米財政出動とCPI低下によるドル安で堅調
- MRA商品市場レポート
2021年8月12日 第2010号 商品市況概況
◆昨日の商品市場(全体)の総括
「米財政出動とCPI低下によるドル安で堅調」
【昨日の市場動向総括】
昨日の商品市場は貴金属や穀物の一角が下落したが、その他は総じて堅調な推移となった。米消費者物価指数が市場予想に反して伸びが減速、「コロナのデルタ株の影響で供給障害が発生し、価格上昇が金融引き締めを早めるのでは」との懸念が後退したためドル安となり、株高も手伝ってリスクテイク意欲が回復したことが背景。
また、米民主党が3.5兆ドル、期間10年の追加対策案を上院で可決したことで、追加の景気刺激が行われるとの期待が高まっていることも、リスク資産価格の上昇要因となっている。
テーパリングが開始されるとリスク資産価格に下押し圧力が掛るが、今回はその正常化と共に財政政策が実施されるため基本的に前回のテーパリング実施よりは価格下振れリスクが小さい。
ただし、足下の価格上昇は実際に需給がタイト化したわけではなく、期待需要の増加による投機の買いによるものと整理されるため、金融政策変更時には逆回転して大きく価格を下押しする可能性は低くない。
【本日の見通し】
本日も米財政出動強化策を材料とした株価の上昇が予想され、リスク資産価格には総じて上昇圧力が掛る展開が予想される。
今回の米財政出動は鉱物資源需要の増加に繋がるが、昨日の朝方発表された中国のファイナンス関連統計は減速しており、今回の米対策の工業金属需要への影響は中立に近い。これが現実のものとなり、実需の変化を通じて持続的に価格を押し上げるとすれば来年以降になるのではないか。
本日発表が予定されている統計では、米週間新規失業保険申請件数に注目している。
市場予想は37万5,000件(前週38万5,000件)と減少見込みであり、予想通りであれば実需面で価格上昇、ドル高進行で売り材料となるのだが、先日の米コアCPIの弱さを考えると、景気循環系商品価格にプラスに作用するのではないか。
【昨日のセクター別動向と本日の見通し】
◆エネルギー
原油価格は上昇した。米石油統計がAPI統計と同様減少したことや、米追加対策期待を受けた株の上昇でドル安が進行、リスクテイク意欲が回復したことが背景。
昨日も指摘したが、ここまでの下落のきっかけが株安だったこともあり、株の戻りは原油価格の上昇に繋がる。
この上昇でBrent、WTIとも100日移動平均線のレジスタンスを上抜けした(Brent:70.15ドル、WTI:67.35ドル)を回復、上値としては50日移動平均線(Brent:73.50ドル、WTI:71.50ドル)が意識される。
昨日発表の米石油統計は原油が予想比強気、製品が弱気な内容だった。
全体として米国内の出荷が低迷し、輸出が増加している形。コロナのデルタ株の影響や、価格上昇によるレーショニングが発生している可能性は否定出来ない。
ただ、「まだ」回復傾向は維持していると考えるべきであり、ワクチン接種進捗で米国の移動制限が解除された場合、脱炭素で増産が困難な状況下、米国内の製品需給の逼迫は不可避とみる。
原油は生産が増加(+0.1MBD)、輸入は小幅に減少、稼働率は上昇(+0.5%)、在庫は▲0.4MMBの減少となった。在庫日数は▲0.2日の26.4日と、過去5年平均を下回っている。
原油価格に影響が大きいクッシング在庫は▲325KB(▲543KB)と減少した。PADD2の輸入は横這いだったが、稼働が+0.9%と上昇したことで在庫減少が継続している。
石油製品在庫は製油所の稼働率が平年を下回っている影響もあって減少が継続しているが、今週はガソリンとディスティレートでまちまちとなった。
ガソリン在庫は(▲1.4MB)、ディスティレート(+1.8MB)。在庫水準はガソリンが過去5年の最低水準を下回り、在庫日数も過去5年の最低水準を割り込んでいる。結果、ガソリンクラックはこの時期としては過去5年の最高水準を大きく上回っている。
ディスティレートも在庫の絶対水準は過去5年平均を割り込み、在庫日数も過去5年平均を下回っていることから、クラックは過去5年平均を若干上回る水準。製品需給は総じてタイト。
弊社はコロナショック後以降、石油製品の出荷動向に注目しているが、米ガソリン出荷は前年比+9.2%の9.46MBD(前週+8.4%の9.42MBD)と先週から伸び率が減速した。コロナの影響がなかった2019年と比較すると▲0.7%(▲1.4%)と減速幅が縮小している。
ディスティレートは前年比+9.7%の3.91MBD(+11.0%の3.77MBD、2019年比+0.2%(▲1.3%))と足踏みしている。
製品全体では前年比+11.3%の20.60MBD(+12.4%の20.54MBD、2019年比▲4.6%(▲2.8%))と伸びが減速。価格上昇やデルタ株の影響で、陸上輸送燃料の需要が減少したとみられる。米経済活動は回復過程にあるが、まだらな回復となっている。
輸出は+21.9%の5.76MBD(+16.4%の5.55MBD、2019年比+11.6%(+10.4%))と堅調。出荷+輸出は+13.4%の26.36MBD(+13.2%の26.09MBD、2019年比▲1.5%(▲0.3%))と2019前年比でマイナスが2週続いている。米国内需要は低迷しているが、海外向けが好調。
週間統計だと国別の輸出実績が出ないため、正確な所は分らないが、渇水などの影響で発電需要が増加しているのではないかと考えられる。
豪州石炭スワップ先物価格は上昇し、170ドルに迫る展開。猛暑・渇水の影響による夏場の需要、冬場に向けた在庫積み増しの動きが続いている。バルチック海運指数は小幅に上昇。
「座礁資産」と呼ばれているが増産ができず、需要側の構造はそう簡単には変わらないことを考えると当面高い水準での推移が予想される。
JKM先物市場は下落し、15ドル台半ば。欧州ガス価格は上昇しているが、昨日に関してはその影響がなかった。ただし、夏場の需要期が終っても在庫水準の低さから冬場に向けた在庫積みの動きは継続するとみられ価格は高水準を維持。
欧州天然ガスは上昇。ベラルーシとポーランドを経由するYamalパイプライン経由のガス供給が細る中、メンテナンス中のノルウェー最大のTrollガス田のさらなる障害の影響で需給がタイト化しているため。
米国のガス価格は気温の低下見通しで水準を切下げた。
スポットLNGタンカーレートはスエズ以東が上昇、以西は横這い。ただし上記の通り欧州のパイプライン経由のガス供給が再び減少する可能性が高く、LNG価格は上昇圧力が掛るとみる。
2021年8月2日~8月8日のLNG取引は前週比▲12%の670万トン(前週+23%の760万トン)と減少。日本、韓国、中東の輸入が減少したことが影響。うち、28%がスポット調達と先週から変わらなかった。
本日の原油価格は高値でのもみ合いになると考える。100日移動平均線のレジスタンスを上抜けしたため、リスクオン相場の中でテクニカルな買い戻しが入ると予想されるため。ただ、当面は50日移動平均線のレジスタンスが強く意識され、この水準を上回るには追加材料が必要とみる。
石炭・LNGは原油に比べて投機の影響を受け難く、需給ファンダメンタルズが重用になるが、気温上昇と欧州のガス供給制限が継続していることから高値維持を予想。
