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株安・ドル高で総じて軟調
  • MRA商品市場レポート

2021年8月2日 第2003号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「株安・ドル高で総じて軟調」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場はエネルギーセクターが上昇したが、その他の商品は軒並み水準を切下げる流れとなった。

そもそも7月は株価の調整に伴う水準切下げ、その後の回復に因る買い戻し、という流れだったが中国による同国企業の締め付けや、米国の中国企業向け投資停止などの施策が行われる見込みであり、其れに伴う株安・ドル高が価格を下押しした形。

テーパリングのスケジュールやコロナの感染再拡大など、先行き不透明な材料がお多いため、その他の商品と価格に対する因果関係が希薄なビットコインを初めとする仮想通貨が消去法的に物色される、という流れになっている。

当面、企業決算を受けた株価動向、其れに伴うFRBの金融緩和解除スタンスに注目が集まり、方向感が出難いが今まで楽観モードだった株式市場がやや悲観に傾いていることから、景気循環系商品には下押し圧力が掛りやすい。

しかし、同時に直ちにテーパリングが始まる訳でもなくなった(複数回の会合でテーパリングのスケジュールに関して検討)ことが、ファイナンシャルな面で価格を下支えするため結局商品価格は現状水準でのもみ合いになりそうだ。

【本日の見通し】

週明け月曜日は新しい材料探しとなるが、株式市場が不安定な推移になることから、総じて下押し圧力が掛りやすい。しかし同時に政策面でのサポートが意識されるため、価格は高値を維持する商品が多いと考える。

発表が予定されている統計で注目は米ISM製造業指数。

市場予想は60.9(前月60.6)と改善見込みであるが、先行指標であるシカゴPMIは73.4(市場予想64.2、66.1)と大きく上振れており、ISM製造業指数も市場予想・前月から大きく上回る可能性がある。

この場合は景気循環系商品が再度物色されることになろう。

【セクター別動向と見通し】

◆エネルギー

原油価格は上昇した。株価調整とドル高進行がファイナンシャルな面で価格の重石となったが、米個人支出が市場予想を上回る回復となったことで、コロナのデルタ株の影響はあるものの需要は堅調、との見方が強まったことが背景。

なお、イスラエル関連のタンカーが攻撃されたとの報道があったが影響は限定された。

豪州石炭スワップ先物価格は上昇して150ドルオーバーを維持。猛暑や渇水の影響で夏場に向けた調達圧力は続いているとみられる。バルチック海運指数は上昇。

JKM先物市場は小幅に下落して14ドル台まで水準を切下げた。欧州天然ガス価格、米天然ガス価格が共に買われすぎで下落したことが影響したとみられる。

ただし、欧州の主要生産者のメンテナンスは継続する予定で、ロシアのウクライナ経由欧州向けガス輸出も増加にならない見通しであることから、需給ファンダメンタルズはタイトと考えられる。

スポットLNGタンカーレートはスエズ以東がやや低下、以西は横這い。ただし上記の通り欧州のパイプライン経由のガス供給が再び減少する可能性が高く、LNG価格は上昇圧力が掛るとみる。

2021年7月19日~25日のLNG取引は前週比▲4%の630万トンで、うち、28%がスポット調達であり先週の24%から上昇した。

取引量の減少は中国と日本であり、ブラジルやアルゼンチン向け輸出が増加した。中国の輸入の減少は台風の影響が大きい。

週明け月曜日の原油価格は水準を切下げる展開が予想される。OPECプラスの増産が始まること、株式市場の調整でドル高が進行する可能性が高いことが背景。

ただし、米ISM製造業指数は改善が見込まれており、米国の製品出荷が堅調と見られることから下値余地も限定。

石炭・LNGは原油に比べて投機の影響を受け難く、需給ファンダメンタルズが重用になるが、欧州の主要ガス田のメンテナンス、北海の嵐の影響、ロシアからの供給制限の影響で再びLNGカーゴ市場がタイト化するとみられ、高値での推移を継続の公算。

ただし週末明らかになったように、上値もかなり重くなってきておりさらに上昇するには材料不足の感。

◆非鉄金属

LME非鉄金属価格は高安まちまちだが総じて軟調との印象。中国発の株安の影響が広がっており、株安・ドル高進行が価格を下押しした。

ただし、主要供給地区である中国南部の電力不足の影響で供給に懸念があるアルミなどは高い水準を維持した。

週明け月曜日は週末に発表された製造業PMIが50.4(市場予想50.8、前月50.9)と市場予想・前月とも減速していること、中国政府が国内企業の締め付けを強めていることによる中国景気の減速懸念がマインドを悪化させ、価格は軟調な推移になると予想する。

しかし、供給面の問題も噴出しているため、下値余地も限定されるだろう。

◆鉄鋼・鉄鋼原料

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは下落、大連先物は上昇、豪州原料炭スワップ先物は小幅に上昇、大連原料炭先物は上昇、上海鉄鋼製品先物は上昇した。

中国政府の鉄鋼製品生産抑制が8月から始まることから鉄鋼向け需要減速が意識されたこと、同時に鉄鋼製品生産減少が鉄鋼製品価格を押し上げていることが鉄鉱石価格を高止まりさせた。

週明け月曜日は中国の鉄鋼生産抑制が始まる方針であり、鉄鋼原料価格は水準を切下げると予想。

◆貴金属

昨日の貴金属セクターは総じて軟調な推移となった。債券利回り低下に伴う実質金利の低下が基準価格を押し上げたものの、ドル高が進行したことで金がリスク・プレミアムを引き下げながら水準を切下げたため、全体的に下押し圧力が強まったと考えられる。

週明け月曜日は、株価が中国発の材料でやや不安定になっており、下落していることに伴うドル高進行が貴金属価格の重石になるため、軟調な推移を予想。

ただし、金のリスク・プレミアムは100ドル割れと大幅に低下しているため、いわゆる「割安感からの買い」が入り、底堅い推移になると考える。

◆穀物

シカゴ穀物市場は下落した。米中西部での降雨予報が材料になった、とされるがそれ以上にドル高が進行したことが材料になったと考えられる。

月曜日は米ISM製造業指数の改善や、米国の中国企業への投資禁止措置発行で株式市場が軟調に推移し、ドル高進行となって価格を下押しする見込み。

※中長期見通しは個別セクターのコラムをご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【昨日のトピックス】

