CONTENTSコンテンツ

ドル安と利益確定売りで高安まちまち
  • MRA商品市場レポート

2021年3月11日 第1921号 商品市況概況

◆昨日の商品市場(全体)の総括


「ドル安と利益確定売りで高安まちまち」

【昨日の市場動向総括】

昨日の商品市場は、ドル安が進行したため総じて堅調な推移となったが、昨年から先行して顕著に上昇してきた非鉄金属と穀物に、3月末を意識した利益確定の売り圧力が強まり、水準を切り下げた。

需給ファンダメンタルズはタイトな商品が多いが、さらに「期待」需給(いわゆる仮需)を受けて価格が先行して上昇している側面も否めず、ファイナンシャルな要因に加え、ファンドの決算月というカレンダー的な要素も価格に影響を与えやすい。

なお、昨日の注目材料の1つでもある米国10年債の入札結果は「やや不調」で、入札後に長期債利回りは小幅に上昇している。これまでの長期金利上昇はやや過剰に市場が反応していた可能性は高い。

恐らく今後は景気回復(経済活動の回復)に歩調を合わせる形で緩やかな上昇になる、というのがメインシナリオであり、その間、主要商品価格の下押し圧力は緩やかに高まっていくことになろう。

※レポートで紹介するほどではない、軽いニュースに関するコメントはFBで更新していますので、不定期ですがご興味のある方はフォローをお願いします。https://www.facebook.com/Market.Risk.Advisory/

【本日の見通し】

本日は予定されている材料では、米週間新規失業保険申請件数(市場予想72.5万件、前週74.5万件)が、これまで商品市場に与える影響が大きかったが、今のところは景気は回復基調にあるとの判断であり、大きな乖離がなければ材料視はされないと考える。

それ以上に注目はECB会合と、ラガルド総裁の会見。昨日の報道ではECBは足下のインフレを許容する方向性であり、実質金利の低下圧力を通じてドル高が進行、ドル建て資産価格の下押し要因隣る可能性がある。

ただし現時点では、ドル高の急速な進行に対する調整圧力の方が強いため、こちらもやはり積極的に材料にならない可能性が高いと考えている。

【セクター別動向と見通し】

◆エネルギー

原油価格は乱高下した結果、前日比プラスで引けた。市場参加者のリスクテイク意欲が回復する中でドル安が進行したことが価格を押し上げた。しかし、米石油統計で原油在庫が市場予想を上回る増加となったことで下落、その後、米国債入札結果を受けたドルの下げ止まりで上げ渋って引けた。

予想通りではあるが、足下、ドル指数動向の価格に対する影響が大きいことをうかがわせる値動きだった。

昨日発表の米石油統計は原油とガソリンが弱気、ディスティレートが強気な内容だった。大寒波の影響からの脱却で生産が回復したが、製油所の稼働回復が遅れていることが背景。

原油は生産が増加(+0.9MBD)、輸入は減少(▲0.6MBD)、稼働率は回復(+13.0%)、在庫は+13.8MBの大幅な増加となった。在庫日数は▲7.8日の39.3日と、過去5年レンジを上抜けた状態が続く。

製油所の稼働率は回復しているが寒波の影響は大きく、石油製品の供給に障害が出ている状態が続いている。

原油価格に影響が大きいクッシング在庫は+526KB(+485KB)と増加。製油所の稼働率が十分に回復していないことが影響した模様。在庫スペースの稼働率は61.0%(61.0%)と先週から変わらず。

石油製品在庫は、ガソリン・ディスティレート共に大幅に減少。ガソリンは▲11.9MB(前週▲13.6MB)、ディスティレートは▲2.3MB(▲9.7MB)となった。製油所の稼働が戻らないため、当面、製品需給はタイトな状態が続く見込み。

化学製品の生産にも大きな影響がでており、下流業種の製品調達のリスクも高まっている。結果的に経済活動の障害となり、景気の下押し要因となるリスクが高まっている。

石油製品はコロナショック後以降、出荷動向に注目しているが、米ガソリン出荷は前年比▲9.4%の7.12MBD(▲11.2%の7.91MB)と先週からは回復も、前年比での出荷低迷は続く。コロナの影響がなかった2019年と比較すると▲8.5%(▲10.9%)と依然として低水準。

ディスティレートは前年比+6.9%の4.17MBD(+3.8%の4.12MBD、2019年比+2.8%、▲1.5%)と回復が顕著になってきた。気温低下による灯油需要の増加や、経済活動自体の回復が影響したとみられる。

製品全体では▲7.0%の19.20MBD(▲4.2%の19.57MBD、2019前年比▲7.0%(▲4.4%))と先週から減速。ジェット燃料(ケロシン)と重油の需要が減速したことが影響した。米景気は回復し、製品出荷も回復しつつあるが、悪天候の影響などもあってまだ足取りはおぼつかない。

