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資源インフレトレード続き堅調
  • MRA商品市場レポート

2021年10月21日 第2059号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「資源インフレトレード続き堅調」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は総じて堅調で、天然ガスや非鉄金属など、引き続きエネルギー供給不足をテーマとした価格上昇が続いている。

特に昨日発表された石油統計で原油・石油製品在庫が想定外の大幅減少となったことが材料となり、エネルギ-価格が上昇したこと、欧州の天然ガスも域内ガスプラットフォームのメンテナンスや停止による供給減少が発生したこと、など状況は改善していない。

これらの資源価格の上昇は時間差をもって企業業績に影響がでるため、早ければQ321の企業決算に影響がでるだろう。

そのリスクに対してどのように対処できているか、あるいは対処する方針であるかが注目される。

欧州はロシアが供給をしないせいだ、と批判を強めている。しかし化石燃料と決別してロシアの影響を低下させるという方針だったが逆にロシアの関与を強める結果となっている。

グラスゴーでのCOP26は「脱炭素が進んでいないからこのようなことが起きるので、さらに加速させる必要がある」というトーンで欧州は話を進めるだろうが、今回の件で明らかになったことは自然エネルギー供給不足は同時に発生するリスクがあり、そのときのバックアップとして化石燃料に頼らざるを得ない、ということだろう。

バッテリーを整備すれば...という意見もあるがそれであるなら技術的に確立されており、ほとんど全ての自動車に搭載されている鉛蓄電池の時代でも同じことができたはずだ(もちろん、鉛は環境汚染の問題や、大容量化が難しい、という問題があることも事実)。

また、厳冬になるといくらバッテリーを持っていてもそれほど長い間供給ができる訳ではなく、電力供給が維持されていることが運用上の重要な前提である。

温暖化防止の必要条件である温室効果ガスの排出削減は取り組むべき課題であるため、これは推進するべきだが、移行期間中、あるいは移行後も化石燃料や代替熱源の確保が引き続き必要であるという現実を、もう少し謙虚に受け止める必要があるのではないか。

こうした問題に対処できる熱源としては原発が挙げられ、フランスなどは脱炭素と同時に原発推進を主張している。

しかし、事故発生時の環境汚染が著しいため、特に日本では安易に利用を拡大できないのも事実であり、慎重な議論が必要になることは間違いがない。

【本日の見通し】

本日もエネルギー供給不安とインフレがテーマとなるため、資源価格の上昇は継続すると考える。

また、これまで割安で上昇していなかった穀物に関しても「割安な代替エネルギー」としての需要が増加するためこれらの資源価格も上昇する可能性が高い。

これまで価格が上昇していない粗糖なども、エタノール向け需要で上昇するのではないか。

本日の注目は、連日タカ派的なトーンが強まっている米連銀総裁の発言、インフレの要因の1つである労働市場需給の逼迫動向を占う上で重要な米週間新規失業保険申請件数(市場予想29.7万件、前月29.3万件)、資源高・労働力不足が景況感にどれだけ影響しているかを占う上で重要なフィラデルフィア連銀指数(市場予想25.0、前月30.7)に注目している。

【昨日のセクター別動向と本日の見通し】

◆原油

原油価格は上昇。昨日発表さえた米石油統計が市場予想に反して在庫減少が確認され、強気な内容だったことが材料視された。

昨日発表の米石油統計は、市場予想比で強気な内容だった。原油在庫が▲431KB(市場予想+1,283KB、前週+6,088KB)、クッシング在庫が▲2,320KB(▲1,968KB)、ガソリンが▲5,368KB(▲713KB、▲1,958KB)、ディスティレートが▲3,913KB(▲888KB、▲24KB)。

原油生産は前週比▲0.1MBDの11.3MBDとハリケーン前の生産量である11.5MBDに追いついていない。さらに言えば、プレ・コロナの水準まで需要が回復しているにも関わらず、生産量はそのとき(13.1MBD)から▲1.8MBDも低い。

原油在庫の水準も426.5MBと、同じ時期の過去5年の最低水準である416.4MBに迫る。在庫日数は27.8日(最低水準25.2日)と同様であり、米国の供給は決して十分といえる状態ではない。

一方、稼働率は前週から▲2.0%と低下したため製品供給が想定ほど伸びなかった。

製品出荷はガソリンが前年比+9.1%(前週+7.2%、2019前年比+0.9%)、ディスティレートが+5.7%(+16.8%、+1.8%)と堅調。

米国も暖房燃料のガス化が進んでいるが、今年のガス供給に懸念が残る以上、灯油需要が増加する可能性は高い。最大消費地域であるPADD1の在庫は2,653KBと過去5年の最低水準である3,209KBを下回っている

総製品出荷は前年比+14.0%(前週+12.5%、2019前年比▲0.8%)の20.91MBDと前週から増加、輸出を合わせた総需要は前年比+9.2%(+8.1%、▲1.5%)と共に回復している。

本日も供給面の状況改善(生産の増加)が見られない一方、企業業績好調を背景に株価が高値を維持していることもあり高値圏を維持する公算。

◆石炭・LNG・天然ガス

豪州石炭スワップ先物価格は上昇。中国政府の投機取引規制や増産解除など、供給面での価格下落要因はそれなりにあったものの、実際の現物供給不足が解消するわけでもないため、在庫積み増しの動きが継続しているため。

特に冬場になると中国国内の生産が季節的に難しくなるため、多少価格が安くなったところではヘッジ買い意欲は高まると考えられる。

中国の石炭輸入動向への説明力が高いバルチック海運指数は続落しているが、過去5年の最高水準の3倍近い水準であり下がったといえるほどではない。

JKM先物市場は上昇して35ドル台を突破、過去最高値を更新した。欧州でノルウェーのガス供給が減少したことや、その他の生産停止が複数報じられたため供給懸念が強まり欧州ガス価格が上昇していることが背景となった。

欧州天然ガスは気温が穏やかになるとの予報を背景に下落していたが、ロシアからの供給減少や生産停止の影響で再び上昇に転じている(生産停止状況はエネルギー関連ニュースを参照)。

米天然ガスも域内気温低下予報や欧州ガス価格の上昇が材料となった。

スポットLNGタンカーレートはスエズ以東が上昇、以西は横這いだった。欧州の調達が一巡したとは思えない。

2021年10月1日~17日のLNG取引は前週比▲10%の670万トン(前週+16%の770万トン)、スポット調達のシェアは28%(28%)と変わらずだった。

輸入量の減少は主にスペイン、韓国、中国の減少によるもの。韓国・中国の輸入減少は長期契約分の減少によるもの。場合によると中国のガス供給には目処がたった可能性もゼロではないため、今後も週間輸出入動向は注目したい。

日本の輸入は+13%の増加。これは主に長期契約の中での調達増と考えられる。

石炭は中国の増産や規制強化の影響で若干水準を切下げる可能性が高まっているが、現物需給の緩和はまだ先とみられるため、高値維持の公算。

天然ガスはロシアが供給増加を見送る一方、代替燃料(灯油やディーゼル)を求める動きが強まっていること、短期的に欧州の気温が穏やかになるとの見方といった強弱材料が混在するため高値でのもみ合いを予想。

◆非鉄金属

LME非鉄金属価格は上昇した。中国の投機規制が価格を押し下げた前日と異なり、LME指定倉庫在庫の減少が続いていることから供給面が強く意識されていることが背景。

なお、PMIは減速を始めており、中国の新築住宅販売も価格が下落するなど同国の最大需要先である建設向けの需要が減速する可能性があるのだが、それ以上に供給面が強く意識されていると考えられる。

なお、一昨日、LMEは銅価格の異常な変動を受けて規制を行った。具体的には8割を超える在庫をTrafiguraが保有していたとされ、ショート筋が現物市場でスクイーズを受けてキャッシュ価格が暴騰、1,000ドルを超えたことで、市場の安定性が損なわれるとして、トムネ取引の価格に規制を設ける(極端な価格引き上げを認めない)といった内容。

これは異例のことではあるものの、かの有名な住友商事の同事件の時も「バックワーデーション潰し」としてスクイーズ筋を牽制する規制が行われ、過去にも複数回、類似の規制を行っている。