◆非鉄金属
LME非鉄金属価格は上昇した。中国のファイナンス関連統計は明確に減速し、価格の下押し要因となっていたが、米追加の対策も実施される見通しであること、米CPIを受けたドル安進行、株高などによるリスクテイク再開が価格を押し上げた。
米上院は期間10年の総額3.5兆ドルの追加の財政出動を伴う対策案を可決した。子育て支援や安価な住宅供給、環境技術導入などに充てられるため、やはり工業金属需要の増加には繋がる。
本日も株の戻りや米財政支出期待で上昇余地を探る動きになると考えるが、中国の国内経済活動の鈍化観測も根強く上値も重いと考える。
◆鉄鋼・鉄鋼原料
中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは上昇、大連先物は上昇、豪州原料炭スワップ先物は上昇、大連原料炭先物は上昇、上海鉄鋼製品先物は上昇した。
洪水の影響による建設向け需要の減少はあるものの、割安感からの買いが継続したと考えられる。
本日も中国の経済活動鈍化と鉄鋼生産抑制を受けて鉄鋼製品需要は旺盛ではないとみられ、鉄鋼原料価格も下落するとみる。
◆貴金属
昨日の貴金属セクターはパラジウム以外が前日比プラス。米コアCPIが市場予想を下回ったことで長期金利が低下、ドル安も進行したことで基準価格、リスク・プレミアムともに上昇した。
プラチナは株価の上昇もあって顕著に上昇、パラジウムは特段材料がなかったが足下チャートが三角保ち合いを形成しており、テクニカルな売りだったと考えられる。
本日は、米消費者物価の低下を受けた金融緩和の早期実施観測が後退したこと、株高を背景にリスクオンのドル安が期待されることから、堅調な推移を予想
◆穀物
シカゴ穀物市場はまちまちとなった。トウモロコシ・小麦は現状水準でのもみ合いとなったが、大豆は100日移動平均線のレジスタンスを試す動きだったが、これを上抜けできなかったため、米需給報告を控えて調整売りに押された。
8月米需給報告の市場予想は以下の通り。
・単収見通し(市場予想/前月)トウモロコシ 177.39Bu/エーカー(179.5)大豆 50.28Bu/エーカー(50.8)小麦 45.8Bu/エーカー(NA)
・生産見通しトウモロコシ 149億7,144万Bu(151億6,500万Bu)大豆 43億6,248万Bu(44億500万Bu)小麦 17億2,350万Bu(17億4,600万Bu)
・在庫見通しトウモロコシ 12億7,030万Bu(14億3,200万Bu)大豆 15億6,960万Bu(1億5,000万Bu)小麦 6億3,800万Bu(6億6,500万Bu)
本日は米需給報告を控えて様子見気分が強まる展開が予想される。米需給報告の市場予想はいずれも生産見通しが下方修正されており、価格の上昇要因となる可能性が高いとみている。
※中長期見通しは個別セクターのコラムをご参照ください。
【昨日のトピックス】
昨日発表された中国のファイナンス関連統計は、同国経済が減速に向かっていることを示唆する内容だった。
7月の中国マネーサプライはM2が前年比+8.3%(市場予想+8.7%、前月+8.6%)、M1が+4.9%(+5.4%、+5.5%)、人民元建て新規融資は1兆800億元(1兆2,000億元、2兆1,200億元)、ファイナンス規模 1兆600億元(1兆7,000億元、3兆6,689億元)となった。人民元建て新規融資が大きく減速している。
基本的に中国のM1は世界の製造業の景況感に6ヵ月程度先行すると言われているため、来年の2月頃まで中国の製造業活動が減速する可能性が高いと考えられる。
つまり、今年の年末までは国主導の需要面において、中国が下向き、来年以降、欧米が上向き、と考えられ今から年末にかけては「公的需要の端境期」にあると考えられる。
昨日、非鉄金属価格は上昇したがやはり中期的に調整がある、という見方は変更しないで良いと考えている。
【マクロ見通しのリスクシナリオ】
・来年の中間選挙を控えて、バイデン大統領が国内の支持を得られない場合。財政面や企業負担増の理由から造反が発生し、議会を通過しない場合は景気のリスクに(景気減速要因)。
・米テーパリング実施が、コロナの感染に苦慮する中南米、欧州・アフリカの新興国経済に悪影響を及ぼす場合(景気減速要因)。
・米財政出動が加速、景気回復期待を受けた価格上昇が顕著となる場合。
この場合、長期金利上昇でドル高が進行しやすく価格の下落を意識しなければならない。
・コロナウイルスの感染再拡大(変異種に対してワクチンの効果が期待ほどではなかった場合など。既に中国製のワクチンは新興国で接種されているが、殆ど効果が出ていない)によるロックダウンが景気循環系商品の需要を減じる場合(価格下落要因)。これは既に欧州、インド、東南アジア、日本などで顕在化。
逆に想定以上にワクチン・治療薬の開発が速やかに行われた場合は需要の増加要因に。
・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。
逆に脱炭素に向けたインフラ投資の加速で資源価格が急上昇、金融緩和マネーが大量に市場に滞留する中でハイパーインフレとなるリスク。
・米中対立激化による、新冷戦構造が発現しブロック経済圏が発生して貿易活動が鈍化する場合(場合によると武力衝突も)。
「能動的に」軍事を行う方針に舵を切った中国習近平政権が、台湾統一を目指して侵略する可能性は高くなった。
・次の成長ドライバーとして期待されるインド経済が、期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。
2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2023~2024年頃。
・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(これは人口動態を考えると、現実のリスクとなるのは2030年以降か)。
◆昨日の商品市場(個別)の総括
---≪エネルギー≫---
【原油価格見通し】
原油価格はOPECの増産、米テーパリング開始観測を背景に軟調な推移になると予想する。
また、正常化が前提であるものの、ここに来てコロナの変異株の感染が拡大、ワクチン接種が世界で最も進んでいるイスラエルでもワクチンの有効性が低下していることは、需要の下押し要因に。
ただ、ジャクソンホールシンポジウムあたりからの下落を想定していたが、7月FOMCのコメントでは、今後数回の会合でテーパリングのスケジュールを決定すると見られるため、直ちにファイナンシャルな面で価格が下がりにくい環境になってきたと考える。
年末、Brentは60ドル台半ば、WTIは60ドル台前半への調整をメインシナリオとしている。
【見通しの固有リスク】
・ワクチン接種が進捗せず、同時に変異株が猛威を振るいワクチンが効かない場合(需要減少で下落リスク)。
・米国経済が正常化する中でテーパリングなどの金融緩和解除が加速、急速なドル高を通じて投機的な売り圧力が高まる場合(価格の下落要因)。
・OPECプラスの増産タイミングの見誤りによる、供給不足。またはイランを巡り武力衝突や制裁解除が遅れた場合(価格上昇要因)。
価格が上昇する中でOPEC諸国の減産維持統制が効かなくなり、増産競争に舵が切られる場合(下落要因)。
