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米統計改善や米政権の拡張予算報道で堅調
  • MRA商品市場レポート

2021年5月31日 第1964号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「米統計改善や米政権の拡張予算報道で堅調」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は総じて堅調な推移となった。米個人所得・支出統計で支出が回復していることで、米景気の先行きを楽観した株価の上昇や、米バイデン大統領の2022年度予算案が6兆ドルという戦後最大規模となる見込みとなったことが景気への楽観を強めたことが背景。

週末はこうしたニュースを受けて米長期金利に上昇圧力が掛ったが、結局低下したためリスクテイクを後押しすることとなった。

商品価格は4月以降調整色を強めるとみていたが、本邦系投資家の米国債投資を背景とする長期金利の低下が価格を押し上げた側面は否めない。

基本、コロナの影響による経済対策強化とロジスティクスの問題などを背景とする供給制限が需給をタイト化しているが、これにさらに対策が講じられるようであれば、供給制限がある中での需要増加となるため、価格が上昇しておかしくない。これは恐らく商品の種類によらないだろう。

週末発表されたバイデン政権の2022年度予算案は6兆ドルと戦後最大の水準。中国を意識して国防費に7,150億ドルを充当する計画。

またインフラ投資なども10年で4兆5,000億ドルを目指し、2022年度はインフラ改修に170億ドル、水道管工事に45億ドル、ブロードバンド敷設に130億ドルを要求。

しかしこれらの財源に法人増税が充てられており、さらに、脱炭素の流れで従来型企業の負担を高める政策を推進している同政権の政策が、今後支持されるかどうかが価格動向を左右しよう。

既に共和党はほぼ全員が一致して、支出案と増税案の全てに反対を表明している。1人でも民主党側に造反が出ればこれらの法案は通せない。

【本日の見通し】

週明け月曜日は欧米主要市場が休場の中、方向感に欠ける展開が予想され、レンジワークになるとみている。

予定されている材料で注目しているのは中国のPMIとOPECプラス共同技術委員会の動向。

中国製造業PMIは51.1(前月51.1)と横ばい見通しで、工業金属セクター価格にはほぼ中立、非製造業PMIは55.1(54.9)と小幅に改善見込みであり、エネルギー価格などの押し上げ要因となるだろう。

OPECプラスは恐らく減産や増産の追加提言はないと見ている。しかし、今年の後半に予想される米テーパリングの影響をどの程度需要の減速要因として考えているのか、イラン核合意動向を受けた増産への判断(イラン制裁緩和によるシェア争い開始の可能性)がどうなっているか、に注目したい。

【セクター別動向と見通し】

◆エネルギー

原油価格はもみ合った。週末が月曜日まで欧米が連休となること、Brentが70ドルの大台を目前に控え、かつ、31日・6月1日のOPECプラスを控えて様子見気分が強まったためと考えられる。

ドル指数は上昇後下落したが、「良い金利上昇」と判断されている可能性が高く、原油市場への影響は金曜日は限定された。

石炭価格(豪州炭)は続伸。中国の経済活動の回復や脱炭素に伴う石炭供給減少が引き続き材料視され、価格は高値を維持している。

中国の石炭輸入動向の指標の1つであるバルチック海運指数は、昨日も小幅に下落しており、こちらは中国の調達に目処が立ちつつある可能性を示唆している。

しかし、中国の6大電力会社の石炭在庫水準は同じ時期の過去5年の最低水準。港湾在庫の水準よりも6大電力会社の保有在庫の水準の方がケタが違うため、当面は電力会社の石炭調達需要が価格を高値に維持させそうだ。

JKMは続伸。豪州石炭価格の上昇に連れる形での上昇が続いている。今後は域内の夏場向けの冷房燃料の確保がどのタイミングでフェードアウトするかだが、中国電力会社の在庫水準を見るに、7月頃まではこの状態が続きそうだ。

ただしLNGタンカーレートは東西共に既に低下を始めているため、このタイミングより早いタイミングで下落に転じるとみている。

欧州天然ガスは排出権価格の下落もあって水準を切り下げ、米国天然ガスは気温上昇観測を受けて水準を切り上げた。

5月17日~23日の世界のLNG取引750万トンのうち233万トンがスポットで取引された。先週から▲30万トン減少。国別では、日本、韓国、中国、台湾(雨不足で火力燃料が必要なものと思料)の調達が増加した。米国・豪州のカーゴは日本向けと見られ、中国・台湾向けではなかったようだ。

週明け月曜日は欧米主要市場が休場であること、OPEC共同技術委員会(JMMC)が予定されているため、様子見気分が強く、これまでの上昇もあって調整売りに押されると考える。

石炭・LNGは夏に向けた在庫積み増しの動きがアジア・欧州で継続していること、欧州のガス市場需給タイト化観測で、高値圏を維持する見込み。

◆非鉄金属

LME非鉄金属価格は下落後上昇し、前日比プラスのものが目立った。LME指定倉庫在庫の減少は継続しているため小幅に反発したが、ドル指数が上昇したことで下落、その後、米長期金利低下に伴うドル安で買い戻しが入った。

非鉄金属の場合、最大消費国が中国であるためドル指数の動向を受けやすい(エネルギーの場合、米国が最大消費国であるため、ドル高・原油高が同時に起きることは有り得る)。

中国政府による投機取引の規制強化方針はあるものの、米バイデン政権の6兆ドル予算案など、景気刺激への期待がこれに勝り、価格は弊社が想定している以上に高い水準(10%程度)で推移している。

週明け月曜日はロンドン市場が休場であることから小動きとみる。ただし中国製造業PMIが発表される予定で、市場予想は51.21(前月51.1)と横ばいであるが閾値の50を上回ることから高値維持の公算。

なお、先週発表された中国の工業セクター利益は、価格の下押し材料になるところだが、今のところあまり材料視されていない。

◆鉄鋼・鉄鋼原料

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは小幅に下落、大連先物は上昇、豪州原料炭スワップ先物は小幅に上昇、大連原料炭先物は上昇、上海鉄鋼製品先物は上昇した。

悪天候の影響で減少していた需要が回復したことや、米バイデン政権の大規模インフラ投資の影響で鉄鋼製品の世界需給がタイト化するとの見方から、鉄鋼製品価格が上昇したことが鉄鉱石価格を高止まりさせた。