一時的な規制であるが、現物価格は下落すると考えられる。しかしあくまで異常な価格の高騰を制御するためのものであるため、足下の需給バランスがタイトである以上、大幅な調整にはなり得ない。

本日も電力供給問題が解消している訳ではなく、需給はタイトなため高値圏での推移を予想する。

◆鉄鋼・鉄鋼原料

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは小幅に下落、豪州原料炭スワップ先物は小幅に下落、大連原料炭先物も小幅に下落、上海鉄鋼製品先物は下落した。

中国の新築住宅価格の下落や当局による投機的な取引の規制方針や、石炭市場での当局規制強化に伴う連想売りが鉄鋼製品価格を押し下げたことが影響したようだ。

本日も、中国当局の規制強化報道や住宅セクター価格の下落を受けて「多少」下値余地を探る動きになると考える。

◆貴金属

昨日の貴金属セクターは上昇した。資源価格高騰に伴うインフレが定常化する可能性が高まる中、企業業績が市場予想を上回り「資源高に対応できるのでは」との見方が期待インフレ率の上昇を許容、実質金利が低下したこと、リスクテイクのドル安が進行したことが材料となった。

パラジウムは株価上昇でさらに上昇しそうだったが、足下、自動車向けの需要が減少しているため投機的な取引が価格を左右しやすく、テクニカルに50日移動平均線が上値として意識されたことが材料となったようだ。

本日も長期金利動向に左右される展開を予想。ただし足下、インフレが強く意識されているため実質金利の低下から貴金属セクターは堅調。

パラジウムなど、工業金属としての色彩が強い金属はエネルギー供給不安などを背景に工業需要が減少することが意識されているため、株価上昇はあるものの上値も重いか。

◆穀物

シカゴ穀物市場は上昇した。米石油統計で石油製品不足やエネルギー価格高騰を受けてエタノール生産が増加、トウモロコシの需要が増加すると見られたことが穀物セクター全体に影響した。

本日も目立った材料がないが、エネルギー価格上昇に伴う代替需要が増加していることが確認されたこともあり、高値圏での推移を予想。

※中長期見通しは個別セクターのコラムをご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【昨日のトピックス】

昨日発表された貿易統計は、輸出が前年比+13.0%(前月+26.2%)と伸びが鈍化。サプライチェーンの寸断や半導体不足の影響で自動車輸出が伸びなやみ(前月比▲40.3%、寄与度▲6.5%)、全体を圧迫した。

サプライチェーンの混乱はコロナの影響に拠るところも大きく、こちらの状況が改善するまではさえない状態が続く可能性が高い。「もう収束したのでは?」との意見もあるが、まずはこの冬が乗り切れるかどうかが1つの目安となる。

今回注目すべきは輸入が前年比+38.6%(市場予想+34.6%、前月+44.7%)と市場予想を上回った点。明らかに燃料の輸入が価格高騰を背景に増加したことに因るものである。

通常、日本はエネルギーを文字通りエネルギー源として用いており、加工して販売する化学向けの需要は3割程度だ。これらは価格に転嫁できるが、輸出して海外に価格転嫁ができる業種出ない限り、国内の負担増になる。

残りの7割は輸送燃料や発電、工場燃料に用いられるため単純に企業業績の悪化、ないしは家計の悪化要因となり、前者は利益の減少、後者は可処分所得に占める光熱費の増加で消費に悪影響が及ぶ。

さらに悪いことに貿易統計の悪化は実需面で為替の円安を誘発する点だ。貿易赤字の場合、入手できる外貨以上に出て行く外貨の方が多いことを意味し、それはとりもなおさずドルをはじめとする外貨がネットで必要であり、外貨調達・円売り、となるため円安となる。

輸出が好調であればこの効果も限定されるが、今回は輸出が伸び悩む中での円ベース資源価格の上昇であるため、国内企業にとっては業績にマイナスにしかなり得ない。

こうなると、伝統的な設計見直しによるコスト削減(数量削減)や、人員カット、外注の削減(該当企業に対するサービス提供並びに商品納入業者の業績悪化)を誘発することになる。

【マクロ見通しのリスクシナリオ】

・発電燃料供給不足による工場稼働停止や消費低迷で景気が減速する場合(リスク資産価格の下落要因)。

・中国恒大集団の債務問題が不動産セクター全体に波及し、世界的に株安となり経済活動が逆回転する場合(工業金属などの景気循環系商品を筆頭に、リスク資産価格の下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(これは人口動態を考えると、現実のリスクとなるのは2030年以降か)。

・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。

逆に脱炭素に向けたインフラ投資の加速で資源価格が急上昇、金融緩和マネーが大量に市場に滞留する中でハイパーインフレとなるリスク。

・コロナウイルスの感染再拡大によるロックダウンが景気循環系商品の需要を減じる場合(価格下落要因)。

逆に想定以上に新型ワクチン・治療薬の開発が速やかに行われた場合は需要の増加要因に。

・来年の中間選挙を控えて、バイデン大統領が国内の支持を得られない場合。財政面や企業負担増の理由から造反が発生し、議会を通過しない場合は景気のリスクに(景気減速要因)。

・米財政出動が加速、景気回復期待を受けた価格上昇が顕著となる場合。

この場合、長期金利上昇でドル高が進行しやすく価格の下落を意識しなければならない。

・米中対立激化による、新冷戦構造が発現しブロック経済圏が発生して貿易活動が鈍化する場合(場合によると武力衝突も)。

「能動的に」軍事を行う方針に舵を切った中国習近平政権が、台湾統一を目指して侵略する可能性は高くなった。

・米テーパリング実施が、コロナの感染に苦慮する中南米、欧州・アフリカの新興国経済に悪影響を及ぼす場合(景気減速要因)。

・独総選挙結果を受けた連立政権樹立に難航し、域内最大経済国のドイツ経済が減速する場合、また、EUの指導力が低下し域内経済が停滞する場合(景気減速要因)。

・次の成長ドライバーとして期待されるインド経済が、期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。

2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2023~2024年頃。

・アフガン情勢の混乱が域内経済に混乱(大量の難民発生、コロナの感染拡大が欧州圏にもたらされるなど)をもたらし、米中対立を先鋭化させる場合(景気の減速要因)。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油価格見通し】

原油価格はこれまで脱炭素の流れで増産が見送られてきたことから直ちに供給増加ができないこと、OPECプラスの「追加」増産見送り、欧米投資銀行が100ドル原油予想を相次いで発表、投資熱が高まっていることなどから高値を維持すると考える。

特にこの冬は天然ガス・石炭の供給不足が解消する感じではないため、冬場の気温次第では一段の上昇も有り得る状況。

10月4日のOPECプラスは追加増産への期待があったがこれを見送り、当初予定通りの40万バレルの増産にとどめた。

サウジアラムコは「ガス価格の高騰で原油需要が50万バレル増加している」としており、9月のDOE予想を元にすれば10月は80万バレル程度の供給過剰であるため、メキシコ湾の生産回復に遅れが出ていることを考えると、ほぼ需給はバランスしていることになる。

しかし、供給が綱渡り状態であることは事実であり、冬場の気温次第で供給が不足する可能性は低くない。

中期的にはOPECの増産、米テーパリング開始、発電燃料供給不足が企業活動を鈍化させること、冬場の上昇による暖房需要の減少を背景に軟調な推移になると予想する。

テーパリングに関しては、前回実施時は中盤に原油価格は下落に転じており、今回テーパリング開始も価格の下押し要因となる。

なお、価格上昇に伴い米国のシェールオイル生産は回復、最大生産地域であり、生産コスト低いるPermianの生産はコロナ前の水準をほぼ回復した。

しかしその他の地域は回復が見られておらず、シェールオイル全体の10月の生産は2020年3月の8.56MBDよりも▲0.79MBD万少ない7.85MBDとなる見込み。

また、リグの稼働も脱炭素などの影響低調で、増産はこれまで掘削したが稼働させていなかった井戸の稼働によるものに止まっており、完成非稼働井戸数はピーク時の半分まで減少している。

