CONTENTSコンテンツ

市場が不慣れなインフレリスク、金利上昇
  • MRA外国為替レポート

2021年10月10日号

◆先週の市場総括


先週は週初に様々なリスク回避要因が重なり株価が軟調に始まった。中国・恒大集団の債務問題、米国では政府債務上限を巡る与野党対立による米国債デフォルト懸念、原油価格など資源価格・物流コスト・賃金などの上昇によるインフレ懸念、それによる業績悪化懸念、などが株価の重石となった。

一方、ISM非製造業景気指数や週央の雇用関連指標が強かったことが株価を下支え。

米国の債務上限を巡る与野党合意で12月初旬までひとまずデフォルト回避となったことも安心材料に。米国株は前週末よりも小幅ながら上昇して引けた。

米長期金利は上昇基調が続いた。米10年債利回りは1.5%台半ばに上昇。週末の雇用統計は非農業部門の雇用者数の伸びは鈍化したが失業率は予想外に低下、時間当たり賃金の伸びは加速してインフレ懸念が強まった。米10年債利回りは1.6%台に上昇して引け。

ドル円相場は週初111円ちょうど近辺で始まり、上下しながら徐々に下値を切り上げ、週末には112円台に上昇した。

ユーロドル相場は1.15後半を中心とする値動き。ユーロ円相場は129円を挟んで上下したが、週末にかけては右肩上がり。130円手前で引けた。

日経平均は米国株の下落に連れて27,500円割れも、週末にかけて持ち直し28,000円台を回復した。

月曜日の東京市場では日経平均が下落。29,000円近辺で安寄りした後、続落してその後は28,400円~500円で上下動。中国・恒大集団の資金繰り懸念が重石となった。

中国市場が国慶節で休場が続くなか、香港市場で恒大集団の株式が売買停止に。ハンセン指数は大きく下落して年初来安値を更新。アジア時間の米国株先物も軟調で市場心理が悪化した。引けは前週末比▲326円安の28,444円。

ドル円相場は110円90銭で始まり111円ちょうど~10銭で推移。ユーロ円相場は128円70銭~80銭で推移した。

ユーロドル相場は1.1590~1.1610で上下した。夕刻から欧州市場では円が軟調。ドル円相場は111円30銭に、ユーロ円相場は129円40銭に上昇した。

ただ円安は続かず。米国株が全面安となり、リスク回避から円高に、株価下落が一服すると円高に歯止めがかかった。ドル円相場は110円90銭台~111円20銭を上下し、110円90銭~111円ちょうどでもみ合い引け。

ユーロ円相場は129円10銭~30銭で上下した後、128円90銭近辺でもみ合いとなった。ユーロドル相場はややユーロ安ドル高に振れた。1.1630~40で上下した後、1.1620に下落してもみ合い引け。

米国株は、原油価格の上昇がインフレ懸念を刺激、サプライチェーン混乱や人件費上昇による企業業績への懸念、恒大集団のデフォルト懸念、米国の債務上限問題、などで心理が悪化。NYダウは朝方に前週末比▲500ドル安、33,800ドルに下落した後はもみ合い。引けは▲323ドル安の34,002ドル。

米10年債利回りは朝方1.50%台に上昇したが、株安・リスク回避から低下して1.482%。

ナスダックは長期金利高止まりに加えフェースブック社の事業運営に関する告発で同社株が大幅安となったことで大幅安。▲311ドル安の14,255ドル。VIX指数は+1.81ポイント上昇して22.96。

原油価格WTI先物はOPECプラスが、従来の増産合意以上の増産を見送ったことで上昇し77.62ドルに高騰した。

発表された米国の製造業新規受注(8月)は前月比+1.2%と前月+0.4%から加速して予想+1.0%を上回った。

火曜日の東京市場では日経平均が寄付きから大幅安。28,050円で大幅安寄りした後続落し、午前中に下げ幅は▲1,000円に迫って節目とみられてきた27,500円を割り込んだ。

