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テーパリングの影響への楽観続き堅調
  • MRA商品市場レポート

2021年6月28日 第1983号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「テーパリングの影響への楽観続き堅調」

【昨日の市場動向総括】

週末の商品価格は前日比引き続き、穀物セクターが下落した一方、その他農産品セクターやエネルギー、非鉄金属などは物色されて水準を切り上げる流れとなった。

テーパリング開始議論が四半期末ということもあって価格を押し下げてきたが「それほどのペースで金融緩和解除が起きるとは思えない」と考える市場参加者の買い戻しが、その手仕舞い売り圧力を上回っているようだ。

弊社はテーパリング開始を受けた年末への価格調整(ある意味健全な価格調整)の発生を想定しているが、それ以上に市場は景気の先行きを前渡してリスク資産動向に楽観(上昇を続ける)と見ているようだ。

この中では、1.想定以上に価格が上昇するリスク、2.それ以降に調整が発生した場合の調整幅の大きさ、をリスクとして意識する必要が出てくる。

当面、商品セクターの強気は続きそうだが、Q421以降の調整リスクは要警戒である。

【本日の見通し】

週明け月曜日は目立った手がかり材料に乏しく、多くの商品がレンジワークとなるだろう。ただ、それでも四半期末であるため、利益確定の売り圧力が価格を下押しすると考える。

今週の材料としては「期待インフレ率に影響を与える」という意味で、原油価格の足下の重要な売買材料となっているOPECプラス、OPEC総会の動向に注目している。

また、金融政策の方向性を判断する上で重要な、米ISM製造業指数や米雇用統計の発表を週末に控えているため週前半は動意薄い展開になるのではないか。

【セクター別動向と見通し】

◆エネルギー

原油価格は上昇した。来週OPEC総会を控えて一旦売られると考えていたが、米経済統計がさほど悪い内容ではないことや株高を背景に、下落後上昇し、前日比プラスで引けた。OPECプラス会合では増産幅が限定される、との見方が強まっている。

豪州石炭スワップ先物価格は上昇して130ドルを突破。夏場に向けた中国・日本を含むアジア地域の調達需要は旺盛とみられる。中国の6大電力会社の石炭在庫の水準は引き続き低い状態。バルチック海運指数は上昇。

JKM先物市場は上昇して13ドルに迫る展開。夏場に向けた在庫積み増しの動きが継続していること、競合地域である欧州の天然ガス価格上昇が影響した。

欧州のガス価格上昇は入札の結果、ロシアのウクライナ経由の供給が減少するとの見方が、この数日のメンテナンスによる供給減少が価格を押し上げている。

米天然ガスは、西部の気温低下が引き続き材料視され上昇。

6月14日~6月20日の世界のLNG取引は750万トンと先週から+10万トン増加。そのうち29%(前週27%)がスポットで取引された。季節的な需要増加は続いている。

輸入は日本・韓国・中国・台湾、南アジア(ターム契約の枠内輸入増加とみられる)、中東、南米など、ほぼ全地域での輸入が旺盛だったが、ターミナルのメンテナンスなどの影響で西欧州の輸入が減少している。

スポットLNGタンカーレートはスエズ東西とも上昇を継続しており、今後再びLNGの価格は上昇圧力が強まることが予想される。

週明け月曜日はイベントが少ない中、週後半の上昇が大きかったこと、火曜日以降のOPECプラス会合を控えて一旦売り圧力が強まる展開を予想。今のところ四半期末を意識した利益確定の動きはさほど見られていない。

石炭は在庫減少に伴う夏場に向けた調達圧力の高まり継続で高値維持。

天然ガスは、スポットカーゴのレート上昇から需要はまだ旺盛とみられ、極東・欧州ともLNG需要は旺盛と見られることから高値を維持の見込み。

◆非鉄金属

LME非鉄金属価格は総じて堅調な推移となった。バイデン政権のインフラ投資が、当初の予定よりも規模が縮小したものの、明確に鉱物資源需要を増加させるとみられたことが材料となっている。

昨日の価格は下落するとみていたが、それ以上にインフラ投資や金融引き締めへの過度な懸念が後退した影響が大きいようだ。

これまで中国が鉱物セクターの需要動向に関して主役であり、今後も非鉄金属価格の動向は中国動向が左右するが、「新規の需要」については欧米動向が重要になる、ということだ。

そこまでにはまだ至らないと思うが、米国の景気回復=ドル高・金属価格上昇、という構図も考えられる。

週明け月曜日は手がかり材料に乏しいため、週末の流れを引き継いで上昇する展開が予想される。しかし、ドル高が同時に進行していること、この数日の上昇が大きかったことから一旦売られると考える。

◆鉄鋼・鉄鋼原料

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは上昇、大連先物は上昇、豪州原料炭スワップ先物は上昇、大連原料炭先物は上昇、上海鉄鋼製品先物は上昇した。

中国共産党結党100周年記念を控えて工場の稼働が停止する中で価格が下落し、先物に割安感が出てきたことから買いが続いているとみられる。

週明け月曜日も、中国の祝祭に備えた工業活動の停止が特に鉄鋼製品価格の上昇を抑制するため、引き続き鉄鋼原料スワップ先物価格は現状水準でのもみ合いを予想。

◆貴金属

昨日の貴金属セクターは小動き。新規材料に乏しく週末を控えたポジション調整取引が主体だったと考えられる。

週明け月曜日も材料に乏しく、もみ合いを予想。来週は重要統計の発表が多いが、目先はOPECプラス動向を受けた、期待インフレ率動向だろう。月曜日は動意薄いとみる。

◆穀物

穀物価格は大幅に下落。米最高裁が製油所のエタノールなどバイオ燃料の混合比率を引き上げる連邦法に関して、法律の適用除外を求めた小規模製油業者の主張を支持したことで、バイオ燃料向けの需要減少観測が強まり、投機の手仕舞い売り圧力を強める形となった。

また、月末発表予定の作付面積も、作付意向面積から増加するとの見方が強まっており、このことも価格を下押しした。

作付意向面積の結果、作付面積の市場予想は以下の通り。小麦は作付面積が減少する見込みで価格の上昇要因に。

・米穀物最終作付け面積 市場予想(作付意向面積、前年)トウモロコシ 9,378万エーカー(9,114万エーカー、9,201万エーカー)大豆 8,907万エーカー(8,760万エーカー、8,383万エーカー)小麦 4,601万エーカー(4,636万エーカー、4,425万エーカー)

移動平均線などを元にすると、トウモロコシは615~680セント、大豆は1,315~1,460セント、小麦は635~690セントが当面の取引価格のコアレンジとなる公算。