米DOEの2021年供給は95.82MBD、需要は97.46MBD、需給バランスは▲1.78MBDの供給不足。

価格を下押ししてきたコロナであるが、徐々に「ウィズコロナ」に舵が切られつつあり感染拡大が価格下落に影響するステージは早晩終了するとみられる。

しかし、それはこの冬到来が懸念される第6波までに解消する、とは考え難いため引き続き景気循環系商品価格の下落要因である。

中国の輸入規模はその水準は世界最大であるものの、原油価格に余り影響を与えない中国の原油輸入は、9月は前年比▲15.3%の4,105万トン(前月▲6.2%の4,453万トン)と前年比で前月から減速感が強まった。同国の経済活動が鈍化している可能性を示唆するもの。

【見通しの固有リスク】

・気温低下による暖房向け燃料需要が増加、ないしは不稼働の液体系燃料発電(ディーゼルや重油)を有する国や地域が再稼働を決定した場合(価格の上昇要因)。

・電力・ガスをはじめとするエネルギー供給制限が経済活動を強制的に停止させ、需要が減少する場合(価格の下落要因)。

・コロナの変異株が猛威を振るいワクチンが効かない場合(需要減少で下落リスク)。

・米国経済が正常化する中でテーパリングなどの金融緩和解除が加速、急速なドル高を通じて投機的な売り圧力が高まる場合(価格の下落要因)。

・OPECプラスの増産ペースの遅れないしは上流部門投資不足による供給不足。またはイランを巡り武力衝突や制裁解除が遅れた場合(価格上昇要因)。

価格が上昇する中でOPEC諸国の減産維持統制が効かなくなり、増産競争に舵が切られる場合(下落要因)。

・脱炭素の進捗、生活様式の変化による構造的な需要減少が加速した場合(価格下落要因)。

・脱炭素の過剰な進捗による供給懸念(価格上昇要因)。

1.中東産油国の財政悪化によって情勢不安が顕在化、供給途絶リスクが高まる場合

2.中東以外の産油国の生産者の破綻

3.上流投資部門投資が減速し、インドなどの新興国需要顕在化時に供給が間に合わない場合

4.価格面、数量面で予算を確保できない産油国が、OSPを大幅に引き上げる場合(第3次オイルショック)

かなり過剰なペースで脱炭素が進められており、オイルメジャーも株主・政府の圧力を受けて脱炭素に舵を切り、タイムリーな原油増産が困難になっている。

この場合、「脱炭素移行期間の景気回復時」には十分な燃料供給が出来ないリスクが高まり、来年以降の価格上昇局面で原油価格が100ドルを超えるリスク(リスクシナリオの位置づけ)。

なお、脱炭素が完了しても100%原油が不要になることはなく、OPECの価格支配力が増すため、この場合でも価格は上昇へ。

【石炭価格見通し】

海上輸送石炭価格は堅調な推移になると考える。中国・インドなどの石炭火力中心の地域の石炭在庫水準は低く、冬場の電力需要向けの調達は旺盛で、供給不足に伴い稼働を停止する工場が増加していることから考えても分るように、今後も石炭調達は継続するとみられ高値維持の公算。

中国政府は石炭供給不足を解消するため、環境規制強化の方針を解除し増産に舵を切り、消費者向けに価格上限設定や投機の規制強化なども強化する方針を表明した。

しかし今年の生産はそもそも過去5年の最高水準を維持しており決して減産していた訳ではないこと、冬場の増産が難しいことから、影響は限定されて高値で推移する可能性は高い。

石炭は「座礁資産」と呼ばれ、上流部門投資ができなくされていることから、増産をしているのはGlencoreや中国企業ぐらいであり、供給が不十分であること、需要側の構造はそう簡単には変わらないことを考えると、この冬場は極めて高い水準を維持することになろう。

9月の石炭輸入は前年比+76.1%の3,288万トン(前月+35.8%の2,805万2,000トン)と前月から急増し、過去5年レンジを上抜けた。国内の深刻な石炭不足を背景に輸入が増加している。

国別の内訳はまた後日となるが、豪州からも調達を再開したとみられる。そうであれば以前よりも石炭調達が容易になるため、国別の輸入動向には注目したい。

【見通しの固有リスク】

・今冬はラニーニャ発生が予想され、厳冬のリスクも意識されているが懸念に反して暖冬となる場合(価格下落要因)。

・電力・ガスをはじめとするエネルギー供給制限が経済活動を強制的に停止させ、需要が減少する場合(価格の下落要因)。

・Nord Stream2の稼働が早期に行われ、天然ガス価格が急落する場合(下落要因)。

・世界的な環境重視型世界へのシフトを受けた、石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念(価格の上昇要因。これは既に顕在化)。

・中国と豪州の対立、中国国内の生産能力増強に伴う、海上輸送炭需要の減少。

【天然ガス・LNG】

天然ガス価格は中国の経済活動が活発である一方、自然エネルギー供給(英国の風力、ブラジル・中国の水力など)が減少、火力発電向けの燃料需要が旺盛なこと、石炭価格も高値を維持していることから、価格は高値を維持すると考える。

ロシアプーチン大統領が欧州向けのガス供給に前向きな発言をしているが、だからといって実際に輸出が始まった訳ではなく、また、在庫不足の状態に変わりはないこと、ノルドストリーム2の稼働も来年の可能性が出てきたことから価格は高値維持。

引き続き、ラニーニャ現象発生が懸念される中で冬場に突入し、厳冬の中、計画停電が行われる可能性がある。この場合、人命のリスクが無視できない。

9月の中国の天然ガス輸入は前年比+22.6%の1,062万トン(前月+11.5%の1,044万トン)と高い水準を維持している。季節的に見ると過去5年レンジを大きく上回った状態が続いている。

9月の中国のLNG輸入は前年比+17.8%の675万トン(前月+11.7%の665万トン)と過去5年レンジを大きく上回り、構造的な需要増加は続いている。

長期契約のLNGに関しては、原油リンクとなるため上昇見通しだが、価格反映までに3ヵ月程度の時間差があるため(消費者への影響はさらに3ヵ月後)、現時点ではまだ上昇していないと考えられる。次の懸念は夏のピーク時の電力・ガス価格への影響だろう。

【見通しの固有リスク】

・今冬はラニーニャ発生が予想され、厳冬のリスクも意識されているが懸念に反して暖冬となる場合(価格下落要因)。

・電力・ガスをはじめとするエネルギー供給制限が経済活動を強制的に停止させ、需要が減少する場合(価格の下落要因)。

・8月18日にNord Stream2が稼働しているとの誤ったデータが発表された直後、ガス価格が大幅に下落している。

政治的な要因でNord Stream2の稼働は遅れると考えられるが、同パイプラインが稼働して欧州のガス需給が緩和した場合(価格下落要因)。

・石炭と同様、「化石燃料であること」を理由に上流部門投資が制限される、あるいは原油生産減少による随伴ガス供給が減少する場合(構造的な価格上昇要因)。

・産油国の減産継続による随伴ガス供給の減少懸念。

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが564,001枚(前週比 +15,440枚)ショートが159,225枚(+8,971枚)ネットロングは404,776枚(+6,469枚)

Brentはロングが364,041枚(前週比▲31,018枚)ショートが63,120枚(+738枚)ネットロングは300,921枚(▲31,756枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は短期的には上昇余地を探る展開を予想する。中国の電力供給問題は解消しておらず、石炭などの増産指示はあるもののまだ供給が間に合っているとは言えず、工場の稼働停止による現物自体の供給不足に加え、電力価格上昇によるコスト面が意識されるため。

なお、エネルギー供給制限の非鉄金属価格への影響は、短期的には供給面で価格を押し上げ、中期的にはコストアップを通じた業績悪化に繋がり、価格の下押し要因となる。

エネルギー供給問題の他、現在進行中の中国の不動産バブル抑制が不動産市場全体に波及する可能性が高いこと、直近の直近の工業生産、固定資産投資、不動産投資、工業セクター利益も減速が顕著であり、当面、加熱した景気の沈静化に中国政府が舵を切る可能性が高いことから中期的には調整すると予想。

