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週末を控えて調整もドル安進行で総じて堅調
  • MRA商品市場レポート

2021年4月19日 第1943号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「週末を控えて調整もドル安進行で総じて堅調」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は高安まちまち。強めの経済統計を背景に景気への楽観が広がる一方、本邦系と見られる投資家の買いで米国債利回りが低下、ドル安も進行したためドル建て資産である商品価格が上昇してきたが、この数日、上げ幅が大きかったエネルギーや非鉄金属などには、週末を控えた手仕舞い売り圧力が強まる形となった。

週末にかけて行われた米中首脳会談はその内容に注目が集まったが、「台湾」に関して明記された。

台湾について明記があったのは、日中国交正常化となる1971年よりも前の1969年以来であり、その頃と今の環境が違うのは明らか。「民主主義国の重要なパートナー」であり「(米国に取って)対中国の防衛最前線」である日本が重要であることは明らかだが、日本としては日中国交正常化後、初めて大きく一歩を踏み出したことになる。

これが良い、悪い、は歴史が判断することになろうが、恐らくこの20年で、最も日本の外交能力が問われる時代に突入したと言える。中国に進出、中国とビジネスをしている企業も多い中で、経済的にも大きな決断であり、景気や商品価格への影響も無視できない(詳しくは昨日のトピックスをご参照ください)。

【本日の見通し】

本日は重要な統計の発表に乏しい中、足下、米経済統計、企業決算が良好であること、本邦系投資家と見られる買いで米10年債利回りが低下し、再び「ゴルディロックス的な相場」になっていることから、多くの商品が高値圏で推移すると予想。

【セクター別動向と見通し】

◆エネルギー

原油価格は軟調な推移となった。中国統計が「やや」市場予想を下回ったことや、この数日の価格上昇を受けて週末を控えたポジション調整の売りに押された。

なお、イランとの核交渉はイランがウラン濃縮を開始したり、イスラエルがイランに関与したりと不穏なニュースが多いが、イランの核合意で不利益を被るのはイスラエルやサウジアラビアなどであり、かつ、核合意がある中では「イランを交渉のテーブルに着かせることができる」ため、世界全体で見た場合メリットが多い。そのため、恐らく核合意に米国は復帰すると予想される。

石炭価格(豪州炭)は小幅に上昇して高値圏を維持。中国の電力向けの需要増加で、豪州炭は購入されていないものの、海上輸送炭市場の需給がタイト化していると見られ、価格は高値を維持している。

JKMは小幅に上昇し、8ドルを上回った。中国向けの構造的な需要の増加に加え、夏場に向けて、冬場に減少した在庫の積み上げの動きが強まっているためと考えられる。

欧州天然ガスは気温低下見通しを材料に引き続き上昇した。米国天然ガスは需給タイト感の強まりで上昇。

週明け月曜日は目立った新規材料に乏しい中、本邦系投資家と見られる米長期債の買い圧力の強まりでドルが軟調に推移しやすく、高値圏を維持すると考える。

石炭・天然ガスは気温低下や中国の発電燃料調達圧力の強まりで、堅調推移を予想。

◆非鉄金属

LME非鉄金属価格はまちまちだったが、総じて軟調な推移となった。LME指定倉庫在庫の減少やドル安進行、中国の重要統計が「やや市場予想を下回った」ことを受け、週末を控えた利益確定の動きに押されたため。

週明け月曜日は、米統計の改善や米長期金利低下に伴うドル安地合を受けて高値圏を維持すると見るが、引き続き利益確定の動きに押される形で上値も重いと考える。

◆鉄鋼・鉄鋼原料

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは上昇、大連先物は上昇、豪州原料炭スワップ先物は小幅に下落、大連原料炭先物は下落、上海鉄鋼製品先物は上昇した。

中国の主要統計の発表で、中国の固定資産投資や鉱工業生産が市場予想は下回ったものの、高い水準を維持していることから製品主導で物色された形。

鉄鉱石の在庫日数は上昇しており、鉄鋼原料需給は以前ほどタイトではなくなってきたが、製品需給はタイトで高値を維持している状況。週明け月曜日も、鉄鉱石は鉄鋼製品需給のタイト化による価格上昇を受けて、堅調な推移が続く見込み。

◆貴金属

金価格は上昇。米長期金利の低下や原油高を受けた期待インフレ率の上昇で実質金利が低下していること、ドル安が進行していることが背景。少し前の「ゴルディロックス相場」に戻ったことによる買いと見られる。

銀も金価格が上昇したこと、株価の上昇もあって金銀レシオを引き下げながら上昇、プラチナも投機の物色圧力が強かったと見られ、上昇している。パラジウムは中国統計改善や株高で上昇。

週明け月曜日もドルがやや軟調地合にあることから高値圏での維持を予想。

◆穀物

穀物価格は高安まちまち。ドル安が進行したものの、週末を控えた手仕舞いの動きで。目先は米需給タイト化観測とドル安で高値を維持しやすい。

週明け月曜日は新規材料にとぼしく、米長期金利低下を受けたドルの調整的な低下を受けて高値を維持すると予想。

※中長期見通しは個別セクターのコラムをご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【昨日のトピックス】

昨日発表された中国の統計は、いずれも市場予想を下回った。しかし、そもそも市場予想も相当強気な内容だったため、それほど積極的に売り材料になったという印象はない。

Q121の中国実質GDPは前年比+18.3%(市場予想+18.5%、前期+6.5%)と市場予想を下回った。また、今回景気回復の牽引役であった固定資産投資(+25.6%、市場予想+26.0%、前期+38.3%)、不動産投資(+25.6%、+30.0%、+38.3%)といずれも市場予想を下回っている。

