CONTENTSコンテンツ

購買力平価や実質金利のバイアスと逆行するドル円相場
  • MRA外国為替レポート

2021年11月1日号

◆先週の市場総括


先週は、原油価格が上昇一服。下落に転じたとは言い難いが、一方的な上昇にブレーキがかかったことでインフレ懸念はやや一服。米10年債利回りは1.6%台から1.5%台に小幅低下した。

ただ足元でインフレは高止まり。米国では個人消費を中心に景気が堅調。市場では利上げを着実に織り込む動きとなり、2年債利回りは0.4%台から0.5%台に上昇した。

米国株は決算に応じて銘柄ごとにまちまち。ただ8割程度の企業の業績が市場予想を上回ったことで総じて堅調。週末には主要3指数が史上最高値を更新した。

為替市場では方向感が定まらない動きのなかドルは底固かった。木曜日にECB理事会が開催され、総裁発言も含めてややタカ派的との見方からユーロ高ドル安に振れ1.16ちょうど近辺から1.17手前に上昇。しかし週末は急反落して1.16割れ。

ユーロ円相場は株価堅調、リスク選好を背景に132円台後半に上昇したが週末には131円台半ばに下落した。

ドル円相場は米長期金利の低下でやや上値重く、113円台後半から114円台前半で上下。木曜日にはユーロ高ドル安の流れのなか一時113円前半に下落した。

ただ週末にはドルが堅調となり114円ちょうど近辺で引けた。

日経平均は総選挙での自民党の過半数確保か否かで情報が交錯して28,000円台後半で方向感定まらず上下。米国株堅調が支えとなり引けは29,000円近辺。

月曜日の東京市場では日経平均が下落。週末に米国のハイテク株が下落したことを受けて日本株もハイテク中心に売りが優勢となり28,500円近辺で安寄り。下げ幅は一時▲300円を超えた。

参議院静岡選挙区の補欠選挙で自民が敗北。国内政治情勢の不透明感があらためて嫌気された。ただ後場は下げ止まり28,600円中心にもみ合い。引けは前週末比▲204円安の28,600円。

為替市場では円高が一服。ドル円相場は底固く推移。113円60銭から50銭に下落した後は80銭に上昇。その後は113円60銭~70銭で上下。

ユーロ円相場も同様に132円30銭から10銭に下落した後は反発して20銭台~50銭台で上下動。夕刻は132円60銭。

ユーロドル相場は1.1640で始まり、1.1640~60で上下した。

その後、欧州時間早々に発表されたドイツIFO景況感指数(10月)を受けてユーロは下落。総合指数は前月98.8から97.7へ、予想98.0を下回り低下。先行き判断が97.4から95.4へ大きく悪化した。

ユーロドル相場は1.1590へ、ユーロ円相場は131円90へ。

ドル円相場は変わらず113円60銭~70銭で推移。米国時間に入り90銭近辺に上昇したがすぐに押し戻され、元の水準でもみ合い113円70銭近辺で引けた。

ユーロ安は一服。ユーロドル相場は1.1610近辺で、ユーロ円相場は132円ちょうど近辺でもみ合い引けた。

米国株は堅調。NYダウは連日の史上最高値更新。消費関連銘柄がしっかり。良好な決算への期待が引き続き全体を支えた。バイデン政権の3.5兆ドルの経済政策は共和党に妥協し大幅に削減しつつも前進がみられたことも好感。

NYダウは前週末比+64ドル高の35,741ドル。ナスダックは+136ドルの大幅高で15,226ドル。VIX指数は▲0.19ポイント低下して15.24と引き続き低水準。

原油価格WTIは一時85ドル台に乗せたが引けは反落して83.76ドル。米10年債利回りは米国時間朝方に1.67%に上昇していたが、低下して1.63%台。2年債も同様に0.46%からやや低下して0.43%台。

火曜日の東京市場では日経平均が大幅高。前日に米国株が堅調。NYダウが連日の史上最高値更新、ナスダックも大幅高となったことを受け寄付きから買いが集まり29,000円近辺で高寄り。

一部報道が総選挙で自民党が過半数を確保する可能性と伝えたことで、嫌気されていた政局不透明感が後退した。ただ企業決算発表が続くことで手控えもあり、後場は29,100円~200円でもみ合い。引けは前日比+505円高の29,106円。

ドル円相場は113円70銭で始まり堅調。113円90銭~114円ちょうどでもみ合い。ユーロ円相場は132円ちょうど近辺で始まり右肩上がり、夕刻は132円30銭。さらに欧州市場では132円60銭に上昇。

