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景気への楽観で総じて堅調~材料はさほど変わらず
  • MRA商品市場レポート

2021年4月28日 第1948号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「景気への楽観で総じて堅調~材料はさほど変わらず」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は穀物・畜産・貴金属セクターで水準を切り下げた商品が一部あったが、軒並み水準を切り上げた。

足下の材料はほとんど変わっておらず、ワクチン接種進捗・新型コロナ変異種拡大・金融緩和容認・経済対策期待、が日々日替わりで材料となっている。それでも、総じて景気に対して楽観であり、リスクテイクの中のドル安圧力が再び高まっていることから、堅調、という流れだ。

しかし、米景気の先行きを期待するほどドル高圧力は掛りやすく、コロナの影響が緩和すれば供給・物流も改善が期待されるため中期的な見通しは、ややテクニカルな理由で下向きである。

【本日の見通し】

本日も重要な統計発表はそれほどないが、企業決算が多数発表されるためその動向が価格を左右すると考えられ、基本は高値でもみ合う商品が多数を占めると予想される。

本日、予定されている中で注目はFOMC。何かしらの政策変更の手がかりとなるような材料が示されるかに注目が集まるが、基本的には現在の政策をFRBは維持する方針であり、失業率が高止まりする中で金融緩和を解除する姿勢は、現時点ではおくびにも出さないと予想される。

昨年は中国の動向が市場の変動要因だったが、今年は中国の影響力が最も大きいのは7月頃までで、それ以降は米国にバトンタッチされると見られる。

そんな中、バイデン大統領が就任後初の演説を、上下院合同会議で行う。1月の就任以降、信じられないスピード感で政策を推し進めてきたバイデン大統領が、現状をどのように総括し、今後の見通しをどのように示すかに注目が集まる。

【セクター別動向と見通し】

◆エネルギー

原油価格は予想小幅に下落した。OPECプラス共同閣僚監視委員会で増産見通しの変更はなしとされ、5月31日にJMMCを、6月1日に閣僚級会合を開催することを確認、特段材料にはならなかった。

石炭価格(豪州炭)は横ばい。中国の石炭港湾在庫は減少しており、国内経済活動の回復と夏場に向けた調達圧力が継続していることが背景(豪州炭は輸入していないが、他国産の石炭を物色するため、海上輸送炭市場需給はタイト化する)。

中国の石炭輸入動向の指標の1つであるバルチック海運指数は昨日の上昇し、この時期としては非常に高い水準に。中国の鉄鉱石・石炭・大豆の輸入量と同指数の相関性は高いが、足下のバルチック海運指数の上昇は、航空貨物キャパシティの減少と人員確保ができていないことが背景であり、必ずしも中国向けのバルクコモディティ需要増加の影響だけではない。

JKMは小幅に上昇。夏場に向けた在庫積み増しの動きと、ロシアの欧州向けガス供給の増加がないことが材料となった。

欧州天然ガスは大幅に上昇。ウクライナがロシアのガスプロムに対して、欧州向けガスの割り当て増加を要求したがこれを拒否され、域内供給への懸念が強まったため。そもそも冬場の在庫減少による再積み増し需要が旺盛であり、需給は逼迫しているとみられる。

米国天然ガスも欧州向けのLNG需要が旺盛と見られる中で上昇した。

本日はFOMCと企業決算発表を控えて、様子見気分強くもみ合い推移を予想。

天然ガスは欧州需給の逼迫観測からJKMにも上昇圧力が掛る公算。石炭もLNG価格の上昇を受けて、上昇余地を探る展開を予想。

◆非鉄金属

LME非鉄金属価格は続伸した。朝方発表された中国工業セクター利益が、前年比ベースで大幅な伸びとなったことで引き続き製造業セクターの活動は良好、と見られたことが価格を押し上げた。

LME非鉄金属の投機筋ポジションが発表されたが、ニッケル・錫以外の金属は総じて新規に買いが増加しており、ドル安やインフラ投資政策期待などで価格には上昇圧力が掛りやすい地合になっている。

本日はこの3日間の価格上昇が顕著だったことから利益確定の動きが出やすい地合だが、セクターのベンチマークである銅が「1万ドル目前」であることなど、テクニカルに上昇余地を試す材料も多く本日も上昇余地を試すのではないか。

◆鉄鋼・鉄鋼原料

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは上昇、大連先物は上昇、豪州原料炭スワップ先物は小幅に上昇、大連原料炭先物は上昇、上海鉄鋼製品先物は上昇した。

中国の工業セクター利益の改善を受けて鉄鋼製品市場需給がタイト化するなかで価格が高止まりしており、鉄鋼原料需要も増加観測が強まったため。

本日も鉄鋼製品価格が高値で推移していることから、鉄鋼原料価格を押し上げる展開は継続すると予想される。

◆貴金属

金価格は小幅安。実質金利上昇、ドル安が相殺しあった。しかし、総じてFOMCを控えて様子見である。銀も小動き。

プラチナは南アフリカのコロナ対策進捗期待に伴う供給増加期待が重石、ではあるがどちらかと言えばテクニカルな要因での値動きと整理した方が適切だろう。

本日も市場参加者のリスクテイク意欲は旺盛であり、ドル安が進行するとみられることから堅調な推移を予想。ただし本日から始まるFOMCの結果待ちで方向感は出難いと予想。

◆穀物

穀物価格は上昇後下落し、高安まちまち。需給逼迫観測が価格を押し上げているが、各々節目(トウモロコシは700セント、大豆は1,600セント、小麦は750セント)が意識され、引けに掛けて水準を切り下げた。

アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)のルチアーノCEOが米国のトウモロコシ・大豆の作付面積が合計500万エーカーは増加するのではないか、とした発言が大豆の下落に繋がった。

本日はFOMC声明を控えて様子見気分が強まると考えるが、足下利益確定の動きの方が活発とみられ、総じて軟調推移を予想する。

※中長期見通しは個別セクターのコラムをご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【昨日のトピックス】

昨日発表された中国の1-3月の工業セクター利益は前年比+137.3%の1兆8,254億元(1-2月期+179%の1兆1,140億元)となった。

単月だと、3月が前年比+92.3%(前月+20.1%)とやはり加速している。中国の工業セクターの業績は力強く回復しているといえるが、主に住宅セクターを中心に景気刺激を行った結果、と言える。

なお、中国の工業セクター利益と非鉄金属価格の前年比上昇率の間には高い相関性があり、3月のLME銅価格の前年比上昇率は+73.9%(前月27.9%)である。

この関係性に着目してLMEの銅価格を推定すると9,600ドル程度が適正価格となる。足下の価格はこの水準から300~400ドル高いためやや割高といえるが、しばらくは9,000ドル台の銅価格を肯定することになりそうだ。

【マクロ見通しのリスクシナリオ】

・米大統領選挙前後の国内融和にバイデン次期大統領が失敗する場合(今のところ成功している模様)。

・米財政出動が加速、景気回復期待を受けた価格上昇が顕著となる場合。

この場合、長期金利上昇でドル高が進行しやすく価格の下落を意識しなければならないが、足下、どの中央銀行・政府も景気過熱は意識しているものの沈静化させるタイミングと判断していないため、しばらくは顕著な価格上昇リスクとなる見込み。

常識的に考えると今年の年末頃からテーパリング開始の見通しとなるが、来年の米中間選挙を控えて米政権がテーパリング実施にクギを刺す可能性がある。この場合、2022年にかけて、さらにリスク資産価格が上昇する可能性も。

・バイデン政権の追加経済対策が、財政面や企業負担増の理由から造反が発生し、議会を通過しない場合(価格下落要因)。

・コロナウイルスの感染再拡大(または新たなウイルスの発生、効くと期待しているワクチンが変異種などを対象にそれほど今夏がなかった場合、など)によるロックダウンが景気循環系商品の需要を減じる場合(価格下落要因)。逆に想定以上にワクチン・治療薬の開発が速やかに行われた場合は需要の増加要因に。

・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。

・米中対立激化による、新冷戦構造が発現しブロック経済圏が発生して貿易活動が鈍化する場合(場合によると武力衝突も)。

「能動的に」軍事を行う方針に舵を切った中国習近平政権が、台湾統一を目指して侵略する可能性は高くなった。

・次の成長ドライバーとして期待されるインド経済が、期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。

2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2023~2024年頃。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(これは人口動態を考えると、現実のリスクとなるのは2030年以降か)。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油価格見通し】

原油価格は高値でもみ合うものと考える。OPECプラスは増産を決定したが、米国の経済統計は良好なものが多いこと、本邦系投資家と思われる米国の長期債の買いで米長期金利の上昇が鈍化、ドル安バイアスが強まることが背景。

しかし、OPECの減産解除は続き、米国のイランに対する制裁解除が進捗する可能性があることコロナのロックダウンの影響が広がっている欧州での需要減速は不可避であること、米景気の回復期待で長期金利上昇・ドル高圧力がかかるシナリオは依然、メインシナリオであり調整圧力が上昇圧力を上回る可能性は低くない。

今のところWTI・Brentとも50日移動平均線を上回ったため、当面はこの水準が下値の目処となる。

なお、米国の核合意復帰に向けた動きをイスラエルが強く牽制しており、武力衝突の懸念が高まっているように見えるが、今のところ本格的な武力行使になるとは見ていない(交渉に圧力を掛ける目的以上のものではない)。

常識的に考えれば経済活動の再開で2022年頃(早ければ今年の年末)からテーパリングが始まり、過去の例を考えると長期金利の上昇などを通じてリスク資産価格には一時的に調整圧力が強まる可能性は高い。そのため、2022年には一旦調整局面があり、その後、持続可能な上昇になると予想する。

【見通しの固有リスク】

・ワクチン接種の進捗が想定よりも早まり、人の移動制限が解除され需要増加に供給が間に合わず、価格が急騰するリスク(供給の時間差リスク)。

・米国経済が正常化する中で急速なドル高が進行し、投機的な売り圧力が高まる場合。

・OPECプラスの減産と、非OPECプラス諸国の自主減産継続で需給がタイト化する場合(価格上昇要因)。

逆に価格低迷で歳入確保の増産が加速する場合、またはOPECプラスのプログラムの対象となっていない中東諸国の増産(価格下落要因)。

景気回復時の増産タイミングの見誤りによる、供給不足(価格上昇要因)。

・脱炭素の進捗、生活様式の変化による構造的な需要減少が加速した場合

1.中東産油国の財政悪化によって情勢不安が顕在化、供給途絶リスクが高まる

2.中東以外の産油国の生産者の破綻

3.上流投資部門投資が減速し、インドなどの新興国需要顕在化時に供給が間に合わない場合

4.価格面、数量面で予算を確保できない産油国が、OSPを大幅に引き上げる場合(第3次オイルショック)

