ドル高基調に加わった円先安感
- MRA外国為替レポート
2021年10月18日号
◆先週の市場総括
先週は原油価格がさらに上昇。米国の物価指数が懸念されたほどの上昇を示されなかったことで米長期金利は上昇が一服したものの、インフレ懸念は根強く残った。
一方、米国の雇用指標や小売は堅調さを示し、企業決算発表が良好な出だしとなったことで、米国株は景気敏感株を中心にしっかり。一方、インフレ懸念や長期金利の高止まりで高PER銘柄やハイテク株は上値が重かった。
原油価格WTIは80ドル台に乗せ、北海ブレントは週末に一時85ドル台。米10年債利回りは1.6%を前に上昇足踏みとなったが、米2年債利回りは利上げを織り込み着実に上昇して0.4%に迫った。
為替市場では円が大きく下落、独歩安。資源価格上昇が日本の収支にマイナスとの見方、株価が堅調に推移しリスク選好が維持されたこと、が背景。日米の金融政策格差もあらためて意識された。
ユーロ円相場は130円近辺で始まり週末には132円台半ば、ドル円相場は112円台前半から週末には114円台後半に上昇し114円台前半で引けた。
ユーロドル相場はほぼ横ばい。ドル高というよりも円安が主導した。日経平均は米国株の堅調、国内の感染抑制、総選挙を前に景気対策への期待が支えとなり週末に29,000円の大台を回復して高値引けとなった。
月曜日の東京市場では日経平均が続伸。朝方は米国ハイテク株が軟調だったことから売りが目立ったがすぐに上昇に転じた。
中国が石炭輸入増加、電力料金の自由化・値上げを容認したことで、中国の電力不足による供給制約への懸念が後退した。
岸田首相が金融所得課税強化を当面行わないとしたことも好感された。
後場は28,500円近辺でもみ合い。引けは前日比+449円高の28,498円。
為替市場では円安が加速。ドル円相場は112円20銭で始まり年初来高値を抜けると70銭近辺でもみ合い、さらに欧州市場では112円90銭~113円で推移。米国時間に入ると一段高となり113円30銭~40銭で上下した。
ユーロ円相場は129円90銭近辺で始まり上昇して夕刻から欧州市場では130円50銭~70銭でもみ合い、さらに131円20銭に上昇した。引けはやや押し戻されて130円90銭~131円ちょうど。
ユーロドル相場は1.1570近辺で横ばい。その後、欧州から米国時間は1.1550~1.1580で上下し引けは1.1550近辺。
米国市場は債券市場が休場。米国株は薄商いのなか下落。商品市況の上昇や長期金利上昇への懸念は根強く材料難のなか後場に失速した。
NYダウは前週末比▲250ドル安の34,496ドル。ナスダックは▲93ドル安の14,486ドル。VIX指数は+1.23ポイント上昇して20.00。原油価格WTIは一時82ドルをつけるなど堅調で、引けは80.52ドルと80ドル台。
火曜日の東京市場では日経平均が反落。原油価格上昇、米金利先高感で米国株が下落したのを受け朝方から下落。上海株の軟調も下押し要因となり一時下げ幅は▲300円となった。
後場は概ね28,200円~300円で上下し、引けは▲267円安の28,230円。為替市場では円安はひとまず一服。
ドル円相場は113円40銭で始まり朝方50銭に上昇したが、その後は反落して上下しながら欧州時間に入る夕方には113円ちょうどに下落した。
ユーロ円相場は131円ちょうどを挟んでもみ合い、同様に130円80銭に下落。ユーロドル相場は1.1550で始まりややユーロ高ドル安に振れて1.1560~70で上下した。
欧州市場から米国市場にかけてはドルが堅調。円は軟調。ドル円相場は顕著に上昇して米国時間朝方に113円80銭をつけた。その後は上昇一服となり引けにかけて113円60銭へ下落した。
ユーロドル相場はじり安となり1.1530。ユーロ円相場は再び131円20銭に上昇したが、131円ちょうどに押し戻されてもみ合い引けた。