前日に米国株が悪材料がいくつも重なって全面安となったことに加え、岸田政権が検討する金融所得課税強化に対する警戒感も嫌気された。

後場は持ち直す場面もあったが上値重く27,800円中心に上下。引けは前日比▲622円安の27,822円。

ドル円相場は110円90銭台でもみ合いから上昇して111円10銭~20銭で上下。ドルの強弱に連れた動き。

ユーロドル相場は1.1620でもみ合いの後、ユーロ安ドル高に振れて1.1590近辺でもみ合い。ユーロ円相場は方向感なく128円90銭中心に80銭~129円ちょうどで上下動した。

欧州市場から米国市場ではリスク選好、米長期金利上昇を背景にドル高・円安が進んだ。クロス円相場も堅調。

欧州株は堅調。米国株も反発、全面高。NYダウは前日の下げを概ね取り戻した。ハイテク株は押し目買いで自律反発。ISM非製造業景気指数が予想よりも強く、米国景気の底固さを確認し消費関連株、景気敏感株に買いが入った。

米10年債利回りは1.5%台に乗せ1.534%。長期金利上昇で金融株も買われた。

原油価格WTIは減産継続を受けた上昇が継続し一時79ドル台をつけ78.94ドル。エネルギー株を押し上げ。

ドル円相場はISM非製造業景気指数発表前から上昇して111円50銭台。その後は40銭~50銭でもみ合い引け。

ユーロ円相場も堅調で129円30銭台でもみ合い。ユーロドル相場は1.158~1.161で上下し引けは1.16ちょうど近辺。

ISM非製造業景気指数(9月)は前月61.7から60.0への悪化予想に反し61.9に改善。雇用指数は53.7から53.0へ低下。

新規受注指数は63.2から63.5へ上昇。価格指数は75.4から77.5へ大きく上昇した。

水曜日の東京市場では日経平均が続落。前日の米国株が堅調だったことから28,200円近辺で高寄りしたが、その後は昼頃にかけて27,300円近辺へ大きく反落した。

アジア時間に米長期金利が上昇。香港株が下落。米株先物も軟調に推移し、市場心理が悪化した。下げ幅は一時▲500円を超えた。

後場は下げ止まり27,400円中心に上下し引けにかけて27,500円台で推移した。引けは▲293円安の27,528円。

ドル円相場は米長期金利上昇に支えられ底固い値動き。111円50銭で始まり60銭近辺でもみ合い、さらに午後には70銭台に上昇。米10年債利回りが1.57%に上昇するのに連れた動き。

ユーロ円相場も129円30銭で始まり50銭に上昇。ユーロドル相場は1.16近辺から1.1580へ下落した。

その後、欧州市場から米国市場朝方にかけて米国株先物が一段安。米10年債利回りも低下に転じ、リスク回避が強まった。米国株はNYダウが朝方▲450ドルを超える下落で始まった。欧州市場から米国市場午前中まで円が全面高。

発表されたドイツの製造業新規受注(8月)が前月比▲7.7%と前月+4.9%から大幅なマイナスに転じて予想▲1.5%を大きく下回った。

ユーロ円相場は1円超急落して128円50銭~60銭でもみ合いの後128円40銭へ。ドル円相場も連れて111円20銭に下落した。

ユーロドル相場は1.1530へ続落。ただその後米国株が下げ止まり反発したことで円高は一服。ユーロ円相場は128円70銭~80銭に持ち直し。ドル円相場も111円50銭に反発して引けは40銭近辺。

ユーロドル相場は1.1560近辺。ドルインデックスは上昇して94.24。

共和党のマコネル上院院内総務が12月までの債務拡大をカバーできる範囲で債務上限を一時停止する提案を行ったと報じられやや安心感。また原油高が一服したことでインフレ懸念が抑制された。

NYダウは前日比+102ドル高まで持ち直し34,416ドルで引け。米10年債利回りが1.52%台に低下したことでハイテク株も支えられ、ナスダックは+68ドル高の14,501ドル。

