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強まる米利上げ前倒し観測と感染再拡大リスク
  • MRA外国為替レポート

2021年11月29日号

◆先週の市場総括


先週は週前半にドルが上昇。バイデン政権はインフレ対策が最重要課題とするなかでパウエル議長の再任、ブレーナード氏を副議長とする方針を決定。ハト派期待が後退してドル金利先高感が強まり米長期金利は上昇。2年債利回りは0.6%台に乗せドルを押し上げた。

ドル円相場は114円ちょうど近辺から115円近辺に上昇。さらに水曜日には週次の失業保険新規申請件数が200千件を下回りおよそ50年ぶりの低水準に。所得・消費の堅調と物価上昇も示され金利先高感が強まった。

米10年債利回りは一時1.7%近辺に上昇。ドルインデックスは97ポイントに迫った。

公表された11月初のFOMCの議事録では、早くもテーパリングのペースを加速させること、早期利上げを実施する余地を設けること、などが提起されていたことが明らかになった。

その後は木曜日の感謝祭、金曜日は短縮取引と市場は閑散に。ただそうしたなか感染力が極めて高いウィルス変異種が確認されたことで、市場では急激にリスク回避、ポジション圧縮の動きが広がった。

市場閑散のなかで株価は急落。日経平均は28,750円に下落。NYダウは金曜日に900ドル安。下げ幅は一時1,000ドルを超えた。VIX指数(恐怖指数)は28.62に急騰。リスク回避で債券に資金が流入して米10年債利回りは1.4%台に低下。

為替市場では円買い戻しが強まりドル円相場は113円に迫り、ユーロ円相場は127円台に下落した。引けはドル円相場が113円30銭、ユーロ円相場は128円20銭。

月曜日の東京市場では日経平均が朝方から下げて始まった。欧州での感染拡大懸念、米国株下落で寄付き直後に29,550円と下げ幅は前週末比▲200円に。ただその後は持ち直し。米国株先物がアジア時間に反発したことも支えとなった。

引け際は29,750円~800円でもみ合い高値引け。前週末比+28円高の29,774円。

ドル円相場は113円90銭で始まり早々に上昇して114円10銭~20銭でもみ合い。欧州時間から米国時間朝方まで終始同水準で推移した。ユーロ円相場は128円60銭~70銭で上下。ユーロドル相場は1.1290で始まり上下動しながらじり安となり1.1260。

その後ユーロはやや反発して1.1290、128円90銭をつけた。米国時間に入るとドルが独歩高、円が軟調。米長期金利上昇がドルを押し上げた。

FRBの次期議長にパウエル議長が再任、ブレーナード氏がクラリダ氏に代わり副議長となる人事案が公表された。バイデン大統領は声明で、両氏はインフレを低水準にとどめ、物価の安定を維持し、完全雇用を実現することに重点をおいており、それが経済を強くすると確信している、と述べた。

またこの日実施された2年債と5年債の入札が不調だったことも金利上昇要因に。10年債利回りは1.627%に、2年債利回りは0.588%に上昇した。

発表された米国の中古住宅販売(10月)は季節調整済み年率換算で634万戸と前月629万戸から増加して予想620万戸を上回った。シカゴ連銀製造業活動指数(10月)は前月▲0.13から+0.76に大きく改善した。

ドルは大幅に上昇。ドル円相場は114円90銭台へ上昇して引けは114円90銭近辺。ユーロドル相場は1.1240へユーロ安ドル高が進んだ。その後ユーロドル相場は下げ止まり1.1260台に反発した後、最終的に1.1230~40で引け。

ドル円相場の上昇につれユーロ円相場も129円30銭に上昇した後引けは129円ちょうど近辺。ドルインデックスは続伸して96.53。

米国株はNYダウが寄付き早々に+300ドル上昇。その後高値圏でもみ合いとなったが、引け際に急反落して上げ幅を縮め+17ドル高の35,619ドル。ナスダックは長期金利の上昇を嫌気して高PERハイテク銘柄が売られたことで▲202ドルの15,854ドルと下げがきつかった。VIX指数は+1.26ポイント上昇して19.17。