などが価格上昇要因に。

・バイデン政権がシェールオイルのフラッキングやパイプライン敷設を制限/禁止する場合、供給減少で価格上昇要因に。

また、イランに対する制裁が緩和される場合、原油価格の下落要因に。ただし、米国内の反イラン感情の高まりで、直ちに制裁が緩和される可能性は低い。

・イランの反米感情が高まり、中東の不安定さが増す場合(価格上昇要因)。

イランでは6月に大統領選挙が予定されており、国内保守派に配慮してロウハニ大統領はタカ派的な発言をする可能性があるが、制裁解除に向けた融和的なコメントも欧米向けに発信せざるを得ず、ロウハニ大統領の発言で価格は左右される見込み。

・米国の橋渡しでイランとサウジを初めとするスンニ派諸国が和解し、巨大なイスラム教圏が誕生した場合。

リスクシナリオの位置づけだったが、「巨大なイスラム圏」ができることにはならないが、バイデン政権誕生によってサウジアラビアはイランと関係改善に動かざるを得なくなっており、域内の緊張緩和観測が強まっている。

【石炭価格見通し】

海上輸送石炭価格は高値を維持すると考える。中国の製造業活動の回復とそれを受けた電力向け需要が旺盛と考えられるため。LNG価格の上昇も価格上昇を後押ししよう。

中国政府は国内炭の供給能力増強にシフトしているが、経済活動の回復に供給が十分ではない。

ただし、豪州との対立や、環境規制強化の中で石炭需要は減速するとみられること、非常に矛盾するが国内生産を増加させていることから海上輸送炭価格の上値は重くなると予想される。

3月の石炭輸入は前年比▲1.8%の2,733万トンとなったが、前月(▲14.8%の2,077万トン)から大幅に回復した。中国国内の電力需要が回復していることが影響していると見られる。やはりバルチック海運指数の上昇に、中国の石炭輸入需要が寄与していたと見られる。

燃料炭の港湾在庫の水準を見るに、需要減速・国内生産が同時に起きていると予想される。よって、石炭価格にも徐々に下押し圧力が掛りやすくなることが予想される。

【見通しの固有リスク】

・世界的な環境重視型世界へのシフトを受けた、石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。短期的には価格の上昇要因。

・中国と豪州の対立、中国国内の生産能力増強に伴う、海上輸送炭需要の減少。

・北半球の夏場の猛暑(/冷夏)・冬場の厳冬(暖冬)。

・エルニーニョ現象発生が予想される夏場にかけて、北半球が猛暑となるリスク(気象庁の分析では冷夏になりやすい。日本は西日本が猛暑になる可能性)

【天然ガス・LNG】

天然ガス価格は中国の経済活動が活発であり、電力向け需要増加が見込まれること、ロシアの欧州向けのガス供給が制限される(増枠がないということ)ことから、石炭価格と歩調を合わせ、堅調な推移になると予想。

3月の中国のLNG輸入は前年比+26.2%の873万トン(前月912万トン)と大幅な増加となっている。徐々に中国も石炭からガスへのシフトが起きていると見られ、電力需要の増加を背景に輸入を拡大していることが窺える。

長期契約のLNGに関しては、原油リンクとなるため上昇見通しだが、価格反映までに3ヵ月程度の時間差があるため(消費者への影響はさらに3ヵ月後)、現時点ではまだ上昇していないと考えられる。次の懸念は夏のピーク時の電力・ガス価格への影響だろう。

【見通しの固有リスク】

・ロシア・ウクライナ情勢の悪化を受けて、ロシアがウクライナスルーでの天然ガス供給を停止する場合(上昇要因)。

・最大供給国であるロシアの増産(下落要因)。

・産油国の減産継続による随伴ガス供給の減少懸念。

・北半球の夏場の猛暑(/冷夏)・冬場の厳冬(暖冬)。

・エルニーニョ現象発生が予想される夏場にかけて、北半球が猛暑となるリスク(気象庁の分析では冷夏になりやすい。日本は西日本が猛暑になる可能性)

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが650,867枚(前週比 +7,060枚)ショートが150,884枚(▲245枚)ネットロングは499,983枚(+7,305枚)

Brentはロングが387,074枚(前週比+15,862枚)ショートが81,330枚(+2,273枚)ネットロングは305,744枚(+13,589枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は軟調地合ながらも、高値圏を維持すると予想する。

各国の財政出動並びに金融緩和スタンスは継続される見込みであり、中国のみならず、米民主党政権は1.9兆ドルの経済対策に加え、2兆ドル(インフラ投資は0.6兆ドル程度)の追加対策を実施の計画であり、中国も7月の共産党結党100周年記念までは少なくとも景気刺激を続けると見られるため。

これらの需要は景気に関係なく発生する需要であるため、需要の見通しは底堅く、価格の調整があっても下値余地は限定される可能性が高い。

また、投機的な買いの手仕舞いは4月初で一巡(ファイザー社のワクチン開発成功の時期の水準)、何かしらの材料(ドル安や実質金利の低下、株高)があれば投機的には若干であるが買い余地があることも価格を押し上げ要因として作用しよう。

中期的には調整圧力が強まる展開になるとの予想は、現時点では変更する必要はないと考えている。中国政府が国内バブルを警戒する姿勢を強めていること、米経済統計回復に伴うドル高進行、早ければ2021年末頃から始まる可能性がある、米テーパリング開始の可能性、生産国の生産が回復する可能性が高いことが材料。

3月の中国の製造業PMIは51.9と市場予想の51.9、前月の50.6を上回る改善が確認された。

特に生産の回復が堅調で(51.9→53.9)、新規受注も生産ほどではないが、回復している(51.5→53.6)。輸出向け新規受注をみると、今月は輸出の回復が新規受注の回復に寄与したと考えられる。