米国の橋渡しでイランとサウジを初めとするスンニ派諸国が和解、中東の緊張が緩和するシナリオも排除せず(下落要因)。
・脱炭素の進捗、生活様式の変化による構造的な需要減少が加速した場合
1.中東産油国の財政悪化によって情勢不安が顕在化、供給途絶リスクが高まる場合
2.中東以外の産油国の生産者の破綻
3.上流投資部門投資が減速し、インドなどの新興国需要顕在化時に供給が間に合わない場合
4.価格面、数量面で予算を確保できない産油国が、OSPを大幅に引き上げる場合(第3次オイルショック)
などが価格上昇要因に。
・脱炭素の過剰な進捗による供給懸念(価格上昇要因)。
かなり過剰なペースで脱炭素が進められており、裁判所を使ってまでシェルに脱炭素推進を促し、ヘッジファンドが株主としてエクソンに対して脱炭素を促し、自身のポートフォリオの価値を上げる目的で取締役を送り込むといったことも常態化しはじめており、「比較的タイムリーな増産」が可能だった米国の生産が増えない可能性は極めて高い。
この場合、「脱炭素移行期間には十分な燃料供給が出来ないリスク」が高まり、来年以降の価格上昇局面で原油価格が100ドルを超えるリスク(ただしまだリスクシナリオの位置づけ)。
なお、脱炭素が完了しても100%原油が不要になることはなく、OPECの価格支配力が増すため、この場合でも価格は上昇へ。
【石炭価格見通し】
海上輸送石炭価格は高値圏を維持すると予想される。最大消費国である中国の電力需要が拡大していること、北半球の気温上昇、渇水による水力発電能力の低下で火力発電向けの燃料需要が増加、夏場の猛暑で冬場に向けた在庫積み増しが十分にできないとみられること、脱炭素の強制的な進捗による供給制限が需給をタイト化させるため。
中国政府は脱炭素といいつつ、石炭の国内生産を増加させているが足下の需給タイト化を直ちに解消することは難しいだろう。
また、欧州排出枠価格が供給減少により、2021年の需給がタイトとみられることも投機的な観点で価格を押し上げると考える(取引量は少ないが、ETFなども存在)。
中国政府は国内炭の供給能力増強にシフトしているが、経済活動の回復に供給が十分ではない。夏場の調達に目処が立てば調整すると見られるが、足下、中国の6大電力会社の石炭在庫水準は過去5年レンジの最低水準と低く価格を下支え。
7月の石炭輸入は前年比+15.6%の3,017万8,000トン(前月+12.3%の2,839万2,000トン)と回復した。猛暑・渇水による発電燃料としての石炭需要増加と、中国の経済活動回復に伴う電力需要の増加が続いているためと考えられる。
中国6大電力会社の石炭在庫の水準は低く、まだ、季節的な石炭輸入需要の増加は続くと考える。石炭価格の下落は夏場の在庫調達が一巡する必要があるため、この夏の間は高止まりする可能性が高い。
【見通しの固有リスク】
・世界的な環境重視型世界へのシフトを受けた、石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念(価格の上昇要因。これは既に顕在化しつつある)。
・中国と豪州の対立、中国国内の生産能力増強に伴う、海上輸送炭需要の減少。
・北半球の夏場の猛暑(/冷夏)・冬場の厳冬(暖冬)。
・エルニーニョ現象発生が予想される夏場に、北半球が猛暑となるリスク(気象庁の分析では冷夏になりやすい。日本は西日本が猛暑になる可能性)
【天然ガス・LNG】
天然ガス価格は中国の経済活動が活発である一方、猛暑や水不足による水力発電からの電力供給低下で、火力発電向けの燃料需要が旺盛なこと、同時に海上輸送石炭価格も高い水準で推移していること、欧州のメンテナンスや悪天候、ロシアからの供給減少で欧州の域内需給がタイト化していること、などを背景にスポット玉の調達圧力が強まることから、高値を維持する見込み。
6月の中国のLNG輸入は前年比+15.9%の672万トン(前月+34.4%の703万トン)と過去5年レンジを大きく上回り、構造的な需要増加が続いている。
なお、7月の中国の天然ガス輸入は前年比+27.0%の934万トン(前月+26.2%の1,021万トン)と減少したが、季節的に見ると過去5年レンジを大きく上回った状態が続いている。
長期契約のLNGに関しては、原油リンクとなるため上昇見通しだが、価格反映までに3ヵ月程度の時間差があるため(消費者への影響はさらに3ヵ月後)、現時点ではまだ上昇していないと考えられる。次の懸念は夏のピーク時の電力・ガス価格への影響だろう。
【見通しの固有リスク】
・石炭と同様、「化石燃料であること」を理由に上流部門投資が制限される、あるいは原油生産減少による随伴ガス供給が減少する場合(構造的な価格上昇要因)。
・米国がノルドストリーム2の建設を容認した場合、欧州ガス需給の緩和(ロシア増産で下落要因)。
・ウクライナやベラルーシといったロシアと欧州の緩衝帯との政治的な軋轢によって、結果的にロシア産ガスの供給がロシア側の都合でコントロールされた場合(実際にロシアが行動を起こした場合、多くのケースで価格の上昇要因)。
・産油国の減産継続による随伴ガス供給の減少懸念。
・北半球の夏場の猛暑(/冷夏)・冬場の厳冬(暖冬)。
・エルニーニョ現象発生が予想される夏場にかけて、北半球が猛暑となるリスク(気象庁の分析では冷夏になりやすい。日本は西日本が猛暑になる可能性)
【投機筋のポジション動向】
・直近の投機筋のポジションは以下の通り。
WTIはロングが583,470枚(前週比 ▲17,941枚)ショートが152,943枚(+1,296枚)ネットロングは430,527枚(▲19,237枚)
Brentはロングが384,480枚(前週比▲6,795枚)ショートが74,815枚(▲4,801枚)ネットロングは309,665枚(▲1,994枚)
---≪LME非鉄金属≫---
【非鉄金属価格見通し】
非鉄金属価格は、米上院でインフラ投資法案が可決したことで公的需要の増加が期待されることから、一旦買い戻されると考える。ただし実際に現物需要となるのは来年以降であり、現時点では期待先行による上昇となる。
同時にコロナの影響や渇水に伴うエネルギー不足で供給面の問題も噴出していること、企業のデフォルトが増えたことで中国人民銀行が金融緩和(預金準備率の引き下げ)を実施していることも価格を下支えすると考える。
ただし、最大消費国である中国の需要の伸びがやや鈍化しているとみられること、中国政府による企業の締め付けがマインドを悪化させていること、中国の減速が欧州景気にも影響するとみられることから中期的には下押しされるとの見方に変わりはない。
7月の中国製造業PMIは50.4(前月50.9)と市場予想の50.8、前月共に下回った。まだ閾値の50は上回っているが中国の経済活動の過剰な回復は沈静化の方向に向かっていると考えられる。
内訳を見ると生産が鈍化(51.9→51.0)、新規受注(51.5→50.9)、輸出新規受注(48.1→47.7)、受注残(46.6→46.1)と需要が全て鈍化している。
その一方でまだ在庫水準は低いが、完成品在庫は46.7→47.6と増加に転じている。
工業金属価格に対する説明力が高い新規受注在庫レシオは、完成品が1.069(前月1.093)、原材料が1.067(1.073)と両指数とも小幅に低下しており国内の需給が緩和していることをうかがわせる。
