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ドル高と統計減速による株安で大幅下落
  • MRA商品市場レポート

2021年6月18日 第1977号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「ドル高と統計減速による株安で大幅下落」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場はほとんどの商品が大幅に下落、上昇したのはその他農産品や天然ガスなど多少の固有材料があった商品に限定された。

FRBによるテーパリングの議論開始報道で金融政策の方向性がタカ派に傾く中、昨日発表された米雇用関連統計、フィラデルフィア連銀製造業指数が悪化したことが、四半期末を意識した市場参加者の利益確定の動きを強めたためと考えられる(詳しくは昨日のトピックスをご参照ください)。

ただ、テーパリングはアクセルを緩める作業であり、ブレーキを踏む作業ではないため景気自体が後退するわけではなく、かつ、金融緩和も継続することから早晩リスク資産価格は上昇に転じることになるだろう。

【本日の見通し】

本日は目立った新規手がかり材料に乏しい中、昨日下落率が大きかった商品が多いことからまずは買い戻しが入ると考える。

ただしどちらかと言えば四半期末を睨んだ利益確定の動きが強まると予想されるため、買い戻しが入る局面では上値でも売りが入り、上昇を妨げ、結局前日比マイナスで引ける商品が多いのではないだろうか。

【セクター別動向と見通し】

◆エネルギー

原油価格は下落した。アジア時間から欧州時間に掛けては上昇していたが、米雇用関連統計の悪化を受けて需要見通しが後退、株価が調整する中でドル高も進行し水準を切下げる動きとなった。

豪州石炭スワップ先物価格は小幅に上昇。バルチック海運指数は再び急上昇しており、(鉄鉱石の可能性もあるが)再び中国の夏場を睨んだ石炭調達圧力が強まっている可能性を示唆。

JKM先物市場は小幅に下落も11ドル台を維持。欧州天然ガスはLNG価格の上昇や米天然ガス在庫の減少に伴う需給タイト化が意識された。米天然ガスも上昇。

6月7日~6月13日の世界のLNG取引は740万トンと先週から+100万トン増加。そのうち27%(前週30%)がスポットで取引された。季節的な需要増加でターム契約ベースの需要が増加したとみられる。

輸入は欧州・中東で減少したが、日本・韓国・中国・インドの輸入が旺盛だった。輸出は中東・豪州からの輸出が増加。

貿易取引は季節性もあって増加しているとみられる。スポットLNGタンカーレートはスエズ東西とも上昇しており、今後再びLNGの価格は上昇圧力が強まることになるだろう。

本日は昨日の下落幅が大きかったことからまず買い戻しが入ると考えるが、米国の景気回復が期待ほどではないとの見方の広がりと四半期決算末ということもあって結局、手仕舞い売り圧力が強まり前日比マイナスで弾けるのではないか。

本日予定されているイラン大統領選挙はライシ師の優勢が伝えられており、保守派の政権が誕生する可能性が高いが、それでも米国は対中国を睨んで核合意には復帰するとみられ、そのことも価格を下押ししよう。

石炭は夏場の猛暑観測とバルチック海運指数の上昇に見られるように中国の調達圧力の強まりが海上輸送市場需給をタイト化させるため、堅調地合を継続。

天然ガスは東西とも夏場に向けた調達圧力が再び強まっており、再び上昇余地を探る展開に。

◆非鉄金属

LME非鉄金属価格は大幅に下落した。中国政府による国家備蓄放出の報道(HP上には公開されているが具体的な数値の開示はない)を受けた需給緩和観測が価格を押し下げる中、米国時間に発表された米雇用関連統計の予想外の悪化を受けた株安・ドル高進行がさらに価格を下押しした。

そもそも投機の買いが記録的だったため、四半期末ということもあって手仕舞い売り圧力が強まりやすい。

中国は国家備蓄を放出の見込みで、Bloombergの報道などでは銅が50万トン程度の放出が見込まれているが、もしこの水準だと2021年の銅需給バランス、弊社は▲60万トン程度の供給不足と見積もっているが、これがほぼ払拭されることになり、下期にかけての下落要因となるだろう(亜鉛、アルミの放出量は不明)。

しかし、この在庫放出も「放出が終ってしまえば影響はなくなる」分けで、年明け以降に予想される米国のインフラ投資の本格化、予想されている通りの鉱山生産回復が見込まれるか、脱炭素の流れに変わりが無いのか、といったことに価格は左右されることになる。

本日は、昨日の下落幅が大きかったことからまずは買い戻しが入ると考えるが、目立った新規手がかり材料に乏しい中、昨日のリスク回避の動きや中国の在庫放出観測を材料とした売り圧力で下値余地を探る動きになると考える。

◆鉄鋼・鉄鋼原料

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは上昇、大連先物は上昇、豪州原料炭スワップ先物は横ばい、大連原料炭先物は大幅に続伸、上海鉄鋼製品先物は下落した。

鉄鉱石の港湾在庫日数水準は過去5年の最低水準であり、在庫積み需要は旺盛で価格を押し上げ。ただし鉄鋼製品価格から推定される鉄鉱石のフェアバリューは190ドル程度であり、現在の価格水準は割高。

本日も在庫積みの動きが継続するとみられ、高値圏を維持。ただし在庫日数ベースの在庫水準低下であるため「稼働低下」すれば需給緩和が進むため下落リスクをそろそろ警戒する必要。

◆貴金属

昨日の貴金属セクターは大幅に下落した。米雇用関連統計、フィラデルフィア連銀製造業指数の減速を受けて株が急落、「従来型ビジネス企業の物色」の流れが反転、再び火接触型系の銘柄が物色される流れとなり、株価が急落してドル高が進行したことが背景。

