のドル売りで下落し、115円台半ばで引けた。

ユーロドル相場は一時1.13を割り込んだが週初とほぼ同水準の1.13台半ばで引け。ユーロ円相場は小幅上昇して131円30銭近辺。

日経平均は大発会で大幅高となり29,000円台前半で推移したが、FOMC議事録公表後に大幅反落し、国内感染拡大の不透明感にも押されて週末の引けは28,500円近辺。

月曜日の東京市場は休場。アジア時間のドル円相場は115円10銭で始まり底固く小幅上昇して30銭近辺でもみ合い。ユーロドル相場は1.1370で始まりややユーロ安ドル高に振れて1.1340~50で推移した。

ユーロ円相場は130円90銭~131円ちょうどからユーロ安に振れて70銭~80銭で上下した後、夕刻は130円60銭。欧州市場に入るとユーロ安に一旦歯止めがかかったが、米国市場に入ると再びユーロ安ドル高が進んだ。

米国株は景気回復が継続するとの期待から景気敏感株が堅調。ハイテク株も上昇。年初で年金基金などの投資資金が流入した。

NYダウは年末比+246ドル高の36,585ドル。ナスダックは同+187ドル高の15,832ドル。VIX指数は▲0.62ポイント低下して16.60。

原油価格WTI先物は76ドル台に上昇。リスク選好が強まるなかドル金利先高感から米10年債利回りが大きく上昇して1.635%に、2年債利回りも0.778%に上昇。ドルを押し上げた。

ユーロドル相場は1.1280へ下落。ユーロ円相場はユーロ安主導で130円ちょうど近辺に下落した。その後ユーロ安は一服し、ユーロドル相場は1.1290~1.13ちょうど近辺でもみ合い。

ユーロ円相場は130円30銭に反発。ドル円相場はドル金利上昇、リスク選好が強まるなか上昇して115円30銭でもみ合い。

火曜日の東京市場は株式市場が大発会。年初から米国株が堅調に始まり投資家心理が強気に傾き堅調。昼過ぎにはドル高円安が進んだことで自動車関連銘柄が上昇した。半導体関連も上昇。ただ業績により銘柄選別の動きが目立った。

ドル円相場は115円30銭で始まり堅調。昼には50銭近辺から一段高となり115円70銭~80銭でもみ合いとなった。

ユーロ円相場も130円30銭から90銭へ上昇。ただ夕刻はドル高の勢いに押されて130円60銭に押された。ユーロドル相場は1.13ちょうど近辺で始まり上値重く小動き。

欧州市場から米国市場にかけてはドル高円安、ユーロ円相場は右肩上がりで円安が進んだ。ドル円相場は116円30銭に、ユーロ円相場は131円40銭に上昇した。米10年債利回りがさらに上昇して一時1.68%をつけドルを押し上げた。

感染拡大でも米国景気は堅調との見方がベースとなり景気敏感株がしっかり。長期金利上昇で金融株は堅調。

原油価格WTIは76.89ドルに上昇。エネルギー株も堅調。一方、金利上昇を受けて高PER銘柄・ハイテク株は下落した。NYダウは前日比+214ドル高の36,799ドル。

一方、ナスダックは▲210ドル安の15,622ドル。VIX指数は+0.29ポイント小幅上昇して16.89。

発表されたISM製造業景気指数(12月)は前月61.1から58.7に低下。JOLT求職者数(11月)は10,562千人と前月11,033千人から減少、いずれも水準は良好ながら予想より弱めだった。

米10年債利回りは引けにかけてやや低下して1.653%。ドル円相場は116円ちょうど近辺に下落して引けは116円10銭。ユーロ円相場は131円ちょうど近辺。ユーロドル相場は1.1280近辺。

水曜日の東京市場の日経平均は小動き。米国株が景気敏感株が堅調だったが半導体関連・グロース株が下落したことで個別銘柄選別・物色となった。

FOMC議事録の公表を前に警戒感で動意薄。引けは+30円高の29,332円。ドル円相場は116円10銭で始まり20銭をつけたが仲値近辺から円高に振れて115円90銭~116円10銭で推移。