しかし来年、米政権による大規模なインフラ投資が行われるため再び非鉄金属価格は上昇に転じると予想される。しかし、バイデン政権支持率低下で当初予定通り実行されるかが微妙に。超党派で合意しているため実行されるとみるが、期待通りの規模にならない可能性も考える必要がある。

なお、長期的にはインドの人口ボーナス期入り、まだ脱炭素の流れ、省エネの流れに変わりがないため、供給面・需要面の制限から価格が上昇するという見通しを変更する必要はないと考えている。

【LME金属需給見通し】

(2021年)

銅 生産 24,947千トン 需要 26,790千トン 需給 ▲842千トン

亜鉛 生産 14,045千トン 需要 14,069千トン 需給 ▲24千トン

鉛 生産 12,381千トン 需要 12,168千トン 需給 +213千トン

アルミ 生産 67,716千トン 需要 66,444千トン 需給 +1,272千トン

ニッケル 生産 2,573千トン 需要 2,612千トン 需給 ▲40千トン

錫 生産 429千トン 需要 431千トン 需給 +28千トン

【中国重要統計の評価】

9月の中国製造業PMIは49.6(前月50.1)と市場予想の50.0を下回り、閾値である50を下回り、製造業の減速感が鮮明となった。しかし同時に発表された財新製造業PMIは50.0(市場予想49.5、前月49.2)と回復しており、ややまちまちの内容となっている。

製造業PMIの規模別の景況感を見ると中堅・中小企業の減速が鮮明だが、財新製造業PMIは中堅企業並びに輸出企業が主体であるため、直近の貿易統計で輸出がやや回復したことが影響した可能性はある。

しかし総じて減速していることは間違いがなさそうで、工業金属需要減速、並びに価格の下落要因となり得る。

内訳を見ると生産鈍化(50.9→49.5)、新規受注(49.6→49.3)、輸出新規受注(46.7→46.2)、受注残(45.9→45.6)と需要の鈍化が顕著である。

在庫水準は低いが増加しており、完成品在庫は47.7→47.2、原材料在庫は47.7→48.2、サプライヤー納期はほぼ変わらない(48.0→48.1)。

さらに細かく見ると、購買量は減少(50.3→49.7)、購入価格は上昇(61.3→63.5)、販売価格も上昇(53.4→56.4)している。

工業金属価格に対する説明力が高い新規受注在庫レシオは、完成品が1.045(前月1.040)と上昇、原材料が1.023(1.040)となった。

生産指数が低下していることと合わせて考えると、1.発電燃料・電気の不足で稼働が低下、2.原材料は積み上がるが製品は出荷される、3.価格転嫁も進んでいるが輸入価格の高騰は続き、レーショニングが起きている、4.総じて原材料需給は緩和し、完成品需給はタイトな状態、と整理できる。

これまで工業金属価格の上昇を牽引してきたのは中国の住宅セクターであるが、中国の建設業PMIは57.5(前月60.5)と減速した。中国政府による不動産セクター沈静化の動きが影響しているとみられる。

中国恒大集団の債務問題はその氷山の一角だろう。問題の顕在化はこれからではないだろうか。

9月の中国の貿易統計を見ると、ベンチマークである精錬銅の輸入は前年比▲43.8%の40万6,000トン(前月▲41.1%の39万4,017トン)と過去5年平均を下回り続けており、減速感が鮮明となっている。

一方、9月の銅精鉱の輸入は前年比▲1.3%の211万1,000トン(前月+18.6%の188万6,000トン)と高い水準を維持している。銅価格の上昇もあって精鉱輸入が増加しているようだ。しかし、エネルギー供給制限もあり10月・11月の鉱石輸入は減少し、精錬銅輸入が増加するとみる。

8月の銅スクラップの輸入は+60.2%の12万9,802トン(前月+98.9%の14万9,369トン)。

ただし全体としては輸入に下押し圧力が掛っている印象は否めず、しばらくは調整圧力が強まる展開が予想される。

工業金属のフロー需要に影響する工業生産は、1-9月期累計で前年比+11.8%(1-8月期+13.1%)と伸びが鈍化、単月でも前年比+3.1%(前月+5.3%)と減速が鮮明になっている。

やはり、電力供給不足や不動産セクターの減速の影響が大きい。

実際、1-9月期の不動産開発投資は前年比+8.8%の11兆2,568億元(1-8月期+10.9%の9兆8,060億元)と減速している。

この結果、ストック需要の指標である固定資産投資も年初来累計で+7.3%(+8.9%)と減速が明確に。公的セクターの伸び鈍化は所与としても、よりボリュームの大きな民間部門が前年比+9.8%(+11.5%)と伸びが減速していることは、中国政府によるバブル抑制行動が影響しているとみられる。

いずれも「伸び」が鈍化しているのみであり、中国の経済活動はまだ拡大していることは間違いがない。しかし、需要の伸びが想定を下回る場合、多くの場合供給過剰を誘発して価格の下押し要因となる。

【政策動向・脱炭素】

政策動向・脱炭素の流れは中長期的な材料。米バイデン政権は8年間で1兆2,000億ドルのインフラ投資計画実施計画。

道路・橋梁・主要プロジェクトに1,090億ドル、電力インフラに730億ドル、旅客・貨物鉄道に660億ドル、ブロードバンド・インターネットサービスに650億ドル、公共交通機関に490億ドル、空港に250億ドルを投じる。

さらには2022年度予算も戦後最大となる歳出を6兆ドルと、以上と戦後最大の水準とする方針。

これらの需要は景気に関係なく発生する需要であるため、需要の見通しは底堅く、価格の調整があっても下値余地は限定される可能性が高い。

これまで中国が鉱物セクターの需要動向に関して主役であり、今後も非鉄金属価格の動向は中国動向が左右するが、「新規の需要」については欧米動向が重要になる可能性は意識しておきたいところ。

この場合、米国の景気回復=ドル高・金属価格上昇、という構図も考えられる。

米国・中国・インドがどのような動きをするかに環境政策は左右されるが、ここまでの各国の動きを見ていると当面は環境向けに使用される金属の需要増加は「今後10年・20年の大きなテーマ」となる可能性が高い。

軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル、銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルト、リチウムなど。

2020年の中国の新エネルギー車の販売は前年比+7.5%の137万台(前年124万台)となった。全体の自動車販売が2,523万台なのでシェアは5.4%(4.9%)と上昇している。それでも電気自動車が非鉄金属市場の重要なテーマになるには、あと数年は要する見込み。

【見通しの固有リスク/個別金属の特殊要因】

・中国不動産大手恒大集団の破綻懸念が中国の住宅セクターに広がり、中国の不動産バブルがはじける場合(価格下落要因)。

・ロジスティクスに障害が残る中、非鉄金属の偏在が現物プレミアムを押し上げるリスク(北米で顕在化)。

・猛暑や渇水による燃料価格上昇で、1.電力供給不足による稼働停止・供給減少、2.発燃料価格の上昇を通じて生産コストが上昇する、場合(価格上昇リスク)。

・米国経済が正常化する中でドル高が進行し、投機買いが膨らんでいる非鉄金属市場で投機の手仕舞い売り圧力が高まる場合(下落リスク)。

・米中間選挙に向けて、米民主党が追加でインフラ投資(2兆ドルのクリーンインフラ投資など)を議会の採決を得て実行に移す場合(上昇リスク)。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・チリやペルーで広がる左派勢力伸長に伴う大衆迎合的な政策が可決し、鉱山生産に過剰なロイヤルティが適用される場合(供給減少ないしは生産コスト上昇で価格の上昇要因)。

チリで議論されている銅のロイヤルティ増税案の詳細は以下の通り。

年内実施予定の選挙結果では課税強化で生産コスト上昇、または減産となる可能性も。

3%の新ロイヤルティに加え、銅価格に連動して税額が賦課される仕組み。

2ドル~2.5ドル/ポンド(4,406~5,508ドル/トン):15%2.5ドル~3(5,508~6,609):35%3ドル~3.5(6,609~7,711):50%3.5ドル~4(7,710~8,813):60%4ドル~4.5(8,813~9,914):70%