これまで非鉄金属価格の上昇を牽引してきたのは中国の住宅セクターであるが、7月の中国の建設業PMIは57.5(60.1)と高い水準ではあるが前月から減速しており、鉄鋼製品価格の上昇や中国政府による住宅バブル抑制方針が影響しているとみられる。
7月の中国の貿易統計を見ると、ベンチマークである精錬銅の輸入は前年比▲44.3%の42万4,280トン(前月▲34.7%の42万8,000トン)と過去5年平均を下回り、減速感が鮮明となっている。
7月の銅精鉱の輸入+5.4%の188万7,000トン(前月+5.1%の167万1,000トン)と高い水準を維持してはいるが、過去5年の最高水準は下回っている。中国政府によるバブル抑制方針を背景に輸入が減少しているとみられるが、足下、企業支援目的の預金準備率の引き下げが実施されており、再び住宅セクターの回復で輸入は増加するのではないだろうか。
6月の銅スクラップの輸入は+118.8%の15万448トン(前月+103.1%の16万7,767トン)。
中期的には米国や欧州の財政出動、脱炭素の動きを受けた動向に左右されることになる。
米バイデン政権は上院の超党派で、8年間で1兆2,000億ドルのインフラ投資計画で合意した、と発表した。今回の合意では、道路・橋梁・主要プロジェクトに1,090億ドル、電力インフラに730億ドル、旅客・貨物鉄道に660億ドル、ブロードバンド・インターネットサービスに650億ドル、公共交通機関に490億ドル、空港に250億ドルを投じる。
さらには2022年度予算も戦後最大となる歳出を6兆ドルと、以上と戦後最大の水準とする方針。
これらの需要は景気に関係なく発生する需要であるため、需要の見通しは底堅く、価格の調整があっても下値余地は限定される可能性が高い。
これまで中国が鉱物セクターの需要動向に関して主役であり、今後も非鉄金属価格の動向は中国動向が左右するが、「新規の需要」については欧米動向が重要になる可能性は意識しておきたいところ。
この場合、米国の景気回復=ドル高・金属価格上昇、という構図も考えられる。
こうした政策期待や、インドなどの新興諸国の需要増加を受けた構造的な需要増加を受けて、中・長期的に価格は下支えされ、堅調な推移になると考える。
米国・中国・インドがどのような動きをするかに環境政策は左右されるが、ここまでの各国の動きを見ていると当面は環境向けに使用される金属の需要増加は「今後10年・20年の大きなテーマ」となる可能性が高いと言える。
具体例を挙げると、軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル、銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルト、リチウムなどが挙げられる。
2020年の中国の新エネルギー車の販売は前年比+7.5%の137万台(前年124万台)となった。全体の自動車販売が2,523万台なのでシェアは5.4%(4.9%)と上昇している。それでも電気自動車が非鉄金属市場の重要なテーマになるには、あと数年は要するだろう。
【見通しの固有リスク/個別金属の特殊要因】
・猛暑や渇水による燃料価格上昇で、1.電力供給不足による稼働停止・供給減少、2.発燃料価格の上昇を通じて生産コストが上昇する、場合(価格上昇リスク)。
・米国経済が正常化する中でドル高が進行し、投機買いが膨らんでいる非鉄金属市場で投機の手仕舞い売り圧力が高まる場合(下落リスク)。
・米中間選挙に向けて、米民主党が追加でインフラ投資(2兆ドルのクリーンインフラ投資など)を議会の採決を得て実行に移す場合(上昇リスク)。
・主に銅山を中心とする労使交渉長期化による供給減少が、2021年も継続する場合(上昇リスク)。
・中国の環境規制強化に伴う供給の減少。エネルギー排出量の多い新疆ウイグル自治区でのアルミ生産は減産の影響は既に材料視されている(供給減少でアルミ価格の上昇要因に)。
・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。
・チリやペルーで広がる左派勢力伸長に伴う大衆迎合的な政策が可決し、鉱山生産に過剰なロイヤルティが適用される場合(供給減少ないしは生産コスト上昇で価格の上昇要因)。
チリで議論されている銅のロイヤルティ増税案の詳細は以下の通り。
年内実施予定の選挙結果では課税強化で生産コスト上昇、または減産となる可能性も。
3%の新ロイヤルティに加え、銅価格に連動して税額が賦課される仕組み。
2ドル~2.5ドル/ポンド(4,406~5,508ドル/トン):15%2.5ドル~3(5,508~6,609):35%3ドル~3.5(6,609~7,711):50%3.5ドル~4(7,710~8,813):60%4ドル~4.5(8,813~9,914):70%
年間販売量が5万トン未満の小規模生産者は品位95%の粗銅の場合▲5%の軽減税率、アノードの場合(99.4~99.6%)が適用される。
2023年までは現行の営業利益率によって5~14%の鉱業ロイヤルティが適用されるが、2024年以降は新税制を適用。
・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。
また、環境に配慮したメタル使用の義務化などが欧州で進む場合などのコストアップ(グリーン・メタルの義務化によるコスト増加)。
【投機筋のポジション動向】
・LME投機筋買い越し金額 前週比+0.7%の321億ドル(前週 319億ドル)・LME投機筋買い越し数量 前週比+3.7%の6,847.2千トン(前週 6,605.3千トン)
---≪鉄鋼原料≫---
【鉄鋼原料価格見通し】
鉄鉱石価格は中国政府の温室効果ガス排出量削減目的の鉄鋼製品生産減少を受けて、鉄鋼向け需要が減少すること、鉄鋼原料価格を牽引してきた中国の経済活動が中国政府の住宅セクターの加熱沈静化策の執行で鈍化を始めており、徐々に水準を切下げる展開が予想される。
ただし、同時に中国政府は金融緩和を行っていること、米欧中のインフラ投資による建材向け需要増加観測を背景に下落したとしても下値余地は限定されるのではないか。
中国共産党は2021年から始まった新しい5ヵ年計画で鉄鋼生産量の削減の必要性を表明している。今のところ昨年の生産量を超えないようにする、というのが中国政府の目標。
最大生産都市である唐山市は、2021年20日~12月31日まで、大気汚染基準に違反し、データを改ざんした4社は3月20日~6月末まで▲50%、7月~12月末まで▲30%減産、その他の16社は12月末まで▲30%の減産を新たに実施することを義務づけられている。
これにより、唐山市の粗鋼生産は前年比▲2,223万トンの1億2,177万トン、鉄鉱石需要は▲3,500万トン減少するとみられている。
別の話だが、半年後、北京オリンピック中に粗鋼生産が停止させられる可能性は高い。
粗鋼生産が減少すれば、鉄鉱石の在庫水準の指標である在庫日数も、分母が小さくなるため上昇が予想され、鉄鉱石価格の下落要因となる。これは原料炭も同様。
