中国統計減速で上昇一服~露のガス早期供給増加は望み薄
- MRA商品市場レポート
2021年10月19日 第2057号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「中国統計減速で上昇一服~露のガス早期供給増加は望み薄」
【昨日の市場動向総括】
金曜日の商品市場は上海の非鉄金属セクターが顕著に上昇したが、これまで上昇してきたLME非鉄金属やエネルギー(液体系)価格はやや調整売りに押されるかたちとなった。
エネルギーセクターへの説明度はそれほどないのだが、中国の経済統計が明確に同国の経済の拡大ペースが鈍化していることを示唆する内容だったことを受けて、一旦調整売りに押されるかたちとなった。
これまでの価格上昇は供給面が牽引し、恐らく冬場も供給面が価格を高値に維持すると考えるが、昨日は需要面の減速が意識されたと考えられる。
なお、注目されていたロシアのウクライナ経由でのガス供給だが、懸念通りロシアは入札を見送り、欧州への供給増加は極めて限定されたものになることが明らかになった。
ロシアも国内のガス供給には不安を残しており、いかなプーチン大統領でも国内向けのガス供給を優先するのは当然といえる。しかしこのことは欧州向けのガス供給再開が場合によると12月以降にずれ込むことを意味しており、再び欧州のガス・電力危機が深刻になるリスクが高まる形となっている。
供給が足りるかどうか、今後の気温状況が見逃せなくなってきた。
【本日の見通し】
本日もエネルギー供給不安を材料に供給不安が台頭していることから、多くの工業品価格が高値を維持すると考える。
ただし価格上昇による需要手控え(特に生命に直結しない工業品)による需要減少も多少は意識され始めていることから徐々に上値は重くなろう。
本日発表の経済統計で注目は鋼材価格上昇や金利上昇、中国の富裕層が恐らく今回の不動産バブル崩壊の入り口で痛手を被っている中、米住宅着工がどの程度の減速で済むかに注目している。
市場予想は住宅着工が前月比▲0.2%の161.3万戸(前月+3.9%の161.5万戸)、許可件数が▲2.4%の168.0万戸(+5.6%の172.1万戸)と減速が見込まれており鋼材価格の下落要因となるが、供給面が強く意識されているためそこまでの材料にはならないだろう。
【昨日のセクター別動向と本日の見通し】
◆原油
原油価格は高値でもみ合ったがやや軟調な推移。供給増加がないことや冬場の気温低下観測が価格を押し上げているが、中国の経済統計が軒並み悪化したことなどを背景に上値が重くなった。
なお、価格上昇に伴い米国のシェールオイル生産は回復、最大生産地域であり、生産コスト低いるPermianの生産はコロナ前の水準をほぼ回復した。
しかしその他の地域は回復が見られておらず、シェールオイル全体の10月の生産は2020年3月の8.56MBDよりも▲0.79MBD万少ない7.85MBDとなる見込み。
また、リグの稼働も脱炭素などの影響低調で、増産はこれまで掘削したが稼働させていなかった井戸の稼働によるものに止まっており、完成非稼働井戸数はピーク時の半分まで減少している。
本日も供給面の状況改善(生産の増加)観測が期待できない一方、統計を見るに需要は堅調であり、通常の景気に循環しない気温低下に備えるための需要増加もあるため、高値圏でのもみ合いを継続する見通し。
ただ、米小売売上高が伸びを減速させる見込みであり、週末ということもあって一旦手仕舞いの利益確定売りに押されてやや軟調に推移するのではないか。
◆石炭・LNG・天然ガス
豪州石炭スワップ先物価格は小幅に下落。欧州の気温がやや穏やかな物になるとの予報を受けたものだが正直下落した、というほどのものではない。
アジア周辺地域の石炭火力主体の国の在庫水準は統計でリアルタイムで把握できるものが極めて限られるが、期間構造を見るにまだ需給はタイトと考えられる。
中国の石炭輸入動向への説明力が高いバルチック海運指数は続落しているが、過去5年の最高水準の3倍近い水準であり下がったといえるほどではない。
JKM先物市場は上昇して34ドル台に。ロシアの欧州向けのガス供給が11月も限定される見通しが示されたことで、欧州のLNG調達が強まると見られたことが背景。
欧州天然ガスは上昇後下落。ロシアは予想通り自国向けのガス供給を優先し、11月のウクライナ経由のパイプライン追加入札に参加しなかったことから、欧州市場のタイトな状態が続くとみられたことが価格を押し上げたが、気温がやや温暖な物になるとの短期予報を背景に水準を切下げた。
米天然ガスも域内の気温が穏やかな物になるとの見方から水準を切り下げた。
スポットLNGタンカーレートはスエズ以東が上昇、以西は横這いだった。欧州の調達が一巡したとは思えないが、中国の引き合いは旺盛と見られる。
2021年10月4日~10日のLNG取引は前週比+16%の770万トン、スポット調達のシェアは28%(31%)と低下した。
輸入量の増加は主に日本、韓国、欧州の輸入によるもの。スポットLNG比率の低下は長期契約に伴う輸入の増加によるものと考えるのが妥当だろう。
石炭は中国の増産はあるが、域内石炭消費国の在庫水準の低さから在庫積み圧力は強く高値維持の公算。
天然ガスはロシアが供給増加を見送る一方、代替燃料(灯油やディーゼル)を求める動きが強まっていること、短期的に欧州の気温が穏やかになるとの見方から高値でのもみ合いを予想。
◆非鉄金属
LME非鉄金属価格は高安まちまち。電量供給不足を背景とする供給懸念による価格上昇がほとんど全ての非鉄金属で進んでいるが、昨日発表された中国GDPやその他の中国重要統計の減速を受けて、価格上昇が需要を減じるとの見方が徐々に強まっていることが、恐らく主に投機と実需(生産者)の売りを誘った形。
とは言え、冬場が終了するまではこの状態が続く可能性が高くなってきた、と言える。特に半導体やIT製品のはんだ需要が旺盛な錫は4万ドルが目前に迫っている。
非鉄金属市場の目下の最大のテーマは電力供給。ほとんどの金属が精錬時に非常に多くの電力を必要とする。アルミの供給に焦点が当たりがちだが、銅の供給不足が深刻でLMEのバックワーデーションは、リーマン前、中国4兆元経済対策時のスプレッドを超えて遙かに拡大している。市場が如何にパニック状態に陥っているかを物語っている。
しかし、電力供給不足に起因するものであるため、1.冬場はこのままとなる可能性が高く、2.この間の価格上昇が需要にダメージを与え、3.冬場終了後の下落幅が大きくなる、可能性があることを示唆している。
ただ、調整後は構造的な需要増加を背景に再び上昇に転じると考えられるため、金属の種類を問わず、非鉄金属の消費者はそのときに備えて準備をする必要がある。
また、脱炭素で気になる動きとしては、世界的に電気自動車へのシフトが進む中で、中国がレア・アースの生産を国有企業に集約し管理を強めようとしている点だ。
いくら中国以外の国で増産したとしても、中国の供給量に占めるシェアは圧倒的であり、今後、世界の電気自動車戦略やサプライチェーンを考える上で、非常に大きな問題になると考える。
本日も電力供給問題が解消している訳ではないため高値圏での推移を予想。ただし価格水準が高いことから先週積み上がっている投機の利益確定の動きが上値を抑えると思料。
◆鉄鋼・鉄鋼原料
中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは小幅に上昇、豪州原料炭スワップ先物は下落、大連原料炭先物は上昇、上海鉄鋼製品先物は続落した。
昨日発表された中国の不動産開発投資や固定資産投資、鉱業生産などの重要統計が全て悪化したため、鋼材向けの需要が減少するとの見方が強まったことが鉄鋼製品価格を押し下げたが、鉄鋼製品価格と比較した時に割安な鉄鉱石には打診的な買いが入ったとみられる。
原料炭は堅調。ただし、モンゴルからの原料炭輸送が増加しているとの報道もあり、この異常なまでの高水準は徐々に解消することが予想される。
ただ、モンゴルは感染者数が減少したと言ってもまだコロナ禍にあり、人員確保の観点からも供給能力は十分回復しているとは言えない。
本日は、中国統計の悪化を背景とした鉄鋼製品価格の下落に、鉄鋼原料価格が連れ安になる展開を予想。
ただし、現在の鉄鉱石価格は鉄鋼製品価格と比較すると割安であり、そこまで大きな下落にはならないと予想。供給が厳しい原料炭は高値維持の公算。