米国株は3営業日続落。翌日以降の消費者物価指数、FOMC議事録、主要企業決算発表を前に様子見姿勢が強かった。そうしたなかIMFが正解経済見通しを公表し、米国の今年の成長率を7.0%から6.0%へ大幅下方修正したことが材料視され景気敏感株に売り。ハイテク株も依然として長期金利上昇懸念に押された。
NYダウは▲117ドル安の34,378ドル、ナスダックは▲20ドル安の14,465ドル。VIX指数は▲0.15ポイント低下して19.85。
公表されたIMFの世界経済見通しでは、2021年の成長率は、世界全体が6.0%から5.9%に小幅下方修正。米国は7.0%から6.0%へ、中国は8.1%から8.0%へ、日本は2.8%から2.4%へ下方修正された。リスクはさらにダウンサイドと指摘した。
水曜日の東京市場では日経平均は小幅下落。前日の米国株安を受けて28,000円近辺で安寄りして始まった。リスク回避が優勢となり景気敏感株を中心に売られた。
ただ押し目買いも優勢ですぐに持ち直し28,300円台に上昇。感染鎮静化、経済活動正常化期待が支え。
その後引けにかけては28,100円~200円でもみ合い。米国の消費者物価指数発表などを前に様子見姿勢が強くなった。引けは前日比▲90円安の28,140円。
ドル円相場は113円60銭で始まり昼前に40銭割れに下落。ただその後は持ち直し、じり高となり欧州市場から米国市場朝方にかけては113円50銭~60銭でもみ合いとなった。
ユーロ円相場は底固く推移した。130円90銭~131円ちょうどでもみ合いの後、やや上昇して131円ちょうど~10銭、さらに欧州時間には131円30銭に上昇。
ユーロドル相場は1.1530で始まり1.1550近辺でもみ合い。さらに1.1560~70に上昇した。
注目された米国の消費者物価指数(CPI、9月)は前月比+0.4%と前月+0.3%からやや加速、前年同月比は+5.4%と前月+5.3%からやや加速した。ただ結果は予想通り。変動の激しいエネルギー・食料品価格を除いたコア指数は前月比+0.2%と予想通り、前年同月比は+4.0%と前月と変わらず予想通りだった。
結果を受けてインフレ警戒感が一服。米長期金利は30年債入札が堅調だったこともあり低下。米10年債利回りは一時1.52%に低下し引けは1.536%。
ドルは金利低下を受けて軟調。ドル円相場は発表直後に一瞬113円80銭に上昇したがすぐに下落し113円30銭。その後は40銭~50銭に持ち直したが引けは113円20銭台。
ユーロドル相場は右肩上がり。1.1540に下落していたが1.16ちょうど近辺に上昇して高値引け。ユーロ円相場も131円ちょうどから40銭台に上昇。ただドル円相場の軟調に押されて131円30銭で引けた。
米国株は底固い値動き。NYダウは朝方▲200ドルを超える下落で始まったが、その後は安心感から持ち直し前日比▲0.53ドル安と前日とほぼ変わらず34,356ドル。ナスダックは長期金利の低下が支えとなり+105ドル高の14,558ドル。VIX指数は▲1.21ポイント低下の18.75。
この日はFOMC議事録が公表され11月中旬ないし12月中旬から量的緩和縮小開始するのが適切との意見が大勢であることが確認された。終了は来年央。具体的な方法として米国債を毎月100億ドル削減、モーゲージの購入を毎月50億ドル削減、との議論もされた。
また数人は、今後2年はゼロ金利の継続を正当化される可能性が高いとした一方、来年末までに利上げを開始する可能性を幾人かが指摘していた。
木曜日の東京市場では日経平均は上昇。米国の長期金利が上昇一服、米ハイテク株が上昇したことを受けて、半導体県連株、グロース株に買いが入った。総選挙を前に経済対策への期待も支え。寄付き早々に28,500円近くに上昇。28,400円に反落したが持ち直し、後場は28,500円~550円で上下し引けは前日比+410円高の28,550円。
