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米統計予想外の改善・ドル安で総じて堅調
  • MRA商品市場レポート

2021年10月4日 第2046号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「米統計予想外の改善・ドル安で総じて堅調」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場はその他農産品や穀物の一角が売られたが、その他は総じて堅調な推移となった。

米ISM製造業指数が市場予想に反して改善したことや、米債務上限問題を巡り、米バイデン政権が追加経済対策を実施できないのではないか(あるいはできたとしても規模が期待通りではない可能性)、との見方から景気の先行き懸念が強まり、長期金利が低下・ドル安も進行したことが材料となった。

ただ、ISM製造業指数は改善したとは言え、仕入遅延指数が上昇したことが統計数値を押し上げたことも事実であり、現状を楽観していろいろな商品価格が上昇した、という訳ではなさそうだ。

また、世界的に問題視されている足下の電力供給不足、冬場の電力供給危機を受けて工場が稼働を停止しており、一次産品の供給に影響が出ていることも価格を押し上げた。正直こちらも良い形での価格上昇、とは言い難い。

このままだと物価上昇(のみならず現物供給の不足)が景気を悪化させる可能性が出てきた。

そんな中、特に上昇したのはどの商品にも基本的に価格が連動しない、消去法的に物色されるビットコインだった。

【本日の見通し】

週明け月曜日も、景気が回復過程にある中で発生している電力供給不足並びにサプライチェーンの寸断から価格は高値を維持すると考える。しかし、この状態が継続するということは、企業の業績悪化に繋がるため、問題解決時の価格下落が大きくなる可能性があることは意識したい。

その中で急速に市場の関心が高まっているのがOPECプラス。仮に想定以上の増産があればエネルギー価格は下落し、期待インフレ率の低下からドル高も進行し、多くの商品に下押し圧力が掛ることが予想されるが、逆の場合は逆の動きとなる。

なお、そうだとしても足下の燃料在庫調達が不十分であるため、大きな下落にはならないと考える。

【昨日のセクター別動向と本日の見通し】

◆原油

原油価格は上昇した。冬場の暖房・発電燃料不足を背景に、代替可能な石油製品の需要が増えるとの見方から供給面を意識した買いが継続していることが背景。

OPECプラスも「直ちに増産はできない」というニュアンスの発言をしていることも価格を押し上げている。仮にOPECの増産があれば少なくとも投機の手仕舞いはあるが、それでも在庫の水準が十分出ないだけに影響は限られるだろう。

チャートポイントは50日移動平均線(Brent:73.08ドル、WTI:70.07ドル)が下値として意識されるが、水準は切り上がっている。

週明け月曜日はその重要性が急速に高まっているOPECプラスが開催される。しかし今のところ予定通り40万バレルの増産に止まるとの見方が大勢であり、一部から出ていた「増産前倒し(80万バレル)」の可能性もなくはないが、リスクシナリオではないか。

結局、期待に添った増産にならないと予想され、堅調な推移を予想。

◆石炭・LNG・天然ガス

豪州石炭スワップ先物価格は暴騰して230ドルに迫る展開。中国各地で電力供給停止(昨日のエネルギー関連ニュースを参照)が起きることに象徴されるように、中国の国内石炭供給は十分ではない。

豪州に対する制裁で石炭輸入を見送っているため輸入石炭の数量も低水準で、輸入に苦慮している模様。一方、豪州もコロナの影響などによる人員確保の問題などから生産は回復しておらず輸出も低迷していることから、実際に市場の需給はタイトと考えられる。

中国の石炭輸入動向への説明力が高いバルチック海運指数は続伸。バルチック海運指数は中国の石炭輸入の指標の1つであるが、冬場に向けた調達が本格化している。

JKM先物市場は小幅に下落したが31ドル台を維持。冬場のピーク(11月~2月)のJKM価格はいずれも30ドルを超え、35ドルに迫る。中国のLPGの調達も増加しており、明らかに世界的なガス供給が十分でないことを示唆している。

ラニーニャ現象発生が見込まれるこの冬、気温次第ではあるが今年の1月に見られたような電力スポット価格が暴騰する展開は、リスクシナリオというよりむしろメインシナリオと考えるべきかもしれない。

欧州天然ガスは上昇後、下落した。一時TTFは100ユーロを超えたが、その後投機と思しき利益確定の売りに押されて前日比マイナスで引けた。

ただ、投機が動いたとしても実際に現物が不足して在庫水準は低いまま。

企業活動に必要な資源は価格が高くても購入するが、それでもビジネスの採算が合わなければ工場が停止となる。その一方で厳冬が人命を脅かす可能性がある以上、ガスや電力の供給者は当該燃料を確保しなければならないため、価格は際限なく上昇することに。

米天然ガスは続落。米天然ガス統計での在庫増加が確認され、過去5年平均を上回ったことで、米国国内の需給への懸念が若干後退したため。ただし週末を控えた利益確定の動きと考える方が適切か。

スポットLNGタンカーレートはスエズ以東は緩やかに上昇、以西は大幅に上昇した。明らかにピークシーズンに向けた調達圧力の高まりによるものと見られる。

2021年9月20日~9月26日のLNG取引は前週比+50万トンの690万トン(前週▲40万トンの640万トン)、スポット調達のシェアは24%(24%)で変わらず。

輸入量の増加は中国・韓国の輸入によるもの。スポットカーゴの供給国は様々だったが、主に中国に輸出された。やはり中国の発電燃料は不足していると見るべきである。

石炭は供給不足が顕著であり、中国、欧州(東欧)のみならず、インドも在庫が低く本日も高値維持の公算。

欧州地域はガス供給制限を材料とした買い継続でやはり高値圏を維持。米国は一時的に在庫が十分のため一旦調整すると考える。

◆非鉄金属

LME非鉄金属価格は上昇した。主たる買い手である中国勢は不在だったが、米債務危機への懸念や長期金利の低下でドル安が進む中、実需家と見られる市場参加者の安値拾いの買いが価格を押し上げた。

週明け月曜日は中国勢の不在で買い手がいない中、週末の上昇を受けて水準を切下げると考える。

しかし、ドル安の進行を材料とした安値拾いの買いが、中国恒大集団の債務問題や工場稼働停止に伴う景気先行き懸念を相殺するため、結局は現状水準を維持になると予想する。

◆鉄鋼・鉄鋼原料

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは下落、豪州原料炭スワップ先物は上昇、大連原料炭先物は上昇、上海鉄鋼製品先物は休場だった。

中国勢が国慶節の大型連休入りとなったため、在庫積み増しの動きが後退したことが背景。

週明け月曜日も中国勢が休みで市場にいないことから、軟調な推移を予想。ただし供給が明確に十分ではない原料炭価格は高値圏で推移しよう。

◆貴金属

昨日の貴金属セクターは堅調な推移となった。米債務上限問題などを材料に共和党の反発が予想される中、米バイデン政権の経済政策が実施されないのではとの見方が長期金利を押し下げたため、実質金利が低下したことから。

なお、リスク・プレミアムは逆に低下しており、このことは「債務上限問題は解決されるが、景気刺激策は実施されない可能性がある」と判断されている可能性が高いことを示唆している。銀・PGMも株価の戻りを受けて上昇した。

週明け月曜日も米債務上限問題が意識されるが、直ちに解決すると見られないことから基準価格は上昇、リスク・プレミアムは上昇し総じて貴金属セクターも堅調な推移になると考える。