製品輸出は▲22.8%の4.34MBD(▲19.0%の4.50MBD、2019年比▲14.2%(▲10.9%))と減速、出荷+輸出でも▲10.4%の23.54MBD(▲7.3%の24.07MBD、2019年比▲9.3%(▲5.7%))と大寒波の影響が継続している。

今後、気温の上昇と共に製油所の稼働も回復するが、恒久的に設備が毀損してしまったとの情報もあり、完全回復には時間がかかろう。一方、ワクチン接種拡大によって個人ベースでの需要も回復が期待されるため、春先にかけて米国内の製品需給がタイト化し、製品価格が上昇(原油価格は処理が進まないため逆に下落)する可能性が高まっている。

石炭価格(豪州炭)は上昇。バルチック海運指数が上昇しており、経済活動の回復を受けて中国の調達意欲が旺盛であることがうかがわれたため。

極東のスポット天然ガス価格の指標であるJKMは小幅に下落、欧州天然ガスは気温低下予報で大幅に上昇、排出権価格の上昇を受けたアービトラージで上昇、北米天然ガスは気温上昇観測で小幅安。

本日も、為替動向が価格を左右する見込み。株価が上昇し、ややドル高の調整機運が強まっていることから、堅調な推移を予想。

天然ガスは欧米の気温低下の影響で堅調、石炭価格はバルチック海運指数に見られる中国の調達意欲が依然、旺盛とみられることから堅調な推移を予想。

ただしいずれも春がそこまで来ていることもあり、季節的な下押し圧力も強いため上昇余地は限定。

◆非鉄金属

LME非鉄金属は総じて軟調な推移となった。ドル安基調ではあったが、3月末の四半期決算を睨んだ利益確定の動きが強まっているとみられ、総じて軟調。

ベンチマークである銅は、LME指定倉庫在庫の減少はあったが、Antofagastaのストライキの可能性があることが価格を押し上げた。

本日は供給懸念となる材料が出ている銅は堅調、その他の商品に関してもドル高の調整機運が強まっているため、買い戻しが入ると考える。

しかし、3月末の四半期決算を意識した利益確定の動きも強まっており、上昇余地も限定。

◆鉄鋼・鉄鋼原料

中国向け海上輸送鉄鉱石スワップは小幅に下落、大連先物は上昇、豪州原料炭スワップ先物は下落、大連原料炭先物は上昇、上海鉄鋼製品先物価は直近限月・中心限月とも下落した。

全人代が開催される中、唐山市の大気汚染の軽減を目的としてミルの稼働が低下していることが材料となった。

本日は固有の材料に乏しい中、方向感が出難く、現状水準で推移すると予想。

◆貴金属

金価格は上昇。ドル高基調にあったがペースが速く、その調整でドル安となったことや長期金利の低下で実質金利が低下したことが材料となった。ただし、急速な金利上昇とドル高進行に対する警戒からの反動、という色彩が強い印象。

米国債の入札はやや不調で長期金利は入札後に上昇したが、影響は軽微だった。

銀も金価格の上昇を受けた買い戻しで上昇、プラチナは投機の買いで大幅に上昇、パラジウムはダウが最高値を更新し、ある意味旧来型ビジネスの中核であるガソリン車販売が回復するとの期待が価格を押し上げたようだ。

本日は目立った材料がない中で、ドル高基調に調整ムードが広がっていることから、買い戻しが入ると考える。しかし引き続き、景気への期待から長期金利が上昇する可能性は高く、上値も重いと考える。

◆穀物

シカゴ穀物市場は広く利益確定売りの動きが強まり、軟調な推移となった。これは非鉄金属など、これまで上昇を続けてきたセクターに3月末の決算を意識した利益確定の圧力が強まっていることと同じ構図とみられる。

本日はドル高基調に調整機運が高まり、ドル安に転じていることから買い戻しが入るとみるが、3月末を意識した売り圧力も旺盛と見られ、現状水準でのもみ合いになるのではないか。

※中長期見通しは個別セクターのコラムをご参照ください。

市場データ・グラフ類の添付ファイルのサンプルはこちら。

【昨日のトピックス】

昨日発表された中国のCPIとPPIは市場予想を上回った。景気の先行指標の1つであるPPIは特に上昇し、前年比+1.7%(市場予想+1.5%、前月+0.3%)となった。

一方で消費者物価指数は▲0.2%(▲0.3%、▲0.3%)と市場予想は上回ったものの低迷し、国内消費がまだ加熱していないことをうかがわせる内容だった。

しかし中国の生産者間の物価が上昇しているということは、中国からの輸出製品価格が上昇していることを意味し、中国からの輸入品価格は上昇することになる。

生産者物価指数の内訳を見ると、最も顕著に上昇しているのが鉱産であり前年比+6.8%(前月+1.0%)となっており鉱物資源価格の上昇圧力が強まっていることを示唆している。