ユーロドル相場は1.1610で始まり1.16ちょうど近辺でもみ合い。欧州市場にかけて1.1620台に上昇した。

米国株は小幅高ながら堅調。消費・住宅関連指標が良好。一方、決算発表が続くなか内容によりまちまち。利益確定による売りも入り、NYダウの上昇幅は一時+150ドルとなる場面もあったが引けは+15ドル高の35,756ドル。ナスダックは+9ドル高の15,235ドル。VIX指数は+0.74ポイント上昇し15.98。

米10年債利回りは小幅低下して1.609%。2年債利回りはやや上昇して0.447%。

ドル円相場は113円90銭から114円30銭に上昇し、引けにかけては114円10銭~20銭でもみ合い引けは114円20銭。

ユーロは下落。ユーロドル相場は1.620台から1.1590へ下落。その後は1.1590~1.16ちょうどで上下し引けは1.1590。

ユーロ円相場は132円30銭に下落したが下げ止まり132円40銭近辺でもみ合い引けた。

発表されたケースシラー住宅価格指数(8月)は前年同月比+19.7%と前月+20.0%から上昇率はやや低下。ただすべての都市で2桁の上昇率。新築住宅販売(9月)は季節調整済み年率換算で800千戸と前月740千戸から増加。半年ぶりの高水準となった。

消費者信頼感指数(10月)は前月109.3から113.8に大きく上昇し4か月ぶりの水準となり消費に前向きな姿勢を示した。リッチモンド連銀製造業指数(10月)は前月▲3から12に上昇した。

水曜日の東京市場で日経平均は前日とほぼ変わらず。前場は前日の大幅高の後だけに利益確定売りに押され28,900円割れ。下げ幅は一時▲200円を超えた。

ただ米国株が底固かったことから底固く、後場には持ち直し。引けは前日比▲7円安の29,098円。

為替市場では円高基調で欧州時間に入って円高が加速した。ドル円相場は114円20銭で始まり昼には114円を割り込み、東証引け後に欧州市場に入って早々に円が大幅高。ドル円相場は113円60銭近辺に下落した。

ユーロ円相場は132円40銭で始まり20銭近辺でもみ合い。その後、欧州市場朝方には131円60銭まで下落した。

ユーロドル相場は1.1590で始まり1.16ちょうど近辺でもみ合い夕刻は1.1590。

米国株はNYダウが利益確定売りに押され下落。前日比▲266ドル安の35,490ドル。VISAが大幅安となりダウを押し下げた。

カナダ中銀が政策金利据え置きながら量的緩和終了を発表。景気回復継続とインフレ懸念で利上げ開始を2022年半ばに前倒しする可能性を示唆。

米国では利上げを織り込んで短めの債券利回りが上昇、10年債利回りは低下、金融株に収益圧迫懸念が強まり下落した。

企業決算は概ね良好で好決算銘柄には買い。ナスダックは前日比ほぼ変わらず15,235ドル。VIX指数は+1.0ポイント上昇して16.98。

米10年債利回りは1.553%に低下、2年債利回りは0.506%に上昇。

原油価格WTIは82.66ドルに下落。週間在庫統計で在庫増加が示されたこと、イランに核合意の順守に向けて動きがあり制裁解除で原油供給増との思惑で軟調。

インフレ懸念の抑制が10年債利回りの低下に寄与した。ドル円相場は113円80に上昇していたが40銭に下落、その後は反発して113円70銭~80銭で推移。

ユーロドル相場は1.16ちょうどを挟んで1.1590~1.1620で上下して引けは1.16ちょうど近辺。ユーロ円相場は132円ちょうどを挟んで131円80銭~132円20銭で上下動、引けは132円10銭。

木曜日の東京市場では日経平均は下落。米国株・NYダウが軟調だったことで利益確定売りが優勢。決算が予想を下回った銘柄に売りも。28,700円台で安寄りし、28,800円台に戻してもみ合い。引けは▲278円安の28,820円。

ドル円相場は113円80銭近辺でもみ合いの後、昼前に50銭近辺に下落。その後は50銭~70銭で上下した。ユーロ円相場は132円10銭近辺で始まり軟調。ECB理事会を前に夕刻には131円60銭~90銭で値動き荒く上下した。

ユーロドル相場は1.16ちょうど近辺で始まり、1.1590~1.1610で方向感なく上下を繰り返した。

ECB理事会では現在実施しているPEPP(パンデミック緊急購入プログラム)を2022年3月に終了することが決定。

ラガルド総裁は、インフレ懸念は一時的として2022年の利上げを否定したものの、インフレ高進の時期が予想より長引く可能性を指摘。供給不足やエネルギー価格上昇で、景気減速と一段の物価上昇に警戒感を示した。