昨日発表された米消費者物価指数はコア指数が前年比+3.5%(前月+3.4%)と伸びが加速した。市場予想は下回ったが、伸び率だけの議論であれば1991年12月以来の伸びとなる。

今回の物価上昇は、物流に制限がある中で経済対策を実施し、物流も含めて需要>供給の状態になっている商品が多いことに起因する。

ただしこの数ヵ月のISM指数やPMIを見ると仕入遅延指数が低下し、新規受注・受注残の水準も低下を始めている地区が多い。

そのためやはりこの物価上昇は一時的なものであり、早晩終了すると考えるのが妥当だろう。

しかし、物流の制限と景気刺激が物価上昇をもたらしているのであれば、仮にコロナのデルタ株の感染拡大が新興国を中心に拡大し、資源や物資の供給制限の状態が続いた場合、物価上昇が継続する可能性は有り得る。

これはデマンドプル型のインフレというよりも、コストプッシュ型のインフレでありこれを利上げなどの金融引き締めで対応することに意味があるかどうかは議論が分かれるところであるが、物価上昇率がそのまま高止まれば、その議論が出てくる可能性はあるだろう。

ただ、昨日に関してはこの統計の市場の反応はそれほど顕著なものではなかった。

【マクロ見通しのリスクシナリオ】

・来年の中間選挙を控えて、バイデン大統領が国内の支持を得られない場合。財政面や企業負担増の理由から造反が発生し、議会を通過しない場合は景気のリスクに(景気減速要因)。

・米財政出動が加速、景気回復期待を受けた価格上昇が顕著となる場合。

この場合、長期金利上昇でドル高が進行しやすく価格の下落を意識しなければならない。

夏のジャクソンホールのシンポジウムでのテーパリング開始宣言が妥当だが、6月のFOMCでFRBはタカ派に転じた可能性が高く、場合によると7月FOMCで宣言される可能性も否定出来ず。

・コロナウイルスの感染再拡大(変異種に対してワクチンの効果が期待ほどではなかった場合など。既に中国製のワクチンは新興国で接種されているが、殆ど効果が出ていない)によるロックダウンが景気循環系商品の需要を減じる場合(価格下落要因)。これは既に欧州、インド、東南アジア、日本などで顕在化。

逆に想定以上にワクチン・治療薬の開発が速やかに行われた場合は需要の増加要因に。

・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。

逆に脱炭素に向けたインフラ投資の加速で資源価格が急上昇、金融緩和マネーが大量に市場に滞留する中でハイパーインフレとなるリスク。

・米中対立激化による、新冷戦構造が発現しブロック経済圏が発生して貿易活動が鈍化する場合(場合によると武力衝突も)。

「能動的に」軍事を行う方針に舵を切った中国習近平政権が、台湾統一を目指して侵略する可能性は高くなった。

・次の成長ドライバーとして期待されるインド経済が、期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。

2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2023~2024年頃。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(これは人口動態を考えると、現実のリスクとなるのは2030年以降か)。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油価格見通し】

原油価格は値を戻してきたが、OPECプラスの増産が始まる見通しであること、株価が中国政府の同国企業締め付けの影響で調整していることから調整的に下押し圧力が強まると考える。

また、正常化が前提であるものの、ここに来てコロナの変異株の感染が拡大、ワクチン接種が世界で最も進んでいるイスラエルでもワクチンの有効性が低下していることは、需要の下押し要因に。

ただ、ジャクソンホールシンポジウムあたりからの下落を想定していたが、7月FOMCのコメントでは、今後数回の会合でテーパリングのスケジュールを決定すると見られるため、直ちにファイナンシャルな面で価格が下がりにくい環境になってきたと考える。

年末、Brentは60ドル台半ば、WTIは60ドル台前半への調整をメインシナリオとしているが、5ドル程度上振れる可能性が出てきたと考えている。

【見通しの固有リスク】

・ワクチン接種が進捗せず、同時に変異株が猛威を振るいワクチンが効かない場合(需要減少で下落リスク)。

・米国経済が正常化する中でテーパリングなどの金融緩和解除が加速、急速なドル高を通じて投機的な売り圧力が高まる場合(価格の下落要因)。

・OPECプラスの増産タイミングの見誤りによる、供給不足。またはイランを巡り武力衝突や制裁解除が遅れた場合(価格上昇要因)。

価格が上昇する中でOPEC諸国の減産維持統制が効かなくなり、増産競争に舵が切られる場合(下落要因)。

米国の橋渡しでイランとサウジを初めとするスンニ派諸国が和解、中東の緊張が緩和するシナリオも排除せず(下落要因)。

・脱炭素の進捗、生活様式の変化による構造的な需要減少が加速した場合

1.中東産油国の財政悪化によって情勢不安が顕在化、供給途絶リスクが高まる場合

2.中東以外の産油国の生産者の破綻

3.上流投資部門投資が減速し、インドなどの新興国需要顕在化時に供給が間に合わない場合

4.価格面、数量面で予算を確保できない産油国が、OSPを大幅に引き上げる場合(第3次オイルショック)

などが価格上昇要因に。

・脱炭素の過剰な進捗による供給懸念(価格上昇要因)。

かなり過剰なペースで脱炭素が進められており、裁判所を使ってまでシェルに脱炭素推進を促し、ヘッジファンドが株主としてエクソンに対して脱炭素を促し、自身のポートフォリオの価値を上げる目的で取締役を送り込むといったことも常態化しはじめており、「比較的タイムリーな増産」が可能だった米国の生産が増えない可能性は極めて高い。

この場合、「脱炭素移行期間には十分な燃料供給が出来ないリスク」が高まり、来年以降の価格上昇局面で原油価格が100ドルを超えるリスク(ただしまだリスクシナリオの位置づけ)。

なお、脱炭素が完了しても100%原油が不要になることはなく、OPECの価格支配力が増すため、この場合でも価格は上昇へ。

【石炭価格見通し】

海上輸送石炭価格は高値圏を維持すると予想される。最大消費国である中国の電力需要が拡大していること、北半球の気温上昇、渇水による水力発電能力の低下で火力発電向けの燃料需要が増加、価格の上昇トレンドが継続していること、昨年からの猛暑・厳冬で在庫水準が低いためスポット調達圧力が強い状態が続くと考えられるため。