火曜日の東京市場は休場。アジア時間のドル円相場は114円90銭で始まり早朝に75銭に下落したが昼には反転上昇して115円を突破。欧州市場が始まる夕刻まで115円10銭近辺でもみ合いとなった。

ユーロドル相場は129円ちょうど~10銭でもみ合いの後、上昇して30銭~40銭でもみ合い。円が軟調。ユーロドル相場は1.1230~40で方向感なく推移。

欧州市場に入るとドルが下落、利益確定の円買い戻しで円が反発。米軍艦船が台湾海峡を通過との報道もきっかけとなり手仕舞いを促した模様。ドル円相場は114円40銭に、ユーロ円相場は129円割れ、ユーロドル相場は1.1270へ上昇した。ただ円高は早々に一服し円安に転じた。

米国時間にはドル円相場は115円ちょうどを中心にもみ合い。ユーロはPMI景気指数が予想より強かったことでしっかり。ユーロドル相場は1.1270に上昇。ユーロ円相場はじり高となり129円60銭に上昇した。

その後はドルが堅調となりユーロ高は一服。ドル円相場は115円10銭~20銭。ユーロドル相場は1.1250近辺に反落。ユーロ円相場は129円30銭~50銭で上下した。米長期金利上昇がドルを支えた。米10年債利回りは1.677%に、2年債利回りは0.614%に上昇。

米国株はまちまち。金利上昇で金融株に買い、ハイテク株は下落。NYダウは前日比+194ドル高の35,813ドル、ナスダックは▲79ドル安の15,775ドル。VIX指数は+0.21ポイント上昇して19.38。

原油価格は乱高下。バイデン政権が日本や中国と協働して石油備蓄を放出し原油価格抑制に動き始めたことでWTIは一時75ドルに下落した。ただOPECやロシアが対抗策として減産に出るとの見方も強まり急反発。78.5ドルで引けた。

PMI景況感指数(11月)はユーロ圏の製造業が前月58.3から57.3へ、サービス業が54.6から53.5へ小幅悪化した。ドイツも同様にいずれも小幅悪化。米国のPMIは製造業が58.4から59.1へ小幅改善、サービス業が58.4から57.0へ小幅悪化した。原材料価格の上昇や供給混乱がマイナス要因。

水曜日の東京市場では日経平均が大幅安。29,700円近辺で寄り付いた後、一日を通じて一貫して下落し29,200円台をつけて引けは月曜日の引値に対して▲471円安の29,302円。

米国の長期金利が上昇。ハイテク株が下落したことで、日本株もグロース株中心に幅広い銘柄が売られた。ただ金利上昇で恩恵を受ける金融株や円安を受けた輸出株がしっかり。

ドル円相場は115円10銭~20銭でもみ合いから夕刻にかけて下落し欧州時間朝方は114円80銭。ユーロ円相場は129円50銭で始まり20銭~30銭に小幅下落。ユーロドル相場は1.1250で始まり1.1230台~1.1250で上下した。

欧州時間から米国時間にはユーロが下落、ドルが上昇。ドイツが本日中にも全土ロックダウンを実施との懸念がユーロの重石となった。

ユーロドル相場は1.1210~20に下落。さらに米国市場では1.1190~1.1200で推移した。ユーロ円相場は128円70銭台に下落した後、反発して129円30銭近辺で引け。ドル円相場は115円50銭に上昇した後、30銭~50銭で上下し引けは115円40銭近辺。

ドルインデックスは96.82に上昇。発表された米国の週次の失業保険新規申請件数は199千件と前週270千件から大きく減少し200千件の大台を割り込んだ。1969年以来52年ぶりの低水準。