週明け月曜日は目立った手がかり材料に乏しく、為替も方向性が出難いため、上記の作付面積増加観測を背景に軟調な推移になると予想、ただし基本は上記のレンジでのレンジワーク。

※中長期見通しは個別セクターのコラムをご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【昨日のトピックス】

6月はFOMCショックが市場を揺らしたが、今週は重要統計の発表が多数予定されており、米テーパリングが予定通り行われるかどうかが判断されることになるが、恐らく、テーパリングの議論が中断されるようなことにはならないと考える。

その意味で、不連続な材料としては中国共産党結党100周年記念に注目している。中国の報道によれば、中央宣伝部の王暁暉副部長は

・共産党史学習教育・祝賀会・勲章授与(共産党は政権を1949年に奪取している)・芸術講演・理論シンポジウムと座談会・文化芸術作品および出版物の創作・発行・大衆向け宣伝教育活動(編集は認めない)

といったイベントが予定されている。当然、習近平主席のスピーチが予定されているが、欧米との対立や双循環などの話はでると思われるが特段、経済にとってプラスになるような材料は出てこないと思われる。

【マクロ見通しのリスクシナリオ】

・来年の中間選挙を控えて、バイデン大統領が国内の支持を得られない場合。恐らく選挙を考えると今年の夏までが勝負。

財政面や企業負担増の理由から造反が発生し、議会を通過しない場合は景気のリスクに(景気減速要因)。

・米財政出動が加速、景気回復期待を受けた価格上昇が顕著となる場合。

この場合、長期金利上昇でドル高が進行しやすく価格の下落を意識しなければならない。

夏のジャクソンホールのシンポジウムでのテーパリング開始宣言が妥当だが、6月のFOMCでFRBはタカ派に転じた可能性が高く、場合によると7月FOMCで宣言される可能性も否定出来ず。

・コロナウイルスの感染再拡大(変異種に対してワクチンの効果が期待ほどではなかった場合など)によるロックダウンが景気循環系商品の需要を減じる場合(価格下落要因)。これは既に欧州、インド、日本などで顕在化。

逆に想定以上にワクチン・治療薬の開発が速やかに行われた場合は需要の増加要因に。

・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。

逆に脱炭素に向けたインフラ投資の加速で資源価格が急上昇、金融緩和マネーが大量に市場に滞留する中でハイパーインフレとなるリスク。

・米中対立激化による、新冷戦構造が発現しブロック経済圏が発生して貿易活動が鈍化する場合(場合によると武力衝突も)。

「能動的に」軍事を行う方針に舵を切った中国習近平政権が、台湾統一を目指して侵略する可能性は高くなった。

・次の成長ドライバーとして期待されるインド経済が、期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。

2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2023~2024年頃。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(これは人口動態を考えると、現実のリスクとなるのは2030年以降か)。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油価格見通し】

原油価格は需要回復と、中東情勢への不透明さ、増産の遅れが価格を押し上げるものの、米テーパリングの進捗観測が上値を抑えるため高値圏でもみ合うと考える。

過去のケースでもテーパリング開始宣言からファイナンシャルな面で売り圧力が強まり、原油価格も下落した。今のところ2023年に2回の利上げが見込まれ、場合によると2022年にも利上げの可能性がある。

しかし、需要面ではコロナのワクチン接種進捗により人や物の移動が増加する見通しであることが需要面で、イランの大統領選挙で強硬派のライシ師が圧勝、イラン核合意復帰はその可能性は高いと考えているが、合意に至るまでには紆余曲折が予想されるため、非OPEC諸国では環境保護派が裁判所を使ったり、取締役を入り込ませて原油の増産を阻んでいる状況下、供給面が強く意識されて価格を下支えすると予想する。

また、イスラエルで連立政権が誕生したが、ネタニヤフ前首相よりもタカ派と言われるベネット党首が輪番制で2年間首相を務める。イランで保守強硬派の大統領が誕生したことで対立がさらに深まり、武力衝突に発展する可能性も排除出来なくなってきた。

【見通しの固有リスク】

・ワクチン接種の進捗が想定よりも早まり、人の移動制限が解除され需要増加に供給が間に合わず、価格が急騰するリスク(価格の上昇要因)。

同時に変異株が猛威を振るい、ワクチンが効かない場合(需要減少で下落リスク)。

・米国経済が正常化する中でテーパリングなどの金融緩和解除が加速、急速なドル高を通じて投機的な売り圧力が高まる場合(価格の下落要因)。

・OPECプラスの増産タイミングの見誤りによる、供給不足。またはイランを巡り武力衝突や制裁解除が遅れた場合(価格上昇要因)。

米国の橋渡しでイランとサウジを初めとするスンニ派諸国が和解、中東の緊張が緩和するシナリオも排除せず(下落要因)。

・脱炭素の進捗、生活様式の変化による構造的な需要減少が加速した場合

1.中東産油国の財政悪化によって情勢不安が顕在化、供給途絶リスクが高まる場合

2.中東以外の産油国の生産者の破綻

3.上流投資部門投資が減速し、インドなどの新興国需要顕在化時に供給が間に合わない場合

4.価格面、数量面で予算を確保できない産油国が、OSPを大幅に引き上げる場合(第3次オイルショック)

などが価格上昇要因に。

・脱炭素の過剰な進捗による供給懸念(価格上昇要因)。

かなり過剰なペースで脱炭素が進められており、裁判所を使ってまでシェルに脱炭素推進を促し、ヘッジファンドが株主としてエクソンに対して脱炭素を促し、自身のポートフォリオの価値を上げる目的で取締役を送り込むといったことも常態化しはじめており、「比較的タイムリーな増産」が可能だった米国の生産が増えない可能性は極めて高い。

この場合、「脱炭素移行期間には十分な燃料供給が出来ないリスク」が高まり、来年以降の価格上昇局面で原油価格が100ドルを超えるリスク(ただしまだリスクシナリオの位置づけ)。

なお、脱炭素が完了しても100%原油が不要になることはなく、OPECの価格支配力が増すため、この場合でも価格は上昇へ。

【石炭価格見通し】

海上輸送石炭価格は高値圏を維持すると予想される。欧州排出枠価格が供給減少により2021年の需給がタイトとみられること、中国の製造業活動の回復とそれを受けた電力向け需要が堅調と見られることが背景。

なお、FRBがタカ派に転じたことがリスク資産価格の下押し要因となっているが、脱炭素の流れの中ではファンドですら石炭を投資対象とし難く、その影響は限定と考える。

中国政府は国内炭の供給能力増強にシフトしているが、経済活動の回復に供給が十分ではない。夏場の調達に目処が立てば調整すると見られるが、足下、中国の6大電力会社の石炭在庫水準は過去5年レンジの最低水準と低く、高値圏維持を予想。