市場ではこれらを総じて予想よりタカ派的と受け止め。ユーロは大幅に上昇。ユーロドル相場は1.1680~90でもみ合いに。

米国株の堅調、リスク選好が維持されたことでユーロ円相場も大幅高。132円70銭におよそ1円上昇した。

ドル円相場は一時113円30銭に下落していたが、株高や米10年債利回りの上昇を受けて反発し113円60銭近辺で引けた。

米国株は堅調。良好な決算銘柄を中心に買われた。アップルが大幅高となりハイテク株を牽引。

NYダウは前日比+239ドル高の35,730ドル。ナスダックは+212ドル高の15,448ドルで引け史上最高値を更新した。VIX指数は▲0.45ポイント低下して16.53。

米10年債利回りは反発して1.574%。2年債利回りは0.489%。

原油価格WTIは小幅反発して82.81ドル。

発表されたドイツの失業率(10月)は前月5.5%から5.4%に低下、消費者物価指数(同)は前年同月比+4.1%から+4.6%に上昇。

米国の週次の失業保険新規申請件数は前週291千件から281千件に減少、継続需給件数は2,480千件から2,243千件に減少し、いずれもコロナ禍以降で最少を更新した。

一方、GDP(7-9月期速報)は前期比年率+2.0%と前期+6.7%から減速して予想+2.7%を下回った。

金曜日の東京市場では日経平均が反発。朝方は米国時間外でアップルの決算が予想を下回ったこと、総選挙で自民党の過半数確保に懐疑的な見方が広がったこと、などから28,800円で寄付き28,500円に下落。

ただその後は大きく反発。月末を前に売り方が買い戻し。底値から+500円ほど上昇し、引けは前日比+72円高の28,892円。

ドル円相場は113円60銭を中心に40銭~70銭で上下。ユーロ円相場は132円70銭で始まり90銭、50銭、70銭、と上下して40銭~60銭でもみ合い。

ユーロドル相場は1.1680で始まり上値重く、1.1670~80でもみ合い。

欧州市場に入ると日本時間0時のロンドンフィキシング(日本の仲値に相当)に向けて大幅にユーロ安ドル高が進んだ。ユーロドル相場は1.1540に急落。ユーロ円相場もおよそ1円の急落で131円60銭。ドル円相場は逆に114円10銭に上昇した。

その後ユーロ安は一服。ユーロドル相場は1.1560。ユーロ円相場は131円80銭。ドル円相場は114円ちょうど近辺で引けた。

米国株は主要3指数がともに史上最高値を更新。好決算銘柄が買われた。アップルは反落、マイクロソフトは史上最高値を更新しアップルの時価総額を超えた。

原油高でエネルギー関連株、電気自動車テスラが買われた。NYダウは前日比+89ドル高の35,819ドル。ナスダックは+50ドル高の15,498ドル。VIX指数は▲0.27ポイント低下して16.26。

米10年債利回りはやや低下して1.56%。2年債利回りは上昇し0.50%。

米国の雇用コスト指数(7-9月期)は前期比+1.3%と前期+0.7%から上昇が加速。2001年以来の最大の上昇率となった。

個人所得・消費支出(9月)は前月比▲1.0%・+0.6%と概ね予想通りで、消費は前月の+0.8%に続き堅調が示された。個人消費支出物価指数は前年同月比+4.4%と高止まり。

シカゴ購買部協会景気指数(10月)は68.4と前月64.7から上昇して予想64.0を上回った。ミシガン大学消費者信頼感指数(10月・確報)は速報71.4から71.7へ上方修正された。

◆今週の3つの注目ポイント


1.FOMC(連邦公開市場委員会)

火曜日・水曜日の2日間にわたりFOMCが開催される。結果は日本時間木曜日未明3時に発表される。次いでパウエル議長が会見を実施(同3時30分)。

今会合では量的緩和縮小(テーパリング)の開始が正式に決定される見込み。11月半ばから実施されるか。

またすでに発言がみられる通り、来年半ばで終了するとのスケジュールが確認されるか。議論としてはインフレ警戒感の高まりがみられるか。早期利上げに前向きな意見が増えるか。

すでに長期金利は利上げを織り込んで、とくに2年債利回りの上昇が顕著だが、そこに何らかの変化・加速がみられるか。このところ上昇一服となっている10年債利回りを押し上げるか。

2.米国の経済指標

今週は重要な指標が多い。インフレ高止まりでも景気堅調でスタグフレーション懸念が一掃されるか。ISMで景況感のみならず雇用や価格についての見方はどうか。雇用統計で雇用増加基調、賃金上昇が確認されるか。