また、欧州排出枠価格が供給減少により2021年の需給がタイトとみられることもファイナンシャルな面で価格を押し上げると考える(取引量は少ないが、ETFなども存在)。

中国政府は国内炭の供給能力増強にシフトしているが、経済活動の回復に供給が十分ではない。夏場の調達に目処が立てば調整すると見られるが、足下、中国の6大電力会社の石炭在庫水準は過去5年レンジの最低水準と低く、高値圏維持を予想。

ただし、3月の豪雨の影響で供給が減少していた豪州の輸出増加や、環境規制強化の中で石炭需要は減速するとみられること、脱炭素の流れと逆行するが中国政府は海外との対立によって石炭調達に支障が出ることを回避するため、国内生産を増加させていることから海上輸送炭価格の上値は重くなると予想される。

6月の石炭輸入は前年比+12.3%の2,839万2,000トン(前月▲4.6%の2,104万トン)と回復した。猛暑・渇水による発電燃料としての石炭需要増加と、中国の経済活動回復に伴う電力需要の増加が続いているためと考えられる。

中国6大電力会社の石炭在庫の水準は低く、まだ、季節的な石炭輸入需要の増加は続くと考える。石炭価格の下落は夏場の在庫調達が一巡する必要があるため、7月頃までは高止まりする可能性が高い。

【見通しの固有リスク】

・世界的な環境重視型世界へのシフトを受けた、石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。短期的には価格の上昇要因。

・中国と豪州の対立、中国国内の生産能力増強に伴う、海上輸送炭需要の減少。

・北半球の夏場の猛暑(/冷夏)・冬場の厳冬(暖冬)。

・エルニーニョ現象発生が予想される夏場に、北半球が猛暑となるリスク(気象庁の分析では冷夏になりやすい。日本は西日本が猛暑になる可能性)

【天然ガス・LNG】

天然ガス価格は中国の経済活動が活発である一方、猛暑や水不足による水力発電からの電力供給低下で、火力発電向けの燃料需要が旺盛なこと、同時に海上輸送石炭価格も高い水準で推移していること、欧州のメンテナンスや悪天候、ロシアからの供給減少で欧州の域内需給がタイト化していること、などを背景にスポット玉の調達圧力が強まることから、高値を維持する見込み。

6月の中国のLNG輸入は前年比+15.9%の672万トン(前月+34.4%の703万トン)と過去5年レンジを大きく上回り、構造的な需要増加が続いている。

なお、6月の天然ガス輸入は前年比+26.2%の1,021万トン(前月+31.6%の1,032万トン)と減少し、過去5年レンジの最高水準程度まで水準を切下げたが、構造的な需要の増加が変化した、というような内容ではなかった。

長期契約のLNGに関しては、原油リンクとなるため上昇見通しだが、価格反映までに3ヵ月程度の時間差があるため(消費者への影響はさらに3ヵ月後)、現時点ではまだ上昇していないと考えられる。次の懸念は夏のピーク時の電力・ガス価格への影響だろう。

【見通しの固有リスク】

・米国がノルドストリーム2の建設を容認した場合、欧州ガス需給の緩和(ロシア増産で下落要因)。

・ウクライナやベラルーシといったロシアと欧州の緩衝帯との政治的な軋轢によって、結果的にロシア産ガスの供給がロシア側の都合でコントロールされた場合(実際にロシアが行動を起こした場合、多くのケースで価格の上昇要因)。

・産油国の減産継続による随伴ガス供給の減少懸念。

・北半球の夏場の猛暑(/冷夏)・冬場の厳冬(暖冬)。

・エルニーニョ現象発生が予想される夏場にかけて、北半球が猛暑となるリスク(気象庁の分析では冷夏になりやすい。日本は西日本が猛暑になる可能性)

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが601,411枚(前週比 +8,365枚)ショートが151,647枚(+7,341枚)ネットロングは449,764枚(+1,024枚)

Brentはロングが391,275枚(前週比+34,239枚)ショートが79,616枚(▲15,579枚)ネットロングは311,659枚(+49,818枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は、最大消費国である中国の需要の伸びがやや鈍化しているとみられること、中国政府による企業の締め付けがマインドを悪化させていることから軟調な推移になると考える。

しかし同時にコロナの影響や渇水に伴うエネルギー不足で供給面の問題も噴出していること、企業のデフォルトが増えたことで中国人民銀行が金融緩和(預金準備率の引き下げ)を実施していることから、下落余地も限定されると考えている。

7月の中国製造業PMIは50.4(前月50.9)と市場予想の50.8、前月共に下回った。まだ閾値の50は上回っているが中国の経済活動の過剰な回復は沈静化の方向に向かっていると考えられる。

内訳を見ると生産が鈍化(51.9→51.0)、新規受注(51.5→50.9)、輸出新規受注(48.1→47.7)、受注残(46.6→46.1)と需要が全て鈍化している。

その一方でまだ在庫水準は低いが、完成品在庫は46.7→47.6と増加に転じている。

工業金属価格に対する説明力が高い新規受注在庫レシオは、完成品が1.069(前月1.093)、原材料が1.067(1.073)と両指数とも小幅に低下しており国内の需給が緩和していることをうかがわせる。

これまで非鉄金属価格の上昇を牽引してきたのは中国の住宅セクターであるが、7月の中国の建設業PMIは57.5(60.1)と高い水準ではあるが前月から減速しており、鉄鋼製品価格の上昇や中国政府による住宅バブル抑制方針が影響しているとみられる。

6月の中国の貿易統計を見ると、ベンチマークである精錬銅の輸入は前年比▲34.7%の42万8,000トン(前月+2.3%の44万6,000トン)と過去5年平均を下回り、減速感が鮮明となっている。

6月の銅精鉱の輸入は+5.1%の167万1,000トン(前月+15.1%の194万5,000トン)と高い水準を維持してはいるが、急速に絶対水準を引き下げている。中国政府によるバブル抑制方針を背景に輸入が減少しているとみられるが、足下、企業支援目的の預金準備率の引き下げが実施されており、再び住宅セクターの回復で輸入は増加するのではないだろうか。