なお、米自動車販売が減速していることが確認されているため、PGMは対金銀で軟調に推移すると予想。

◆穀物

シカゴ穀物市場はまちまち。前営業日に発表された表された四半期末在庫と長期金利低下に伴うドル安進行で総じて堅調な推移となったが、収穫時期でありハーベスト・プレッシャーに押された大豆は前日比マイナスで引けた。

週明け月曜日はトウモロコシ・大豆の収穫が本格化する中でハーベスト・プレッシャーに押される可能性がある一方、リスクテイク並びに長期金利低下を受けたドル安進行で上昇を予想。

※中長期見通しは個別セクターのコラムをご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【昨日のトピックス】

昨日発表された米ISM製造業指数は市場予想に反して61.1(市場予想59.5、前月59.9)と改善した。

景況感を示す統計で、複数の指標を総合して判断するものだがこの中で恐らく一番重要なのが需要を示す新規受注と受注残だが、新規受注は66.7(前月66.7)と横這い、受注残は64.8(68.2)と減速しながらも閾値の50を上回っており、過熱感は若干沈静化したが需要は旺盛と見られる。

しかし、入荷遅延指数は73.4(69.5)とオイルショック以来の高水準を維持しており、引き続きコロナやコンテナの不足、航空輸送の回復が遅れていることを示唆している。

これにより仕入価格は81.2(79.4)と再び上昇、製造業活動に悪影響が及んでいることはほぼ間違いがないだろう。今後懸念すべきは電力やエネルギーの供給途絶が調達先国で発生し、十分な原材料が確保できないといった事象が発生する場合だが、冬場にかけてはそのリスクは小さくない。

また1日に発表された日銀短観は、景況感の改善を示唆する内容だったが、先行き見通しはいずれも減速見通しとなった。

在庫の投資循環サイクルの影響もあるが、サプライチェーンの寸断による生産活動への懸念や、人員不足に起因する企業活動の鈍化が意識される内容で、特に体力に劣る中小企業の景況感は先行きも水面上に出ない見通しで、回復には相当時間がかかる公算。

2021年度下期のドル円想定レートは107円台と現在の水準から5円程度低く、輸出企業製造業の業績改善に寄与する可能性が高い。設備投資に影響の大きな為替レートが円安に振れることで、想定よりも設備投資が上振れる可能性はある。

【マクロ見通しのリスクシナリオ】

・中国恒大集団の債務問題が不動産セクター全体に波及し、世界的に株安となり経済活動が逆回転する場合(工業金属などの景気循環系商品を筆頭に、リスク資産価格の下落要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(これは人口動態を考えると、現実のリスクとなるのは2030年以降か)。

・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。

逆に脱炭素に向けたインフラ投資の加速で資源価格が急上昇、金融緩和マネーが大量に市場に滞留する中でハイパーインフレとなるリスク。

・コロナウイルスの感染再拡大によるロックダウンが景気循環系商品の需要を減じる場合(価格下落要因)。

逆に想定以上に新型ワクチン・治療薬の開発が速やかに行われた場合は需要の増加要因に。

・来年の中間選挙を控えて、バイデン大統領が国内の支持を得られない場合。財政面や企業負担増の理由から造反が発生し、議会を通過しない場合は景気のリスクに(景気減速要因)。

・米財政出動が加速、景気回復期待を受けた価格上昇が顕著となる場合。

この場合、長期金利上昇でドル高が進行しやすく価格の下落を意識しなければならない。

・米中対立激化による、新冷戦構造が発現しブロック経済圏が発生して貿易活動が鈍化する場合(場合によると武力衝突も)。

「能動的に」軍事を行う方針に舵を切った中国習近平政権が、台湾統一を目指して侵略する可能性は高くなった。

・米テーパリング実施が、コロナの感染に苦慮する中南米、欧州・アフリカの新興国経済に悪影響を及ぼす場合(景気減速要因)。

・独総選挙結果を受けた連立政権樹立に難航し、域内最大経済国のドイツ経済が減速する場合、また、EUの指導力が低下し域内経済が停滞する場合(景気減速要因)。

・次の成長ドライバーとして期待されるインド経済が、期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。

2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2023~2024年頃。

・アフガン情勢の混乱が域内経済に混乱(大量の難民発生、コロナの感染拡大が欧州圏にもたらされるなど)をもたらし、米中対立を先鋭化させる場合(景気の減速要因)。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油価格見通し】

原油価格はこれまで脱炭素の流れで増産が見送られてきたことから直ちに供給増加ができないこと、欧米投資銀行が100ドル原油予想を相次いで発表、投資熱が高まっていることなどから高値を維持、中期的にはOPECの増産、米テーパリング開始、発電燃料供給不足が企業活動を鈍化させることを背景に軟調な推移になると予想する。

足下の懸念材料はガス・石炭価格が高騰し、代替燃料として石油製品を求める動きが強まっている点。ガス価格が高騰を続ける場合は季節性がそれほどない原油価格が冬場に上昇する可能性は低くなくなってきた。

テーパリングに関しては、前回実施時は中盤に原油価格は下落に転じており、今回テーパリング開始も価格の下押し要因となるが、利上げの先送り観測でドル安が進行するならしばらくは価格の下支え要因となる。

弊社年末に向けてBrentは60ドル台半ば、WTIは60ドル台前半への調整をメインシナリオとしていたが、足下の厳しい供給環境、代替品としての原油需要の高まりを考えると大幅に引き上げざるを得ない。

しかし米金融面での調整圧力は継続するため、年末にかけて高値を付けた後、年末~年始にかけて調整する可能性は高いとみている。

米DOEの2021年供給は96.10MBD、需要は97.37MBD、需給バランスは▲1.27MBDの供給不足。

価格を下押ししてきたコロナであるが、徐々に「ウィズコロナ」に舵が切られつつあり感染拡大が価格下落に影響するステージは早晩終了するとみられる。

しかし、それはこの冬到来が懸念される第6波までに解消する、とは考え難いため引き続き景気循環系商品価格の下落要因である。

中国の輸入規模はその水準は世界最大であるものの、原油価格に余り影響を与えない中国の原油輸入は、8月は前年比▲6.2%の4,453万トン(前月▲19.6%の4,124万トン)と前年比では減速しているが、大幅に増加している。

中国は輸入に関して価格感応度が高いため、7月・8月の価格下落時の輸入が増加している。需要の回復もあろうが、主に戦略備蓄向けと考えられる。

【見通しの固有リスク】

・気温低下による暖房向け燃料需要が増加、ないしは不稼働の液体系燃料発電(ディーゼルや重油)を有する国や地域が再稼働を決定した場合(価格の上昇要因)。

・電力・ガスをはじめとするエネルギー供給制限が経済活動を強制的に停止させ、需要が減少する場合(価格の下落要因)。

・コロナの変異株が猛威を振るいワクチンが効かない場合(需要減少で下落リスク)。

・米国経済が正常化する中でテーパリングなどの金融緩和解除が加速、急速なドル高を通じて投機的な売り圧力が高まる場合(価格の下落要因)。

・OPECプラスの増産ペースの遅れないしは上流部門投資不足による供給不足。またはイランを巡り武力衝突や制裁解除が遅れた場合(価格上昇要因)。

価格が上昇する中でOPEC諸国の減産維持統制が効かなくなり、増産競争に舵が切られる場合(下落要因)。

・脱炭素の進捗、生活様式の変化による構造的な需要減少が加速した場合(価格下落要因)。

・脱炭素の過剰な進捗による供給懸念(価格上昇要因)。

1.中東産油国の財政悪化によって情勢不安が顕在化、供給途絶リスクが高まる場合

2.中東以外の産油国の生産者の破綻

3.上流投資部門投資が減速し、インドなどの新興国需要顕在化時に供給が間に合わない場合

4.価格面、数量面で予算を確保できない産油国が、OSPを大幅に引き上げる場合(第3次オイルショック)