ユーロ円相場は131円ちょうどを中心に130円90銭~131円10銭で上下。ユーロドル相場は1.1280で始まり底固く推移。夕刻の欧州市場に入り米国市場にかけてはユーロ安ドル高が進み、ユーロドル相場は1.1320へ、さらに米国時間も1.1320近辺で推移した。

ドル円相場は115円60銭に下落した後、米国時間には持ち直し。円は米国時間に対ドル、対ユーロで下落した。欧州ではECBが金融正常化に向けて動きを早めるとの見方が台頭。

米国ではADP雇用報告(12月)が発表され、雇用者数前月比増減が+807千人と前月+505千人から増加ペースが大きく加速。雇用の堅調さを示した。

また日本時間木曜日未明4時には12月に実施されたFOMCの議事録が公表され、内容がタカ派的と受け止められた。ほぼすべての参加者が、最初の利上げの後ある時点でバランスシートの縮小を始めるのが適切として、さほど時間をかけずに実施するとの議論が明らかに。

また前回の監査縮小よりも早いペースでバランスシートの縮小を実施すべきとの意見もみられた。

米10年債利回りは1.70%~1.71%に上昇。2年債利回りも0.83%に上昇。ドル円相場は米長期金利上昇に押し上げられて116円10銭台に上昇してもみ合い。

ユーロは反落してユーロドル相場は1.1310近辺、ユーロ円相場は131円30銭~40銭。

木曜日の東京市場では日経平均が大幅安。29,000円近辺で大幅安寄りした後、一貫して右肩下がりで安値引け。米国株が大幅安となったことを受けて全面安。金利上昇懸念から高PER銘柄中心に売られた。引けは前日比▲844円安の28,487円。

ドル円相場は116円10銭で始まり、仲値近辺で115円90銭へ下落。輸出企業など実需による円買いが上値を抑制したとみられる。その後は115円80銭~116円ちょうどでもみ合い、欧州時間に入ると115円70銭近辺に下落した。

リスク回避によるクロス円相場での円高にも押された。ユーロ円相場は131円30銭~40銭で始まり、株価下落・リスク回避が強まるなか欧州時間に入る夕刻には130円70銭に下落した。

ユーロドル相場は1.1310で始まりもみ合いの後、欧州時間に入ると1.1290へ小幅下落。

米国市場では株価主要3指数がそろって続落。強いリスク回避は一服したものの金融引き締めへの警戒感は根強く、高PER銘柄やハイテク株への売りが続いた。経済指標が弱めだったことも上値を抑えた。

NYダウは前日比▲170ドル安の36,236ドル。ナスダックは▲19ドル安の15,080ドル。VIX指数は▲0.12ポイント小幅低下して19.61。

原油価格WTIは一時80ドルをつけるなど上昇基調が続き79.46ドル。米10年債利回りは朝方一時1.75%をつけ、その後は弱めの経済指標を受けてやや低下して1.726%。2年債利回りは0.87%に上昇。

ドル円相場は115円80銭~90銭から弱めの経済指標、長期金利低下で115円60銭台に下落。ただその後はセントルイス連銀総裁のタカ派発言で持ち直して115円90銭近辺で引け。

ユーロドル相場は1.13中心に1.1290~1.1330で上下し引けは1.13ちょうど近辺。

経済指標は、週次の失業保険新規申請件数が207千人と前週200千人から増加。継続受給者数は1,754千人と前週1,718千人から増加。ISM非製造業景気指数(12月)は62.0と前月69.1から低下して予想67.3を大きく下回った。