基本、供給制限と減速したとはいえ需要が堅調であることが鉄鋼原料価格を高止まりさせている。

鉄鋼製品価格動向が鉄鋼原料価格を左右しているが、米国のインフラ投資計画の上積み観測などで鉄鋼製品価格が高止まりすることから、鉄鉱石・原料炭価格は高値圏を維持の公算。

◆貴金属

昨日の貴金属価格は総じて堅調な推移となった。米実質金利が長期金利の低下と原油価格上昇を受けた期待インフレ率の上昇で低下したこと、それに伴うドル安の進行が材料となった。

しかし昨日に関しては金のリスク・プレミアムの上昇の方が大きく、為替要因の影響が大きかったと見られる。銀、PGM価格も上昇した。

週明け月曜日は欧米市場が休場であるため為替動向に左右される展開が予想されるが、方向感に欠ける展開で現状水準でのもみ合いを予想。

◆穀物

穀物価格は軟調な推移となった。生産地の天候状況の改善や作付の進捗が材料となった、とのコメントが多いが、それ以上にラニーニャ現象終了に伴うポジション解消圧力の強まりが価格動向を左右している。

昨日も作付、というよりも50日移動平均線を意識したテクニカルな売買が主体とみている。投機のポジション解消は進んでいるが、トウモロコシ、大豆はまだ5年レンジを超える買越しが、小麦は5年平均を上回る買越しが維持されている。

2021年5月20日時点の米主要穀物の習慣成約高は以下の通りトウモロコシ 6,247.30千トン(前週比+1907.9千トン)大豆 304.20千トン(+124千トン)小麦 403.30千トン(▲35.4千トン)

本日も50日移動平均線を意識した売買が継続するとみるが、足下、投機の解消圧力が強いため上値は重いと考える。

トウモロコシは635セント、小麦は675を目指して買い戻し、大豆は1,500セントを目指して水準を切り下げる動きになると予想。

※中長期見通しは個別セクターのコラムをご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【昨日のトピックス】

週末に発表された米個人所得・支出は所得の伸び率鈍化が市場予想ほど悪くなく、支出はほぼ市場予想通りとなった。しかし実質個人支出は、物価上昇の影響で前月比▲0.1%(市場予想+0.2%、前月+4.1%)と減速した。

物価デフレーターは総合指数で+0.6%(+0.6%、+0.6%)と予想通りだったが、前年比では+3.6%(+3.5%、+2.4%)と市場予想、前月共に上回っている。

コアデフレーターについても、前月比+0.7%(+0.6%、+0.4%)、前年比+3.1%(+2.9%、+1.9%)と伸びが加速した。

この統計を見るに米FRBがテーパリングの「議論を開始する」と宣言したとしてもなんら不思議はない。恐らく来月初めに発表される5月の雇用統計、7月の初めに発表される6月の雇用統計の内容を確認した上で、8月、ジャクソンホールのフォーラムでテーパリングに向けた議論開始が表明される、というのがメインシナリオだろう。

なお、個人所得と個人支出を見てみると、2020年4月、2021年1月、2021年3月に直接給付の影響で個人所得は増加しているが、支出につながり始めたのは今年に入ってからだ。恐らくコロナワクチンの接種進捗によって、雇用が回復し、消費につながり始めたと言える。

株価は給付金が付与されてから上昇しているが(余資の運用か)、WTIなどの資源価格は支出との相関性が高く、支出の回復がこれまでの価格上昇を肯定している。

給付金の有無、というよりも恒常的な消費行動の回復があって、初めて価格上昇が肯定されると考えるのが妥当だろう。実際、WTIと個人支出の伸びの間の相関性は高い。

今後、原油価格の上昇は投機的な動きよりも、引き続き人やモノの移動制限解除に伴う個人の消費動向に左右されることになる。

【マクロ見通しのリスクシナリオ】

・来年の中間選挙を控えて、バイデン大統領が国内の支持を得られない場合。恐らく選挙を考えると今年の夏までが勝負。

財政面や企業負担増の理由から造反が発生し、議会を通過しない場合は景気のリスクに(景気減速要因)。

・米財政出動が加速、景気回復期待を受けた価格上昇が顕著となる場合。

この場合、長期金利上昇でドル高が進行しやすく価格の下落を意識しなければならないが、足下、どの中央銀行・政府も景気過熱は意識しているものの沈静化させるタイミングと判断していないため、しばらくは顕著な価格上昇リスクとなる見込み。

常識的に考えると今年の年末頃からテーパリング開始の見通しとなるが、来年の米中間選挙を控えて米政権がテーパリング実施にクギを刺す可能性がある。この場合、2022年にかけて、さらにリスク資産価格が上昇する可能性も。

・コロナウイルスの感染再拡大(変異種に対してワクチンの効果が期待ほどではなかった場合など)によるロックダウンが景気循環系商品の需要を減じる場合(価格下落要因)。これは既に欧州、インド、日本などで顕在化。

逆に想定以上にワクチン・治療薬の開発が速やかに行われた場合は需要の増加要因に。

・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。

・米中対立激化による、新冷戦構造が発現しブロック経済圏が発生して貿易活動が鈍化する場合(場合によると武力衝突も)。

「能動的に」軍事を行う方針に舵を切った中国習近平政権が、台湾統一を目指して侵略する可能性は高くなった。

・次の成長ドライバーとして期待されるインド経済が、期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。

2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2023~2024年頃。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(これは人口動態を考えると、現実のリスクとなるのは2030年以降か)。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油価格見通し】

原油価格は軟調ながらも、高値でもみ合うものと考える。最大消費国である米国の経済統計は良好なものが多いこと、DOEやOPECなどの見通しは需給ファンダメンタルズがさらにタイト化する見通しであることが背景。

しかし、OPECの増産バイアスは強まり、米国のイランに対する制裁が解除される可能性が高まっていること、コロナの変異種拡大の影響が続くインドや欧州の回復にはまだ時間がかかること、米景気の回復期待で米長期金利上昇・ドル高圧力がかかるシナリオは依然、メインシナリオであり調整圧力が上昇圧力を上回る可能性は低くない。

なお、米国のイラン核合意復帰に向けた動きが進んでおり、サウジアラビアも米国の軍事的な支援を得られなくなったことでイランとの距離を縮める動きを見せていることから、当面、原油価格には下押し圧力になると見られる。