◆貴金属
昨日の貴金属セクターは下落した。米長期金利の上昇を受けた実質金利の上昇が価格を下押しした。
PGMは株が上昇したものの中国の自動車販売(先週の統計)が減速を続けていることや、昨日発表された中国の統計減速が売り材料となりマイナス圏。
本日も長期金利動向に左右される展開が予想されるが、株式市場が若干落ち着きを取り戻す中でテーパリングや早期利上げを意識した長期金利の上昇で軟調な推移を予想。
◆穀物
シカゴ穀物市場は上昇した。米輸出統計が発表され小麦以外は前週実績を上回ったことで輸出需要が増加すると見られたことが材料となった。
小麦はドル安が進行したことや、冬小麦の作付ペースが「やや」鈍化したことで買いが入った模様。ただしいずれの穀物も原油や非鉄金属に比べれば値動きは極めて限定されている。
本日も特段固有の材料がない中、現状水準でもみ合うものと考える。ただし、景気循環系商品価格の上昇が顕著であり、その上昇余地が限定され始める中では資源インフレをテーマに循環物色の対象となる可能性があることは、意識しておきたい。
※中長期見通しは個別セクターのコラムをご参照ください。
【昨日のトピックス】
昨日発表された中国のGDPは市場予想・前期とも下回り中国経済が想定以上に減速していることを伺わせる内容だった。
統計の詳細は前期比+0.2%(市場予想+0.4%、前期+1.3%)、前年比+4.9%(+5.0%、+7.9%)、年初来+9.8%(+10.1%、+12.7%)となった。主に電力供給問題や、中国政府が主導する不動産バブル潰しの影響に因るものである。
恐らく冬場は暖冬にならなければ深刻な電力供給危機が訪れることとなり、さらにリスクは下向きとなる。この状態だと金融政策の余地がある中国は、金融緩和などの対策に舵を切る可能性はある。
これはそもそも資金繰りが厳しい中小企業にとって助けとなるが、金融緩和により「淘汰されるべき企業」が生き残ることになるため再びバブル感が強まる可能性がある。
これが発生しないように中国政府は、政府主導で不採算企業の統廃合を進めると考えられるがここまでバブルが膨らんでしまうと、これを管理して沈静化させていくのは至難の業である。
仮にそれが上手くいくとしても、中国景気が減速するシナリオは少なくとも半年といった中期的な視点ではメインシナリオとみておくべきである。
【マクロ見通しのリスクシナリオ】
・発電燃料供給不足による工場稼働停止や消費低迷で景気が減速する場合(リスク資産価格の下落要因)。
・中国恒大集団の債務問題が不動産セクター全体に波及し、世界的に株安となり経済活動が逆回転する場合(工業金属などの景気循環系商品を筆頭に、リスク資産価格の下落要因)。
・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(これは人口動態を考えると、現実のリスクとなるのは2030年以降か)。
・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。
逆に脱炭素に向けたインフラ投資の加速で資源価格が急上昇、金融緩和マネーが大量に市場に滞留する中でハイパーインフレとなるリスク。
・コロナウイルスの感染再拡大によるロックダウンが景気循環系商品の需要を減じる場合(価格下落要因)。
逆に想定以上に新型ワクチン・治療薬の開発が速やかに行われた場合は需要の増加要因に。
・来年の中間選挙を控えて、バイデン大統領が国内の支持を得られない場合。財政面や企業負担増の理由から造反が発生し、議会を通過しない場合は景気のリスクに(景気減速要因)。
・米財政出動が加速、景気回復期待を受けた価格上昇が顕著となる場合。
この場合、長期金利上昇でドル高が進行しやすく価格の下落を意識しなければならない。
・米中対立激化による、新冷戦構造が発現しブロック経済圏が発生して貿易活動が鈍化する場合(場合によると武力衝突も)。
「能動的に」軍事を行う方針に舵を切った中国習近平政権が、台湾統一を目指して侵略する可能性は高くなった。
・米テーパリング実施が、コロナの感染に苦慮する中南米、欧州・アフリカの新興国経済に悪影響を及ぼす場合(景気減速要因)。
・独総選挙結果を受けた連立政権樹立に難航し、域内最大経済国のドイツ経済が減速する場合、また、EUの指導力が低下し域内経済が停滞する場合(景気減速要因)。
・次の成長ドライバーとして期待されるインド経済が、期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。
2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2023~2024年頃。
・アフガン情勢の混乱が域内経済に混乱(大量の難民発生、コロナの感染拡大が欧州圏にもたらされるなど)をもたらし、米中対立を先鋭化させる場合(景気の減速要因)。
◆昨日の商品市場(個別)の総括
---≪エネルギー≫---
【原油価格見通し】
原油価格はこれまで脱炭素の流れで増産が見送られてきたことから直ちに供給増加ができないこと、OPECプラスの「追加」増産見送り、欧米投資銀行が100ドル原油予想を相次いで発表、投資熱が高まっていることなどから高値を維持すると考える。
特にこの冬は天然ガス・石炭の供給不足が解消する感じではないため、冬場の気温次第では一段の上昇も有り得る状況。
10月4日のOPECプラスは追加増産への期待があったがこれを見送り、当初予定通りの40万バレルの増産にとどめた。
サウジアラムコは「ガス価格の高騰で原油需要が50万バレル増加している」としており、9月のDOE予想を元にすれば10月は80万バレル程度の供給過剰であるため、メキシコ湾の生産回復に遅れが出ていることを考えると、ほぼ需給はバランスしていることになる。
しかし、供給が綱渡り状態であることは事実であり、冬場の気温次第で供給が不足する可能性は低くない。
中期的にはOPECの増産、米テーパリング開始、発電燃料供給不足が企業活動を鈍化させること、冬場の上昇による暖房需要の減少を背景に軟調な推移になると予想する。
テーパリングに関しては、前回実施時は中盤に原油価格は下落に転じており、今回テーパリング開始も価格の下押し要因となる。
なお、価格上昇に伴い米国のシェールオイル生産は回復、最大生産地域であり、生産コスト低いるPermianの生産はコロナ前の水準をほぼ回復した。
しかしその他の地域は回復が見られておらず、シェールオイル全体の10月の生産は2020年3月の8.56MBDよりも▲0.79MBD万少ない7.85MBDとなる見込み。
また、リグの稼働も脱炭素などの影響低調で、増産はこれまで掘削したが稼働させていなかった井戸の稼働によるものに止まっており、完成非稼働井戸数はピーク時の半分まで減少している。
米DOEの2021年供給は95.82MBD、需要は97.46MBD、需給バランスは▲1.78MBDの供給不足。
価格を下押ししてきたコロナであるが、徐々に「ウィズコロナ」に舵が切られつつあり感染拡大が価格下落に影響するステージは早晩終了するとみられる。
しかし、それはこの冬到来が懸念される第6波までに解消する、とは考え難いため引き続き景気循環系商品価格の下落要因である。
中国の輸入規模はその水準は世界最大であるものの、原油価格に余り影響を与えない中国の原油輸入は、9月は前年比▲15.3%の4,105万トン(前月▲6.2%の4,453万トン)と前年比で前月から減速感が強まった。同国の経済活動が鈍化している可能性を示唆するもの。
【見通しの固有リスク】
・気温低下による暖房向け燃料需要が増加、ないしは不稼働の液体系燃料発電(ディーゼルや重油)を有する国や地域が再稼働を決定した場合(価格の上昇要因)。
・電力・ガスをはじめとするエネルギー供給制限が経済活動を強制的に停止させ、需要が減少する場合(価格の下落要因)。
・コロナの変異株が猛威を振るいワクチンが効かない場合(需要減少で下落リスク)。
・米国経済が正常化する中でテーパリングなどの金融緩和解除が加速、急速なドル高を通じて投機的な売り圧力が高まる場合(価格の下落要因)。
・OPECプラスの増産ペースの遅れないしは上流部門投資不足による供給不足。またはイランを巡り武力衝突や制裁解除が遅れた場合(価格上昇要因)。
価格が上昇する中でOPEC諸国の減産維持統制が効かなくなり、増産競争に舵が切られる場合(下落要因)。