リスク・プレミアムは前日比▲50ドルと大幅下落となったが、実質金利の低下が小幅に下げ幅を削った。このような局面だと銀プラチナの下落率は金を越える。

パラジウムは▲10%を越える下落。昨日の米雇用関連統計の悪化と、5月の米中自動車販売の減速で投機の売りが入ったためと考えられる。

昨日はETFの残高はむしろ増えているので、先物主導の売りだったと見られる。パラジウムを除いて下落した。注目のFOMCではテーパリングの議論開始が宣言され、政策金利見通しも引き揚げられたことから長期金利が上昇、期待インフレ率も急低下して実質金利が上昇したことが背景。

本日は昨日の下落幅が大きかったことから、一旦買い戻しが入ると考える。ただし地合としてはリスク回避のドル高が続くため(地政学や信用リスクの顕在化ではないリスク回避のドル高であるため、金は物色されない)、軟調な推移になると予想。

ただし、同時に金利が低下しているため金の基準価格には上昇圧力が掛り、下げ幅を限定すると見る。

◆穀物

穀物価格は大暴落。ドル高進行に伴い四半期末の決算を睨んだファンドの利益確定の動きが強まる中、大幅な下落となってロスカットを巻き込み大幅な下落となった。

ラニーニャ現象終了のタイミングから始まった投機の手仕舞いが、ドル高進行で助長された形。生産地の状況改善だけではここまでの下落にはならない。

本日は、今回の下落でトウモロコシは100日移動平均線(610セント)、大豆は200日移動平均線(1,300セント)、小麦は200日移動平均線(630セント)までの調整が一応終っており、トウモロコシが200日移動平均線(520セント)まで下落するリスクはあるものの、基本は本日は買い戻しから入ると予想される。

※中長期見通しは個別セクターのコラムをご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【昨日のトピックス】

昨日の米週間新規失業保険申請件数は、41.2万件(市場予想36万件、前週37.5万件)と市場予想、前週共に上回った。

雇用情勢は総じて改善しているものの4月下旬以来の高水準。企業の人材不足は続いているが雇用と需要のミスマッチが起きている。

大なり小なり米国では産業構造の変化が起きており、以前よりも遙かに「宅配需要」が増加しているとみられる。ごく身近な例を挙げると、今までレストランで飲食をしていた人が、デリバリーで自宅で食べる、といったようなことだ。

この場合採用するべき人材の種類(職種)が変わることになるため、再就職が難しい。

また、コロナの影響が残存する中、対人接触型のビジネスには就労したくない、と考える労働者が多くてもおかしくはない。

ただ、ワクチン接種は今後も継続する見込みで徐々に平常状態に復帰すると考えられることから長期的な見通しは引き続きポジティブだが、市場が期待していたほどのペースにならない可能性がある、ということだろう。

フィラデルフィア連銀製造業指数も予想通り30.7(前月31.5)と減速した。仕入価格はオイルショックがあった1970年代と同水準となり、製品需給がタイトであることを伺わせる内容。

ただし、新規受注は22.2(32.5)、受注残も22.5(40.4)と需要が減速、ロックダウン解除後のペントアップ需要が一巡した可能性を示唆している。また入荷遅延指数も29.3(41.5)と低下しており、ロジの問題も徐々に解消に向かうと期待される。

実際、6ヵ月後景況感は69.2(52.7)と大幅な改善が見込まれている。

結局、コロナの影響による景気や経済活動のアンバランスが徐々に解消に向かっていると考えられ、表面上の数字よりも悪い内容ではなかった、と言えるのではないだろうか。

【マクロ見通しのリスクシナリオ】

・来年の中間選挙を控えて、バイデン大統領が国内の支持を得られない場合。恐らく選挙を考えると今年の夏までが勝負。

財政面や企業負担増の理由から造反が発生し、議会を通過しない場合は景気のリスクに(景気減速要因)。

・米財政出動が加速、景気回復期待を受けた価格上昇が顕著となる場合。

この場合、長期金利上昇でドル高が進行しやすく価格の下落を意識しなければならない。

これまでの雇用関連統計の改善を考えると、夏のジャクソンホールのシンポジウムでのテーパリング開始宣言が妥当だが、コロナの変異株の拡大の影響や雇用のミスマッチの影響で雇用環境の改善が頭打ちとなる可能性はあり、テーパリング開始が後ろ倒し(景気回復の遅れ・金融緩和継続で商品価格は上昇)となるケースも想定される。

・コロナウイルスの感染再拡大(変異種に対してワクチンの効果が期待ほどではなかった場合など)によるロックダウンが景気循環系商品の需要を減じる場合(価格下落要因)。これは既に欧州、インド、日本などで顕在化。

逆に想定以上にワクチン・治療薬の開発が速やかに行われた場合は需要の増加要因に。

・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。

逆に脱炭素に向けたインフラ投資の加速で資源価格が急上昇、金融緩和マネーが大量に市場に滞留する中でハイパーインフレとなるリスク。

・米中対立激化による、新冷戦構造が発現しブロック経済圏が発生して貿易活動が鈍化する場合(場合によると武力衝突も)。

「能動的に」軍事を行う方針に舵を切った中国習近平政権が、台湾統一を目指して侵略する可能性は高くなった。

・次の成長ドライバーとして期待されるインド経済が、期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。

2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2023~2024年頃。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(これは人口動態を考えると、現実のリスクとなるのは2030年以降か)。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油価格見通し】

原油価格は軟調ながらも、高値でもみ合うものと考える。最大消費国である米国の経済統計は良好なものが多いこと、OPECの追加増産に慎重な姿勢、米国の脱炭素派の発言権の強まりを受けてオイルメジャーが増産に躊躇している子と、から、需給ファンダメンタルズがさらにタイト化する見通しであることが背景。

しかし、そういってもここまで価格が上昇するとOPECの増産バイアスは強まることが予想され、米国のイランに対する制裁が解除される可能性が高まっていること、コロナの変異種拡大の影響が続くインドや欧州の回復にはまだ時間がかかること、米石油統計で出荷ペースの回復に陰りが見られること、米景気の回復期待で米長期金利上昇・ドル高圧力がかかるシナリオは依然、メインシナリオであり調整圧力が上昇圧力を上回る可能性は低くない。