今後、中国政府は引き続き景気刺激を行う見込みであるものの、財政収支赤字の幅は前年から縮小させる計画であり、今後、さらに景気刺激策が打ち出される可能性はそれほど高くない(対策は実施するが、そこまでの需要増加にはならないということ)。

しかし、中国は今後、海外向けの輸出を主軸とする通常の景気回復を企図すると見られるものの、想定以上に米国の対中制裁が厳しくなる可能性が高く、景気回復も期待しているほどのペースにはならない可能性が出てきた。

今後、鉱物資源価格が上昇するとすれば、バイデン政権のインフラ投資がどの程度現実の政策として実行されるかがポイントになるだろう。

また週末の大きいニュースとしては、日米首脳会談が挙げられる。米バイデン大統領が対面で面談する最初の首脳に日本の首相が選ばれたことを、政府関係者は喜ばしく思っているようだが、それ以上に日本に対する要求は小さいものではないことを認識する必要がある。

トランプ政権の時は、大将のトランプにお追従していればよかったかもしれず、日本側も「慣れてしまえば付き合いやすい相手」だったかもしれない。

しかし、バイデン大統領は日本をアジア太平洋戦略の要、対中国の最前線、と位置づけていることは間違いがなく、かつ、米国1国で「領土的野心を持ち、軍事的、科学的にも米国の水準を追い上げている中国」に対抗することは不可能と考えている。

もちろん、核兵器を使って本当に本格的に戦争を行えば、今の時点では米国が中国に勝つ可能性の方が高いだろう。ただ、その場合、太平洋が焦土となることは明らかであり選択できるはずがない。

中国は経済面で多くの国に対して「お客様」であり、同国に対し、「不利益なことはしてこないだろう」と踏んだ上で、ある意味やりたい放題をやっている。自身に都合が悪いことを指摘されても、「内政干渉」「その指摘は当たらない」「そちらこそ国際法を犯している」と歯牙にもかけない。

中国の国力を削ぎ、民主主義陣営の望む枠組み維持を、戦争を伴わずに達成するには、1.経済的に中国依存を下げ、2.防衛戦力を強化し(場合によると相手の攻撃基地を先制攻撃できるような、ミサイル兵器を保有)、3.現在の中国の対応を続けると、明らかに経済的に(中国共産党が)不利益を被る可能性がある、といったことを中国側に知らしめる必要が出てくる。

それが今の日本で本当にできるかというと、現時点においては非常に難しく、簡単ではないと言わざるを得ない。結局、日本では、中国向けのビジネス減少と、マラッカ・台湾・日本の海上輸送ルートでリスク、尖閣諸島での小規模な軍事衝突のリスクが高まることになる。

それだけで済めば良いのだが、米国がパートナーとして、しかも一番初めに面談している国が、米国の要求に応えられない場合、その期待は失望に変わり、日本は米中どちらからも相手にされなくなるリスクも十分に有り得る。

ここは政治力・外交力の正念場、とも言えるだろう。

【マクロ見通しのリスクシナリオ】

・米大統領選挙前後の国内融和にバイデン次期大統領が失敗する場合(今のところ成功している模様)。

・米財政出動が加速、景気回復期待を受けた価格上昇が顕著となる場合。

この場合、長期金利上昇でドル高が進行しやすく価格の下落を意識しなければならないが、足下、どの中央銀行・政府も景気過熱は意識しているものの沈静化させるタイミングと判断していないため、しばらくは顕著な価格上昇リスクとなる見込み。

常識的に考えると今年の年末頃からテーパリング開始の見通しとなるが、来年の米中間選挙を控えて米政権がテーパリング実施にクギを刺す可能性がある。この場合、2022年にかけて、さらにリスク資産価格が上昇する可能性も。

・バイデン政権の追加経済対策が、財政面や企業負担増の理由から造反が発生し、議会を通過しない場合(価格下落要因)。

・コロナウイルスの感染再拡大(または新たなウイルスの発生、効くと期待しているワクチンが変異種などを対象にそれほど今夏がなかった場合、など)によるロックダウンが景気循環系商品の需要を減じる場合(価格下落要因)。逆に想定以上にワクチン・治療薬の開発が速やかに行われた場合は需要の増加要因に。

・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。

・米中対立激化による、新冷戦構造が発現しブロック経済圏が発生して貿易活動が鈍化する場合(場合によると武力衝突も)。

「能動的に」軍事を行う方針に舵を切った中国習近平政権が、台湾統一を目指して侵略する可能性は高くなった。

・次の成長ドライバーとして期待されるインド経済が、期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。

2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2023~2024年頃。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(これは人口動態を考えると、現実のリスクとなるのは2030年以降か)。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油価格見通し】

原油価格は高値でもみ合うものと考える。予想外にOPECプラスは増産を決定したが、米国の経済統計は良好なものが多いこと、本邦系投資家と思われる米国の長期債の買いで米長期金利の上昇がやや鈍化していることが背景。

しかし、OPECの減産解除は続き、米国のイランに対する制裁解除が進捗する可能性があることコロナのロックダウンの影響が広がっている欧州での需要減速は不可避であること、米景気の回復期待で長期金利上昇・ドル高圧力がかかるシナリオは依然、メインシナリオであり調整圧力が上昇圧力を上回る可能性は低くない。

今のところWTI・Brentとも50日移動平均線を上回ったため、当面はこの水準が下値の目処となる。

なお、米国の核合意復帰に向けた動きをイスラエルが強く牽制しており、武力衝突の懸念が高まっているように見えるが、今のところ本格的な武力行使になるとは見ていない(交渉に圧力を掛ける目的以上のものではない)。