しかし、イランで対米強硬派が次の大統領となる可能性が高く、これまでの融和ムードが「ご破算」になるシナリオも無視できず。

金融面に関しては、常識的に考えれば経済活動の再開で2022年頃(早ければ今年の年末)から米国でテーパリングが始まり、過去の例を考えると長期金利の上昇などを通じてリスク資産価格には一時的に調整圧力が強まる可能性は高い。そのため、2022年には一旦調整局面があり、その後、持続可能な上昇になると予想する。

【見通しの固有リスク】

・ワクチン接種の進捗が想定よりも早まり、人の移動制限が解除され需要増加に供給が間に合わず、価格が急騰するリスク(供給の時間差リスク。これは既に顕在化しているかもしれない)。

同時に変異株が猛威を振るい、ワクチンが効かない場合(需要減少で下落リスク)。

・米国経済が正常化する中で急速なドル高が進行し、投機的な売り圧力が高まる場合。

・OPECプラスの増産タイミングの見誤りによる、供給不足(価格上昇要因。これは既に顕在化しているかもしれない)。

・脱炭素の進捗、生活様式の変化による構造的な需要減少が加速した場合

1.中東産油国の財政悪化によって情勢不安が顕在化、供給途絶リスクが高まる

2.中東以外の産油国の生産者の破綻

3.上流投資部門投資が減速し、インドなどの新興国需要顕在化時に供給が間に合わない場合

4.価格面、数量面で予算を確保できない産油国が、OSPを大幅に引き上げる場合(第3次オイルショック)

などが価格上昇要因に。

・バイデン政権がシェールオイルのフラッキングやパイプライン敷設を制限/禁止する場合、供給減少で価格上昇要因に。

・米国の橋渡しでイランとサウジを初めとするスンニ派諸国の和解による中東の緊張緩和(下落要因)。

ただし、イランで強硬派が次の大統領となる可能性が高まっており、再び緊張感が高まる可能性も否定できず(上昇要因)。

【石炭価格見通し】

海上輸送石炭価格は高値圏を維持すると予想される。欧州排出枠価格が供給減少により2021年の需給がタイトとみられること、中国の製造業活動の回復とそれを受けた電力向け需要が堅調と見られることが背景。

中国政府は国内炭の供給能力増強にシフトしているが、経済活動の回復に供給が十分ではない。夏場の調達に目処が立てば調整すると見られるが、それでも高値圏維持を予想。

ただし、豪州との対立や、環境規制強化の中で石炭需要は減速するとみられること、非常に矛盾するが国内生産を増加させていることから海上輸送炭価格の上値は重くなると予想される。

4月の石炭輸入は前年比▲29.8%の2,173万トン(前月▲1.8%の2,733万トン)と減少に転じた。中国国内の電力需要が回復していることで輸入が増加していたが、調達に目処が立った可能性がある。

ただ、中国の石炭輸入需要の指標であるバルチック海運指数が高い水準を維持していることを考慮すると、まだ輸入は高水準で推移する可能性が高いと考える。今のところ中国6大電力会社の在庫水準も低い。

石炭価格の下落は夏場の在庫調達が一巡する必要があるため、7月頃までは高止まりする可能性がたかまっている。

【見通しの固有リスク】

・世界的な環境重視型世界へのシフトを受けた、石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。短期的には価格の上昇要因。

・中国と豪州の対立、中国国内の生産能力増強に伴う、海上輸送炭需要の減少。

・北半球の夏場の猛暑(/冷夏)・冬場の厳冬(暖冬)。

・エルニーニョ現象発生が予想される夏場にかけて、北半球が猛暑となるリスク(気象庁の分析では冷夏になりやすい。日本は西日本が猛暑になる可能性)

【天然ガス・LNG】

天然ガス価格は中国の経済活動が活発であり、電力向け需要増加が見込まれること、ロシアが6月のウクライナ経由・欧州向けのガス供給枠を増枠しなかったことで域内需給がタイト化し、価格を高値に維持する見込み。

4月の中国のLNG輸入は前年比+32.0%の673万トン(前月+34.6%の564万トン)と構造的な増加が続いている。徐々に中国も石炭からガスへのシフトが起きていると見られ、電力需要の増加を背景に輸入を拡大していることが窺える。

長期契約のLNGに関しては、原油リンクとなるため上昇見通しだが、価格反映までに3ヵ月程度の時間差があるため(消費者への影響はさらに3ヵ月後)、現時点ではまだ上昇していないと考えられる。次の懸念は夏のピーク時の電力・ガス価格への影響だろう。

【見通しの固有リスク】

・米国がノルドストリーム2の建設を容認した場合、欧州ガス需給の緩和(ロシア増産で下落要因)

・産油国の減産継続による随伴ガス供給の減少懸念。

・北半球の夏場の猛暑(/冷夏)・冬場の厳冬(暖冬)。

・エルニーニョ現象発生が予想される夏場にかけて、北半球が猛暑となるリスク(気象庁の分析では冷夏になりやすい。日本は西日本が猛暑になる可能性)

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが625,568枚(前週比 +13,038枚)ショートが150,078枚(+13,495枚)ネットロングは475,490枚(▲457枚)

Brentはロングが362,727枚(前週比▲18,462枚)ショートが104,275枚(+9,086枚)ネットロングは258,452枚(▲27,548枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は一旦調整圧力が強まるものの、高値圏を維持すると予想する。

各国の財政出動並びに金融緩和スタンスは継続される見込みであり、7月の共産党100周年記念までは少なくとも景気刺激を続けるとみられる中国のみならず、米国も対中戦略の観点からインフラ投資を積極的に推進する見込みであるため。

米民主党政権は1.9兆ドルの経済対策に加え、2兆ドル(インフラ投資は0.6兆ドル程度)の追加対策を実施の計画であり、さらには2022年度予算も戦後最大となる歳出を6兆ドルと、以上と戦後最大の水準とする方針を示した。

インフラや社会プログラム向けに今後10年で4兆5,000億ドルを拠出、道路や橋梁の修復に170億ドル、水道管の工事に45億ドル、ブロードバンド通信網敷設に130億ドルを充当する見込みで、工業金属需要の増加に繋がる。