為替市場ではリスク選好が強まるなか円が軟調。ドル円相場は113円20銭台で始まり上昇して113円50銭~60銭でもみ合い。夕刻から欧州市場にかけてはやや押されて30銭~40銭で推移した。
ユーロ円相場は131円30銭で始まり60銭~80銭で上下動。ユーロドル相場は1.16ちょうど近辺からやや上値重く1.1590~1.16ちょうどでもみ合い、欧州市場に入ると1.1620にユーロ高ドル安となった。ただその後は反落して1.1590に押し戻された。
米国株は上昇。金融や保険の決算が概ね良好。生産者物価の上昇率が予想を下回り過度なインフレ懸念が抑制され米長期金利が低下しハイテク株を押し上げ。雇用指数が良好だったことで景気敏感株もしっかりだった。
NYダウは+533ドル高の34,911ドル、ナスダックは+251ドル高の14,823ドル。VIX指数は▲1.53ポイント低下して17.11となった。
生産者物価指数(PPI、9月)は全体が前月比+0.5%と前月+0.7%から上昇率が低下し予想+0.6%を下回った。コア指数でも前月の+0.6%から+0.2%に上昇率が低下した。
前年同月比は全体が+8.3%から+8.6%にやや加速したが、コア指数は+5.9%と前月6.7%から低下。米10年債利回りは安心感から一時1.5%近辺に低下し引けは1.516%。
ドル円相場は113円70銭~50銭で上下した後、60銭~70銭でもみ合い引け。ユーロドル相場は1.16ちょうど近辺。ユーロ円相場は堅調で131円80銭台。
米国の週次の失業保険新規申請件数は前週の326千件から293千件に減少してコロナ禍以降で初めて300千件を下回った。継続受給者数は2,714千件から2,593千件に減少してこちらもコロナ禍以降で最少を更新した。
原油価格WTIは依然として堅調地合いが続き81.31ドルと高水準。
金曜日の東京市場では日経平均が大幅高。28,800円台で高寄りし、800円近辺でもみ合い。後場には一段高となり前日比+517円高の29,068円で高値引け。
前日の米国株は全面高。物価指標で過度なインフレ懸念が後退し米長期金利がやや低下。国内の感染抑制が続き総選挙で政策期待が支え。幅広い銘柄が買われた。
為替市場では円が独歩安。リスク選好が維持されるなかクロス円相場中心に大きく円安が進んだ。ユーロ円相場は131円80銭台で始まり夕刻、欧州市場にかけて132円80銭へ一本調子でユーロ高円安が進み、132円70銭中心にもみ合い。
ドル円相場は113円70銭で始まりドル高円安。東証引けには114円10銭台、さらに欧州時間には114円30銭~40銭でもみ合いとなった。ユーロドル相場は1.16で始まり1.1590~1.1610で終始方向感なく上下動。
米国株は堅調。発表された主要企業決算が良好で投資家心理が上向いたほか、発表された小売売上高が予想を上回り米国景気は良好との見方が支えとなり景気敏感株が買われた。
一方、米10年債利回りが上昇し1.57%台半ばへ、2年債利回りは0.395%へ上昇し、金利上昇に弱い高PER銘柄、ハイテク株の重石となった。
NYダウは前日比+382ドル高の35,294ドル、ナスダックは+73ドル高の14,897ドル。VIX指数は▲0.56ポイント低下して16.30。
原油価格WTIは82.28ドルに上昇。北海ブレントは一時85ドル台に乗せた。
ドル円相場は114円40銭台から一時114円ちょうど近辺に下落したが持ち直し114円20銭~30銭でもみ合い引け。
ユーロ円相場も132円30銭に下落した後反発して132円50銭~60銭。ユーロドル相場はアジア時間に続き方向感なく1.16ちょうどを中心とするもみ合い、横ばいに終始した。