常識的に考えれば経済活動の再開で2022年頃(早ければ今年の年末)からテーパリングが始まり、過去の例を考えると長期金利の上昇などを通じてリスク資産価格には一時的に調整圧力が強まる可能性は高い。そのため、2022年には一旦調整局面があり、その後、持続可能な上昇になると予想する。

【見通しの固有リスク】

・ワクチン接種の進捗が想定よりも早まり、人の移動制限が解除され需要増加に供給が間に合わず、価格が急騰するリスク(供給の時間差リスク)。

・米国経済が正常化する中で急速なドル高が進行し、投機的な売り圧力が高まる場合。

・OPECプラスの減産と、非OPECプラス諸国の自主減産継続で需給がタイト化する場合(価格上昇要因)。

逆に価格低迷で歳入確保の増産が加速する場合、またはOPECプラスのプログラムの対象となっていない中東諸国の増産(価格下落要因)。

景気回復時の増産タイミングの見誤りによる、供給不足(価格上昇要因)。

・脱炭素の進捗、生活様式の変化による構造的な需要減少が加速した場合

1.中東産油国の財政悪化によって情勢不安が顕在化、供給途絶リスクが高まる

2.中東以外の産油国の生産者の破綻

3.上流投資部門投資が減速し、インドなどの新興国需要顕在化時に供給が間に合わない場合

4.価格面、数量面で予算を確保できない産油国が、OSPを大幅に引き上げる場合(第3次オイルショック)

などが価格上昇要因に。

・バイデン政権がシェールオイルのフラッキングやパイプライン敷設を制限/禁止する場合、供給減少で価格上昇要因に。

また、イランに対する制裁が緩和される場合、原油価格の下落要因に。ただし、米国内の反イラン感情の高まりで、直ちに制裁が緩和される可能性は低い。

・イランの反米感情が高まり、中東の不安定さが増す場合(価格上昇要因)。

イランでは6月に大統領選挙が予定されており、国内保守派に配慮してロウハニ大統領はタカ派的な発言をする可能性があるが、制裁解除に向けた融和的なコメントも欧米向けに発信せざるを得ず、ロウハニ大統領の発言で価格は左右される見込み。

・米国の橋渡しでイランとサウジを初めとするスンニ派諸国が和解し、巨大なイスラム教圏が誕生した場合(地域安定で原油生産増加、短期的には価格の下落要因に。ただし相当発生の可能性が低いリスクシナリオ)。

【石炭価格見通し】

海上輸送石炭価格は高値を維持すると考える。中国の製造業活動の回復とそれを受けた電力向け需要が旺盛と考えられるため。

中国政府は国内炭の供給能力増強にシフトしているが、経済活動の回復に供給が十分ではない。

ただし、豪州との対立や、環境規制強化の中で石炭需要は減速するとみられること、非常に矛盾するが国内生産を増加させていることから海上輸送炭価格の上値は重くなると予想される。

3月の石炭輸入は前年比▲1.8%の2,733万トンとなったが、前月(▲14.8%の2,077万トン)から大幅に回復した。中国国内の電力需要が回復していることが影響していると見られる。やはりバルチック海運指数の上昇に、中国の石炭輸入需要が寄与していたと見られる。

燃料炭の港湾在庫の水準を見るに、需要減速・国内生産が同時に起きていると予想される。よって、石炭価格にも徐々に下押し圧力が掛りやすくなることが予想される。

【見通しの固有リスク】

・世界的な環境重視型世界へのシフトを受けた、石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。短期的には価格の上昇要因。

・中国と豪州の対立、中国国内の生産能力増強に伴う、海上輸送炭需要の減少。

・北半球の夏場の猛暑(/冷夏)・冬場の厳冬(暖冬)。

・エルニーニョ現象発生が予想される夏場にかけて、北半球が猛暑となるリスク(気象庁の分析では冷夏になりやすい。日本は西日本が猛暑になる可能性)

【天然ガス・LNG】

天然ガス価格は中国の経済活動が活発であり、電力向け需要増加が見込まれることから、季節性とは関係なく石炭価格と歩調を合わせ、堅調な推移になると予想。

3月の中国のLNG輸入は前年比+26.2%の873万トン(前月912万トン)と大幅な増加となっている。徐々に中国も石炭からガスへのシフトが起きていると見られ、電力需要の増加を背景に輸入を拡大していることが窺える。

長期契約のLNGに関しては、原油リンクとなるため上昇見通しだが、価格反映までに3ヵ月程度の時間差があるため(消費者への影響はさらに3ヵ月後)、現時点ではまだ上昇していないと考えられる。次の懸念は夏のピーク時の電力・ガス価格への影響だろう。

【見通しの固有リスク】

・ロシア・ウクライナ情勢の悪化を受けて、ロシアがウクライナスルーでの天然ガス供給を停止する場合(上昇要因)。

・最大供給国であるロシアの増産(下落要因)。

・産油国の減産継続による随伴ガス供給の減少懸念。

・北半球の夏場の猛暑(/冷夏)・冬場の厳冬(暖冬)。

・エルニーニョ現象発生が予想される夏場にかけて、北半球が猛暑となるリスク(気象庁の分析では冷夏になりやすい。日本は西日本が猛暑になる可能性)

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが643,807枚(前週比 ▲5,430枚)ショートが151,129枚(+13,617枚)ネットロングは492,678枚(▲19,047枚)

Brentはロングが371,212枚(前週比+15,916枚)ショートが79,057枚(▲6,738枚)ネットロングは292,155枚(+22,654枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は軟調地合ながらも、高値圏を維持すると予想する。

各国の財政出動並びに金融緩和スタンスは継続される見込みであり、中国のみならず、米民主党政権は1.9兆ドルの経済対策に加え、2兆ドル(ウチ インフラ投資は0.6兆ドル)の追加対策を実施の計画であり、中国も7月の共産党結党100周年記念までは少なくとも景気刺激を続けると見られるため。