ただし、3月の豪雨の影響で供給が減少していた豪州の輸出増加や、環境規制強化の中で石炭需要は減速するとみられること、脱炭素の流れと逆行するが中国政府は海外との対立によって石炭調達に支障が出ることを回避するため、国内生産を増加させていることから海上輸送炭価格の上値は重くなると予想される。

5月の石炭輸入は前年比▲4.6%の2,104万トン(前月▲29.8%の2,173万トン)と減少傾向が続いた。中国の需要増加に伴う電力需要回復で進んでいた石炭輸入だが、バルチック海運指数の減速も始まっており、そろそろ目処が立ちつつあると見られる。

しかし、中国6大電力会社の石炭在庫の水準は低く、まだ、季節的な石炭輸入需要の増加は続くと考える。石炭価格の下落は夏場の在庫調達が一巡する必要があるため、7月頃までは高止まりする可能性が高い。

【見通しの固有リスク】

・世界的な環境重視型世界へのシフトを受けた、石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。短期的には価格の上昇要因。

・中国と豪州の対立、中国国内の生産能力増強に伴う、海上輸送炭需要の減少。

・北半球の夏場の猛暑(/冷夏)・冬場の厳冬(暖冬)。

・エルニーニョ現象発生が予想される夏場にかけて、北半球が猛暑となるリスク(気象庁の分析では冷夏になりやすい。日本は西日本が猛暑になる可能性)

【天然ガス・LNG】

天然ガス価格は中国の経済活動が活発であり、電力向け需要増加が見込まれること、海上輸送石炭価格の高止まり、欧州のメンテナンスによる供給減少といったテクニカル要因で域内需給がタイト化し、価格を高値に維持する見込み。

なお、FRBがタカ派に転じ、リスク資産価格に下押し圧力がかかりやすい地合となっているが、LNG市場はまだ投機の物色対象となっていないことから影響は限定されると見ている。

5月の中国のLNG輸入は前年比+34.4%の703万トン(前月+32.0%の673万トン)と過去5年レンジを大きく上回り、構造的な需要増加が続いている。

なお、5月の天然ガス輸入は前年比+31.6%の1,032万トン(前月31.5%の1,015万トン)と構造的な増加が続いている。中国も明確に石炭からガスへのシフトを進めていると見られ、電力需要の増加を背景に輸入を拡大していることが窺える。

長期契約のLNGに関しては、原油リンクとなるため上昇見通しだが、価格反映までに3ヵ月程度の時間差があるため(消費者への影響はさらに3ヵ月後)、現時点ではまだ上昇していないと考えられる。次の懸念は夏のピーク時の電力・ガス価格への影響だろう。

【見通しの固有リスク】

・米国がノルドストリーム2の建設を容認した場合、欧州ガス需給の緩和(ロシア増産で下落要因)。

・ウクライナやベラルーシといったロシアと欧州の緩衝帯との政治的な軋轢によって、結果的にロシア産ガスの供給がロシア側の都合でコントロールされた場合(実際にロシアが行動を起こした場合、多くのケースで価格の上昇要因)。

・産油国の減産継続による随伴ガス供給の減少懸念。

・北半球の夏場の猛暑(/冷夏)・冬場の厳冬(暖冬)。

・エルニーニョ現象発生が予想される夏場にかけて、北半球が猛暑となるリスク(気象庁の分析では冷夏になりやすい。日本は西日本が猛暑になる可能性)

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが669,980枚(前週比 +5,615枚)ショートが143,819枚(+3,410枚)ネットロングは526,161枚(+2,205枚)

Brentはロングが416,126枚(前週比+2,926枚)ショートが106,394枚(+5,460枚)ネットロングは309,732枚(▲2,534枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格はリフレトレードの巻き戻しが一巡し、一旦買い戻しが入ると考えるがそれでも四半期末を意識した利益確定の動きは続くとみられ、下値余地を探る動きになると考える。

これまで、投機的な買いが「需給バランス」「脱炭素」をテーマに価格上昇を助長していたことも事実であるが、ドル高・金利高の流れが意識されれば現物を必要としない投機の手仕舞い圧力が強まることになる。

また、中国は国家備蓄を放出の見込みで、Bloombergの報道などでは銅が50万トン程度の放出が見込まれているが、もしこの水準だと2021年の銅需給バランス、弊社は▲86万トン程度の供給不足と見積もっているが、これが▲36万トンに縮小されることになり、下期にかけての下落要因に。

しかし、この在庫放出も「放出が終ってしまえば影響はなくなる」分けで、年明け以降に予想される米国のインフラ投資の本格化、予想されている通りの鉱山生産回復が見込まれるか、脱炭素の流れに変わりが無いのか、といったことに価格は左右されることになる。

これと同時にロシアは国内インフレを沈静化する目的で、2021年8月1日から鉄鋼、アルミ、銅、ニッケルの輸出に税を課す方針。

また、米テーパリングにしても「踏み込んだアクセルを緩めるだけであり、ブレーキを踏むわけではないこと」から、売り一巡後(恐らく6月末の四半期末越え後)に買い戻しが入るとみている。

5月の中国製造業PMIは51.0(前月51.1)と市場予想の51.1と前月を小幅に下回った。ただし閾値の50は上回っており中国の製造業活動は拡大過程にあることには変わりはない。

内訳を見ると生産が安定(52.2→52.7)する一方で、新規受注(52.0→51.3)、輸出新規受注(50.4→48.3)、受注残(46.4→45.9)と需要面に減速が見られている。

恐らく、原材料価格の高騰や中国政府の過剰投資抑制方針が徐々にボディブローのように効いていると考えられる。人民元高進行も輸出に重石と考えられる。

工業金属価格に対する説明力が高い新規受注在庫レシオは、完成品が1.10(前月1.11)、原材料が1.08(1.08)と両指数ともほぼ横ばい。

これまで非鉄金属価格の上昇を牽引してきたのは中国の住宅セクターであるが、5月の中国の建設業PMIは60.1(57.4)と再び回復。悪天候の影響などで減速していた前月から急速に回復した。

住宅セクター向けの一連の建材需要は旺盛であるが、中国政府は住宅セクターの加熱を警戒していること、素材価格の上昇が活動を減速させる可能性があるため、やはり先行きの国内向けの需要はそれほど大きく回復はしないだろう。

その中で輸出向けの需要が欧米との対立と人民元高の中でどれだけ回復出来るかが、次の焦点となる。

5月の中国の貿易統計を見ると、ベンチマークである精錬銅の輸入は前年比+2.3%の44万6,000トン(前月+5.1%の48万4,890トン)とやや伸びが鈍化し、過去5年レンジの上限を下回っている。

