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弱めの雇用統計を受けた長期金利低下とドル安で堅調
  • MRA商品市場レポート

2021年5月10日 第1950号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「弱めの雇用統計を受けた長期金利低下とドル安で堅調」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は総じて堅調な推移となった。米雇用統計は100万人を越える雇用者の増加が期待されていたがこれを下回り、米金融緩和策が継続するとの期待が高まって長期金利低下、ドル安が進行したことが材料となった。

下落したのはパラジウムや錫など、価格が高騰して節目を越えた商品で、実需の売りに押されたというよりは達成感からの投機の手仕舞い売りが入った、と見るのが妥当だろう。

米国では一時、1日の感染者数が世界最大だった米国のコロナ禍がワクチンの影響で改善、フロリダ州が移動制限を解除するなど正常化に向けて着々と進んでいる。その中で長期金利低下が起きれば、リスク資産価格には上昇圧力となる。

日本はこれに対してさほど対策が進んでいないように見えるが、人口100万人あたりの感染者数をみると日本は4,886人であるのに対して米国は99,093人、英国が66,831人と感染は抑制出来ている。

しかしこれはワクチンの確保・接種が進んでいない中での結果であり、どちらかと言えば国民1人1人の心がけに因るところが大きい。

同じアジアで見てみると、韓国はこれよりもさらに低く2,452人。中国はコロナ関連統計の信憑性が低いため参考にならないが72人だ。

人口100万人あたりの死者数も日本が83.4人であるのに対して、米国は1,763人、英国が1,922人とやはり抑制出来ている(韓国は36.3人、中国は3.4人)。

こうしたの人的努力で対応出来ていることが決定的な対策実施を遅らせている要因の1つともいえ、米雇用統計の結果はあるものの、米国が回復する中ではドル高・円安となりやすい。

この環境でさらにドル建ての工業金属価格が顕著に上昇している。工業金属価格の上昇は製造業のコストアップにつながり、業績の悪化要因となりやすい。

月曜日から本格化する企業決算動向は2020年度決算よりも2021年度決算見通し、並びに資源価格の上昇に対して、企業がどのような対策を講じているかに注目するべきだろう。

【本日の見通し】

週明け月曜日は目立った手がかり材料に乏しい中、米国の雇用統計の結果を受けた米長期金利の低下、ドル安の進行で総じてリスク資産価格に上昇圧力が掛り、堅調な推移になると予想する。

米国ばかりを見ていると忘れがちだが、資源国のコロナ禍は終了しておらず供給には制限がかかり、ロジの確保困難なことから供給面でも多くの商品価格に上昇圧力が掛っていることは忘れてはならない(逆にロジの問題が解決すれば下落要因に)。

【セクター別動向と見通し】

◆エネルギー

原油価格はもみ合った結果前日比プラスとなった。米雇用統計が市場予想を下回り、金融緩和継続観測が強まりドル安が進行したことが材料となった。

また、雇用統計は市場予想には届かなかったものの、20万人を越える雇用者数の増加が確認されておりエネルギー消費の絶対量増加期待が強まったことも価格を押し上げた。

石炭価格(豪州炭)は上昇。中国の経済活動の回復や脱炭素に伴う供給減少が材料視されている。

中国の石炭輸入動向の指標の1つであるバルチック海運指数は小幅に下落したが、ほぼ10年ぶりの高い水準を維持している。

中国の鉄鉱石・石炭・大豆の輸入量と同指数の相関性は高いが、足下のバルチック海運指数の上昇は、航空貨物キャパシティの減少と人員確保ができていないことが背景で、必ずしも中国向けのバルクコモディティ需要増加の影響だけではない。

JKMは小幅に下落も9ドル台を維持。夏場に向けた在庫積み増しの動きと欧州地域の供給が十分でないことがLNGカーゴ需給をタイト化させ、価格の押し上げ要因となっている。

米天然ガスは欧州・アジア地区の需給逼迫や米天然ガス統計での在庫増加が市場予想を下回っていることから、上昇した。

週明け月曜日は目立った手がかり材料に乏しい中、週末の雇用統計を受けた米国の金融緩和策の継続観測の強まりを受けたドル安が価格を押し上げるものと予想。ただし、OPECの増産観測、イランへの制裁緩和観測も意識されているため上昇余地は限定か。

天然ガスは中国の需要が旺盛な環境下、欧州需給の逼迫観測からJKMにも上昇圧力が掛る公算。石炭もLNG価格の上昇を受けて高値維持。

◆非鉄金属

LME非鉄金属価格は錫が下落したがその他の金属は上昇、ベンチマークである銅は史上最高値を更新した。LME指定倉庫在庫が再び減少傾向にあることが需給タイト化を意識させ、さらには米雇用統計の結果を受けたドル安進行が支えに。

また、中国の環境規制強化に伴うアルミ供給制限観測からアルミ価格は大幅に上昇、市場参加者の中では3,000ドルの可能性を指摘する声も増えてきた。

週明け月曜日はベンチマークの銅が史上最高値を更新し、達成感もあることから一旦投機的な売り圧力が強まる展開を予想。

しかし、現物の需給バランスがタイトな状態が続いている状況下、週末に発表された米雇用統計の結果を受けた、長期金利の低下とドル安の進行を受けて高値圏を維持する公算。

◆鉄鋼・鉄鋼原料

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは上昇、大連先物は上昇、豪州原料炭スワップ先物は小幅に上昇、大連原料炭先物は上昇、上海鉄鋼製品先物は大幅に上昇した。