これらの需要は景気に関係なく発生する需要であるため、需要の見通しは底堅く、価格の調整があっても下値余地は限定される可能性が高い。

また、投機的な買いの手仕舞いは4月初で一巡(ファイザー社のワクチン開発成功の時期の水準)、何かしらの材料(ドル安や実質金利の低下、株高)があれば投機的には若干であるが買い余地があることも価格を押し上げ要因として作用しよう。

中期的には調整圧力が強まる展開になるとの予想は、現時点では変更する必要はないと考えている。中国政府が国内バブルを警戒する姿勢を強めていること、米経済統計回復に伴うドル高進行、早ければ2021年末頃から始まる可能性がある、米テーパリング開始の可能性、生産国の生産が回復する可能性が高いことが材料。

3月の中国の製造業PMIは51.9と市場予想の51.9、前月の50.6を上回る改善が確認された。

特に生産の回復が堅調で(51.9→53.9)、新規受注も生産ほどではないが、回復している(51.5→53.6)。輸出向け新規受注をみると、今月は輸出の回復が新規受注の回復に寄与したと考えられる。

新規受注在庫レシオは、完成品も原材料も上昇、中国国内の製品・原料需給はタイト化している可能性が高い。

このこと自体は価格上昇要因となるが、これまでの価格上昇が、1.コロナの影響による供給への懸念、2.景気減速を回避するための各国の積極的な金融・財政政策、3.コロナの影響からの脱却期待、4.(まだ起きてもいない)環境重視型社会へのシフトに伴う鉱物資源需要増加、といったことを背景とするものであり、「実態以上に買われてきた」可能性は否定しない。

米国・中国・インドがどのような動きをするかに環境政策は左右されるが、ここまでの各国の動きを見ていると当面は環境向けに使用される金属の需要増加は「今後10年・20年の大きなテーマ」となる可能性が高いと言える。

足下は期待選好で、総じて中長期的には物色されやすい地合が続くとみる。

具体例を挙げると、軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル、銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルト、リチウムなどが挙げられる。

2020年の中国の新エネルギー車の販売は前年比+7.5%の137万台(前年124万台)となった。全体の自動車販売が2,523万台なのでシェアは5.4%(4.9%)と上昇している。それでも電気自動車が非鉄金属市場の重要なテーマになるには、あと数年は要するだろう。

【見通しの固有リスク/個別金属の特殊要因】

・期待されていた米国のインフラ投資規模が、議会の反対で減額ないしは延期される場合(下落リスク)。

・米国経済が正常化する中でドル高が進行し、投機買いが膨らんでいる非鉄金属市場で投機の手仕舞い売り圧力が高まる場合(下落リスク)。

・米中間選挙に向けて、米民主党が追加でインフラ投資(2兆ドルのクリーンインフラ投資など)を行う場合(上昇リスク)。

・主に銅山を中心とする労使交渉長期化による供給減少が、2021年も継続する場合(上昇リスク)。

コロナの影響もあって、2020年12月1日時点の鉱山生産への影響は全体で184万1,000トン、コロナの影響によるものは112万3,000トン。

精錬品生産で影響を受ける規模が、全体で141万6,000トン、コロナによるものが62万8,000トン。

・中国の環境規制強化に伴う供給の減少。特にエネルギー排出量の多い新疆ウイグル自治区でのアルミ生産は減産の影響を免れない状況に。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

また、環境に配慮したメタル使用の義務化などが欧州で進む場合などのコストアップ(グリーン・メタルの義務化によるコスト増加)。

【投機筋のポジション動向】・引き続き投機のポジション解消圧力が強いが、アルミ・鉛・ニッケルのショート解消の動き(上昇要因)が顕著。

・LME投機筋買い越し金額 前週比+3.3%の259億ドル(前週 251億ドル)・LME投機筋買い越し数量 前週比+2.1%の5,758.5千トン(前週 5,641.3千トン)

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は、米中のインフラ投資による建材向け需要増加観測を背景に、高値を維持すると予想する。

またこれまでの経済対策の影響で、中国国内の鉄鋼原料在庫日数の水準が低いことから(鉄鋼製品在庫の水準は増加)在庫積み増し需要も継続する可能性が高い。

ただし、中国政府は景気刺激と同時に住宅セクターのバブルを懸念し始めており、住宅取得規制の動きも見せている。同時に、米国のインフラ投資政策に関して疑問を呈する声もあり、財政出動が計画通り行われるかどうかに関してはやや黄色信号が点り始めていることも、価格上昇を抑制しよう。

また、中国共産党は2021年から始まる新しい5ヵ年計画で鉄鋼生産量の削減の必要性を表明している。温室効果ガスの排出削減を目的として、業界として二酸化炭素の輩出の多い鉄鋼業の生産量を前年比でマイナスとする方針であり、鉄鋼製品向けの需要が減少することから、年後半に掛けては価格は下落すると予想する。

最大生産都市である唐山市は、2021年3月20日~12月31日まで、大気汚染基準に違反し、データを改ざんした4社は3月20日~6月末まで▲50%、7月~12月末まで▲30%減産、その他の16社は12月末まで▲30%の減産を新たに実施することを義務づけられた。

これにより、唐山市の粗鋼生産は前年比▲2,223万トンの1億2,177万トン、鉄鉱石需要は▲3,500万トン減少するとみられている。ただし今のところ鉄鋼製品価格の上昇もあって、鉄鉱石価格には下押し圧力がそれほど強まっていない状況。

3月の中国鉄鋼業PMIを見ると、総合指数は47.9(前月48.6)と減速した。輸出向け新規受注が横ばい(43.3→43.3)だったうえ、生産が悪天候などの影響で減少(54.7→51.3)したことが影響している。