なお、米国のイラン核合意復帰に向けた動きが進んでおり、サウジアラビアも米国の軍事的な支援を得られなくなったことでイランとの距離を縮める動きを見せていることから、当面、原油価格には下押し圧力になると見られる。

しかし、イランで対米強硬派が次の大統領となる可能性が高く、これまでの融和ムードが「ご破算」になるシナリオも無視できない。

また、イスラエルで連立政権が誕生したが、ネタニヤフ前首相よりもタカ派と言われるベネット党首が輪番制で2年間首相を務める。この間にイランとの対立がさらに深まり、武力衝突に発展する可能性も排除出来なくなってきた。

金融面に関しては、常識的に考えれば経済活動の再開で2022年頃(早ければ今年の年末)から米国でテーパリングが始まり、過去の例を考えると長期金利の上昇などを通じてリスク資産価格には一時的に調整圧力が強まる可能性は高い。そのため、2022年には一旦調整局面があり、その後、持続可能な上昇になると予想する。

【見通しの固有リスク】

・ワクチン接種の進捗が想定よりも早まり、人の移動制限が解除され需要増加に供給が間に合わず、価格が急騰するリスク(供給の時間差リスク。これは既に顕在化しているかもしれない)。

同時に変異株が猛威を振るい、ワクチンが効かない場合(需要減少で下落リスク)。

・米国経済が正常化する中で急速なドル高が進行し、投機的な売り圧力が高まる場合。

・OPECプラスの増産タイミングの見誤りによる、供給不足(価格上昇要因。これは既に顕在化している可能性が高い)。

・脱炭素の進捗、生活様式の変化による構造的な需要減少が加速した場合

1.中東産油国の財政悪化によって情勢不安が顕在化、供給途絶リスクが高まる

2.中東以外の産油国の生産者の破綻

3.上流投資部門投資が減速し、インドなどの新興国需要顕在化時に供給が間に合わない場合

4.価格面、数量面で予算を確保できない産油国が、OSPを大幅に引き上げる場合(第3次オイルショック)

などが価格上昇要因に。

・脱炭素の過剰な進捗による供給懸念(価格上昇要因)。

かなり過剰なペースで脱炭素が進められており、裁判所を使ってまでシェルに脱炭素推進を促し、ヘッジファンドが株主としてエクソンに対して脱炭素を促し、自身のポートフォリオの価値を上げる目的で取締役を送り込むといったことも常態化しており、「比較的タイムリーな増産」が可能だった米国の生産が増えない可能性は極めて高い。

この場合、「脱炭素移行期間には十分な燃料供給が出来ないリスク」が高まり、来年以降の価格上昇局面で原油価格が100ドルを超えるリスク(ただしまだリスクシナリオの位置づけ)。

なお、脱炭素が完了しても100%原油が不要になることはなく、OPECの価格支配力が増すため、この場合でも価格は上昇へ。

・米国の橋渡しでイランとサウジを初めとするスンニ派諸国の和解による中東の緊張緩和(下落要因)。

ただし、イランで強硬派が次の大統領となる可能性が高まっており、再び緊張感が高まる可能性も否定できず(上昇要因)。

【石炭価格見通し】

海上輸送石炭価格は高値圏を維持すると予想される。欧州排出枠価格が供給減少により2021年の需給がタイトとみられること、中国の製造業活動の回復とそれを受けた電力向け需要が堅調と見られることが背景。

中国政府は国内炭の供給能力増強にシフトしているが、経済活動の回復に供給が十分ではない。夏場の調達に目処が立てば調整すると見られるが、足下、中国の6大電力会社の石炭在庫水準は過去5年レンジの最低水準と低く、高値圏維持を予想。

ただし、3月の豪雨の影響で供給が減少していた豪州の輸出増加や、環境規制強化の中で石炭需要は減速するとみられること、脱炭素の流れと逆行するが中国政府は海外との対立によって石炭調達に支障が出ることを回避するため、国内生産を増加させていることから海上輸送炭価格の上値は重くなると予想される。

5月の石炭輸入は前年比▲4.6%の2,104万トン(前月▲29.8%の2,173万トン)と減少傾向が続いた。中国の需要増加に伴う電力需要回復で進んでいた石炭輸入だが、バルチック海運指数の減速も始まっており、そろそろ目処が立ちつつあると見られる。

しかし、中国6大電力会社の石炭在庫の水準は低く、まだ、季節的な石炭輸入需要の増加は続くと考える。石炭価格の下落は夏場の在庫調達が一巡する必要があるため、7月頃までは高止まりする可能性が高い。

【見通しの固有リスク】

・世界的な環境重視型世界へのシフトを受けた、石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。短期的には価格の上昇要因。

・中国と豪州の対立、中国国内の生産能力増強に伴う、海上輸送炭需要の減少。

・北半球の夏場の猛暑(/冷夏)・冬場の厳冬(暖冬)。

・エルニーニョ現象発生が予想される夏場にかけて、北半球が猛暑となるリスク(気象庁の分析では冷夏になりやすい。日本は西日本が猛暑になる可能性)

【天然ガス・LNG】

天然ガス価格は中国の経済活動が活発であり、電力向け需要増加が見込まれること、海上輸送石炭価格の高止まり、欧州のメンテナンスによる供給減少といったテクニカル要因で域内需給がタイト化し、価格を高値に維持する見込み。

4月の中国のLNG輸入は前年比+32.0%の673万トン(前月+34.6%の564万トン)と構造的な増加が続いている。

なお、5月の天然ガス輸入は前年比+31.6%の1,032万トン(前月31.5%の1,015万トン)と構造的な増加が続いている。中国も明確に石炭からガスへのシフトを進めていると見られ、電力需要の増加を背景に輸入を拡大していることが窺える。

長期契約のLNGに関しては、原油リンクとなるため上昇見通しだが、価格反映までに3ヵ月程度の時間差があるため(消費者への影響はさらに3ヵ月後)、現時点ではまだ上昇していないと考えられる。次の懸念は夏のピーク時の電力・ガス価格への影響だろう。