年間販売量が5万トン未満の小規模生産者は品位95%の粗銅の場合▲5%の軽減税率、アノードの場合(99.4~99.6%)が適用される。

2023年までは現行の営業利益率によって5~14%の鉱業ロイヤルティが適用されるが、2024年以降は新税制を適用。

・メキシコは鉱業改革法の中で、エネルギー転換に必要なリチウムとその他の戦略的鉱物の採掘権をこれ以上容認しないとしており、これに銅やネオジム、プラセオジムなどのレア・アースも含まれる可能性。

・インドネシアが再び低品位ニッケル鉱石の輸出を制限する場合(ニッケル価格の上昇要因)。

・LMEベースメタルではないが、中国ではレア・アースの生産を国有企業に集約して管理する動きが強まっており、今後の自動車セクターの中核となる電気自動車生産のサプライチェーンに大きな影響を与える可能性。

レア・アース大手五鉱稀土は、親会社の中国五鉱集団がアルミ大手のチャイナルコやレアアースの大産地である江西省政府との間でレアアース関連資産の戦略的な再編交渉を進めていると発表。

中国政府が2020年および2021年に許可したレアアースの採掘割当量を見ると、CMRE、チャイナルコ、江西省地方政府傘下企業の3社だけで、中国全土で採掘を許可された(ジスプロシウムなど)重希土類の割当量の67.9%、(ネオジムやセリウムなど)軽希土類の割当量の39.1%を占める。

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

また、環境に配慮したメタル使用の義務化などが欧州で進む場合などのコストアップ(グリーン・メタルの義務化によるコスト増加)。

中国の環境規制強化に伴う供給の減少。エネルギー排出量の多い新疆ウイグル自治区でのアルミ生産は減産の影響は既に材料視されている。

【投機筋のポジション動向】

・LME投機筋買い越し金額 前週比+22.4%の345億ドル(前週 282億ドル)・LME投機筋買い越し数量 前週比+5.9%の6,575.7千トン(前週 6,207.1千トン)

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は中国政府の発電燃料供給不足と環境改善目的の鉄鋼製品生産減少、中国不動産セクターの先行き不安が鉄鋼向け需要を減じることから、水準を切下げる展開を予想。

直近の工業生産、固定資産投資、不動産投資、工業セクター利益とも前年比ベースの減速が顕著であり、中国政府の想定通り中国経済は過熱が沈静化の方向に向かっている。

ただし、同時に中国政府は金融緩和を行っていること、米欧中のインフラ投資による建材向け需要増加観測を背景に下落したとしても下値余地は限定されるのではないか。米国では鉄鋼製品価格上昇が継続している。

なお、鉄鉱石先物の期先の価格が限界生産コストの目安として意識されるが、100ドル程度で安定しており、やはり中長期的にはこの水準に価格が回帰すると考えている。

【中国の政策動向】

中国共産党は2021年から始まった新しい5ヵ年計画で鉄鋼生産量の削減の必要性を表明している。今のところ昨年の生産量を超えないようにする、というのが中国政府の目標。

最大生産都市である唐山市は、2021年20日~12月31日まで、大気汚染基準に違反し、データを改ざんした4社は7月~12月末まで▲30%減産、その他の16社は12月末まで▲30%の減産を新たに実施することを義務づけられている。

これにより、唐山市の粗鋼生産は前年比▲2,223万トンの1億2,177万トン、鉄鉱石需要は▲3,500万トン減少するとみられている。

別の話だが、半年後、北京オリンピック中に粗鋼生産が停止させられる可能性は高い。

粗鋼生産が減少すれば、鉄鉱石の在庫水準の指標である在庫日数も、分母が小さくなるため上昇が予想され、鉄鉱石価格の下落要因となる。これは原料炭も同様。

【中国重要統計の評価】

9月の中国鉄鋼業PMIは総合指数は45.0(前月41.8)と回復した。これは新規受注(31.6→39.0)、輸出向け新規受注(31.8→39.5)と回復したことによるものだが10月の大型連休や8月の洪水の影響もあってその反動の増加と考える方が適切だろう。

新規受注の回復を受けて新規受注・完成品レシオが1.12(0.94)となり、新規受注原材料レシオも1.00(0.89)の上昇となった。しかし完成品の方がレシオの上昇が顕著である。

このことは、生産抑制に伴い鉄鋼製品需給はタイトな状態が続く一方、鉄鋼原料需給は完成品ほどではないがやはりタイトであり、鉄鋼原料輸入が継続する可能性が高いことを示唆している。

特に、環境保護や生産制限によって国内供給が厳しく、海外からの輸入(豪州)ができなくなり、モンゴルからの供給もコロナの影響で制限されている原料炭価格はさらに高値を維持することになろう。

これまで工業金属価格の上昇を牽引してきたのは中国の住宅セクターであるが、中国の建設業PMIは57.5(前月60.5)と減速した。中国政府による不動産セクター沈静化の動きが影響しているとみられる。

中国恒大集団の債務問題はその氷山の一角だろう。問題の顕在化はこれからではないだろうか。

工業金属のフロー需要に影響する工業生産は、1-9月期累計で前年比+11.8%(1-8月期+13.1%)と伸びが鈍化、単月でも前年比+3.1%(前月+5.3%)と減速が鮮明になっている。

やはり、電力供給不足や不動産セクターの減速の影響が大きい。

実際、1-9月期の不動産開発投資は前年比+8.8%の11兆2,568億元(1-8月期+10.9%の9兆8,060億元)と減速している。

この結果、ストック需要の指標である固定資産投資も年初来累計で+7.3%(+8.9%)と減速が明確に。公的セクターの伸び鈍化は所与としても、よりボリュームの大きな民間部門が前年比+9.8%(+11.5%)と伸びが減速していることは、中国政府によるバブル抑制行動が影響しているとみられる。

いずれも「伸び」が鈍化しているのみであり、中国の経済活動はまだ拡大していることは間違いがない。しかし、需要の伸びが想定を下回る場合、多くの場合供給過剰を誘発して価格の下押し要因となる。

【中国鉄鋼製品輸出入・在庫動向】

9月の中国の鉄鋼製品の輸入は前年比▲56.5%の125万6,000トン(前月▲52.5%の106万3,000トン)と低迷し、過去5年平均を下回った状態が続いている。

9月の中国粗鋼生産は前年比▲21.2%の7,375万トン(前月▲13.2%の8,324万トン、前々月▲8.4%の8,679万トン、6月+1.5%の9,388万トン、5月+6.6%の9,945万トン)と減速が鮮明になっている。

一方、9月の鉄鋼製品の輸出は前年比+28.5%の492万トン(前月+37.3%の505万3,000トン)と前月から前年比の伸びを縮小させ過去5年平均を下回る水準。やはり国内供給を優先させていることが窺える。

なお、中国の鉄鋼製品需要は旺盛とみられるが、在庫水準は前週比+16万6,000トンの1,460万8,000トン(過去5年平均 1,164万トン)と例年を上回り水準は高い。

【中国鉄鉱石輸出入・在庫動向】

原料である鉄鉱石の9月の輸入は前年比▲11.9%の9,560万トン(前月▲2.9%の9,749万トン)と減速した。中国政府の鉄鋼ミル稼働制限の動きが輸入を鈍化させたとみられる。また中国の鉄鉱石需要は鈍化している可能性がある。

鉄鉱石港湾在庫は前週比+600万トンの1億3,970万トン(過去5年平均1億2,731万トン)、在庫日数は31.0日(過去5年平均 29.5日)と数量ベース・日数ベースでも過去5年平均を上回り急速に需給が緩和していることが確認されている。

在庫日数は粗鋼生産の水準の高さに依拠するため、中国政府の鉄鋼生産抑制方針を受けて在庫日数の上昇傾向は続き、価格を下押しすると予想される。

【中国原料炭輸出入・在庫動向】

原料炭は中国の生産活動回復が継続しているが、前年比の伸び鈍化が明確になってきたため(中国政府の方針通り)、価格は下落余地を探る動きになると考える。

また、中国政府は原料炭を含む石炭の国内生産を増加させる方針であることも、海上輸送原料炭価格を下押ししよう。

とは言え、環境規制強化の流れで世界的に原料炭供給を増加させられる地域が限定されることから、下落余地も同様に限定される都見るのが妥当だ。

8月の中国の原料炭輸入は前年比▲35.8%の434万6,477トン(前月▲34.7%の468万2,831トン)と再び減少しており、過去5年レンジを下回った状態が続いている。豪州からの輸入停止と、モンゴルからの輸入停滞(コロナの影響)、国内の鉄鋼生産削減政策が影響しているとみられる。