6月の銅スクラップの輸入は+118.8%の15万448トン(前月+103.1%の16万7,767トン)。

中期的には米国や欧州の財政出動、脱炭素の動きを受けた動向に左右されることになる。

米バイデン政権は上院の超党派で、8年間で1兆2,000億ドルのインフラ投資計画で合意した、と発表した。今回の合意では、道路・橋梁・主要プロジェクトに1,090億ドル、電力インフラに730億ドル、旅客・貨物鉄道に660億ドル、ブロードバンド・インターネットサービスに650億ドル、公共交通機関に490億ドル、空港に250億ドルを投じる。

さらには2022年度予算も戦後最大となる歳出を6兆ドルと、以上と戦後最大の水準とする方針。

これらの需要は景気に関係なく発生する需要であるため、需要の見通しは底堅く、価格の調整があっても下値余地は限定される可能性が高い。

これまで中国が鉱物セクターの需要動向に関して主役であり、今後も非鉄金属価格の動向は中国動向が左右するが、「新規の需要」については欧米動向が重要になる可能性は意識しておきたいところ。

この場合、米国の景気回復=ドル高・金属価格上昇、という構図も考えられる。

こうした政策期待や、インドなどの新興諸国の需要増加を受けた構造的な需要増加を受けて、中・長期的に価格は下支えされ、堅調な推移になると考える。

米国・中国・インドがどのような動きをするかに環境政策は左右されるが、ここまでの各国の動きを見ていると当面は環境向けに使用される金属の需要増加は「今後10年・20年の大きなテーマ」となる可能性が高いと言える。

具体例を挙げると、軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル、銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルト、リチウムなどが挙げられる。

2020年の中国の新エネルギー車の販売は前年比+7.5%の137万台(前年124万台)となった。全体の自動車販売が2,523万台なのでシェアは5.4%(4.9%)と上昇している。それでも電気自動車が非鉄金属市場の重要なテーマになるには、あと数年は要するだろう。

【見通しの固有リスク/個別金属の特殊要因】

・猛暑や渇水による燃料価格上昇で、1.電力供給不足による稼働停止・供給減少、2.発燃料価格の上昇を通じて生産コストが上昇する、場合(価格上昇リスク)。

・米国経済が正常化する中でドル高が進行し、投機買いが膨らんでいる非鉄金属市場で投機の手仕舞い売り圧力が高まる場合(下落リスク)。

・米中間選挙に向けて、米民主党が追加でインフラ投資(2兆ドルのクリーンインフラ投資など)を議会の採決を得て実行に移す場合(上昇リスク)。

・主に銅山を中心とする労使交渉長期化による供給減少が、2021年も継続する場合(上昇リスク)。

・中国の環境規制強化に伴う供給の減少。エネルギー排出量の多い新疆ウイグル自治区でのアルミ生産は減産の影響は既に材料視されている(供給減少でアルミ価格の上昇要因に)。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・チリやペルーで広がる左派勢力伸長に伴う大衆迎合的な政策が可決し、鉱山生産に過剰なロイヤルティが適用される場合(供給減少ないしは生産コスト上昇で価格の上昇要因)。

チリで議論されている銅のロイヤルティ増税案の詳細は以下の通り。

年内実施予定の選挙結果では課税強化で生産コスト上昇、または減産となる可能性も。

3%の新ロイヤルティに加え、銅価格に連動して税額が賦課される仕組み。

2ドル~2.5ドル/ポンド(4,406~5,508ドル/トン):15%2.5ドル~3(5,508~6,609):35%3ドル~3.5(6,609~7,711):50%3.5ドル~4(7,710~8,813):60%4ドル~4.5(8,813~9,914):70%

年間販売量が5万トン未満の小規模生産者は品位95%の粗銅の場合▲5%の軽減税率、アノードの場合(99.4~99.6%)が適用される。

2023年までは現行の営業利益率によって5~14%の鉱業ロイヤルティが適用されるが、2024年以降は新税制を適用。

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

また、環境に配慮したメタル使用の義務化などが欧州で進む場合などのコストアップ(グリーン・メタルの義務化によるコスト増加)。

【投機筋のポジション動向】

・LME投機筋買い越し金額 前週比+4.1%の275億ドル(前週 264億ドル)・LME投機筋買い越し数量 前週比+1.7%の5,971.0千トン(前週 5,873.4千トン)

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は、米欧中のインフラ投資による建材向け需要増加観測を背景に、高値を維持すると予想する。

また、資源価格の上昇を受けた国内インフレ回避の目的でロシアが8月1日から鉄鋼製品の輸出に関税を課す方針を示しており、このことも需給をタイト化させて価格を押し上げよう。

ただしこれまで鉄鋼原料価格を牽引してきた中国の経済活動がやや鈍化を始めており、徐々に水準を切下げる展開が予想される。こうした景気の減速を回避するための預金準備率引き下げもあり、下落幅も限定されるとみる。

中国共産党は2021年から始まった新しい5ヵ年計画で鉄鋼生産量の削減の必要性を表明している。

最大生産都市である唐山市は、2021年20日~12月31日まで、大気汚染基準に違反し、データを改ざんした4社は3月20日~6月末まで▲50%、7月~12月末まで▲30%減産、その他の16社は12月末まで▲30%の減産を新たに実施することを義務づけられた。

これにより、唐山市の粗鋼生産は前年比▲2,223万トンの1億2,177万トン、鉄鉱石需要は▲3,500万トン減少するとみられている。

粗鋼生産が減少すれば、鉄鉱石の在庫水準の指標である在庫日数も、分母が小さくなるため上昇が予想され、鉄鉱石価格の下落要因となる。これは原料炭も同様。

6月の中国鉄鋼業PMIを見ると、総合指数は45.1(前月46.1)と悪化した。生産指数が低下(51.4→50.7)したが、それ以上に新規受注(39.4→34.8)、輸出向け新規受注(43.9→42.3)と低下した影響が大きかった。