セントルイス連銀総裁はタカ派として知られるが、3月利上げも可能、バランスシート縮小を行えば急激な利上げが回避できる、と述べた。

金曜日の東京市場では日経平均が朝方は前日の急落後の自律反発狙いの買いで高寄りし一時+300円ほど上昇。しかしその後は米国の金融正常化前倒しへの懸念や感染拡大への警戒感もあり反落。ハイテク株や値がさ株の一角が売られ、ほぼ前日引値水準に押し戻されて小動きもみ合いとなった。引けは前日比▲9円安の28,487円。

為替市場は雇用統計の発表を前に小動き。ドル円相場は115円90銭近辺でもみ合い、欧州市場に入るとやや下落して80銭中心のもみ合いとなった。ユーロ円相場は130円90銭~131円ちょうどでもみ合い、欧州市場では一時131円10銭に上昇したが、雇用統計前は130円80銭。

ユーロドル相場も同様に1.13ちょうど近辺でもみ合い、欧州市場に入り1.1320に上昇したが、指標前には1.13ちょうど近辺。

注目の米国の雇用統計(12月)は、非農業部門雇用者数・前月比が+199千人と予想+400千人を大きく下回り前月+249千人から増加幅が減少。

しかし失業率が前月4.2%から3.9%へ大幅低下して予想4.1%を下回って改善した。意図せざる短期就業を除いた失業率も7.7%から7.3%に低下。

平均時給は前年同月比が+5.1%から+4.7%へ上昇率が鈍化したが予想+4.2%を上回り、前月比は+0.6%と前月+0.4%から上昇が加速した。

この数字は労働市場の逼迫を示す強い数字と受け止められた。

米10年債利回りは一時1.8%に上昇し2年振りの高水準をつけ引けは1.765%。2年債利回りは一時0.90%に上昇して引けは0.87%と前日とほぼ変わらず。

米国株は金融正常化前倒しへの警戒感で上値の重さが続いた。景気回復期待は景気敏感株を下支えしたものの、高PER銘柄やハイテク株は引き続き売られた。NYダウは前日比▲4ドル安の36,231ドル。ナスダックは▲144ドル安の14,935ドル。VIX指数は▲0.85ポイント低下して18.76。

為替市場では雇用統計発表後にドルが下落。週末で一旦ポジション調整のドル売りが入ったとみられる。ドル円相場は115円50銭~60銭で引け。ユーロドル相場は1.1360に上昇して引け。

ユーロ円相場はユーロ高ドル安の勢いに支えられ131円30銭に上昇してもみ合い引けた。

この日、ハト派で知られるサンフランシスコ連銀のデイリー総裁は、1回ないし2回の利上げの後でバランスシートの縮小が想定できる、と述べた。

◆今週の3つの注目ポイント


1.パウエル議長議会証言

バイデン政権は昨年11月に2月に任期を迎えるパウエル議長の再任する方針を発表。年初に上院に対して正式に人事案を提示。上院が承認すれば、さらに4年の任期を務めることとなる。

承認にあたり議会は今週11日火曜日に公聴会を行う。

バイデン政権および議会の関心は景気よりもインフレに傾くなか、パウエル議長がどのような発言を行うか。

12月のFOMC議事録ではバランスシート縮小にも踏み込んで議論がされたことが明らかになっている。今回の公聴会でもあらためて明確な金融正常化スタンスが示されるか、ニュアンスがさらにタカ派と受け止められるか。

すでにドル金利先高感は強まり長期金利は上昇しているが、その動きを追認することとなり、ひいてはドルの底固さを増すことになるか。

2.米国の経済指標

先週の経済指標は強弱まちまちだった。ISMは製造業・非製造業ともにやや弱めだった一方、雇用関連指標はADP雇用報告、週末の雇用統計、ともに労働市場の逼迫を示した。