これらの需要は景気に関係なく発生する需要であるため、需要の見通しは底堅く、価格の調整があっても下値余地は限定される可能性が高い。

また、投機的な買いは続いており、投資銀行を中心に「脱炭素」をテーマに市場参加者に非鉄金属に投資を促す動きが強まっていることから、投機的な動きが当面高値に押し上げることになるだろう(逆にドル高進行、株安の局面では大きな下落圧力となる)。

弊社はベンチマークである銅の価格が、指定倉庫在庫の水準から判断するに1,000ドル程度高いと見ていたが、「テーマ性(今は市場では「脱炭素銘柄」とされている)があること」から、水準感は9,000ドル~11,000ドルに切り上がっていると判断せざるを得ない。

しかし、それでも中期的には調整圧力が強まる展開になるとの予想は、現時点では変更する必要はないと考えている。中国政府が国内バブルを警戒する姿勢を強めていること、米経済統計回復に伴うドル高進行、早ければ2021年末頃から始まる可能性がある、米テーパリング開始の可能性、生産国の生産が回復する可能性が高いことが材料。

米国・中国・インドがどのような動きをするかに環境政策は左右されるが、ここまでの各国の動きを見ていると当面は環境向けに使用される金属の需要増加は「今後10年・20年の大きなテーマ」となる可能性が高いと言える。

具体例を挙げると、軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル、銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルト、リチウムなどが挙げられる。

2020年の中国の新エネルギー車の販売は前年比+7.5%の137万台(前年124万台)となった。全体の自動車販売が2,523万台なのでシェアは5.4%(4.9%)と上昇している。それでも電気自動車が非鉄金属市場の重要なテーマになるには、あと数年は要するだろう。

4月の中国製造業PMIは51.1(前月51.9)と市場予想の56.1を大きく下回った。中国政府も投資主導による景気の過熱に配慮せざるを得ない状況になっていると考えられ、総じて指数の内数はほとんど水準を低下させている。

新規受注は52.0(53.6)と前月から▲1.6低下、輸出新規受注が50.4(51.2)と▲0.8の低下となった。このことは中国国内の需要の伸びが減速していることを示唆している。

新規受注在庫レシオは、完成品が1.11(前月1.15)、原材料が1.08(1.11)と両指数とも低下。それにもかかわらずLMEインデックスが上昇している。

このことは、中国の需給面というよりも、1.中国外の需要が旺盛、2.供給の影響、3.ドル安進行に伴う投機的な動き、のいずれかの要因によるものと考えられるが、中国以外の需要回復はもちろんあるが、2.3.の影響が大きいと考えられる。

これまで非鉄金属価格の上昇を牽引しているのは中国の住宅セクターであるが、4月の中国の建設業PMIは57.4(62.3)と、閾値の50を上回っているが急減速している。

住宅セクター向けの一連の建材需要は旺盛であるがその「増加ペース」が鈍化していることは、やはり先行きの住宅向けの需要が減速する可能性が高まりつつあることを示唆している。

【見通しの固有リスク/個別金属の特殊要因】

・期待されていた米国のインフラ投資規模が、議会の反対で減額ないしは延期される場合(下落リスク)。

・米国経済が正常化する中でドル高が進行し、投機買いが膨らんでいる非鉄金属市場で投機の手仕舞い売り圧力が高まる場合(下落リスク)。

・米中間選挙に向けて、米民主党が追加でインフラ投資(2兆ドルのクリーンインフラ投資など)を議会の採決を得て実行に移す場合(上昇リスク)。

・主に銅山を中心とする労使交渉長期化による供給減少が、2021年も継続する場合(上昇リスク)。

・中国の環境規制強化に伴う供給の減少。エネルギー排出量の多い新疆ウイグル自治区でのアルミ生産は減産の影響は既に材料視されている(供給減少でアルミ価格の上昇要因に)。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・チリやペルーで広がる左派勢力伸長に伴う大衆迎合的な政策が可決し、鉱山生産に過剰なロイヤルティが適用される場合(供給減少ないしは生産コスト上昇で価格の上昇要因)。

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

また、環境に配慮したメタル使用の義務化などが欧州で進む場合などのコストアップ(グリーン・メタルの義務化によるコスト増加)。

【投機筋のポジション動向】・LMEのファンド筋のポジションは、鉛以外の商品のロングが減少、総じてネットロングが減少した。中国政府の価格上昇抑制策の実施やドル高や株安を契機とする利益確定の動きが強まったためと見られる。

・LME投機筋買い越し金額 前週比▲8.3%の282億ドル(前週 308億ドル)・LME投機筋買い越し数量 前週比▲5.9%の6,033.0千トン(前週 6,410.3千トン)

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は、米中のインフラ投資による建材向け需要増加観測を背景に、高値を維持すると予想する。

またこれまでの経済対策の影響で、中国国内の鉄鋼原料在庫日数の水準が低いことから(鉄鋼製品在庫の水準は増加)在庫積み増し需要も継続する可能性が高い。

ただし、中国政府は景気刺激と同時に住宅セクターのバブルを懸念し始めており、住宅取得規制の動きも見せていること、先物取引市場での監視強化(証拠金引き上げや値幅制限、投機取引の監視など)から、徐々に水準を切り下げる展開を予想。

また、中国共産党は2021年から始まる新しい5ヵ年計画で鉄鋼生産量の削減の必要性を表明している。温室効果ガスの排出削減を目的として、業界として二酸化炭素の輩出の多い鉄鋼業(とアルミ生産業)の生産量を前年比でマイナスとする方針であり、鉄鋼製品向けの需要が減少することから、年後半に掛けては価格は下落すると予想する。

最大生産都市である唐山市は、2021年20日~12月31日まで、大気汚染基準に違反し、データを改ざんした4社は3月20日~6月末まで▲50%、7月~12月末まで▲30%減産、その他の16社は12月末まで▲30%の減産を新たに実施することを義務づけられた。

また、Q221には邯鄲市も生産管理措置を導入する見通しであり、鉄鋼製品供給は制限される可能性が高い。

これにより、唐山市の粗鋼生産は前年比▲2,223万トンの1億2,177万トン、鉄鉱石需要は▲3,500万トン減少するとみられている。ただし今のところ鉄鋼製品価格は高値圏を維持しており、鉄鉱石価格も高止まりしている。