原油価格WTIは米国の週次統計で在庫が増加していたことから下落して77.43ドル。VIX指数は▲0.30ポイント低下して21.00。

発表されたADP雇用報告では雇用者数前月比が+568千人と前月+340千人から大幅に増加し予想+440千人を大きく上回った。

木曜日の東京市場では日経平均が9営業日ぶりに反発。米長期金利上昇、原油価格上昇が一服。米国株が堅調だったことで自律反発狙いの買いが優勢となった。

27,600円台で小幅高寄りした後一時28,000円を回復した。ただ買い一巡後は戻り売りに押され上げ幅を縮めた。27,700円~800円で上下し引けは前日比+149円高の27,678円。

ドル円相場は111円40銭~50銭でもみ合い、一時20銭台に下落したが夕刻、欧州市場では50銭を回復した。

ユーロドル相場はドル円相場と同様にドルの上下動に連れ1.1550~60でもみ合い、一時1.1570に上昇したが1.1550に押し戻された。ユーロ円相場は128円70銭~80銭でもみ合い上下。

米国株は全面高。民主党・シューマー上院院内総務が債務上限を4,800億ドル引き上げることで共和党と合意、実質的に12月上旬まで債務上限問題が先送りとなったと発言。デフォルトリスクの後退で投資家心理の改善が続いた。

発表された雇用関連指標も強く、景気敏感株が買われた。NYダウは一時+500ドル上昇し引けは+337ドル高の34,754ドル。ナスダックは+152ドル高の14,654ドル。VIX指数は▲1.46ポイント低下して19.54。

週次の失業保険新規申請件数は326千件と前週364千件から減少。継続受給者数も2,714千件と2,811千件から減少し、コロナ禍以降で最小となった。

米10年債利回りは1.578%に上昇。2年債利回りは0.31%と、金利底打ち後、初めて0.3%台に乗せた。

クリーブランド連銀総裁は、インフレ見通しを巡る不透明性が上昇しており、低下を予想しつつもリスクは上方、最大雇用の達成は2022年末、利上げも22年末に開始とみる、と述べ、金利先高感を後押しした。

ドル円相場は111円30銭に下落した後反発して111円60銭近辺でもみ合い引け。

ユーロドル相場は1.1550台~1.1570で上下し引けは1.1550近辺。ユーロ円相場は129円80銭中心の上下からじり高となり129円ちょうど近辺でもみ合い引け。リスク選好回復でドル円相場、クロス円相場、ともに円安に振れた。

金曜日の東京市場では日経平均が上昇。28,000円を回復した。前日の米国株が債務上限の拡大で12月までひとまずデフォルトを回避した安心感で上昇。

この日は国慶節で1週間休場していた中国市場が再開。上海株が堅調に推移したことから恒大問題への警戒感が緩んだ。

日経平均は28,100円近辺で高寄りし続伸。28,300円台に上昇。ただ雇用統計に対する警戒感も残り上昇一服。引けは前日比+370円高の28,048円。

発表された中国の財新サービス業PMI(9月)は前月46.7から53.4へ改善した。

ドル円相場は堅調。米10年債利回りがアジア時間に1.60%に上昇。111円60銭から80銭~90銭でのもみ合い、さらに112円ちょうど近辺でもみ合いとなった。

ユーロドル相場は1.1550~60、さらに1.1540~50とユーロ安ドル高方向にレンジを切り下げた。ユーロ円相場は129円ちょうど近辺で始まり、リスク選好の強まりを受け上昇して129円30銭近辺でもみ合い。

欧州市場では雇用統計前にドルがやや反落、ユーロがしっかり。ドル円相場は111円80銭割れ、ユーロドル相場は1.1570へ上昇。ユーロ円相場は129円40銭に小幅高。