景気過熱を沈静化する方針を中国政府も明確にしており、鉄鋼生産に関しては環境規制強化の流れ(というよりは中国の国民の住環境改善要請に応えたものと考える方が適切)を受けたものであり、新規受注の減速は政策的な支援の減少や輸出に関しては5月1日から鉄鋼製品の増値税還付が撤廃されたことが影響していると考えられる。

需要の減少で目安となる新規受注・在庫レシオは、新規受注完成品レシオが0.74(前月0.91)と低下、新規受注原材料レシオは0.93(0.995)と低下基調を維持しており、原材料・鉄鋼製品とも価格の下押し圧力が強まる展開が予想される。

鉄鋼原料価格の上昇を牽引してきた住宅セクターに関しては、7月の中国の建設業PMIは57.5(60.1)と高い水準ではあるが前月から減速しており、鉄鋼製品価格の上昇や中国政府による住宅バブル抑制方針が影響しているとみられる。

6月の中国の鉄鋼製品の輸入は前年比▲33.4%の125万2,000トン(前月▲5.8%の120万6,000トン)と減速し、過去5年平均程度まで水準を切下げた。国内の鉄鋼製品需給緩和を目的とした輸出リベートの撤廃で国内需給が以前よりも緩和しているためとみられる。

6月の中国粗鋼生産は前年比+2.5%の9,388万トン(前月+7.8%の9,945万トン)と前年比での伸びが鈍化。生産調整の影響がでている。しかし、過去5年レンジは上回っており生産水準は高い。

一方、6月の鉄鋼製品の輸出は前年比+74.5%の645万8,000トン(前月+19.8%の527万1,000トン)と大幅に回復している。しかし過去5年平均を回復するには至っていない。やはり輸出リベートの撤廃の影響が残存しているためと考えられる。

なお、中国の鉄鋼製品需要は旺盛とみられるが、在庫水準は前週比▲5万5,000トンの1,595万4,000トン(過去5年平均 1,116万1,000トン)と、例年と異なり減少している。生産調整の影響が顕在化した可能性がある。

原料である鉄鉱石の6月の輸入は前年比▲12.1%の8,942万トン(前月+3.2%の8,980万トン)と減速した。中国政府の鉄鋼ミル稼働制限の動きが輸入を鈍化させたとみられる。また中国の鉄鉱石需要は鈍化している可能性が出てきた。

なお、中国の最大の輸入相手である豪州では鉱山の人繰りが付かず生産が停滞しているとの指摘もあるが、直近5月の輸出統計では明確な減速は確認されていない。

鉄鉱石港湾在庫は前週比▲125万トンの1億2,825万トン(過去5年平均1億2,757万6,000トン)、在庫日数は25.2日(過去5年平均 29.3日)と例年と比較して在庫日数の水準は低い。

ただし在庫日数の低さは粗鋼生産の水準の高さに依拠するため、中国政府が住宅セクターの沈静化をどの程度本気で進めるかに左右されることになる。

原料炭は中国の生産活動回復が継続していること、国内の鉄鋼需要が公共投資で底堅いことから、同様に底堅い推移になると考える。

しかし、中国政府は原料炭を含む石炭の国内生産を増加させる方針であることから、海上輸送原料炭価格の上値も重い。

6月の中国の原料炭輸入は前年比▲33.9%の413万4,210トン(前月▲28.7%の341万1,925トン)と減少幅を拡大している。例年よりも輸入の水準は低い。

中国の港湾在庫の水準は鉄鋼の最大生産省である河北省の主要港である、京唐港の港湾在庫は前週比▲16万トンの152万トンと過去5年平均の146万8,000万トンを上回っている。

在庫日数は4.6日(▲0.7日)と、過去5年の平均である6.3日を大きく下回り再びタイト化している。

【見通しの固有リスク】

・鉄鉱石価格の上昇がレーショニング(価格上昇による需要減少)を引き起こす場合(価格下落要因)。

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合(価格上昇要因)。

・コロナウイルスの感染拡大長期化による、鉱山生産の減少リスク(価格上昇要因)。

・中国とインドの国境紛争の激化で、インドが中国に対して鉄鉱石輸出を制限する可能性(中国のFOBインデックスは上昇、その他の地域の鉄鉱石価格は低下)。

---≪貴金属≫---

【貴金属価格見通し】

<<金>>

金は高値圏での推移を継続すると考える。FRBがテーパリングを開始する可能性は高いものの、市場が懸念していたペースにはならないとの見方が長期金利を押し下げており(欧州債の利回りが低く、相対的に割安な米国債が物色されている流れも否定できず)、実質金利低下が価格を下支えするため。

とは言え、米景気の相対的な回復期待の強さからドル高・長期期金利(緩やかに)上昇圧力が強まる展開は続くとみられるため、中期的な見通しは弱気。

現在の金の実質金利で説明可能な価格(金基準価格)は1,715ドルと前日から+4ドル上昇、そこからの乖離(リスク・プレミアム)は99ドルと昨日から▲21ドル低下した。歴史的にみても非常に低い水準。

リスク・プレミアムは、過去3ヵ月平均で210ドル、6ヵ月で200ドル、1年で220ドル、5年で170ドルとなっている(数字は10ドル未満を四捨六入)。

なお、金価格を実質金利要因と為替要因に分類した場合、為替要因はリスク・プレミアムのところに内包されると整理している(為替は名目金利の影響も受けるので、純粋に為替の要因のみ切り出すのが困難であることから)。

※毎日回帰分析をアップデートし、リスク・プレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない場合があります。

<<銀>>

銀価格は金価格との比較感で売買されるが、金銀レシオは現在、71.1倍。過去1年を基準にすると72倍、5年では80倍、2000年以降では65倍程度が妥当。

今後、さらに金銀レシオが低下するには、実際に太陽光パネルの設置が米国で進捗するなどの新規材料が必要になると見られるが、米政府は新疆ウイグル自治区問題を背景に輸入を制限する見通しであり一筋縄では行かないと考える。

なお、銀価格=金価格÷金銀レシオ であり、金銀レシオが低下することで金価格が変動した時の弾性値が上昇(ボラティリティは上昇し、足元金の2倍に上昇)する点は留意。

(例)金が2,000ドル、銀が20ドルのとき 金銀レシオが100倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1セント変化 金の変化率は±0.05%、銀は±0.05%

