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強めの中国統計で上昇もドル高が重石
  • MRA商品市場レポート

2021年7月14日 第1994号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「強めの中国統計で上昇もドル高が重石」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場はその他農産品など景気非循環系商品価格が下落したが、その他の景気循環系商品は軒並み水準を切り上げる展開となった。

中国の貿易統計が悪い内容ではなかったことで、経済正常化に伴う交易量の増加傾向に変化はないと見られたことが材料となった。米CPIが市場予想を上回る上昇となりドル高が進行したことが重石となったが、景気循環系商品に関してはそれほど強い材料とはならなかったようだ。

昨日に関しては、景気回復に伴うポジティブなドル高、と判断された可能性がある。

ただし、米FRBがタカ派に転じた6月のFOMC以降の価格調整を見るに、実際にテーパリングが強く意識されるような展開となれば再び価格の下押し圧力が強まる可能性は高いと考えている。

【本日の見通し】

本日はドル高の進行が重石となり、調整圧力が強まる展開が予想される。ただし経済活動自体は回復過程にあるため、下落余地も限定されるだろう。

一方、農産品などの景気に循環し難い商品の価格はドル高進行で下押し圧力が強まる展開が予想される。

なお、本日はついこの前までテーパリングの開始が宣言される可能性があるとされる、FOMCの前哨戦となるベージュブック、パウエル議長の下院金融委員会での議会証言に注目が集まる。

市場はテーパリングのペース加速を想定していないが、昨日のCPI上昇を受けて発言に振れがあるかどうかに注目したい。

【セクター別動向と見通し】

◆エネルギー

原油価格は上昇した。ドル高の進行はあったものの、OPECプラスの交渉が膠着しておりIEAもOPECプラスの増産がなければ需給は大幅に逼迫するとの見通しを示したことが材料となった。

豪州石炭スワップ先物価格は小幅に上昇し145ドルに迫る展開。猛暑や渇水の影響で夏場に向けた調達圧力は続いているとみられる。バルチック海運指数は横這い。

JKM先物市場は小幅に下落して13ドルを割り込んだ。石炭価格の上昇や、夏場の渇水や猛暑に備えた調達圧力は続いている。

LNGのタンカーレートはスエズ以西が軟調。ターミナルのメンテナンスなどで調達需要が一時的に低下しているためとみられる。以東は横這い。

欧州天然ガスは上昇。欧州が水曜日(本日)ディーゼルまたはガソリンで走行する全ての車を2035年から禁止する方針を発表するのでは、との見通しから排出権価格が上昇したことが影響した。米天然ガスは天候条件の緩和を受けてやや軟調に。

6月28日~7月4日の世界のLNG取引は700万トンと先週から+30万トン増加した。そのうち31%(前週26%)がスポットで取引された。

輸入の増加は韓国が長期契約分での購入を増加させたこと、日本・台湾がスポット調達を増加させたことが影響したようだ。

スポットLNGタンカーレートはスエズ東西ともやや軟化の兆し。目先の調達に目処が立った可能性がある。

本日はOPECプラスの増産動向への懸念が広がる中、米テーパリングペースの再度の加速観測を受けたドル高がファイナンシャルな面で価格を下押しするため、結局高値でのもみ合いを予想。

石炭・LNGは原油に比べて投機の影響を受け難いが、需給ファンダメンタルズがタイト(ロシアの供給減少やメンテナンスによる生産減少、米国や中国南部の渇水による水力発電能力の低下)な状態が続いており、原油価格も高値圏でもみ合いが予想される中、同様に高値圏を維持すると予想。

◆非鉄金属

LME非鉄金属価格は高安まちまちとなった。中国の貿易統計で輸入が減少したベンチマークの銅は下落したが、LMEのオフワラントレポート(ワラントが発行されていない在庫のレポート)で減少が確認された金属は上昇した。

5月末のデータであるが直近のレポートではアルミ在庫が▲13%の869,875トンとなったことなどが材料となった。錫の在庫は8倍に増加したと報じられているが、昨日の価格は渇水などを材料に上昇している。

本日は米国の物価上昇率の再度の加速を受けたドル高進行が重石となる可能性があり、価格には下押し圧力がかかる展開が予想されるが、中国の緩和政策を受けて底堅い推移になると考える。

◆鉄鋼・鉄鋼原料

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは上昇、大連先物は小幅上昇、豪州原料炭スワップ先物は上昇、大連原料炭先物は下落、上海鉄鋼製品先物は直近限月が上昇、中心限月価格が下落した。

鉄鉱石の輸入は減少しているが、「供給制限」の可能性や、中国人民銀行の預金準備率の引き下げによる景気刺激観測が引き続き材料となっている。

市場は中国政府が景気刺激終了よりも、むしろバブル崩壊(企業破綻も増えている)を回避するための金融緩和を材料とし始めており、高値を維持する見込み。

◆貴金属

昨日の貴金属セクターは総じて軟調な推移となった。長期金利上昇に伴う実質金利の上昇が材料となった。

銀・PGMは株価の下落もあって金以上に下落している。また、PGMは最大生産国である南アフリカで、ラマポーザ大統領がズマ元大統領を逮捕拘束したことで暴動が発生、ランド下落が下押し圧力となっている。

本日は米消費者物価の上昇を背景としたドル高進行が引き続き重石となる目立った手がかり材料に乏しい中、テーパリングのペース加速観測が後退していることが、価格を高値圏に維持すると予想。

◆穀物

シカゴ穀物市場は上昇。中国の大豆輸入が過去5年の最高水準を維持している他、米国の作柄が悪いことが買い材料となった。小麦は200日移動平均線のレジスタンスに上昇を阻まれた。

本日の穀物価格は下落すると考える。米国のCPIの上昇を受けたドル高基調を背景に。

※中長期見通しは個別セクターのコラムをご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【昨日のトピックス】

昨日発表された中国の貿易統計は輸出が前年比+32.2%(市場予想23.0%、前月+27.9%)と市場予想を上回り、輸入に関しても+36.7%(+29.5%、+51.1%)とやはり市場予想を上回った(前月からは伸びが減速)。

輸出の増加は中国以外の国々の都市封鎖解除を受けた経済活動の正常化が影響した。日々のニュースでは中国と西側諸国との対立が毎日取り上げられているが、水面下では通常通りビジネスは継続しているとみられる。