次いで上昇が顕著だったのが原材料(▲0.8%→+2.9%)、製造品(+1.0%→+1.7%)であった。

同時に発表された購買価格指数も+0.9%→+2.4%、特に鉄金属(+8.7%→+11.6%)、非鉄金属(+8.3%→+10.3%)と金属セクターの伸びが顕著だ。やはり製造業セクターのコストアップとなる可能性は高い。

問題はこれを最終価格に転嫁できるかであるが、その他の国と比較しても回復していると考えられる中国ですら、消費者物価指数は上述の通り前年比マイナスであり、足下の価格上昇が1.企業業績を圧迫する、2.最終消費を減速させる、リスクは無視できない。

【マクロ見通しのリスクシナリオ】

・米大統領選挙前後の国内融和にバイデン次期大統領が失敗する場合。

・米財政出動が加速、景気回復期待を受けた価格上昇が顕著となる場合。

この場合、長期金利上昇でドル高が進行しやすく価格の下落を意識しなければならないが、足下、どの中央銀行・政府も景気過熱は意識しているものの沈静化させるタイミングと判断していないため、しばらくは顕著な価格上昇リスクとなる見込み。

常識的に考えると今年の年末頃からテーパリング開始の見通しとなるが、来年の米中間選挙を控えて米政権がテーパリング実施にクギを刺す可能性がある。この場合、2022年にかけて、さらにリスク資産価格が上昇する可能性も。

・コロナウイルスの感染再拡大(または新たなウイルスの発生)によるロックダウンが景気循環系商品の需要を減じる場合。逆に想定以上にワクチン・治療薬の開発が速やかに行われた場合は需要の増加要因に。

・環境重視型社会への急激な転換による、経済活動の鈍化リスク。成長ドライバーの1つとして期待される、中東・北アフリカ産油国が人口ボーナス期を活かせない(逆に鉱物産出国は高成長となる可能性も)。

・米中対立激化による、新冷戦構造が発現しブロック経済圏が発生して貿易活動が鈍化する場合(場合によると武力衝突も)。

「能動的に」軍事を行う方針に舵を切った中国習近平政権が、台湾統一を目指して侵略する可能性は低くなくなった。

・次の成長ドライバーとして期待されるインド経済が、期待通りの成長をできない場合(人種差別問題による国民の離反、市場開放・規制改革の遅れ、中国との対立など)。

2018年にすでに人口ボーナス期入りしているため、鉱物・エネルギーをはじめとする景気循環系商品需要の増加は2023~2024年頃。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速(これは人口動態を考えると、現実のリスクとなるのは2030年以降か)。

・米国の財政状況悪化、緩和規模拡大によるドル水準の低下リスク(ドル減価により、名目ドル建て資産価格の上昇要因に)。

◆昨日の商品市場(個別)の総括


---≪エネルギー≫---

【原油価格見通し】

原油価格は高値圏を維持すると予想する。

経済活動は緩やかながら回復している中、OPECプラスによる減産解除が行われるとみられたがこれが先送りされた上、1月にサプライズをもたらしたサウジアラビアの自主減産(▲100万バレル)も継続される方針が示されたこと、米雇用統計の改善による、最大消費国の需要回復観測によって、需給逼迫観測が強まるため。

また、ワクチン接種が進みヒトの移動制限が早期に解除された場合、供給が間に合わずに価格が急騰するリスクは無視できなくなってきた。

ただし、同時にインフレ期待も高まっていることや、それに伴う長期金利上昇、株安がドル高を誘発する可能性があること、融緩和は継続するものの、「強いドルを望む」発言が米高官から出始めていることから、ドル高進行がファイナンシャルな面で価格を下押しするため、上値も重いと考える。

原油価格の上昇要因となっていた米シェールオイルの生産減少が回復する見通しであることも、上昇余地を制限しよう。

現在の経済環境で70ドルを超える原油価格が、長期にわたって肯定されるとは考え難い。

なお、常識的に考えれば経済活動の再開で2022年頃からテーパリングが始まり、過去の例を考えると長期金利の上昇などを通じてリスク資産価格には一時的に調整圧力が強まる可能性は高い。そのため、2022年には一旦調整局面があり、その後、持続可能な上昇になると予想する。