 金銀レシオが1倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1ドル変化 金の上昇率は±0.05%、銀は±5%

<<PGM>>

プラチナ価格は銀価格との連動性が高い。これは供給過剰で投機的な取引の影響が強まっていることによる。プラチナの需給バランスはWPICデータを元にすると今年も除く投機で供給過剰であり、投機動向が価格を左右しやすい。

パラジウムは経済活動正常化期待による金価格調整→経済正常化による需要増加を受けて高値を維持すると考える。

6月の米自動車販売は年率1,536万台(前月1,699万台、市場予想1,650万台)と減速。目先は価格の下落要因となりやすい。

中国の6月の自動車販売は中国自動車工業協会の集計で前年比▲12.4%の201万5,309台(前月▲3.0%の212万7,000台、4月+8.8%の225万台、3月+76.5%の252万5,000台、2月+371%の146万台、1月+30%の250万台、12月+6.4%の283万台、11月+12.7%の276万9,666台、10月+12.6%の257万3,000台、9月+13.0%の256万5,201台)と前年比マイナス幅を拡大しており、明らかに販売に減速が見られる。

半導体不足が自動車生産に影響を及ぼしているとみられる。調査会社のオートフォーキャスト・ソリューションズによれば半導体不足による供給減少の累積は7月16日時点で167万8,000台となっており、2019年1-7月期の966万9,484台から▲17.4%減少している。

この回復がある、ないしは供給側の混乱(南アフリカ)による生産減少がなければ、PGM価格は低水準で推移しよう。

【見通しの固有リスク】

・個人投資家のETFを通じた買いが、経済合理性を無視した水準まで貴金属価格を押し上げるリスク。

・主要生産国の南アフリカの電力供給不安や、コロナウイルスの影響拡大で供給が滞る場合(PGMの価格上昇要因)。

・コロナからの回復は各国まだらであり、先行する米国が金融正常化に動いた場合、新興国から資金が流出して信用リスクが高まる場合(安全資産価格の上昇要因)。

・米中の対立激化。バイデン政権は対中強硬姿勢を明確にしており、対立がさらに激化する場合(安全資産価格の上昇要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加(実際に破綻が意識されるのは2030年以降か)。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

環境重視型社会へのシフトはパラジウム需要を増加させるが、さらに加速して「水素社会」まで到達すると、燃料電池車需要が増加して構造的にプラチナ価格の上昇要因となる可能性。

・コロナウイルスの感染拡大による、最大生産国の1つである南アフリカの鉱山稼働が電力供給問題もあって不安定であることによる供給懸念。

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが273,688枚(前週比 ▲3,624枚)、ショートが74,300枚(▲7,040枚)、ネットロングは199,388枚(+3,416枚)、銀が66,733枚(▲3,553枚)、ショートが35,516枚(+2,705枚)、ネットロングは31,217枚(▲6,258枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが30,519枚(前週比 +1,990枚)ショートが18,724枚(+2,308枚)、ネットロングは11,795枚(▲318枚)

パラジウムが4,919枚(▲69枚)、ショートが3,744枚(+39枚)ネットロングは1,175枚(▲108枚)

---≪農産品≫---

【穀物価格見通し】

シカゴ穀物価格は高値圏で推移すると考える。既にラニーニャ現象の終了を織り込んでトウモロコシ・大豆の水準は大きく低下しているが、200日移動平均線でサポートされており、北米の気象状況の悪化が供給懸念を強めるため。

春小麦は乾燥気候の影響もあって作柄が悪く、特に投機の買い材料となっている。

6月の中国の大豆輸入は前年比▲3.9%の1,072万2,000トン(前月+2.5%の961万トン)と前年からは低下したが、過去5年の最高水準での推移。猛暑の影響もあり油脂向けの需要や、豚向けの飼料需要は旺盛と見られる。

Locust WatchではFAOの予想通り、降雨がなかったため群生相の発生は極めて抑制されている。Locust Watchでも今のところ差し迫った危機の発生リスクは指摘されていない。
http://www.fao.org/ag/locusts/common/ecg/75/en/210722timeline.jpg

【見通しの固有リスク】

・エルニーニョ現象発生による生産条件改善を受けた増産観測(価格の下落要因)。

・環境重視型社会へのシフトにより、燃料向け穀物需要が増加する場合(価格の上昇要因)。現在はそれほどの数量でもない、バイオディーゼル向けの大豆需要増加など。

・新型コロナウイルスの影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

【米農務省需給報告データ】

・米作付け意向面積トウモロコシ 9,114万エーカー(市場予想9,313万エーカー、前年9,699万エーカー)大豆 8,760万エーカー(9,010万エーカー、8,351万エーカー)小麦 4,636万エーカー(4,495万エーカー、4,466万エーカー)綿花 1,204万エーカー(1,215万エーカー、1,370万エーカー)

・米穀物最終作付け面積 実績(前年)トウモロコシ 9,269万エーカー(9,082万エーカー)大豆 8,756万エーカー(8,383万エーカー)小麦 4,674万エーカー(4,425万エーカー)

・7月米需給報告単収見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 179.5Bu/エーカー(178.74、179.5)大豆 50.8Bu/エーカー(50.64、50.8)小麦 45.8Bu/エーカー(NA、50.7)

・7月米需給報告生産見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 151億6,500万Bu(151億748万Bu、149億9,000万Bu)大豆 44億500万Bu(43億9,211万Bu、44億500万Bu)小麦 17億4,600万Bu(18億4,343万Bu、18億9,800万Bu)

・7月米需給報告輸出見通し(実績/前月)トウモロコシ 25億Bu(24億5,000万Bu)大豆 20億7,500万Bu(20億7,500万Bu)小麦 8億7,500Bu(9億Bu)

・7月米需給報告在庫見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 14億3,200万Bu(13億6,114万Bu、13億5,700万Bu)大豆 1億5,500万Bu(1億4,675万Bu、1億5,500万Bu)小麦 6億6,500万Bu(7億2,356万Bu、7億7,000万Bu)

・6月末四半期在庫 実績(前期末)トウモロコシ 41億1,200万Bu(77億1004万Bu)大豆 7億6,700万Bu(15億6,400万Bu)小麦 8億4,400万Bu(13億1,400万Bu)