4月の中国鉄鋼業PMIを見ると、総合指数は45.4(前月47.9)と減速した。指数の内訳を見ると新規受注はそれなりに堅調であるものの、生産が落ち込んでいることが影響した。上述の唐山市を中心とする、環境規制強化の中での生産減少が総合指数悪化に寄与した。

しかし、生産が落ち込んでいるものの完成品・原材料とも在庫水準は若干切り上がっている。絶対水準自体が低いので引き続き完成品・鉄鋼原料とも需給はタイトとみられる。

目安となる新規受注・在庫レシオは、新規受注完成品レシオが1.29(1.30)とやや低下、新規受注原材料レシオは1.25(1.18)と水準は高い。経験則になるがこのレシオが1を超えると各種製品価格の上昇が顕著になる。

4月の中国の鉄鋼製品の輸入は前年比+16.2%の117万4,000トン(前月+15.8%の132万トン)と伸びが増加、過去5年レンジの上限で推移している。

3月の中国粗鋼生産は9,785万トン(前月9,402万トン、2月8,305万トン、1月 9,024万トン、12月9,125万トン、11月 8,766万トン)と同じ時期の過去5年最高水準を大きく上回っている。

その一方、4月の鉄鋼製品の輸出は前年比+26.2%の797万3,000トン(前月+16.4%の754万トン)と加速し、過去5年平均を維持。国内需要の減速と、海外情勢の回復による輸出需要の増加の両面の影響だろう。

なお、中国の鉄鋼製品需要は旺盛とみられるが、在庫水準は前週比▲33万4,000トンの1,481万トン(過去5年平均 1,145万7,000トン)と、例年の在庫取り崩しペースを下回っている。中国当局の景気過熱沈静化の動きの影響が顕在化しつつあると言える。

4月の中国の建設業PMIは57.4(62.3)と、閾値の50を上回っているが急減速している。需要は旺盛であるがその「増加ペース」が鈍化していることは、やはり先行きの住宅向けの需要が減速する可能性が高まりつつあることを示唆している。

原料である鉄鉱石の4月の輸入は前年比+3.0%の9,857万トン(前月+18.9%の1億211万トン)と鈍化した。しかしそれでもこの時期の輸入量としては過去5年のレンジを大きく上回っている。引き続き鉄鉱石需要は旺盛と見られる。

鉄鉱石港湾在庫は前週比+15万トンの1億2,850万トン(過去5年平均1億2,671万6,000トン)、在庫日数は24.2日(過去5年平均 29.0日)と例年と比較して在庫日数の水準は低い。

原料炭は中国の生産活動回復が継続していること、国内の鉄鋼需要が公共投資で底堅いことから、同様に底堅い推移になると考える。

しかし、中国政府は原料炭を含む石炭の国内生産を増加させる方針であることから、海上輸送原料炭価格の上値も重い。

3月の中国の原料炭輸入は前年比▲13.0%の491万トン(前月▲39.6%の323万トン)と減少している。

中国の港湾在庫の水準は鉄鋼の最大生産省である河北省の主要港である、京唐港の港湾在庫は前週比+5万トンの174万トンと過去5年平均の162万2,000トンを上回っている。

在庫日数は前週比+0.2日の6.1日と、過去5年の平均である7.0日を下回っており、需要を考慮すると原料炭需給はまだタイトな状態にあると言える。

【見通しの固有リスク】

・鉄鉱石価格の上昇がレーショニング(価格上昇による需要減少)を引き起こす場合。

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

・コロナウイルスの感染拡大長期化による、鉱山生産の減少リスク。

・中国とインドの国境紛争の激化で、インドが中国に対して鉄鉱石輸出を制限する可能性(中国のFOBインデックスは上昇、その他の地域の鉄鉱石価格は低下)。

---≪貴金属≫---

【貴金属価格見通し】

<<金>>

金は高値圏での推移を継続すると考える。長期金利の上昇圧力がやや緩和していること、市場での期待インフレ率の高まりで実質金利に低下圧力が掛っていることが材料。また、「金の競合となると(勝手に)期待された仮想通貨が下落」していることで、改めて安全資産としての金需要が戻っていることも高値圏を維持する要因となっている。

とは言え、米景気の相対的な回復期待の強さからドル高・長期期金利(緩やかに)上昇圧力が強まると予想され、中期的な見通しは弱気。

現在の金の実質金利で説明可能な価格(金基準価格)は1,609ドル。そこからの乖離(リスク・プレミアム)は295ドルと昨日から+6ドル上昇。

リスク・プレミアムは、過去3ヵ月平均で200ドル、6ヵ月で214ドル、1年で230ドル、5年で165ドルとなっている。

なお、金価格を実質金利要因と為替要因に分類した場合、為替要因はリスク・プレミアムのところに内包されると整理している(為替は名目金利の影響も受けるので、純粋に為替の要因のみ切り出すのが困難であることから)。

※毎日回帰分析をアップデートし、リスク・プレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない場合があります。

<<銀>>

銀価格は金価格との比較感で売買されるが、金銀レシオは現在、68.2倍。過去1年を基準にすると75倍、5年では80倍、2000年以降では65倍程度が妥当。

今後、さらに金銀レシオが低下するには、実際に太陽光パネルの設置が米国で進捗するなどの新規材料が必要になるのではないか。

なお、銀価格=金価格÷金銀レシオ であり、金銀レシオが低下することで金価格が変動した時の弾性値が上昇(ボラティリティは上昇し、足元金の2倍に上昇)する点は留意。

(例)金が2,000ドル、銀が20ドルのとき 金銀レシオが100倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1セント変化 金の変化率は±0.05%、銀は±0.05%

 金銀レシオが1倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1ドル変化 金の上昇率は±0.05%、銀は±5%

<<PGM>>

プラチナ価格は銀価格との連動性が高い。これは供給過剰で投機的な取引の影響が強まっていることによる。プラチナの需給バランスはWPICデータを元にすると今年も除く投機で供給過剰であり、投機動向が価格を左右しやすい。