【見通しの固有リスク】

・米国がノルドストリーム2の建設を容認した場合、欧州ガス需給の緩和(ロシア増産で下落要因)。

・ウクライナやベラルーシといったロシアと欧州の緩衝帯との政治的な軋轢によって、結果的にロシア産ガスの供給がロシア側の都合でコントロールされた場合(実際にロシアが行動を起こした場合、多くのケースで価格の上昇要因)。

・産油国の減産継続による随伴ガス供給の減少懸念。

・北半球の夏場の猛暑(/冷夏)・冬場の厳冬(暖冬)。

・エルニーニョ現象発生が予想される夏場にかけて、北半球が猛暑となるリスク(気象庁の分析では冷夏になりやすい。日本は西日本が猛暑になる可能性)

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが657,352枚(前週比 +18,717枚)ショートが146,853枚(▲485枚)ネットロングは510,499枚(+19,202枚)

Brentはロングが394,065枚(前週比+19,796枚)ショートが103,320枚(▲3,667枚)ネットロングは290,745枚(+23,463枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は一旦調整する可能性が高まっていると考える。米FRBはテーパリングに関する議論開始を決定、物価水準にかかわらず恐らくテーパリングが実施(年明け)される見込みであることから、ファイナンシャルな理由で利益確定の動きが強まる可能性があるため。

これまで、投機的な買いが「需給バランス」「脱炭素」をテーマに価格上昇を助長していたことも事実であるが、ドル高・金利高の流れが意識されれば現物を必要としない投機の手仕舞い圧力が強まることになる。

また、中国は国家備蓄を放出の見込みで、Bloombergの報道などでは銅が50万トン程度の放出が見込まれているが、もしこの水準だと2021年の銅需給バランス、弊社は▲60万トン程度の供給不足と見積もっているが、これがほぼ払拭されることになり、下期にかけての下落要因となるだろう(亜鉛、アルミの放出量は不明)。

しかし、この在庫放出も「放出が終ってしまえば影響はなくなる」分けで、年明け以降に予想される米国のインフラ投資の本格化、予想されている通りの鉱山生産回復が見込まれるか、脱炭素の流れに変わりが無いのか、といったことに価格は左右されることになる。

米民主党政権は1.9兆ドルの経済対策に加え、2兆ドル(インフラ投資は0.6兆ドル程度)の追加対策を実施の計画であり、さらには2022年度予算も戦後最大となる歳出を6兆ドルと、以上と戦後最大の水準とする方針を示した。

インフラや社会プログラム向けに今後10年で4兆5,000億ドルを拠出、道路や橋梁の修復に170億ドル、水道管の工事に45億ドル、ブロードバンド通信網敷設に130億ドルを充当する見込みで、工業金属需要の増加に繋がる。

これらの需要は景気に関係なく発生する需要であるため、需要の見通しは底堅く、価格の調整があっても下値余地は限定される可能性が高い。

こうした政策期待や、インドなどの新興諸国の需要増加を受けた構造的な需要増加を受けて、中・長期的に価格は下支えされると考える。

米国・中国・インドがどのような動きをするかに環境政策は左右されるが、ここまでの各国の動きを見ていると当面は環境向けに使用される金属の需要増加は「今後10年・20年の大きなテーマ」となる可能性が高いと言える。

具体例を挙げると、軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル、銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルト、リチウムなどが挙げられる。

2020年の中国の新エネルギー車の販売は前年比+7.5%の137万台(前年124万台)となった。全体の自動車販売が2,523万台なのでシェアは5.4%(4.9%)と上昇している。それでも電気自動車が非鉄金属市場の重要なテーマになるには、あと数年は要するだろう。

5月の中国製造業PMIは51.0(前月51.1)と市場予想の51.1と前月を小幅に下回った。ただし閾値の50は上回っており中国の製造業活動は拡大過程にあることには変わりはない。

内訳を見ると生産が安定(52.2→52.7)する一方で、新規受注(52.0→51.3)、輸出新規受注(50.4→48.3)、受注残(46.4→45.9)と需要面に減速が見られている。

恐らく、原材料価格の高騰や中国政府の過剰投資抑制方針が徐々にボディブローのように効いていると考えられる。人民元高進行も輸出に重石と考えられる。

工業金属価格に対する説明力が高い新規受注在庫レシオは、完成品が1.10(前月1.11)、原材料が1.08(1.08)と両指数ともほぼ横ばい。

これまで非鉄金属価格の上昇を牽引しているのは中国の住宅セクターであるが、5月の中国の建設業PMIは60.1(57.4)と再び回復。悪天候の影響などで減速していた前月から急速に回復した。

住宅セクター向けの一連の建材需要は旺盛であるが、中国政府は住宅セクターの加熱を警戒していること、素材価格の上昇が活動を減速させる可能性があるため、やはり先行きの国内向けの需要はそれほど大きく回復はしないだろう。

その中で輸出向けの需要が欧米との対立と人民元高の中でどれだけ回復出来るかが、次の焦点となる。

5月の中国の貿易統計を見ると、ベンチマークである精錬銅の輸入は前年比+2.3%の44万6,000トン(前月+5.1%の48万4,890トン)とやや伸びが鈍化し、過去5年レンジの上限を下回っている。

一方、5月の銅精鉱の輸入は+15.1%の194万5,000トン(▲5.4%の192万トン)と高い水準を維持、銅スクラップの輸入も+103.1%の16万7,767トン(+90.6%の17万1,996万トン)と堅調であり、まだ中国の銅需要は堅調とみられる。