バイデン政権は人権問題などを中心に中国を締め上げているが、「決定打」となるような制裁はまだ行っていない。当面は表面上の「経済に大きく影響を及ぼさないと期待される分野においての象徴的な制裁」を継続するが、コロナからの回復局面にある米経済の回復を腰折れさせないためにも、目立った対立は当面回避すると予想される。

ただし、輸出入の増加に「価格の上昇」が影響していることは間違いがなく、数量の伸びは順調ではあるものの非常に加速している訳ではないことは割り引いて見る必要がある。

また昨日は米消費者物価指数が発表されたが、前月比+0.9%(市場予想+0.5%、前月+0.6%)と市場予想と裏腹に消費者物価の伸びが加速、コア指数に関しても+0.9%(+0.4%、+0.7%)と伸びが予想と裏腹に加速している。

ISM製造業指数などを見ると新規受注の減速や入荷遅延指数の低下などが見られるが、依然、雇用のミスマッチやそれに伴う生産の停滞が影響しているとみられる。

この結果、米利上げ観測が再び強まり、長期金利上昇・ドル高進行・株安進行となった。市場は7月のFOMCで場合によるとテーパリングが先月されると見ていたが、「利上げを急ぐ必要はないとFRBは判断している」との見方から先送りの可能性を意識していた。しかしこの統計で見方が変わる可能性は出てくる。

8月に発表される米雇用統計の重要性がさらに増した、と考えるべきだろう。

【マクロ見通しのリスクシナリオ】

・来年の中間選挙を控えて、バイデン大統領が国内の支持を得られない場合。財政面や企業負担増の理由から造反が発生し、議会を通過しない場合は景気のリスクに(景気減速要因)。

・米財政出動が加速、景気回復期待を受けた価格上昇が顕著となる場合。

この場合、長期金利上昇でドル高が進行しやすく価格の下落を意識しなければならない。

夏のジャクソンホールのシンポジウムでのテーパリング開始宣言が妥当だが、6月のFOMCでFRBはタカ派に転じた可能性が高く、場合によると7月FOMCで宣言される可能性も否定出来ず。

・コロナウイルスの感染再拡大(変異種に対してワクチンの効果が期待ほどではなかった場合など。既に中国製のワクチンは新興国で接種されているが、殆ど効果が出ていない)によるロックダウンが景気循環系商品の需要を減じる場合(価格下落要因)。これは既に欧州、インド、東南アジア、日本などで顕在化。

逆に想定以上にワクチン・治療薬の開発が速やかに行われた場合は需要の増加要因に。

・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。

逆に脱炭素に向けたインフラ投資の加速で資源価格が急上昇、金融緩和マネーが大量に市場に滞留する中でハイパーインフレとなるリスク。

・米中対立激化による、新冷戦構造が発現しブロック経済圏が発生して貿易活動が鈍化する場合(場合によると武力衝突も)。

「能動的に」軍事を行う方針に舵を切った中国習近平政権が、台湾統一を目指して侵略する可能性は高くなった。

・次の成長ドライバーとして期待されるインド経済が、期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。

2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2023~2024年頃。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(これは人口動態を考えると、現実のリスクとなるのは2030年以降か)。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油価格見通し】

原油価格は需要回復と、OPECプラス会合が決裂したこと、イラン問題、環境保護派のパワーゲームの影響で供給側の見通しが不安定であることから価格は高値を維持すると考える。

基本的には、コロナのワクチン接種進捗により人や物の移動が増加する見通しであり、需要面は価格にプラス。この状況での供給懸念は顕著な価格の上昇要因となる。需要がない中での減産は(規模にもよるが)あくまで下支え効果しか持たない。

7月のOPECプラスは交渉決裂となったが、8月の会合までに想定されるシナリオは以下の通り。

1.サウジアラビア・ロシアの調整で妥結する(予定通り増産実施で価格下落)2.決裂したまま(価格は現在の水準を維持。増産ができないため中期的には需要回復継続で価格上昇要因に)3.増産を認めるがサウジアラビアがUAEの増産分を自主減産で吸収(1.と同じ水準に)4.UAEが増産を開始し、その他の国もそれに追随して減産が維持出来ない(大幅な下落要因)

また、イスラエルで連立政権が誕生したが、ネタニヤフ前首相よりもタカ派と言われるベネット党首が輪番制で2年間首相を務める。イランで保守強硬派の大統領が誕生したことで対立がさらに深まり、武力衝突に発展する可能性もゼロではなくなった。

米テーパリングの進捗観測は価格の下押し要因となる。過去のケースでもテーパリング開始宣言からファイナンシャルな面で売り圧力が強まり、原油価格も下落した。今のところ2023年に2回の利上げが見込まれ、場合によると2022年にも利上げの可能性がある。

また、正常化が前提であるものの、ここに来てコロナの変異株の感染が拡大、ワクチン接種が世界で最も進んでいるイスラエルでもワクチンの有効性が低下していることは、需要の下押し要因に。

【見通しの固有リスク】

・ワクチン接種の進捗が想定よりも早まり、人の移動制限が解除され需要増加に供給が間に合わず、価格が急騰するリスク(価格の上昇要因)。

同時に変異株が猛威を振るい、ワクチンが効かない場合(需要減少で下落リスク)。

・米国経済が正常化する中でテーパリングなどの金融緩和解除が加速、急速なドル高を通じて投機的な売り圧力が高まる場合(価格の下落要因)。

・OPECプラスの増産タイミングの見誤りによる、供給不足。またはイランを巡り武力衝突や制裁解除が遅れた場合(価格上昇要因)。

価格が上昇する中でOPEC諸国の減産維持統制が効かなくなり、増産競争に舵が切られる場合(下落要因)。

米国の橋渡しでイランとサウジを初めとするスンニ派諸国が和解、中東の緊張が緩和するシナリオも排除せず(下落要因)。

・脱炭素の進捗、生活様式の変化による構造的な需要減少が加速した場合

1.中東産油国の財政悪化によって情勢不安が顕在化、供給途絶リスクが高まる場合

2.中東以外の産油国の生産者の破綻

3.上流投資部門投資が減速し、インドなどの新興国需要顕在化時に供給が間に合わない場合

4.価格面、数量面で予算を確保できない産油国が、OSPを大幅に引き上げる場合(第3次オイルショック)