新規受注在庫レシオは、完成品も原材料も上昇、中国国内の製品・原料需給はタイト化している可能性が高い。

このこと自体は価格上昇要因となるが、これまでの価格上昇が、1.コロナの影響による供給への懸念、2.景気減速を回避するための各国の積極的な金融・財政政策、3.コロナの影響からの脱却期待、4.(まだ起きてもいない)環境重視型社会へのシフトに伴う鉱物資源需要増加、といったことを背景とするものであり、「実態以上に買われてきた」可能性は否定しない。

弊社はベンチマークである銅の価格が、指定倉庫在庫の水準から判断するに1,000ドル程度高い、と見ているが、「期待や他商品比較での割安感」「テーマ性(今は市場では「脱炭素銘柄」とされている)があること」から、水準感自体が上振れしている可能性は排除できなくなってきた。

この場合、7,000ドル~9,000ドル程度のレンジ、と見られた水準が9,000ドル~11,000ドルに切り上がる(在庫水準による)ことになるため、見通しは大きく変わることになる。

米国・中国・インドがどのような動きをするかに環境政策は左右されるが、ここまでの各国の動きを見ていると当面は環境向けに使用される金属の需要増加は「今後10年・20年の大きなテーマ」となる可能性が高いと言える。

足下は期待選好で、総じて中長期的には物色されやすい地合が続くとみる。

具体例を挙げると、軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル、銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルト、リチウムなどが挙げられる。

2020年の中国の新エネルギー車の販売は前年比+7.5%の137万台(前年124万台)となった。全体の自動車販売が2,523万台なのでシェアは5.4%(4.9%)と上昇している。それでも電気自動車が非鉄金属市場の重要なテーマになるには、あと数年は要するだろう。

【見通しの固有リスク/個別金属の特殊要因】

・期待されていた米国のインフラ投資規模が、議会の反対で減額ないしは延期される場合(下落リスク)。

・米国経済が正常化する中でドル高が進行し、投機買いが膨らんでいる非鉄金属市場で投機の手仕舞い売り圧力が高まる場合(下落リスク)。

・米中間選挙に向けて、米民主党が追加でインフラ投資(2兆ドルのクリーンインフラ投資など)を行う場合(上昇リスク)。

・主に銅山を中心とする労使交渉長期化による供給減少が、2021年も継続する場合(上昇リスク)。

コロナの影響もあって、2020年12月1日時点の鉱山生産への影響は全体で184万1,000トン、コロナの影響によるものは112万3,000トン。

精錬品生産で影響を受ける規模が、全体で141万6,000トン、コロナによるものが62万8,000トン。

・中国の環境規制強化に伴う供給の減少。特にエネルギー排出量の多い新疆ウイグル自治区でのアルミ生産は減産の影響を免れない状況に(供給減少でアルミ価格の上昇要因に)。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

また、環境に配慮したメタル使用の義務化などが欧州で進む場合などのコストアップ(グリーン・メタルの義務化によるコスト増加)。

【投機筋のポジション動向】・ニッケルはポジション解消の動きがみられるが、その他の金属は軒並み再びリスクテイクとなっており、特にロングの積み上げが顕著。4月初で「利益確定」は終了した可能性が高まっている。

・LME投機筋買い越し金額 前週比+5.9%の280億ドル(前週 265億ドル)・LME投機筋買い越し数量 前週比+3.5%の6,140.7千トン(前週 5,931.3千トン)

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は、米中のインフラ投資による建材向け需要増加観測を背景に、高値を維持すると予想する。

またこれまでの経済対策の影響で、中国国内の鉄鋼原料在庫日数の水準が低いことから(鉄鋼製品在庫の水準は増加)在庫積み増し需要も継続する可能性が高い。ただし、中国政府は景気刺激と同時に住宅セクターのバブルを懸念し始めており、住宅取得規制の動きも見せていることから、徐々に住宅向けの需要は減速しよう。

また、中国共産党は2021年から始まる新しい5ヵ年計画で鉄鋼生産量の削減の必要性を表明している。温室効果ガスの排出削減を目的として、業界として二酸化炭素の輩出の多い鉄鋼業(とアルミ生産業)の生産量を前年比でマイナスとする方針であり、鉄鋼製品向けの需要が減少することから、年後半に掛けては価格は下落すると予想する。

最大生産都市である唐山市は、2021年3月20日~12月31日まで、大気汚染基準に違反し、データを改ざんした4社は3月20日~6月末まで▲50%、7月~12月末まで▲30%減産、その他の16社は12月末まで▲30%の減産を新たに実施することを義務づけられた。

これにより、唐山市の粗鋼生産は前年比▲2,223万トンの1億2,177万トン、鉄鉱石需要は▲3,500万トン減少するとみられている。ただし今のところ鉄鋼製品価格の上昇もあって、鉄鉱石価格には下押し圧力がそれほど強まっていない状況。

3月の中国鉄鋼業PMIを見ると、総合指数は47.9(前月48.6)と減速した。輸出向け新規受注が横ばい(43.3→43.3)だったうえ、生産が悪天候などの影響で減少(54.7→51.3)したことが影響している。

ただ、ロジスティクスの問題もあり完成品在庫(38.1→33.2)、原材料在庫(46.6→36.6)と低下しており、新規受注完成品レシオ(1.14→1.30)、新規受注原材料レシオ(0.93→1.18)と急回復、需給バランス自体は原材料・完成品ともタイトだ。当面、鉄鋼製品・原料価格とも高止まりするのではないか。

3月の中国の鉄鋼製品の輸入は前年比+16.0%の132万トン(前月+6.9%の108万トン)と増加、過去5年レンジの上限で推移している。

3月の中国粗鋼生産は9,402万トン(前月8,305万トン、1月 9,024万トン、12月9,125万トン、11月 8,766万トン)と同じ時期の過去5年最高水準を大きく上回っている。