【見通しの固有リスク/個別金属の特殊要因】

・期待されていた米国のインフラ投資規模が、議会の反対で減額ないしは延期される場合(下落リスク)。

・米国経済が正常化する中でドル高が進行し、投機買いが膨らんでいる非鉄金属市場で投機の手仕舞い売り圧力が高まる場合(下落リスク)。

・米中間選挙に向けて、米民主党が追加でインフラ投資(2兆ドルのクリーンインフラ投資など)を議会の採決を得て実行に移す場合(上昇リスク)。

・主に銅山を中心とする労使交渉長期化による供給減少が、2021年も継続する場合(上昇リスク)。

・中国の環境規制強化に伴う供給の減少。エネルギー排出量の多い新疆ウイグル自治区でのアルミ生産は減産の影響は既に材料視されている(供給減少でアルミ価格の上昇要因に)。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・チリやペルーで広がる左派勢力伸長に伴う大衆迎合的な政策が可決し、鉱山生産に過剰なロイヤルティが適用される場合(供給減少ないしは生産コスト上昇で価格の上昇要因)。

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

また、環境に配慮したメタル使用の義務化などが欧州で進む場合などのコストアップ(グリーン・メタルの義務化によるコスト増加)。

【投機筋のポジション動向】・LMEのファンド筋のポジションは、銅、亜鉛、アルミ、錫でロングの解消が進んだが、同時に銅、亜鉛、アルミはショートも減少したため、全体の動きはまちまちだった。

高値圏にあることは事実で解消売り圧力が強まっていたが、調整も大きかったためショートの解消圧力も強まったと見られる。

結局、市場参加者は高値を維持すると見ている可能性が高く、しばらくはレンジワークが続くと予想される。

・LME投機筋買い越し金額 前週比+3.0%の263億ドル(前週 256億ドル)・LME投機筋買い越し数量 前週比+2.3%の5,945.5千トン(前週 5,812.6千トン)

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は、米中のインフラ投資による建材向け需要増加観測を背景に、高値を維持すると予想する。

またこれまでの経済対策の影響で、中国国内の鉄鋼原料在庫日数の水準が低いことから(鉄鋼製品在庫の水準は増加)在庫積み増し需要も継続する可能性が高い。

ただし、中国政府は景気刺激と同時に住宅セクターのバブルを懸念し始めており、住宅取得規制の動きも見せていること、先物取引市場での監視強化(証拠金引き上げや値幅制限、投機取引の監視など)、在庫日数は低いが粗鋼生産が減少すれば需給は緩和すること、鉄鋼製品在庫は季節性よりも早く再び積み上がっていること、から下落リスクを意識すべきタイミングに。

また、中国共産党は2021年から始まった新しい5ヵ年計画で鉄鋼生産量の削減の必要性を表明している。温室効果ガスの排出削減を目的として、業界として二酸化炭素の輩出の多い鉄鋼業(とアルミ生産業)の生産量を前年比でマイナスとする方針であり、鉄鋼製品向けの需要が減少することから、年後半に掛けては価格は下落すると予想する。

最大生産都市である唐山市は、2021年20日~12月31日まで、大気汚染基準に違反し、データを改ざんした4社は3月20日~6月末まで▲50%、7月~12月末まで▲30%減産、その他の16社は12月末まで▲30%の減産を新たに実施することを義務づけられた。

直近の唐山市の高炉稼働率は過去5年レンジを下回る7割程度の推移となっており、鉄鋼製品生産は抑制された状態になっている。

また、Q221には邯鄲市も生産管理措置を導入する見通しであり、鉄鋼製品供給は制限される可能性が高い。

これにより、唐山市の粗鋼生産は前年比▲2,223万トンの1億2,177万トン、鉄鉱石需要は▲3,500万トン減少するとみられている。ただし今のところ鉄鋼製品価格は高値圏を維持しており、鉄鉱石価格も高止まりしている。

5月の中国鉄鋼業PMIを見ると、総合指数は46.1(前月45.4)と改善。生産が回復(47.0→51.4)した影響が大きい。しかし、新規受注(44.4→39.4)、輸出向け新規受注(51.7→43.9)と軒並み需要面が減速している。

国内の新規受注の減速は資源価格の上昇と国内バブル抑制方針に中国政府が舵を切っていること、輸出向けの減速は5月1日から鋼材輸出の増値税還付が撤廃されたことが影響したとみられる。

需要の減少で目安となる新規受注・在庫レシオは、新規受注完成品レシオが0.91(前月1.29)と低下、新規受注原材料レシオは0.99(1.25)と大幅に低下しており、原材料・鉄鋼製品とも価格の下押し圧力が強まる展開が予想される。

しかし、鉄鋼原料価格の上昇を牽引してきた住宅セクターに関しては、5月の中国の建設業PMIは60.1(57.4)と、悪天候の影響などで減速していた前月から急速に回復。短期的には鉄鋼需要が底堅く推移する可能性が高いことを示唆している。

とはいえ、住宅セクター向けの一連の建材需要は旺盛であるが、中国政府は住宅セクターの加熱を警戒していること、素材価格の上昇が活動を減速させる可能性があるため、やはり先行きの国内向けの需要はそれほど大きく回復はしないだろう。

5月の中国の鉄鋼製品の輸入は前年比▲5.8%の120万6,000トン(前月+16.2%の117万4,000トン)と伸びが減速したが、過去5年レンジの上限で推移している。

4月の中国粗鋼生産は9,785万トン(前月9,402万トン、2月8,305万トン、1月 9,024万トン、12月9,125万トン、11月 8,766万トン)と同じ時期の過去5年最高水準を大きく上回っている。

その一方、5月の鉄鋼製品の輸出は前年比+19.8%の527万1,000トン(前月+26.2%の797万3,000トン)と伸びが減速した。これは輸出リベートの撤廃による4月の鉄鋼製品輸出駆け込み需要が剥落したことによるものと見られる。

なお、中国の鉄鋼製品需要は旺盛とみられるが、在庫水準は前週比+7万4,000トンの1,477万7,000トン(過去5年平均 1,098万8,000トン)と、例年、在庫減少が続く時期だが在庫は前週比で増加に転じている。

中国当局の景気過熱沈静化の動きの影響が顕在化しつつあると言える。

原料である鉄鉱石の5月の輸入は前年比+3.2%の8,980万トン(前月+3.0%の9,857万トン)と伸びは横ばい。しかし、輸入量の水準は過去5年平均程度まで急速に減速しており、中国の鉄鉱石需要は鈍化している可能性が出てきた。