・脱炭素の進捗、生活様式の変化による構造的な需要減少が加速した場合(価格下落要因)。
・脱炭素の過剰な進捗による供給懸念(価格上昇要因)。
1.中東産油国の財政悪化によって情勢不安が顕在化、供給途絶リスクが高まる場合
2.中東以外の産油国の生産者の破綻
3.上流投資部門投資が減速し、インドなどの新興国需要顕在化時に供給が間に合わない場合
4.価格面、数量面で予算を確保できない産油国が、OSPを大幅に引き上げる場合(第3次オイルショック)
かなり過剰なペースで脱炭素が進められており、オイルメジャーも株主・政府の圧力を受けて脱炭素に舵を切り、タイムリーな原油増産が困難になっている。
この場合、「脱炭素移行期間の景気回復時」には十分な燃料供給が出来ないリスクが高まり、来年以降の価格上昇局面で原油価格が100ドルを超えるリスク(リスクシナリオの位置づけ)。
なお、脱炭素が完了しても100%原油が不要になることはなく、OPECの価格支配力が増すため、この場合でも価格は上昇へ。
【石炭価格見通し】
海上輸送石炭価格は堅調な推移になると考える。中国・インドなどの石炭火力中心の地域の石炭在庫水準は低く、冬場の電力需要向けの調達は旺盛で、供給不足に伴い稼働を停止する工場が増加していることから考えても分るように、今後も石炭調達は継続するとみられ高値維持の公算。
中国政府は石炭供給不足を解消するため、環境規制強化の方針を解除し増産に舵を切った。しかし今年の生産はそもそも過去5年の最高水準を維持しており決して減産していた訳ではないこと、冬場の増産が難しいことから、影響は限定されて高値で推移する可能性は高い。
石炭は「座礁資産」と呼ばれ、上流部門投資ができなくされていることから、増産をしているのはGlencoreや中国企業ぐらいであり、供給が不十分であること、需要側の構造はそう簡単には変わらないことを考えると、この冬場は極めて高い水準を維持することになろう。
9月の石炭輸入は前年比+76.1%の3,288万トン(前月+35.8%の2,805万2,000トン)と前月から急増し、過去5年レンジを上抜けた。国内の深刻な石炭不足を背景に輸入が増加している。
国別の内訳はまた後日となるが、豪州からも調達を再開したとみられる。そうであれば以前よりも石炭調達が容易になるため、国別の輸入動向には注目したい。
【見通しの固有リスク】
・今冬はラニーニャ発生が予想され、厳冬のリスクも意識されているが懸念に反して暖冬となる場合(価格下落要因)。
・電力・ガスをはじめとするエネルギー供給制限が経済活動を強制的に停止させ、需要が減少する場合(価格の下落要因)。
・Nord Stream2の稼働が早期に行われ、天然ガス価格が急落する場合(下落要因)。
・世界的な環境重視型世界へのシフトを受けた、石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念(価格の上昇要因。これは既に顕在化)。
・中国と豪州の対立、中国国内の生産能力増強に伴う、海上輸送炭需要の減少。
【天然ガス・LNG】
天然ガス価格は中国の経済活動が活発である一方、自然エネルギー供給(英国の風力、ブラジル・中国の水力など)が減少、火力発電向けの燃料需要が旺盛なこと、石炭価格も高値を維持していることから、価格は高値を維持すると考える。
ロシアプーチン大統領が欧州向けのガス供給に前向きな発言をしているが、だからといって実際に輸出が始まった訳ではなく、また、在庫不足の状態に変わりはないこと、ノルドストリーム2の稼働も来年の可能性が出てきたことから価格は高値維持。
引き続き、ラニーニャ現象発生が懸念される中で冬場に突入し、厳冬の中、計画停電が行われる可能性がある。この場合、人命のリスクが無視できない。
9月の中国の天然ガス輸入は前年比+22.6%の1,062万トン(前月+11.5%の1,044万トン)と高い水準を維持している。季節的に見ると過去5年レンジを大きく上回った状態が続いている。
8月の中国のLNG輸入は前年比+11.7%の665万トン(前月+12.6%の567万トン)と過去5年レンジを上回り構造的な需要増加は続いているが、やや伸びは鈍化した。
長期契約のLNGに関しては、原油リンクとなるため上昇見通しだが、価格反映までに3ヵ月程度の時間差があるため(消費者への影響はさらに3ヵ月後)、現時点ではまだ上昇していないと考えられる。次の懸念は夏のピーク時の電力・ガス価格への影響だろう。
【見通しの固有リスク】
・今冬はラニーニャ発生が予想され、厳冬のリスクも意識されているが懸念に反して暖冬となる場合(価格下落要因)。
・電力・ガスをはじめとするエネルギー供給制限が経済活動を強制的に停止させ、需要が減少する場合(価格の下落要因)。
・8月18日にNord Stream2が稼働しているとの誤ったデータが発表された直後、ガス価格が大幅に下落している。
政治的な要因でNord Stream2の稼働は遅れると考えられるが、同パイプラインが稼働して欧州のガス需給が緩和した場合(価格下落要因)。
・石炭と同様、「化石燃料であること」を理由に上流部門投資が制限される、あるいは原油生産減少による随伴ガス供給が減少する場合(構造的な価格上昇要因)。
・産油国の減産継続による随伴ガス供給の減少懸念。
【投機筋のポジション動向】
・直近の投機筋のポジションは以下の通り。
WTIはロングが564,001枚(前週比 +15,440枚)ショートが159,225枚(+8,971枚)ネットロングは404,776枚(+6,469枚)
Brentはロングが364,041枚(前週比▲31,018枚)ショートが11,814枚(▲50,568枚)ネットロングは352,227枚(+19,550枚)
---≪LME非鉄金属≫---
【非鉄金属価格見通し】
非鉄金属価格は短期的には上昇余地を探る展開を予想する。中国の電力供給問題は解消しておらず、石炭などの増産指示はあるもののまだ供給が間に合っているとは言えず、工場の稼働停止による現物自体の供給不足に加え、電力価格上昇によるコスト面が意識されるため。
なお、エネルギー供給制限の非鉄金属価格への影響は、短期的には供給面で価格を押し上げ、中期的にはコストアップを通じた業績悪化に繋がり、価格の下押し要因となる。
エネルギー供給問題の他、現在進行中の中国の不動産バブル抑制が不動産市場全体に波及する可能性が高いこと、直近の直近の工業生産、固定資産投資、不動産投資、工業セクター利益も減速が顕著であり、当面、加熱した景気の沈静化に中国政府が舵を切る可能性が高いことから中期的には調整すると予想。
しかし来年、米政権による大規模なインフラ投資が行われるため再び非鉄金属価格は上昇に転じると予想される。しかし、バイデン政権支持率低下で当初予定通り実行されるかが微妙に。超党派で合意しているため実行されるとみるが、期待通りの規模にならない可能性も考える必要がある。
なお、長期的にはインドの人口ボーナス期入り、まだ脱炭素の流れ、省エネの流れに変わりがないため、供給面・需要面の制限から価格が上昇するという見通しを変更する必要はないと考えている。
【LME金属需給見通し】
(2021年)
銅 生産 24,947千トン 需要 26,790千トン 需給 ▲842千トン
亜鉛 生産 14,045千トン 需要 14,069千トン 需給 ▲24千トン
鉛 生産 12,381千トン 需要 12,168千トン 需給 +213千トン
アルミ 生産 67,716千トン 需要 66,444千トン 需給 +1,272千トン
ニッケル 生産 2,573千トン 需要 2,612千トン 需給 ▲40千トン
錫 生産 429千トン 需要 431千トン 需給 +28千トン
【中国重要統計の評価】
9月の中国製造業PMIは49.6(前月50.1)と市場予想の50.0を下回り、閾値である50を下回り、製造業の減速感が鮮明となった。しかし同時に発表された財新製造業PMIは50.0(市場予想49.5、前月49.2)と回復しており、ややまちまちの内容となっている。
製造業PMIの規模別の景況感を見ると中堅・中小企業の減速が鮮明だが、財新製造業PMIは中堅企業並びに輸出企業が主体であるため、直近の貿易統計で輸出がやや回復したことが影響した可能性はある。
しかし総じて減速していることは間違いがなさそうで、工業金属需要減速、並びに価格の下落要因となり得る。