7月の中国鉄鋼業PMIを見ると、総合指数は43.1(前月45.1)と悪化した。生産指数が低下(50.7→43.1)したが、新規受注が国内向けがやや回復(34.8→36.8)したが、輸出向け新規受注(42.3→30.8)は大幅に悪化した。
中国の国内需給がタイトであることから、リベート撤廃などによる輸出抑制、鉄鋼原料輸入励行(関税引き下げ)、温室効果ガス排出削減の観点からの生産抑制など、非常にまだらな内容であるが、総じて鉄鋼セクターの景況感が悪化していることを確認するもの。
需要は不需要期、悪天候の影響で低迷しているが、粗鋼生産減少(意図的・不慮の両要因)が鉄鋼製品需給をタイト化させている。
需要の減少で目安となる新規受注・在庫レシオは、新規受注完成品レシオが1.16(前月0.74)と大幅に上昇、新規受注原材料レシオも1.03(0.93)と上昇しており、統計数値は低いが中国の鉄鋼製品需給バランスがタイトな状況が続いていることを示唆している。
鉄鋼原料価格の上昇を牽引してきた住宅セクターに関しては、7月の中国の建設業PMIは57.5(60.1)と高い水準ではあるが前月から減速しており、鉄鋼製品価格の上昇や中国政府による住宅バブル抑制方針が影響しているとみられる。
結果、鉄鋼製品需給がまだタイトな状態が続くことが鉄鋼原料価格を高止まりさせるが、全体の方向性は弱地合であり徐々に水準を切下げると考えるのが妥当だろう。
7月の中国の鉄鋼製品の輸入は前年比▲59.8%の104万9,000トン(前月▲33.4%の125万2,000トン)と減速し、過去5年平均を下回った。国内の鉄鋼製品需給緩和を目的とした輸出リベートの撤廃で国内需給が以前よりも緩和しているためとみられる。
6月の中国粗鋼生産は前年比+2.5%の9,388万トン(前月+7.8%の9,945万トン)と前年比での伸びが鈍化。生産調整の影響がでている。しかし、過去5年レンジは上回っており生産水準は高い。
一方、7月の鉄鋼製品の輸出は前年比+35.6%の566万9,000トン(前月+74.5%の645万8,000トン)と前月から前年比の伸びを縮小し、過去5年平均を下回る水準に減少している。やはり輸出リベートの撤廃の影響があるためと考えられる。
なお、中国の鉄鋼製品需要は旺盛とみられるが、在庫水準は前週比▲10万6,000トンの1,584万8,000トン(過去5年平均 1,121万3,000トン)と、例年と異なり減少している。生産調整の影響が顕在化した可能性がある。
原料である鉄鉱石の7月の輸入は前年比▲21.4%の8,851万トン(前月▲12.1%の8,942万トン)と減速した。中国政府の鉄鋼ミル稼働制限の動きが輸入を鈍化させたとみられる。また中国の鉄鉱石需要は鈍化している可能性がある。
なお、中国の最大の輸入相手である豪州では鉱山の人繰りが付かず生産が停滞しているとの指摘もあるが、直近5月の輸出統計では明確な減速は確認されていない。
鉄鉱石港湾在庫は前週比▲20万トンの1億2,805万トン(過去5年平均1億2,714万トン)、在庫日数は25.2日(過去5年平均 29.4日)と例年と比較して在庫日数の水準は低い。
ただし在庫日数の低さは粗鋼生産の水準の高さに依拠するため、中国政府の鉄鋼生産抑制方針を受けて在庫日数は早晩、上昇に転じ、価格の下押し要因になると予想される。
原料炭は中国の生産活動回復が継続していること、国内の鉄鋼需要が公共投資で底堅いことから、同様に底堅い推移になると考える。
しかし、中国政府は原料炭を含む石炭の国内生産を増加させる方針であることから、海上輸送原料炭価格の上値も重い。
6月の中国の原料炭輸入は前年比▲33.9%の413万4,210トン(前月▲28.7%の341万1,925トン)と減少幅を拡大している。例年よりも輸入の水準は低い。
中国の港湾在庫の水準は鉄鋼の最大生産省である河北省の主要港である、京唐港の港湾在庫は前週比▲18万トンの125万トンと過去5年平均の151万6,000万トンを下回っている。
在庫日数は4.6日(▲0.7日)と、過去5年の平均である6.3日を大きく下回り再びタイト化している。しかし、中国政府の方針を受けた粗鋼生産の減少の可能性は高く、価格には下押し圧力が掛る公算。
【見通しの固有リスク】
・鉄鉱石価格の上昇がレーショニング(価格上昇による需要減少)を引き起こす場合(価格下落要因)。
・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合(価格上昇要因)。
・コロナウイルスの感染拡大長期化による、鉱山生産の減少リスク(価格上昇要因)。
・中国とインドの国境紛争の激化で、インドが中国に対して鉄鉱石輸出を制限する可能性(中国のFOBインデックスは上昇、その他の地域の鉄鉱石価格は低下)。
---≪貴金属≫---
【貴金属価格見通し】
<<金>>
金は調整圧力が強まる展開が予想される。米雇用関連統計の改善を背景にテーパリング開始観測が強まり、米長期金利に上昇圧力が掛っていることが背景。
ただし、リスク・プレミアムの低下が余りに顕著であり過去5年平均比で100ドル程度割安であることから、水準訂正の買い戻しはあると考えている。
なお、過去5年平均を基準にすると名目金利1bpに対する金価格の感応度は±3ドル弱であり、米10年金利が現在の水準から30bp上昇すれば▲100ドル弱の下落圧力となる(60bpで▲200ドル)。
現在の金の実質金利で説明可能な価格(金基準価格)は1,681ドルと前日から+11ドル上昇、そこからの乖離(リスク・プレミアム)は71ドルと昨日から+12ドル上昇した。
リスク・プレミアムは、過去3ヵ月平均で190ドル、6ヵ月で190ドル、1年で210ドル、5年で170ドルとなっている(数字は10ドル未満を四捨六入)。
なお、金価格を実質金利要因と為替要因に分類した場合、為替要因はリスク・プレミアムのところに内包されると整理している(為替は名目金利の影響も受けるので、純粋に為替の要因のみ切り出すのが困難であることから)。
※毎日回帰分析をアップデートし、リスク・プレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない場合があります。
<<銀>>
銀価格は金価格との比較感で売買されるが、金銀レシオは現在、74.4倍。過去1年を基準にすると71倍、5年では80倍、2000年以降では66倍程度が妥当。
今後、さらに金銀レシオが低下するには、実際に太陽光パネルの設置が米国で進捗するなどの新規材料が必要になると見られるが、米政府は新疆ウイグル自治区問題を背景に輸入を制限する見通しであり足下その期待は後退している。
なお、銀価格=金価格÷金銀レシオ であり、金銀レシオが低下することで金価格が変動した時の弾性値が上昇(ボラティリティは上昇し、足元金の2倍に上昇)する点は留意。
(例)金が2,000ドル、銀が20ドルのとき 金銀レシオが100倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1セント変化 金の変化率は±0.05%、銀は±0.05%
金銀レシオが1倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1ドル変化 金の上昇率は±0.05%、銀は±5%
<<PGM>>