一方、5月の銅精鉱の輸入は+15.1%の194万5,000トン(▲5.4%の192万トン)と高い水準を維持、銅スクラップの輸入も+103.1%の16万7,767トン(+90.6%の17万1,996万トン)と堅調であり、まだ中国の銅需要は堅調とみられる。

中期的には米国や欧州の財政出動、脱炭素の動きを受けた動向に左右されることになる。

米バイデン政権は上院の超党派で、8年間で1兆2,000億ドルのインフラ投資計画で合意した、と発表した。今回の合意では、道路・橋梁・主要プロジェクトに1,090億ドル、電力インフラに730億ドル、旅客・貨物鉄道に660億ドル、ブロードバンド・インターネットサービスに650億ドル、公共交通機関に490億ドル、空港に250億ドルを投じる。

さらには2022年度予算も戦後最大となる歳出を6兆ドルと、以上と戦後最大の水準とする方針。

これらの需要は景気に関係なく発生する需要であるため、需要の見通しは底堅く、価格の調整があっても下値余地は限定される可能性が高い。

これまで中国が鉱物セクターの需要動向に関して主役であり、今後も非鉄金属価格の動向は中国動向が左右するが、「新規の需要」については欧米動向が重要になる可能性は意識しておきたいところ。

この場合、米国の景気回復=ドル高・金属価格上昇、という構図も考えられる。

こうした政策期待や、インドなどの新興諸国の需要増加を受けた構造的な需要増加を受けて、中・長期的に価格は下支えされ、堅調な推移になると考える。

米国・中国・インドがどのような動きをするかに環境政策は左右されるが、ここまでの各国の動きを見ていると当面は環境向けに使用される金属の需要増加は「今後10年・20年の大きなテーマ」となる可能性が高いと言える。

具体例を挙げると、軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル、銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルト、リチウムなどが挙げられる。

2020年の中国の新エネルギー車の販売は前年比+7.5%の137万台(前年124万台)となった。全体の自動車販売が2,523万台なのでシェアは5.4%(4.9%)と上昇している。それでも電気自動車が非鉄金属市場の重要なテーマになるには、あと数年は要するだろう。

【見通しの固有リスク/個別金属の特殊要因】

・期待されていた米国のインフラ投資規模が、議会の反対で減額ないしは延期される場合(下落リスク)。

・米国経済が正常化する中でドル高が進行し、投機買いが膨らんでいる非鉄金属市場で投機の手仕舞い売り圧力が高まる場合(下落リスク)。

・米中間選挙に向けて、米民主党が追加でインフラ投資(2兆ドルのクリーンインフラ投資など)を議会の採決を得て実行に移す場合(上昇リスク)。

・主に銅山を中心とする労使交渉長期化による供給減少が、2021年も継続する場合(上昇リスク)。

・中国の環境規制強化に伴う供給の減少。エネルギー排出量の多い新疆ウイグル自治区でのアルミ生産は減産の影響は既に材料視されている(供給減少でアルミ価格の上昇要因に)。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・チリやペルーで広がる左派勢力伸長に伴う大衆迎合的な政策が可決し、鉱山生産に過剰なロイヤルティが適用される場合(供給減少ないしは生産コスト上昇で価格の上昇要因)。

チリで議論されている銅のロイヤルティ増税案の詳細は以下の通り。

年内実施予定の選挙結果では課税強化で生産コスト上昇、または減産となる可能性も。

3%の新ロイヤルティに加え、銅価格に連動して税額が賦課される仕組み。

2ドル~2.5ドル/ポンド(4,406~5,508ドル/トン):15%2.5ドル~3(5,508~6,609):35%3ドル~3.5(6,609~7,711):50%3.5ドル~4(7,710~8,813):60%4ドル~4.5(8,813~9,914):70%

年間販売量が5万トン未満の小規模生産者は品位95%の粗銅の場合▲5%の軽減税率、アノードの場合(99.4~99.6%)が適用される。

2023年までは現行の営業利益率によって5~14%の鉱業ロイヤルティが適用されるが、2024年以降は新税制を適用。

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

また、環境に配慮したメタル使用の義務化などが欧州で進む場合などのコストアップ(グリーン・メタルの義務化によるコスト増加)。

【投機筋のポジション動向】

・LME投機筋買い越し金額 前週比▲12.5%の230億ドル(前週 263億ドル)・LME投機筋買い越し数量 前週比▲6.3%の5,568.1千トン(前週 5,945.5千トン)

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は、米欧中のインフラ投資による建材向け需要増加観測を背景に、高値を維持すると予想する。

これまでの経済対策の影響で、中国国内の鉄鋼原料在庫日数の水準が低いことから(鉄鋼製品在庫の水準は増加)在庫積み増し需要も継続する可能性が高い。

また、資源価格の上昇を受けた国内インフレ回避の目的でロシアが8月1日から鉄鋼製品の輸出に関税を課す方針を示しており、このことも需給をタイト化させて価格を押し上げよう。

ただし、中国政府は景気刺激と同時に住宅セクターのバブルを懸念し始めており、住宅取得規制の動きも見せていること、先物取引市場での監視強化(証拠金引き上げや値幅制限、投機取引の監視など)、在庫日数は低いが粗鋼生産が減少すれば需給は緩和すること、鉄鋼製品在庫は季節性よりも早く再び積み上がっていること、共産党結党100周年記念行事はもうすぐ終了し、イベントが一巡することから下落リスクを意識すべきタイミングに。

また、中国共産党は2021年から始まった新しい5ヵ年計画で鉄鋼生産量の削減の必要性を表明している。温室効果ガスの排出削減を目的として、業界として二酸化炭素の輩出の多い鉄鋼業(とアルミ生産業)の生産量を前年比でマイナスとする方針であり、鉄鋼製品向けの需要が減少することから、年後半に掛けては価格は下落すると予想する。

最大生産都市である唐山市は、2021年20日~12月31日まで、大気汚染基準に違反し、データを改ざんした4社は3月20日~6月末まで▲50%、7月~12月末まで▲30%減産、その他の16社は12月末まで▲30%の減産を新たに実施することを義務づけられた。

直近の唐山市の高炉稼働率は過去5年レンジを下回る7割程度の推移となっており、鉄鋼製品生産は抑制された状態になっている。

また、Q221には邯鄲市も生産管理措置を導入する見通しであり、鉄鋼製品供給は制限される可能性が高い。

これにより、唐山市の粗鋼生産は前年比▲2,223万トンの1億2,177万トン、鉄鉱石需要は▲3,500万トン減少するとみられている。ただし今のところ鉄鋼製品価格は高値圏を維持しており、鉄鉱石価格も高止まりしている。