個人所得・消費支出(10月)は前月比+0.5%・+1.3%と強い数字。消費支出価格指数は前年同月比+5.0%に上昇加速。米国景気の堅調さが確認された。また公表されたFOMC議事要旨(11月2日・3日開催分)では、高インフレ継続ならテーパリングのペースと利上げ開始時期に柔軟性を持たせることの必要性が強調された。

幾人かがペースを加速して利上げ開始を現在のメンバーの想定時期より早める準備を整えるべきと主張していたことが明らかになった。これは最近の当局者発言とも一致している。

市場では利上げ前倒し観測が強まり2年債利回りは0.646%に上昇。一方10年債利回りは1.7%に接近した後反転低下して上昇一服し1.638%。

米国株はまちまち。上昇していた金融株に利益確定売り、ハイテク株は長期金利上昇一服で底固かった。NYダウは前日比▲9ドル安の35,804ドル。ナスダックは+70ドル高の15,845ドル。

この日ドイツでは先の総選挙の結果を受けた3党連立の新政権の樹立が決まり、メルケル首相の退任が確定した。

木曜日の東京市場では日経平均が反発。前日の大幅安の後、自律反発狙いの買いが入った。ただ朝方寄付きの買い一巡後は動意薄。29,400円台後半で高寄りし、続伸した後は29,500円~550円で小動きもみ合い。米国市場休場前で様子見姿勢が強まった。引けは前日比+196円高の29,499円。

為替市場は米国市場が休場のため小動き。ドル円相場は115円40銭で始まり30銭~40銭で小動きもみ合い。ユーロは小幅高。ユーロ円相場は129円30銭近辺で始まりじり高となり129円40銭~50銭でもみ合い。

ユーロドル相場は1.12ちょうどから上昇して1.1220中心に上下した。ただ欧州市場終盤にはユーロは推し戻され、1.1210、129円30銭近辺と東京朝方と同水準で引けた。ドル円相場は115円40銭近辺で引け。

金曜日の東京市場では日経平均が寄付きから大幅安。南アフリカで感染力の強い新種変異ウィルスが発見されたとの報道で警戒感が急速に広がった。29,300円台で安寄りすると28,600円近辺まで大幅安。引けにかけて下げ止まったが、前日比▲747円安の28,751円で引けた。

ドル円相場は115円40銭近辺で始まり次第に水準を円高方向に切り下げた。昼から欧州市場が始まる夕刻までは概ね114円60銭近辺で推移。ユーロ円相場は129円30銭で始まり夕刻は128円60銭近辺まで円高に振れた。

ユーロドル相場は1.1210からややユーロ高ドル安に振れて1.1230近辺。その後は欧州市場、米国市場、と各市場が始まるごとに円高に振れた。

欧州市場ではドル円相場は113円70銭へ急落した後、114円40銭に急反発、しかし113円90銭~114円ちょうどに下落。米国市場が始まると、そこからさらに113円ちょうどに迫る急激なドル安円高となった。

この日はブラックフライデーで短縮取引。午後には113円20銭を中心に荒れ模様のもみ合いとなり引けは113円30銭近辺。ユーロドル相場は一貫して上昇。これまでのユーロ売りドル買いの手仕舞いのユーロ買戻しが牽引したとみられる。

欧州市場では1.1290に上昇、さらに米国市場では1.1330に上昇して引けは1.1320。ユーロ円相場は欧州市場では乱高下。128円ちょうどに迫る下落の後に、128円後半を中心に大きく上下した。

米国市場に入ると改めて円高に振れて127円80銭まで下落。その後引けにかけては反発して128円20銭台で取引を終えた。米国株は午後1時までの短縮取引となるなか大幅安。感染拡大、経済活動停滞、景気悪化懸念、で消費関連株、航空関連株などが売られた。