今週も強い数字がFRBの金融正常化前倒し観測を強化するか。とくに物価と小売・生産動向が注目される。

水曜日に消費者物価指数(12月、前年同月比、予想+7.1%、前月+6.8%、コア指数、同、予想+5.4%、前月+4.9%)。

木曜日に生産者物価指数(12月、前年同月比、前月+9.6%、コア、前月+7.7%)、週次の失業保険申請件数。

金曜日に輸入物価指数(12月、前月比、予想+0.3%、前月+0.7%)、小売売上高(同、前月比、予想+0.3%、前月+0.3%)、鉱工業生産(同、予想+0.4%、前月+0.5%)、設備稼働率(同、予想77.1%、前月76.8%)、ミシガン大学消費者信頼感指数(1月、予想70.2、前月70.6)が発表される。

3.ベージュブック(米地区連銀経済報告)

水曜日にベージュブックが公表される(日本時間、木曜日未明4:00)。足元で感染が拡大するなか、各地の地区連銀が経済活動や雇用・物価動向をどのように判断しているか。経済指標・数字にはまちまちの印象もあるなか、定性的にどのように判断しているか。

このところ当局者発言やFOMC議事録からはタカ派スタンスへの傾斜が明らかになっているが、そうしたスタンスをさらに支持する内容となるか。1月25日・26日に開催されるFOMCでの景気判断の前提となることから注目される。

その他、国内では国際収支や景気ウォッチャー調査、感染動向がどれほど加速するか。中国では物価指標(水曜日)と貿易統計(金曜日)が発表される。

◆今週のMRA's Eye


過渡期か転換点か~米長期金利動向が意味するもの

先日、12月に開催されたFOMCの議事録が公表された。この会合では、テーパリング(量的緩和縮小)完了の6月から3月への前倒し、政策金利予測で2022年利上げ3回が示されたが、ある程度市場予想の範囲内だった。

今回の議事録で市場参加者に新ためてショックを与えたのが、さらに進んでバランスシート縮小の議論が具体的になされていたこと。

ほぼすべての参加者が最初の利上げ後のある時点で開始するのが適切、と合意していたことが明らかになった。

またバランスシート縮小のペースは前回の緩和縮小よりも速いペースで実施すべき、との意見もみられた。タカ派の当局者のなかには、バランスシート縮小を積極的に行えば急激な利上げを抑止できるとの意見もある。

雇用情勢は改善し続けており、今年中にも最大雇用に達するとの予想が大勢となってきた。

そうしたなかインフレ率は高止まり。今後は資源価格の上昇一服による前年比上昇率の低下、供給制約の緩和、が見込まれインフレ率はピークアウトが見込まれるが、賃金上昇によるベースでのインフレ圧力が続いている。

短期の期待インフレ率は5%近くの高水準にあり、中長期の期待インフレ率も3%に迫っている。こうした状況が今後もFRBに金融正常化を継続させかつ急がせる要因となりそうだ。

市場では足元の感染拡大や金融正常化で景気拡大ペースが鈍化し利上げペースが鈍るのではないか、との見方もあった。そのためFOMCの後でも米10年債利回りの上昇が抑制されていた面もあろう。

しかしその見方は修正を余儀なくされ、米10年債利回りは一気に上昇して週末には一時1.8%をつけた。

コロナ禍により2020年早々に0.5%近くまで低下した後、2021年3月末にピーク1.77%をつけて以降、これを抜けずにいたが、それを明確に上抜けそうだ。

2年債利回りも利上げを織り込んで粛々と上昇を続け、現状は0.8%台に乗せた。おそらく4月には1%台にさらに上昇しているとみられる。

今後、成長率そのものは巡航速度に向けて鈍化しつつも潜在成長率を上回り、景気が堅調を維持すれば、利上げ継続に支障はないだろう。

バランスシート縮小がさらに間近になれば、2年債利回り水準の底上げをベースに10年債利回りは2%を試す動きとなるだろう。

そうなると、1990年頃から続く米長期金利・10年債利回りの長期低下トレンドをいよいよ上方にブレークすることになる。

FF金利のピーク水準低下の長期トレンドも同様に、今回の利上げ局面がFF金利2%台まで続けば、ブレークされることになる。2018年の秋に上方にブレークしかけたが未遂に終わり、さらにコロナ禍が追い討ちをかけるかたちでブレークが遠くなっていた。それが再チャレンジとなり、今回こそは、トレンドの上抜けが確実のようにみえる。