鉄鉱石港湾在庫は前週比▲140万トンの1億2,625万トン(過去5年平均1億2,480万6,000トン)、在庫日数は23.0日(過去5年平均 27.6日)と例年と比較して在庫日数の水準は低く、在庫の積み増しは継続する見込み。

原料炭は中国の生産活動回復が継続していること、国内の鉄鋼需要が公共投資で底堅いことから、同様に底堅い推移になると考える。

しかし、中国政府は原料炭を含む石炭の国内生産を増加させる方針であることから、海上輸送原料炭価格の上値も重い。

4月の中国の原料炭輸入は前年比▲44.6%の348万トン(前月▲13.0%の491万トン)と減少している。

中国の港湾在庫の水準は鉄鋼の最大生産省である河北省の主要港である、京唐港の港湾在庫は前週比▲19万トンの140万トンと過去5年平均の176万8,000トンを上回っている。

在庫日数は前週比▲0.7日の4.9日と、過去5年の平均である7.4日を下回っており、需要を考慮すると原料炭需給はまだタイトな状態にあると言える。

【見通しの固有リスク】

・鉄鉱石価格の上昇がレーショニング(価格上昇による需要減少)を引き起こす場合。

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

・コロナウイルスの感染拡大長期化による、鉱山生産の減少リスク。

・中国とインドの国境紛争の激化で、インドが中国に対して鉄鉱石輸出を制限する可能性(中国のFOBインデックスは上昇、その他の地域の鉄鉱石価格は低下)。

---≪貴金属≫---

【貴金属価格見通し】

<<金>>

金は高値圏での推移を継続すると考える。長期金利の上昇圧力がやや緩和していること、市場での期待インフレ率の高まりで実質金利に低下圧力が掛っていることが材料。また、「金の競合となると(勝手に)期待された仮想通貨が下落」していることで、改めて安全資産としての金需要が戻っていることも高値圏を維持する要因となっている。

とは言え、米景気の相対的な回復期待の強さからドル高・長期期金利(緩やかに)上昇圧力が強まると予想され、中期的な見通しは弱気。

現在の金の実質金利で説明可能な価格(金基準価格)は1,588ドルと+14ドル上昇。そこからの乖離(リスク・プレミアム)は188ドルと前日から▲50ドル低下した。

リスク・プレミアムは、過去3ヵ月平均で215ドル、6ヵ月で215ドル、1年で230ドル、5年で170ドルとなっている。

なお、金価格を実質金利要因と為替要因に分類した場合、為替要因はリスク・プレミアムのところに内包されると整理している(為替は名目金利の影響も受けるので、純粋に為替の要因のみ切り出すのが困難であることから)。

※毎日回帰分析をアップデートし、リスク・プレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない場合があります。

<<銀>>

銀価格は金価格との比較感で売買されるが、金銀レシオは現在、68.5倍。過去1年を基準にすると75倍、5年では80倍、2000年以降では65倍程度が妥当。

今後、さらに金銀レシオが低下するには、実際に太陽光パネルの設置が米国で進捗するなどの新規材料が必要になるのではないか。

なお、銀価格=金価格÷金銀レシオ であり、金銀レシオが低下することで金価格が変動した時の弾性値が上昇(ボラティリティは上昇し、足元金の2倍に上昇)する点は留意。

(例)金が2,000ドル、銀が20ドルのとき 金銀レシオが100倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1セント変化 金の変化率は±0.05%、銀は±0.05%

 金銀レシオが1倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1ドル変化 金の上昇率は±0.05%、銀は±5%

<<PGM>>

プラチナ価格は銀価格との連動性が高い。これは供給過剰で投機的な取引の影響が強まっていることによる。プラチナの需給バランスはWPICデータを元にすると今年も除く投機で供給過剰であり、投機動向が価格を左右しやすい。

金価格が米長期金利の低下で再び高値で推移していることから、投機的な観点でプラチナにも上昇圧力が掛りやすい地合い。

仮に脱炭素が進んで水素が用いられ、燃料電池が進むのであればプラチナの構造的な需要が増加するシナリオは、需要・価格面でのポジティブリスクシナリオ。投機の比率が高い商品であるため、こうした観測記事だけでも材料に価格が反応しやすい。

パラジウムは景気正常化期待による金価格調整→経済正常化による需要増加、ロシア生産者からの供給減少観測を受けて高値を維持すると考える。

自動車生産が回復すれば再びパラジウム供給不足が発生し、ETFの残高減少と価格上昇が同時に発生する可能性が高いとみている。

5月の米自動車販売は年率1,699万台(前月1,851万台、市場予想1,725万台)と減速。目先は価格の下落要因となりやすい。

中国の5月の自動車販売は中国自動車工業協会の集計で前年比▲3.0%の212万7,000台(前月+8.8%の225万台、3月+76.5%の252万5,000台、2月+371%の146万台、1月+30%の250万台、12月+6.4%の283万台、11月+12.7%の276万9,666台、10月+12.6%の257万3,000台、9月+13.0%の256万5,201台)と前年比マイナスに転じた。

半導体不足が自動車生産に影響を及ぼしているとみられる。

【見通しの固有リスク】

・個人投資家のETFを通じた買いが、経済合理性を無視した水準まで貴金属価格を押し上げるリスク。

・主要生産国の南アフリカの電力供給不安や、コロナウイルスの影響拡大で供給が滞る場合(PGMの価格上昇要因)。

・コロナからの回復は各国まだらであり、先行する米国が金融正常化に動いた場合、新興国から資金が流出して信用リスクが高まる場合(安全資産価格の上昇要因)。

・米中の対立激化。バイデン政権は対中強硬姿勢を明確にしており、対立がさらに激化する場合(安全資産価格の上昇要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加(実際に破綻が意識されるのは2030年以降か)。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