ただ、ロジスティクスの問題もあり完成品在庫(38.1→33.2)、原材料在庫(46.6→36.6)と低下しており、新規受注完成品レシオ(1.14→1.30)、新規受注原材料レシオ(0.93→1.18)と急回復、需給バランス自体は原材料・完成品ともタイトだ。当面、鉄鋼製品・原料価格とも高止まりするのではないか。

中国の鉄鋼製品の輸入は通常、平均で110万トン程度なのだが、3月は前年比+16.0%の132万トン(前月+6.9%の108万トン)と増加、過去5年レンジの上限で推移している。

2月の中国粗鋼生産は8,305万トン(前月9,024万トン、12月9,125万トン、11月 8,766万トン)と同じ時期の過去5年最高水準を大きく上回っている。

その一方、3月の鉄鋼製品輸出は+16.4%の754万トン(前月490万トン)と加速し、過去5年平均を回復した。国内需要の減速と、海外情勢の回復による輸出需要の増加の両面の影響だろう。

なお、中国の鉄鋼製品需要は旺盛とみられるが、在庫水準は前週比▲96万3,000トンの1,789万2,000トン(過去5年平均 1,475万8,000トン)と、例年よりも在庫水準は高いが、既に在庫の取り崩し時期に突入しており、例年よりも在庫の減少ペースは速い。

これまで需給が緩和傾向にあるのでは、と見ていたが、3月の鉄鋼業PMIは62.3と前月の54.7から急回復している。気温の回復や、中国政府の対策期待の根強さが影響しているとみられる。

原料である鉄鉱石の3月の輸入は前年比+18.9%の1億211万トン(前月+3.8%の9,050万トン)。この時期の輸入量としては過去5年のレンジを大きく上回っている。引き続き鉄鉱石需要は旺盛と見られる。

鉄鉱石港湾在庫は前週比+155万トンの1億3,585万トン(過去5年平均1億2,894万6,000トン)、在庫日数は29.2日(過去5年平均 30.8日)と例年と比較して在庫日数の水準は低いが、徐々に過去5年平均水準に回帰しつつある。徐々に価格には下押し圧力が強まることになるだろう。

原料炭は中国の生産活動回復が継続していること、国内の鉄鋼需要が公共投資で底堅いことから、同様に底堅い推移になると考える。

しかし、中国政府は原料炭を含む石炭の国内生産を増加させる方針であることから、海上輸送原料炭価格の上値も重い。2月の中国の原料炭輸入は前年比▲39.6%の323万トン(前月312万トン)と減少している。

中国の港湾在庫の水準は鉄鋼の最大生産省である河北省の主要港である、京唐港の港湾在庫は前週比+19万トンの136万トンと過去5年平均の153万4,000トンを下回った。

在庫日数は前週比+0.8日の5.6日と、過去5年の平均である6.9日を下回っている。再び原料炭需給はタイト化の方向にある。

【見通しの固有リスク】

・鉄鉱石価格の上昇がレーショニング(価格上昇による需要減少)を引き起こす場合。

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

・コロナウイルスの感染拡大長期化による、鉱山生産の減少リスク。

・中国とインドの国境紛争の激化で、インドが中国に対して鉄鉱石輸出を制限する可能性(中国のFOBインデックスは上昇、その他の地域の鉄鉱石価格は低下)。

---≪貴金属≫---

【貴金属価格見通し】

<<金>>

金は軟調な推移になると考える。長期金利上昇、景気回復期待でのドル高進行が米雇用統計を受けて加速していることから。

現在の金の実質金利で説明可能な価格(金基準価格)は1,588ドル。そこからの乖離(リスク・プレミアム)は188ドルと昨日から+5ドル上昇。

なお、金価格を実質金利要因と為替要因に分類した場合、為替要因はリスク・プレミアムのところに内包されると整理している(為替は名目金利の影響も受けるので、純粋に為替の要因のみ切り出すのが困難であることから)。

※毎日回帰分析をアップデートし、リスク・プレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない場合があります。

<<銀>>

銀価格は金価格との比較感で売買されるが、金銀レシオは現在、68.4倍。過去1年を基準にすると81倍、5年では80倍、2000年以降では65倍程度が妥当。

バイデン政権のグリーン政策期待で上昇してきたが、一連の対策が発表される中で材料一巡、金銀レシオは70倍程度に落ち着きつきつつある。

今後、さらに金銀レシオが低下するには、実際に太陽光パネルの設置が米国で進捗するなどの新規材料が必要になるのでは中。

なお、銀価格=金価格÷金銀レシオ であり、金銀レシオが低下することで金価格が変動した時の弾性値が上昇(ボラティリティは上昇し、足元金の2倍に上昇)する点は留意。

(例)金が2,000ドル、銀が20ドルのとき 金銀レシオが100倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1セント変化 金の変化率は±0.05%、銀は±0.05%

 金銀レシオが1倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1ドル変化 金の上昇率は±0.05%、銀は±5%

<<PGM>>

プラチナ価格は銀価格との連動性が高い。これは供給過剰で投機的な取引の影響が強まっていることによる。これまで、各国の自動車セクターの回復期待と、主要生産国である南アフリカの供給不安が価格を押し上げている。

ただし米長期金利上昇に伴う、ベンチマークの金価格の調整は下押し圧力を強めることになるだろう。

仮に脱炭素が進んで水素が用いられ、燃料電池が進むのであればプラチナの構造的な需要が増加するシナリオは、需要・価格面でのポジティブリスクシナリオ。投機の比率が高い商品であるため、こうした観測記事だけでも材料に価格が反応しやすい。