などが価格上昇要因に。

・脱炭素の過剰な進捗による供給懸念(価格上昇要因)。

かなり過剰なペースで脱炭素が進められており、裁判所を使ってまでシェルに脱炭素推進を促し、ヘッジファンドが株主としてエクソンに対して脱炭素を促し、自身のポートフォリオの価値を上げる目的で取締役を送り込むといったことも常態化しはじめており、「比較的タイムリーな増産」が可能だった米国の生産が増えない可能性は極めて高い。

この場合、「脱炭素移行期間には十分な燃料供給が出来ないリスク」が高まり、来年以降の価格上昇局面で原油価格が100ドルを超えるリスク(ただしまだリスクシナリオの位置づけ)。

なお、脱炭素が完了しても100%原油が不要になることはなく、OPECの価格支配力が増すため、この場合でも価格は上昇へ。

【石炭価格見通し】

海上輸送石炭価格は高値圏を維持すると予想される。最大消費国である中国の電力需要が拡大していること、北半球の気温上昇、渇水による水力発電能力の低下で火力発電向けの燃料需要が増加、価格の上昇トレンドが継続していること、昨年からの猛暑・厳冬で在庫水準が低いためスポット調達圧力が強い状態が続くと考えられるため。

また、欧州排出枠価格が供給減少により2021年の需給がタイトとみられることもファイナンシャルな面で価格を押し上げると考える。

なお、FRBがタカ派に転じたことがリスク資産価格の下押し要因となっているが、脱炭素の流れの中ではファンドですら石炭を投資対象とし難く、その影響は限定と考える。

中国政府は国内炭の供給能力増強にシフトしているが、経済活動の回復に供給が十分ではない。夏場の調達に目処が立てば調整すると見られるが、足下、中国の6大電力会社の石炭在庫水準は過去5年レンジの最低水準と低く、高値圏維持を予想。

ただし、3月の豪雨の影響で供給が減少していた豪州の輸出増加や、環境規制強化の中で石炭需要は減速するとみられること、脱炭素の流れと逆行するが中国政府は海外との対立によって石炭調達に支障が出ることを回避するため、国内生産を増加させていることから海上輸送炭価格の上値は重くなると予想される。

6月の石炭輸入は前年比+12.3%の2,839万2,000トン(前月▲4.6%の2,104万トン)と回復した。猛暑・渇水による発電燃料としての石炭需要増加と、中国の経済活動回復に伴う電力需要の増加が続いているためと考えられる。

中国6大電力会社の石炭在庫の水準は低く、まだ、季節的な石炭輸入需要の増加は続くと考える。石炭価格の下落は夏場の在庫調達が一巡する必要があるため、7月頃までは高止まりする可能性が高い。

【見通しの固有リスク】

・世界的な環境重視型世界へのシフトを受けた、石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。短期的には価格の上昇要因。

・中国と豪州の対立、中国国内の生産能力増強に伴う、海上輸送炭需要の減少。

・北半球の夏場の猛暑(/冷夏)・冬場の厳冬(暖冬)。

・エルニーニョ現象発生が予想される夏場にかけて、北半球が猛暑となるリスク(気象庁の分析では冷夏になりやすい。日本は西日本が猛暑になる可能性)

【天然ガス・LNG】

天然ガス価格は中国の経済活動が活発である一方、猛暑や水不足による水力発電からの電力供給低下で、火力発電向けの燃料需要が旺盛なこと、同時に海上輸送石炭価格も高い水準で推移していること、欧州のメンテナンスやロシアからの供給減少で欧州の域内需給がタイト化していること、などを背景にスポット玉の調達圧力が強まることから、高値を維持する見込み。

なお、FRBがタカ派に転じ、リスク資産価格に下押し圧力がかかりやすい地合となっているが、LNG市場はまだ投機の物色対象となっていないことから影響は限定されると見ている。

5月の中国のLNG輸入は前年比+34.4%の703万トン(前月+32.0%の673万トン)と過去5年レンジを大きく上回り、構造的な需要増加が続いている。

なお、6月の天然ガス輸入は前年比+26.2%の1,021万トン(前月+31.6%の1,032万トン)と減少し、過去5年レンジの最高水準程度まで水準を切下げたが、構造的な需要の増加が変化した、というような内容ではなかった。

長期契約のLNGに関しては、原油リンクとなるため上昇見通しだが、価格反映までに3ヵ月程度の時間差があるため(消費者への影響はさらに3ヵ月後)、現時点ではまだ上昇していないと考えられる。次の懸念は夏のピーク時の電力・ガス価格への影響だろう。

【見通しの固有リスク】

・米国がノルドストリーム2の建設を容認した場合、欧州ガス需給の緩和(ロシア増産で下落要因)。

・ウクライナやベラルーシといったロシアと欧州の緩衝帯との政治的な軋轢によって、結果的にロシア産ガスの供給がロシア側の都合でコントロールされた場合(実際にロシアが行動を起こした場合、多くのケースで価格の上昇要因)。

・産油国の減産継続による随伴ガス供給の減少懸念。

・北半球の夏場の猛暑(/冷夏)・冬場の厳冬(暖冬)。

・エルニーニョ現象発生が予想される夏場にかけて、北半球が猛暑となるリスク(気象庁の分析では冷夏になりやすい。日本は西日本が猛暑になる可能性)

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが640,068枚(前週比 ▲24,799枚)ショートが142,717枚(+340枚)ネットロングは497,351枚(▲25,139枚)

Brentはロングが414,262枚(前週比▲5,220枚)ショートが110,657枚(▲424枚)ネットロングは303,605枚(▲4,796枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格はバブル発生を警戒していた中国が、再び金融緩和(預金準備率の引き下げ)を決定したことで、中国からの需要が増加する可能性があること、コロナの新型種の感染が、主に中国のワクチンを接種した鉱産国で広がっており、供給への懸念が意識されることから高値を維持する公算。