内訳を見ると生産鈍化(50.9→49.5)、新規受注(49.6→49.3)、輸出新規受注(46.7→46.2)、受注残(45.9→45.6)と需要の鈍化が顕著である。
在庫水準は低いが増加しており、完成品在庫は47.7→47.2、原材料在庫は47.7→48.2、サプライヤー納期はほぼ変わらない(48.0→48.1)。
さらに細かく見ると、購買量は減少(50.3→49.7)、購入価格は上昇(61.3→63.5)、販売価格も上昇(53.4→56.4)している。
工業金属価格に対する説明力が高い新規受注在庫レシオは、完成品が1.045(前月1.040)と上昇、原材料が1.023(1.040)となった。
生産指数が低下していることと合わせて考えると、1.発電燃料・電気の不足で稼働が低下、2.原材料は積み上がるが製品は出荷される、3.価格転嫁も進んでいるが輸入価格の高騰は続き、レーショニングが起きている、4.総じて原材料需給は緩和し、完成品需給はタイトな状態、と整理できる。
これまで工業金属価格の上昇を牽引してきたのは中国の住宅セクターであるが、中国の建設業PMIは57.5(前月60.5)と減速した。中国政府による不動産セクター沈静化の動きが影響しているとみられる。
中国恒大集団の債務問題はその氷山の一角だろう。問題の顕在化はこれからではないだろうか。
9月の中国の貿易統計を見ると、ベンチマークである精錬銅の輸入は前年比▲43.8%の40万6,000トン(前月▲41.1%の39万4,017トン)と過去5年平均を下回り続けており、減速感が鮮明となっている。
一方、9月の銅精鉱の輸入は前年比▲1.3%の211万1,000トン(前月+18.6%の188万6,000トン)と高い水準を維持している。銅価格の上昇もあって精鉱輸入が増加しているようだ。しかし、エネルギー供給制限もあり10月・11月の鉱石輸入は減少し、精錬銅輸入が増加するとみる。
8月の銅スクラップの輸入は+60.2%の12万9,802トン(前月+98.9%の14万9,369トン)。
ただし全体としては輸入に下押し圧力が掛っている印象は否めず、しばらくは調整圧力が強まる展開が予想される。
工業金属のフロー需要に影響する工業生産は、1-9月期累計で前年比+11.8%(1-8月期+13.1%)と伸びが鈍化、単月でも前年比+3.1%(前月+5.3%)と減速が鮮明になっている。
やはり、電力供給不足や不動産セクターの減速の影響が大きい。
実際、1-9月期の不動産開発投資は前年比+8.8%の11兆2,568億元(1-8月期+10.9%の9兆8,060億元)と減速している。
この結果、ストック需要の指標である固定資産投資も年初来累計で+7.3%(+8.9%)と減速が明確に。公的セクターの伸び鈍化は所与としても、よりボリュームの大きな民間部門が前年比+9.8%(+11.5%)と伸びが減速していることは、中国政府によるバブル抑制行動が影響しているとみられる。
いずれも「伸び」が鈍化しているのみであり、中国の経済活動はまだ拡大していることは間違いがない。しかし、需要の伸びが想定を下回る場合、多くの場合供給過剰を誘発して価格の下押し要因となる。
【政策動向・脱炭素】
政策動向・脱炭素の流れは中長期的な材料。米バイデン政権は8年間で1兆2,000億ドルのインフラ投資計画実施計画。
道路・橋梁・主要プロジェクトに1,090億ドル、電力インフラに730億ドル、旅客・貨物鉄道に660億ドル、ブロードバンド・インターネットサービスに650億ドル、公共交通機関に490億ドル、空港に250億ドルを投じる。
さらには2022年度予算も戦後最大となる歳出を6兆ドルと、以上と戦後最大の水準とする方針。
これらの需要は景気に関係なく発生する需要であるため、需要の見通しは底堅く、価格の調整があっても下値余地は限定される可能性が高い。
これまで中国が鉱物セクターの需要動向に関して主役であり、今後も非鉄金属価格の動向は中国動向が左右するが、「新規の需要」については欧米動向が重要になる可能性は意識しておきたいところ。
この場合、米国の景気回復=ドル高・金属価格上昇、という構図も考えられる。
米国・中国・インドがどのような動きをするかに環境政策は左右されるが、ここまでの各国の動きを見ていると当面は環境向けに使用される金属の需要増加は「今後10年・20年の大きなテーマ」となる可能性が高い。
軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル、銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルト、リチウムなど。
2020年の中国の新エネルギー車の販売は前年比+7.5%の137万台(前年124万台)となった。全体の自動車販売が2,523万台なのでシェアは5.4%(4.9%)と上昇している。それでも電気自動車が非鉄金属市場の重要なテーマになるには、あと数年は要する見込み。
【見通しの固有リスク/個別金属の特殊要因】
・中国不動産大手恒大集団の破綻懸念が中国の住宅セクターに広がり、中国の不動産バブルがはじける場合(価格下落要因)。
・ロジスティクスに障害が残る中、非鉄金属の偏在が現物プレミアムを押し上げるリスク(北米で顕在化)。
・猛暑や渇水による燃料価格上昇で、1.電力供給不足による稼働停止・供給減少、2.発燃料価格の上昇を通じて生産コストが上昇する、場合(価格上昇リスク)。
・米国経済が正常化する中でドル高が進行し、投機買いが膨らんでいる非鉄金属市場で投機の手仕舞い売り圧力が高まる場合(下落リスク)。
・米中間選挙に向けて、米民主党が追加でインフラ投資(2兆ドルのクリーンインフラ投資など)を議会の採決を得て実行に移す場合(上昇リスク)。
・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。
・チリやペルーで広がる左派勢力伸長に伴う大衆迎合的な政策が可決し、鉱山生産に過剰なロイヤルティが適用される場合(供給減少ないしは生産コスト上昇で価格の上昇要因)。
チリで議論されている銅のロイヤルティ増税案の詳細は以下の通り。
年内実施予定の選挙結果では課税強化で生産コスト上昇、または減産となる可能性も。
3%の新ロイヤルティに加え、銅価格に連動して税額が賦課される仕組み。
2ドル~2.5ドル/ポンド(4,406~5,508ドル/トン):15%2.5ドル~3(5,508~6,609):35%3ドル~3.5(6,609~7,711):50%3.5ドル~4(7,710~8,813):60%4ドル~4.5(8,813~9,914):70%
年間販売量が5万トン未満の小規模生産者は品位95%の粗銅の場合▲5%の軽減税率、アノードの場合(99.4~99.6%)が適用される。
2023年までは現行の営業利益率によって5~14%の鉱業ロイヤルティが適用されるが、2024年以降は新税制を適用。
・メキシコは鉱業改革法の中で、エネルギー転換に必要なリチウムとその他の戦略的鉱物の採掘権をこれ以上容認しないとしており、これに銅やネオジム、プラセオジムなどのレア・アースも含まれる可能性。
・インドネシアが再び低品位ニッケル鉱石の輸出を制限する場合(ニッケル価格の上昇要因)。
・LMEベースメタルではないが、中国ではレア・アースの生産を国有企業に集約して管理する動きが強まっており、今後の自動車セクターの中核となる電気自動車生産のサプライチェーンに大きな影響を与える可能性。
レア・アース大手五鉱稀土は、親会社の中国五鉱集団がアルミ大手のチャイナルコやレア・アースの大産地である江西省政府との間でレア・アース関連資産の戦略的な再編交渉を進めていると発表。
中国政府が2020年および2021年に許可したレア・アースの採掘割当量を見ると、CMRE、チャイナルコ、江西省地方政府傘下企業の3社だけで、中国全土で採掘を許可された(ジスプロシウムなど)重希土類の割当量の67.9%、(ネオジムやセリウムなど)軽希土類の割当量の39.1%を占める。
・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。
また、環境に配慮したメタル使用の義務化などが欧州で進む場合などのコストアップ(グリーン・メタルの義務化によるコスト増加)。
中国の環境規制強化に伴う供給の減少。エネルギー排出量の多い新疆ウイグル自治区でのアルミ生産は減産の影響は既に材料視されている。