月曜日 ISM製造業景気指数(10月、予想60.2、前月61.1)

水曜日 ADP雇用報告(雇用者数前月比増減、予想+365千人、前月+568千人)ISM非製造業景気指数(10月、予想61.8、前月61.9)製造業新規受注(9月、前月比、予想▲0.3%、前月+1.2%)

木曜日 貿易収支(9月)、米週間新規失業保険申請件数

金曜日 雇用統計(10月、非農業部門雇用者数・前月比、予想+395千人、前月+194千人、失業率、予想4.7%、前月4.8%、平均時給、前年同月比、予想+4.9%、前月+4.6%)

3.各国の金融政策動向

先週はカナダ中銀が量的緩和の終了を決定。利上げ時期が22年半ばに前倒しとなる可能性が示唆された。今週も米国FRB以外で金融正常化の動き、量的緩和縮小や利上げに前向きな動きがみられるか。

火曜日にオーストラリア準備銀行理事会(金融政策決定会合)、木曜日にイギリス中銀金融政策決定会合、ノルウェー中銀も会合を開催。量的緩和縮小や利上げの議論の行方はどうか。グローバルに金利上昇の流れがあらためて意識されるか。

◆今週のMRA's Eye


購買力平価や実質金利のバイアスと逆行するドル円相場

購買力平価や実質金利にもとづく理論的な為替相場変動は、必ずしも実際の相場動向に反映されない。

ともにインフレ率の高い通貨が下落する、とう見方となるが、足元では高インフレが継続しているドルが堅調で、ドル高円安基調が続いていることが良い例だ。

インフレ率の現状を消費者物価でみれば、米国は5%台のインフレ率が続き、日本はほぼゼロ%近傍。生産者物価でみれば、米国は8%台のインフレ率、日本の企業物価は6%台と消費者物価よりも差が縮まる。それでも米国の方が高インフレであることには変わらない。

購買力平価の考え方は、例えば、A国のインフレ率が5%、B国のインフレ率が0%、だった場合、通貨Aと通貨Bの為替相場は、インフレ率格差を反映して年率5%で通貨Aが通貨Bに対して下落する、という考え方だ。

例えば、今、ある物が米国で100ドル=10,000円(為替レート1ドル=100円)だとして、1年後の価格はインフレ率を反映して米国では105ドル、日本では10,000円のまま。

1ドル=100円をベースとした1年後の購買力平価の理論値は1ドル=95.23円(10,000円÷105ドル=95.23円)とドル安円高となる。

現状に当てはめれば、消費者物価ベースでみればおよそ年率5%のドル安円高バイアス、生産者物価ベースでみればおよそ年率2%のドル安円高バイアスとなる。

しかしドル円相場は現状、相対的に高インフレのドルが対円で上昇し、購買力平価のバイアスと逆方向に乖離する動きとなっている。

新興国のように10%、20%、という高インフレの場合は極端な通貨価値下落となり、実際に通貨安となる例が散見される。

しかし、ドル円相場に関しては購買力平価のバイアスは実際の為替動向に反映されていない。

実質金利と為替相場の関係については、実質金利が低い通貨が下落し高い通貨が上昇するとの考え方がある。

為替相場の見通しコメントでも、インフレ率上昇で実質金利が一段と低下しドル安となる、との見方が散見される。

米国の10年債の実質金利は、

名目の利回り1.7%-消費者物価上昇率5.7%=▲4%

といった水準だ。

これに対して日本の10年債実質金利は、名目もインフレ率もともにゼロ近傍で結果としてゼロ%。米国の実質長期金利が4%ほど日本を下回る。

実質金利差は日本の方が高く、水準からみてドル安円高圧力がかかるとなる。あるいは限界的に米国のインフレ率上昇が大きかったことから、この間の大幅な米実質金利低下がドル安円高をもたらしていなければいけないはずだ。

しかし実際にはドル高円安に振れている。

このように実勢相場が理論値のバイアスから乖離するのには理由がある。実際の貿易取引や資本移動が理論に沿って動いて、対外収支が変化し、初めて購買力平価や実質金利の考え方が為替相場に反映される。