かなり過剰なペースで脱炭素が進められており、オイルメジャーも株主・政府の圧力を受けて脱炭素に舵を切り、タイムリーな原油増産が困難になっている。

この場合、「脱炭素移行期間の景気回復時」には十分な燃料供給が出来ないリスクが高まり、来年以降の価格上昇局面で原油価格が100ドルを超えるリスク(リスクシナリオの位置づけ)。

なお、脱炭素が完了しても100%原油が不要になることはなく、OPECの価格支配力が増すため、この場合でも価格は上昇へ。

【石炭価格見通し】

海上輸送石炭価格は堅調な推移になると考える。中国の冬場の電力需要向けの調達は旺盛で、供給不足に伴い稼働を停止する工場が増加していることから考えても分るように、今後も石炭調達は継続する戸みられ高値維持の公算。

中国政府は脱炭素といいつつ、石炭の国内生産を増加させている。増加していた中国6大電力会社の石炭在庫水準も再び減少を始めておりこのまま高値で推移する可能性は高い。

石炭は「座礁資産」と呼ばれ、上流部門投資ができなくされていることから、増産をしているのはGlencoreや中国企業ぐらいであり、供給が不十分であること、需要側の構造はそう簡単には変わらないことを考えると、この冬場は極めて高い水準を維持することになろう。

8月の石炭輸入は前年比+35.8%の2,805万2,000トン(前月+15.6%の3,017万8,000トン)と前月から水準は減少したが、昨年の水準を上回った。過去5年平均は上回っている。

猛暑・渇水による発電燃料としての石炭需要増加と、中国の経済活動回復に伴う電力需要の増加が続いているためと考えられる。

【見通しの固有リスク】

・今冬はラニーニャ発生が予想され、厳冬のリスクも意識されているが懸念に反して暖冬となる場合(価格下落要因)。

・電力・ガスをはじめとするエネルギー供給制限が経済活動を強制的に停止させ、需要が減少する場合(価格の下落要因)。

・Nord Stream2の稼働が早期に行われ、天然ガス価格が急落する場合(下落要因)。

・世界的な環境重視型世界へのシフトを受けた、石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念(価格の上昇要因。これは既に顕在化)。

・中国と豪州の対立、中国国内の生産能力増強に伴う、海上輸送炭需要の減少。

【天然ガス・LNG】

天然ガス価格は中国の経済活動が活発である一方、自然エネルギー供給(英国の風力、ブラジル・中国のの水力など)が減少、火力発電向けの燃料需要が旺盛なこと、石炭価格も高値を維持していることから、価格は高値を維持すると考える。

在庫不足の状態に変わりはなく、ロシアも現状を踏まえても欧州向けガス供給を増加させる気配はなく、ノルドストリーム2の稼働も来年夏にずれ込む可能性が出てきたことから価格は高値維持。

このままだと欧州全体がラニーニャ現象発生が懸念される中で冬場に突入し、厳冬の中、計画停電が行われる可能性がある。この場合、人命のリスクが無視できない。

8月の中国の天然ガス輸入は前年比+11.5%の1,044万トン(前月+27.0%の934万トン)と減少したが、季節的に見ると過去5年レンジを大きく上回った状態が続いている。

8月の中国のLNG輸入は前年比+11.7%の665万トン(前月+12.6%の567万トン)と過去5年レンジを上回り構造的な需要増加は続いているが、やや伸びは鈍化した。

長期契約のLNGに関しては、原油リンクとなるため上昇見通しだが、価格反映までに3ヵ月程度の時間差があるため(消費者への影響はさらに3ヵ月後)、現時点ではまだ上昇していないと考えられる。次の懸念は夏のピーク時の電力・ガス価格への影響だろう。

【見通しの固有リスク】

・今冬はラニーニャ発生が予想され、厳冬のリスクも意識されているが懸念に反して暖冬となる場合(価格下落要因)。

・電力・ガスをはじめとするエネルギー供給制限が経済活動を強制的に停止させ、需要が減少する場合(価格の下落要因)。

・8月18日にNord Stream2が稼働しているとの誤ったデータが発表された直後、ガス価格が大幅に下落している。

政治的な要因でNord Stream2の稼働は遅れると考えられるが、同パイプラインが稼働して欧州のガス需給が緩和した場合(価格下落要因)。

・石炭と同様、「化石燃料であること」を理由に上流部門投資が制限される、あるいは原油生産減少による随伴ガス供給が減少する場合(構造的な価格上昇要因)。

・産油国の減産継続による随伴ガス供給の減少懸念。

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが527,523枚(前週比 +21,160枚)ショートが153,709枚(+3,324枚)ネットロングは373,814枚(+17,836枚)

Brentはロングが391,095枚(前週比+19,458枚)ショートが62,141枚(+10,155枚)ネットロングは328,954枚(+9,303枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は中国の不動産バブル抑制が不動産市場全体に波及する可能性が高いこと、直近の直近の工業生産、固定資産投資、不動産投資、工業セクター利益も減速が顕著であり、当面、加熱した景気の沈静化に中国政府が舵を切る可能性が高いことから軟調推移を予想。

ただし、この冬にかけては発電燃料の不足を背景とする電力供給不足リスクが顕在化しており、強制的に生産が停止される金属が増えることから供給面で価格はサポートされるため下落余地は限定されると考える。

同時に、電力・ガスをはじめとするエネルギー供給制限は経済活動を強制的に停止させ、工場向けの金属需要を減少させる可能性もあるため、発電燃料の不足は短期的には供給制限で価格を支えるが、工場稼働停止の場合、即時に需要が減少するため短期的には下落要因と整理するのが妥当か(価格への影響は通常、需要面の影響の方が供給面よりも大きい)。

しかし、米上院でインフラ投資法案が可決したこと、民心の安定のために中国政府も一定の支援策を実施する可能性があることから、2022年以降は再び上昇に転じると見る。

また、長期的にはインドの人口ボーナス期入り、まだ脱炭素の流れ、省エネの流れに変わりがないため、供給面・需要面の制限から価格が上昇するという見通しを変更する必要はないと考えている。

【LME金属需給見通し】

(2021年)

銅 生産 24,947千トン 需要 26,790千トン 需給 ▲842千トン

亜鉛 生産 14,045千トン 需要 14,069千トン 需給 ▲24千トン

鉛 生産 12,381千トン 需要 12,168千トン 需給 +213千トン

アルミ 生産 67,716千トン 需要 66,444千トン 需給 +1,272千トン

ニッケル 生産 2,573千トン 需要 2,612千トン 需給 ▲40千トン

錫 生産 429千トン 需要 431千トン 需給 +28千トン

【中国重要統計の評価】

9月の中国製造業PMIは49.6(前月50.1)と市場予想の50.0を下回り、閾値である50を下回り、製造業の減速感が鮮明となった。しかし同時に発表された財新製造業PMIは50.0(市場予想49.5、前月49.2)と回復しており、ややまちまちの内容となっている。

製造業PMIの規模別の景況感を見ると中堅・中小企業の減速が鮮明だが、財新製造業PMIは中堅企業並びに輸出企業が主体であるため、直近の貿易統計で輸出がやや回復したことが影響した可能性はある。

しかし総じて減速していることは間違いがなさそうで、工業金属需要減速、並びに価格の下落要因となり得る。

内訳を見ると生産鈍化(50.9→49.5)、新規受注(49.6→49.3)、輸出新規受注(46.7→46.2)、受注残(45.9→45.6)と需要の鈍化が顕著である。