【見通しの固有リスク】

・ワクチン接種の進捗が想定よりも早まり、人の移動制限が解除され需要増加に供給が間に合わず、価格が急騰するリスク(供給の時間差リスク)。

・米国経済が正常化する中で急速なドル高が進行し、投機的な売り圧力が高まる場合。

・OPECプラスの減産と、非OPECプラス諸国の自主減産継続で需給がタイト化する場合(価格上昇要因)。

逆に価格低迷で歳入確保の増産が加速する場合、またはOPECプラスのプログラムの対象となっていない中東諸国の増産(価格下落要因)。

景気回復時の増産タイミングの見誤りによる、供給不足(価格上昇要因)。

・脱炭素の進捗、生活様式の変化による構造的な需要減少が加速した場合

1.中東産油国の財政悪化によって情勢不安が顕在化、供給途絶リスクが高まる

2.中東以外の産油国の生産者の破綻

3.上流投資部門投資が減速し、インドなどの新興国需要顕在化時に供給が間に合わない場合

4.価格面、数量面で予算を確保できない産油国が、OSPを大幅に引き上げる場合(第3次オイルショック)

などが価格上昇要因に。

・バイデン政権がシェールオイルのフラッキングを制限/禁止する場合、供給減少で価格上昇要因に。

また、イランに対する制裁が緩和される場合、原油価格の下落要因に。ただし、米国内の反イラン感情の高まりで、直ちに制裁が緩和される可能性は低い。

・イランの反米感情が高まり、中東の不安定さが増す場合(価格上昇要因)。

イランでは6月に大統領選挙が予定されており、国内保守派に配慮してロウハニ大統領はタカ派的な発言をする可能性があるが、制裁解除に向けた融和的なコメントも欧米向けに発信せざるを得ず、ロウハニ大統領の発言で価格は左右される見込み。

・米国の橋渡しでイランとサウジを初めとするスンニ派諸国が和解し、巨大なイスラム教圏が誕生した場合(地域安定で原油生産増加、短期的には価格の下落要因に。ただし相当発生の可能性が低いリスクシナリオ)。

・ワクチン・治療薬が想定以上に早く準備でき、移動制限が急速に解除される場合(価格上昇要因)。

【石炭価格見通し】

石炭価格は高値を維持するが、春先に向けて水準を切り下げる展開になると考える。

高値維持の背景は、中国政府は国内炭の供給能力増強にシフトしているが、冬場で炭鉱が稼働し難いこと、港湾在庫の水準の低さに反映されるように、供給が十分ではないことが材料。

ただし、豪州との対立や、環境規制強化の中で石炭需要は減速するとみられること、非常に矛盾するが国内生産を増加させていること、春先に掛けては季節的に需要が減少することから徐々に海上輸送炭価格の上値は重くなると予想される。

12月の中国の石炭輸入は気温低下の影響で前月から大幅に増加。前年水準の14倍、前月から3倍強となる3,907万5,000トン(前月1,176万トン)と顕著に増加した。

中国は国内の石炭産業の強化と政治的に対立する豪州からの輸入制限で、国内生産を増加させる方向性に舵を切っているが、足下の気温急低下を受けてそうも言っていられなくなったようだ。

【見通しの固有リスク】

・世界的な環境重視型世界へのシフトを受けた、石炭上流部門への投資規制強化による、供給減速懸念。短期的には価格の上昇要因。

・中国と豪州の対立、中国国内の生産能力増強に伴う、海上輸送炭需要の減少。

・北半球の夏場の猛暑(/冷夏)・冬場の厳冬(暖冬)。

・エルニーニョ現象発生が予想される夏場にかけて、北半球が猛暑となるリスク(気象庁の分析では冷夏になりやすい。日本は西日本が猛暑になる可能性)

【天然ガス・LNG】

天然ガス価格は冬場の終了が近づいていることから下落すると予想する。しかし、在庫が十分ではないため底堅い推移になると予想する。

欧州も気温低下と、昨夏以降の在庫減少で域内需給がタイト化、引き続き在庫水準は低いことから、高止まりと考える。しかし春先に掛けては季節的な需要の減少で価格は軟調になると予想する。

長期契約のLNGに関しては、原油リンクとなるため上昇見通しだが、価格反映までに3ヵ月程度の時間差があるため(消費者への影響はさらに3ヵ月後)、現時点ではまだ上昇していないと考えられる。次の懸念は夏のピーク時の電力・ガス価格への影響だろう。

【見通しの固有リスク】

・最大供給国であるロシアの増産。

・産油国の減産継続による随伴ガス供給の減少懸念。

・北半球の夏場の猛暑(/冷夏)・冬場の厳冬(暖冬)。

・エルニーニョ現象発生が予想される夏場にかけて、北半球が猛暑となるリスク(気象庁の分析では冷夏になりやすい。日本は西日本が猛暑になる可能性)

【投機筋のポジション動向】・WTIは投機の買いが増加、ショートも増加したがネット買越し幅は拡大。Brentは高値圏にあることからショートが増加し、ネット買越し幅は縮小している。