休場明けの中国勢の買いに因るもので、鉄鉱石価格は鉄鋼製品価格との回帰分析の結果得られる205ドルの水準を上回った。

週明け月曜日も鉄鋼製品価格の高騰を受けた鉄鉱石需要の増加で堅調な推移になると予想される。

◆貴金属

金価格は上昇。米雇用統計の結果を受けた長期金利の低下やドル安が材料となった。銀・プラチナも連れ高。

パラジウムは弊社のコラムでも取り上げた3,000ドルの目標を達成したこともあり、テクニカルな売りに押される展開に。

週明け月曜日も雇用統計の結果を受けた実質金利の低下、ドル安傾向を受けて堅調推移を予想。

◆穀物

穀物価格は上昇。生産地の乾燥気候が継続している他、脱炭素でバイオ燃料向けの需要が増加するとの需要構造の変化観測が材料視されている。

週明け月曜日は週末の価格上昇が大きかったことから一旦調子売りに押されるが、雇用統計の結果を受けてドル安バイアスが強まる見通しであることから、需給ファンダメンタルズも勘案して堅調な推移を予想。

※中長期見通しは個別セクターのコラムをご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【昨日のトピックス】

昨日発表された米雇用統計は、市場予想を下回る内容だった。非農業部門の雇用者数は前月比+100万人の増加が見込まれていたが、結局+26.6万人の増加に止まった。民間部門の雇用者数も+93.3万人増加見込みが+21.8万人に止まった。

しかし、失業率は6.1%(前月6.0%)と上昇。これは労働参加率が61.7%(61.5%)に上昇していることが影響しているが、労働人口が+43万人増加したのに対して失業者は+10.2万人も増加、失業者数は引き続き1,000万人弱の高い水準である。

この状況だと、「雇用の安定と物価の安定」を二大責務とするFRBが金融緩和解除に動くのは遅れることになる。

とは言え、米景気が改善傾向にあることは間違いがなく、長期金利に上昇圧力がかかる展開になることも間違いがないだろう。ただ上記を勘案するに長期金利の上昇ペースは抑制される、というのが基本的な解釈である。

【マクロ見通しのリスクシナリオ】

・来年の中間選挙を控えて、バイデン大統領が国内の支持を得られない場合。恐らく選挙を考えると今年の夏までが勝負。

財政面や企業負担増の理由から造反が発生し、議会を通過しない場合は景気のリスクに(景気減速要因)。

・米財政出動が加速、景気回復期待を受けた価格上昇が顕著となる場合。

この場合、長期金利上昇でドル高が進行しやすく価格の下落を意識しなければならないが、足下、どの中央銀行・政府も景気過熱は意識しているものの沈静化させるタイミングと判断していないため、しばらくは顕著な価格上昇リスクとなる見込み。

常識的に考えると今年の年末頃からテーパリング開始の見通しとなるが、来年の米中間選挙を控えて米政権がテーパリング実施にクギを刺す可能性がある。この場合、2022年にかけて、さらにリスク資産価格が上昇する可能性も。

・コロナウイルスの感染再拡大(または新たなウイルスの発生、効くと期待しているワクチンが変異種などを対象にそれほど今夏がなかった場合、など)によるロックダウンが景気循環系商品の需要を減じる場合(価格下落要因)。

これは既に欧州、インド、日本などで顕在化。

逆に想定以上にワクチン・治療薬の開発が速やかに行われた場合は需要の増加要因に。

・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。

・米中対立激化による、新冷戦構造が発現しブロック経済圏が発生して貿易活動が鈍化する場合(場合によると武力衝突も)。

「能動的に」軍事を行う方針に舵を切った中国習近平政権が、台湾統一を目指して侵略する可能性は高くなった。

・次の成長ドライバーとして期待されるインド経済が、期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。

2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2023~2024年頃。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(これは人口動態を考えると、現実のリスクとなるのは2030年以降か)。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油価格見通し】

原油価格は高値でもみ合うものと考える。最大消費国である米国の経済統計は良好なものが多いこと、本邦系投資家と思われる米国の長期債の買いや、米雇用統計の結果を受けた米長期金利低下で、ドル安バイアスが強まることが背景。

しかし、OPECの増産バイアスは強まり、米国のイランに対する制裁が解除される可能性がたかまっていること、コロナのロックダウンの影響が広がっている欧州・インドでの需要減速は不可避であること、米景気の回復期待で長期金利上昇・ドル高圧力がかかるシナリオは依然、メインシナリオであり調整圧力が上昇圧力を上回る可能性は低くない。

なお、米国のイラン核合意復帰に向けた動きが進んでおり、サウジアラビアも米国の軍事的な支援を得られなくなったことでイランとの距離を縮める動きを見せていることから、当面、原油価格には下押し圧力になると見られる。

常識的に考えれば経済活動の再開で2022年頃(早ければ今年の年末)から米国でテーパリングが始まり、過去の例を考えると長期金利の上昇などを通じてリスク資産価格には一時的に調整圧力が強まる可能性は高い。そのため、2022年には一旦調整局面があり、その後、持続可能な上昇になると予想する。

【見通しの固有リスク】

・ワクチン接種の進捗が想定よりも早まり、人の移動制限が解除され需要増加に供給が間に合わず、価格が急騰するリスク(供給の時間差リスク)。

・米国経済が正常化する中で急速なドル高が進行し、投機的な売り圧力が高まる場合。

・OPECプラスの増産タイミングの見誤りによる、供給不足(価格上昇要因)。

・脱炭素の進捗、生活様式の変化による構造的な需要減少が加速した場合

1.中東産油国の財政悪化によって情勢不安が顕在化、供給途絶リスクが高まる

2.中東以外の産油国の生産者の破綻

3.上流投資部門投資が減速し、インドなどの新興国需要顕在化時に供給が間に合わない場合

4.価格面、数量面で予算を確保できない産油国が、OSPを大幅に引き上げる場合(第3次オイルショック)

などが価格上昇要因に。

・バイデン政権がシェールオイルのフラッキングやパイプライン敷設を制限/禁止する場合、供給減少で価格上昇要因に。

また、イランに対する制裁が緩和される場合、原油価格の下落要因に。

・米国の橋渡しでイランとサウジを初めとするスンニ派諸国が和解し、巨大なイスラム教圏が誕生した場合。

リスクシナリオの位置づけだったが、「巨大なイスラム圏」ができることにはならないが、バイデン政権誕生によってサウジアラビアはイランと関係改善に動かざるを得なくなっており、域内の緊張緩和観測が強まっている。