在庫水準は低いが増加しており、完成品在庫は47.7→47.2、原材料在庫は47.7→48.2、サプライヤー納期はほぼ変わらない(48.0→48.1)。

さらに細かく見ると、購買量は減少(50.3→49.7)、購入価格は上昇(61.3→63.5)、販売価格も上昇(53.4→56.4)している。

工業金属価格に対する説明力が高い新規受注在庫レシオは、完成品が1.045(前月1.040)と上昇、原材料が1.023(1.040)となった。

生産指数が低下していることと合わせて考えると、1.発電燃料・電気の不足で稼働が低下、2.原材料は積み上がるが製品は出荷される、3.価格転嫁も進んでいるが輸入価格の高騰は続き、レーショニングが起きている、4.総じて原材料需給は緩和し、完成品需給はタイトな状態、と整理できる。

これまで工業金属価格の上昇を牽引してきたのは中国の住宅セクターであるが、中国の建設業PMIは57.5(前月60.5)と減速した。中国政府による不動産セクター沈静化の動きが影響しているとみられる。

中国恒大集団の債務問題はその氷山の一角だろう。問題の顕在化はこれからではないだろうか。

8月の中国の貿易統計を見ると、ベンチマークである精錬銅の輸入は前年比▲41.1%の39万4,017トン(前月▲44.3%の42万4,280トン)と過去5年平均を下回り続けており、減速感が鮮明となっている。

8月の銅精鉱の輸入は前年比+18.6%の188万6,000トン(前月+5.5%の189万トン)と高い水準を維持している。TCの上昇もあって製錬需要が増加したと考えられる。

8月の銅スクラップの輸入は+60.2%の12万9,802トン(前月+98.9%の14万9,369トン)。

ただし全体としては輸入に下押し圧力が掛っている印象は否めず、しばらくは調整圧力が強まる展開が予想される。

工業金属のフロー需要に影響する工業生産は、1-8月期累計で前年比+13.1%(1-7月期+14.4%)と伸びが鈍化、単月でも 前年比+5.3%(前月+6.4%)と鈍化が鮮明になっている。

ストック需要の指標である固定資産投資も年初来累計で+8.9%(+10.3%)と明確に減速。公的セクターの伸び鈍化は所与としても、よりボリュームの大きな民間部門が前年比+11.5%(+13.4%)と伸びが減速していることは、中国政府によるバブル抑制行動が影響しているとみられる。

中国政府が最も懸念している不動産開発投資はまだ前年比+10.9%(1-7月期+12.7%の8兆4,895億元)と高い伸びを維持しているがそれでも減速基調にあり、新築住宅販売の前年比上昇も+0.16%(前月+0.30%)と伸びが鈍化している。

いずれも「伸び」が鈍化しているのみであり、中国の経済活動が回復していることは間違いがない。しかし、需要の伸びが想定を下回る場合、多くの場合供給過剰を誘発して価格の下押し要因となる。

【政策動向・脱炭素】

政策動向・脱炭素の流れは中長期的な材料。米バイデン政権は8年間で1兆2,000億ドルのインフラ投資計画実施計画。

道路・橋梁・主要プロジェクトに1,090億ドル、電力インフラに730億ドル、旅客・貨物鉄道に660億ドル、ブロードバンド・インターネットサービスに650億ドル、公共交通機関に490億ドル、空港に250億ドルを投じる。

さらには2022年度予算も戦後最大となる歳出を6兆ドルと、以上と戦後最大の水準とする方針。

これらの需要は景気に関係なく発生する需要であるため、需要の見通しは底堅く、価格の調整があっても下値余地は限定される可能性が高い。

これまで中国が鉱物セクターの需要動向に関して主役であり、今後も非鉄金属価格の動向は中国動向が左右するが、「新規の需要」については欧米動向が重要になる可能性は意識しておきたいところ。

この場合、米国の景気回復=ドル高・金属価格上昇、という構図も考えられる。

米国・中国・インドがどのような動きをするかに環境政策は左右されるが、ここまでの各国の動きを見ていると当面は環境向けに使用される金属の需要増加は「今後10年・20年の大きなテーマ」となる可能性が高い。

軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル、銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルト、リチウムなど。

2020年の中国の新エネルギー車の販売は前年比+7.5%の137万台(前年124万台)となった。全体の自動車販売が2,523万台なのでシェアは5.4%(4.9%)と上昇している。それでも電気自動車が非鉄金属市場の重要なテーマになるには、あと数年は要する見込み。

【見通しの固有リスク/個別金属の特殊要因】

・中国不動産大手恒大集団の破綻懸念が中国の住宅セクターに広がり、中国の不動産バブルがはじける場合(価格下落要因)。

・ロジスティクスに障害が残る中、非鉄金属の偏在が現物プレミアムを押し上げるリスク(北米で顕在化)。

・猛暑や渇水による燃料価格上昇で、1.電力供給不足による稼働停止・供給減少、2.発燃料価格の上昇を通じて生産コストが上昇する、場合(価格上昇リスク)。

・米国経済が正常化する中でドル高が進行し、投機買いが膨らんでいる非鉄金属市場で投機の手仕舞い売り圧力が高まる場合(下落リスク)。

・米中間選挙に向けて、米民主党が追加でインフラ投資(2兆ドルのクリーンインフラ投資など)を議会の採決を得て実行に移す場合(上昇リスク)。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・チリやペルーで広がる左派勢力伸長に伴う大衆迎合的な政策が可決し、鉱山生産に過剰なロイヤルティが適用される場合(供給減少ないしは生産コスト上昇で価格の上昇要因)。

チリで議論されている銅のロイヤルティ増税案の詳細は以下の通り。

年内実施予定の選挙結果では課税強化で生産コスト上昇、または減産となる可能性も。

3%の新ロイヤルティに加え、銅価格に連動して税額が賦課される仕組み。

2ドル~2.5ドル/ポンド(4,406~5,508ドル/トン):15%2.5ドル~3(5,508~6,609):35%3ドル~3.5(6,609~7,711):50%3.5ドル~4(7,710~8,813):60%4ドル~4.5(8,813~9,914):70%

年間販売量が5万トン未満の小規模生産者は品位95%の粗銅の場合▲5%の軽減税率、アノードの場合(99.4~99.6%)が適用される。

2023年までは現行の営業利益率によって5~14%の鉱業ロイヤルティが適用されるが、2024年以降は新税制を適用。

・インドネシアが再び低品位ニッケル鉱石の輸出を制限する場合(ニッケル価格の上昇要因)。

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

また、環境に配慮したメタル使用の義務化などが欧州で進む場合などのコストアップ(グリーン・メタルの義務化によるコスト増加)。

中国の環境規制強化に伴う供給の減少。エネルギー排出量の多い新疆ウイグル自治区でのアルミ生産は減産の影響は既に材料視されている。

【投機筋のポジション動向】

・LME投機筋買い越し金額 前週比▲5.4%の294億ドル(前週 311億ドル)・LME投機筋買い越し数量 前週比▲1.4%の6,319.7千トン(前週 6,410.1千トン)

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は中国政府の発電燃料供給不足と環境改善目的の鉄鋼製品生産減少、中国不動産セクターの先行き不安が鉄鋼向け需要を減じることから、水準を切下げる展開を予想。

直近の工業生産、固定資産投資、不動産投資、工業セクター利益とも前年比ベースの減速が顕著であり、中国政府の想定通り中国経済は過熱が沈静化の方向に向かっている。

ただし、同時に中国政府は金融緩和を行っていること、米欧中のインフラ投資による建材向け需要増加観測を背景に下落したとしても下値余地は限定されるのではないか。米国では鉄鋼製品価格上昇が継続している。