5月の中国鉄鋼業PMIを見ると、総合指数は46.1(前月45.4)と改善。生産が回復(47.0→51.4)した影響が大きい。しかし、新規受注(44.4→39.4)、輸出向け新規受注(51.7→43.9)と軒並み需要面が減速している。

国内の新規受注の減速は資源価格の上昇と国内バブル抑制方針に中国政府が舵を切っていること、輸出向けの減速は5月1日から鋼材輸出の増値税還付が撤廃されたことが影響したとみられる。

需要の減少で目安となる新規受注・在庫レシオは、新規受注完成品レシオが0.91(前月1.29)と低下、新規受注原材料レシオは0.99(1.25)と大幅に低下しており、原材料・鉄鋼製品とも価格の下押し圧力が強まる展開が予想される。

しかし、鉄鋼原料価格の上昇を牽引してきた住宅セクターに関しては、5月の中国の建設業PMIは60.1(57.4)と、悪天候の影響などで減速していた前月から急速に回復。短期的には鉄鋼需要が底堅く推移する可能性が高いことを示唆している。

とはいえ、住宅セクター向けの一連の建材需要は旺盛であるが、中国政府は住宅セクターの加熱を警戒していること、素材価格の上昇が活動を減速させる可能性があるため、やはり先行きの国内向けの需要はそれほど大きく回復はしないだろう。

5月の中国の鉄鋼製品の輸入は前年比▲5.8%の120万6,000トン(前月+16.2%の117万4,000トン)と伸びが減速したが、過去5年レンジの上限で推移している。

5月の中国粗鋼生産は前年比+7.8%の9,945万トン(前月+15.1%の9,785万トン)と前年比での伸びが鈍化したが、過去5年レンジは大きく上回っている。

その一方、5月の鉄鋼製品の輸出は前年比+19.8%の527万1,000トン(前月+26.2%の797万3,000トン)と伸びが減速した。これは輸出リベートの撤廃による4月の鉄鋼製品輸出駆け込み需要が剥落したことによるものと見られる。

なお、中国の鉄鋼製品需要は旺盛とみられるが、在庫水準は前週比+43万1,000トンの1,554万6,000トン(過去5年平均 1,084万トン)と、例年、在庫減少が続く時期だが在庫は前週比で増加が顕著になっている。

粗鋼生産の調整が進まない一方、中国当局の景気過熱沈静化の動きの影響が顕在化しつつあると言える。

原料である鉄鉱石の5月の輸入は前年比+3.2%の8,980万トン(前月+3.0%の9,857万トン)と伸びは横ばい。しかし、輸入量の水準は過去5年平均程度まで急速に減速しており、中国の鉄鉱石需要は鈍化している可能性が出てきた。

鉄鉱石港湾在庫は前週比▲65万トンの1億2,395万トン(過去5年平均1億2,477万6,000トン)、在庫日数は22.3日(過去5年平均 27.6日)と例年と比較して在庫日数の水準は低く、在庫の積み増しは継続する見込み。

ただし在庫日数の低さは粗鋼生産の水準の高さに依拠するため、中国政府が住宅セクターの沈静化をどの程度本気で進めるかに左右されることになる。

原料炭は中国の生産活動回復が継続していること、国内の鉄鋼需要が公共投資で底堅いことから、同様に底堅い推移になると考える。

しかし、中国政府は原料炭を含む石炭の国内生産を増加させる方針であることから、海上輸送原料炭価格の上値も重い。

5月の中国の原料炭輸入は前年比▲28.7%の341万1,925トン(前月▲44.6%の348万3,128トン)と減少幅を縮小している。

中国の港湾在庫の水準は鉄鋼の最大生産省である河北省の主要港である、京唐港の港湾在庫は前週比▲2万トンの116万トンと過去5年平均の164万トンを上回っている。

在庫日数は前週比▲0.1日の4.1日と、過去5年の平均である6.9日を下回っており、需要を考慮すると原料炭需給はまだタイトな状態にあると言える。

【見通しの固有リスク】

・鉄鉱石価格の上昇がレーショニング(価格上昇による需要減少)を引き起こす場合。

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

・コロナウイルスの感染拡大長期化による、鉱山生産の減少リスク。

・中国とインドの国境紛争の激化で、インドが中国に対して鉄鉱石輸出を制限する可能性(中国のFOBインデックスは上昇、その他の地域の鉄鉱石価格は低下)。

---≪貴金属≫---

【貴金属価格見通し】

<<金>>

金は高値圏での推移を継続すると考える。米テーパリング進捗観測でドル高が進行していたが、逆に金融引き締め観測が長期金利の上昇を抑制しており、実質金利に低下圧力が掛っていることが背景。

とは言え、米景気の相対的な回復期待の強さからドル高・長期期金利(緩やかに)上昇圧力が強まると予想され、中期的な見通しは弱気。

現在の金の実質金利で説明可能な価格(金基準価格)は1,604ドルと+3ドル上昇、そこからの乖離(リスク・プレミアム)は178ドルと前日から+2ドル上昇し、水準としてはほぼ変わらず。

リスク・プレミアムは、過去3ヵ月平均で220ドル、6ヵ月で215ドル、1年で230ドル、5年で170ドルとなっている。

なお、金価格を実質金利要因と為替要因に分類した場合、為替要因はリスク・プレミアムのところに内包されると整理している(為替は名目金利の影響も受けるので、純粋に為替の要因のみ切り出すのが困難であることから)。

※毎日回帰分析をアップデートし、リスク・プレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない場合があります。

<<銀>>

銀価格は金価格との比較感で売買されるが、金銀レシオは現在、68.3倍。過去1年を基準にすると75倍、5年では80倍、2000年以降では65倍程度が妥当。

今後、さらに金銀レシオが低下するには、実際に太陽光パネルの設置が米国で進捗するなどの新規材料が必要になると見られるが、米政府は新疆ウイグル自治区問題を背景に輸入を制限する見通しであり一筋縄では行かないと考える。

なお、銀価格=金価格÷金銀レシオ であり、金銀レシオが低下することで金価格が変動した時の弾性値が上昇(ボラティリティは上昇し、足元金の2倍に上昇)する点は留意。

(例)金が2,000ドル、銀が20ドルのとき 金銀レシオが100倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1セント変化 金の変化率は±0.05%、銀は±0.05%

 金銀レシオが1倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1ドル変化 金の上昇率は±0.05%、銀は±5%

<<PGM>>

プラチナ価格は銀価格との連動性が高い。これは供給過剰で投機的な取引の影響が強まっていることによる。プラチナの需給バランスはWPICデータを元にすると今年も除く投機で供給過剰であり、投機動向が価格を左右しやすい。