環境重視型社会へのシフトはパラジウム需要を増加させるが、さらに加速して「水素社会」まで到達すると、燃料電池車需要が増加して構造的にプラチナ価格の上昇要因となる可能性。

・コロナウイルスの感染拡大による、最大生産国の1つである南アフリカの鉱山稼働が電力供給問題もあって不安定であることによる供給懸念。

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが288,781枚(前週比 ▲45枚)、ショートが79,394枚(+4,269枚)、ネットロングは209,387枚(▲4,314枚)、銀が83,378枚(▲1,022枚)、ショートが33,572枚(▲3,311枚)、ネットロングは49,806枚(+2,289枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが37,717枚(前週比 ▲1,346枚)ショートが17,553枚(+2,535枚)、ネットロングは20,164枚(▲3,881枚)

パラジウムが6,127枚(+219枚)、ショートが3,652枚(+106枚)ネットロングは2,475枚(+113枚)

---≪農産品≫---

【穀物価格見通し】

トウモロコシ・大豆は下落余地を探る動きになると予想する。5月13日に米海洋気象局がラニーニャ現象収束を宣言、エルニーニョ現象の発生が見込まれる中FRBのテーパリング議論開始を受けたドル高進行によってこれまで維持してきたサポートラインを割り込んだことが背景。

ただし、中国の輸入需要が旺盛であることに変わりがないことから下落余地も限定されよう。

5月の中国の大豆輸入は前年比+2.5%の961万トン(+11.0%の前月745万トン)と季節性に沿って増加しているが、過去5年レンジの上限で推移しており、輸入需要は旺盛。

但し、これまでの20年を振り返るとラニーニャが発生していない時期~エルニーニョの時期にかけては価格が弱含みやすいのでそこまで強気ではない。

更に価格が上昇するとすれば、2000年代にトウモロコシのエタノール需要増加を期待して価格が上昇したことと同じことが、大豆や大豆油に対して起きる場合だろう。

但しこの時も「食品を投機の対象にすること」「燃料に使うこと」への批判が高まり、特に投機に規制がはいることで下落に転じたため「構造的な需要増加要因として織り込まれた後」は下落に転じると考える。

Locust WatchではFAOの予想通り、降雨がなかったため群生相の発生は極めて抑制されている。Locust Watchでも今のところ差し迫った危機の発生リスクは指摘されていない。
http://www.fao.org/ag/locusts/common/ecg/75/en/210527DLupdate.jpg

【見通しの固有リスク】

・エルニーニョ現象発生による生産条件改善を受けた増産観測(価格の下落要因)。

・環境重視型社会へのシフトにより、燃料向け穀物需要が増加する場合(価格の上昇要因)。現在はそれほどの数量でもない、バイオディーゼル向けの大豆需要増加など。

・新型コロナウイルスの影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

【米農務省需給報告データ】

・米作付け意向面積トウモロコシ 9,114万エーカー(市場予想9,313万エーカー、前年9,699万エーカー)大豆 8,760万エーカー(9,010万エーカー、8,351万エーカー)小麦 4,636万エーカー(4,495万エーカー、4,466万エーカー)綿花 1,204万エーカー(1,215万エーカー、1,370万エーカー)

・米穀物最終作付け面積トウモロコシ 9,201万エーカー(市場予想 9,514万エーカー)大豆 8,383万エーカー(8,483万エーカー)小麦 4,425万エーカー(4,472万エーカー)

・6月米需給報告単収見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 179.5Bu/エーカー(179.39、179.5)大豆 50.8Bu/エーカー(50.8、50.8)小麦 50.7Bu/エーカー(NA、50.0)

・6月米需給報告生産見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 149億9,000万Bu(150億861万Bu、149億9,000万Bu)大豆 44億500万Bu(44億1,096万Bu、44億500万Bu)小麦 18億9,800万Bu(18億8,990万Bu、18億7,200万Bu)

・6月米需給報告輸出見通し(実績/前月)トウモロコシ 24億5,000万Bu(24億5,000万Bu)大豆 20億7,500万Bu(20億7,500万Bu)小麦 9億Bu(9億Bu)

・6月米需給報告在庫見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 13億5,700万Bu(14億1,672万Bu、15億700万Bu)大豆 1億5,500万Bu(1億4,256万Bu、1億4,000万Bu)小麦 7億7,000万Bu(7億8,056万Bu、7億7,400万Bu)

・3月末四半期在庫(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 77億100万Bu(77億7,024万Bu、112億9,400万Bu)大豆 15億6,400万Bu(15億2,829万Bu、29億4,700万Bu)小麦 13億1,400万Bu(12億7,116万Bu、17億300万Bu)

・6月CONABブラジル作付け面積(市場予想/前月)トウモロコシ 1,984万ha(1,975万ha、1,987万ha)大豆 3,815万ha(3,871万ha、3,850万ha)

・6月CONABブラジル生産量(市場予想/前月)トウモロコシ 9,639万トン(9,398万トン、1億641万トン) 単収 4,858kg/ha(4,762Kg/ha、5,355kg/ha)大豆 1億3,586万トン(1億3,682万トン、1億3,541万トン) 単収 3,528kg/ha(3,538Kg/ha、3,517kg/ha)

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが519,602枚(前週比 ▲11,736枚)、ショートが91,174枚(+12,212枚)ネットロングは428,428枚(▲23,948枚)

大豆はロングが281,347枚(+5,090枚)、ショートが54,659枚(+2,478枚)ネットロングは226,688枚(+2,612枚)

小麦はロングが109,402枚(▲3,928枚)、ショートが90,785枚(▲3,750枚)ネットロングは18,617枚(▲178枚)

◆主要ニュース


・5月東京マンション販売 前年比+556%の3,103戸(前月+204.5%の2,045戸)

・5月中国新築住宅価格 前月比+0.52%(前月+0.48%)

・5月EU27ヵ国新車登録台数 前年比+53.4%の891,665台(前月+218.6%の862,226台)
 年初来+29.5%の4,314,264台(+24.4%の3,422,439台)