なお、鉄鉱石先物の期先の価格が限界生産コストの目安として意識されるが、80ドル程度で安定しており、やはり中長期的にはこの水準に価格が回帰すると考えている。

【中国の政策動向】

中国共産党は2021年から始まった新しい5ヵ年計画で鉄鋼生産量の削減の必要性を表明している。今のところ昨年の生産量を超えないようにする、というのが中国政府の目標。

最大生産都市である唐山市は、2021年20日~12月31日まで、大気汚染基準に違反し、データを改ざんした4社は7月~12月末まで▲30%減産、その他の16社は12月末まで▲30%の減産を新たに実施することを義務づけられている。

これにより、唐山市の粗鋼生産は前年比▲2,223万トンの1億2,177万トン、鉄鉱石需要は▲3,500万トン減少するとみられている。

別の話だが、半年後、北京オリンピック中に粗鋼生産が停止させられる可能性は高い。

粗鋼生産が減少すれば、鉄鉱石の在庫水準の指標である在庫日数も、分母が小さくなるため上昇が予想され、鉄鉱石価格の下落要因となる。これは原料炭も同様。

【中国重要統計の評価】

9月の中国鉄鋼業PMIは総合指数は45.0(前月41.8)と回復した。これは新規受注(31.6→39.0)、輸出向け新規受注(31.8→39.5)と回復したことによるものだが10月の大型連休や8月の洪水の影響もあってその反動の増加と考える方が適切だろう。

新規受注の回復を受けて新規受注・完成品レシオが1.12(0.94)となり、新規受注原材料レシオも1.00(0.89)の上昇となった。しかし完成品の方がレシオの上昇が顕著である。

このことは、生産抑制に伴い鉄鋼製品需給はタイトな状態が続く一方、鉄鋼原料需給は完成品ほどではないがやはりタイトであり、鉄鋼原料輸入が継続する可能性が高いことを示唆している。

特に、環境保護や生産制限によって国内供給が厳しく、海外からの輸入(豪州)ができなくなり、モンゴルからの供給もコロナの影響で制限されている原料炭価格はさらに高値を維持することになろう。

これまで工業金属価格の上昇を牽引してきたのは中国の住宅セクターであるが、中国の建設業PMIは57.5(前月60.5)と減速した。中国政府による不動産セクター沈静化の動きが影響しているとみられる。

中国恒大集団の債務問題はその氷山の一角だろう。問題の顕在化はこれからではないだろうか。

工業金属のフロー需要に影響する工業生産は、1-8月期累計で前年比+13.1%(1-7月期+14.4%)と伸びが鈍化、単月でも 前年比+5.3%(前月+6.4%)と鈍化が鮮明になっている。

ストック需要の指標である固定資産投資も年初来累計で+8.9%(+10.3%)と明確に減速。公的セクターの伸び鈍化は所与としても、よりボリュームの大きな民間部門が前年比+11.5%(+13.4%)と伸びが減速していることは、中国政府によるバブル抑制行動が影響しているとみられる。

中国政府が最も懸念している不動産開発投資はまだ前年比+10.9%(1-7月期+12.7%の8兆4,895億元)と高い伸びを維持しているがそれでも減速基調にあり、新築住宅販売の前年比上昇も+0.16%(前月+0.30%)と伸びが鈍化している。

いずれも「伸び」が鈍化しているのみであり、中国の経済活動が回復していることは間違いがない。しかし、需要の伸びが想定を下回る場合、多くの場合供給過剰を誘発して価格の下押し要因となる。

【中国鉄鋼製品輸出入・在庫動向】

8月の中国の鉄鋼製品の輸入は前年比▲52.5%の106万3,000トン(前月▲59.8%の105万トン)と低迷し、過去5年平均を下回った状態が続いている。

8月の中国粗鋼生産は前年比▲12.2%の8,324万トン(前月▲7.0%の8,679万トン、前々月+2.5%の9,388万トン、前々々月+7.8%の9,945万トン)と減速が鮮明になった。前年比での伸びが鈍化。生産調整の影響が出ている。

一方、8月の鉄鋼製品の輸出は前年比+37.3%の505万3,000トン(前月+35.6%の567万トン)と前月から前年比の伸びを拡大した。ただし、過去5年平均を下回る水準に減少しており、やはり国内供給を優先させていることが窺える。

なお、中国の鉄鋼製品需要は旺盛とみられるが、在庫水準は前週比▲68万6,000トンの1,444万2,000トン(過去5年平均 1,133万7,000トン)と例年を上回り水準は高い。

【中国鉄鉱石輸出入・在庫動向】

原料である鉄鉱石の7月の輸入は前年比▲21.4%の8,851万トン(前月▲12.1%の8,942万トン)と減速した。中国政府の鉄鋼ミル稼働制限の動きが輸入を鈍化させたとみられる。

また中国の鉄鉱石需要は鈍化している可能性がある。

なお、中国の最大の輸入相手である豪州では鉱山の人繰りが付かず生産が停滞しているとの指摘もあるが、直近5月の輸出統計では明確な減速は確認されていない。

鉄鉱石港湾在庫は前週比+350万トンの1億3,350万トン(過去5年平均1億2,646万トン)、在庫日数は29.6日(過去5年平均 28.6日)と数量ベース・日数ベースでも過去5年平均を上回り急速に需給が緩和していることが確認されている。

在庫日数は粗鋼生産の水準の高さに依拠するため、中国政府の鉄鋼生産抑制方針を受けて在庫日数の上昇傾向は続き、価格を下押しすると予想される。

【中国原料炭輸出入・在庫動向】

原料炭は中国の生産活動回復が継続しているが、前年比の伸び鈍化が明確になってきたため(中国政府の方針通り)、価格は下落余地を探る動きになると考える。

また、中国政府は原料炭を含む石炭の国内生産を増加させる方針であることも、海上輸送原料炭価格を下押ししよう。

とは言え、環境規制強化の流れで世界的に原料炭供給を増加させられる地域が限定されることから、下落余地も同様に限定される都見るのが妥当だ。

8月の中国の原料炭輸入は前年比▲34.7%の468万2,831トン(前月▲48.8%の377万1,291トン)と回復しているが、過去5年レンジを下回った状態が続いている。豪州からの輸入停止と、モンゴルからの輸入停滞(コロナの影響)、国内の鉄鋼生産削減政策が影響しているとみられる。

中国の港湾在庫の水準は鉄鋼の最大生産省である河北省の主要港である、京唐港の港湾在庫は前週比▲13万トンの100万トンと過去5年平均の124万1,000トンを下回っている。

在庫日数は4.1日と、過去5年の平均である5.2日を下回り、タイトな状態。中国政府の方針を受けた粗鋼生産の減少の可能性は高いものの、在庫水準の異常な低さが価格を押し上げよう。

【見通しの固有リスク】

・中国の不動産セクター減速が、建材需要を減少させる可能性(鉄鋼製品価格の下落を通じて鉄鋼原料価格の下落要因)。

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合(価格上昇要因)。

・コロナウイルスの感染拡大長期化による、鉱山生産の減少リスク(価格上昇要因)。

---≪貴金属≫---

【貴金属価格見通し】

【金】

金はしばらく上昇圧力が強まる展開が予想される。米雇用統計がやや弱気な内容だったことでテーパリングは早期に行われるものの、ぺースが緩慢で利上げはまだ先と強調されたことで、一旦調整的に長期金利の下押し圧力が強まるため。