金価格が米長期金利の低下で再び高値で推移していることから、投機的な観点でプラチナにも上昇圧力が掛りやすい地合い。

仮に脱炭素が進んで水素が用いられ、燃料電池が進むのであればプラチナの構造的な需要が増加するシナリオは、需要・価格面でのポジティブリスクシナリオ。投機の比率が高い商品であるため、こうした観測記事だけでも材料に価格が反応しやすい。

パラジウムは景気正常化期待による金価格調整→経済正常化による需要増加、ロシア生産者からの供給減少観測を受けて高値を維持すると考える。

自動車生産が回復すれば再びパラジウム供給不足が発生し、ETFの残高減少と価格上昇が同時に発生する可能性が高いとみている。

4月の米自動車販売は年率1,851万台(前月1,775万台、市場予想1,764万台)と回復継続。

中国の4月の自動車販売は中国自動車工業協会の集計で前年比+8.8%の225万台(前月+76.5%の252万5,000台、2月+371%の146万台、1月+30%の250万台、12月+6.4%の283万台、11月+12.7%の276万9,666台、10月+12.6%の257万3,000台、9月+13.0%の256万5,201台)と伸びが減速を始めている。

【見通しの固有リスク】

・個人投資家のETFを通じた買いが、経済合理性を無視した水準まで貴金属価格を押し上げるリスク。

・主要生産国の南アフリカの電力供給不安や、コロナウイルスの影響拡大で供給が滞る場合(PGMの価格上昇要因)。

・コロナからの回復は各国まだらであり、先行する米国が金融正常化に動いた場合、新興国から資金が流出して信用リスクが高まる場合(安全資産価格の上昇要因)。

・米中の対立激化。バイデン政権は対中強硬姿勢を明確にしており、対立がさらに激化する場合(安全資産価格の上昇要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加(実際に破綻が意識されるのは2030年以降か)。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

環境重視型社会へのシフトはパラジウム需要を増加させるが、さらに加速して「水素社会」まで到達すると、燃料電池車需要が増加して構造的にプラチナ価格の上昇要因となる可能性。

・コロナウイルスの感染拡大による、最大生産国の1つである南アフリカの鉱山稼働が電力供給問題もあって不安定であることによる供給懸念。

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが288,266枚(前週比 ▲2,001枚)、ショートが73,624枚(▲17,754枚)、ネットロングは214,642枚(+15,753枚)、銀が86,013枚(▲627枚)、ショートが35,531枚(▲128枚)、ネットロングは50,482枚(▲499枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが38,188枚(前週比 ▲686枚)ショートが15,201枚(+2,141枚)、ネットロングは22,987枚(▲2,827枚)

パラジウムが5,508枚(▲612枚)、ショートが3,615枚(+32枚)ネットロングは1,893枚(▲644枚)

---≪農産品≫---

【穀物価格見通し】

トウモロコシ・大豆は軟調な推移になると考える。これまでラニーニャ現象が価格上昇要因となっていたが、米海洋気象局はラニーニャが終了したと宣言したことで、テクニカルな売りの動きが強まると予想されるため。

今後は夏場から秋の収穫期にかけてのエルニーニョ現象発生が材料視されることになり、総じて軟調な推移になりやすい。当面はチャートのテクニカル分析に基づくチャートポイントが価格の目処となる。

ただし、米需給報告・作付け意向面積の結果、中国の需要継続を背景に需給タイト化観測は根強く、下落余地も限定されると考える。

Locust WatchではFAOの予想通り、降雨がなかったため群生相の発生は極めて抑制されている。Locust Watchでも今のところ差し迫った危機の発生リスクは指摘されていない。
http://www.fao.org/ag/locusts/common/ecg/75/en/210527DLupdate.jpg

【見通しの固有リスク】

・エルニーニョ現象発生による生産条件改善を受けた増産観測(価格の下落要因)。

・環境重視型社会へのシフトにより、燃料向け穀物需要が増加する場合(価格の上昇要因)。現在はそれほどの数量でもない、バイオディーゼル向けの大豆需要増加など。

・新型コロナウイルスの影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

【米農務省需給報告データ】

・米作付け意向面積トウモロコシ 9,114万エーカー(市場予想9,313万エーカー、前年9,699万エーカー)大豆 8,760万エーカー(9,010万エーカー、8,351万エーカー)小麦 4,636万エーカー(4,495万エーカー、4,466万エーカー)綿花 1,204万エーカー(1,215万エーカー、1,370万エーカー)

・米穀物最終作付け面積トウモロコシ 9,201万エーカー(市場予想 9,514万エーカー)大豆 8,383万エーカー(8,483万エーカー)小麦 4,425万エーカー(4,472万エーカー)

・5月米需給報告単収見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 179.5Bu/エーカー(179.5、172.0)大豆 50.8Bu/エーカー(50.9、50.2)小麦 50.0Bu/エーカー(NA、49.7)

・5月米需給報告生産見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 149億9,000万Bu(150億2,931万Bu、141億8,200万Bu)大豆 44億500万Bu(44億3,105万Bu、41億3,500万Bu)小麦 18億7,200万Bu(18億7,715万Bu、18億2,600万Bu)

・5月米需給報告輸出見通し(実績/前月)トウモロコシ 24億5,000万Bu(NA、26億7,500万Bu)大豆 20億7,500万Bu(NA、22億8,000万Bu)小麦 9億Bu(NA、9億6,500万Bu)

・5月米需給報告在庫見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 15億700万Bu(13億2,715万Bu、13億5,200万Bu)大豆 1億4,000万Bu(1億3,319万Bu、1億2,000万Bu)小麦 7億7,400万Bu(7億5,132万Bu、8億5,200万Bu)

・3月末四半期在庫(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 77億100万Bu(77億7,024万Bu、112億9,400万Bu)大豆 15億6,400万Bu(15億2,829万Bu、29億4,700万Bu)小麦 13億1,400万Bu(12億7,116万Bu、17億300万Bu)

・5月CONABブラジル作付け面積(市場予想/前月)トウモロコシ 1,987万ha(1,971万ha、1,972万ha)大豆 3,850万ha(3,864万ha、3,847万ha)

・5月CONABブラジル生産量(市場予想/前月)トウモロコシ 1億642万トン(1億112万トン、1億897万トン) 単収 5,355kg/ha(5,132Kg/ha、5,526kg/ha)大豆 1億3,541万トン(1億3,614万トン、1億3,554万トン) 単収 3,517kg/ha(3,526Kg/ha、3,523kg/ha)