【石炭価格見通し】

海上輸送石炭価格は高値を維持すると考える。中国の製造業活動の回復とそれを受けた電力向け需要が旺盛と考えられるため。LNG価格の上昇も価格上昇を後押し。

中国政府は国内炭の供給能力増強にシフトしているが、経済活動の回復に供給が十分ではない。

ただし、豪州との対立や、環境規制強化の中で石炭需要は減速するとみられること、非常に矛盾するが国内生産を増加させていることから海上輸送炭価格の上値は重くなると予想される。

4月の石炭輸入は前年比▲29.8%の2,173万トン(前月▲1.8%の2,733万トン)と減少に転じた。中国国内の電力需要が回復していることで輸入が増加していたが、調達に目処が立った可能性がある。ただ、中国の石炭輸入需要の指標であるバルチック海運指数が高い水準を維持していることを考慮すると、まだ輸入は高水準で推移する可能性が高いと考える。

燃料炭の港湾在庫の水準を見るに、需要減速・国内生産が同時に起きていると予想される。よって、石炭価格にも徐々に下押し圧力が掛りやすくなることが予想される。

【見通しの固有リスク】

・世界的な環境重視型世界へのシフトを受けた、石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。短期的には価格の上昇要因。

・中国と豪州の対立、中国国内の生産能力増強に伴う、海上輸送炭需要の減少。

・北半球の夏場の猛暑(/冷夏)・冬場の厳冬(暖冬)。

・エルニーニョ現象発生が予想される夏場にかけて、北半球が猛暑となるリスク(気象庁の分析では冷夏になりやすい。日本は西日本が猛暑になる可能性)

【天然ガス・LNG】

天然ガス価格は中国の経済活動が活発であり、電力向け需要増加が見込まれること、ロシアの欧州向けのガス供給が制限される(増枠がないということ)ことから、石炭価格と歩調を合わせ、堅調な推移になると予想。

3月の中国のLNG輸入は前年比+26.2%の873万トン(前月912万トン)と大幅な増加となっている。徐々に中国も石炭からガスへのシフトが起きていると見られ、電力需要の増加を背景に輸入を拡大していることが窺える。

長期契約のLNGに関しては、原油リンクとなるため上昇見通しだが、価格反映までに3ヵ月程度の時間差があるため(消費者への影響はさらに3ヵ月後)、現時点ではまだ上昇していないと考えられる。次の懸念は夏のピーク時の電力・ガス価格への影響だろう。

【見通しの固有リスク】

・ロシア・ウクライナの対立で、欧州向けのガス供給が制限される場合、LNGカーゴ市場の需給タイト化で価格の上昇要因。

・最大供給国であるロシアの増産(下落要因)。

・産油国の減産継続による随伴ガス供給の減少懸念。

・北半球の夏場の猛暑(/冷夏)・冬場の厳冬(暖冬)。

・エルニーニョ現象発生が予想される夏場にかけて、北半球が猛暑となるリスク(気象庁の分析では冷夏になりやすい。日本は西日本が猛暑になる可能性)

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが658,677枚(前週比 +8,377枚)ショートが158,664枚(▲1,925枚)ネットロングは500,013枚(+10,302枚)

Brentはロングが399,764枚(前週比+8,160枚)ショートが83,194枚(▲3,311枚)ネットロングは316,570枚(+11,471枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は高値圏を維持すると予想する。

各国の財政出動並びに金融緩和スタンスは継続される見込みであり、中国のみならず、米民主党政権は1.9兆ドルの経済対策に加え、2兆ドル(インフラ投資は0.6兆ドル程度)の追加対策を実施の計画であり、中国も7月の共産党結党100周年記念までは少なくとも景気刺激を続けると見られるため。

これらの需要は景気に関係なく発生する需要であるため、需要の見通しは底堅く、価格の調整があっても下値余地は限定される可能性が高い。

また、投機的な買いの手仕舞いは4月初で一巡(ファイザー社のワクチン開発成功の時期の水準)、投資銀行を中心に「脱炭素」をテーマに市場参加者に非鉄金属に投資を「させたい」と考えている可能性は高く、投機的な買いが価格を当面高値に押し上げることになるだろう。

弊社はベンチマークである銅の価格が、指定倉庫在庫の水準から判断するに1,000ドル程度高いと見ていたが、「テーマ性(今は市場では「脱炭素銘柄」とされている)があること」から、水準感は9,000ドル~11,000ドルに切り上がっていると判断せざるを得ない。

しかし、それでも中期的には調整圧力が強まる展開になるとの予想は、現時点では変更する必要はないと考えている。中国政府が国内バブルを警戒する姿勢を強めていること、米経済統計回復に伴うドル高進行、早ければ2021年末頃から始まる可能性がある、米テーパリング開始の可能性、生産国の生産が回復する可能性が高いことが材料。

米国・中国・インドがどのような動きをするかに環境政策は左右されるが、ここまでの各国の動きを見ていると当面は環境向けに使用される金属の需要増加は「今後10年・20年の大きなテーマ」となる可能性が高いと言える。

具体例を挙げると、軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル、銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルト、リチウムなどが挙げられる。

2020年の中国の新エネルギー車の販売は前年比+7.5%の137万台(前年124万台)となった。全体の自動車販売が2,523万台なのでシェアは5.4%(4.9%)と上昇している。それでも電気自動車が非鉄金属市場の重要なテーマになるには、あと数年は要するだろう。

4月の中国製造業PMIは51.1(前月51.9)と市場予想の56.1を大きく下回った。中国政府も投資主導による景気の過熱に配慮せざるを得ない状況になっていると考えられ、総じて指数の内数はほとんど水準を低下させている。