プラチナ価格は銀価格との連動性が高い。これは供給過剰で投機的な取引の影響が強まっていることによる。プラチナの需給バランスはWPICデータを元にすると今年も除く投機で供給過剰であり、投機動向が価格を左右しやすい。
パラジウムは経済活動正常化期待による金価格調整→経済正常化による需要増加を受けて高値を維持すると考える。
7月の米自動車販売は年率1,475万台(市場予想1,510万台、前月1,536万台)と減速。目先は価格の下落要因となりやすい。
中国の6月の自動車販売は中国自動車工業協会の集計で前年比▲12.4%の201万5,309台(前月▲3.0%の212万7,000台、4月+8.8%の225万台、3月+76.5%の252万5,000台、2月+371%の146万台、1月+30%の250万台、12月+6.4%の283万台、11月+12.7%の276万9,666台、10月+12.6%の257万3,000台、9月+13.0%の256万5,201台)と前年比マイナス幅を拡大しており、明らかに販売に減速が見られる。
半導体不足が自動車生産に影響を及ぼしているとみられる。調査会社のオートフォーキャスト・ソリューションズによれば半導体不足による供給減少の累積は7月16日時点で167万8,000台となっており、2019年1-7月期の966万9,484台から▲17.4%減少している。
この回復がある、ないしは供給側の混乱(南アフリカ)による生産減少がなければ、PGM価格は低水準で推移しよう。
【見通しの固有リスク】
・個人投資家のETFを通じた買いが、経済合理性を無視した水準まで貴金属価格を押し上げるリスク。
・主要生産国の南アフリカの電力供給不安や、コロナウイルスの影響拡大で供給が滞る場合(PGMの価格上昇要因)。
・コロナからの回復は各国まだらであり、先行する米国が金融正常化に動いた場合、新興国から資金が流出して信用リスクが高まる場合(安全資産価格の上昇要因)。
・米中の対立激化。バイデン政権は対中強硬姿勢を明確にしており、対立がさらに激化する場合(安全資産価格の上昇要因)。
・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加(実際に破綻が意識されるのは2030年以降か)。
・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。
環境重視型社会へのシフトはパラジウム需要を増加させるが、さらに加速して「水素社会」まで到達すると、燃料電池車需要が増加して構造的にプラチナ価格の上昇要因となる可能性。
・コロナウイルスの感染拡大による、最大生産国の1つである南アフリカの鉱山稼働が電力供給問題もあって不安定であることによる供給懸念。
【投機筋のポジション動向】
・直近の投機筋のポジションは、金はロングが273,143枚(前週比 ▲545枚)、ショートが76,808枚(+2,508枚)、ネットロングは196,335枚(▲3,053枚)、銀が66,192枚(▲541枚)、ショートが30,053枚(▲5,463枚)、ネットロングは36,139枚(+4,922枚)
・直近の投機筋のポジションは以下の通り。
プラチナはロングが30,735枚(前週比 +216枚)ショートが21,931枚(+3,207枚)、ネットロングは8,804枚(▲2,991枚)
パラジウムが5,118枚(+199枚)、ショートが4,030枚(+286枚)ネットロングは1,088枚(▲87枚)
---≪農産品≫---
【穀物価格見通し】
シカゴ穀物価格は現在の水準でもみ合うものと考える。既にラニーニャ現象の終了を織り込んでトウモロコシ・大豆の水準は大きく低下しているが、200日移動平均線でサポートされており、北米の気象状況の悪化が供給懸念を強めるため。
春小麦は乾燥気候の影響もあって作柄が悪く、ロシアの生産見通しも下方修正されていることからさらに上昇余地を探る展開に。
ただし小麦の場合、毎年のことであるが最終的には供給のつじつまが合うことが多いため、年後半に掛けては下落に転じることになろう。
7月の中国の大豆輸入は前年比▲14.0%の867万4,000トン(前月▲3.9%の1,072万2,000トン)と前年から急速に減少し、過去5年平均を下回っている。豚向けの需要増加で輸入も増加していたが、影響が一巡した可能性がある。
Locust WatchではFAOの予想通り、降雨がなかったため群生相の発生は極めて抑制されている。Locust Watchでも今のところ差し迫った危機の発生リスクは指摘されていない。
http://www.fao.org/ag/locusts/common/ecg/75/en/210805forecast.jpg
【見通しの固有リスク】
・エルニーニョ現象発生による生産条件改善を受けた増産観測(価格の下落要因)。
・環境重視型社会へのシフトにより、燃料向け穀物需要が増加する場合(価格の上昇要因)。現在はそれほどの数量でもない、バイオディーゼル向けの大豆需要増加など。
・新型コロナウイルスの影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。
【米農務省需給報告データ】
・米作付け意向面積トウモロコシ 9,114万エーカー(市場予想9,313万エーカー、前年9,699万エーカー)大豆 8,760万エーカー(9,010万エーカー、8,351万エーカー)小麦 4,636万エーカー(4,495万エーカー、4,466万エーカー)綿花 1,204万エーカー(1,215万エーカー、1,370万エーカー)
・米穀物最終作付け面積 実績(前年)トウモロコシ 9,269万エーカー(9,082万エーカー)大豆 8,756万エーカー(8,383万エーカー)小麦 4,674万エーカー(4,425万エーカー)
・7月米需給報告単収見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 179.5Bu/エーカー(178.74、179.5)大豆 50.8Bu/エーカー(50.64、50.8)小麦 45.8Bu/エーカー(NA、50.7)
・7月米需給報告生産見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 151億6,500万Bu(151億748万Bu、149億9,000万Bu)大豆 44億500万Bu(43億9,211万Bu、44億500万Bu)小麦 17億4,600万Bu(18億4,343万Bu、18億9,800万Bu)
・7月米需給報告輸出見通し(実績/前月)トウモロコシ 25億Bu(24億5,000万Bu)大豆 20億7,500万Bu(20億7,500万Bu)小麦 8億7,500Bu(9億Bu)
・7月米需給報告在庫見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 14億3,200万Bu(13億6,114万Bu、13億5,700万Bu)大豆 1億5,500万Bu(1億4,675万Bu、1億5,500万Bu)小麦 6億6,500万Bu(7億2,356万Bu、7億7,000万Bu)
・6月末四半期在庫 実績(前期末)トウモロコシ 41億1,200万Bu(77億1004万Bu)大豆 7億6,700万Bu(15億6,400万Bu)小麦 8億4,400万Bu(13億1,400万Bu)