NYダウは一時前日比▲1,000ドルを超える下げ。一方で巣ごもり関連株の一角には買いが入った。長期金利低下はハイテク株にはやや支えとなった。

NYダウは▲905ドル安の34,899ドル、ナスダックは▲353ドル安の15,491ドルで引け。VIX指数は+10ポイントを超える大幅上昇で28.62。リスク回避による株売り・債券買いで長期金利は低下。10年債利回りは1.482%。一方2年債利回りは小幅低下にとどまり0.508%。

◆今週の3つの注目ポイント


1.米国の経済指標

今週は重要な指標の発表が相次ぐ。このところの米国の経済指標は雇用・所得・消費が堅調なことを示している。さらに良好な景気動向を示し、あるいはインフレ懸念を強める指標が確認されるか。

月曜日 住宅販売留保指数(10月)、ダラス連銀製造業活動指数(11月)

火曜日 ケースシラー住宅価格指数(9月、前年同月比、予想+20.0%、前月+19.7%)、シカゴ購買部協会景気指数(11月、予想67.0、前月68.4)消費者信頼感指数(11月、予想110.0、前月113.8)

水曜日 ADP雇用報告(11月、雇用者数前月比、予想+515千人、前月+571千人)、ISM製造業景気指数(11月、予想61.0、前月60.8)

木曜日 週間新規失業保険申請件数

金曜日 ISM非製造業景気指数(11月、予想65.0、前月66.7)、雇用統計(11月、非農業部門雇用者数・前月比、予想+500千人、前月+531千人、失業率、予想4.5%、前月4.6%、平均時給・前年同月比、予想+5.0%、前月+4.9%)

2.ベージュブック(地区連銀経済報告)

水曜日に米国でベージュブックが公表される。FOMCでの議論のたたき台となる経済状況に関する報告。このところ指標・数字は堅調な米国の景気動向を示している。

報告で定性的な景気の強さ、あるいは需給逼迫、供給の混乱、人手不足がどのように把握されているか。またインフレ圧力についてどのような状況か。数字だけではみえにくい、全体的な状況、流れ、リスク意識についての報告は注目される。

すでにテーパリングの加速や利上げ前倒しの可能性を広げるための議論もみられるが、指標ともども、各地区連銀からの報告がタカ派の見方を後押しする内容となるか。

3.米当局者発言

足元でインフレ懸念が強まるなか、一方で新型変異種による感染拡大の脅威も浮上。インフレ対策、早期利上げ機会を広げる議論がみられるなか、スタンスやリスクバランスに変化がみられるか。

FRB当局者の発言機会があるが、注目はパウエル議長とイエレン財務長官による議会証言。火曜日に上院銀行委員会で、水曜日に下院金融委員会で、行われる。

◆今週のMRA's Eye


強まる米利上げ前倒し観測と感染再拡大リスク

週末には特異なウィルス変異種の発見報道によりグローバルに市場が動揺。感染拡大による脅威がどれほどのものかなお不明だが、とりあえず慢心していた市場は、感謝祭の祝日で薄商いとなる環境で荒れ相場となった。

為替市場では手仕舞い主導という短期リスクの顕在化で大きく円高に振れた。ただ米国の景気・インフレ・金融政策を巡る状況が足元でネガティブな方向に変化したわけではない。

先週、11月初に開催されたFOMCの議事要旨が公表された。この会合では11月中旬から量的緩和縮小(テーパリング)を開始することが正式に決定された。ただこの会合時点で早くも高インフレ継続ならテーパリングのペースと利上げ開始時期に柔軟性を持たせることの必要性が強調されていたことも明らかになった。

また幾人かがペースを加速して利上げ開始を現在のメンバーの想定時期より早める準備を整えるべきと主張。このところ当局者からテーパリングのペース加速、終了時期の前倒しの検討を示唆する発言が相次いでいたことと一致する。

パウエル議長はテーパリングと利上げは別問題としているが、メンバーは明らかに双方をリンクさせている。また政策の柔軟性を確保する、としつつ もタカ派寄りであることは間違いない。衣の下から鎧が見える。