ただしテーパリングが進捗する中では(というよりは、テーパリング宣言からテーパリング実施まで、その影響を織り込む中では)長期金利に上昇圧力が掛り、中期的に下落に転じる見通しに変化はない。

なお、過去5年平均を基準にすると名目金利1bpに対する金価格の感応度は±3.0ドル弱であり、米10年金利が現在の水準から30bp上昇すれば▲90ドルの下落圧力となる(60bpで▲180ドル)。

現在の金の実質金利で説明可能な価格(金基準価格)は1,630ドル(前日比+10ドル)、そこからの乖離(リスク・プレミアム)は131ドル(▲6ドル)。

リスク・プレミアムは、過去3ヵ月平均で130ドル、6ヵ月で170ドル、1年で190ドル、5年で175ドルとなっている。

なお、金価格を実質金利要因と為替要因に分類した場合、為替要因はリスク・プレミアムのところに内包されると整理している(為替は名目金利の影響も受けるので、純粋に為替の要因のみ切り出すのが困難であることから)。

※毎日回帰分析をアップデートし、リスク・プレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない場合があります。

【銀】

銀価格は金価格との比較感で売買されるが、金銀レシオは現在、78.13倍。過去1年を基準にすると72倍、5年では80倍、2000年以降では66倍程度が妥当。

今後、さらに金銀レシオが低下するには、工業需要の増加が必須。今後、IT化の進捗でエレクトロニクス向けの需要が増加することが必要。太陽光パネルの増設は脱炭素の行きすぎヘの反発や、米国が太陽光パネルの主要生産国である中国からの調達を手控えると考えられ、影響は限定と考える。

なお、銀価格=金価格÷金銀レシオ であり、金銀レシオが低下することで金価格が変動した時の弾性値が上昇(ボラティリティは上昇し、足元金の2倍に上昇)する点は留意。

(例)金が2,000ドル、銀が20ドルのとき 金銀レシオが100倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1セント変化 金の変化率は±0.05%、銀は±0.05%

 金銀レシオが1倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1ドル変化 金の上昇率は±0.05%、銀は±5%

【PGM】

プラチナ価格は銀価格との連動性が高い。これは供給過剰で投機的な取引の影響が強まっていることによる。プラチナの需給バランスはWPICデータを元にすると今年も除く投機で供給過剰であり、投機動向が価格を左右しやすい。

パラジウムは半導体供給低迷が自動車生産に影響を与える状況が来春ぐらいまでは続く可能性があるため、当面低水準での推移。しかし自動車販売が回復すれば再び高値圏へ。

8月の米自動車販売は年率1,218万台(市場予想1,300万台、前月1,306万台)と減速。目先はパラジウム価格の下落要因となりやすい。

中国の自動車販売は中国自動車工業協会の集計で以下の通りであり、明らかに伸びが減速している。半導体供給不足に加え国内景気の伸び減速が影響。

8月 前年比▲17.4%の179万8,841台7月 ▲11.8%の186万3,550台。6月 ▲12.4%の201万5,309台5月 ▲3.0%の212万7,000台4月 +8.8%の225万台3月 +76.5%の252万5,000台2月 +371%の146万台1月 +30%の250万台

調査会社のオートフォーキャスト・ソリューションズによれば半導体不足による供給減少の累積は7月16日時点で167万8,000台となっており、2019年1-7月期の966万9,484台から▲17.4%減少している。

この回復がある、ないしは供給側の混乱(南アフリカ)による生産減少がなければ、PGM価格は低水準で推移しよう。

【見通しの固有リスク】

・アフガニスタン情勢がかなり混迷の度合いを深めており、周辺地域への影響(南欧など)が拡大し、軍事的な行動に発展、足下のリスク・プレミアムが低いことからリスク回避の見直し買いが入る場合(貴金属セクター全体の上昇要因)。

・主要生産国の南アフリカの電力供給不安や、コロナウイルスの影響拡大で供給が滞る場合(PGMの価格上昇要因)。

・コロナからの回復は各国まだらであり、先行する米国が金融正常化に動いた場合、新興国から資金が流出して信用リスクが高まる場合(安全資産価格の上昇要因)。

・米中の対立激化。バイデン政権は対中強硬姿勢を明確にしており、対立がさらに激化する場合(安全資産価格の上昇要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加(実際に破綻が意識されるのは2030年以降か)。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

環境重視型社会へのシフトはパラジウム需要を増加させるが、さらに加速して「水素社会」まで到達すると、燃料電池車需要が増加して構造的にプラチナ価格の上昇要因となる可能性。

・コロナウイルスの感染拡大による、最大生産国の1つである南アフリカの鉱山稼働が電力供給問題もあって不安定であることによる供給懸念。

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが293,814枚(前週比 ▲2,856枚)、ショートが125,415枚(+16,392枚)、ネットロングは168,399枚(▲19,248枚)、銀が64,490枚(▲2,218枚)、ショートが47,785枚(▲3,288枚)、ネットロングは16,705枚(+1,070枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが31,908枚(前週比 ▲1,322枚)ショートが26,255枚(▲5,757枚)、ネットロングは5,653枚(+4,435枚)

パラジウムが2,558枚(▲40枚)、ショートが5,808枚(+497枚)ネットロングは▲3,250枚(▲537枚)

---≪農産品≫---

【穀物価格見通し】

シカゴ穀物価格は堅調な推移になると考える。冬場のラニーニャ現象の発生(北半球の天候相場は終了も、南半球の天候相場入り)が懸念されていることや、その他の商品価格が上昇する中で割安感がまだある穀物セクターが物色される可能性が高まっているため。

8月の中国の大豆輸入は前年比▲1.2%の948万8,000トン(前月▲14.0%の867万トン)と回復し、過去5年水準を上回った。依然として中国の大豆在庫の水準は低いため、相応の輸入需要があると見られる。

Locust WatchではFAOの予想通り、降雨がなかったため群生相の発生は極めて抑制されている。Locust Watchでも今のところ差し迫った危機の発生リスクは指摘されていない。

しかし、ラニーニャ現象発生に伴うサイクロン発生リスクも低くないため、再び越冬できるバッタの数が増加する可能性も有り得るため、引き続き注意が必要だ。
http://www.fao.org/ag/locusts/common/ecg/75/en/210923update.jpg

【見通しの固有リスク】

・ラニーニャ現象発生観測による投機筋の買い圧力の強まり(価格の上昇要因)。

・環境重視型社会へのシフトにより、燃料向け穀物需要が増加する場合(価格の上昇要因)。現在はそれほどの数量でもない、バイオディーゼル向けの大豆需要増加など。

・新型コロナウイルスの影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

【米農務省需給報告データ】

・米作付け意向面積トウモロコシ 9,114万エーカー(市場予想9,313万エーカー、前年9,699万エーカー)大豆 8,760万エーカー(9,010万エーカー、8,351万エーカー)小麦 4,636万エーカー(4,495万エーカー、4,466万エーカー)綿花 1,204万エーカー(1,215万エーカー、1,370万エーカー)

・米穀物最終作付け面積 実績(前年)トウモロコシ 9,269万エーカー(9,082万エーカー)大豆 8,756万エーカー(8,383万エーカー)小麦 4,674万エーカー(4,425万エーカー)

・9月米需給報告単収見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 176.3Bu/エーカー(175.6、174.6)大豆 50.6Bu/エーカー(50.4、50.0)小麦 44.5Bu/エーカー(NA、44.5)