過渡期か転換点か。

この金利の長期低下トレンドの終焉が意味するところを一度考えておく必要はあるだろう。足元の景気物価動向や金融政策のスタンスが、コロナ禍やそこからの回復による一時的なもので、コロナ前、とくに景気堅調・低インフレ持続の「好ましい世界」に戻る過渡期なのか。

足元のインフレ高進は過渡期なのか、ディスインフレの流れは続いているのか。

そうではなく、コロナ前の状況とは異なる世界に向かう動きへの転換点を迎えているのではないか。

1990年からの長期的なトレンドのブレークという視点でみれば、そうした「好ましい世界」がむしろ一時的で過渡期だったのではないか。

ディスインフレの定着や、中央銀行がインフレよりもディスインフレへの警戒を強めていた世界は過ぎ去ったのではないか。

想像を巡らせば、90年代に本格化したいわゆるIT・情報通信革命による生産性の向上やディスインフレ効果を、いよいよ「使い果たした」のではないか。

また直面する環境対応がインフレを促すいわゆるグリーン・インフレーションも生じているが、これはこの先数年の話なのか永続的な話なのか。そして、ディスインフレ警戒の時期は終わり、インフレ警戒の通常期に戻ったのではないか。

長期金利トレンドが意味していたとみられるディスインフレの中長期トレンドは終了したのではないか。

金融市場の参加者にはディスインフレの世界が染みついているのではないか。それこそがリスクにならないだろうか。

金融当局とくにFRBは、市場より一歩先に金融政策の基本スタンスのトレンド転換をしているのではないか。

ハト派的だった市場は、ようやくFRBのスタンスと足並みをそろえ、あるいは短期的にややタカ派寄りに警戒感を強めているようだが、果たして長期的なトレンド転換や構造転換だった場合に、どのような反応が生じるか。

米10年債利回りの水準が、ショックによって、市場の想定以上に跳ね上がるリスクはないか。その場合に、金融市場全般に何が生じるか。

PERの水準が一気に低下するかたちで株価調整が生じるリスクはないか。高PER銘柄への打撃は、銘柄によっては業績や成長の裏付けがありながらも、全般的に大きくならないか。

こうした場合にクレジット市場の混乱が生じることはないか。さらにECBが金融正常化の旗幟を鮮明にした場合はどうか。ECBが利上げを積極化した場合は資産価格市場にはさらに逆風となろう。

そして日銀がスタンスを変化させることはないか。日銀もいよいよ動くとなれば、グローバル金融市場で象徴的な出来事として受け止められるだろう。そうした状況そのものが日銀にとってリスクかもしれない。

中長期的な状況変化・トレンド転換だとした場合、為替相場への影響はどうか。資源価格の動向や対外収支の動向、各国間のインフレ格差や成長格差、インフレ格差、そして金利差が拡大する世界にならないか。

これまでドル円相場は狭いレンジで推移していたが、想定外のレンジや値幅となる可能性はないか。

グローバルに巡航速度の成長とディスインフレのもとでは、日本は目立たず、インフレ率をベースとする購買力平価のトレンドも、金利差による資本移動による為替強弱も、さほど大きくならなかった。

しかしディスインフレが終焉したとなれば、想定外に為替変動が大きくなる可能性もありうる。

当面のリスクバイアスはドル高円安方向で緩やかなドル高円安基調で120円台を試すとの見方は変わらない。

予想を外すケースは、相場が逆方向に進む価格軸のケース、想定以上にペース速く相場が進んでしまう時間軸のケース、

結果的に目標水準がブレークされる場合や、途中でピークアウトする場合などがある。差し当たり、時間軸のリスクが高いように思われる。


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