金価格が米長期金利の低下で再び高値で推移していることから、投機的な観点でプラチナにも上昇圧力が掛りやすい地合い。

仮に脱炭素が進んで水素が用いられ、燃料電池が進むのであればプラチナの構造的な需要が増加するシナリオは、需要・価格面でのポジティブリスクシナリオ。投機の比率が高い商品であるため、こうした観測記事だけでも材料に価格が反応しやすい。

パラジウムは景気正常化期待による金価格調整→経済正常化による需要増加、ロシア生産者からの供給減少観測を受けて高値を維持すると考える。

自動車生産が回復すれば再びパラジウム供給不足が発生し、ETFの残高減少と価格上昇が同時に発生する可能性が高いとみている。

5月の米自動車販売は年率1,699万台(前月1,851万台、市場予想1,725万台)と減速。目先は価格の下落要因となりやすい。

中国の5月の自動車販売は中国自動車工業協会の集計で前年比▲3.0%の212万7,000台(前月+8.8%の225万台、3月+76.5%の252万5,000台、2月+371%の146万台、1月+30%の250万台、12月+6.4%の283万台、11月+12.7%の276万9,666台、10月+12.6%の257万3,000台、9月+13.0%の256万5,201台)と前年比マイナスに転じた。

半導体不足が自動車生産に影響を及ぼしているとみられる。

【見通しの固有リスク】

・個人投資家のETFを通じた買いが、経済合理性を無視した水準まで貴金属価格を押し上げるリスク。

・主要生産国の南アフリカの電力供給不安や、コロナウイルスの影響拡大で供給が滞る場合(PGMの価格上昇要因)。

・コロナからの回復は各国まだらであり、先行する米国が金融正常化に動いた場合、新興国から資金が流出して信用リスクが高まる場合(安全資産価格の上昇要因)。

・米中の対立激化。バイデン政権は対中強硬姿勢を明確にしており、対立がさらに激化する場合(安全資産価格の上昇要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加(実際に破綻が意識されるのは2030年以降か)。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

環境重視型社会へのシフトはパラジウム需要を増加させるが、さらに加速して「水素社会」まで到達すると、燃料電池車需要が増加して構造的にプラチナ価格の上昇要因となる可能性。

・コロナウイルスの感染拡大による、最大生産国の1つである南アフリカの鉱山稼働が電力供給問題もあって不安定であることによる供給懸念。

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが253,153枚(前週比 ▲20,794枚)、ショートが86,939枚(+5,028枚)、ネットロングは166,214枚(▲25,822枚)、銀が73,841枚(▲14,750枚)、ショートが33,970枚(▲2,557枚)、ネットロングは39,871枚(▲12,193枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが31,830枚(前週比 ▲4,915枚)ショートが18,890枚(+2,202枚)、ネットロングは12,940枚(▲7,117枚)

パラジウムが4,474枚(▲1,657枚)、ショートが3,402枚(▲326枚)ネットロングは1,072枚(▲1,331枚)

---≪農産品≫---

【穀物価格見通し】

シカゴ穀物価格は現状水準でもみ合うものと考える。ラニーニャ現象終焉に伴う利益確定の動きが継続する一方、チャートのテクニカルポイントでサポートされたこと、再びドル安地合となっていること、中国の輸入需要が旺盛であり、さらには脱炭素でバイオ燃料向けの需要が増加する見通しであることが材料。

5月の中国の大豆輸入は前年比+2.5%の961万トン(+11.0%の前月745万トン)と季節性に沿って増加しているが、過去5年レンジの上限で推移しており、輸入需要は旺盛。

先行きについては、夏頃からエルニーニョ現象の発生が見込まれるため

更に価格が上昇するとすれば、2000年代にトウモロコシのエタノール需要増加を期待して価格が上昇したことと同じことが、大豆や大豆油に対して起きる場合だろう。

但しこの時も「食品を投機の対象にすること」「燃料に使うこと」への批判が高まり、特に投機に規制がはいることで下落に転じたため「構造的な需要増加要因として織り込まれた後」は下落に転じると考える。

Locust WatchではFAOの予想通り、降雨がなかったため群生相の発生は極めて抑制されている。Locust Watchでも今のところ差し迫った危機の発生リスクは指摘されていない。
http://www.fao.org/ag/locusts/common/ecg/75/en/210621DLupdate.jpg

【見通しの固有リスク】

・エルニーニョ現象発生による生産条件改善を受けた増産観測(価格の下落要因)。

・環境重視型社会へのシフトにより、燃料向け穀物需要が増加する場合(価格の上昇要因)。現在はそれほどの数量でもない、バイオディーゼル向けの大豆需要増加など。

・新型コロナウイルスの影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

【米農務省需給報告データ】

・米作付け意向面積トウモロコシ 9,114万エーカー(市場予想9,313万エーカー、前年9,699万エーカー)大豆 8,760万エーカー(9,010万エーカー、8,351万エーカー)小麦 4,636万エーカー(4,495万エーカー、4,466万エーカー)綿花 1,204万エーカー(1,215万エーカー、1,370万エーカー)

・米穀物最終作付け面積トウモロコシ 9,201万エーカー(市場予想 9,514万エーカー)大豆 8,383万エーカー(8,483万エーカー)小麦 4,425万エーカー(4,472万エーカー)

・6月米需給報告単収見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 179.5Bu/エーカー(179.39、179.5)大豆 50.8Bu/エーカー(50.8、50.8)小麦 50.7Bu/エーカー(NA、50.0)

・6月米需給報告生産見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 149億9,000万Bu(150億861万Bu、149億9,000万Bu)大豆 44億500万Bu(44億1,096万Bu、44億500万Bu)小麦 18億9,800万Bu(18億8,990万Bu、18億7,200万Bu)

・6月米需給報告輸出見通し(実績/前月)トウモロコシ 24億5,000万Bu(24億5,000万Bu)大豆 20億7,500万Bu(20億7,500万Bu)小麦 9億Bu(9億Bu)

・6月米需給報告在庫見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 13億5,700万Bu(14億1,672万Bu、15億700万Bu)大豆 1億5,500万Bu(1億4,256万Bu、1億4,000万Bu)小麦 7億7,000万Bu(7億8,056万Bu、7億7,400万Bu)

・3月末四半期在庫(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 77億100万Bu(77億7,024万Bu、112億9,400万Bu)大豆 15億6,400万Bu(15億2,829万Bu、29億4,700万Bu)小麦 13億1,400万Bu(12億7,116万Bu、17億300万Bu)