また、米国のみならず欧州でもインフラ投資が行われる見通しであることも価格を押し上げよう。

ただし、これまで投機筋が「需給バランス」「脱炭素」をテーマに価格を押し上げてきたことも事実であり、米国のテーパリング開始をテーマにドル高・金利高の流れが進行し、現物を必要としない投機の手仕舞い圧力が強まることが予想されるため上値も重く、年後半にはむしろ一旦調整して水準を切下げると考える。

また、中国は国家備蓄放出(銅が総量で50万トンとされる)が見込まれているが、もしこの水準だと2021年の銅需給バランス、弊社は▲86万トン程度の供給不足と見積もっているが、これが▲36万トンに縮小されることになり、下期にかけての下落要因に。

しかし、この在庫放出も「放出が終ってしまえば影響はなくなる」訳であり影響は一時的と考える。

6月の中国製造業PMIは50.9(前月51.0)と市場予想の51.0と前月を小幅に下回った。ただし閾値の50は上回っており中国の製造業活動は拡大過程を維持していると考えられる。

内訳を見ると生産が鈍化(52.7→51.9)する一方で、新規受注(51.3→51.3)、輸出新規受注(48.3→48.1)、受注残(45.9→46.6)と輸出向け受注が減少する一方で新規受注は同じ水準を維持しているため、まだ中国国内の需要は減速を始めていないことが伺われる。

輸出向け新規受注の減少は人民元高が影響しているとみられるが、国内に関しては中国政府が投資抑制に舵を切っているため、徐々にこの政策の影響がでてくると考えられる。

工業金属価格に対する説明力が高い新規受注在庫レシオは、完成品が1.09(前月1.10)、原材料が1.07(1.08)と両指数とも小幅に低下している。

これまで非鉄金属価格の上昇を牽引してきたのは中国の住宅セクターであるが、5月の中国の建設業PMIは60.1(60.1)と高い水準ではあるが前月から横這いであり、鉄鋼製品価格の上昇や中国政府による住宅バブル抑制方針が影響し始めているとみられる。

ただし統計の水準は高く、短期的には中国の住宅セクターは堅調であり、短期的には建材向け需要は堅調に推移するだろう。

その中で輸出向けの需要が欧米との対立と人民元高の中でどれだけ回復出来るかが、次の焦点となる。

6月の中国の貿易統計を見ると、ベンチマークである精錬銅の輸入は前年比▲34.7%の42万8,000トン(前月+2.3%の44万6,000トン)と過去5年平均を下回り、減速感が鮮明となっている。

6月の銅精鉱の輸入は+5.1%の167万1,000トン(前月+15.1%の194万5,000トン)と高い水準を維持してはいるが、急速に絶対水準を引き下げている。中国政府によるバブル抑制方針をはいけいに輸入が減少しているとみられるが、足下、企業支援目的の預金準備率の引き下げが実施されており、再び住宅セクターの回復で輸入は増加するのではないだろうか。

5月の銅スクラップの輸入は+103.1%の16万7,767トン(+90.6%の17万1,996万トン)。

中期的には米国や欧州の財政出動、脱炭素の動きを受けた動向に左右されることになる。

米バイデン政権は上院の超党派で、8年間で1兆2,000億ドルのインフラ投資計画で合意した、と発表した。今回の合意では、道路・橋梁・主要プロジェクトに1,090億ドル、電力インフラに730億ドル、旅客・貨物鉄道に660億ドル、ブロードバンド・インターネットサービスに650億ドル、公共交通機関に490億ドル、空港に250億ドルを投じる。

さらには2022年度予算も戦後最大となる歳出を6兆ドルと、以上と戦後最大の水準とする方針。

これらの需要は景気に関係なく発生する需要であるため、需要の見通しは底堅く、価格の調整があっても下値余地は限定される可能性が高い。

これまで中国が鉱物セクターの需要動向に関して主役であり、今後も非鉄金属価格の動向は中国動向が左右するが、「新規の需要」については欧米動向が重要になる可能性は意識しておきたいところ。

この場合、米国の景気回復=ドル高・金属価格上昇、という構図も考えられる。

こうした政策期待や、インドなどの新興諸国の需要増加を受けた構造的な需要増加を受けて、中・長期的に価格は下支えされ、堅調な推移になると考える。

米国・中国・インドがどのような動きをするかに環境政策は左右されるが、ここまでの各国の動きを見ていると当面は環境向けに使用される金属の需要増加は「今後10年・20年の大きなテーマ」となる可能性が高いと言える。

具体例を挙げると、軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル、銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルト、リチウムなどが挙げられる。

2020年の中国の新エネルギー車の販売は前年比+7.5%の137万台(前年124万台)となった。全体の自動車販売が2,523万台なのでシェアは5.4%(4.9%)と上昇している。それでも電気自動車が非鉄金属市場の重要なテーマになるには、あと数年は要するだろう。

【見通しの固有リスク/個別金属の特殊要因】

・猛暑や渇水による燃料価格上昇で、1.電力供給不足による稼働停止・供給減少、2.発燃料価格の上昇を通じて生産コストが上昇する、場合(価格上昇リスク)。

・米国経済が正常化する中でドル高が進行し、投機買いが膨らんでいる非鉄金属市場で投機の手仕舞い売り圧力が高まる場合(下落リスク)。

・米中間選挙に向けて、米民主党が追加でインフラ投資(2兆ドルのクリーンインフラ投資など)を議会の採決を得て実行に移す場合(上昇リスク)。

・主に銅山を中心とする労使交渉長期化による供給減少が、2021年も継続する場合(上昇リスク)。

・中国の環境規制強化に伴う供給の減少。エネルギー排出量の多い新疆ウイグル自治区でのアルミ生産は減産の影響は既に材料視されている(供給減少でアルミ価格の上昇要因に)。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・チリやペルーで広がる左派勢力伸長に伴う大衆迎合的な政策が可決し、鉱山生産に過剰なロイヤルティが適用される場合(供給減少ないしは生産コスト上昇で価格の上昇要因)。

チリで議論されている銅のロイヤルティ増税案の詳細は以下の通り。

年内実施予定の選挙結果では課税強化で生産コスト上昇、または減産となる可能性も。

3%の新ロイヤルティに加え、銅価格に連動して税額が賦課される仕組み。

2ドル~2.5ドル/ポンド(4,406~5,508ドル/トン):15%2.5ドル~3(5,508~6,609):35%3ドル~3.5(6,609~7,711):50%3.5ドル~4(7,710~8,813):60%4ドル~4.5(8,813~9,914):70%