中国の港湾在庫の水準は鉄鋼の最大生産省である河北省の主要港である、京唐港の港湾在庫は前週比▲11万トンの94万トンと過去5年平均の124万6,000トンを大きく下回っている。

在庫日数は3.9日と、過去5年の平均である5.4日を下回り、タイトな状態。中国政府の方針を受けた粗鋼生産の減少の可能性は高いものの、在庫水準の異常な低さが価格を押し上げよう。

【見通しの固有リスク】

・中国の不動産セクター減速が、建材需要を減少させる可能性(鉄鋼製品価格の下落を通じて鉄鋼原料価格の下落要因)。

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合(価格上昇要因)。

・コロナウイルスの感染拡大長期化による、鉱山生産の減少リスク(価格上昇要因)。

---≪貴金属≫---

【貴金属価格見通し】

【金】

金は下押し圧力が強まる展開が予想される。米長期金利が早期利上げ観測に伴い、ツイストする形で低下していたが総じて上昇基調にあること、高値圏にある原油価格も足下さらなる上昇は様子見の状態にあり、期待インフレ率に下押し圧力が掛りやすく、実質金利に上昇圧力が掛ることから。

テーパリングが進捗する中では(というよりは、テーパリング宣言からテーパリング実施まで、その影響を織り込む中では)長期金利に上昇圧力が掛り、中期的に下落に転じる見通しに変化はない。

なお、過去5年平均を基準にすると名目金利1bpに対する金価格の感応度は±3.0ドル弱であり、米10年金利が現在の水準から30bp上昇すれば▲90ドルの下落圧力となる(60bpで▲180ドル)。

現在の金の実質金利で説明可能な価格(金基準価格)は1,638ドル(前日比+8ドル)、そこからの乖離(リスク・プレミアム)は144ドル(+4ドル)。

リスク・プレミアムは、過去3ヵ月平均で120ドル、6ヵ月で170ドル、1年で180ドル、5年で180ドルとなっている。

なお、金価格を実質金利要因と為替要因に分類した場合、為替要因はリスク・プレミアムのところに内包されると整理している(為替は名目金利の影響も受けるので、純粋に為替の要因のみ切り出すのが困難であることから)。

※毎日回帰分析をアップデートし、リスク・プレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない場合があります。

【銀】

銀価格は金価格との比較感で売買されるが、金銀レシオは現在、74.8倍。過去1年を基準にすると72倍、5年では80倍、2000年以降では66倍程度が妥当。

今後、さらに金銀レシオが低下するには、工業需要の増加が必須。今後、IT化の進捗でエレクトロニクス向けの需要が増加することが必要。太陽光パネルの増設は脱炭素の行きすぎヘの反発や、米国が太陽光パネルの主要生産国である中国からの調達を手控えると考えられ、影響は限定と考える。

なお、銀価格=金価格÷金銀レシオ であり、金銀レシオが低下することで金価格が変動した時の弾性値が上昇(ボラティリティは上昇し、足元金の2倍に上昇)する点は留意。

(例)金が2,000ドル、銀が20ドルのとき 金銀レシオが100倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1セント変化 金の変化率は±0.05%、銀は±0.05%

 金銀レシオが1倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1ドル変化 金の上昇率は±0.05%、銀は±5%

【PGM】

プラチナ価格は銀価格との連動性が高い。これは供給過剰で投機的な取引の影響が強まっていることによる。プラチナの需給バランスはWPICデータを元にすると今年も除く投機で供給過剰であり、投機動向が価格を左右しやすい。

パラジウムは半導体供給低迷が自動車生産に影響を与える状況が来春ぐらいまでは続く可能性があるため、当面低水準での推移。しかし自動車販売が回復すれば再び高値圏へ。

8月の米自動車販売は年率1,218万台(市場予想1,300万台、前月1,306万台)と減速。目先はパラジウム価格の下落要因となりやすい。

中国の自動車販売は中国自動車工業協会の集計で以下の通りであり、明らかに伸びが減速している。半導体供給不足に加え国内景気の伸び減速が影響。

9月 前年比▲19.5%の206万6,000台8月 ▲17.4%の179万8,841台7月 ▲11.8%の186万3,550台。6月 ▲12.4%の201万5,309台5月 ▲3.0%の212万7,000台4月 +8.8%の225万台3月 +76.5%の252万5,000台2月 +371%の146万台1月 +30%の250万台

調査会社のオートフォーキャスト・ソリューションズによれば半導体不足による供給減少の累積は7月16日時点で167万8,000台となっており、2019年1-7月期の966万9,484台から▲17.4%減少している。

この回復がある、ないしは供給側の混乱(南アフリカ)による生産減少がなければ、PGM価格は低水準で推移しよう。

【見通しの固有リスク】

・アフガニスタン情勢がかなり混迷の度合いを深めており、周辺地域への影響(南欧など)が拡大し、軍事的な行動に発展、足下のリスク・プレミアムが低いことからリスク回避の見直し買いが入る場合(貴金属セクター全体の上昇要因)。

・主要生産国の南アフリカの電力供給不安や、コロナウイルスの影響拡大で供給が滞る場合(PGMの価格上昇要因)。

・コロナからの回復は各国まだらであり、先行する米国が金融正常化に動いた場合、新興国から資金が流出して信用リスクが高まる場合(安全資産価格の上昇要因)。

・米中の対立激化。バイデン政権は対中強硬姿勢を明確にしており、対立がさらに激化する場合(安全資産価格の上昇要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加(実際に破綻が意識されるのは2030年以降か)。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

環境重視型社会へのシフトはパラジウム需要を増加させるが、さらに加速して「水素社会」まで到達すると、燃料電池車需要が増加して構造的にプラチナ価格の上昇要因となる可能性。

・コロナウイルスの感染拡大による、最大生産国の1つである南アフリカの鉱山稼働が電力供給問題もあって不安定であることによる供給懸念。

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが298,503枚(前週比 +2,564枚)、ショートが112,964枚(▲393枚)、ネットロングは185,539枚(+2,957枚)、銀が63,488枚(▲469枚)、ショートが45,501枚(▲2,077枚)、ネットロングは17,987枚(+1,608枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが31,711枚(前週比 ▲703枚)ショートが20,792枚(▲6,107枚)、ネットロングは10,919枚(+5,404枚)

パラジウムが2,920枚(+91枚)、ショートが5,416枚(▲643枚)ネットロングは▲2,496枚(+734枚)

---≪農産品≫---

【穀物価格見通し】

シカゴ穀物価格は堅調な推移になると考える。冬場のラニーニャ現象の発生(北半球の天候相場は終了も、南半球の天候相場入り)が懸念されていることや、エネルギー価格の急騰により代替エネルギー需要が高まることが材料。

8月の中国の大豆輸入は前年比▲29.7%の688万トン(前月▲1.2%の948万8,000トン)と大幅に減少した。

中国の港湾在庫は減少を始めているため調達圧力は強いと考えられるものの、高値圏にある輸送コストや米ハリケーンの影響による輸出障害などが影響したとみられる。

Locust Watchではソマリア・イエメンでのサバクトビバッタの被害が深刻になっていることが指摘されている。

echiopi9月中旬以降、エチオピア北東部の繁殖地で群れの形成が確認された。今後、最終的な繁殖のために紅海とアデン海に沿った地域への移動(サウジアラビア南西部など)が懸念される。
https://www.fao.org/ag/locusts/common/ecg/75/en/211014update.jpg

【見通しの固有リスク】

・ラニーニャ現象発生観測による投機筋の買い圧力の強まり(価格の上昇要因)。

・環境重視型社会へのシフトにより、燃料向け穀物需要が増加する場合(価格の上昇要因)。現在はそれほどの数量でもない、バイオディーゼル向けの大豆需要増加など。

・新型コロナウイルスの影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

【米農務省需給報告データ】

・米作付け意向面積トウモロコシ 9,114万エーカー(市場予想9,313万エーカー、前年9,699万エーカー)大豆 8,760万エーカー(9,010万エーカー、8,351万エーカー)小麦 4,636万エーカー(4,495万エーカー、4,466万エーカー)綿花 1,204万エーカー(1,215万エーカー、1,370万エーカー)