・6月CONABブラジル作付け面積(市場予想/前月)トウモロコシ 1,984万ha(1,975万ha、1,987万ha)大豆 3,815万ha(3,871万ha、3,850万ha)

・6月CONABブラジル生産量(市場予想/前月)トウモロコシ 9,639万トン(9,398万トン、1億641万トン) 単収 4,858kg/ha(4,762Kg/ha、5,355kg/ha)大豆 1億3,586万トン(1億3,682万トン、1億3,541万トン) 単収 3,528kg/ha(3,538Kg/ha、3,517kg/ha)

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが478,631枚(前週比 ▲18,132枚)、ショートが90,220枚(▲5,167枚)ネットロングは388,411枚(▲12,965枚)

大豆はロングが238,976枚(▲24,891枚)、ショートが58,028枚(▲446枚)ネットロングは180,948枚(▲24,445枚)

小麦はロングが112,624枚(+3,930枚)、ショートが86,818枚(▲7,928枚)ネットロングは25,806枚(+11,858枚)

◆本日のMRA's Eye


「金の過去のリスクイベントを考える-3」

これまで2000年までの金価格と金基準価格、リスク・プレミアムの関係について分析をしてきたが、ここまででわかったことは、金は1970年~2000年まではイベントリスクや為替の変動の影響が非常に大きく価格に影響する商品だったが、時間経過とともに実質金利の説明力が高まってきた点だ。

弊社はこの四半世紀を振り返った時に金市場で起きた重要な出来事として、1997年に米国で物価連動債の取り扱いが始まったこと、2003年の金ETF、リーマン・ショックとその後の欧州危機を挙げたい。

物価連動国債はそのリターンが物価変動の影響を受けるもので、実際に「インフレヘッジ」に用いることができる商品である。

これまで、年金や生命保険会社などの長期の運用需要がある投資家は長期のインフレリスクをヘッジする商品がなかった。いや、金を買えばいいだろうという意見もあろうが、これまで見てきたように金価格とインフレ率の間にそこまでの明確な相関性はなかった。

金価格がその存在感を発揮したのは、ドルが何らかの構造的な理由で急落した場合(長く金市場で使われてきた表現を用いると、ドルの信用が低下した場合)、あるいは地政学的リスクが高まった場合などに金価格が上昇することが多かった。

つまり、ポートフォリオに金を組み込んでも、投資の分散効果は期待できたが長期のインフレリスクヘッジには不向きだったともいえるだろう。

また、運用ルールの制限から金を保有することができない投資家も多かったことも、金がインフレヘッジ商品として認知されなかった理由の1つとと考えられる。そのため、このインフレヘッジのために物価連動債が用いられるようになったと考えられる。

別の言葉を使うと、投資家がインフレリスクをコントロールする手段を得たため、インフレリスクのコントロールを行おうとする市場参加者が増えた、ともいえる。そうなると、インフレの目安ができるため金も投資対象になりやすい。

2003年3月28日に豪州で取り扱いが始まった金ETFの登場も、金市場に非常に大きな影響を及ぼした。金ETFは裏付けに金を保有する上場投資信託である。

有価証券の形式であるため年金資金をはじめとする機関投資家が投資しやすくなった。また少額でも取引可能で株取引の口座を保有していれば誰でも投資することができるため、個人投資家の参入も加速した。

金ETFは株式市場に滞留している資金の金市場への流入を促す、パイプ役になったといえる。

この結果、元々金に興味を持っていた市場参加者の金投資が加速、金価格を押し上げることに一役買った。なお、このETFの特徴は必ずしも現物調達を目的としない先物市場への資金流入と異なり、金現物を裏付けとしているためこの商品に投資が行われると実際に現物市場で金が購入され、現物の需給バランスに影響を与えるという点である。

現在の金価格の上昇は根雪のようにこのETFが積み上がっていることによる。また、前述の物価連動債の取り扱いが浸透していたこともあり、「代替のインフレヘッジ資産」としての認知度が徐々に高まったことも価格上昇に寄与したといえる。

そしてその後、リーマン・ショックが起きた。これによって信用リスクが拡大、欧州諸国の財政不安、場合によるとユーロが崩壊するのではとの不安感が高まり、さらには米国債までデフォルトの可能性があることが市場参加者の間で意識されるようになった。

米国の物価連動債は安全性はその他の国の債券と比べれば高いものの、米国の信用力で発行しているためデフォルトして換金できなくなるリスクはゼロではない。

そのため、発行体の信用力と関係なく、本来は通貨として用いられていた金が再び着目されることになった訳だ。

金をはじめとする実物資産は、それ自体が「本源的な価値」を有するものであり、世の中から本当に不要と判断されない限り価値はゼロにはならない。そのため、何かしらのリスクが発生する局面に備える必要性が高まる局面では、物価連動債よりも金が対象として選好されることになる。

この物価連動債のパフォーマンスに対する上乗せ部分がこれまで説明してきた「リスク・プレミアム」である。

このように、初めは「リスク回避のための安全資産」という色彩が強かった金であるが、時間経過とともにインフレで説明可能な部分、それ以外の部分の色分けが明確になった。

別の言葉を使うと、価格構成要素を分解することが可能になったため、数十年前とは異なり「パフォーマンスを計算することが可能になった」「価格をより論理的に推測できるようになった」といえる。

現物を調達しなければならない実需家にとっても、機関投資家・個人投資家にとっても、以前に比べて計算がしやすく、取り組みやすい商品になったということは、同時にポートフォリオに組み込みやすくなったともいえるのではないか。

ただしここまでの分析は、「金の実需の比率は投機の比率よりも圧倒的に低く、金融政策やその他の市場動向の影響が大きい」という状態を前提にしたものであり、この状態が崩れれば新たな要素を加えて分析手法を再考することが必要になる。

例えば、IT化が進めばエレクトロニクス製品の接点部品としての金需要が増加することになり、需給環境が大きく変化し、価格に対する「景気の好不況」の説明力が増すこともあり得る。

この場合、景気がよくなると需給がタイト化して価格が上昇、景気が減速すると価格が下落する、という一般的な工業金属と似たような値動きになることが想定される。

今後も継続的に、金価格に対する影響を要素別に分解して検討することは重要である。少なくとも「ポートフォリオに長期に入れておいて、何もしないで放っておいてよい商品」ということではない。

◆主要ニュース


・5月東京消費者物価指数 前年比±0.0%(前月▲0.4%)
 除く生鮮±0.0%(▲0.2%)
 除く生鮮エネルギー±0.0%(▲0.1%)

・7月独GfK消費者信頼感調査 ▲0.3(前月 ▲6.9)

・5月ユーロ圏マネーサプライM3 前年比+8.4%(前月+9.2%)