発表された米国の小売売上高(9月)は前月比+0.7%と予想▲0.2%に反して増加し前月+0.9%に続き高い伸びを示した。
NY連銀製造業景気指数(10月)は前月34.3から19.8に低下して予想27.8を下回った。ミシガン大学消費者信頼感指数(10月速報)は前月72.8から予想74.0への上昇に反して71.4へ低下した。輸入物価指数(9月)は前月比+0.4%と予想+0.6%を下回ったものの前月▲0.3%から上昇に転じた。
◆今週の3つの注目ポイント
以下のほか、月曜日に発表される中国の重要経済指標(GDP、小売売上高、鉱工業生産)が景気減速懸念を強め、リスク選好を後退させないか。
水曜日の日本の貿易収支(9月)、輸出入は、市場の関心・テーマが資源価格の上昇と収支悪化にあるなか従来よりも市場の反応が大きくなる可能性も。輸入増・貿易赤字拡大で円安が加速するリスクがあり注意を要する。
米国では企業決算の発表が続く。今のところ良好な内容が株価の支えとなっているが、そうした傾向が続くか。
1.ベージュブック、FRB当局者発言
水曜日にベージュブック(米地区連銀経済報告)が公表される。
足元の景気拡大基調が確認されるとみられるが、とくに人手不足や賃金動向、物価動向についてどのように報告されているか注目される。
景気良好、物価上昇圧力が確認されれば、長期金利に上昇圧力が再び強まる可能性がある。
また今週はFRB地区連銀総裁や理事らの発言機会が多い。量的緩和縮小を早々に開始することはほぼ確定しているが、インフレ懸念をどの程度強めているか、その結果として利上げについてどのように考えているか、ニュアンスが注目される。
2.米国の経済指標、
景気が堅調であればインフレ懸念のなかでもリスク資産へのダメージは少ない。米国の経済指標は堅調な景気動向を示しているが今週の指標はどうか。
月曜日 鉱工業生産(9月、前月比、予想+0.2%、前月+0.4%) 製造業生産(同、予想+0.1%、前月+0.2%) 設備稼働率(同、予想76.5%、前月76.4%)
火曜日 住宅着工件数(9月、季節調整済み年率換算、予想1,620千件、前月1,615千件)
木曜日 週間新規失業保険申請件数 フィラデルフィア連銀製造業景気指数(10月、予想24.5、前月30.7) 中古住宅販売(9月、季節調整済み年率換算、予想606万戸、前月588万戸)、
3.PMI景況感指数
グローバルな企業の景況感を横断的に判断できるPMI(10月)が金曜日に発表される。とくに欧米の景況格差は拡大しているか、全体的に景況感が悪化しているか。
ユーロ圏は製造業が予想57.0、前月58.6、サービス業が予想55.4、前月56.4。ドイツは製造業が予想56.9、前月58.4、サービス業が予想55.1、前月56.2。
これに対し米国は製造業が予想60.3、前月60.7、サービス業が予想55.1、前月54.9。いずれも小幅の悪化が予想されているが米国の悪化度合いが少ないとの予想。
◆今週のMRA's Eye
ドル高基調に加わった円先安感
ドル円相場は緩やかなドル高円安基調とのメインシナリオで年末に112円程度を見込んでいたが、足元ではドル高円安が加速。リスクバイアスはドル高円安サイドとしていたが、それが現実のものとなった。
足元までの値動きから、その裏にあるロジック、市場参加者の思惑を推察することで、今後のリスクバイアスをチェックしておくことは重要だ。
ドル、円、ユーロの値動きをみると、ドル円相場は、10月のFOMCをきっかけに上昇基調が鮮明になった。会合では11月ないし12月のテーパリング開始が確定的となり、利上げ予想が前倒しになって米長期金利が上昇。とくに2年債利回りが上昇し始めたことが大きい。
ドル円相場は109円台から112円へ2円50銭ほど上昇。その後、10月8日の米雇用統計で雇用堅調、賃金上昇が示されたことでさらに上昇。これまで数回天井となってきた112円台を抜け、さらに2円50銭ほど上昇して114円台半ばに上昇した。