パラジウムは景気正常化期待による金価格調整→経済正常化による需要増加、ロシア生産者からの供給減少観測を受けて高値を維持すると考える。

コロナショック後、パラジウム価格は基本的にETF価格との連動性が高まった(自動車向けの需要減少で余剰が発生したため)が、足下、ETFの残高の変動以上に価格が上昇している状況。

自動車生産が回復すれば再びパラジウム供給不足が発生し、ETFの残高減少と価格上昇が同時に発生する可能性が高いとみている。

3月の米自動車販売は年率1,775万台(前月1,567万台、市場予想1,638万台)と急回復した。

中国の3月の自動車販売は中国自動車工業協会の集計で前年比+76.5%の252万5,000台(前月+371%の146万台、1月+30%の250万台、12月+6.4%の283万台、11月+12.7%の276万9,666台、10月+12.6%の257万3,000台、9月+13.0%の256万5,201台)と高い水準を維持している。

ただし2019年比では±0.0%であり、横ばい。

【見通しの固有リスク】

・個人投資家のETFを通じた買いが、経済合理性を無視した水準まで貴金属価格を押し上げるリスク。

・主要生産国の南アフリカの電力供給不安や、コロナウイルスの影響拡大で供給が滞る場合(PGMの価格上昇要因)。

・コロナからの回復は各国まだらであり、先行する米国が金融正常化に動いた場合、新興国から資金が流出して信用リスクが高まる場合(安全資産価格の上昇要因)。

・米中の対立激化。バイデン政権は対中強硬姿勢を明確にしており、対立がさらに激化する場合(安全資産価格の上昇要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加(実際に破綻が意識されるのは2030年以降か)。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

環境重視型社会へのシフトはパラジウム需要を増加させるが、さらに加速して「水素社会」まで到達すると、燃料電池車需要が増加して構造的にプラチナ価格の上昇要因となる可能性。

・コロナウイルスの感染拡大による、最大生産国の1つである南アフリカの鉱山稼働が電力供給問題もあって不安定であることによる供給懸念。

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが269,513枚(前週比 ▲6,190枚)、ショートが88,639枚(+2,445枚)、ネットロングは180,874枚(▲8,635枚)、銀が69,429枚(+2,184枚)、ショートが33,005枚(▲1,925枚)、ネットロングは36,424枚(+4,109枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが37,890枚(前週比 ▲5,731枚)ショートが13,258枚(+2,385枚)、ネットロングは24,632枚(▲8,116枚)

パラジウムが5,473枚(+112枚)、ショートが2,620枚(▲203枚)ネットロングは2,853枚(+315枚)

---≪農産品≫---

【穀物価格見通し】

トウモロコシ・大豆は米需給報告・作付け意向面積の結果を受けた需給タイト化観測を背景に、高値圏での推移になると考える。

しかしながら、米作付け意向面積の結果を懐疑的に見る向きも多いこと、ラニーニャ現象の影響緩和、ラニーニャ現象への移行の可能性が高まっていること、総じてドルに上昇圧力が掛りやすいことから上値も重いと考える。

Locust WatchではFAOの予想通り、降雨がなかったため群生相の発生は極めて抑制されている。当初懸念されていた食害発生のリスクは低下している。
http://www.fao.org/ag/locusts/common/ecg/75/en/210413DLforecast.jpg

【見通しの固有リスク】

・エルニーニョ現象発生による生産条件改善を受けた増産観測(価格の下落要因)。

・環境重視型社会へのシフトにより、燃料向け穀物需要が増加する場合(価格の上昇要因)。現在はそれほどの数量でもない、バイオディーゼル向けの大豆需要増加など。

・新型コロナウイルスの影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

【米農務省需給報告データ】

・米作付け意向面積トウモロコシ 9,114万エーカー(市場予想9,313万エーカー、前年9,699万エーカー)大豆 8,760万エーカー(9,010万エーカー、8,351万エーカー)小麦 4,636万エーカー(4,495万エーカー、4,466万エーカー)綿花 1,204万エーカー(1,215万エーカー、1,370万エーカー)

・米穀物最終作付け面積トウモロコシ 9,201万エーカー(市場予想 9,514万エーカー)大豆 8,383万エーカー(8,483万エーカー)小麦 4,425万エーカー(4,472万エーカー)

・4月米需給報告単収見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 172.0Bu/エーカー(NA、172.0)大豆 50.2Bu/エーカー(NA、50.2)小麦 49.7Bu/エーカー(NA、49.7)

・4月米需給報告生産見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 141億8,200万Bu(NA、141億8,200万Bu)大豆 41億3,500万Bu(NA、41億3,500万Bu)小麦 18億2,600万Bu(NA、18億2,600万Bu)

・4月米需給報告輸出見通し(実績/前月)トウモロコシ 26億7,500万Bu(26億Bu、25億5,000万Bu)大豆 22億8,000万Bu(22億5,000万Bu、22億3,000万Bu)小麦 9億8,500万Bu(9億8,500万Bu)

・4月米需給報告在庫見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 13億5,200万Bu(13億7,882万Bu、15億200万Bu)大豆 1億2,000万Bu(1億1,789万Bu、1億2,000万Bu)小麦 8億5,200万Bu(8億4,611万Bu、8億3,600万Bu)

・3月末四半期在庫(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 77億100万Bu(77億7,024万Bu、112億9,400万Bu)大豆 15億6,400万Bu(15億2,829万Bu、29億4,700万Bu)小麦 13億1,400万Bu(12億7,116万Bu、17億300万Bu)

・4月CONABブラジル作付け面積(市場予想/前月)トウモロコシ 1,972万ha(1,966万ha、1,950万ha)大豆 3,847万ha(3,863万ha、3,846万ha)