年間販売量が5万トン未満の小規模生産者は品位95%の粗銅の場合▲5%の軽減税率、アノードの場合(99.4~99.6%)が適用される。

2023年までは現行の営業利益率によって5~14%の鉱業ロイヤルティが適用されるが、2024年以降は新税制を適用。

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

また、環境に配慮したメタル使用の義務化などが欧州で進む場合などのコストアップ(グリーン・メタルの義務化によるコスト増加)。

【投機筋のポジション動向】

・LME投機筋買い越し金額 前週比+1.8%の261億ドル(前週 257億ドル)・LME投機筋買い越し数量 前週比▲1.0%の5,893.2千トン(前週 5,954.2千トン)

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は、米欧中のインフラ投資による建材向け需要増加観測を背景に、高値を維持すると予想する。

これまでの経済対策の影響で、中国国内の鉄鋼原料在庫日数の水準が低いことから(鉄鋼製品在庫の水準は増加)在庫積み増し需要も継続する可能性が高い。

また、資源価格の上昇を受けた国内インフレ回避の目的でロシアが8月1日から鉄鋼製品の輸出に関税を課す方針を示しており、このことも需給をタイト化させて価格を押し上げよう。

中国政府は住宅バブルを警戒しているものの、預金準備率の引き下げを決定しており住宅セクター減速のタイミングが先送りされる可能性が出てきたことも価格を高値に維持すると見る。

しかし、住宅バブルを放置する選択肢はないと考えられ、早晩、住宅セクターの成長ペースが巡航速度に移行し、価格を下押しすると考える。

また、中国共産党は2021年から始まった新しい5ヵ年計画で鉄鋼生産量の削減の必要性を表明している。温室効果ガスの排出削減を目的として、業界として二酸化炭素の輩出の多い鉄鋼業(とアルミ生産業)の生産量を前年比でマイナスとする方針である。

最大生産都市である唐山市は、2021年20日~12月31日まで、大気汚染基準に違反し、データを改ざんした4社は3月20日~6月末まで▲50%、7月~12月末まで▲30%減産、その他の16社は12月末まで▲30%の減産を新たに実施することを義務づけられた。

直近の唐山市の高炉稼働率は過去5年レンジを下回る7割程度の推移となっており、鉄鋼製品生産は抑制された状態になっている。

また、Q221には邯鄲市も生産管理措置を導入する見通しであり、鉄鋼製品供給は制限される可能性が高い。

これにより、唐山市の粗鋼生産は前年比▲2,223万トンの1億2,177万トン、鉄鉱石需要は▲3,500万トン減少するとみられている。

粗鋼生産が減少すれば、鉄鉱石の在庫水準の指標である在庫日数も、分母が小さくなるため上昇が予想され、鉄鉱石価格の下落要因となる。これは原料炭も同様。

6月の中国鉄鋼業PMIを見ると、総合指数は45.1(前月46.1)と悪化した。生産指数が低下(51.4→50.7)したが、それ以上に新規受注(39.4→34.8)、輸出向け新規受注(43.9→42.3)と低下した影響が大きかった。

景気過熱を沈静化する方針を中国政府も明確にしており、鉄鋼生産に関しては環境規制強化の流れ(というよりは中国の国民の住環境改善要請に応えたものと考える方が適切)を受けたものであり、新規受注の減速は政策的な支援の減少や輸出に関しては5月1日から鉄鋼製品の増値税還付が撤廃されたことが影響していると考えられる。

需要の減少で目安となる新規受注・在庫レシオは、新規受注完成品レシオが0.74(前月0.91)と低下、新規受注原材料レシオは0.93(0.995)と低下基調を維持しており、原材料・鉄鋼製品とも価格の下押し圧力が強まる展開が予想される。

鉄鋼原料価格の上昇を牽引してきた住宅セクターに関しては、6月の中国の建設業PMIは60.1(60.1)と高い水準ではあるが前月から横這いであり、鉄鋼製品価格の上昇や、中国政府による住宅バブル抑制方針が影響し始めているとみられる。

ただし統計の水準は高く、短期的には中国の住宅セクターは堅調であり、短期的には鉄鋼製品並びに鉄鋼原料価格を高止まらせると考える。

6月の中国の鉄鋼製品の輸入は前年比▲33.4%の125万2,000トン(前月▲5.8%の120万6,000トン)と減速し、過去5年平均程度まで水準を切下げた。国内の鉄鋼製品需給緩和を目的とした輸出リベートの撤廃で国内需給が以前よりも緩和しているためとみられる。

5月の中国粗鋼生産は前年比+7.8%の9,945万トン(前月+15.1%の9,785万トン)と前年比での伸びが鈍化したが、過去5年レンジは大きく上回っている。

一方、6月の鉄鋼製品の輸出は前年比+74.5%の645万8,000(前月+19.8%の527万1,000トン)と大幅に回復している。しかし過去5年平均を回復するには至っていない。やはり輸出リベートの撤廃の影響が残存しているためと考えられる。

なお、中国の鉄鋼製品需要は旺盛とみられるが、在庫水準は前週比+23万4,000トンの1,603万4,000トン(過去5年平均 1,083万6,000トン)と、例年、在庫減少が続く時期だが在庫は前週比で増加が顕著になっている。

唐山市などの生産減少を見込み、駆け込み増産があったためと見られるが、生産抑制が始まってからも中国の鉄鋼製品在庫は例年を上回るペースで増加している。

原料である鉄鉱石の6月の輸入は前年比▲12.1%の8,942万トン(前月+3.2%の8,980万トン)と減速した。中国政府の鉄鋼ミル稼働制限の動きが輸入を鈍化させたとみられる。また中国の鉄鉱石需要は鈍化している可能性が出てきた。

なお、中国の最大の輸入相手である豪州では鉱山の人繰りが付かず生産が停滞しているとの指摘もあるが、直近5月の輸出統計では明確な減速は確認されていない。

鉄鉱石港湾在庫は前週比+285万トンの1億2,730万トン(過去5年平均1億2,515万6,000トン)、在庫日数は23.6日(過去5年平均 29.0日)と例年と比較して在庫日数の水準は低い。