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

WTIはロングが688,229枚(前週比 +5,348枚)ショートが169,210枚(▲1,831枚)ネットロングは519,019枚(+7,179枚)

Brentはロングが408,886枚(前週比▲5,352枚)ショートが63,911枚(▲1,543枚)ネットロングは344,975枚(▲3,809枚)

---≪LME非鉄金属≫---

【非鉄金属価格見通し】

非鉄金属価格は短期的には調整圧力が強まる展開になると予想する。かねてから指摘してきた景気の正常化に伴う長期金利の上昇が顕在化しており、それに伴うドル高進行が、ファイナンシャルな要因で上げが加速してきた非鉄金属セクターの下押し要因となるため。

ただし、各国の財政出動並びに金融緩和スタンスは継続される見込みであり、中国のみならず、米民主党政権は1.9兆ドルの経済対策に加え、4年で2兆ドル規模の経済対策(クリーン・インフラ投資)を検討、中国も7月の共産党結党100周年記念までは少なくとも景気刺激を続けると見られる。

これらの需要は景気に関係なく発生する需要であるため、需要の見通しは底堅く、価格の調整があっても下値余地は限定される可能性が高い。

また、中期的には調整圧力が強まる展開になるとの予想は、現時点では変更する必要はないと考えている。中国政府が国内バブルを警戒する姿勢を強めていること、米経済統計回復に伴うドル高進行、早ければ2021年末頃から始まる可能性がある、米テーパリング開始の可能性、生産国の生産が回復する可能性が高いことが材料。

なお、現在の価格上昇は実際に中国の需要の増加による需給タイト化によるものであり、環境規制強化が牽引する価格上昇ではない。しかし、一時の過熱感はややトーンダウンしている。

2月の中国製造業PMIは50.6(前月51.3)と小幅に減速。生産や輸出向けの受注が減速(50.2→48.8)、新規受注も全体で51.5(52.3)と減速している。恐らく国内向けの新規受注も小幅に減速したとみられる。鉄鋼業PMIは輸出向けの受注が回復したが、工業製品全体ではやや足踏みしているようだ。

ただ、非鉄金属価格に対する説明力が高い新規受注在庫レシオは、完成品が1.063→1.073、原材料が1.067→1.080といずれも小幅に上昇しており、先月までの需給緩和圧力が弱まった、と言えるだろう。

しかし、同レシオと比較した場合の非鉄金属価格の上昇幅は顕著であり、やや上げすぎの感は否めない。

このほか、環境重視型社会への急速なシフト観測も、投機買いを加速させている感は否めない。

米国・中国・インドがどのような動きをするかに環境政策は左右されるが、ここまでの各国の動きを見ていると当面は環境向けに使用される金属の需要増加は「今後10年・20年の大きなテーマ」となる可能性が高いと言える。

足下は期待選好で、総じて中長期的には物色されやすい地合が続くとみる。

具体例を挙げると、軽量化目的のアルミ、EV向けのニッケル、銅(通常25キロ/台の銅が使われるが、EVは80キロ/台)、蓄電池としての鉛、コバルト、リチウムなどが挙げられる。

2020年の中国の新エネルギー車の販売は前年比+7.5%の137万台(前年124万台)となった。全体の自動車販売が2,523万台なのでシェアは5.4%(4.9%)と上昇している。それでも電気自動車が非鉄金属市場の重要なテーマになるには、あと数年は要するだろう。

【見通しの固有リスク/個別金属の特殊要因】

・米国経済が正常化する中でドル高が進行し、投機買いが膨らんでいる非鉄金属市場で投機の手仕舞い売り圧力が高まる場合(下落リスク)。

・米中間選挙に向けて、米民主党が追加でインフラ投資を行う場合(上昇リスク)。

・主に銅山を中心とする労使交渉長期化による供給減少が、2021年も継続する場合(上昇リスク。

コロナの影響もあって、2020年12月1日時点の鉱山生産への影響は全体で184万1,000トン、コロナの影響によるものは112万3,000トン。

精錬品生産で影響を受ける規模が、全体で141万6,000トン、コロナによるものが62万8,000トン。

・中国の環境規制強化やコロナの影響再発に伴うスクラップの調達難による、新塊需要の増加。

・上流部門投資不足並びに鉱石の品位低下による、鉱山供給の制限。

・環境問題や人権問題(コンフリクト・メタルの問題)を背景とする鉱山供給の減少。

また、環境に配慮したメタル使用の義務化などが欧州で進む場合などのコストアップ(グリーン・メタルの義務化によるコスト増加)。

【投機筋のポジション動向】・先週、投機筋は総じてロング・ショートとも手仕舞いしているが、ロングの積み幅が大きいことからより、ロングの解消圧力が強い。

投機筋の取引シェアを見ると亜鉛 41.2%(前週 44.2%)、アルミ 37.2%(37.6%)、ニッケル 30.8%(36.1%)、CME銅 35.3%(37.1%)、銅 23.9%(25.8%)、鉛 22.8%(24.1%)、錫 2.7%(2.8%)。