・米穀物最終作付け面積 実績(前年)トウモロコシ 9,269万エーカー(9,082万エーカー)大豆 8,756万エーカー(8,383万エーカー)小麦 4,674万エーカー(4,425万エーカー)

・10月米需給報告単収見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 176.5Bu/エーカー(175.6、176.3)大豆 51.5Bu/エーカー(51.0、50.6)小麦 44.3Bu/エーカー(NA、44.5)

・10月米需給報告生産見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 150億1,900万Bu(149億5,300万Bu、149億9,600万Bu)大豆 44億4,800万Bu(44億963万Bu、43億7,400万Bu)小麦 16億4,600万Bu(NA、16億9,700万Bu)

・10月米需給報告輸出見通し(実績/前月)トウモロコシ 25億Bu(24億7,500Bu)大豆 20億9,000万Bu(20億9,000万Bu)小麦 8億7,500Bu(8億7,500万Bu)

・10月米需給報告在庫見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 15億Bu(14億4,080万Bu、14億4,000万Bu)大豆 3億2,000万Bu(2億9,830万Bu、1億8,500万Bu)小麦 5億8,000万Bu(5億1,020万Bu、6億1,500万Bu)

・9月末四半期在庫 実績(前期末)トウモロコシ 12億3,600万Bu(41億1,100万Bu)大豆 2億5,600万Bu(7億6,900万Bu)小麦 17億8,000万Bu(8億4,500万Bu)

・10月CONABブラジル作付け面積(市場予想/前月)トウモロコシ 2,087万ha(2,087万ha、1,987万ha)大豆 3,992万ha(4,031万ha、3,853万ha)

・10月CONABブラジル生産量(市場予想/前月)トウモロコシ 1億1,631万トン(1億1,932万トン、8,575万トン) 単収 5,5756kg/ha(5,716kg/ha、4,316kg/ha)大豆 1億4,075万トン(1億4,408万トン、1億3,591万トン) 単収 3,526kg/ha(3,578kg/ha、3,527kg/ha)

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが402,726枚(前週比 ▲8,073枚)、ショートが123,438枚(+9,644枚)ネットロングは279,288枚(▲17,717枚)

大豆はロングが134,258枚(▲3,289枚)、ショートが92,268枚(+6,122枚)ネットロングは41,990枚(▲9,411枚)

小麦はロングが94,728枚(▲1,475枚)、ショートが99,262枚(+10,371枚)ネットロングは▲4,534枚(▲11,846枚)

◆本日のMRA's Eye


「材木価格は再度下落へ」

ウッドショックと呼ばれた国際材木価格の高騰は一服し、水準を切下げたが足下は再び上昇している。しかし、この価格も再び下落に転じる可能性が高い。

そもそも材木価格の上昇は、コロナの影響が出る前から材木価格の下落を受けて生産者が減産をしていたこと、そこにコロナ問題が発生して需要が減少すると判断されたため、生産者の減産が加速したことが始まりだ。

ところが新型コロナウイルスが世界中に広がり、各国政府は景気減速を回避するための対策を実施、さらに新型コロナウイルスの影響による生活スタイルの変化で、郊外のより広い密にならない地域での生活を志向する消費者が増加、中央銀行の金融緩和策と相まって住宅セクターが過熱したことが影響した。

これに米政府の失業対策による給付金を得た個人投資家の資金がCFDなどを通じて流動性のない材木市場に流入したことも、価格上昇に拍車を掛けた。

材木市場は流動性が低いため、個人投資家などの資金が結託して投資を行えば値は飛びやすく、価格上昇時はその上昇ペースが極端になりやすい。

逆もまた真なりで、5月~6月頃から米国の失業給付付加金が削減される方針が示され、さらに、長らく農産品セクターの価格上昇要因となっていたラニーニャ現象が5月13日に終了、これを受けた農産品セクターの売りに連れる形で材木市場にも投機筋・個人の利益確定の売りが強まったが、やはりそのペースは早いものとなった。

そしてCFTCの投機筋ポジション動向を見るに、投機筋の建玉は売り建て・買い建て玉とも減少しており、こうした投機筋を主体とする相場加熱は一巡した感が強い。

足下、材木価格は再び値を戻しているが、今後、下落に転じる可能性が高いと考えている。

というのも、木材の最大輸入国で世界貿易量の4割を占める中国の住宅セクター減速の可能性が高まっていること、米テーパリング開始のみなならず、供給不足や物流の問題からインフレ懸念が強まっており、多少の雇用回復や住宅セクターの減速に目をつぶったとしても、米国が早期利上げに動く可能性が出てきていることが要因である。

中国は恒大集団の債務問題に端を発する住宅セクターバブル崩壊のリスクが意識されている。

恐らく西側諸国と異なり、無秩序な崩壊はあらゆる手段を使って回避されると考えられるが、中国の住宅関連問題は中国共産党内の勢力争いとも密接に絡み合う話であり、習近平政権側は住宅セクター問題を材料にライバル(上海閥、共青団)の勢力を削ぐ目的があると考えられることから、不動産セクターの減速はしばらく続くとみておくことが妥当だろう。

米国に関しても、中央銀行は来年中頃のインフレ沈静化を見越していたが、物流の回復の遅れや経済構造の変化に伴う資源インフレ圧力が一向に収まらず、米連銀総裁も2022年内の利上げ実施を口にするようになってきた。

米住宅販売は長期金利動向に強い影響を受けているため、利上げの可能性が意識されて長期金利が上昇すると住宅向け需要は減少することが予想される。このことも材木価格を下押しするだろう。

恐らく価格下落は11月のFOMCでのテーパリング宣言、12月のテーパリング開始などのイベントをこなしつつ年末頃まで続くのではないか。

上記がメインシナリオであるが、1つ懸念があるのは今年の冬場が厳冬となる可能性が高いことだ。この場合、穀物などの農産品を中心に価格が上昇すると考えるが、投機筋からすれば木材も広く農産品に分類される商品であるため、同様に上昇する可能性は否定できない。

日本は今回のウッドショックを受けて国産材の開発圧力も強まっているが、今回国際価格が下落に転じれば日本の輸入材木価格も下落するため、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」になる可能性はある。

しかし、価格高騰後の下落はさらにその後に訪れる、価格上昇に備えるための重要なタイミングであり、今から何らかの対応を検討し始める必要があるのではないか。

◆主要ニュース


・9月日本貿易収支季節調整前 ▲6,228億円の赤字(前月▲6,372億円の赤字)
 輸出 前年比+13.0%の6兆8,412億円(+26.2%の6兆6,051億円)
 輸入 +38.6%の7兆4,640億円(+44.7%の7兆2,423億円)

 米国向け
  輸出 ▲3.3%の1兆1,555億円(+22.8%の1兆1,506億円)
  輸入 +36.3%の7兆6,253億円(+33.6%の7,576億円)

 欧州向け
  輸出 +12.1%の6,213億円(+29.9%の6,187億円)
  輸入 +25.0%の8,395億円(+54.5%の8,630億円)

 アジア向け
  輸出 +21.3%の4兆942億円(+26.1%の3兆8,819億円)
  輸入 +25.7%の3兆5,136億円(+30.4%の3兆3,713億円)

 中国向け
  輸出 +10.3%の1兆4,794億円(+12.6%の1兆4,211億円)
  輸入 +23.8%の1兆7,719億円(+23.3%の1兆6,293億円)


・9月中国発電量 前年比+6.9%の6,751.2億kwh(前月 +2.0%の7,383.5億kwh)

・9月中国消費電力量 前年比+7.6%の6,947.0億kwh(前月 +4.3%の7,607.0億kwh)

・9月中国鉄道貨物輸送量 前年比±0.0%の375.0百万トン(前月 +2.9%の395.0百万トン)