新規受注は52.0(53.6)と前月から▲1.6低下、輸出新規受注が50.4(51.2)と▲0.8の低下となった。このことは中国国内の需要の伸びが減速していることを示唆している。

新規受注在庫レシオは、完成品が1.11(前月1.15)、原材料が1.08(1.11)と両指数とも低下。それにもかかわらずLMEインデックスが上昇している。

このことは、中国の需給面というよりも、1.中国外の需要が旺盛、2.供給の影響、3.ドル安進行に伴う投機的な動き、のいずれかの要因によるものと考えられるが、中国以外の需要回復はもちろんあるが、2.3.の影響が大きいと考えられる。

これまで非鉄金属価格の上昇を牽引しているのは中国の住宅セクターであるが、4月の中国の建設業PMIは57.4(62.3)と、閾値の50を上回っているが急減速している。

住宅セクター向けの一連の建材需要は旺盛であるがその「増加ペース」が鈍化していることは、やはり先行きの住宅向けの需要が減速する可能性が高まりつつあることを示唆している。

【見通しの固有リスク/個別金属の特殊要因】

・期待されていた米国のインフラ投資規模が、議会の反対で減額ないしは延期される場合(下落リスク)。

・米国経済が正常化する中でドル高が進行し、投機買いが膨らんでいる非鉄金属市場で投機の手仕舞い売り圧力が高まる場合(下落リスク)。

・米中間選挙に向けて、米民主党が追加でインフラ投資(2兆ドルのクリーンインフラ投資など)を行う場合(上昇リスク)。

・主に銅山を中心とする労使交渉長期化による供給減少が、2021年も継続する場合(上昇リスク)。

・中国の環境規制強化に伴う供給の減少。特にエネルギー排出量の多い新疆ウイグル自治区でのアルミ生産は減産の影響を免れない状況に(供給減少でアルミ価格の上昇要因に)。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

また、環境に配慮したメタル使用の義務化などが欧州で進む場合などのコストアップ(グリーン・メタルの義務化によるコスト増加)。

【投機筋のポジション動向】・非鉄金属は銅を除けばアップサイドを意識した動きが強まっている。米中のインフラ投資計画に加え、供給制限が継続していることが材料視されているようだ。

・LME投機筋買い越し金額 前週比+8.8%の305億ドル(前週 280億ドル)・LME投機筋買い越し数量 前週比+4.5%の6,418.5千トン(前週 6,140.7千トン)

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は、米中のインフラ投資による建材向け需要増加観測を背景に、高値を維持すると予想する。

またこれまでの経済対策の影響で、中国国内の鉄鋼原料在庫日数の水準が低いことから(鉄鋼製品在庫の水準は増加)在庫積み増し需要も継続する可能性が高い。ただし、中国政府は景気刺激と同時に住宅セクターのバブルを懸念し始めており、住宅取得規制の動きも見せていることから、徐々に住宅向けの需要は減速しよう。

また、中国共産党は2021年から始まる新しい5ヵ年計画で鉄鋼生産量の削減の必要性を表明している。温室効果ガスの排出削減を目的として、業界として二酸化炭素の輩出の多い鉄鋼業(とアルミ生産業)の生産量を前年比でマイナスとする方針であり、鉄鋼製品向けの需要が減少することから、年後半に掛けては価格は下落すると予想する。

最大生産都市である唐山市は、2021年3月20日~12月31日まで、大気汚染基準に違反し、データを改ざんした4社は3月20日~6月末まで▲50%、7月~12月末まで▲30%減産、その他の16社は12月末まで▲30%の減産を新たに実施することを義務づけられた。

これにより、唐山市の粗鋼生産は前年比▲2,223万トンの1億2,177万トン、鉄鉱石需要は▲3,500万トン減少するとみられている。ただし今のところ鉄鋼製品価格の上昇もあって、鉄鉱石価格には下押し圧力がそれほど強まっていない状況。

4月の中国鉄鋼業PMIを見ると、総合指数は45.4(前月47.9)と減速した。指数の内訳を見ると新規受注はそれなりに堅調であるものの、生産が落ち込んでいることが影響した。上述の唐山市を中心とする、環境規制強化の中での生産減少が総合指数悪化に寄与した。

しかし、生産が落ち込んでいるものの完成品・原材料とも在庫水準は若干切り上がっている。絶対水準自体が低いので引き続き完成品・鉄鋼原料とも需給はタイトとみられる。

目安となる新規受注・在庫レシオは、新規受注完成品レシオが1.29(1.30)とやや低下、新規受注原材料レシオは1.25(1.18)と水準は高い。経験則になるがこのレシオが1を超えると各種製品価格の上昇が顕著になる。

4月の中国の鉄鋼製品の輸入は前年比+16.2%の117万4,000トン(前月+15.8%の132万トン)と伸びが増加、過去5年レンジの上限で推移している。

3月の中国粗鋼生産は9,402万トン(前月8,305万トン、1月 9,024万トン、12月9,125万トン、11月 8,766万トン)と同じ時期の過去5年最高水準を大きく上回っている。

その一方、3月の鉄鋼製品輸出は+16.4%の754万トン(前月490万トン)と加速し、過去5年平均を回復した。国内需要の減速と、海外情勢の回復による輸出需要の増加の両面の影響だろう。

なお、中国の鉄鋼製品需要は旺盛とみられるが、在庫水準は前週比▲82万トンの1,632万5,000トン(過去5年平均 1,339万2,000トン)と、例年よりも在庫水準は高いが、既に在庫の取り崩し時期に突入している。在庫の減少ペースは再び例年を上回っている。

4月の中国の建設業PMIは57.4(62.3)と、閾値の50を上回っているが急減速している。需要は旺盛であるがその「増加ペース」が鈍化していることは、やはり先行きの住宅向けの需要が減速する可能性が高まりつつあることを示唆している。