注目の米雇用統計(9月)は、非農業部門雇用者数・前月比が+194千人と前月+366千人(+235千人から上方修正)から減少し予想+500千人を大きく下回った。

一方、失業率は4.8%と前月5.2%から大きく低下して予想5.1%を下回って改善。時間当たり賃金は前月比+0.6%と前月同様に高水準が続き、前年同月比は+4.6%と前月+4.3%から加速した。

例年みられる新学期入りに伴う職場復帰が少なかったことが影響したともみられている。

米10年債利回りは直後に1.56%に低下したがその後反発して1.6%台に上昇。引けは1.612%。2年債利回りも0.32%に小幅上昇。雇用統計に対する見方は交錯したが総じてインフレ警戒が強まった。

ドル円相場は発表後に111円50銭台に下落したが、米長期金利上昇とともに反発して112円台へ。年初来高値を更新して112円20銭近辺でもみ合い引けた。

ユーロ円相場は129円10銭~30銭で上下した後、129円30銭近辺でもみ合い。ユーロドル相場は1.1560~80で上下し引けは1.1570近辺。ドルインデックスは94.12。

米国株は長期金利上昇で高PER銘柄が軟調。インフレ警戒で決算を見極めようという動きで上値は重かった。NYダウは前日比▲8ドル安の34,746ドル。ナスダックは▲74ドル安の14,579ドル。VIX指数は▲0.77ポイント低下して18.77。

◆今週の3つの注目ポイント


月曜日の米国市場は祝日で休場。本格化する米企業決算発表に注目が集まる。また火曜日にはIMFが世界経済見通しを発表。水曜日にはG20財務相・中銀総裁会合が開催される。

1.FOMC議事要旨

水曜日にFOMC会合議事録(9月開催分)が公表される。

当会合ではパウエル議長が量的緩和縮小の開始を11月に決定することを明確にし、11月に開始して来年半ばに終了するスケジュール感も示した。

またメンバーの金利見通しで2022年の利上げの可能性が示されたほか、2023年に3回、24年に3回、と先々の金利予測が示された。

従来よりもタカ派的な内容で、ドル金利先高感が強まり長期金利が再び上昇を開始するきかっけとなった。

議事録であらためてタカ派姿勢が鮮明となるか。インフレ警戒感が滲めば足元の動向と併せてさらなる米長期金利上昇を促す可能性もある。

2.米国の経済指標

インフレ懸念が高まるなか今週は物価指標に注目。

火曜日 JOLT求職者数(9月)

水曜日 消費者物価指数(9月、前年同月比、予想+5.4%、前月+5.3%、コア指数、予想+4.2%、前月+4.0%) -さらなるインフレ加速が見込まれている。

木曜日 生産者物価指数(同、予想+8.2%、前月+8.3%、コア指数、予想+6.6%、前月+6.7%) -やや上昇率鈍化予想。週間新規失業保険申請件数

金曜日 輸入物価指数(同、前月比、予想+0.5%、前月▲0.3%) -前月比は大幅上昇予想。NY連銀製造業景気指数(10月、予想27.8、前月34.3)小売売上高(9月、前月比、予想▲0.2%、前月+0.7%)

3.中国の経済指標

恒大問題、不動産市場の調整、さらに中国景気のさらなる減速が懸念されるなか、水曜日に発表される貿易統計(9月)が注目される。

輸出は前年同月比で前月+25.6%から予想+17.1%へ、輸入は同、前月+33.1%から予想+26.8%へ、いずれも伸び鈍化が予想されている。

水準としてはなお高いがコロナ禍からの反動増を割り引いてどうみるか。

輸出の弱さは電力供給不足による生産停滞などの悪影響、輸入の弱さは内需の鈍化とネガティブにとられる可能性がある。

また木曜日には物価統計(9月)。消費者物価指数は前年同月比、予想+1.0%と前月+0.8%から加速、生産者物価指数は同、予想+9.0%と前月+9.5%から鈍化、が予想されている。

◆今週のMRA's Eye


市場が不慣れなインフレリスク、金利上昇

先週末に発表された米国の雇用統計(9月)の解釈は難しかった。

非農業部門雇用者数の増加は+194千人にとどまり予想+500千人を大きく下回った。雇用者数の増加は最も重要であり、これをもって発表直後に市場は数字が弱いと反応した。