・9月中国新築住宅価格 前年比値上がり 59都市(前月59都市)
 横ばい 0都市(1都市)
 値下がり 11都市(10都市)
 前月比値上がり 27都市(46都市)
 横ばい 7都市(4都市)
 値下がり 36都市(20都市)

・9月中国新築住宅価格 前月比▲0.08%(前月+0.16%)

・9月独生産者物価指数 前月比+2.3%(前月+1.5%)
 前年比+14.2%(+12.0%)

・8月ユーロ圏経常収支季節調整済 134億ユーロの黒字
(前月226億ユーロの黒字)

・9月ユーロ圏消費者物価指数 前月比+0.5%(前月+0.4%)
 前年比+3.4%(+3.0%)、コア指数 +1.9%(+1.6%)

・米MBA住宅ローン
 申請指数 前週比 ▲6.3%(前週+0.2%)
 購入指数 ▲4.9%(+1.5%)
 借換指数 ▲7.1%(▲0.5%)
 固定金利30年 3.23%(3.18%)
 15年 2.54%(2.48%)

・米ベージュブック、「大半の地区が著しい価格高騰を報告。ワクチン接種義務化が離職理由の1つ。物価上昇は供給不足と輸送面の障害、労働力制約が影響。」

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】

・DOE米石油統計 原油▲0.4MB(クッシング▲2.3MB)
 ガソリン▲5.4MB
 ディスティレート▲3.9MB
 稼働率▲2.0

 原油・石油製品輸出 7,465KBD(前週比+57KBD)
 原油輸出 2,677KBD(+63KBD)
 ガソリン輸出 590KBD(▲22KBD)
 ディスティレート輸出 889KBD(+80KBD)
 レジデュアル輸出 110KBD(+15KBD)
 プロパン・プロピレン輸出 1,147KBD(+3KBD)
 その他石油製品輸出 1,933KBD(▲96KBD)

・中国石炭生産業者、「コストを度外視しても今年の冬と来年春の一般炭価格上昇を抑制する。」

・米イラン担当特使、英独仏の外交高官と22日、核合意巡り協議。

・英国、COP26で航空会社に対してさらに厳しい排出目標を設定することを提案へ。

・欧州主要ガス関連設備の稼働停止状況

Elgin-Franklin ガス田 Total Oct20-21 10.0MCFD
Perenco Bacton ターミナル Perenco Oct20-21 6.5MCFD
Cygnus ガス田 Neptune Oct20-21 3.35MCFD
Nyhamna 加工プラント Gassco Oct18-21 19.8MCFD
Yamal-Europe パイプライン Gazprom Oct20-21 40.0MCFD
Emden ターミナル Gascco Oct21-23 20.0MCFD
Oseberg ガス田 Gascco Oct22-24 27.0MCFD
Velke Kapusany パイプライン注入点 Eustrem Oct18-29 25.0MCFD
Velke Kapusany パイプライン注入点 Eustrem Oct30-Nov1 20.0MCFD

【メタル】

・インドネシア ジョコ大統領、「全ての原材料の輸出を禁止にしたい。」

・LME銅価格の急騰を受けて、LMEはバックワーデーション規制を導入。短期的な措置。大規模保有者だったTrafiguraが15万トンの銅在庫を引き出したことにより、キャッシュ価格が1,000ドルを超えるバックワーデーションとなったため。

・9月中国精錬銅生産 前年比▲24千トンの885千トン(前月 874千トン)

・9月中国銅製品生産 前年比+83千トンの1,897千トン(前月 1,902千トン)

・9月中国精錬亜鉛生産 前年比▲9千トンの556千トン(前月 541千トン)

・9月中国精錬鉛生産 前年比+35千トンの600千トン(前月 594千トン)

・9月中国プライマリアルミ生産 前年比▲88千トンの3,075千トン
(前月 3,155千トン)

・9月中国アルミ製品生産 前年比+0.06百万トンの5.12百万トン(前月 5.10百万トン)

※生産量の前年比は季節調整を行っていない単純比較。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.欧州排出権 ( その他 )/ +5.92%/ +77.29%
2.LMEニッケル 3M ( ベースメタル )/ +5.13%/ +27.34%
3.CBT大豆油 ( 穀物 )/ +3.70%/ +49.32%
4.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ +3.50%/ +314.56%
5.LME亜鉛 3M ( ベースメタル )/ +2.96%/ +32.98%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
66.SHF亜鉛 ( ベースメタル )/ ▲5.19%/ +23.49%
65.CME木材 ( その他農産品 )/ ▲4.34%/ ▲22.54%
64.SHFアルミ ( ベースメタル )/ ▲3.86%/ +49.12%
63.SHF銅 ( ベースメタル )/ ▲2.19%/ +27.21%
62.ICEココア ( その他農産品 )/ ▲2.11%/ ▲3.76%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :35,609.34(+152.03)
S&P500 :4,536.19(+16.56)
日経平均株価 :29,255.55(+40.03)
ドル円 :114.31(▲0.07)
ユーロ円 :133.18(+0.12)
米10年債 :1.66(+0.02)
中国10年債利回り :3.00(▲0.00)
日本10年債利回り :0.09(+0.01)
独10年債利回り :▲0.13(▲0.02)
ビットコイン :65,996.35(+1875.04)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :31.00(+0.33)
エネルギー :48.84(▲0.46)
ベースメタル :29.62(+2.66)
貴金属 :27.36(▲1.64)
穀物 :19.38(+0.66)
その他農畜産品 :28.70(+0.14)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :15.68(▲0.96)
Brent :16.53(▲1.23)
米天然ガス :92.08(▲0.59)
米ガソリン :18.46(+0.09)
ICEガスオイル :24.06(▲0.83)
LME銅 :33.90(+5.91)
LMEアルミニウム :25.06(+4.53)
金 :16.51(+0.73)
プラチナ :27.11(▲3.6)
トウモロコシ :19.54(+0.05)
大豆 :16.51(+0.73)

【エネルギー】
WTI :83.87(+0.91)
Brent :85.82(+0.74)
Oman :84.00(+0.47)
米ガソリン :250.84(+3.29)
米灯油 :259.23(+3.16)
ICEガスオイル :738.25(+3.25)
米天然ガス :5.17(+0.08)
英天然ガス :233.81(+7.90)

【貴金属】
金 :1782.08(+12.79)
銀 :24.29(+0.63)
プラチナ :1053.39(+9.92)
パラジウム :2074.78(▲26.77)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :9,996(▲274:165B)
亜鉛 :3,566(▲120:18.5B)
鉛 :2,358(▲30:27B)
アルミニウム :3,076(▲119:11C)
ニッケル :19,960(▲490:75B)
錫 :37,750(▲600:1150B)
コバルト :56,238(▲6)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :10210.00(+91.00)
亜鉛 :3655.50(+105.00)
鉛 :2433.50(+69.50)
アルミニウム :3097.00(▲6.00)
ニッケル :21100.00(+1030.00)
錫 :38330.00(+570.00)
バルチック海運指数 :4,714.00(▲18.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR中国、1営業日前) :122.41(▲0.02)
SGX鉄鉱石 :123.08(▲0.12)
NYMEX鉄鉱石 :123.49(+0.19)
NYMEX豪州原料炭スワップ先物 :392.67(▲0.33)
大連原料炭先物 :624.90(▲1.02)
上海鉄筋直近限月 :5,573(▲52)
上海鉄筋中心限月 :5,409(▲52)
米鉄スクラップ :625(+10.00)

【農産物】
大豆 :1245.50(+17.50)
シカゴ大豆ミール :328.40(+5.80)
シカゴ大豆油 :64.70(+2.31)
マレーシア パーム油 :5300.00(+125.00)
シカゴ とうもろこし :539.25(+9.00)
シカゴ小麦 :749.25(+13.25)
シンガポールゴム :193.50(▲0.10)
上海ゴム :13980.00(▲15.00)
砂糖 :18.97(+0.10)
アラビカ :205.55(+1.30)
ロブスタ :2115.00(+10.00)
綿花 :110.73(+2.90)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :76.03(▲1.38)
シカゴ生牛 :125.95(+0.95)
シカゴ飼育牛 :155.93(+0.83)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。