原料である鉄鉱石の4月の輸入は前年比+3.0%の9,857万トン(前月+18.9%の1億211万トン)と鈍化した。しかしそれでもこの時期の輸入量としては過去5年のレンジを大きく上回っている。引き続き鉄鉱石需要は旺盛と見られる。

鉄鉱石港湾在庫は前週比▲28万トンの1億3,310万トン(過去5年平均1億2,799万6,000トン)、在庫日数は25.3日(過去5年平均 30.3日)と例年と比較して在庫日数の水準は低い。一時回復傾向が見られたが、再び低下しており、価格を下支えしよう。

原料炭は中国の生産活動回復が継続していること、国内の鉄鋼需要が公共投資で底堅いことから、同様に底堅い推移になると考える。

しかし、中国政府は原料炭を含む石炭の国内生産を増加させる方針であることから、海上輸送原料炭価格の上値も重い。

3月の中国の原料炭輸入は前年比▲13.0%の491万トン(前月▲39.6%の323万トン)と減少している。

中国の港湾在庫の水準は鉄鋼の最大生産省である河北省の主要港である、京唐港の港湾在庫は前週比+5万トンの140万トンと過去5年平均の157万トンを下回っている。

在庫日数は前週比+0.2日の5.1日と、過去5年の平均である7.1日を下回っている。再び原料炭需給はタイト化の方向にある。

【見通しの固有リスク】

・鉄鉱石価格の上昇がレーショニング(価格上昇による需要減少)を引き起こす場合。

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

・コロナウイルスの感染拡大長期化による、鉱山生産の減少リスク。

・中国とインドの国境紛争の激化で、インドが中国に対して鉄鉱石輸出を制限する可能性(中国のFOBインデックスは上昇、その他の地域の鉄鉱石価格は低下)。

---≪貴金属≫---

【貴金属価格見通し】

<<金>>

金は高値圏での推移を継続すると考える。長期金利の上昇圧力がやや緩和していること、リスクテイク回復の中ドル安傾向であることが材料。しかし、米景気の相対的な回復期待の強さからドル高・長期期金利(緩やかに)上昇圧力が強まることから、中期的な見通しはやや弱気。

現在の金の実質金利で説明可能な価格(金基準価格)は1,633ドル。そこからの乖離(リスク・プレミアム)は198ドルと昨日から+3ドル上昇。

なお、金価格を実質金利要因と為替要因に分類した場合、為替要因はリスク・プレミアムのところに内包されると整理している(為替は名目金利の影響も受けるので、純粋に為替の要因のみ切り出すのが困難であることから)。

※毎日回帰分析をアップデートし、リスク・プレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない場合があります。

<<銀>>

銀価格は金価格との比較感で売買されるが、金銀レシオは現在、66.7倍。過去1年を基準にすると80倍、5年でも80倍、2000年以降では65倍程度が妥当。

バイデン政権のグリーン政策期待で上昇してきたが、一連の対策が発表される中で材料一巡、金銀レシオは70倍程度に落ち着きつきつつある。

今後、さらに金銀レシオが低下するには、実際に太陽光パネルの設置が米国で進捗するなどの新規材料が必要になるのでは中。

なお、銀価格=金価格÷金銀レシオ であり、金銀レシオが低下することで金価格が変動した時の弾性値が上昇(ボラティリティは上昇し、足元金の2倍に上昇)する点は留意。

(例)金が2,000ドル、銀が20ドルのとき 金銀レシオが100倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1セント変化 金の変化率は±0.05%、銀は±0.05%

 金銀レシオが1倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1ドル変化 金の上昇率は±0.05%、銀は±5%

<<PGM>>

プラチナ価格は銀価格との連動性が高い。これは供給過剰で投機的な取引の影響が強まっていることによる。これまで、各国の自動車セクターの回復期待と、主要生産国である南アフリカの供給不安が価格を押し上げている。

ただし米長期金利上昇に伴う、ベンチマークの金価格の調整や、南アフリカのコロナの影響緩和期待で下押し圧力が強まることになるだろう。上値も重い。

仮に脱炭素が進んで水素が用いられ、燃料電池が進むのであればプラチナの構造的な需要が増加するシナリオは、需要・価格面でのポジティブリスクシナリオ。投機の比率が高い商品であるため、こうした観測記事だけでも材料に価格が反応しやすい。

パラジウムは景気正常化期待による金価格調整→経済正常化による需要増加、ロシア生産者からの供給減少観測を受けて高値を維持すると考える。

コロナショック後、パラジウム価格は基本的にETF価格との連動性が高まった(自動車向けの需要減少で余剰が発生したため)が、足下、ETFの残高の変動以上に価格が上昇している状況。

自動車生産が回復すれば再びパラジウム供給不足が発生し、ETFの残高減少と価格上昇が同時に発生する可能性が高いとみている。

3月の米自動車販売は年率1,775万台(前月1,567万台、市場予想1,638万台)と急回復した。

中国の3月の自動車販売は中国自動車工業協会の集計で前年比+76.5%の252万5,000台(前月+371%の146万台、1月+30%の250万台、12月+6.4%の283万台、11月+12.7%の276万9,666台、10月+12.6%の257万3,000台、9月+13.0%の256万5,201台)と高い水準を維持している。

ただし2019年比では±0.0%であり、横ばい。

【見通しの固有リスク】

・個人投資家のETFを通じた買いが、経済合理性を無視した水準まで貴金属価格を押し上げるリスク。

・主要生産国の南アフリカの電力供給不安や、コロナウイルスの影響拡大で供給が滞る場合(PGMの価格上昇要因)。

・コロナからの回復は各国まだらであり、先行する米国が金融正常化に動いた場合、新興国から資金が流出して信用リスクが高まる場合(安全資産価格の上昇要因)。

・米中の対立激化。バイデン政権は対中強硬姿勢を明確にしており、対立がさらに激化する場合(安全資産価格の上昇要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加(実際に破綻が意識されるのは2030年以降か)。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