ただし在庫日数の低さは粗鋼生産の水準の高さに依拠するため、中国政府が住宅セクターの沈静化をどの程度本気で進めるかに左右されることになる。

原料炭は中国の生産活動回復が継続していること、国内の鉄鋼需要が公共投資で底堅いことから、同様に底堅い推移になると考える。

しかし、中国政府は原料炭を含む石炭の国内生産を増加させる方針であることから、海上輸送原料炭価格の上値も重い。

5月の中国の原料炭輸入は前年比▲28.7%の341万1,925トン(前月▲44.6%の348万3,128トン)と減少幅を縮小している。

中国の港湾在庫の水準は鉄鋼の最大生産省である河北省の主要港である、京唐港の港湾在庫は前週比+6万トンの184万4,000トンと過去5年平均の149万トンを上回った。

在庫日数は前週比+0.2日の6.4日と、過去5年の平均である6.3日を上回っており、需要を考慮しても原料炭需給は緩和方向にあると言える。

【見通しの固有リスク】

・鉄鉱石価格の上昇がレーショニング(価格上昇による需要減少)を引き起こす場合。

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

・コロナウイルスの感染拡大長期化による、鉱山生産の減少リスク。

・中国とインドの国境紛争の激化で、インドが中国に対して鉄鉱石輸出を制限する可能性(中国のFOBインデックスは上昇、その他の地域の鉄鉱石価格は低下)。

---≪貴金属≫---

【貴金属価格見通し】

<<金>>

金は高値圏での推移を継続すると考える。新型コロナウイルスの新型種の感染拡大で「市場が想定していたペースでのテーパリングは難しいのではないか」との見方が広がり、米長期金利が低下、同時にドル高が進行していることが背景。

とは言え、米景気の相対的な回復期待の強さからドル高・長期期金利(緩やかに)上昇圧力が強まる展開は続くとみられるため、中期的な見通しは弱気。

現在の金の実質金利で説明可能な価格(金基準価格)は1,644ドルと昨日から▲3ドル下落、そこからの乖離(リスク・プレミアム)は164ドルと昨日から+5ドル上昇した。

リスク・プレミアムは、過去3ヵ月平均で220ドル、6ヵ月で210ドル、1年で230ドル、5年で170ドルとなっている。

なお、金価格を実質金利要因と為替要因に分類した場合、為替要因はリスク・プレミアムのところに内包されると整理している(為替は名目金利の影響も受けるので、純粋に為替の要因のみ切り出すのが困難であることから)。

※毎日回帰分析をアップデートし、リスク・プレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない場合があります。

<<銀>>

銀価格は金価格との比較感で売買されるが、金銀レシオは現在、69.6倍。過去1年を基準にすると73倍、5年では80倍、2000年以降では65倍程度が妥当。

今後、さらに金銀レシオが低下するには、実際に太陽光パネルの設置が米国で進捗するなどの新規材料が必要になると見られるが、米政府は新疆ウイグル自治区問題を背景に輸入を制限する見通しであり一筋縄では行かないと考える。

なお、銀価格=金価格÷金銀レシオ であり、金銀レシオが低下することで金価格が変動した時の弾性値が上昇(ボラティリティは上昇し、足元金の2倍に上昇)する点は留意。

(例)金が2,000ドル、銀が20ドルのとき 金銀レシオが100倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1セント変化 金の変化率は±0.05%、銀は±0.05%

 金銀レシオが1倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1ドル変化 金の上昇率は±0.05%、銀は±5%

<<PGM>>

プラチナ価格は銀価格との連動性が高い。これは供給過剰で投機的な取引の影響が強まっていることによる。プラチナの需給バランスはWPICデータを元にすると今年も除く投機で供給過剰であり、投機動向が価格を左右しやすい。

金価格が米長期金利の低下で再び高値で推移していることから、投機的な観点でプラチナにも上昇圧力が掛りやすい地合い。

仮に脱炭素が進んで水素が用いられ、燃料電池が進むのであればプラチナの構造的な需要が増加するシナリオは、需要・価格面でのポジティブリスクシナリオ。投機の比率が高い商品であるため、こうした観測記事だけでも材料に価格が反応しやすい。

パラジウムは経済活動正常化期待による金価格調整→経済正常化による需要増加を受けて高値を維持すると考える。

自動車生産が回復すれば再びパラジウム供給不足が発生し、ETFの残高減少と価格上昇が同時に発生する可能性が高いとみている。

5月の米自動車販売は年率1,536万台(前月1,699万台、市場予想1,650万台)と減速。目先は価格の下落要因となりやすい。

中国の5月の自動車販売は中国自動車工業協会の集計で前年比▲3.0%の212万7,000台(前月+8.8%の225万台、3月+76.5%の252万5,000台、2月+371%の146万台、1月+30%の250万台、12月+6.4%の283万台、11月+12.7%の276万9,666台、10月+12.6%の257万3,000台、9月+13.0%の256万5,201台)と前年比マイナスに転じた。

半導体不足が自動車生産に影響を及ぼしているとみられる。

【見通しの固有リスク】

・個人投資家のETFを通じた買いが、経済合理性を無視した水準まで貴金属価格を押し上げるリスク。

・主要生産国の南アフリカの電力供給不安や、コロナウイルスの影響拡大で供給が滞る場合(PGMの価格上昇要因)。

・コロナからの回復は各国まだらであり、先行する米国が金融正常化に動いた場合、新興国から資金が流出して信用リスクが高まる場合(安全資産価格の上昇要因)。

・米中の対立激化。バイデン政権は対中強硬姿勢を明確にしており、対立がさらに激化する場合(安全資産価格の上昇要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加(実際に破綻が意識されるのは2030年以降か)。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

環境重視型社会へのシフトはパラジウム需要を増加させるが、さらに加速して「水素社会」まで到達すると、燃料電池車需要が増加して構造的にプラチナ価格の上昇要因となる可能性。

・コロナウイルスの感染拡大による、最大生産国の1つである南アフリカの鉱山稼働が電力供給問題もあって不安定であることによる供給懸念。

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが270,545枚(前週比 +16,339枚)、ショートが87,724枚(▲4,256枚)、ネットロングは182,821枚(+20,595枚)、銀が76,790枚(+4,935枚)、ショートが32,302枚(+1,924枚)、ネットロングは44,488枚(+3,011枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが28,390枚(前週比 ▲1,751枚)ショートが14,814枚(▲583枚)、ネットロングは13,576枚(▲1,168枚)