【投機筋のポジション動向】
・LME投機筋買い越し金額 前週比+3.6%の282億ドル(前週 272億ドル)・LME投機筋買い越し数量 前週比+3.2%の6,207.1千トン(前週 6,017.1千トン)
---≪鉄鋼原料≫---
【鉄鋼原料価格見通し】
鉄鉱石価格は中国政府の発電燃料供給不足と環境改善目的の鉄鋼製品生産減少、中国不動産セクターの先行き不安が鉄鋼向け需要を減じることから、水準を切下げる展開を予想。
直近の工業生産、固定資産投資、不動産投資、工業セクター利益とも前年比ベースの減速が顕著であり、中国政府の想定通り中国経済は過熱が沈静化の方向に向かっている。
ただし、同時に中国政府は金融緩和を行っていること、米欧中のインフラ投資による建材向け需要増加観測を背景に下落したとしても下値余地は限定されるのではないか。米国では鉄鋼製品価格上昇が継続している。
なお、鉄鉱石先物の期先の価格が限界生産コストの目安として意識されるが、100ドル程度で安定しており、やはり中長期的にはこの水準に価格が回帰すると考えている。
【中国の政策動向】
中国共産党は2021年から始まった新しい5ヵ年計画で鉄鋼生産量の削減の必要性を表明している。今のところ昨年の生産量を超えないようにする、というのが中国政府の目標。
最大生産都市である唐山市は、2021年20日~12月31日まで、大気汚染基準に違反し、データを改ざんした4社は7月~12月末まで▲30%減産、その他の16社は12月末まで▲30%の減産を新たに実施することを義務づけられている。
これにより、唐山市の粗鋼生産は前年比▲2,223万トンの1億2,177万トン、鉄鉱石需要は▲3,500万トン減少するとみられている。
別の話だが、半年後、北京オリンピック中に粗鋼生産が停止させられる可能性は高い。
粗鋼生産が減少すれば、鉄鉱石の在庫水準の指標である在庫日数も、分母が小さくなるため上昇が予想され、鉄鉱石価格の下落要因となる。これは原料炭も同様。
【中国重要統計の評価】
9月の中国鉄鋼業PMIは総合指数は45.0(前月41.8)と回復した。これは新規受注(31.6→39.0)、輸出向け新規受注(31.8→39.5)と回復したことによるものだが10月の大型連休や8月の洪水の影響もあってその反動の増加と考える方が適切だろう。
新規受注の回復を受けて新規受注・完成品レシオが1.12(0.94)となり、新規受注原材料レシオも1.00(0.89)の上昇となった。しかし完成品の方がレシオの上昇が顕著である。
このことは、生産抑制に伴い鉄鋼製品需給はタイトな状態が続く一方、鉄鋼原料需給は完成品ほどではないがやはりタイトであり、鉄鋼原料輸入が継続する可能性が高いことを示唆している。
特に、環境保護や生産制限によって国内供給が厳しく、海外からの輸入(豪州)ができなくなり、モンゴルからの供給もコロナの影響で制限されている原料炭価格はさらに高値を維持することになろう。
これまで工業金属価格の上昇を牽引してきたのは中国の住宅セクターであるが、中国の建設業PMIは57.5(前月60.5)と減速した。中国政府による不動産セクター沈静化の動きが影響しているとみられる。
中国恒大集団の債務問題はその氷山の一角だろう。問題の顕在化はこれからではないだろうか。
工業金属のフロー需要に影響する工業生産は、1-9月期累計で前年比+11.8%(1-8月期+13.1%)と伸びが鈍化、単月でも前年比+3.1%(前月+5.3%)と減速が鮮明になっている。
やはり、電力供給不足や不動産セクターの減速の影響が大きい。
実際、1-9月期の不動産開発投資は前年比+8.8%の11兆2,568億元(1-8月期+10.9%の9兆8,060億元)と減速している。
この結果、ストック需要の指標である固定資産投資も年初来累計で+7.3%(+8.9%)と減速が明確に。公的セクターの伸び鈍化は所与としても、よりボリュームの大きな民間部門が前年比+9.8%(+11.5%)と伸びが減速していることは、中国政府によるバブル抑制行動が影響しているとみられる。
いずれも「伸び」が鈍化しているのみであり、中国の経済活動はまだ拡大していることは間違いがない。しかし、需要の伸びが想定を下回る場合、多くの場合供給過剰を誘発して価格の下押し要因となる。
【中国鉄鋼製品輸出入・在庫動向】
9月の中国の鉄鋼製品の輸入は前年比▲56.5%の125万6,000トン(前月▲52.5%の106万3,000トン)と低迷し、過去5年平均を下回った状態が続いている。
8月の中国粗鋼生産は前年比▲12.2%の8,324万トン(前月▲7.0%の8,679万トン、前々月+2.5%の9,388万トン、前々々月+7.8%の9,945万トン)と減速が鮮明になった。前年比での伸びが鈍化。生産調整の影響が出ている。
一方、9月の鉄鋼製品の輸出は前年比+28.5%の492万トン(前月+37.3%の505万3,000トン)と前月から前年比の伸びを縮小させ過去5年平均を下回る水準。やはり国内供給を優先させていることが窺える。
なお、中国の鉄鋼製品需要は旺盛とみられるが、在庫水準は前週比+16万6,000トンの1,460万8,000トン(過去5年平均 1,164万トン)と例年を上回り水準は高い。
【中国鉄鉱石輸出入・在庫動向】
原料である鉄鉱石の9月の輸入は前年比▲11.9%の9,560万トン(前月▲2.9%の9,749万トン)と減速した。中国政府の鉄鋼ミル稼働制限の動きが輸入を鈍化させたとみられる。また中国の鉄鉱石需要は鈍化している可能性がある。
鉄鉱石港湾在庫は前週比+350万トンの1億3,350万トン(過去5年平均1億2,646万トン)、在庫日数は29.6日(過去5年平均 28.6日)と数量ベース・日数ベースでも過去5年平均を上回り急速に需給が緩和していることが確認されている。
在庫日数は粗鋼生産の水準の高さに依拠するため、中国政府の鉄鋼生産抑制方針を受けて在庫日数の上昇傾向は続き、価格を下押しすると予想される。
【中国原料炭輸出入・在庫動向】
原料炭は中国の生産活動回復が継続しているが、前年比の伸び鈍化が明確になってきたため(中国政府の方針通り)、価格は下落余地を探る動きになると考える。
また、中国政府は原料炭を含む石炭の国内生産を増加させる方針であることも、海上輸送原料炭価格を下押ししよう。
とは言え、環境規制強化の流れで世界的に原料炭供給を増加させられる地域が限定されることから、下落余地も同様に限定される都見るのが妥当だ。
8月の中国の原料炭輸入は前年比▲34.7%の468万2,831トン(前月▲48.8%の377万1,291トン)と回復しているが、過去5年レンジを下回った状態が続いている。豪州からの輸入停止と、モンゴルからの輸入停滞(コロナの影響)、国内の鉄鋼生産削減政策が影響しているとみられる。
中国の港湾在庫の水準は鉄鋼の最大生産省である河北省の主要港である、京唐港の港湾在庫は前週比▲13万トンの100万トンと過去5年平均の124万1,000トンを下回っている。
在庫日数は4.1日と、過去5年の平均である5.2日を下回り、タイトな状態。中国政府の方針を受けた粗鋼生産の減少の可能性は高いものの、在庫水準の異常な低さが価格を押し上げよう。
【見通しの固有リスク】
・中国の不動産セクター減速が、建材需要を減少させる可能性(鉄鋼製品価格の下落を通じて鉄鋼原料価格の下落要因)。
・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合(価格上昇要因)。
・コロナウイルスの感染拡大長期化による、鉱山生産の減少リスク(価格上昇要因)。
---≪貴金属≫---
【貴金属価格見通し】
【金】
金は下押し圧力が強まる展開が予想される。米長期金利が早期利上げ観測に伴い、ツイストする形で低下していたが総じて上昇基調にあること、高値圏にある原油価格も足下さらなる上昇は様子見の状態にあり、期待インフレ率に下押し圧力が掛りやすく、実質金利に上昇圧力が掛ることから。
テーパリングが進捗する中では(というよりは、テーパリング宣言からテーパリング実施まで、その影響を織り込む中では)長期金利に上昇圧力が掛り、中期的に下落に転じる見通しに変化はない。
なお、過去5年平均を基準にすると名目金利1bpに対する金価格の感応度は±3.0ドル弱であり、米10年金利が現在の水準から30bp上昇すれば▲90ドルの下落圧力となる(60bpで▲180ドル)。