・9月米需給報告生産見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 149億9,600万Bu(149億137万Bu、147億5,000万Bu)大豆 43億7,400万Bu(43億6,526万Bu、43億3,900万Bu)小麦 16億9,700万Bu(NA、16億9,700万Bu)

・9月米需給報告輸出見通し(実績/前月)トウモロコシ 24億7,500万Bu(24億Bu)大豆 20億9,000万Bu(20億5,500万Bu)小麦 8億7,500Bu(8億7,500万Bu)

・9月米需給報告在庫見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 14億800万Bu(13億4,137万Bu、12億4,200万Bu)大豆 1億8,500万Bu(1億8,152万Bu、1億5,500万Bu)小麦 6億1,500万Bu(6億1,259万Bu、6億2,700万Bu)

・9月末四半期在庫 実績(前期末)トウモロコシ 12億3,600万Bu(41億1,100万Bu)大豆 2億5,600万Bu(7億6,900万Bu)小麦 17億8,000万Bu(8億4,500万Bu)

・9月CONABブラジル作付け面積(市場予想/前月)トウモロコシ 1,987万ha(NA、1,982万ha)大豆 3,853万ha(NA、3,853万ha)

・9月CONABブラジル生産量(市場予想/前月)トウモロコシ 8,575万トン(NA、8,665万トン) 単収 4,316kg/ha(NA、4,371kg/ha)大豆 1億3,591万トン(NA、1億3,598万トン) 単収 3,527kg/ha(NA、3,529kg/ha)

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが386,177枚(前週比 +17,401枚)、ショートが107,631枚(+4,356枚)ネットロングは278,546枚(+13,045枚)

大豆はロングが141,105枚(+2,238枚)、ショートが76,385枚(▲1,428枚)ネットロングは64,720枚(+3,666枚)

小麦はロングが84,860枚(▲1,798枚)、ショートが88,505枚(+3,689枚)ネットロングは▲3,645枚(▲5,487枚)

◆本日のMRA's Eye


「パラジウム価格は反発の見込み」

パラジウムは欧州のフォルクスワーゲンの排ガス規制に関する不正によるディーゼル車からガソリン車へのシフト、欧州、中国などで排ガス規制が強化される中でプラチナよりもパラジウムが排ガス触媒として選好されたこと、といった需要面の構造変化が価格を構造的に押し上げてきた。

商品価格の持続的な上昇は、需要面の構造変化が発生することが必要条件となるが、「脱炭素」の流れが強まる前から自動車セクターでの環境重視姿勢が構造的な需要の増加をもたらしていた。

この状態でコロナ・ショックが発生、この100年近く発生していなかった大規模な伝染性のウイルスの世界的な感染拡大により、ほとんどの企業やアナリストも想定していなかった「経済活動の強制停止」が発生、ほとんどの景気循環系商品の需要が激減し、パラジウム価格も暴落した。

その後、世界的な経済対策の実施による経済活動の再開、米ファイザー社のワクチン開発成功によって経済活動が徐々に回復、コロナの影響でライフスタイルが変化し、巣ごもり需要・リモート需要が増加してIT製品向けの半導体需要が増加したことも電子部品向けの需要を増加させ、価格を押し上げた。

これに鉱山閉鎖と製錬工場の稼働停止などによって供給も制限されたため一時3,000ドルを回復するに至った。

しかしその後、パラジウムの価格は急落している。

これは自動車もハイテク化が進む中で半導体は必須の部材の1つとなっているが、その半導体が巣ごもり消費需要の急増で供給が間に合わず、自動車触媒向けの需要が減少したことが背景である。

この実需の減少に投機の売りが重なったことも下げを助長した。実際、世界の自動車販売が減速を始めた今年の3月頃からその予兆は見られた。

では今後、パラジウムの価格はさらに下落するのか。恐らく半導体の供給回復がなければ答えはイエス、だろう。

しかし、コロナの影響がどのタイミングで緩和するか不透明な部分が多く見通し難いが、2022年の第2四半期(2022年4月~6月)頃には自動車向けの半導体供給も回復するとの見通しが多く、中期的には自動車販売も回復が予想される。

その点を考慮するとパラジウム価格はしばらく低迷する可能性が高いが、そのうち上昇に転じると考えるのが妥当だ。

パラジウム価格動向を占う上では需給見通しが参考になる。2021年5月のジョンソン・マッセイのパラジウム需給分析では、2021年のパラジウムの需給バランスは▲10万1,000トロイオンスの供給不足になると予想されている。

パラジウムの需給バランスの変化とパラジウム価格の間には高い相関性があるため、この関係性を用いてパラジウムの価格を算出すると2021年の平均価格は2,840ドル程度となる。

ただしこの数値は自動車販売の減速感が鮮明になる前の数値であるため、実際には半導体の供給が戻って自動車産業の活動が通常状態に回復した場合、2,840ドル程度までの上昇があると考える方が適切かもしれない。

また、直近のS&P社などの自動車販売予測を元にすると5月時点のジョンソン・マッセイの需給予想はやや強気で、自動車触媒向け需要はこの見通しよりも少なく、4万トロイオンス~11万トロオンス程度の供給過剰になると予想される。このときの価格は2,700ドル程度が目処となる。

しかし、世界的な脱炭素・環境規制強化の流れを受けて鉱産国が資源ナショナリズム的な姿勢を強めていることも事実であり、供給面に問題が生じた場合はさらに価格が上昇し、再び3,000ドルを上回る展開も想定しておく必要があろう。

当面、パラジウム価格が低迷する可能性は高いが、2022年以降の生産活動回復を見込む場合、パラジウム価格の再度の上昇に今のうちから備えておく必要があるのではないか。

◆主要ニュース


・9月日銀短観業況判断DI(3ヵ月後見通し/現状/前回)
 大企業製造業 14/18/14
 中堅企業製造業 3/6/5
 中小企業製造業 ▲4/▲3/▲7

 大企業非製造業 3/2/1
 中堅企業非製造業 ▲7/▲6/▲8
 中小企業非製造業 ▲13/▲10/▲9

 雇用人員判断DI(過剰-不足)
 大企業全産業 ▲10/▲8/▲7
 中堅企業全産業 ▲19/▲16/▲14
 中小企業全産業 ▲24/▲20/▲16

 新卒採用計画(2022年度/2021年度)
 大企業全産業 前年比▲10.0%/▲1.1%
 中堅企業 ▲10.4%/+2.6%
 中小企業 ▲1.6%/+7.3%

 需給判断DI(需要超-供給超)
 大企業製造業 ▲3/▲2/▲5、大企業製造業海外 4/7/3
 中小企業製造業 ▲16/▲17/▲21、中小企業製造業海外 ▲6/▲7/▲9

 在庫判断DI(過大-不足、現状/前回)
 大企業製商品在庫 3/6、中小企業在庫 11/10
 大企業流通在庫 0/4、中小企業流通在庫 7/8

 価格判断DI(上昇-下落)
 大企業製造業販売価格 10/10/4、大企業製造業仕入 34/37/29
 中小企業製造業販売価格 14/9/5、中小企業仕入 51/50/43

 生産・営業設備判断DI(過剰-不足)
 大企業製造業 1/1/1、中堅企業製造業 ▲1/2/2、中小企業製造業 1/3/5

 設備投資計画前年比(前年度)
 大企業製造業 +13.3%(▲8.8%)
 中堅企業製造業 +12.8%(▲12.5%)
 中小企業製造業 +6.4%(▲12.4%)

 大企業非製造業 +8.2%(▲8.1%)
 中堅企業非製造業 ▲2.8%(▲6.9%)
 中小企業非製造業 +3.8%(▲6.3%)