ユーロ円相場は、FOMCで128円から130円台へとユーロ高円安に振れたものの、その後はインフレ懸念や恒大集団への懸念でリスク回避が優勢となりユーロ安主導で129円割れに押し戻された。
ただその後は米雇用統計で雇用堅調が確認されると大幅にユーロ高円安へ。129円から132円50銭に上昇した。その間、ユーロドル相場は9月初から一貫してユーロ安ドル高傾向が続き、1.90から1.155~1.16へと下落。現在は方向感なくもみ合っている。
あらためて3通貨の力関係を9月初からシンプルに整理してみると、まず9月FOMCまではユーロが独歩安。ユーロ安・ドル高円高のなかドル円相場はもみ合い。
次に、9月下旬のFOMCから10月8日の米雇用統計まではドルが独歩高。ドル高円安・ドル高ユーロ安のなかユーロ円相場は方向感なく上下した。
そして雇用統計以降、今にいたるまでは円独歩安。ドル円相場、ユーロ円相場、ともに大きく円安に振れている。
メインシナリオは次のとおりだった。
米国経済が回復基調を継続、米金融政策が正常化へ舵切り、それに伴い米金利先高感が強まり米長期金利は上昇。米国は日欧に対し、景気・金利で優位性を拡大し、それがドル独歩高をもたらす。
一方、金融正常化を織り込むなかでリスク選好は緩和することで円安の勢いは鈍る。
結果としてドル円相場は緩やかな上昇基調を継続する。米国景気回復は鈍化するものの巡航速度へ回帰、インフレ率は緩和するものの目標を上回り、過度な金融緩和が解消し、政策金利は緩やかに中立水準を目指す、その過程で米長期金利は緩やかに上昇する、というのが前提条件だ。
このメインシナリオに、原油価格急騰や資源価格急騰、急激なインフレ懸念の高まり、がプラスされた。
足元の円全面安、円安加速は、リスク選好が強まったこと、株価上昇が主要因とは言い難い面がある。
米国経済が堅調に推移していることは確認され、企業決算が米国株を支えており、リスク選好は維持されている。しかし円安を加速するほどリスク選好が強まっているわけではない。
となると、やはり資源価格全般の上昇が円先安感を強めているのではないか。資源価格上昇は、新興国を含め、持たざる国のリスクを顕在化させる。対外収支の悪化は通貨安要因だ。
輸入インフレ・外生インフレは通貨安とともに相乗的に状況を悪化させる。輸出が圧倒的に強く、貿易収支が黒字であれば、リスクは軽減されるが、多くに新興国、そして日本の貿易収支は赤字だ。
そうした場合、スタグフレーションリスクが大きくなる。そのリスクは米国よりも大きい。ただ日本の場合は価格転嫁が難しく、経済全体がスタグフレーションに陥る可能性は実際には低いだろう。
しかし局所的に企業業績が悪化する可能性がある。それが景気下押し圧力となるリスクは米欧に比べて大きい。
そうしたことが意識されたとすると、日本の貿易収支動向、対外収支の動向を材料に、ドル高ではなく円安傾向が長期化するリスクがある。
2012年から急速に円安が進んだが、いわゆる黒田バズーカ、日銀による超金融緩和が要因とされる。ただ2011年の震災で原発が停止しエネルギー輸入が急増して貿易収支が大幅な赤字に転落したことが、対外収支面からベースラインで円安を促した。
その際は数量ベースでの輸入増だが、今回は価格ベースでの輸入金額増加だ。
円安にブレーキがかかるとすると何がきかっけか。今後、資源価格上昇が一服すれば円先安感が緩和しそうだ。たださほど反落しなければ日本の収支が悪化した状態は続く。
投機的な円売りが嵩んでいることから、リスクイベントで円買い戻しとなれば円高に振れる可能性はある。
ただその場合は一時的かつ値幅は3円程度だろう。テクニカルには112円台の高値目途を抜けたことで次は115円台が目途となる。それを抜けると120円の大台まで目途はない。