現在の金の実質金利で説明可能な価格(金基準価格)は1,644ドル(先週末比▲21ドル)、そこからの乖離(リスク・プレミアム)は121ドル(▲10ル)。
リスク・プレミアムは、過去3ヵ月平均で120ドル、6ヵ月で170ドル、1年で180ドル、5年で180ドルとなっている。
なお、金価格を実質金利要因と為替要因に分類した場合、為替要因はリスク・プレミアムのところに内包されると整理している(為替は名目金利の影響も受けるので、純粋に為替の要因のみ切り出すのが困難であることから)。
※毎日回帰分析をアップデートし、リスク・プレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない場合があります。
【銀】
銀価格は金価格との比較感で売買されるが、金銀レシオは現在、77.6倍。過去1年を基準にすると72倍、5年では80倍、2000年以降では66倍程度が妥当。
今後、さらに金銀レシオが低下するには、工業需要の増加が必須。今後、IT化の進捗でエレクトロニクス向けの需要が増加することが必要。太陽光パネルの増設は脱炭素の行きすぎヘの反発や、米国が太陽光パネルの主要生産国である中国からの調達を手控えると考えられ、影響は限定と考える。
なお、銀価格=金価格÷金銀レシオ であり、金銀レシオが低下することで金価格が変動した時の弾性値が上昇(ボラティリティは上昇し、足元金の2倍に上昇)する点は留意。
(例)金が2,000ドル、銀が20ドルのとき 金銀レシオが100倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1セント変化 金の変化率は±0.05%、銀は±0.05%
金銀レシオが1倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1ドル変化 金の上昇率は±0.05%、銀は±5%
【PGM】
プラチナ価格は銀価格との連動性が高い。これは供給過剰で投機的な取引の影響が強まっていることによる。プラチナの需給バランスはWPICデータを元にすると今年も除く投機で供給過剰であり、投機動向が価格を左右しやすい。
パラジウムは半導体供給低迷が自動車生産に影響を与える状況が来春ぐらいまでは続く可能性があるため、当面低水準での推移。しかし自動車販売が回復すれば再び高値圏へ。
8月の米自動車販売は年率1,218万台(市場予想1,300万台、前月1,306万台)と減速。目先はパラジウム価格の下落要因となりやすい。
中国の自動車販売は中国自動車工業協会の集計で以下の通りであり、明らかに伸びが減速している。半導体供給不足に加え国内景気の伸び減速が影響。
9月 前年比▲19.5%の206万6,000台8月 ▲17.4%の179万8,841台7月 ▲11.8%の186万3,550台。6月 ▲12.4%の201万5,309台5月 ▲3.0%の212万7,000台4月 +8.8%の225万台3月 +76.5%の252万5,000台2月 +371%の146万台1月 +30%の250万台
調査会社のオートフォーキャスト・ソリューションズによれば半導体不足による供給減少の累積は7月16日時点で167万8,000台となっており、2019年1-7月期の966万9,484台から▲17.4%減少している。
この回復がある、ないしは供給側の混乱(南アフリカ)による生産減少がなければ、PGM価格は低水準で推移しよう。
【見通しの固有リスク】
・アフガニスタン情勢がかなり混迷の度合いを深めており、周辺地域への影響(南欧など)が拡大し、軍事的な行動に発展、足下のリスク・プレミアムが低いことからリスク回避の見直し買いが入る場合(貴金属セクター全体の上昇要因)。
・主要生産国の南アフリカの電力供給不安や、コロナウイルスの影響拡大で供給が滞る場合(PGMの価格上昇要因)。
・コロナからの回復は各国まだらであり、先行する米国が金融正常化に動いた場合、新興国から資金が流出して信用リスクが高まる場合(安全資産価格の上昇要因)。
・米中の対立激化。バイデン政権は対中強硬姿勢を明確にしており、対立がさらに激化する場合(安全資産価格の上昇要因)。
・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加(実際に破綻が意識されるのは2030年以降か)。
・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。
環境重視型社会へのシフトはパラジウム需要を増加させるが、さらに加速して「水素社会」まで到達すると、燃料電池車需要が増加して構造的にプラチナ価格の上昇要因となる可能性。
・コロナウイルスの感染拡大による、最大生産国の1つである南アフリカの鉱山稼働が電力供給問題もあって不安定であることによる供給懸念。
【投機筋のポジション動向】
・直近の投機筋のポジションは、金はロングが298,503枚(前週比 +2,564枚)、ショートが112,964枚(▲393枚)、ネットロングは185,539枚(+2,957枚)、銀が63,488枚(▲469枚)、ショートが45,501枚(▲2,077枚)、ネットロングは17,987枚(+1,608枚)
・直近の投機筋のポジションは以下の通り。
プラチナはロングが31,711枚(前週比 ▲703枚)ショートが20,792枚(▲6,107枚)、ネットロングは10,919枚(+5,404枚)
パラジウムが2,920枚(+91枚)、ショートが5,416枚(▲643枚)ネットロングは▲2,496枚(+734枚)
---≪農産品≫---
【穀物価格見通し】
シカゴ穀物価格は堅調な推移になると考える。冬場のラニーニャ現象の発生(北半球の天候相場は終了も、南半球の天候相場入り)が懸念されていることや、その他の商品価格が上昇する中で割安感がまだある穀物セクターが物色される可能性が高まっているため。
8月の中国の大豆輸入は前年比▲29.7%の688万トン(前月▲1.2%の948万8,000トン)と大幅に減少した。
中国の港湾在庫は減少を始めているため調達圧力は強いと考えられるものの、高値圏にある輸送コストや米ハリケーンの影響による輸出障害などが影響したとみられる。
Locust Watchではソマリア・イエメンでのサバクトビバッタの被害が深刻になっていることが指摘されている。
9月中旬以降、エチオピア北東部の繁殖地で群れの形成が確認された。今後、最終的な繁殖のために紅海とアデン海に沿った地域への移動(サウジアラビア南西部など)が懸念される。
https://www.fao.org/ag/locusts/common/ecg/75/en/211001update.jpg
【見通しの固有リスク】
・ラニーニャ現象発生観測による投機筋の買い圧力の強まり(価格の上昇要因)。
・環境重視型社会へのシフトにより、燃料向け穀物需要が増加する場合(価格の上昇要因)。現在はそれほどの数量でもない、バイオディーゼル向けの大豆需要増加など。
・新型コロナウイルスの影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。
【米農務省需給報告データ】
・米作付け意向面積トウモロコシ 9,114万エーカー(市場予想9,313万エーカー、前年9,699万エーカー)大豆 8,760万エーカー(9,010万エーカー、8,351万エーカー)小麦 4,636万エーカー(4,495万エーカー、4,466万エーカー)綿花 1,204万エーカー(1,215万エーカー、1,370万エーカー)
・米穀物最終作付け面積 実績(前年)トウモロコシ 9,269万エーカー(9,082万エーカー)大豆 8,756万エーカー(8,383万エーカー)小麦 4,674万エーカー(4,425万エーカー)
・10月米需給報告単収見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 176.5Bu/エーカー(175.6、176.3)大豆 51.5Bu/エーカー(51.0、50.6)小麦 44.3Bu/エーカー(NA、44.5)