・LME投機筋買い越し金額 前週比▲12.0%の289億ドル(前週 329億ドル)・LME投機筋買い越し数量 前週比▲5.9%の6,160.0千トン(前週 6,548.7千トン)

---≪鉄鋼原料≫---

【鉄鋼原料価格見通し】

鉄鉱石価格は、中国の景気先行指標をみるに堅調な推移を続けると考える。中国の顕在需要が増加していることが背景。

今後も、中国政府のインフラ投資を柱とする経済対策が今年7月の中国共産党結党100周年記念まで続くと予想されること、全人代では財政赤字幅を拡大させる見通しであり、さらなる景気刺激が見込まれること、これに加えて米国も、バイデン大統領の公約である4年2兆ドルのクリーン・インフラ投資を行う見通しであること、中国国内の鉄鋼原料在庫日数の水準が低いことから(鉄鋼製品在庫の水準は増加)在庫積み増し需要も継続する可能性が高く、基本は底堅い推移となる。

ただし、中国政府は景気刺激と同時に住宅セクターのバブルを懸念し始めており、住宅取得規制の動きも見せている。しかし、同時に自動車取得を促す政策も発表(ナンバープレート取得条件緩和、新エネルギー車購入に補助金、自動車ローンの頭金引き下げ)しており、やや一貫性に欠ける。バブルは警戒しているが、直ちに規制を強めることはなさそうだ。

ただし、中国共産党は2021年から始まる新しい5ヵ年計画で鉄鋼生産量の削減の必要性を表明している。目先の景気刺激が終了し、景気の巡航速度への回復が確認されるタイミングで景気刺激と鉄鋼増産は回避される可能性が高く、年後半に掛けては価格は下落すると予想する。

2月の中国鉄鋼業PMIを見ると、総合指数は48.6(前月44.3)と大幅に回復した。生産指数が54.7(48.7)と改善したこと、輸出向け新規受注が61.4(55.2)と回復した影響が大きかった。なお、新規受注は全体では43.3(35.0)と50を下回っているため、国内向けの需要が減速している可能性が高いことを示唆している。

中国は国内の過剰な経済対策を鈍化させ、輸出主導の回復に徐々にシフトしていくと考えられる。在庫水準は原材料の水準が上昇しているが、完成品在庫の減少が確認されている。新規受注在庫レシオは完成品が大幅に上昇(0.72→1.14)、原材料も上昇(0.83→0.93)。

しばらくは海外向けの需要回復とそれに伴う在庫積み増しで、鉄鋼製品の在庫積み増し需要に牽引される形で鉄鋼セクターの動きは底堅く推移しよう。

ただし、規模的に国内需要よりも小さい外需の取り込みであるため、回復ペースは鈍化すると予想され、原料調達圧力も弱まることから価格の上昇ペースも鈍化することになると予想される。

中国の鉄鋼製品の輸入は通常、平均で110万トン程度なのだが、12月は137万5,000トン(前月185万トン)と減少傾向を持続し、過去5年レンジに戻った。12月の国内生産は季節性もあるが9,125万トン(前月8,766万トン、10月 9,220万トン、9月 9,256万トン)と回復した。

その一方、12月の鉄鋼製品輸出は485万トン(前月440万トン)と増加し、過去5年レンジの下限を回復した。このことは中国の鉄鋼製品の国内需要が減速し、顕在需要が減少を始めている可能性があることを示唆している。

弊社はこの鉄鋼製品の輸出入動向に注目しているが、輸出/輸入とも過去5年レンジに復帰の過程にあり、徐々に過剰な国内依存の需要環境から、輸出に牽引される形での鉄鋼業の操業状態(通常状態)に戻ると予想している。

なお、中国の鉄鋼製品需要は旺盛とみられるが在庫水準は前週比+132万9,000トンの2,175万8,000トン(過去5年平均 1,794万4,000トン)と、例年よりも在庫水準は高い。

これまで需給はタイト化しているとみられたが、中国政府が過度な住宅セクーの過熱を警戒しているせいか、やや緩和方向にシフトしている可能性がある。

実際、2月の中国の建設業PMIが閾値の50は上回っているものの、前月の60.0から54.7とコロナ禍で減速した昨年2月以来の低水準に減速している。

原料である鉄鉱石の12月の輸入は前年比▲4.5%の9,675万トン(前月+8.3%の9,815万トン)と高い水準を維持しているが減速、過去5年レンジに復帰した。このことは中国の国内需要が減速している可能性を示唆している。前年水準を下回ったことで、中国の国内需要は減速傾向にあると判断される。