・5月米個人所得 前月比 ▲2.0%(前月▲13.1%)
 個人支出±0.0%(+0.9%)
 実質支出▲0.4%(+0.3%)
 PCEデフレータ 前月比+0.4%(+0.6%)
 前年比+3.9%(+3.6%)
 コアデフレータ 前月比+0.5%(+0.7%)
 前年比+3.4%(+3.1%)
 貯蓄率 12.4%(14.5%)

・6月米ミシガン大学消費者マインド指数改定
 85.5(速報比▲0.9、前月 82.9)
 現況指数 88.6(▲2.0、89.4)
 先行指数 83.5(▲0.3、78.8)
 1年期待インフレ率 4.2%(+0.2%、4.6%)
 5年期待インフレ率 2.8%(±0.0%、3.0%)

・ロシア・EU首脳会議見送り、バルト3国の反対で。

・EU、シリアの難民支援に30億ユーロを拠出へ。トルコの負担軽減。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】

・ベイカー・ヒューズ週間米国石油リグ稼働数372(前週比▲1)
 ガスリグ 98(前週比+1)。

・IAEA、イランの核施設への査察協力、期限を過ぎても連絡無し。

・米バイデン大統領、「アフガニスタン撤退後も、支援を続ける。」

【メタル】

・CRU、米国のインフラ投資計画によって、8年間で鉄鋼需要が1,480万トン増加する見込み。銅は24万トンの増加、アルミは26万トンの増加。需要の増加は期間にわたって均等にならされて発生する可能性は低い。

・Rusal America CEO、「低炭素アルミを顧客が望むようになっている。」

・独アルトマイヤー経済相、「EUと米国の鉄鋼・アルミ関税問題の年内解決は可能。」

・5月日本アルミ港湾在庫 前月比+12,000トンの285,600トン。

・5月日本銑鉄生産 前年比+1,750千トンの6,124.4千トン(前月5,676.9千トン)

・5月日本粗鋼生産 前年比+2,377千トンの8,422.0千トン(前月7,818.5千トン)

・5月日本熱間圧延鋼材生産 前年比+1,725千トンの7,078.1千トン(前月6,889.0千トン)

・5月日本アルミ圧延品出荷 前年比+23.7%の15万2,913トン

・ブラジル ヴァーレ、インドネシアのスラウェシ州モロワリ県バホドピのニッケル精錬所建設計画について、中国の太原鉄鋼と、山東?海科技の2社と合弁会社設立で合意。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.LIFFEロブスタ ( その他農産品 )/ +4.17%/ +23.65%
2.ICEアラビカ ( その他農産品 )/ +3.18%/ +22.61%
3.MDEパーム油 ( その他農産品 )/ +2.69%/ ▲4.86%
4.NYM米天然ガス ( エネルギー )/ +2.28%/ +37.69%
5.SHFニッケル ( ベースメタル )/ +2.25%/ +11.21%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
66.ビットコイン ( その他 )/ ▲7.59%/ +11.10%
65.CME木材 ( その他農産品 )/ ▲7.48%/ ▲10.74%
64.CBT大豆油 ( 穀物 )/ ▲4.77%/ +37.80%
63.CBT大豆 ( 穀物 )/ ▲3.03%/ +1.10%
62.CBTトウモロコシ ( 穀物 )/ ▲2.56%/ +31.51%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :34,433.84(+237.02)
S&P500 :4,280.70(+14.21)
日経平均株価 :29,066.18(+190.95)
ドル円 :110.75(▲0.12)
ユーロ円 :132.18(▲0.11)
米10年債 :1.52(+0.03)
中国10年債利回り :3.09(+0.01)
日本10年債利回り :0.05(▲0.01)
独10年債利回り :▲0.16(+0.03)
ビットコイン :32,215.32(▲2644.58)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :27.82(+0.13)
エネルギー :23.98(+0.16)
ベースメタル :23.80(+0.23)
貴金属 :28.00(+0.14)
穀物 :37.16(▲1.16)
その他農畜産品 :27.41(+0.61)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :17.14(+0.02)
Brent :13.37(+0.05)
米天然ガス :30.55(+0.72)
米ガソリン :15.86(+0.43)
ICEガスオイル :13.07(▲0.04)
LME銅 :22.84(▲0.11)
LMEアルミニウム :20.56(+1.07)
金 :41.29(▲0.27)
プラチナ :28.50(+0.59)
トウモロコシ :40.75(▲4.87)
大豆 :41.29(▲0.27)

【エネルギー】
WTI :74.05(+0.75)
Brent :76.18(+0.62)
Oman :73.95(+0.54)
米ガソリン :226.39(▲1.70)
米灯油 :214.93(▲1.30)
ICEガスオイル :606.00(+2.75)
米天然ガス :3.50(+0.08)
英天然ガス :79.88(+1.07)

【貴金属】
金 :1781.44(+6.27)
銀 :26.10(+0.16)
プラチナ :1110.72(+14.47)
パラジウム :2640.45(▲3.25)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :9,460(+40:27.5C)
亜鉛 :2,897(▲12:20C)
鉛 :2,224(+16:6.5C)
アルミニウム :2,470(+46:19C)
ニッケル :18,563(+395:48B)
錫 :30,825(+330:1632B)
コバルト :45,517(▲1)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :9435.00(▲23.00)
亜鉛 :2909.50(▲5.50)
鉛 :2231.50(+13.50)
アルミニウム :2494.50(+54.50)
ニッケル :18575.00(+130.00)
錫 :30850.00(+100.00)
バルチック海運指数 :3,175.00(+28.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR中国、1営業日前) :211.21(+1.45)
SGX鉄鉱石 :214.46(+1.08)
NYMEX鉄鉱石 :214.17(+0.42)
NYMEX豪州原料炭スワップ先物 :174.25(+2.25)
大連原料炭先物 :351.06(+0.77)
上海鉄筋直近限月 :4,909(+41)
上海鉄筋中心限月 :5,021(+45)
米鉄スクラップ :673(▲2.00)

【農産物】
大豆 :1329.75(▲41.50)
シカゴ大豆ミール :347.20(+1.40)
シカゴ大豆油 :59.71(▲2.99)
マレーシア パーム油 :3702.00(+97.00)
シカゴ とうもろこし :636.50(▲16.75)
シカゴ小麦 :637.00(▲14.25)
シンガポールゴム :202.80(▲1.50)
上海ゴム :12940.00(+150.00)
砂糖 :16.90(▲0.03)
アラビカ :157.25(+4.85)
ロブスタ :1699.00(+68.00)
綿花 :86.43(+0.40)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :101.95(+1.93)
シカゴ生牛 :122.83(±0.0)
シカゴ飼育牛 :159.55(+2.40)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。