・4月CONABブラジル生産量(市場予想/前月)トウモロコシ 1億879万トン(1億785万トン、1億807万トン) 単収 5,526kg/ha(5,477Kg/ha、5,543kg/ha)大豆 1億3,554万トン(1億3,525万トン、1億3,513万トン) 単収 3,523kg/ha(3,501Kg/ha、3,513kg/ha)

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが619,846枚(前週比 +11,357枚)、ショートが76,560枚(+4,223枚)ネットロングは543,286枚(+7,134枚)

大豆はロングが270,077枚(▲6,857枚)、ショートが46,059枚(+2,928枚)ネットロングは224,018枚(▲9,785枚)

小麦はロングが121,146枚(+631枚)、ショートが115,630枚(+6,319枚)ネットロングは5,516枚(▲5,688枚)

◆本日のMRA's Eye


「米国の穀物作付面積増加は有り得るか」

3月末に発表された米国の作付意向面積は、トウモロコシ、大豆とも市場予想を下回る結果となった。トウモロコシの作付けは市場予想が9,313万エーカーであったのに対して9,114万エーカーと、前年の最終作付け面積である9,201万エーカーも下回った。

大豆についても同様で、市場予想が9,010万エーカーであるのに対して8,760万エーカーと減少。作付意向面積に対する説明力が高い大豆÷トウモロコシレシオの年平均が2.62と昨年の2.32から上昇、大豆の作付意向面積は昨年(8,383万エーカー)から増加すると見られておりそれはその通りとなったのだが市場予想を下回る結果となった。

予想を下回った理由はいくつか挙げられているが、米中対立の激化によって需要の見通しが立て難いこと、コロナの影響や、年初の米南部の大寒波襲来による化学肥料の供給並びに価格上昇を受けた生産コストの上昇などを背景に、生産意欲が減退したためと考えられる。

しかし、それにしてもこの水準は低すぎであり、その後、発表された米需給報告を元にすると2021-2022年のトウモロコシの需給率は91.6%(前年比+3.7%)と上昇。この水準はトウモロコシ価格が年平均価格で578セントだった2013-2014年の水準である。さらに在庫率は9.2%(▲4.5%)まで低下することになる。

大豆に関してはもっと状況が厳しく、需給率は97.4%(+9.1%)まで上昇、在庫率は2.6%(▲10.7%)までの低下が見込まれている。この水準はトウモロコシと同様2013-2014年の水準であり、このときの大豆平均価格は1,407セントだった。

さらに、バイデン政権は化石燃料の使用を減らし、バイオ燃料の比率を引き上げる方針であるため、エタノールのみならず、バイオディーゼル向けの大豆油の需要の増加が見込まれる。

また、豚熱の影響で飼料向けの在庫が減少した中国がトウモロコシ・大豆を積極的に輸入しており、恐らくこれは今年も続くと予想されることから、需給バランスはこの想定以上にタイト化する可能性は否定できない。

仮に悪天候などが発生すれば、供給不足に陥る可能性もある。よって当面、トウモロコシ・大豆の価格は高止まりすることが予想される。

では下落リスクはないのか。現時点で穀物価格の下落要因になりそうな材料は、ラニーニャ現象が終了し夏場にかけてエルニーニョ現象の発生が見込まれている点が挙げられる。

この20年を見ると、ラニーニャ現象発生時に穀物価格が上昇し、エルニーニョ現象発生時は下落する傾向が強い。また、米国の景気回復や欧州のコロナ発生を受けたドル高進行が、ファイナンシャルな面で価格を下押しする可能性も有り得る。

またはドル高に伴う輸出競争力の低下が米国内需給を緩和させる、といったこともあるだろう。しかし価格の発射台となる生産見通しがこの状態では、これらの価格下落要因の影響も限定されると予想される。

とは言っても、今回の統計は「意向」であり、今回の作付意向面積通りの低水準の作付けにはならないのではないか、という懐疑的な見方が多いことも事実だ。

実際に作付けが始まって見れば作付意向面積以上に作付けが行われることも有り得る。この場合、作付けの進捗状況次第でトウモロコシ・大豆が急落する可能性も排除するべきではないだろう。

ただ、この10年でトウモロコシは4回、大豆は5回、作付意向面積以上の作付けが行われたが、回数的には五分五分であり、作付面積の増加が今年も起きるかどうかは現時点ではなんとも言えないところだ。

◆主要ニュース


・1-3月期中国工業生産 前年比+24.5%(1-2月期+35.1%)、3月前年比+14.1%(+7.3%)

・1-3月期中国固定資産投資 前年比+25.6%(1-2月期+35.0%)公的+25.3%(+32.9%)、民間+26.0%(+36.4%)

・1-3月期中国小売売上高 前年比+33.9%の10兆5,221億元(1-2月期+33.8%の6兆9,737億元)、3月+34.2%の3兆5,484億元

・1-3月期中国不動産開発投資 前年比+25.6%の2兆7,576億元(1-2月期+38.3%の1兆3,986億元)

・Q121中国実質GDP 年初来 前年比+18.3%(前期+2.3%)前年比+18.3%(+6.5%)、前期比+0.6%(+3.2%)

・2月ユーロ圏貿易収支(季節調整済)184億ユーロの黒字(前月 287億ユーロの黒字)調整前 177億ユーロの黒字(63億ユーロの黒字)

・3月EU27ヵ国新車登録台数 前年比+87.3%の1,062,446台(前月▲19.3%の771,486台)
 年初来+3.2%の2,560,330台(▲21.7%の1,498,116台)
 欧州合計 +62.7%の1,387,924台(▲20.3%の850,170台)
 年初来 +0.9%の3,080,751台(▲23.1%の1,693,059台)