・6月CONABブラジル作付け面積(市場予想/前月)トウモロコシ 1,984万ha(1,975万ha、1,987万ha)大豆 3,815万ha(3,871万ha、3,850万ha)

・6月CONABブラジル生産量(市場予想/前月)トウモロコシ 9,639万トン(9,398万トン、1億641万トン) 単収 4,858kg/ha(4,762Kg/ha、5,355kg/ha)大豆 1億3,586万トン(1億3,682万トン、1億3,541万トン) 単収 3,528kg/ha(3,538Kg/ha、3,517kg/ha)

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが393,463枚(前週比 ▲16,541枚)、ショートが86,786枚(▲11,689枚)ネットロングは306,677枚(▲4,852枚)

大豆はロングが188,545枚(▲10,778枚)、ショートが62,884枚(+1,240枚)ネットロングは125,661枚(▲12,018枚)

小麦はロングが106,358枚(▲2,961枚)、ショートが76,170枚(▲6,380枚)ネットロングは30,188枚(+3,419枚)

◆本日のMRA's Eye


「2021年下期鉛価格見通し」

2021年の鉛需給は年初の厳冬を受けたバッテリー向けの交換需要の増加と、コロナの影響からの回復による自動車向け需要の回復、コロナの影響による南米、欧州の鉱山生産減少を受けてタイト化、前年の+16万3,000トンの供給過剰から、+7万6,000トンの供給過剰と供給過剰幅を縮小する見込み。

ただし、今年は猛暑の影響もあり需給見通しはさらにタイト化する可能性はある。

2022年については世界的な半導体の供給能力不足の影響もあって自動車生産が制限される可能性があり、需要は前年比+1.7%の1,223万2,000トンと増加ペースが減速、供給は中国の生産が▲2.2%の496万6,000トンとなるため、世界全体でも+1.6%の1,229万2,000トンに止まる公算。

結果+6万トンの供給過剰となる見込みで、需給バランスはほぼ前年と同水準。

鉛価格はロックダウン解除に伴う経済活動の再開、ペントアップ需要の盛り上がりで自動車販売が回復したこと、昨年の猛暑、年初の厳冬などで交換需要が増加、ベンチマークである銅価格の上昇もあって同様に水準を切り上げた。

とはいえ自動車販売は半導体供給の制限によって増加ペースが鈍化することが見込まれる。

ところがここに来て夏場が猛暑の可能性が高い。半導体不足は自動車生産の重石となり、新車販売が減少する。その結果、「猛暑の影響でバッテリーの交換が必要な中古車の比率が高止まり」することになる。

因みに直近1年(今年4月まで)の米国の交換用バッテリーの出荷シェアは87.6%と圧倒的に高い。LMEの指定倉庫在庫は過去5年の最低水準で推移しており、需給はタイト化していると見られる。

しばらくは天候要因を材料に、価格は投機的な観点からも高止まりする可能性が高い。

また、コロナの影響で南米の生産が低迷、2019年水準を回復していないこともあり、TCは低下、鉱石市場の需給はタイトな状態が続いている。

コロナの影響により世界各地で左派勢力が伸張しており、主要生産地域である南米ではチリやペルーでの鉱山ロイヤルティフィの引き上げが検討されている。年内実施予定の選挙結果次第ではこの資源ナショナリズム的な政策が可決される可能性があり、その場合は供給減少ないしは供給減少がなかったとしてもコストアップで価格を押し上げることとなろう。

以上から2021年の鉛平均価格見通しは2,135ドル/トンと4月見通しから+187ドル/トン引き上げた。2022年は需給バランスの大幅な変化がない中で、2021年比で価格水準は大きく変わらず2,075ドル/トン(+138ドル/トン)と従来見通しから引き上げた。

上記見通しのリスクは、今年は夏場に向けてエルニーニョ現象、冬場にかけてはラニーニャ現象の発生が見込まれており、「猛暑・厳冬」となる可能性がある。その場合、バッテリーの交換需要の増加で価格が上昇する可能性(夏場は既に顕在化)。

中長期的には、環境重視型社会へのシフトによって太陽光パネルなどの整備が進んだ場合、依然、環境重視型社会への移行過程でバックアップ電源として鉛バッテリーの重要性が見直された場合。

また、現在南米で行われている鉱山生産に関するロイヤルティフィの大幅な引き上げが実際におきた場合。コスト上昇かあるいはコスト割れの状態となり、生産が見送られることで供給減少に繋がる可能性。

下落リスクは冷夏・暖冬、コロナの変異種の拡大によるロックダウンの再開、米テーパリングのペースが想定を上回る場合など。

◆主要ニュース


・6月日本失業率 2.9%(前月3.0%)、有効求人倍率 1.13倍(1.09倍)

・6月日本鉱工業生産速報  前月比+6.2%(前月改定▲6.5%)前年比+22.6%(+21.1%)
 出荷+4.3%(▲5.5%)、+18.7%(+21.5%)
 在庫+2.3%(▲1.1%)、▲4.8%(▲8.7%)

・6月日本小売売上高 前月比+3.1%(前月▲0.3%)前年比+0.1%(+8.3%)

・6月日本百貨店スーパー販売額 前年比▲2.2%(前月+5.7%)

・6月日本住宅着工戸数 前年比+7.3%の86.6万戸(前月+9.9%の87.5万戸)

・Q221独実質GDP速報 前期比+1.5%(前期改定▲2.1%)
 労働日調整済前年比+9.2%(▲3.1%)
 季節調整前 +9.6%(▲3.4%)

・6月ユーロ圏失業率 7.7%(前月 8.0%)

・7月ユーロ圏消費者物価指数 前月比▲0.1%(前月+0.3%)前年比+2.2%(+1.9%)、コア指数 +0.7%(+0.9%)

・Q221ユーロ圏実質GDP 
 前期比+2.0%(前期▲0.3%)
 前年比+13.7%(▲1.3%)

・6月インド財政収支 ▲1兆5,107億1,000万ルピーの赤字
(前月▲4,447億5,000万ルピーの赤字)