その一方、3月の鉄鋼製品輸出は+16.4%の754万トン(前月490万トン)と加速し、過去5年平均を回復した。国内需要の減速と、海外情勢の回復による輸出需要の増加の両面の影響だろう。

なお、中国の鉄鋼製品需要は旺盛とみられるが、在庫水準は前週比▲74万7,000トンの1,714万4,000トン(過去5年平均 1,395万9,000トン)と、例年よりも在庫水準は高いが、既に在庫の取り崩し時期に突入している。これまで例年よりも在庫の減少ペースが速かったが、今週は減速している。

需給が緩和傾向にあるのでは、と見ていたが、3月の鉄鋼業PMIは62.3と前月の54.7から急回復している。気温の回復や、中国政府の対策期待の根強さが影響しているとみられる。

原料である鉄鉱石の3月の輸入は前年比+18.9%の1億211万トン(前月+3.8%の9,050万トン)。この時期の輸入量としては過去5年のレンジを大きく上回っている。引き続き鉄鉱石需要は旺盛と見られる。

鉄鉱石港湾在庫は前週比+5万トンの1億3,590万トン(過去5年平均1億2,821万6,000トン)、在庫日数は25.8日(過去5年平均 30.7日)と例年と比較して在庫日数の水準は低い。一時回復傾向が見られたが、再び低下しており、価格を下支えしよう。

原料炭は中国の生産活動回復が継続していること、国内の鉄鋼需要が公共投資で底堅いことから、同様に底堅い推移になると考える。

しかし、中国政府は原料炭を含む石炭の国内生産を増加させる方針であることから、海上輸送原料炭価格の上値も重い。

3月の中国の原料炭輸入は前年比▲13.0%の491万トン(前月▲39.6%の323万トン)と減少している。

中国の港湾在庫の水準は鉄鋼の最大生産省である河北省の主要港である、京唐港の港湾在庫は前週比+5万トンの140万トンと過去5年平均の157万トンを下回っている。

在庫日数は前週比+0.2日の5.1日と、過去5年の平均である7.1日を下回っている。再び原料炭需給はタイト化の方向にある。

【見通しの固有リスク】

・鉄鉱石価格の上昇がレーショニング(価格上昇による需要減少)を引き起こす場合。

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

・コロナウイルスの感染拡大長期化による、鉱山生産の減少リスク。

・中国とインドの国境紛争の激化で、インドが中国に対して鉄鉱石輸出を制限する可能性(中国のFOBインデックスは上昇、その他の地域の鉄鉱石価格は低下)。

---≪貴金属≫---

【貴金属価格見通し】

<<金>>

金は高値圏での推移を継続すると考える。長期金利の上昇圧力がやや緩和していること、リスクテイク回復の中ドル安傾向であることが材料。しかし、米景気の相対的な回復期待の強さからドル高・長期期金利(緩やかに)上昇圧力が強まることから、中期的な見通しはやや弱気。

現在の金の実質金利で説明可能な価格(金基準価格)は1,587ドル。そこからの乖離(リスク・プレミアム)は189ドルと昨日から▲2ドル低下。

なお、金価格を実質金利要因と為替要因に分類した場合、為替要因はリスク・プレミアムのところに内包されると整理している(為替は名目金利の影響も受けるので、純粋に為替の要因のみ切り出すのが困難であることから)。

※毎日回帰分析をアップデートし、リスク・プレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない場合があります。

<<銀>>

銀価格は金価格との比較感で売買されるが、金銀レシオは現在、67.6倍。過去1年を基準にすると80倍、5年でも80倍、2000年以降では65倍程度が妥当。

バイデン政権のグリーン政策期待で上昇してきたが、一連の対策が発表される中で材料一巡、金銀レシオは70倍程度に落ち着きつきつつある。

今後、さらに金銀レシオが低下するには、実際に太陽光パネルの設置が米国で進捗するなどの新規材料が必要になるのでは中。

なお、銀価格=金価格÷金銀レシオ であり、金銀レシオが低下することで金価格が変動した時の弾性値が上昇(ボラティリティは上昇し、足元金の2倍に上昇)する点は留意。

(例)金が2,000ドル、銀が20ドルのとき 金銀レシオが100倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1セント変化 金の変化率は±0.05%、銀は±0.05%

 金銀レシオが1倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1ドル変化 金の上昇率は±0.05%、銀は±5%

<<PGM>>

プラチナ価格は銀価格との連動性が高い。これは供給過剰で投機的な取引の影響が強まっていることによる。これまで、各国の自動車セクターの回復期待と、主要生産国である南アフリカの供給不安が価格を押し上げている。

ただし米長期金利上昇に伴う、ベンチマークの金価格の調整や、南アフリカのコロナの影響緩和期待で下押し圧力が強まることになるだろう。上値も重い。

仮に脱炭素が進んで水素が用いられ、燃料電池が進むのであればプラチナの構造的な需要が増加するシナリオは、需要・価格面でのポジティブリスクシナリオ。投機の比率が高い商品であるため、こうした観測記事だけでも材料に価格が反応しやすい。

パラジウムは景気正常化期待による金価格調整→経済正常化による需要増加、ロシア生産者からの供給減少観測を受けて高値を維持すると考える。

コロナショック後、パラジウム価格は基本的にETF価格との連動性が高まった(自動車向けの需要減少で余剰が発生したため)が、足下、ETFの残高の変動以上に価格が上昇している状況。