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが518,145枚(前週比 ▲25,917枚)、ショートが89,719枚(+5,135枚)ネットロングは428,426枚(▲31,052枚)

大豆はロングが275,409枚(▲9,323枚)、ショートが54,354枚(▲2,037枚)ネットロングは221,055枚(▲7,286枚)

小麦はロングが117,162枚(▲11,792枚)、ショートが98,751枚(▲4,455枚)ネットロングは18,411枚(▲7,337枚)

◆本日のMRA's Eye


「金市場に仮想通貨市場から資金流入か」

金価格はインフレ観測の高まりで水準を切り上げ、1,900ドルを挟む展開となっている。

金価格の決定要因である実質金利がインフレ期待で上昇する一方、米インフレ懸念の高まりは一時的としてFRBが金融緩和を継続する方針を示していること、本邦系投資家の米10年長期国債への投資などで米名目10年金利が安定していることで実質金利が低下していることが背景。

しかし、それ以上に今回影響が大きいのが「その他の要因」である「リスク・プレミアム」部分の上昇。弊社の定義ではリスク・プレミアムは信用リスクの高まりやドルの評価減などが要因。

ビットコインを初めとする仮想通貨は、工業原料として価値を有し、かつ、流動性や担保としての利便性も兼ね備えた金と同列の安全資産とは言えない。

しかし、投資対象物が減り始めていること、中国を初めとして各国がデジタル通貨への取り組みを強める中で、特に投資銀行を中心に「新しい決済手段」「新しい投資対象」としての価値を見いだす動きがみられ価格が上昇していた。

特にテスラ社のイーロン・マスクがビットコインへの投資を表明した辺りから過熱感が強まった。

しかしその後、イーロン・マスク自身が「仮想通貨採掘には大量にエネルギーを必要とするため、環境に悪い」として仮想通貨に否定的な見解を示したことや、人民元の自国からの流出を管理するためにデジタル人民元導入を急ぐ中国政府が、民間が流通させている仮想通貨を規制する動きを強めたため、本来の安全資産である金への回帰が起きたとみられ、リスク・プレミアムはビットコインの下落に歩調を合わせて上昇している。

今後金価格は、

1.米景気回復とテーパリング観測で名目長期金利には上昇圧力が掛りやすいこと

2.インフレもコロナの影響による供給制限の影響も大きく一時的と考えられること

3.リスク・プレミアムが300ドルを長期的に上回っていたのはリーマンショック後の債務危機の時であり、現在はまだその可能性は低いこと

からさらなる上昇余地はそろそろ限定されると考えている。しかし、米国のテーパリングやインフレ懸念の高まりが「同時に発生する」可能性があるのはこれまでの景気回復やインフレ率上昇の軌道を考えるとQ321頃になると予想される。

場合によるとコロナ禍で債務が増加した新興国から、ドル高を通じて資金が流出することが意識され、新興国債務危機が意識される局面ではさらにリスク・プレミアムが上昇する可能性はある。

そのため、2,000ドルを上回るにはもう一材料必要と考えるものの、2,000ドルを上回るとすれば今年の7月~9月頃になるのではないだろうか。

そして10月以降は上述の1.テーパリングが意識され再び金価格は下落すると予想される。

◆主要ニュース


・5月東京消費者物価指数 前年比▲0.4%(前月▲0.6%)
 除く生鮮▲0.2%(▲0.21%)、除く生鮮エネルギー▲0.1%(±0.0%)

・4月日本失業率 2.8%(前月2.6%)、有効求人倍率 1.09倍(1.10倍)
・1-4月期中国工業セクター利益 前年比+106.1の2兆5,944億元(1-3月期+137.3%の1兆8,254億元)
 4月前年比+57.0%の7,686億元(前月+92.3%の7,112億元)

・6月独GfK消費者信頼感調査 ▲7.0(前月 ▲8.6)

・4月独輸入物価指数 前月比+1.4%(前月+1.8%)前年比+10.3%(+6.9%)

・5月ユーロ圏景況感指数 114.5(110.5)
 鉱工業景況感 11.5(10.9)
 サービス景況感 11.3(2.2)

・4月米製造業耐久財受注速報
 前月比▲1.3%(前月改定+1.3%)
 除く輸送機器+1.0%(+3.2%)
 製造業新規受注資本財非国防除く航空+2.3%(+1.6%)

・米週間新規失業保険申請件数 406千件(前週 444千件)
 失業保険継続受給者数 3,642千人(3,738千人)

・Q121米GDP改定 前期比年率 +6.4%(速報比±0.0%、前期確定+4.3%)
 個人消費+11.3%(+0.6%、+2.3%)
 総民間国内投資▲4.7%(+0.3%、+27.8%)
 設備投資+10.8%(+0.9%、+13.1%)
 輸出▲2.9%(▲1.8%、+22.3%)
 輸入+6.7%(+1.0%、+29.8%)
 政府支出+5.8%(▲0.5%、▲0.8%)
 GDPデフレータ+4.3%(+0.2%、+2.0%)
 コアPCE +2.5%(+0.2%、+1.3%)

・4月米中古住宅販売仮契約 前月比▲4.4%(前月+1.7%)
 前年比+53.5%(+25.0%)
・5月カンザスシティ連銀製造業活動 26(前月 31)
・4月米卸売在庫 前月比+0.8%(前月+1.1%)
 小売在庫 ▲1.6%(▲1.4%) 

・4月米個人所得 前月比 ▲13.1%(前月+20.9%)
 個人支出+0.5%(+4.7%)
 実質支出▲0.1%(+3.6%)
 PCEデフレータ 前月比+0.6%(+0.6%)前年比+3.6%(+2.4%)
 コアデフレータ 前月比+0.7%(+0.4%)前年比+3.1%(+1.9%)
 貯蓄率 14.9%(27.7%)

・5月シカゴ購買部協会指数 75.2(前月 72.1)

・5月米ミシガン大学消費者マインド指数改定
 82.9(速報比+0.1、前月 88.3)
 現況指数 89.4(▲1.4、97.2)
 先行指数 78.8(+2.2、82.7)
 1年期待インフレ率 4.6%(±0.0%、3.4%)
 5年期待インフレ率 3.0%(▲0.1%、2.7%)