鉄鉱石港湾在庫は前週比+50万トンの1億2,950万トン(過去5年平均1億3,153万6,000トン)、在庫日数は26.5日(過去5年平均 36.7日)と例年と比較して在庫日数の水準は低く、輸入需要は持続するものと思料。

原料炭は中国の生産活動回復が継続していること、国内の鉄鋼需要が公共投資で底堅いことから、同様に底堅い推移になると考える。しかし、中国政府は原料炭を含む石炭の国内生産を増加させる方針であることから、海上輸送原料炭価格の上値も重い。

中国の港湾在庫の水準は鉄鋼の最大生産省である河北省の主要港である、京唐港の港湾在庫・在庫日数とも過去5年平均を大きく上回っており、調達圧力は鈍化すると考えられる。

【見通しの固有リスク】

・鉄鉱石価格の上昇がレーショニング(価格上昇による需要減少)を引き起こす場合。

・世界的に広がる環境規制強化の流れで、鉄鉱石や原料炭などの生産に一定の影響が起きる場合。

・コロナウイルスの感染拡大長期化による、鉱山生産の減少リスク。

・中国とインドの国境紛争の激化で、インドが中国に対して鉄鉱石輸出を制限する可能性(中国のFOBインデックスは上昇、その他の地域の鉄鉱石価格は低下)。

---≪貴金属≫---

【貴金属価格見通し】

<<金>>

金は軟調な推移になると考える。長期金利上昇、景気回復期待でのドル高進行が米雇用統計を受けて加速していることから。

現在の金の実質金利で説明可能な価格(金基準価格)は1,570ドルに上昇。そこからの乖離(リスク・プレミアム)は153ドルと前日から▲5ドル低下。

なお、金価格を実質金利要因と為替要因に分類した場合、為替要因はリスク・プレミアムのところに内包されると整理している(為替は名目金利の影響も受けるので、純粋に為替の要因のみ切り出すのが困難であることから)。

※毎日回帰分析をアップデートし、リスク・プレミアム自体の水準を見直しているため、前日比の整合性が取れていない場合があります。

<<銀>>

銀価格は金価格との比較感で売買されるが、金銀レシオは現在、65.9倍。過去1年を基準にすると86倍、5年では80倍、2000年以降では65倍程度が妥当。

金は高値を維持する見通しだがバイデン大統領誕生により、太陽光発電向けに用いられる「バイデン銘柄」であることもあって、需要構造の変化が価格を下支え(金銀レシオは低下)するものと予想。

なお、銀価格=金価格÷金銀レシオ であり、金銀レシオが低下することで金価格が変動した時の弾性値が上昇(ボラティリティは上昇し、足元金の2倍に上昇)する点は留意。

(例)金が2,000ドル、銀が20ドルのとき 金銀レシオが100倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1セント変化 金の変化率は±0.05%、銀は±0.05%

 金銀レシオが1倍→金価格±1ドルの変化で銀価格は±1ドル変化 金の上昇率は±0.05%、銀は±5%

<<PGM>>

プラチナ価格は銀価格との連動性が高い。これは供給過剰で投機的な取引の影響が強まっていることによる。これまで、各国の自動車セクターの回復期待と、主要生産国である南アフリカの供給不安が強まっており、価格を押し上げてきた。

しかしそれ以上に貴金属セクターの「基準」となる金価格が長期金利上昇で調整しているため、しばらくは下押し圧力が強まることになると見る。

仮に脱炭素が進んで水素が用いられ、燃料電池が進むのであればプラチナの構造的な需要が増加するシナリオは、需要・価格面でのポジティブリスクシナリオ。投機の比率が高い商品であるため、こうした観測記事だけでも材料に価格が反応しやすい。

パラジウムは景気正常化期待による金価格調整→経済正常化による需要増加、から、一旦下落後、上昇に転じると予想される。

コロナショック後、パラジウム価格は基本的にETF価格との連動性が高まった(自動車向けの需要減少で余剰が発生したため)が、足下、ETFの残高の変動以上に価格が上昇している状況。

自動車生産が回復すれば再びパラジウム供給不足が発生し、ETFの残高減少と価格上昇が同時に発生する可能性が高いとみている。

2月の米自動車販売は年率1,567万台(前月1,606万台、市場予想1,663万台)と減速した。

中国の1月の自動車販売は中国自動車工業協会の集計で前年比+30%の250万台)前月+6.4%の283万台、11月+12.7%の276万9,666台、10月+12.6%の257万3,000台、9月+13.0%の256万5,201台)と前年比の伸びが加速している。