自動車生産が回復すれば再びパラジウム供給不足が発生し、ETFの残高減少と価格上昇が同時に発生する可能性が高いとみている。

3月の米自動車販売は年率1,775万台(前月1,567万台、市場予想1,638万台)と急回復した。

中国の3月の自動車販売は中国自動車工業協会の集計で前年比+76.5%の252万5,000台(前月+371%の146万台、1月+30%の250万台、12月+6.4%の283万台、11月+12.7%の276万9,666台、10月+12.6%の257万3,000台、9月+13.0%の256万5,201台)と高い水準を維持している。

ただし2019年比では±0.0%であり、横ばい。

【見通しの固有リスク】

・個人投資家のETFを通じた買いが、経済合理性を無視した水準まで貴金属価格を押し上げるリスク。

・主要生産国の南アフリカの電力供給不安や、コロナウイルスの影響拡大で供給が滞る場合(PGMの価格上昇要因)。

・コロナからの回復は各国まだらであり、先行する米国が金融正常化に動いた場合、新興国から資金が流出して信用リスクが高まる場合(安全資産価格の上昇要因)。

・米中の対立激化。バイデン政権は対中強硬姿勢を明確にしており、対立がさらに激化する場合(安全資産価格の上昇要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加(実際に破綻が意識されるのは2030年以降か)。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

環境重視型社会へのシフトはパラジウム需要を増加させるが、さらに加速して「水素社会」まで到達すると、燃料電池車需要が増加して構造的にプラチナ価格の上昇要因となる可能性。

・コロナウイルスの感染拡大による、最大生産国の1つである南アフリカの鉱山稼働が電力供給問題もあって不安定であることによる供給懸念。

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが275,985枚(前週比 +6,472枚)、ショートが94,487枚(+5,848枚)、ネットロングは181,498枚(+624枚)、銀が75,167枚(+5,738枚)、ショートが33,486枚(+481枚)、ネットロングは41,681枚(+5,257枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが37,215枚(前週比 ▲675枚)ショートが11,530枚(▲1,728枚)、ネットロングは25,685枚(+1,053枚)

パラジウムが5,887枚(+414枚)、ショートが3,192枚(+572枚)ネットロングは2,695枚(▲158枚)

---≪農産品≫---

【穀物価格見通し】

トウモロコシ・大豆は米需給報告・作付け意向面積の結果を受けた需給タイト化観測を背景に、高値圏での推移になると考える。

しかしながら、米作付け意向面積の結果を懐疑的に見る向きも多いこと、ラニーニャ現象の影響緩和、ラニーニャ現象への移行の可能性が高まっていること、総じてドルに上昇圧力が掛りやすいことから上値も重いと考える。

Locust WatchではFAOの予想通り、降雨がなかったため群生相の発生は極めて抑制されている。当初懸念されていた食害発生のリスクは低下している。
http://www.fao.org/ag/locusts/common/ecg/75/en/210423update.jpg
http://www.fao.org/ag/locusts/common/ecg/75/en/210413DLforecast.jpg

【見通しの固有リスク】

・エルニーニョ現象発生による生産条件改善を受けた増産観測(価格の下落要因)。

・環境重視型社会へのシフトにより、燃料向け穀物需要が増加する場合(価格の上昇要因)。現在はそれほどの数量でもない、バイオディーゼル向けの大豆需要増加など。

・新型コロナウイルスの影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

【米農務省需給報告データ】

・米作付け意向面積トウモロコシ 9,114万エーカー(市場予想9,313万エーカー、前年9,699万エーカー)大豆 8,760万エーカー(9,010万エーカー、8,351万エーカー)小麦 4,636万エーカー(4,495万エーカー、4,466万エーカー)綿花 1,204万エーカー(1,215万エーカー、1,370万エーカー)

・米穀物最終作付け面積トウモロコシ 9,201万エーカー(市場予想 9,514万エーカー)大豆 8,383万エーカー(8,483万エーカー)小麦 4,425万エーカー(4,472万エーカー)

・4月米需給報告単収見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 172.0Bu/エーカー(NA、172.0)大豆 50.2Bu/エーカー(NA、50.2)小麦 49.7Bu/エーカー(NA、49.7)

・4月米需給報告生産見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 141億8,200万Bu(NA、141億8,200万Bu)大豆 41億3,500万Bu(NA、41億3,500万Bu)小麦 18億2,600万Bu(NA、18億2,600万Bu)

・4月米需給報告輸出見通し(実績/前月)トウモロコシ 26億7,500万Bu(26億Bu、25億5,000万Bu)大豆 22億8,000万Bu(22億5,000万Bu、22億3,000万Bu)小麦 9億8,500万Bu(9億8,500万Bu)

・4月米需給報告在庫見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 13億5,200万Bu(13億7,882万Bu、15億200万Bu)大豆 1億2,000万Bu(1億1,789万Bu、1億2,000万Bu)小麦 8億5,200万Bu(8億4,611万Bu、8億3,600万Bu)

・3月末四半期在庫(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 77億100万Bu(77億7,024万Bu、112億9,400万Bu)大豆 15億6,400万Bu(15億2,829万Bu、29億4,700万Bu)小麦 13億1,400万Bu(12億7,116万Bu、17億300万Bu)

・4月CONABブラジル作付け面積(市場予想/前月)トウモロコシ 1,972万ha(1,966万ha、1,950万ha)大豆 3,847万ha(3,863万ha、3,846万ha)

・4月CONABブラジル生産量(市場予想/前月)トウモロコシ 1億879万トン(1億785万トン、1億807万トン) 単収 5,526kg/ha(5,477Kg/ha、5,543kg/ha)大豆 1億3,554万トン(1億3,525万トン、1億3,513万トン) 単収 3,523kg/ha(3,501Kg/ha、3,513kg/ha)