パラジウムが5,334枚(+860枚)、ショートが3,031枚(▲35枚)ネットロングは2,303枚(+895枚)

---≪農産品≫---

【穀物価格見通し】

シカゴ穀物価格は高値圏で推移すると考える。増加が見込まれていた米国の作付面積は市場予想を下回ったこと、今年の夏場のエルニーニョ現象は、記録的な猛暑をもたらして穀物生産に悪影響となる可能性があること、この状態でも中国の調達意欲は旺盛であることが背景。

ラニーニャ収束で売りに回っていた投機筋の買い戻しも、テクニカルに価格を押し上げると考える。

5月の中国の大豆輸入は前年比+2.5%の961万トン(+11.0%の前月745万トン)と季節性に沿って増加しているが、過去5年レンジの上限で推移しており、輸入需要は旺盛。

Locust WatchではFAOの予想通り、降雨がなかったため群生相の発生は極めて抑制されている。Locust Watchでも今のところ差し迫った危機の発生リスクは指摘されていない。
http://www.fao.org/ag/locusts/common/ecg/75/en/210708update.jpg

【見通しの固有リスク】

・エルニーニョ現象発生による生産条件改善を受けた増産観測(価格の下落要因)。

・環境重視型社会へのシフトにより、燃料向け穀物需要が増加する場合(価格の上昇要因)。現在はそれほどの数量でもない、バイオディーゼル向けの大豆需要増加など。

・新型コロナウイルスの影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

【米農務省需給報告データ】

・米作付け意向面積トウモロコシ 9,114万エーカー(市場予想9,313万エーカー、前年9,699万エーカー)大豆 8,760万エーカー(9,010万エーカー、8,351万エーカー)小麦 4,636万エーカー(4,495万エーカー、4,466万エーカー)綿花 1,204万エーカー(1,215万エーカー、1,370万エーカー)

・米穀物最終作付け面積 実績(前年)トウモロコシ 9,269万エーカー(9,082万エーカー)大豆 8,756万エーカー(8,383万エーカー)小麦 4,674万エーカー(4,425万エーカー)

・7月米需給報告単収見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 179.5Bu/エーカー(178.74、179.5)大豆 50.8Bu/エーカー(50.64、50.8)小麦 45.8Bu/エーカー(NA、50.7)

・7月米需給報告生産見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 151億6,500万Bu(151億748万Bu、149億9,000万Bu)大豆 44億500万Bu(43億9,211万Bu、44億500万Bu)小麦 17億4,600万Bu(18億4,343万Bu、18億9,800万Bu)

・7月米需給報告輸出見通し(実績/前月)トウモロコシ 25億Bu(24億5,000万Bu)大豆 20億7,500万Bu(20億7,500万Bu)小麦 8億7,500Bu(9億Bu)

・7月米需給報告在庫見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 14億3,200万Bu(13億6,114万Bu、13億5,700万Bu)大豆 1億5,500万Bu(1億4,675万Bu、1億5,500万Bu)小麦 6億6,500万Bu(7億2,356万Bu、7億7,000万Bu)

・6月末四半期在庫 実績(前期末)トウモロコシ 41億1,200万Bu(77億1004万Bu)大豆 7億6,700万Bu(15億6,400万Bu)小麦 8億4,400万Bu(13億1,400万Bu)

・6月CONABブラジル作付け面積(市場予想/前月)トウモロコシ 1,984万ha(1,975万ha、1,987万ha)大豆 3,815万ha(3,871万ha、3,850万ha)

・6月CONABブラジル生産量(市場予想/前月)トウモロコシ 9,639万トン(9,398万トン、1億641万トン) 単収 4,858kg/ha(4,762Kg/ha、5,355kg/ha)大豆 1億3,586万トン(1億3,682万トン、1億3,541万トン) 単収 3,528kg/ha(3,538Kg/ha、3,517kg/ha)

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが432,234枚(前週比 ▲3,820枚)、ショートが105,420枚(+22,333枚)ネットロングは326,814枚(▲26,153枚)

大豆はロングが202,163枚(+12,019枚)、ショートが62,899枚(+6,766枚)ネットロングは139,264枚(+5,253枚)

小麦はロングが104,413枚(▲2,933枚)、ショートが87,816枚(+6,916枚)ネットロングは16,597枚(▲9,849枚)

◆主要ニュース


・6月中国貿易収支 515億3,000万ドルの黒字(前月455億3,000万ドルの黒字)
 輸出総額 前年比 +32.2%(+27.9%)
 輸入総額 +36.7%(+51.1%)
 輸出年初来ベース
  対米国 +42.6%(1-5月期+49.8%)
  対欧州 +35.9%(+38.0%)
  対日本 +18.7%(+17.3%)
  対アセアン諸国 +38.3%(+39.3%)

 輸入
  対米国 前年比 +55.5%(+59.8%)
  対欧州 +38.8%(+39.9%)
  対日本 +27.9%(+29.0%)
  対アセアン諸国 +38.1%(+38.9%)

・6月独消費者物価指数 前月比+0.4%(前月+0.3%)
 前年比+2.1%(+2.4%)

・6月米NFIB中小企業楽観指数 102.5(前月 99.6)

・6月米消費者物価指数 前月比+0.9%(前月+0.6%)、前年比 +5.4%(+5.0%)
 コア 前月比+0.9%(+0.7%)、前年比+4.5%(+3.8%)

・6月米実質平均賃金 前年比▲1.4%(前月▲2.6%)
 実質平均時給▲1.7%(▲2.9%)

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】

・DOE米在庫統計市場予想 原油 ▲4,357KB(前週▲6,866KB)
 ガソリン ▲2,092KB(+1,616KB)
 ディスティレート +895KB(+1,616KB)
 稼働率 +0.28%(▲0.70%)

・API石油統計
 原油在庫▲4.1MB(前週▲7.9MB)
 クッシング▲1.6MB(+0.15MB)
 ガソリン▲1.5MB(▲2.7MB)
 ディスティレート+3.7MB(+1.1MB)

・6月中国石炭輸入 2,839万2,000トン(前月2,104万トン)