しかしドル円相場に関しては、そうした理論に沿った収支の変化がないために、実際の為替相場に購買力平価や実質金利の動向が反映しない。

購買力平価に実勢相場が収斂するためには、両国間の貿易収支が購買力平価からの乖離を修正するように増減する必要がある。

通貨価値が購買力平価から割安に乖離していれば、価格が割安となり、その国の輸出が増加し、対外収支がプラスとなって通貨高圧力が働く。

それによって購買力平価に向かって割安が修正される。そうしたプロセスがなければ購買力平価は単なる理論で終わる。

日本の貿易収支は悪化し円安バイアスがかかっている。資源・農産品価格の上昇が主要因だ。

円安による輸出金額の増加、収支改善を、輸入金額の増加がはるかに上回り、貿易収支の赤字幅は拡大している。インフレ率格差にもとづく購買力平価が、収支を通じて為替相場の実勢レートに反映する状況にない。

実質金利については、その高低に応じて資本が移動するかがポイントだ。

実質金利が低い通貨から高い通貨へ資本が流出するか。そもそも、実質金利の高低で資本が移動するかどうかに疑義がある。

実際には投資家は名目金利しかみていないのではないか。

投資家動向を左右するのは名目金利であろう。

そうなると、インフレ率は政策金利や長期金利に反映されやすく、高インフレ=高金利となり、資本が流入しやすい。

もちろん、新興国のように二桁インフレのもとでの高金利となれば金融政策自体の信認が低下し、実体経済への悪影響が懸念されて通貨安となる。ここは金融当局の信頼が維持されているかどうかがポイント、大前提だ。

この面でも、米国経済は良好で雇用改善・賃金上昇圧力もみられるなかFRBは金融正常化に着実に向かい、日本経済は下方リスクが漂い日銀は超金融緩和を継続せざるをえない、という格差となる。

低インフレが必ずしもプラスとは受け止められない。実質金利が低いということは景気にプラスということでもある。

たとえ米国が相対的に高インフレで実質金利が低くとも、米国ないしドル資産に資金が流入する状況が続きそうだ。

かくして、購買力平価や実質金利が示すドル安円高バイアスに反して、当面はドル円相場が緩やかにドル高円安基調を維持する可能性は高いだろう。

中長期的には、次第に「中立水準」からドル高円安に乖離することで、いずれ到来する米国経済の後退局面や日米景況格差や金利差の縮小によってドル安円高に振れるエネルギーが蓄積することにはなる。

◆主要指標


【対円レート】
ドル :113.95(+0.37)
ユーロ :131.77(▲0.90)
英ポンド :155.99(▲0.66)
豪ドル :85.758(+0.08)
カナダドル :91.934(▲0.06)
スイスフラン :124.438(▲0.12)
ブラジルレアル :20.231(+0.11)
中国人民元 :17.808(+0.08)
韓国ウォン(日本円=100) :9.759(+0.05)

【対ドルレート】
ユーロ :1.1558(▲0.012)
英ポンド :1.3682(▲0.011)
豪ドル :0.7518(▲0.003)
カナダドル :1.2388(+0.004)
スイスフラン :0.9161(+0.004)
ブラジルレアル :5.6365(▲0.010)
中国人民元 :6.4056(+0.014)
韓国ウォン :1168.4(▲1.18)

【主要国政策金利】
米国 :0.25
ユーロ :0.00
日本 :0.00

【主要国長期金利】
米10年債 :1.55(▲0.03)
米2年債 :0.50(+0.01)
日本10年債利回り :0.10(+0.01)
日本2年債利回り :0.10(+0.00)
独10年債利回り :▲0.11(+0.03)
独2年債利回り :▲0.59(+0.03)

【主要株価指数・ビットコイン】
NY ダウ :35,819.56(+89.08)
NASDAQ :15,498.39(+50.27)
S&P500 :4,605.38(+8.96)
日経平均株価 :28,892.69(+72.60)
ドイツ DAX :15,688.77(▲7.56)
インド センセックス :59,306.93(▲677.77)
中国上海総合 :3,547.34(+28.92)
ブラジル ボベスパ :103,500.70(▲2,204.30)
英国FT250 :23,106.61(▲93.26)
ビットコイン :62395.66(+1000.08)

【主要商品価格】
WTI :83.57(+0.76)
Brent :84.38(+0.06)
米ガソリン :246.20(+2.70)
米灯油 :249.64(▲2.01)

金 :1783.38(▲15.53)
銀 :23.90(▲0.18)
プラチナ :1022.22(+0.83)
パラジウム :2004.06(+12.76)
銅 :9620.00(▲41:335B)
アルミニウム :2695.00(▲38:0B)
※貴金属はニューヨーククローズ。ベースメタルは3ヵ月公式セトル価格。
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

シカゴ大豆 :1235.75(+2.00)
シカゴ とうもろこし :568.25(+5.50)
シカゴ小麦 :772.75(+0.25)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。
※ 「休場」となっているものは、取引所が休場ないしはデータ更新時点で最新データを取得できなかった場合を指します。