ただその他の数字を総合してみれば強いとみるのがよいだろう。やや時間がたって、賃金上昇圧力、インフレリスクが強まっている、さらに企業のコスト上昇圧力が強まっている、として市場には警戒感が強まった。長期金利は上昇し株価は抑制された。

民間部門雇用者数は+317千人の増加と、前月の+332千人(+243千人から上方修正)からやや減少したが着実に増加している。

失業率は前月の5.2%から4.8%に大きく低下した。時間あたり賃金は前月比で+0.6%と前月と変わらず高い伸びを示し、前年同月比は+4.3%から+4.6%に上昇加速。

週平均労働時間は34.7時間から34.8時間にわずかながら増加した。企業サイドは引き続き人手不足を訴えており、雇用が伸びない原因はもっぱら就業者サイドの問題とみてよいだろう。

雇用統計は、賃金を引き上げなければ人が集まらない、1人により多くの時間働いてもらわなければならない、ということを示している。就業が順調に進んでいないことが主要因と推察される。

少なくとも、景気鈍化で企業が採用を手控えた結果で雇用増加が抑制されているわけではない。

今回の数字でFRBは着実に金融正常化のプロセスを進めるのではないか。11月のFOMC会合で量的緩和縮小の開始を決定し、早ければ11月にも開始するのではないか。

市場もそれは織り込み済みで、関心はすでにその後の利上げに移っている。来年2022年後半に利上げが開始されるか。利上げペースはどうなるのか。

米10年債利回りはここにきて上昇が顕著となり先週末には1.6%台に乗せた。年初の1.0%からわずか3ヵ月で4月初に1.7%台に急上昇した後、8月初には1.2%割れに押し戻されていた。

そこから再度上昇に転じた流れが続き、ここにきて上昇がペースアップしている。大きくみれば緩やかな上昇基調が続いており、春先からの金利低下はスピード調整だったということになる。

この先は、利上げを睨みながら1.8%へ、さらに来年には2%が視野に入る可能性がある。

より短い年限の債券は政策金利の見通しを反映しやすい。

2年債利回りは初めて0.3%台に乗せ、利上げを着実に織り込み始めた。実際の金利上昇プロセスは複雑だが、極めて単純な計算で、足元の0%からみて2年後は0.6%との前提となる。

コロナ禍が深刻化してまもなく2年となる。2019年末から2020年にかけて、当初は景気後退リスク、デフレリスクで金融政策は一気にゼロ金利、量的緩和拡大と超緩和策に振れた。

景気が持ち直し基調にあり2019年春には政策金利は2%台半ばに上昇していたところからの急転換、金利の急激な低下だ。

ようやくデフレリスクから脱却し、景気が好調ながらもインフレが高まらない、「ゴルディロックス」という市場にとって、リスク資産にとって非常に好ましい経済状態とみられていたところからの急転換だった。

好景気でもインフレ率が上昇せず、そこからの急激な景気悪化でデフレリスクが意識された。

ここ何年にもわたり、市場はデフレリスクを意識し、あるいは低インフレ継続を念頭においてきた。

インフレ抑止のために政策金利が急速に、大幅に、引き上げられることはない、長期金利が大幅に上昇することはない、というのが前提条件だった。

しかしここにきて急遽、インフレリスクが台頭した。インフレ、という言葉自体、意識されるのは久しぶりだ。

インフレ率高騰、長期金利上昇、に市場は慣れていない。未体験で想像もつかない市場参加者もいるだろう。

FRBも、インフレ率高騰は一時的でやがて鎮静化する、という見方をメインシナリオとしている。市場は常に金融当局よりもハト派な見方に傾きやすく、未だにインフレ率高騰や利上げの前倒しや金利上振れリスクを十分に受け入れられていないようにみえる。