環境重視型社会へのシフトはパラジウム需要を増加させるが、さらに加速して「水素社会」まで到達すると、燃料電池車需要が増加して構造的にプラチナ価格の上昇要因となる可能性。

・コロナウイルスの感染拡大による、最大生産国の1つである南アフリカの鉱山稼働が電力供給問題もあって不安定であることによる供給懸念。

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが270,194枚(前週比 ▲523枚)、ショートが99,453枚(▲645枚)、ネットロングは170,741枚(+122枚)、銀が78,858枚(+2,478枚)、ショートが30,991枚(▲2,548枚)、ネットロングは47,867枚(+5,026枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが39,894枚(前週比 ▲602枚)ショートが11,663枚(+463枚)、ネットロングは28,231枚(▲1,065枚)

パラジウムが6,039枚(+42枚)、ショートが2,954枚(▲39枚)ネットロングは3,085枚(+81枚)

---≪農産品≫---

【穀物価格見通し】

トウモロコシ・大豆は米需給報告・作付け意向面積の結果を受けた需給タイト化観測を背景に、高値圏での推移になると考える。

しかし、米国の作付進捗率は例年を大きく上回っており、もし米国の作付面積が意向面積を上回った場合、エルニーニョ発生の可能性も考慮すると下落リスクが小さくないと弊社は考えている。

Locust WatchではFAOの予想通り、降雨がなかったため群生相の発生は極めて抑制されている。当初懸念されていた食害発生のリスクは低下している。
http://www.fao.org/ag/locusts/common/ecg/75/en/210423update.jpg
http://www.fao.org/ag/locusts/common/ecg/75/en/210413DLforecast.jpg

【見通しの固有リスク】

・エルニーニョ現象発生による生産条件改善を受けた増産観測(価格の下落要因)。

・環境重視型社会へのシフトにより、燃料向け穀物需要が増加する場合(価格の上昇要因)。現在はそれほどの数量でもない、バイオディーゼル向けの大豆需要増加など。

・新型コロナウイルスの影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

【米農務省需給報告データ】

・米作付け意向面積トウモロコシ 9,114万エーカー(市場予想9,313万エーカー、前年9,699万エーカー)大豆 8,760万エーカー(9,010万エーカー、8,351万エーカー)小麦 4,636万エーカー(4,495万エーカー、4,466万エーカー)綿花 1,204万エーカー(1,215万エーカー、1,370万エーカー)

・米穀物最終作付け面積トウモロコシ 9,201万エーカー(市場予想 9,514万エーカー)大豆 8,383万エーカー(8,483万エーカー)小麦 4,425万エーカー(4,472万エーカー)

・4月米需給報告単収見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 172.0Bu/エーカー(NA、172.0)大豆 50.2Bu/エーカー(NA、50.2)小麦 49.7Bu/エーカー(NA、49.7)

・4月米需給報告生産見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 141億8,200万Bu(NA、141億8,200万Bu)大豆 41億3,500万Bu(NA、41億3,500万Bu)小麦 18億2,600万Bu(NA、18億2,600万Bu)

・4月米需給報告輸出見通し(実績/前月)トウモロコシ 26億7,500万Bu(26億Bu、25億5,000万Bu)大豆 22億8,000万Bu(22億5,000万Bu、22億3,000万Bu)小麦 9億8,500万Bu(9億8,500万Bu)

・4月米需給報告在庫見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 13億5,200万Bu(13億7,882万Bu、15億200万Bu)大豆 1億2,000万Bu(1億1,789万Bu、1億2,000万Bu)小麦 8億5,200万Bu(8億4,611万Bu、8億3,600万Bu)

・3月末四半期在庫(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 77億100万Bu(77億7,024万Bu、112億9,400万Bu)大豆 15億6,400万Bu(15億2,829万Bu、29億4,700万Bu)小麦 13億1,400万Bu(12億7,116万Bu、17億300万Bu)

・4月CONABブラジル作付け面積(市場予想/前月)トウモロコシ 1,972万ha(1,966万ha、1,950万ha)大豆 3,847万ha(3,863万ha、3,846万ha)

・4月CONABブラジル生産量(市場予想/前月)トウモロコシ 1億879万トン(1億785万トン、1億807万トン) 単収 5,526kg/ha(5,477Kg/ha、5,543kg/ha)大豆 1億3,554万トン(1億3,525万トン、1億3,513万トン) 単収 3,523kg/ha(3,501Kg/ha、3,513kg/ha)

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが609,370枚(前週比 +15,178枚)、ショートが73,224枚(+595枚)ネットロングは536,146枚(+14,583枚)

大豆はロングが302,464枚(+654枚)、ショートが54,877枚(+3,700枚)ネットロングは247,587枚(▲3,046枚)

小麦はロングが137,015枚(▲1,771枚)、ショートが108,975枚(▲107枚)ネットロングは28,040枚(▲1,664枚)

◆本日のMRA's Eye


「銅は史上最高値を更新も調整か」

LME銅価格は上昇し、史上最高値を更新した。価格上昇の背景は複数要因の「合わせ技」によるものだ。

いずれも新型コロナの感染拡大が原因であるが、

1.コロナの影響による景気減速を回避するため、中国が大規模な経済対策を行った

2.銅の生産国は新興国がおおく、かつ、密な環境での生産を余儀なくされている生産現場も多いため供給に支障が出ている

3.中国に対抗するため米国が大規模な財政出動を伴う経済対策・インフラ投資を検討している

4.環境重視型社会へのシフトに伴う需要増加、などが主な所だ。

このうち、1.2.については既に顕在化しているイベントであるが、3.4.に関してはまだ「期待」の段階であり実需に影響をまだ及ぼしておらず投機的な市場参加者に買いを促す材料にはなった。