・3月ユーロ圏消費者物価指数 前月比+0.9%(前月+0.2%)前年比+1.3%(+0.9%)、コア指数 +0.9%(+1.1%)

・3月米住宅着工件数 前月比+19.4%173.9万戸(前月▲11.3%の145.7万戸)

・3月米住宅建設許可件数 前月比+2.7%の176.6万戸(前月▲8.8%の172.0万戸)

・4月米ミシガン大学消費者マインド指数速報 86.5(前月84.9)
 現況指数 97.2(93.0)
 先行指数 79.7(79.7)
 1年期待インフレ率 3.7%(3.1%)
 5年期待インフレ率 2.7%(2.8%)

・ロシア、米政府高官8名に制裁。ロシアへの入国を禁止。

・日米首脳会談開催、中国を強く牽制。

・トルコ、暗号資産を決済出利用することを禁止。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・ベイカー・ヒューズ週間米国石油リグ稼働数344(前週比+7)
 ガスリグ 94(前週比+1)。"

・ロシア、国内の価格上昇を抑制する目的で燃料輸出の一時停止を検討。

【メタル】
・3月中国プライマリアルミ生産 前年比+311千トンの3,280千トン(前月 3,268千トン)

・フィリピン ドゥテルテ大統領、アキノ大統領が一連の鉱山事故を受けて設定したモラトリアムを解除し、鉱山開発プロジェクトの禁止を正式に解除すると表明。コロナの影響に因る景気悪化への対策の一環。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.CME木材 ( その他農産品 )/ +2.70%/ +48.29%
2.CBT大豆油 ( 穀物 )/ +2.62%/ +30.00%
3.SHF銅 ( ベースメタル )/ +2.46%/ +18.64%
4.ICE粗糖 ( その他農産品 )/ +2.08%/ +7.94%
5.SHF錫 ( ベースメタル )/ +2.07%/ +21.20%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
66.ICEアラビカ ( その他農産品 )/ ▲2.68%/ +0.70%
65.ビットコイン ( その他 )/ ▲2.22%/ +113.84%
64.NYB綿花 ( その他農産品 )/ ▲1.54%/ +7.16%
63.LME銅 3M ( ベースメタル )/ ▲1.37%/ +18.42%
62.CBTもみ米 ( 穀物 )/ ▲1.30%/ +3.87%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :34,200.67(+164.68)
S&P500 :4,185.47(+15.05)
日経平均株価 :29,683.37(+40.68)
ドル円 :108.80(+0.04)
ユーロ円 :130.38(+0.22)
米10年債 :1.58(+0.00)
中国10年債利回り :3.16(▲0.01)
日本10年債利回り :0.09(+0.00)
独10年債利回り :▲0.26(+0.03)
ビットコイン :62,005.41(▲1404.87)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :25.75(▲0.52)
エネルギー :31.92(▲1.24)
ベースメタル :25.02(+0.23)
貴金属 :23.10(▲0.14)
穀物 :27.06(▲0.17)
その他農畜産品 :23.18(▲0.73)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :48.96(▲0.54)
Brent :45.11(▲7.22)
米天然ガス :27.64(▲0.13)
米ガソリン :34.30(+0.12)
ICEガスオイル :32.44(▲2.1)
LME銅 :20.13(+0.61)
LMEアルミニウム :20.20(+0.1)
金 :24.81(▲0.45)
プラチナ :27.14(▲0.13)
トウモロコシ :27.06(▲0.44)
大豆 :24.81(▲0.45)

【エネルギー】
WTI :63.13(▲0.33)
Brent :66.77(▲0.17)
Oman :65.10(▲0.08)
米ガソリン :203.99(▲1.19)
米灯油 :189.57(▲0.32)
ICEガスオイル :531.50(+1.50)
米天然ガス :2.68(+0.02)
英天然ガス :51.15(+0.76)

【貴金属】
金 :1776.51(+12.56)
銀 :25.97(+0.12)
プラチナ :1205.72(+7.91)
パラジウム :2776.48(+36.54)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :9,318(+137:18.5B)
亜鉛 :2,876(+43:22.5C)
鉛 :2,052(+46:19C)
アルミニウム :2,325(▲20:16C)
ニッケル :16,459(+362:48C)
錫 :26,600(+369:1667B)
コバルト :49,819(±0.0)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :9182.00(▲128.00)
亜鉛 :2858.00(▲12.00)
鉛 :2036.00(+6.50)
アルミニウム :2321.00(▲16.00)
ニッケル :16180.00(▲140.00)
錫 :26570.00(+145.00)
バルチック海運指数 :2,385.00(+62.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR中国、1営業日前) :174.62(+1.18)
SGX鉄鉱石 :174.11(+0.10)
NYMEX鉄鉱石 :174.89(+1.88)
NYMEX豪州原料炭スワップ先物 :113.25(▲0.42)
大連原料炭先物 :252.51(▲6.97)
上海鉄筋直近限月 :5,138(+117)
上海鉄筋中心限月 :5,131(+8)
米鉄スクラップ :625(+5.00)

【農産物】
大豆 :1433.25(+15.00)
シカゴ大豆ミール :402.20(+0.30)
シカゴ大豆油 :56.33(+1.44)
マレーシア パーム油 :4191.00(▲9.00)
シカゴ とうもろこし :585.50(▲4.50)
シカゴ小麦 :652.50(▲1.25)
シンガポールゴム :222.90(+2.10)
上海ゴム :13540.00(+40.00)
砂糖 :16.72(+0.34)
アラビカ :129.15(▲3.55)
ロブスタ :1354.00(▲9.00)
綿花 :83.71(▲1.31)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :102.48(▲0.93)
シカゴ生牛 :120.85(▲0.75)
シカゴ飼育牛 :139.63(▲0.43)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。