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが607,454枚(前週比 ▲12,392枚)、ショートが84,709枚(+8,149枚)ネットロングは522,745枚(▲20,541枚)

大豆はロングが290,953枚(+20,876枚)、ショートが47,791枚(+1,732枚)ネットロングは243,162枚(+19,144枚)

小麦はロングが130,922枚(+9,776枚)、ショートが109,897枚(▲5,733枚)ネットロングは21,025枚(+15,509枚)

◆本日のMRA's Eye


「2020年度の企業決算~商品価格下落の影響と先行きの見通しに注目」

今月の後半から企業の決算発表が本格化する。この1年、商品価格は大きく変動したため業績への影響が無視できない。

日本の場合、原材料を調達して部品を製造し、それを仕入れて加工して完成品を作る、という一連の流れの中でどの業種がどのように商品価格リスクを負っているかを判断することが難しい。

また、商品毎に国際商品価格が製品価格に反映されるタイミングが異なるため、一般的な条件で価格反映への時間差を考慮し、各業種への市場変動に因る業績リスクを測定してみた。

この場合、「売上高対比でどれだけ商品調達コストが増加/減少」しているかを測定する。この場合、エネルギー、化学製品、鉄鋼製品、非鉄金属、4項目の合計の5項目を比較対象とし、売上高に対する比率を比較した。

企業業績を見る上では、1.前年度、2.前四半期と比較するのが一般的である。ただ配当可能利益などを考えると、重要なのは年度の業績変化だろう。

1.の前年度と比較した場合、3月末決算を前提とすると、総合で最もコストが上昇するのが、石油科学系基礎製品製造業と見られる。これは2021年度の原料価格である原油の価格が、2020年度と比較した場合に下落していることによる。

しかしこの業種はそもそも化石原料の調達比率が高く、かつ、販売価格への転嫁されるケースが多いため、販売価格も低下し、営業利益へのプラスの影響は相殺されると予想される。

内生部門を合計すると、全体で調達コストに対する影響は売上高対比で▲3.0%であり、多くの企業業績にプラスに作用することが予想される。

しかしこれはあくまで特殊な事情(コロナ)によって市場価格が低下したことに因るものであるため、価格が回復過程にある今後については同じ展開にはならないだろう。

例えば、前四半期(Q420)と比較すると多くの商品価格が上昇しているため、上記4項目を合計すると内生部門の合計で売上高に対するコストアップは+2.5%となり、多くの企業の調達コスト、販管費などの上昇圧力となる。売上高に対する費用の軌道は上昇基調にあるということだ。

また、業界ピラミッドの構造にも注目しておきたい所。例えばグラフは日本の基幹産業である自動車・同付属部品製造セクター全体の当期仕入高と円建て銅価格の推移であるが、両者の間には高い相関性がある。

自動車・部品製造セクターが購入している原材料は多岐に渡り銅に限らないが、金属セクターの指標価格でもあり両者の間の説明力が高くても不思議はない。

仮に銅相場が上昇局面にある中で、企業Aが調達コストを削減していた場合、その他の業種がそのコストダウンのリスクを負っている可能性もある。特に2020年度は商品相場が大きく変動したため、1.業績に対する影響、2.そのリスクに対してどのように対処したか、といった視点で企業決算を見てみる必要はあるだろう。

◆主要ニュース


・1-3月期中国工業セクター利益 前年比+137.3%の1兆8,254億元(1-2月期+179%の1兆1,140億元)

・2月米FHFA住宅価格指数 前月比+0.9%(前月+1.0%)

・2月米S&Pコアロジック住宅価格指数 前月比+1.17%(前月+1.25%)、前年比+11.94%(+11.12%)

・4月米コンファレンスボード消費者信頼感指数 121.7(前月改定 109.0)
 現況指数 139.6(110.1)、期待指数 109.8(108.3)
 6ヵ月以内自動車購入 14.0(12.7)、住宅 8.9(8.1)

・日銀当座預金残高の預金金利 ▲0.1%(前回 ▲0.1%)、10年債金利の誘導目標 ±0.0%(±0.0%)、ETF、REITの買い入れ方針は現状維持。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・DOE米在庫統計市場予想 原油 ▲213KB(前週+594KB)
 ガソリン+46KB(+85KB)
 ディスティレート▲932KB(▲1,073KB)
 稼働率 +0.24%(±0.00%)

・API石油統計 原油在庫+4.32MB、クッシング+0.74MB
 ガソリン▲1.29MB、ディスティレート▲2.42MB

・OPECプラス、段階的な減産縮小方針を維持。

・ボコ・ハラム、ナイジェリアの街を制圧。住民の妻を拉致。

・イラン核合意、当事国は米国とイランの交渉を加速させることで一致。

【メタル】
・Q121 Southern Copper
 銅鉱山生産(自社生産・第三者生産合計)
 前年比▲4.8%の239,090トン(前年251,275トン)

 亜鉛鉱山生産 ▲14.5%の16,466トン(19,263トン)
 精錬亜鉛生産▲35.7%の18,368トン(28,560トン)

 銀鉱山生産 ▲6.3%の4,946千オンス(5,278千オンス)
 精錬銀 +5.9%の3,349千オンス(3,161千オンス)

・Q121 Norsk Hydro ボーキサイト生産 前年比+9%の2,813千トン
(前期2,556千トン、前年2,585千トン)
 アルミナ生産 +1%の1,540千トン(1,410千トン、1,531千トン)
 プライマリアルミ生産 +2%の539千トン(532千トン、528千トン)