・9月日本製造業PMI改定 51.5(速報比+0.3、前月改定 52.7)

・9月日本消費者態度指数 37.8(前月36.7)

・9月日本自動車販売 前年比▲30.0%の205,423台(前月+4.4%の206,568台)
 乗用車▲32.7%の169,723台(+3.7%の175,530台)
 トラック▲13.1%の35,171台(+9.0%の30,460台)
 バス▲20.7%の529台(+4.7%の578台)

・8月独小売売上高 前月比 +1.1%(前月▲4.5%)、前年比+0.4%(+0.4%)

・9月独製造業PMI改定 58.4(速報比▲0.1、前月改定 62.6)

・9月ユーロ圏製造業PMI改定 58.6(速報比▲0.1、前月改定 61.4)

・9月ユーロ圏消費者物価指数 前月比+0.5%(前月+0.4%)前年比+3.4%(+3.0%)、コア指数 +1.9%(+1.6%)

・8月米個人所得 前月比 +0.2%(前月+1.1%)
 個人支出+0.8%(▲0.1%)
 実質支出+0.4%(▲0.5%)
 PCEデフレータ 前月比+0.4%(+0.4%)
 前年比+4.3%(+4.2%)
 コアデフレータ 前月比+0.3%(+0.3%)
 前年比+3.6%(+3.6%)
 貯蓄率 9.4%(10.1%)

・9月米製造業PMI改定 60.7(速報比+0.2、前月改定 61.1)

・9月米ミシガン大学消費者マインド指数改定
 72.8(速報比+1.8、前月70.3)
 現況指数 80.1(+3.0、78.5)
 先行指数 68.1(+1.0、65.1)
 1年期待インフレ率 4.6%(▲0.1%、4.6%)
 5年期待インフレ率 3.0%(+0.1%、2.9%)

・8月米建設支出 前月比 ±0.0%(前月+0.3%)

・9月米ISM製造業景況指数 61.1(前月59.9)
 仕入価格 81.2(79.4)、生産 59.4(60.0)
 新規受注 66.7(66.7)、受注残 64.8(68.2)
 入荷遅延 73.4(69.5)、在庫 55.6(54.2)
 顧客在庫 31.7(30.2)、雇用 50.2(49.0)
 輸出 53.4(56.6)、輸入 54.9(54.3)

・9月米自動車販売年率 1,218万台(前月 1,306万台)

・英フィッチ、「米財務省が債務上限問題で対応を行わなければAAA格付を引き下げる可能性がある。」

・フィラデルフィア連銀ハーカー総裁(投票権なし・タカ派)、「テーパリングは近く開始。利上げは2022年の後半か2023年の早いタイミング。」と発言を繰返す。

・FRBクラリダ副議長、FOMC声明の前日に株式ファンド購入。

・中国、台湾の防空圏に1日に38機の軍用機が侵入。

・米ブリンケン国務長官、来週、豪原潜問題を巡る関係悪化を回避するため渡仏の予定。

・ギニアでクーデターを主導したママディ・ドゥンブヤ将校が暫定大統領に。任期は不明。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】

・ベイカー・ヒューズ週間米国石油リグ稼働数428(前週比+7)
 ガスリグ 99(前週比±0)。

・BofA、「この冬、原油価格は100ドルを超え、経済危機を誘発する恐れ。」

・JPモルガン、天然ガス危機でBrent価格は年末までに84ドルまで上昇する可能性。

【メタル】

・特になし。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.ビットコイン ( その他 )/ +10.81%/ +66.00%
2.原料炭スポット ( 鉄鋼原料 )/ +7.58%/ +270.81%
3.TCM原油 ( エネルギー )/ +5.57%/ +63.89%
4.ICEアラビカ ( その他農産品 )/ +5.18%/ +59.10%
5.ニューキャッスル炭 ( エネルギー )/ +4.59%/ +183.23%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
66.NYM米天然ガス ( エネルギー )/ ▲4.23%/ +121.31%
65.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ ▲3.95%/ +327.77%
64.SGX鉄鉱石 ( 鉄鋼原料 )/ ▲3.49%/ ▲25.90%
63.SGX天然ゴム ( その他農産品 )/ ▲2.36%/ ▲20.05%
62.日経平均 ( 株式 )/ ▲2.31%/ +4.83%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :34,326.46(+482.54)
S&P500 :4,357.04(+49.50)
日経平均株価 :28,771.07(▲681.59)
ドル円 :111.05(▲0.24)
ユーロ円 :128.77(▲0.10)
米10年債 :1.46(▲0.03)
中国10年債利回り :休場( - )
日本10年債利回り :0.06(▲0.01)
独10年債利回り :▲0.22(▲0.03)
ビットコイン :48,132.9(+4696.55)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :29.25(+0.27)
エネルギー :37.77(+0.88)
ベースメタル :24.55(+0.6)
貴金属 :30.62(▲0.99)
穀物 :21.67(+0.49)
その他農畜産品 :29.87(+0.1)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :23.14(▲0.58)
Brent :20.05(▲0.21)
米天然ガス :72.90(+4.31)
米ガソリン :21.12(▲1.42)
ICEガスオイル :19.88(▲0.14)
LME銅 :20.77(+0.26)
LMEアルミニウム :25.34(▲0)
金 :15.06(+0.17)
プラチナ :32.05(▲1.11)
トウモロコシ :28.97(+0.1)
大豆 :15.06(+0.17)

【エネルギー】
WTI :75.88(+0.85)
Brent :79.28(+0.76)
Oman :77.05(+0.62)
米ガソリン :225.00(▲0.36)
米灯油 :238.27(+4.10)
ICEガスオイル :673.25(▲3.00)
米天然ガス :5.62(▲0.25)
英天然ガス :241.26(▲9.92)

【貴金属】
金 :1760.98(+4.03)
銀 :22.54(+0.37)
プラチナ :977.11(+9.68)
パラジウム :1921.82(+8.81)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :9,101(+80:12B)
亜鉛 :3,008(▲18:9C)
鉛 :2,126(+38:29B)
アルミニウム :2,881(+14:16C)
ニッケル :18,100(▲25:25B)
錫 :34,000(▲1,300:1600B)
コバルト :53,015(▲5)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :9154.00(+206.00)
亜鉛 :3002.50(▲10.00)
鉛 :2157.00(+42.00)
アルミニウム :2873.00(+14.00)
ニッケル :18040.00(+50.00)
錫 :33975.00(+595.00)
バルチック海運指数 :5,202.00(+35.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR中国、1営業日前) :115.3(▲1.32)
SGX鉄鉱石 :115.47(▲4.18)
NYMEX鉄鉱石 :115.76(▲3.89)
NYMEX豪州原料炭スワップ先物 :376(+26.50)
大連原料炭先物 :584.04(+8.22)
上海鉄筋直近限月 :休場( - )
上海鉄筋中心限月 :休場( - )
米鉄スクラップ :600(+4.00)

【農産物】
大豆 :1246.50(▲9.50)
シカゴ大豆ミール :325.00(▲1.20)
シカゴ大豆油 :58.61(▲0.18)
マレーシア パーム油 :4751.00(▲82.00)
シカゴ とうもろこし :541.50(+4.75)
シカゴ小麦 :755.25(+29.75)
シンガポールゴム :177.80(▲4.30)
上海ゴム :休場( - )
砂糖 :20.06(+0.23)
アラビカ :204.05(+10.05)
ロブスタ :2168.00(+42.00)
綿花 :106.53(▲1.27)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :92.30(+0.70)
シカゴ生牛 :120.40(▲0.18)
シカゴ飼育牛 :152.75(▲1.18)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。