為替などの市場を見ていると商品市場においても投機筋が価格動向を決定している、と考えがちである。

しかし、為替などと異なり流動性がそれほど高くないため投機筋が売りたい、買いたい、と思った価格でいつでも取引ができる訳ではない。

そのため、工業金属やエネルギーなどの市場では投機筋のシェアが実需筋のシェアを上回るケースはそれほど多くなく、価格動向は現物の需給動向が左右しやすい。

もちろん、投機筋の売買動向が価格を左右することはあるが、前提となる需給動向を把握することがより重要である。しかし商品の場合、残念ながらリアルタイムで現物の需要と供給のデータを把握することは不可能である。

例えば銅の場合はICSG(国際銅研究機関)の需給バランスデータが参考にされることが多いが、これも数ヵ月遅れて事後的に把握出来るものである。そのため、市場参加者はLMEの指定倉庫在庫の増減を参考に、足下の需給バランスを判断することが多い。

足下のLME銅価格とLME指定倉庫在庫動向を確認すると現在の在庫水準は歴史的に見ても低く銅価格の上昇を肯定している。

もう1つ参考になる指標としては限月間スプレッドがある。先物取引の場合、受け渡しをするタイミングによって価格が異なる。銅の場合、ニュースで使われる価格はキャッシュ価格か、3ヵ月後に受け渡しを行う3ヵ月先渡し価格のいずれかであることが多い。そしてこの2つの価格は同じではない。

通常、3ヵ月後に受け渡しを行う金属の場合、倉庫の保管料と借り入れ金利、その他の手数料が加味されて3ヵ月先渡し価格の方がキャッシュ価格よりも高い。

グラフはLME銅の3ヵ月先渡し価格とキャッシュ価格のスプレッドの推移である。面グラフがマイナスの数字になるほどバックワーデーションの度合いが強くなり(需給逼迫)、逆にプラスになると弱くなる(需給緩和)が、足下の銅のスプレッドは縮小方向にあり需給バランスには緩和圧力がかかっていることになる。

このことを考えると、銅の価格上昇は追加の材料が出てこなければ一旦調整する可能性が高い、と判断される。恐らく米国の景気回復期待を受けたドル高の進行が現物を必要としない投機筋の手仕舞い売り圧力を強める、価格高騰やコロナの影響緩和で鉱山生産が回復する、といったことが切っ掛けになるのではないだろうか。

ただ、需給環境がコロナの影響による供給減少、景気刺激のための対策効果で需要が堅調であるため調整したとしても下落余地は限定されることになろう。

◆主要ニュース


・4月日本国内自動車販売 前年比+22.2%(前月+2.4%)

・3月日本毎月勤労統計 現金給与総額 前年比+0.2%(前月▲0.4%)
 実質賃金総額+0.5%(+0.1%)

・4月日本マネタリーベース 前年比+24.3%の6兆5,550億円(+20.8%の6兆4,360億円)

・4月日本サービス業PMI改定 49.5(速報比+1.2、前月改定 48.3)、コンポジット 51.0(+0.8、49.9)

・4月中国財新サービス業PMI 54.7(前月53.1)、コンポジット 56.3(54.3)

・4月中国貿易収支 428億5,000万ドルの黒字(前月138億ドルの黒字)
 輸出総額 前年比 +32.3%(+30.6%)、輸入総額 +43.1%(+38.1%)
 輸出年初来ベース
  対米国 +60.8%(1-3月期+74.7%)
  対欧州 +46.6%(+56.7%)
  対日本 +21.2%(+30.6%)
  対アセアン諸国 +38.8%(+37.1%)

 輸入
  対米国 前年比 +64.7%(+69.2%)
  対欧州 +35.7%(+33.0%)
  対日本 +27.9%(+28.3%)
  対アセアン諸国 +35.3%(+33.2%)

・4月中国外貨準備 3兆1,981億ドル(前月3兆1,700億ドル)

・3月独製造業受注 前月比+3.0%(前月改定+1.4%)、前年比+27.8%(+5.8%)

・4月独建設業PMI 46.2(前月47.5)

・3月ユーロ圏小売売上高 前月比+2.7%(前月+4.2%)前年比+12.0%(▲2.9%)

・3月独鉱工業生産 前月比+2.5%(前月▲1.9%)、前年比 +5.1%(▲6.8%)

・3月独経常収支 302億ユーロの黒字(前月186億ユーロの黒字)
 貿易収支205億ユーロの黒字(182億ユーロの黒字)
 輸出 前月比+1.2%(+1.0%)、輸入+6.5%(+3.6%)

・4月米チャレンジャー社解雇者数 前年比 ▲96.6%(前月▲86.2%)

・Q121米非農業部門労働生産性速報 前期比年率+5.4%(前期確定▲3.8%)、単位当たり労働コスト▲0.3%(+5.6%)

・米週間新規失業保険申請件数 498千件(前週 590千件)
 失業保険継続受給者数 3,690千人(3,653千人)

・4月米雇用統計
 非農業部門雇用者数 前月比+266千人(前月改定+770千人(速報比▲146千人))
 民間部門雇用者数 +218千人(+708千人)
 製造業雇用者数 ▲18千人(+54千人)

・4月米失業率 6.1%(前月 6.0%)、不完全雇用率 10.4%(10.7%)
 労働参加率 61.7%(61.5%)
 時間当たり平均賃金 前月比+0.7%(▲0.1%)、前年比+0.3%(+4.2%)
 週平均労働時間 35.0時間(34.9時間)

・Q121米MBA住宅ローン回収債権比率 0.54%(前期 0.56%)

・Q121米住宅ローン延滞率 6.38%(6.73%)
・3月米消費者信用残高 前月比+258億ドル(前月+261億ドル)
 回転信用+64億ドル(+81億ドル)
 非回転信用+194億ドル(+180億ドル)

※回転信用はクレジットカードなど、非回転信用は自動車ローンなど

・中国、「豪州との戦略的経済対話の全ての活動を無期限に停止する」

・米ブリンケン国務長官、ウクライナの領土保全を支持。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・DOE天然ガス稼働在庫 1,958BCF(前週比+60BCF)
 東部 332BCF(+13BCF)
 中西部 442BCF(+15BCF)
 山間部 124BCF(+5BCF)
 太平洋地区224BCF(+7BCF)
 南中央 836BCF(+20BCF)