・6月米個人所得 前月比 +0.1%(前月▲2.2%)
 個人支出+1.0%(▲0.1%)
 実質支出+0.5%(▲0.6%)
 PCEデフレータ 前月比+0.5%(+0.5%)
 前年比+4.0%(+4.0%)
 コアデフレータ 前月比+0.4%(+0.5%)
 前年比+3.5%(+3.4%)
 貯蓄率 9.4%(10.3%)

・7月シカゴ購買部協会指数 73.4(前月 66.1)

・7月米ミシガン大学消費者マインド指数改定
 81.2(速報比+0.4、前月 85.5)
 現況指数 84.5(±0.0、88.6)
 先行指数 79.0(+0.6、83.5)
 1年期待インフレ率 4.7%(▲0.1%、4.2%)
 5年期待インフレ率 2.8%(▲0.1%、2.8%)

・7月中国製造業PMI 50.4(前月50.9)
 生産 51.0(51.9)、新規受注 50.9(51.5)
 輸出新規受注 47.7(48.1)、受注残 46.1(46.6)
 サプライヤー納期 48.9(47.9)、輸入 49.4(49.7)
 完成品在庫 47.6(47.1)、原材料在庫 47.7(48.0)

・7月中国非製造業PMI 53.3(前月53.5)
 新規受注 49.7(49.6)、新規輸出 49.7(49.6)
 受注残 43.8(44.7)、サプライヤー納期 51.0(50.8)
 在庫 47.0(47.2)、雇用 48.0(48.9)

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】

・ベイカー・ヒューズ週間米国石油リグ稼働数385(前週比▲2)
 ガスリグ 103(前週比▲1)。

・オマーン沖でイスラエルと関係があるとされるオイルタンカーが攻撃され、2人が死亡。

・7月OPEC産油量2,672万バレル(前月比+61万バレル)、サウジアラビアの増産が顕著(+46万バレル)

【メタル】

・粗鋼生産世界4位沙鋼集団、温室効果ガス排出を抑制する政府の取り組みに従い、生産と海外向け輸出を抑制する方針。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.ビットコイン ( その他 )/ +2.44%/ +40.33%
2.SHFアルミ ( ベースメタル )/ +1.66%/ +26.75%
3.SHF 銀 ( 貴金属 )/ +1.60%/ ▲4.16%
4.SHF錫 ( ベースメタル )/ +1.16%/ +56.34%
5.LME亜鉛 3M ( ベースメタル )/ +1.12%/ +10.28%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
66.ICEアラビカ ( その他農産品 )/ ▲8.63%/ +40.00%
65.LIFFEロブスタ ( その他農産品 )/ ▲5.25%/ +29.99%
64.NYM米天然ガス ( エネルギー )/ ▲3.57%/ +54.16%
63.ブラジル・ボベスパ ( 株式 )/ ▲3.08%/ +2.34%
62.ICEココア ( その他農産品 )/ ▲2.83%/ ▲9.10%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :34,935.47(▲149.06)
S&P500 :4,395.26(▲23.89)
日経平均株価 :27,283.59(▲498.83)
ドル円 :109.72(+0.24)
ユーロ円 :130.24(+0.10)
米10年債 :1.22(▲0.05)
中国10年債利回り :2.85(▲0.04)
日本10年債利回り :0.02(+0.00)
独10年債利回り :▲0.46(▲0.01)
ビットコイン :40,689.28(+967.20)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :29.52(+0.43)
エネルギー :30.93(▲0.15)
ベースメタル :17.52(+0.23)
貴金属 :20.27(▲0.17)
穀物 :37.97(▲0.12)
その他農畜産品 :32.97(+1.21)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :39.78(▲0.91)
Brent :37.66(▲0.01)
米天然ガス :32.73(+0.17)
米ガソリン :36.22(▲0.09)
ICEガスオイル :33.35(▲0.06)
LME銅 :16.73(▲0.07)
LMEアルミニウム :22.08(+1.25)
金 :29.46(+0.37)
プラチナ :26.24(+0.09)
トウモロコシ :77.13(▲0.1)
大豆 :29.46(+0.37)

【エネルギー】
WTI :73.95(+0.33)
Brent :76.33(+0.28)
Oman :74.03(+0.09)
米ガソリン :236.59(+1.45)
米灯油 :219.94(+1.00)
ICEガスオイル :613.25(+4.00)
米天然ガス :3.91(▲0.15)
英天然ガス :103.75(▲0.85)

【貴金属】
金 :1814.19(▲13.98)
銀 :25.49(▲0.02)
プラチナ :1051.55(▲12.12)
パラジウム :2662.94(+14.11)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :9,775(▲30:27.5C)
亜鉛 :3,034(+40:5.5B)
鉛 :2,385(+25:39B)
アルミニウム :2,619(+74:5B)
ニッケル :19,885(+121:7B)
錫 :34,750(▲83:1215B)
コバルト :52,426(±0.0)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :9714.00(▲126.00)
亜鉛 :3031.50(+33.50)
鉛 :2379.50(+13.50)
アルミニウム :2597.50(+1.00)
ニッケル :19570.00(▲330.00)
錫 :34680.00(▲120.00)
バルチック海運指数 :3,214.00(+60.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR中国、1営業日前) :202.63(▲1.37)
SGX鉄鉱石 :211.99(▲1.16)
NYMEX鉄鉱石 :211.99(▲1.53)
NYMEX豪州原料炭スワップ先物 :208.95(+0.07)
大連原料炭先物 :328.49(+2.84)
上海鉄筋直近限月 :5,705(+48)
上海鉄筋中心限月 :5,732(+51)
米鉄スクラップ :648(▲7.00)

【農産物】
大豆 :1414.75(▲19.50)
シカゴ大豆ミール :352.60(▲3.90)
シカゴ大豆油 :65.82(▲1.11)
マレーシア パーム油 :4656.00(▲17.00)
シカゴ とうもろこし :547.00(▲11.00)
シカゴ小麦 :703.75(▲1.50)
シンガポールゴム :191.80(+2.00)
上海ゴム :13275.00(+145.00)
砂糖 :17.91(▲0.39)
アラビカ :179.55(▲16.95)
ロブスタ :1786.00(▲99.00)
綿花 :89.83(▲0.93)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :106.20(▲0.10)
シカゴ生牛 :122.08(▲0.43)
シカゴ飼育牛 :158.18(▲0.33)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。