・10月米需給報告生産見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 150億1,900万Bu(149億5,300万Bu、149億9,600万Bu)大豆 44億4,800万Bu(44億963万Bu、43億7,400万Bu)小麦 16億4,600万Bu(NA、16億9,700万Bu)
・10月米需給報告輸出見通し(実績/前月)トウモロコシ 25億Bu(24億7,500Bu)大豆 20億9,000万Bu(20億9,000万Bu)小麦 8億7,500Bu(8億7,500万Bu)
・10月米需給報告在庫見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 15億Bu(14億4,080万Bu、14億4,000万Bu)大豆 3億2,000万Bu(2億9,830万Bu、1億8,500万Bu)小麦 5億8,000万Bu(5億1,020万Bu、6億1,500万Bu)
・9月末四半期在庫 実績(前期末)トウモロコシ 12億3,600万Bu(41億1,100万Bu)大豆 2億5,600万Bu(7億6,900万Bu)小麦 17億8,000万Bu(8億4,500万Bu)
・10月CONABブラジル作付け面積(市場予想/前月)トウモロコシ 2,087万ha(2,087万ha、1,987万ha)大豆 3,992万ha(4,031万ha、3,853万ha)
・10月CONABブラジル生産量(市場予想/前月)トウモロコシ 1億1,631万トン(1億1,932万トン、8,575万トン) 単収 5,5756kg/ha(5,716kg/ha、4,316kg/ha)大豆 1億4,075万トン(1億4,408万トン、1億3,591万トン) 単収 3,526kg/ha(3,578kg/ha、3,527kg/ha)
【投機筋のポジション動向】
・直近の投機筋のポジションは以下の通り。
トウモロコシはロングが402,726枚(前週比 ▲8,073枚)、ショートが123,438枚(+9,644枚)ネットロングは279,288枚(▲17,717枚)
大豆はロングが134,258枚(▲3,289枚)、ショートが92,268枚(+6,122枚)ネットロングは41,990枚(▲9,411枚)
小麦はロングが94,728枚(▲1,475枚)、ショートが99,262枚(+10,371枚)ネットロングは▲4,534枚(▲11,846枚)
◆本日のMRA's Eye
「原油価格は中期的に今冬がピークか~下落・その後の上昇への備え」
原油価格が高騰している。多くのメディアで指摘されている通り、ガス・石炭不足に端を発し、異常気象の影響で再生可能エネルギーに傾斜しすぎた英国が深刻な電力不足に陥り、それを賄うためにフランスから原子力発電由来の電力を購入しようとしたところ火災が発生、結局、天然ガスを購入しなければならなくなったこと、といったことがさらにガス需給をタイト化させたためである。
その結果、既に発電燃料や暖房燃料への需要が減少していたディーゼルや灯油などの需要が増加しているのだ。
DOEはこの状況を受けて直近10月発表の短期見通し変更し、10月の原油需給バランスは80万バレルの供給過剰から20万バレルの供給過剰に引き下げた。さらに、2021年11月・12月は供給不足幅を各々▲62万バレル、▲78万バレル拡大させ、▲81万バレル、▲191万バレルの供給不足に陥ると予想している。
これまでこのコラムでも繰り返し主張しているように、水道の蛇口をひねるように原油が増産できる訳ではないため恐らくこのまま予想通りの厳冬となれば、冬場の原油価格はさらに高値を試す可能性が出てくる。
供給不足になり「本当に現物が足りなくなる」場合、市場でショートポジションを保有している参加者はスクイーズ(いわゆる玉締め)を受けることになり、価格は上限なく上昇することになる。欧米投資銀行が指摘していたように100ドル原油の可能性も捨てきれなくなってきた。
しかし、この状況においても米国の原油生産はシェールオイルの主要地域であるPermian地区の生産はプレ・コロナの水準を回復したが、その他の地区はコスト面、脱炭素、などの流れから回復しておらず、シェール全体の生産量はプレ・コロナの水準から▲79万バレル程度低い。
またここまで価格が上昇しているが、OPECプラスの増産も見送られている。サウジアラビアの2021年の原油想定レートは、Brentで80ドル超であり、現在の水準はこれを満たしているため、安易に価格を下げたくないと考えているとみられる。
しかし増産に踏み切るのをためらう背景に、来年の需要見通しが価格上昇を背景に下方修正されているため2022年は供給過剰になるとみられていることもある。「今が価格上昇のピーク」と見ている可能性があるためだ。
実際、過去の例を見ると原油価格は景気の転換点、すなわち景気拡大がピークを打つ直前で価格が最も上昇し、その後急落することが多い。
これは、
景気が回復して需要も回復→価格上昇→価格上昇により採算性が改善→供給増加→需給がバランス→価格が下落
となるが需要増加を受けた価格上昇を背景に増産を決定、実際に増産に至るまで時間差があるため、増産が始まる前に価格上昇に市場が耐えられなくなり、消費が減少をはじめるあたりから時間差をもって増産が始まることが多いためである。
恐らく今回は各国が産油国に増産要請をしており、さらに産油国側としても供給不足が需要を減じている実情を考えると追加増産の可能性は低くないとみている。
しかし、供給があったとしても冬場の価格低下は難しく、冬場の調達に目処が立つ年明け以降に下落に転じるのではないだろうか。これはテーパリングの時期が重なることも影響している。そのときの調整幅が大きくなる可能性があることは十分注意をする必要がある。
ただ、価格が下落すれば需要が喚起されること、恐らく来年は米国をはじめとする主要国の経済対策が実施されること、OPECプラスの増産も「増産分の前借り」であり仮に11月に80万バレルの増産を決定した場合、12月は増産ナシ、となる可能性があることなどを考えると恐らくテーパリングが終了するとみられる6月頃を底に、再び上昇に転じると予想している。そのため、今は淡々と価格上昇に対応し、その後訪れる価格下落、さらにその後の上昇に備えるべきである。
◆主要ニュース
・9月首都圏マンション販売 前年比▲6.7%の2,311戸(前月+16.2%の1,940戸)
・Q321中国実質GDP 年初来 前年比+9.8%(前期+12.7%)
前年比+4.9%(+7.9%)、前期比+0.2%(+1.3%)
・1-9月期中国工業生産 前年比+11.8%(1-8月期+13.1%)9月 前年比+3.1%(前月+5.3%)
・1-9月期中国固定資産投資 前年比+7.3%(1-8月期+8.9%)公的+5.0%(+6.2%)、民間+9.8%(+11.5%)
・1-9月期中国小売売上高 前年比+16.4%の31兆8,057億元(1-8月期+18.1%の28兆1,224億元)9月+4.4%の3兆6,833億元(前月+2.5%の3兆4,395億元)
・1-9月期中国不動産開発投資 前年比+8.8%の11兆2,568億元(1-8月期+10.9%の9兆8,060億元)
・9月米鉱工業生産 前月比▲1.3%(前月▲0.1%)
設備稼働率 75.2%(76.2%)
製造業生産 ▲0.7%(▲0.4%)
・10月米NAHB住宅市場指数 80(前月 76)
・米パウエル元国務長官死亡。コロナの合併症で。
・FRBパウエル議長、相場急落前に金融取引実施。
・ロシア、NATO代表部の活動停止。外交官退去への対抗措置で。
◆エネルギー・メタル関連ニュース
【エネルギー】
・ウクライナ ナフトガス、Nord Stream2は欧州法に完全に合致しないため認定できないとする主張に参加申請。
・Gazprom、ウクライナのパイプライン入札に参加せず。ポーランド経由の欧州向けガス供給も限定。国内供給を優先。
・イラク総選挙、反米強硬派とされるサドル師率いる政党が勝利。イランとも距離。
【メタル】
・ロシア経済開発統合委員会小委員会、アルミに対する輸出関税15%の停止を支持。
・中国ベースメタル貿易統計(9月)、単位:千トン、錫:トン
精錬銅輸入 251.8(前月比 UC, 前年比 ▲267.7)
銅精鉱 1,886.0(前月比 ▲1.4, 前年比 ▲251.9)
銅スクラップ 129.8(前月比 ▲19.6, 前年比 +49.9)
精錬銅輸出 50.0(前月比 UC, 前年比 +33.6)