・8月CONABブラジル作付け面積(市場予想/前月)トウモロコシ 1,982万ha(1,977万ha、1,983万ha)大豆 3,853万ha(3,870万ha、3,851万ha)
・8月CONABブラジル生産量(市場予想/前月)トウモロコシ 8,665万トン(8,672万トン、9,338万トン) 単収 4,371kg/ha(4,388Kg/ha、4,709kg/ha)大豆 1億3,598万トン(1億3,666万トン、1億3,591万トン) 単収 3,529kg/ha(3,534Kg/ha、3,529kg/ha)
【投機筋のポジション動向】
・直近の投機筋のポジションは以下の通り。
トウモロコシはロングが404,859枚(前週比 +11,396枚)、ショートが86,816枚(+30枚)ネットロングは318,043枚(+11,366枚)
大豆はロングが182,394枚(▲6,151枚)、ショートが66,591枚(+3,707枚)ネットロングは115,803枚(▲9,858枚)
小麦はロングが119,516枚(+13,158枚)、ショートが78,539枚(+2,369枚)ネットロングは40,977枚(+10,789枚)
◆本日のMRA's Eye
「素材価格上昇の業績への影響」
企業決算がピークを迎えたが、昨年との実績対比で見た場合の業績改善は顕著である。しかしそれと同時に調達コストの上昇が営業利益が圧迫された企業も多い。
素材価格の上昇はコロナの影響による景気減速を回避するため、各国が積極的に経済対策を行ったこと、コロナの感染が密な環境での生産を余儀なくされる鉱産国で広がったことで生産に影響が出たこと、やはりコロナの影響によるロックダウンや人の移動制限での空運の輸送能力低下、それに伴う海上輸送市場の逼迫といった輸送面での影響が出たことが影響している。
またこれに加えて、コロナと直接関係がないがバイデン政権がパリ協定を批准したことで脱炭素の動きが加速、脱化石燃料を目指した鉱物資源需要の増加期待が高まったことも、投機的な需要の増加を通じて価格を押し上げることになった。
日本は資源のほとんどを海外からの輸入に頼っているが、主要商品の輸入額を見ると石炭(発電や鉄鋼向け)が最も多く、次いで原油・石油製品となっている。原油は4割が火力発電や家庭向けの熱源に用いられ、4割が自動車、船、飛行機などの輸送燃料、2割が化学製品の原料に用いられている。
そして化学製品などは二次製品、三次製品の市場もあり、発電向けに用いられるエネルギーについては、電力市場という下流市場が存在するため実際には貿易統計で把握される金額よりも市場は大きい。
ここで重要なのは、日本は産業構造が変わらない限りこれらの商品を海外から輸入し続けなければならず、かつ、その価格は海外の市場で決定されていて企業の自助努力ではなんとも出来ないことだ。
素材価格上昇時にはコスト削減や値引き交渉が行われるが、市場価格を上回る値下げは出来ないし、そもそも使用している素材をゼロにしない限り必ず市場価格の変動リスクに晒されることになる。
ではどの企業がどの程度、市場価格の変動リスクの影響を受けるのか。産業関連表(2015年調査)などを元に売上に占めるエネルギーコストの影響をみるとグラフの通りとなる(明らかにエネルギー売買を生業としている石油製品製造や電力・ガス、地域熱供給業は除く)。
エネルギーコストは業種にもよるが、ガソリンやガスなどのエネルギーそのものを販売するケースを除けば、その上昇分を消費者に転嫁しにくい。そのためこれらの価格の上昇は通常、利益の圧迫要因となる。
では金属資源についてはどうか。金属は鋼材、非鉄金属、鋼管など品目が非常に多岐にわたるためひとまとめとして計算し、こちらも鉄鋼業など明らかに金属の生産販売を行っている業種を除いてグラフにした。やはり多くの企業が鉱物資源価格の変動リスクに晒されていることが分る。
エネルギーよりは販売先にその調達価格の変化分を転嫁しやすいが、それでも価格転嫁には時間がかかり、やはり価格上昇局面では業績の圧迫要因となりやすい。
そして、エネルギー・金属とも同じだが、CMEやICEといった国際市場で価格が変動してから調達コストに影響が及ぶまでに時間差がある。電気やガスは原燃料費調整制度の影響で概ね6ヵ月程度の時間差があり、これらの原材料を元に生産される部品も調達から製造、販売までの時間が考慮されることになるため数ヵ月の時間差がある。
そのため、市場価格が現在上昇していれば、その価格上昇の影響は遅れて顕在化することになる。そしてその結果が株価に反映されるのは多くの場合四半期決算の結果を見てからであるため、さらにタイミングにズレが生じることになる。半年程度の時間差が調達コストに影響していると仮定すれば、2021年7-9月期以降の方が商品価格上昇の影響が大きくなる可能性が高い。
もちろん、各企業のビジネス自体がより重要であるが素材価格の高騰と高い変動性が続く以上、企業にとって素材価格のリスク制御は重要な経営目標の1つになっている。このリスクへの対応可否が企業業績を左右することが予想される。
ただ、実際に価格が上昇してから対応しようとしてもなかなか難しい。そのためこうした事態が顕在化する前に、事前に対応することが必要になる。まずは現状把握が必須であるが、一度、調達している素材の種類、価格決定のフォーミュラなどを見直すべきである。
◆主要ニュース
・7月日本マネーストックM2 前年比+5.2%(前月+5.8%)M3 前年比+4.6%(+5.1%)
・7月日本工作機械受注速報 前年比+93.4%の1,349億7,400万円(前月+96.6%の1,320億8,100万円)
外需+103.4%の914億9,600万円(+99.5%の874億2,500万円)
・7月中国マネーサプライ M2 前年比+8.3%の230兆2,200億元(前月+8.6%の231兆7,800億元)
M1 +4.9%の62兆400億元(+5.5%の63兆7,500億元)
ファイナンス規模 1兆600億元(3兆6,689億元)
国内企業全体の総財務残高 302兆5,000億元(301兆6,000億元)
・7月中国人民元建て新規融資
前年比+8.8%の10,800億元(前月+17.1%の21,200億元)
・7月独消費者物価指数 前月比+0.5%(前月+0.4%)
前年比+3.1%(+2.1%)
・米MBA住宅ローン
申請指数 前週比 +2.8%(前週▲1.7%)
購入指数 +1.8%(▲1.7%)
借換指数 +3.2%(▲1.7%)
固定金利30年 2.99%(2.97%)
15年 2.35%(2.33%)
・7月米消費者物価指数 前月比+0.5%(前月+0.9%)、前年比 +5.4%(+5.4%)
コア 前月比+0.3%(+0.9%)、前年比+4.3%(+4.5%)
・7月米実質平均賃金 前年比▲0.7%(前月▲1.0%)
実質平均時給▲1.2%(▲1.6%)
・米上院、3兆5,000億ドルの財政支出案を可決。下院で可決すれば10年間で3.5兆ドルの財政支出案を民主党単独で可決できる環境が整う。9月15日までに上院民主党は歳出・歳入の具体的な法案をまとめる。この際、「財政調整措置」とうい仕組みを用いるため、民主党全員が賛成すれば単独過半数で可決できる。