・6月中国原油輸入 4,014万トン、990万バレル/日(前月4,097万トン、978万バレル/日)
 精製石油製品輸入 214万トン(234万トン)
 輸出 644万トン(652万トン)

※原油1トン=7.4バレルとして算出。石油製品は種類の内訳が不明のためバレル換算していない。

・6月中国天然ガス輸入 1,021万トン(前月1,032万トン)

・IEA月報
 世界石油需要 Q121:93.6、Q221:94.7、Q321:98.1、Q421:99.4、2021:96.4
 非OPEC供給(含むNGLs) Q121:61.9、Q221:63.7、Q321:65.0、Q421:65.0、2021:63.9
 Call on OPEC Q121:31.7、Q221:31.0、Q321:33.1、Q421:34.4、2021:32.5
※需要見通し上方修正でCall on OPEC小幅に増加。そのためOPECプラス増産がなければ需給は大きく逼迫へ。

・独メルケル首相、「ロシアとの間を結ぶパイプライン、ノルドストリーム2開通後も、ウクライナのロシア産天然ガスの経由地としての地位は、ドイツ及びEUによって保証される。」

・イラン核合意再建交渉、8月にずれ込む見通し(関係者)。

・IEA、「OPECプラスの増産がなければ需給が逼迫する。」

【メタル】

・6月中国銅輸入 43万トン(前月45万トン)
 銅鉱石・精鉱 167万トン(195万トン)
 アルミ(未加工品含む) 輸出 45万トン(44万トン)

・6月中国鉄鉱石輸入 8,942万トン(前月8,979万トン)
 鉄鋼製品輸入 125万トン(121万トン)
 鉄鋼製品輸出 646万トン(527万トン)

・Vedanta、Q221アルミ生産 前年比+17%の549,000トン
 アルミナ +1%の482,000トン
 亜鉛 +62%の61,000トン
 原油・ガス生産 +4%の1,500万バレル
 鉄鋼生産 +8%の289,000トン

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ +2.79%/ +54.41%
2.CBT大豆油 ( 穀物 )/ +2.52%/ +53.77%
3.CBTオレンジジュース ( その他農産品 )/ +2.29%/ +3.16%
4.欧州排出権 ( その他 )/ +2.21%/ +61.98%
5.NYM RBOB ( エネルギー )/ +1.80%/ +64.61%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
66.CME木材 ( その他農産品 )/ ▲12.55%/ ▲31.39%
65.SHF 金 ( 貴金属 )/ ▲2.52%/ ▲7.15%
64.NYM米天然ガス ( エネルギー )/ ▲1.41%/ +45.57%
63.SGX天然ゴム ( その他農産品 )/ ▲1.33%/ ▲16.59%
62.ICEココア ( その他農産品 )/ ▲1.29%/ ▲8.95%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :34,888.79(▲107.39)
S&P500 :4,369.21(▲15.42)
日経平均株価 :28,718.24(+149.22)
ドル円 :110.63(+0.26)
ユーロ円 :130.28(▲0.63)
米10年債 :1.42(+0.05)
中国10年債利回り :2.93(▲0.02)
日本10年債利回り :0.03(▲0.01)
独10年債利回り :▲0.29(+0.00)
ビットコイン :32,508.34(▲341.25)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :28.27(▲0.3)
エネルギー :24.28(▲0.23)
ベースメタル :21.94(▲1.05)
貴金属 :28.71(+0.09)
穀物 :45.55(▲0.64)
その他農畜産品 :25.45(+0.03)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :22.85(+0.45)
Brent :22.15(+0.19)
米天然ガス :31.32(▲3.45)
米ガソリン :23.13(+0.41)
ICEガスオイル :22.54(+0.02)
LME銅 :20.84(▲3.33)
LMEアルミニウム :22.68(▲0.51)
金 :52.23(▲0.59)
プラチナ :30.08(+0.12)
トウモロコシ :52.83(▲1.6)
大豆 :52.23(▲0.59)

【エネルギー】
WTI :75.25(+1.15)
Brent :76.49(+1.33)
Oman :75.00(+1.32)
米ガソリン :231.83(+4.11)
米灯油 :218.44(+3.46)
ICEガスオイル :613.00(+3.00)
米天然ガス :3.70(▲0.05)
英天然ガス :87.09(+2.36)

【貴金属】
金 :1807.76(+1.48)
銀 :25.99(▲0.21)
プラチナ :1108.88(▲13.88)
パラジウム :2829.00(▲30.21)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :9,345(▲40:35C)
亜鉛 :2,934(▲2:14.5C)
鉛 :2,302(▲13:1B)
アルミニウム :2,493(+24:14.5C)
ニッケル :18,784(+243:1B)
錫 :32,291(+329:1259B)
コバルト :50,450(▲4)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :9401.50(▲54.00)
亜鉛 :2937.00(▲11.50)
鉛 :2308.50(▲19.50)
アルミニウム :2538.00(+44.00)
ニッケル :18725.00(+50.00)
錫 :32385.00(+435.00)
バルチック海運指数 :3,300.00(±0.0)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR中国、1営業日前) :212.74(+1.39)
SGX鉄鉱石 :217.58(+1.32)
NYMEX鉄鉱石 :218.26(+0.93)
NYMEX豪州原料炭スワップ先物 :206.67(+1.50)
大連原料炭先物 :340.09(▲7.35)
上海鉄筋直近限月 :4,946(+70)
上海鉄筋中心限月 :5,425(▲40)
米鉄スクラップ :660(+11.00)

【農産物】
大豆 :1438.00(+5.50)
シカゴ大豆ミール :355.10(+0.20)
シカゴ大豆油 :66.63(+1.64)
マレーシア パーム油 :4048.00(+59.00)
シカゴ とうもろこし :677.00(+7.75)
シカゴ小麦 :628.75(▲6.25)
シンガポールゴム :185.50(▲2.50)
上海ゴム :13050.00(+35.00)
砂糖 :17.08(+0.09)
アラビカ :152.10(▲1.75)
ロブスタ :1729.00(▲21.00)
綿花 :88.77(+0.30)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :112.25(▲0.23)
シカゴ生牛 :121.75(+1.93)
シカゴ飼育牛 :158.83(+0.68)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。