・米バイデン大統領の2022年度予算案、歳出が戦後最大となる6兆ドルに増加する見込み。歳出は2031年度までに8兆2,000億ドルに拡大するほか、連邦債務のGDP比は10年間で117%に上昇する模様。

・中国趙立堅外務省報道官、「(EUと日本の共同声明に対して)日本とEUは正常な関係発展の範囲を完全に超え、第三国の利益を損なっている。強烈な不満と断固とした反対を表明する。台湾は中国の領土でどの国も台湾に手出しをするのは断じて許さない。台湾情勢について言うなら、両岸の統一が世界の平和を守る最適な答えだ」

・ダラス連銀カプラン総裁(投票権なし・中間派)、「私の仕事はレッテルを貼ってあらかじめ結果を知ることではない。広範な結果に対してオープンで、リスクを管理、インフレ期待を2%に安定させるというコミットメントを理解することだ。回復を妨げるほど先回りしたくないかもしれないが、一方で後手に回って手遅れになりたくないだろう。」

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】

・DOE天然ガス稼働在庫 2,215BCF(前週比+115BCF)
 東部 385BCF(+27BCF)
 中西部 499BCF(+27BCF)
 山間部 144BCF(+9BCF)
 太平洋地区256BCF(+9BCF)
 南中央 931BCF(+43BCF)

・ベイカー・ヒューズ週間米国石油リグ稼働数359(前週比+3)
 ガスリグ 98(前週比▲1)。

・シリアアサド大統領4選を決める。

【メタル】

・BHP Billiton Spence鉱山労働者、企業側の提案を拒否しストライキの可能性高まる。賃金再交渉は6月の予定。

・ゴールドマン、「中国の商品先物市場での価格抑制策は現実に需給がタイトであるため。」

・Citi、「今後10~15年、化石燃料を使わないで過ごすような世界は訪れない。原油価格の上昇が伴わなければスーパーサイクルとは言えない。」

・錫価格この10年での最高値に。半導体向け需要と雲南省での電力制限による工場稼働停止が背景。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.CME肥育牛 ( 畜産品 )/ +11.04%/ +8.92%
2.ICEアラビカ ( その他農産品 )/ +4.51%/ +26.59%
3.LIFFEロブスタ ( その他農産品 )/ +4.35%/ +15.21%
4.SHF錫 ( ベースメタル )/ +3.58%/ +36.89%
5.SHFニッケル ( ベースメタル )/ +3.09%/ +4.99%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
66.ビットコイン ( その他 )/ ▲8.51%/ +21.46%
65.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ ▲3.48%/ +7.59%
64.CBT小麦 ( 穀物 )/ ▲1.89%/ +3.59%
63.欧州排出権 ( 排出権 )/ ▲1.56%/ +56.34%
62.CBT大豆油 ( 穀物 )/ ▲1.53%/ +51.83%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :34,529.45(+64.81)
S&P500 :4,204.11(+3.23)
日経平均株価 :29,149.41(+600.40)
ドル円 :109.85(+0.04)
ユーロ円 :133.93(+0.02)
米10年債 :1.59(▲0.01)
中国10年債利回り :3.09(+0.01)
日本10年債利回り :0.08(+0.00)
独10年債利回り :▲0.18(▲0.01)
ビットコイン :35,218.35(▲3276.94)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :28.69(+0.17)
エネルギー :26.08(▲0.5)
ベースメタル :30.96(+0.38)
貴金属 :19.40(▲0.06)
穀物 :30.13(▲1.37)
その他農畜産品 :31.06(+1.13)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :29.79(▲1.05)
Brent :26.90(▲1.01)
米天然ガス :29.42(+0.34)
米ガソリン :25.67(▲0.53)
ICEガスオイル :21.58(▲1.24)
LME銅 :27.06(▲0.22)
LMEアルミニウム :26.57(▲0.56)
金 :19.90(▲1.14)
プラチナ :21.96(+0.01)
トウモロコシ :46.84(▲4.33)
大豆 :19.90(▲1.14)

【エネルギー】
WTI :66.32(▲0.53)
Brent :69.63(+0.17)
Oman :67.20(▲0.24)
米ガソリン :214.02(▲1.16)
米灯油 :204.45(▲1.19)
ICEガスオイル :565.50(+3.75)
米天然ガス :2.99(+0.03)
英天然ガス :60.68(▲2.19)

【貴金属】
金 :1903.77(+7.23)
銀 :27.94(+0.09)
プラチナ :1184.44(+2.00)
パラジウム :2825.19(+19.40)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :10,171(+123:11.5C)
亜鉛 :3,054(+41:14C)
鉛 :2,202(+24:6B)
アルミニウム :2,434(+13:29.5C)
ニッケル :17,843(+433:32C)
錫 :30,749(+1,092:2707B)
コバルト :43,615(±0.0)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :10274.50(▲19.00)
亜鉛 :3073.50(+11.00)
鉛 :2200.00(▲5.50)
アルミニウム :2506.00(+19.50)
ニッケル :18195.00(+160.00)
錫 :30990.00(+760.00)
バルチック海運指数 :2,688.00(▲66.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR中国、1営業日前) :195.45(+1.66)
SGX鉄鉱石 :204.99(▲0.15)
NYMEX鉄鉱石 :205.73(▲0.64)
NYMEX豪州原料炭スワップ先物 :125.12(+0.20)
大連原料炭先物 :255.48(+3.02)
上海鉄筋直近限月 :4,755(+96)
上海鉄筋中心限月 :4,907(+167)
米鉄スクラップ :622(±0.0)

【農産物】
大豆 :1530.50(▲6.50)
シカゴ大豆ミール :395.50(+5.20)
シカゴ大豆油 :65.79(▲1.02)
マレーシア パーム油 :4301.00(+35.00)
シカゴ とうもろこし :656.75(▲7.75)
シカゴ小麦 :663.50(▲12.75)
シンガポールゴム :235.00(+1.50)
上海ゴム :13535.00(+15.00)
砂糖 :17.36(+0.24)
アラビカ :162.35(+7.00)
ロブスタ :1583.00(+66.00)
綿花 :82.12(▲0.49)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :117.25(+1.53)
シカゴ生牛 :115.88(▲0.48)
シカゴ飼育牛 :151.35(+15.05)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。