 欧州合計 +73.7%の1,083,795台(+255.9%の1,039,810台)
 年初来+31.1%の5,204,398台(+23.1%の4,120,443台)

・5月ユーロ圏消費者物価指数 前月比+0.3%(前月+0.6%)前年比+2.0%(+1.6%)、コア指数 +1.0%(+0.7%)

・4月ユーロ圏建設業生産高 前月比▲2.2%(前月改定+4.1%)前年比+42.3%(+20.0%)

・6月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数 30.7(前月31.5)
 新規受注 22.2(32.5)
 仕入価格 80.7(76.8)
 販売価格 49.7(41.0)
 受注残 22.5(40.4)
 入荷遅延 29.3(41.5)
 在庫水準 17.9(25.6)
 雇用者数 30.7(19.3)
 6ヵ月先景況指数 69.2(52.7)

・5月米景気先行指標総合指数 前月比 +1.3%(前月改定+1.3%)

・米イエレン財務長官、下院歳入委員会で証言、「ハイパーインフレの懸念はない。」

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】

・DOE天然ガス稼働在庫 2,427BCF(前週比+16BCF)
 東部 461BCF(+16BCF)
 中西部 570BCF(+23BCF)
 山間部 165BCF(+5BCF)
 太平洋地区236BCF(▲40BCF)
 南中央 995BCF(+12BCF)

・イラン アラグチ外務次官、「イラン、核合意再建にこれまでになく近づいている。

【メタル】

・インドネシア中国青山集団のニッケル工場で火災。2021年に60万トン、2022年に85万トン、2023年に110万トンのニッケル生産を計画。

・5月日本電線出荷量 前年比+3,830トンの45,900トン(前月 53,787トン)

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.ドル指数 ( その他 )/ +0.86%/ +2.19%
2.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ +0.69%/ +22.13%
3.TCMガソリン ( エネルギー )/ +0.69%/ +47.62%
4.ニューキャッスル炭 ( エネルギー )/ +0.60%/ +56.52%
5.SHF天然ゴム ( その他農産品 )/ +0.48%/ ▲6.91%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
66.パラジウム ( 貴金属 )/ ▲10.80%/ +1.99%
65.CBT大豆油 ( 穀物 )/ ▲8.86%/ +30.56%
64.CBT大豆 ( 穀物 )/ ▲8.20%/ +1.10%
63.CME木材 ( その他農産品 )/ ▲6.51%/ +3.64%
62.CBTトウモロコシ ( 穀物 )/ ▲5.94%/ +30.79%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :33,823.45(▲210.22)
S&P500 :4,221.86(▲1.84)
日経平均株価 :29,018.33(▲272.68)
ドル円 :110.21(▲0.50)
ユーロ円 :131.23(▲1.57)
米10年債 :1.50(▲0.07)
中国10年債利回り :3.17(+0.01)
日本10年債利回り :0.06(+0.01)
独10年債利回り :▲0.20(+0.06)
ビットコイン :37,747.52(▲784.98)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :27.68(+1.82)
エネルギー :25.87(▲0.5)
ベースメタル :24.76(▲1.39)
貴金属 :26.97(+9.84)
穀物 :34.30(+5.79)
その他農畜産品 :27.19(+0.36)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :21.97(▲2.94)
Brent :16.41(▲1.01)
米天然ガス :33.34(▲2.9)
米ガソリン :18.49(▲2.26)
ICEガスオイル :13.84(+5.22)
LME銅 :19.46(▲2.79)
LMEアルミニウム :23.73(▲1.63)
金 :35.67(+14.04)
プラチナ :26.29(+6.72)
トウモロコシ :48.48(+5.36)
大豆 :35.67(+14.04)

【エネルギー】
WTI :71.04(▲1.11)
Brent :73.01(▲1.38)
Oman :71.75(▲1.05)
米ガソリン :213.42(▲2.20)
米灯油 :206.68(▲3.66)
ICEガスオイル :590.75(▲15.00)
米天然ガス :3.25(+0.00)
英天然ガス :68.88(+0.47)

【貴金属】
金 :1773.50(▲37.97)
銀 :25.90(▲1.08)
プラチナ :1066.88(▲58.28)
パラジウム :2497.63(▲302.40)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :9,457(▲82:29C)
亜鉛 :2,978(▲6:15.5C)
鉛 :2,161(▲17:16C)
アルミニウム :2,407(▲46:20.5B)
ニッケル :17,316(▲203:29C)
錫 :30,755(▲499:1945B)
コバルト :44,532(+2,001)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :9190.50(▲439.50)
亜鉛 :2887.50(▲134.50)
鉛 :2128.50(▲68.50)
アルミニウム :2365.00(▲109.00)
ニッケル :17185.00(▲360.00)
錫 :30250.00(▲965.00)
バルチック海運指数 :3,176.00(+151.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR中国、1営業日前) :217.14(▲1.19)
SGX鉄鉱石 :214.27(+0.85)
NYMEX鉄鉱石 :214.69(+1.16)
NYMEX豪州原料炭スワップ先物 :170.75(±0.0)
大連原料炭先物 :324.81(+7.29)
上海鉄筋直近限月 :4,909(▲57)
上海鉄筋中心限月 :5,053(▲35)
米鉄スクラップ :684(+6.00)

【農産物】
大豆 :1329.75(▲118.75)
シカゴ大豆ミール :361.50(▲17.70)
シカゴ大豆油 :56.57(▲5.50)
マレーシア パーム油 :3549.00(▲17.00)
シカゴ とうもろこし :633.00(▲40.00)
シカゴ小麦 :639.00(▲23.75)
シンガポールゴム :213.00(±0.0)
上海ゴム :12655.00(+60.00)
砂糖 :16.55(▲0.49)
アラビカ :149.55(▲3.80)
ロブスタ :1569.00(▲31.00)
綿花 :84.17(▲1.16)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :111.00(▲4.50)
シカゴ生牛 :120.10(▲2.20)
シカゴ飼育牛 :157.40(▲0.30)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。