精錬亜鉛輸入 35.2(前月比 ▲5.4, 前年比 ▲16.2)
精錬亜鉛輸出 0.3(前月比 ▲0.5, 前年比 ▲1.1)
精錬鉛輸入 4.9(前月比 ▲0.7, 前年比 ▲1.1)
精錬鉛輸出 4.6(前月比 +4.1, 前年比 +4.2)
プライマリアルミ輸入 252.9(前月比 +5.4, 前年比 ▲103.1)
プライマリアルミ輸出 492.0(前月比 +1.7, 前年比 +65.5)
ニッケル輸入 29.4(前月比 +6.9, 前年比 +15.8)
ニッケル輸出 0.1(前月比 ▲0.1, 前年比 ▲0.2)
錫輸入 116.0(前月比 ▲56.0, 前年比 ▲888.0)
錫輸出 790.0(前月比 ▲1,486.0, 前年比 +474.0)
・メキシコ、エネルギー転換に必要な履中無とその他の戦略的鉱物の採掘権をこれ以上容認しないとしており、銅が含まれる可能性。
・Q321Rio Tinto
鉄鉱石生産 前年比▲2.2%の72,074千トン(前期▲7.6%の66,241千トン、前年73,707千トン)
2021年生産計画 9.5百万トン~10.5百万トン(前回10.5百万トン~12.0百万トン)
ボーキサイト ▲3.4%の13,967千トン(▲6%の13,699千トン、14,459千トン)54百万トン~55百万トン(56百万トン~59百万トン)
アルミナ ▲0.9%の1,937千トン(+1%の2,012千トン、1,954千トン)7.8百万トン~8.2百万トン(変わらず)
アルミ ▲2.9%の774千トン(+4%の816千トン、797千トン)3.1百万トン~3.3百万トン(変わらず)
銅鉱山生産 ▲3.4%の125.2千トン(▲13.0%の115.5千トン、129.6千トン)50万トン(50万トン~55万トン)
精錬銅 +103.5%の50.5千トン(+94.4%の52.3千トン、24.8千トン)19万トン~21万トン(21万トン~25万トン)
・中国政府、レア・アース大手の五鉱稀土は9月23日、親会社の中国五鉱集団がアルミ大手のチャイナルコやレア・アースの大産地である江西省政府との間でレア・アース関連資産の戦略的な再編交渉を進めていると発表。
◆主要商品騰落率
【上昇率上位5商品】
商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.SHF亜鉛 ( ベースメタル )/ +6.89%/ +31.28%
2.SHFアルミ ( ベースメタル )/ +2.73%/ +54.99%
3.SHF銅 ( ベースメタル )/ +2.35%/ +30.64%
4.SHFニッケル ( ベースメタル )/ +2.01%/ +20.90%
5.LME鉛 3M ( ベースメタル )/ +1.97%/ +19.49%
【下落率上位5商品】
商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
66.NYM米天然ガス ( エネルギー )/ ▲7.78%/ +96.49%
65.LME亜鉛 3M ( ベースメタル )/ ▲3.51%/ +34.09%
64.SHF天然ゴム ( その他農産品 )/ ▲3.24%/ +0.07%
63.パラジウム ( 貴金属 )/ ▲2.90%/ ▲17.59%
62.CBTオレンジジュース ( その他農産品 )/ ▲2.87%/ ▲3.94%
※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。
◆主要指標
【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :35,258.61(▲36.15)
S&P500 :4,486.46(+15.09)
日経平均株価 :29,025.46(▲43.17)
ドル円 :114.32(+0.10)
ユーロ円 :132.73(+0.22)
米10年債 :1.60(+0.03)
中国10年債利回り :3.04(+0.05)
日本10年債利回り :0.10(+0.01)
独10年債利回り :▲0.15(+0.02)
ビットコイン :61,367.44(+1967.30)
【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :30.21(▲1.13)
エネルギー :48.58(▲0.94)
ベースメタル :26.61(▲2.75)
貴金属 :29.24(▲1.73)
穀物 :18.78(▲0.52)
その他農畜産品 :27.73(▲0.61)
【主要商品ボラティリティ】
WTI :16.70(▲3.35)
Brent :17.75(▲1.72)
米天然ガス :89.94(+1.14)
米ガソリン :18.39(▲3.54)
ICEガスオイル :25.53(+0.42)
LME銅 :28.19(▲2.85)
LMEアルミニウム :20.39(▲2.47)
金 :16.06(▲0.77)
プラチナ :34.05(▲1.42)
トウモロコシ :19.73(+0.15)
大豆 :16.06(▲0.77)
【エネルギー】
WTI :82.44(+0.16)
Brent :84.33(▲0.53)
Oman :82.63(▲0.52)
米ガソリン :248.66(+0.02)
米灯油 :254.92(▲2.45)
ICEガスオイル :738.50(▲8.25)
米天然ガス :4.99(▲0.42)
英天然ガス :237.32(+2.96)
【貴金属】
金 :1764.86(▲2.76)
銀 :23.19(▲0.12)
プラチナ :1039.28(▲19.36)
パラジウム :2018.00(▲60.21)
※ニューヨーククローズ。
【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :10,275(+98:225B)
亜鉛 :3,753(▲4:62B)
鉛 :2,373(+33:53.5B)
アルミニウム :3,200(+15:20C)
ニッケル :20,175(+345:40B)
錫 :38,250(+750:1350B)
コバルト :56,100(+26)
(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :10206.00(▲9.00)
亜鉛 :3686.00(▲134.00)
鉛 :2376.00(+46.00)
アルミニウム :3170.00(▲5.00)
ニッケル :19960.00(+60.00)
錫 :37905.00(+490.00)
バルチック海運指数 :4,854.00(▲208.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック
【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR中国、1営業日前) :122.43(+0.18)
SGX鉄鉱石 :123.65(+0.11)
NYMEX鉄鉱石 :123.4(+0.21)
NYMEX豪州原料炭スワップ先物 :394.5(▲2.50)
大連原料炭先物 :621.32(+1.26)
上海鉄筋直近限月 :5,583(▲104)
上海鉄筋中心限月 :5,424(▲64)
米鉄スクラップ :625(±0.0)
【農産物】
大豆 :1221.50(+3.75)
シカゴ大豆ミール :317.90(+1.30)
シカゴ大豆油 :62.02(+0.73)
マレーシア パーム油 :5175.00(+15.00)
シカゴ とうもろこし :532.75(+7.00)
シカゴ小麦 :736.25(+2.25)
シンガポールゴム :188.50(▲1.00)
上海ゴム :13605.00(▲455.00)
砂糖 :19.35(▲0.45)
アラビカ :201.60(▲1.80)
ロブスタ :2103.00(▲7.00)
綿花 :107.04(▲0.29)
【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :78.75(+0.48)
シカゴ生牛 :125.45(▲0.53)
シカゴ飼育牛 :155.75(▲1.83)
※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。