・ベイカー・ヒューズ週間米国石油リグ稼働数344(前週比+2)
 ガスリグ 103(前週比+7)。

・4月中国石炭輸入 2,173万4,000トン(前月2,732万9,000トン)

・4月中国原油輸入 4,036万トン、996万バレル/日(前月4,966万トン、1,185万バレル/日)
 精製石油製品輸入 196万トン(210万トン)
 輸出 682万トン(683万トン)

※原油1トン=7.4バレルとして算出。石油製品は種類の内訳が不明のためバレル換算していない。

・4月中国天然ガス輸入 1,015万トン(前月873万トン)

・サウジアラビア外務省当局者、「中東の緊張を緩和するためにイランと交渉中であり、民間外交を公開している。」

・サウジアラムコ、6月積みの調整金を引き下げ。アラビアンライト+2.35ドル(前月比▲0.2ドル)、エキストラライト+1.50(▲0.1)、ライト+1.70(▲0.1)、ミディアム+1.25(▲0.2)、+0.50(▲0.30)

・イラン、米国との各競技を再開。

【メタル】
・4月中国銅輸入 48万トン(前月55万トン)
 銅鉱石・精鉱 192万トン(217万トン)
 アルミ(未加工品含む) 輸出 44万トン(44万トン)

・4月中国鉄鉱石輸入 9,857万トン(前月1億211万トン)
 鉄鋼製品輸入 117万トン(132万トン)
 鉄鋼製品輸出 797万トン(754万トン)

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.SGX鉄鉱石 ( 鉄鋼原料 )/ +4.29%/ +32.37%
2.MDEパーム油 ( その他農産品 )/ +3.50%/ +25.49%
3.CBT大豆ミール ( 穀物 )/ +3.46%/ +1.86%
4.ビットコイン ( その他 )/ +3.09%/ +98.94%
5.LME銅 3M ( ベースメタル )/ +2.94%/ +34.29%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
66.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ ▲1.64%/ +8.56%
65.中国CSI300 ( 株式 )/ ▲1.29%/ ▲4.13%
64.TCM原油 ( エネルギー )/ ▲1.13%/ +40.37%
63.LME錫 3M ( ベースメタル )/ ▲0.99%/ +46.78%
62.TCMガソリン ( エネルギー )/ ▲0.92%/ +32.25%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :34,777.76(+229.23)
S&P500 :4,232.60(+30.98)
日経平均株価 :29,357.82(+26.45)
ドル円 :108.60(▲0.49)
ユーロ円 :132.12(+0.51)
米10年債 :1.58(+0.01)
中国10年債利回り :3.15(+0.01)
日本10年債利回り :0.09(▲0.00)
独10年債利回り :▲0.22(+0.01)
ビットコイン :57,684.38(+1728.91)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :23.78(+0.21)
エネルギー :22.68(▲0.04)
ベースメタル :21.04(+1.02)
貴金属 :20.51(▲0.37)
穀物 :26.36(+0.09)
その他農畜産品 :25.32(+0.2)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :25.27(▲0.21)
Brent :22.92(▲0.17)
米天然ガス :23.08(+0.52)
米ガソリン :22.90(▲0)
ICEガスオイル :21.83(+0.08)
LME銅 :17.20(+2.92)
LMEアルミニウム :12.01(+0.47)
金 :17.29(▲0.86)
プラチナ :23.62(▲1.55)
トウモロコシ :29.34(▲0.73)
大豆 :17.29(▲0.86)

【エネルギー】
WTI :64.90(+0.19)
Brent :68.28(+0.19)
Oman :66.14(▲0.16)
米ガソリン :212.69(+1.32)
米灯油 :201.06(+2.11)
ICEガスオイル :550.50(▲0.50)
米天然ガス :2.96(+0.03)
英天然ガス :61.23(▲1.02)

【貴金属】
金 :1831.24(+16.02)
銀 :27.45(+0.14)
プラチナ :1255.98(+0.93)
パラジウム :2923.97(▲25.96)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :10,356(+328:5B)
亜鉛 :2,985(+52:11.5C)
鉛 :2,232(+40:13.5C)
アルミニウム :2,524(+48:5C)
ニッケル :18,053(+78:28C)
錫 :29,920(▲315:3642B)
コバルト :45,165(±0.0)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :10412.50(+297.00)
亜鉛 :3025.50(+79.00)
鉛 :2229.00(+8.50)
アルミニウム :2532.00(+22.00)
ニッケル :18070.00(+165.00)
錫 :29870.00(▲300.00)
バルチック海運指数 :3,212.00(▲54.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR中国、1営業日前) :204.59(+2.33)
SGX鉄鉱石 :206.28(+8.49)
NYMEX鉄鉱石 :204.35(+6.67)
NYMEX豪州原料炭スワップ先物 :113.25(+0.25)
大連原料炭先物 :276.53(+9.13)
上海鉄筋直近限月 :5,552(+92)
上海鉄筋中心限月 :5,672(+58)
米鉄スクラップ :570(▲10.00)

【農産物】
大豆 :1621.00(+15.50)
シカゴ大豆ミール :442.50(+14.80)
シカゴ大豆油 :66.38(+0.13)
マレーシア パーム油 :4883.00(+165.00)
シカゴ とうもろこし :772.75(+13.25)
シカゴ小麦 :773.50(+9.25)
シンガポールゴム :232.30(+2.10)
上海ゴム :14225.00(+175.00)
砂糖 :17.49(▲0.06)
アラビカ :152.30(▲1.20)
ロブスタ :1500.00(▲8.00)
綿花 :89.66(+0.18)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :111.98(+0.58)
シカゴ生牛 :116.03(+0.55)
シカゴ飼育牛 :131.73(+1.25)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。