◆エネルギー・メタル関連ニュース
【エネルギー】
・DOE米石油統計 原油▲0.4MB(クッシング▲0.3MB)
ガソリン▲1.4MB
ディスティレート+1.8MB
稼働率+0.5
原油・石油製品輸出 8,138KBD(前週比▲132KBD)
原油輸出 2,380KBD(▲340KBD)
ガソリン輸出 739KBD(±0KBD)
ディスティレート輸出 1,164KBD(▲58KBD)
レジデュアル輸出 101KBD(▲26KBD)
プロパン・プロピレン輸出 1,347KBD(+92KBD)
その他石油製品輸出 2,291KBD(+182KBD)
・DOE天然ガス稼働在庫市場予想 +389BCF(前週+387BCF)
【メタル】
・チリ Andina鉱山(2020年生産量18万4,500トン)労働者、Codelcoの賃金提案を拒否、ストライキに突入へ。
・豪州最大のアルミニウム精錬所Tomago Aluminum、2029年から再生可能エネルギー業者と電力供給契約を締結の計画。
◆主要商品騰落率
【上昇率上位5商品】
商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.MDEパーム油 ( その他農産品 )/ +4.24%/ +19.30%
2.LMEニッケル 3M ( ベースメタル )/ +2.83%/ +17.20%
3.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ +2.61%/ +102.94%
4.SHF錫 ( ベースメタル )/ +2.48%/ +60.10%
5.プラチナ ( 貴金属 )/ +2.32%/ ▲4.54%
【下落率上位5商品】
商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
66.CBT大豆 ( 穀物 )/ ▲2.90%/ +6.86%
65.CBT大豆油 ( 穀物 )/ ▲2.87%/ +46.62%
64.CME木材 ( その他農産品 )/ ▲2.22%/ ▲43.43%
63.CBT大豆ミール ( 穀物 )/ ▲1.36%/ ▲18.19%
62.NYB綿花 ( その他農産品 )/ ▲1.19%/ +17.31%
※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。
◆主要指標
【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :35,484.97(+220.30)
S&P500 :4,447.70(+10.95)
日経平均株価 :28,070.51(+182.36)
ドル円 :110.43(▲0.14)
ユーロ円 :129.63(+0.05)
米10年債 :1.33(▲0.02)
中国10年債利回り :2.88(+0.01)
日本10年債利回り :0.04(+0.01)
独10年債利回り :▲0.46(▲0.01)
ビットコイン :46,345.49(+702.59)
【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :28.32(▲0.48)
エネルギー :31.75(▲0.12)
ベースメタル :19.12(+0.21)
貴金属 :22.71(+0.1)
穀物 :30.92(+0.04)
その他農畜産品 :31.03(▲1.34)
【主要商品ボラティリティ】
WTI :42.96(▲0.46)
Brent :40.09(▲0.29)
米天然ガス :32.28(▲0.32)
米ガソリン :36.90(+0.24)
ICEガスオイル :34.78(+0.02)
LME銅 :16.82(▲0)
LMEアルミニウム :21.66(▲0.34)
金 :19.90(+1.22)
プラチナ :27.34(+0.21)
トウモロコシ :71.44(+0.15)
大豆 :19.90(+1.22)
【エネルギー】
WTI :69.25(+0.96)
Brent :71.44(+0.81)
Oman :70.50(+0.75)
米ガソリン :230.22(+3.43)
米灯油 :210.58(+2.56)
ICEガスオイル :575.50(▲4.00)
米天然ガス :4.06(▲0.03)
英天然ガス :114.46(+2.91)
【貴金属】
金 :1751.70(+22.77)
銀 :23.55(+0.20)
プラチナ :1023.49(+23.18)
パラジウム :2640.09(▲7.08)
※ニューヨーククローズ。
【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :9,451(+16:29.5C)
亜鉛 :3,028(+41:9C)
鉛 :2,309(+16:42B)
アルミニウム :2,578(▲8:0.5B)
ニッケル :18,902(+164:17C)
錫 :35,350(+212:890B)
コバルト :52,351(▲11)
(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :9535.00(+22.50)
亜鉛 :3047.00(+47.00)
鉛 :2318.00(+21.50)
アルミニウム :2585.00(▲1.00)
ニッケル :19420.00(+535.00)
錫 :35795.00(+750.00)
バルチック海運指数 :3,410.00(+35.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック
【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR中国、1営業日前) :166.96(+1.57)
SGX鉄鉱石 :168.56(+2.79)
NYMEX鉄鉱石 :169.06(+0.47)
NYMEX豪州原料炭スワップ先物 :219.5(+1.00)
大連原料炭先物 :341.38(+5.19)
上海鉄筋直近限月 :5,353(+42)
上海鉄筋中心限月 :5,556(+130)
米鉄スクラップ :647(▲5.00)
【農産物】
大豆 :1405.50(▲42.00)
シカゴ大豆ミール :355.40(▲4.90)
シカゴ大豆油 :63.53(▲1.88)
マレーシア パーム油 :4642.00(+189.00)
シカゴ とうもろこし :556.25(+7.00)
シカゴ小麦 :727.00(±0.0)
シンガポールゴム :193.20(+0.70)
上海ゴム :13680.00(+105.00)
砂糖 :19.47(▲0.12)
アラビカ :183.85(+1.85)
ロブスタ :1859.00(+1.00)
綿花 :91.64(▲1.10)
【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :109.63(▲0.05)
シカゴ生牛 :122.95(▲0.70)
シカゴ飼育牛 :158.78(▲0.55)
※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。