バイデン政権はパウエル議長の再任、ハト派のブレーナード氏を副議長とする人事を決定した。

政権の最重要課題がインフレ対策であることを踏まえれば、FRBがハト派に傾くことは考えにくい。景気が堅調、需給がひっ迫するなかではなおさらだ。

市場はFRB人事やFOMC議事録を踏まえ、22年の利上げ3回を織り込み始めた。それまでは年後半に2回がメインシナリオだったが、テーパリング終了直後の6月にも利上げを実施。その後9月、12月という可能性を見始めた。

利上げを織り込みやすい2年債利回りを中心に、5年債、さらに10年債利回りも上昇基調を強めそうだ。ユーロ安の寄与もあってすでにドル独歩高が明確となりドルインデックスは上昇。96ポイント台に達している。米国景気の動向に著変ない限り、ドル金利先高感が強いままドル堅調地合いは続こう。

経済指標をみても米国の雇用・所得・消費が極めて強いことが確認できる。失業保険新規申請件数は200千人を割り込み50年以上ぶりの低水準だ。所得も伸び、消費はさらに伸びが加速して前月比は+1.3%。年率に換算すれば二桁の伸びとなる。

先週木曜日は感謝祭。金曜日はブラックフライデーでいよいよクリスマス商戦が始まった。今年は好調が予想される。株価には織り込まれている可能性はあるが、実体経済の動向は着実に金融政策に影響する。

今週はISM景気指数が発表されるが、景況感はどうか。供給網の混乱が多少緩和してきた気配もありプラスに寄与する可能性がある。

ただ人手不足はなお厳しそうだ。週末に発表される雇用統計では雇用増加、失業率が4.5%に低下するとともに、賃金上昇率が前年比で5.0%に加速すると見込まれている。

先週の消費支出価格指数は総合で前年同月比+5.0%、コア指数で+4.1%となった。インフレ高止まり、とくに基調インフレの高止まりは、FRBにとって看過できない水準となってきた。スタンスがタカ派に傾くのも無理はない。

主要指標の発表の後、12月14日・15日の両日に開催される12月のFOMCで、テーパリングのペース加速の議論、メンバーの景気・物価・金利予測の変化が一段と着目される。

そうしたなか先週末、感染再拡大への懸念から急速にリスク回避が強まった。すでに欧州で感染拡大が深刻化しユーロは下落、一時的にリスク回避が強まり円買い戻しを誘発。その後はユーロの軟調が持続しつつも、米国景気の堅調、利上げ前倒し観測もあり、リスク回避は鎮静化して円買い戻しは一服していた。

そこに急遽浮上したのが南アフリカでの新たな変異種の確認。折しも米国市場は感謝祭で休日、さらにブラックフライデーの短縮取引、とただでさえ市場が閑散となり荒れ相場となりやすいなか、リスク回避が急速に高まり、市場に混乱が生じた。

情報がなお十分でないものの、とりあえずリスクポジションを落とす動きが薄商いのなか強まり、リスク資産は売られ、株価は大幅安に。資源価格については投機的に買われていた部分は剥落しやや価格調整ないし上昇一服となる。

為替市場では投機的な円売りがなお高水準だったことから、すでに手仕舞いによる円買い戻しで円は全面高となった。日本の感染者数が極めて少ないことは円にとってポジティブではある。

市場は感染拡大によるリスクはある意味すでに軽くみていた。

欧州での感染拡大はwithコロナの過程で不可避であり、ある程度は織り込み済みとして処理できた。

しかし今回の報道による南アフリカの新たな変異種については、免疫反応を回避し感染力を高める非常に珍しい変異とされ、変異の程度も今までないとされている。

欧州での急拡大はその影響があるのか。とりあえずは当座のリスク回避、ポジション圧縮による短期的な値動きにとどまるとみられる。その範囲内であれば、リスク回避のもとではドルも堅調であることから、ドル円相場は最大112円台止まりと予想する。