・Q121Vale
 ニッケル生産 前年比▲8.8%の48.5千トン(前年比▲1.4%の56.7千トン、前年53.2千トン)、2021年度生産目標 200千トン
 
 コバルト ▲40.5%の714トン(▲8.7%の1,141トン、1,202トン)

 銅 ▲19.0%の76.5千トン(+3.5%の90.3千トン、94.5千トン)、360千トン~380千トン

 鉄鉱石 +14.2%の68,045千トン(+7.9%の78,344千トン、59,605千トン)、315千トン~335千トン

 金 ▲31.1%の千オンス(▲9.1%の132千オンス、119千オンス)

 プラチナ ▲37.5%の30千オンス(▲31.1%の45千オンス、48千オンス)

 パラジウム ▲33.9%の39千オンス(▲32.1%の56千オンス、59千オンス)

 原料炭 ▲43.2%の558千トン(▲20.2%の825千トン、983千トン)

 燃料炭 ▲45.7%の532千トン(▲45.6%の1,051千トン、980千トン)

 2020年生産計画
 鉄鉱石 310百万トン~330百万トン(従来計画310百万トン~330百万トン)
 銅 36万トン~38万トン(36万トン~38万トン)
 ニッケル 18万トン~19万5,000トン(18万トン~19万5,000トン)

・Q121 MMG 銅カソード生産 前年比▲31%の12,490トン、銅生産(含有量ベース)▲12%の64,838トン
 亜鉛生産+29%の68,399トン、鉛生産+25%の12,426トン

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ +6.12%/ ▲2.84%
2.CBTエタノール ( エネルギー )/ +5.96%/ +62.60%
3.ICE粗糖 ( その他農産品 )/ +4.48%/ +15.82%
4.MDEパーム油 ( その他農産品 )/ +3.66%/ +15.65%
5.ビットコイン ( その他 )/ +3.62%/ +90.34%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
66.プラチナ ( 貴金属 )/ ▲1.25%/ +14.81%
65.CBT大豆 ( 穀物 )/ ▲1.23%/ +17.83%
64.ブラジル・ボベスパ ( 株式 )/ ▲1.00%/ +0.31%
63.CBT小麦 ( 穀物 )/ ▲0.78%/ +14.56%
62.CBT大豆ミール ( 穀物 )/ ▲0.77%/ ▲2.05%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :33,984.93(+3.36)
S&P500 :4,186.72(▲0.90)
日経平均株価 :28,991.89(▲134.34)
ドル円 :108.70(+0.62)
ユーロ円 :131.43(+0.80)
米10年債 :1.62(+0.06)
中国10年債利回り :3.20(+0.00)
日本10年債利回り :0.09(+0.00)
独10年債利回り :▲0.25(+0.00)
ビットコイン :55,192.61(+1929.75)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :22.28(▲0.66)
エネルギー :22.88(▲0.2)
ベースメタル :18.92(▲1.44)
貴金属 :19.89(▲1.28)
穀物 :27.09(▲1.68)
その他農畜産品 :22.05(+0.06)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :32.05(▲0.15)
Brent :26.90(+0.21)
米天然ガス :26.77(+1.4)
米ガソリン :24.89(+1.14)
ICEガスオイル :19.84(▲0.46)
LME銅 :17.51(▲0.19)
LMEアルミニウム :13.52(▲1.83)
金 :25.45(▲0.75)
プラチナ :25.35(▲0.39)
トウモロコシ :29.77(▲1.22)
大豆 :25.45(▲0.75)

【エネルギー】
WTI :62.94(+1.03)
Brent :66.42(+0.77)
Oman :62.91(+0.16)
米ガソリン :202.04(+4.18)
米灯油 :190.57(+2.72)
ICEガスオイル :525.50(+2.75)
米天然ガス :2.87(+0.08)
英天然ガス :54.80(+3.16)

【貴金属】
金 :1776.60(▲4.78)
銀 :26.27(+0.04)
プラチナ :1230.85(▲15.57)
パラジウム :2945.02(+18.01)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :9,894(+164:4.5B)
亜鉛 :2,906(+28:16.5C)
鉛 :2,074(▲3:22.5C)
アルミニウム :2,394(+1:5C)
ニッケル :16,952(+457:38C)
錫 :27,059(+57:1299B)
コバルト :46,450(±0.0)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :9878.50(+100.50)
亜鉛 :2928.50(+1.50)
鉛 :2093.50(+15.50)
アルミニウム :2399.00(▲5.00)
ニッケル :16970.00(+290.00)
錫 :27185.00(+35.00)
バルチック海運指数 :2,808.00(+20.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR中国、1営業日前) :186.19(+4.61)
SGX鉄鉱石 :180.17(+0.63)
NYMEX鉄鉱石 :178.99(+1.41)
NYMEX豪州原料炭スワップ先物 :110.08(+0.33)
大連原料炭先物 :257.28(+1.48)
上海鉄筋直近限月 :5,366(+30)
上海鉄筋中心限月 :5,396(+14)
米鉄スクラップ :606(+3.00)

【農産物】
大豆 :1549.75(▲19.25)
シカゴ大豆ミール :425.50(▲3.30)
シカゴ大豆油 :66.45(+1.24)
マレーシア パーム油 :4500.00(+159.00)
シカゴ とうもろこし :695.50(+15.00)
シカゴ小麦 :733.75(▲5.75)
シンガポールゴム :216.00(+1.20)
上海ゴム :13480.00(▲65.00)
砂糖 :17.94(+0.77)
アラビカ :144.35(+2.60)
ロブスタ :1433.00(+34.00)
綿花 :90.07(+2.21)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :109.80(+0.55)
シカゴ生牛 :118.38(▲0.13)
シカゴ飼育牛 :134.20(+1.45)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。