したがって足元のリスクバイアスは、インフレ高止まり、米国の長期金利の上昇、FRBによる利上げの前倒し、利上げペースアップにありそうだ。

リスク資産や株価は、足元で、景気・業績の下支えと金融緩和縮小・長期金利上昇による下押し圧力の狭間にある。

市場にとって最悪なのはスタグフレーションだ。景気・業績の悪化と金利上昇が併存する可能性がある。そこまではいかないとしても、インフレリスク、金利上昇リスクがまだ十分に資産価格に反映されていない可能性には留意する必要がある。

為替相場もインフレや金利上昇をどう織り込んで良いのか、まだ定まっていないようにみえる。

インフレ率が高い通貨は下落する、というのが購買力平価の考え方。インフレ率上昇により名目金利-インフレ率=実質金利が低下すれば通貨安圧力、との見方がある。

一方で、名目金利の上昇だけに着目して通貨高となるとの見方もある。為替需給が名目金利による資本動向に左右されるとすれば、実質金利より名目金利が重要となるだろう。

そもそも市場参加者は急速なインフレ率上昇や金利上昇には慣れていない。あるいは織り込んでいない。

米10年債利回りは長期にわたり低下トレンドをたどってきた。このまま2%を回復するようなら、いよいよその長期トレンドを明確に上方にブレークすることになる。

想定外のドル金利上昇やドル高が想定すべきリスクシナリオだろう。

◆主要指標


【対円レート】
ドル :112.24(+0.61)
ユーロ :129.86(+0.92)
英ポンド :152.784(+0.79)
豪ドル :82.021(+0.39)
カナダドル :90.005(+1.07)
スイスフラン :120.967(+0.77)
ブラジルレアル :20.3781(+0.15)
中国人民元 :17.402(+0.11)
韓国ウォン(日本円=100) :9.393(+0.02)

【対ドルレート】
ユーロ :1.1569(+0.002)
英ポンド :1.3615(▲0.000)
豪ドル :0.7309(▲0.000)
カナダドル :1.2472(▲0.008)
スイスフラン :0.9275(▲0.001)
ブラジルレアル :5.5086(▲0.010)
中国人民元 :6.4437(▲0.001)
韓国ウォン :1194.85(+4.10)

【主要国政策金利】
米国 :0.25
ユーロ :0.00
日本 :0.00

【主要国長期金利】
米10年債 :1.61(+0.04)
米2年債 :0.32(+0.01)
日本10年債利回り :0.09(+0.02)
日本2年債利回り :0.09(+0.00)
独10年債利回り :▲0.15(+0.03)
独2年債利回り :▲0.69(+0.01)

【主要株価指数・ビットコイン】
NY ダウ :34,746.25(▲8.69)
NASDAQ :14,579.54(▲74.48)
S&P500 :4,391.34(▲8.42)
日経平均株価 :28,048.94(+370.73)
ドイツ DAX :15,206.13(▲44.73)
インド センセックス :60,059.06(+381.23)
中国上海総合 :3,592.17(+24.00)
ブラジル ボベスパ :112,833.20(+2,247.80)
英国FT250 :22,536.17(▲23.05)
ビットコイン :53993.31(▲190.93)

【主要商品価格】
WTI :79.35(+1.05)
Brent :82.39(+0.44)
米ガソリン :236.62(+3.18)
米灯油 :247.37(+1.41)

金 :1757.13(+1.35)
銀 :22.68(+0.07)
プラチナ :1028.59(+44.89)
パラジウム :2079.17(+114.02)
銅 :9236.00(+59:10B)
アルミニウム :2922.50(▲7:20.5C)
※貴金属はニューヨーククローズ。ベースメタルは3ヵ月公式セトル価格。
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

シカゴ大豆 :1243.00(▲4.25)
シカゴ とうもろこし :530.50(▲3.50)
シカゴ小麦 :734.00(▲7.25)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。
※ 「休場」となっているものは、取引所が休場ないしはデータ更新時点で最新データを取得できなかった場合を指します。