短期リスクはなお警戒が必要だ。市場の関心が新たな変異種や感染拡大状況に移っているなか、なおも年末という利益確定・手仕舞い・薄商いのタイミングを迎えることが主因。

当面は金利動向よりも感染動向で左右される相場となる可能性がある。来年の見通しに暗雲が垂れ込めれば、年末にかけて手仕舞いが先行する可能性があり注意は必要だ。

ドル円相場は12月のFOMCまで115円台の上値を追いにくいだろう。閑散相場のなかで円の手仕舞いが進み、想定よりも円高となるリスクにはやや留意が必要だ。

一方、世界全体にこの新たな変異種が広がっている証拠が突き付けられれば、もう少し事態は深刻となる可能性もある。

全体としてwithコロナ戦略が見直しを迫られ一時休止となるリスクもあろう。

とくに米国でも感染拡大が拡大し、新たな変異種が確認されれば、足元で堅調な米国経済の動向も怪しくなりかねない。インフレ懸念を強めタカ派に傾いていたFRBのスタンスも急速に様子見姿勢を強める可能性もある。

その場合は景気拡大継続・金利上昇のメインシナリオが崩れる。緩やかなドル高円安基調とのドル円相場のメインシナリオも再考が必要となる。ただそこまでのシナリオ修正は現時点では時期尚早だ。

◆主要指標


【対円レート】
ドル :休場( - )
ユーロ :休場( - )
英ポンド :休場( - )
豪ドル :休場( - )
カナダドル :休場( - )
スイスフラン :休場( - )
ブラジルレアル :休場( - )
中国人民元 :休場( - )
韓国ウォン(日本円=100) :休場( - )

【対ドルレート】
ユーロ :休場( - )
英ポンド :休場( - )
豪ドル :休場( - )
カナダドル :休場( - )
スイスフラン :休場( - )
ブラジルレアル :休場( - )
中国人民元 :休場( - )
韓国ウォン :休場( - )

【主要国政策金利】
米国 :0.25
ユーロ :0.00
日本 :0.00

【主要国長期金利】
米10年債 :1.47(▲0.16)
米2年債 :0.50(▲0.14)
日本10年債利回り :0.07(▲0.01)
日本2年債利回り :0.07(+0.01)
独10年債利回り :▲0.34(▲0.09)
独2年債利回り :▲0.76(▲0.02)

【主要株価指数・ビットコイン】
NY ダウ :34,899.34(▲905.04)
NASDAQ :15,491.66(▲353.57)
S&P500 :4,594.62(▲106.84)
日経平均株価 :28,751.62(▲747.66)
ドイツ DAX :15,257.04(▲660.94)
インド センセックス :57,107.15(▲1687.94)
中国上海総合 :3,564.09(▲20.09)
ブラジル ボベスパ :102,224.30(▲3,587.00)
英国FT250 :22,537.89(▲742.07)
ビットコイン :54179.88(▲4675.27)

【主要商品価格】
WTI :68.15(▲10.24)
Brent :72.72(▲9.50)
米ガソリン :202.94(▲29.03)
米灯油 :209.45(▲28.85)

金 :1802.59(+13.74)
銀 :23.16(▲0.44)
プラチナ :958.28(▲40.50)
パラジウム :1765.28(▲98.61)
銅 :9520.00(▲375:110B)
アルミニウム :2619.00(▲116:0.5C)
※貴金属はニューヨーククローズ。ベースメタルは3ヵ月公式セトル価格。
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

シカゴ大豆 :1252.75(▲13.75)
シカゴ とうもろこし :586.75(+7.00)
シカゴ小麦 :825.50(▲11.25)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。
※ 「休場」となっているものは、取引所が休場ないしはデータ更新時点で最新データを取得できなかった場合を指します。