短期的には移動平均からの乖離が大きく、ドル高円安が過熱していることでスピード調整はあろうが、基調のドル高円安に大きな変化はなさそうだ。
米国景気の回復基調が続き、金融正常化が進展、米長期金利がさらに上昇傾向を続ければ、円安ではなくドル高がドル円相場を支えることになりそうだ。
ドル円相場が110円を割って下落することは当面見込みにくい。115円~120円のレンジへの移行も予想する必要が生じている。
あとは円安を止めるとすれば日本の政策変化か。円安が景気・経済にマイナスとみればとりうる策はある。日本が金融正常化と財政出動強化の組み合わせに踏み切るか。足元の傾向が続けばそうした議論もいずれ台頭する可能性はある。
◆主要指標
【対円レート】
ドル :114.22(+0.54)
ユーロ :132.52(+0.69)
英ポンド :157.079(+1.65)
豪ドル :84.786(+0.49)
カナダドル :92.336(+0.44)
スイスフラン :123.763(+0.68)
ブラジルレアル :20.9282(+0.31)
中国人民元 :17.741(+0.10)
韓国ウォン(日本円=100) :9.665(+0.09)
【対ドルレート】
ユーロ :1.1601(+0.000)
英ポンド :1.3751(+0.008)
豪ドル :0.7421(+0.001)
カナダドル :1.2368(▲0.000)
スイスフラン :0.9229(▲0.001)
ブラジルレアル :5.4608(▲0.052)
中国人民元 :6.4357(▲0.004)
韓国ウォン :1182.32(▲4.40)
【主要国政策金利】
米国 :0.25
ユーロ :0.00
日本 :0.00
【主要国長期金利】
米10年債 :1.57(+0.06)
米2年債 :0.39(+0.03)
日本10年債利回り :0.08(+0.00)
日本2年債利回り :0.08(+0.00)
独10年債利回り :▲0.17(+0.02)
独2年債利回り :▲0.68(+0.02)
【主要株価指数・ビットコイン】
NY ダウ :35,294.76(+382.20)
NASDAQ :14,897.34(+73.91)
S&P500 :4,471.37(+33.11)
日経平均株価 :29,068.63(+517.70)
ドイツ DAX :15,587.36(+124.64)
インド センセックス :休場( - )
中国上海総合 :3,572.37(+14.09)
ブラジル ボベスパ :114,648.00(+1,462.50)
英国FT250 :22,984.24(+123.85)
ビットコイン :62526.67(+5083.63)
【主要商品価格】
WTI :82.28(+0.97)
Brent :84.86(+0.86)
米ガソリン :248.64(+5.14)
米灯油 :257.37(+1.23)
金 :1767.62(▲28.25)
銀 :23.31(▲0.21)
プラチナ :1058.64(▲0.87)
パラジウム :2078.21(▲54.98)
銅 :10177.00(+337:378B)
アルミニウム :3185.50(+14:22.5C)
※貴金属はニューヨーククローズ。ベースメタルは3ヵ月公式セトル価格。
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック
シカゴ大豆 :1217.75(+11.50)
シカゴ とうもろこし :525.75(+9.00)
シカゴ小麦 :734.00(+9.25)
※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。
※ 「休場」となっているものは、取引所が休場ないしはデータ更新時点で最新データを取得できなかった場合を指します。