自動車販売は回復しているが、不要不急の消費であるため中国を除いては本格的な回復にはまだ時間がかかる見込み。

【見通しの固有リスク】

・個人投資家のETFを通じた買いが、経済合理性を無視した水準まで貴金属価格を押し上げるリスク。

・主要生産国の南アフリカの電力供給不安や、コロナウイルスの影響拡大で供給が滞る場合(PGMの価格上昇要因)。

・世界的な成長力の低下に伴い、各国の財政状況が悪化、地政学的リスクが顕在化する場合(中東・北アフリカのリスク顕在化の可能性は低くない)。リスク・プレミアム上昇を通じて貴金属価格の上昇要因に。

・米中の対立激化。米国は今回のウイルス問題で、中国の医療面、人工知能を含むIT面に脅威を感じた可能性は高く、対立が激化する場合(安全資産価格の上昇要因)。

・中国地方政府・中堅中小企業の財政状況悪化に伴う景気減速による安全資産需要の増加(実際に破綻が意識されるのは2030年以降か)。

・世界的な自動車販売の減速(米欧中)による、自動車向け排ガス触媒需要の減少(PGM)。

環境重視型社会へのシフトはパラジウム需要を増加させるが、さらに加速して「水素社会」まで到達すると、燃料電池車需要が増加して構造的にプラチナ価格の上昇要因となる可能性。

・コロナウイルスの感染拡大による、最大生産国の1つである南アフリカの鉱山稼働が電力供給問題もあって不安定であることによる供給懸念。

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは、金はロングが265,533枚(前週比 ▲18,548枚)、ショートが75,895枚(+7,547枚)、ネットロングは189,638枚(▲26,095枚)、銀が74,925枚(▲3,785枚)、ショートが35,309枚(+4,242枚)、ネットロングは39,616枚(▲8,027枚)

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

プラチナはロングが42,760枚(前週比 ▲4,143枚)ショートが12,227枚(+291枚)、ネットロングは30,533枚(▲4,434枚)

パラジウムが4,685枚(+399枚)、ショートが3,553枚(▲345枚)ネットロングは1,132枚(+744枚)

---≪農産品≫---

【穀物価格見通し】

穀物価格はトウモロコシ・大豆は中国の需要が想像以上に堅調であること、北米の降雪や気温低下の影響による供給懸念から、しばらく高値圏で推移すると考える。

しかし、米長期金利上昇によるドル高を受けて、投機的な視点で利益確定による売り圧力が強まると予想されるため、徐々に水準を切り下げる動きになると考える。

足下の価格上昇を受けて作付け面積の拡大が全ての穀物で見込まれており、価格の下押し要因となる。

しかし、寒波と降雪の影響で作付けに影響がでる可能性がある。冬場の降雪量が多かった場合、通常であれば春の土壌水分改善で播種が進み豊作に繋がると判断されるのだが、想定以上の雪解け水が発生した場合には逆に耕作が不可能になるため、価格の上昇リスクとなり得る。

また今穀物年度は小麦を含む穀物の輸出制限の動きが生産国で強まっている。いずれも国内供給を確保することが目的だ。

ロシアは12月に穀物価格の高騰を受けて輸出制限の動きを加速、1月からひまわりの種・菜種に輸出税を課すことを決定、2月からは小麦に輸出税を賦課、大麦、トウモロコシも対象とすることとなった。

ウクライナも国内飼料供給確保の観点から輸出枠に制限を設定、アルゼンチンはトウモロコシの輸出禁止を決定(後に撤回)するなど、国内供給への警戒が強まっている。

Locust Watchではエチオピア、ケニアで群生相が発生していたが、アラビア半島でも群生相を形成しつつ、北上している。

昨年末も大型のサイクロンがアラビア半島~北アフリカを通過、豪雨が観測されており、バッタの成育に良好な環境が提供されている可能性があり、このままだと今年も蝗害が起きる可能性は否定できない。
http://www.fao.org/ag/locusts/common/ecg/75/en/DL509map_pg1.jpg

【見通しの固有リスク】

・ラニーニャ現象の発生による穀物供給減少リスクの顕在化。害虫の発生、生産地の土壌破壊など(すでに一部顕在化)。

春から夏にかけて発生する可能性が高まっているエルニーニョ現象の影響による不作。

・環境重視型社会へのシフトにより、燃料向け穀物需要が増加する場合(価格の上昇要因)。現在はそれほどの数量でもない、バイオディーゼル向けの大豆需要増加など。

・新型コロナウイルスの影響拡大による、輸出活動の停滞(シカゴ定期を含む生産地価格の下落要因)。

【米農務省需給報告データ】

・米穀物作付け意向面積トウモロコシ 9,699万エーカー(市場予想 9,412万エーカー)大豆 8,351万エーカー(8,502万エーカー)小麦 4,466万エーカー(4,495万エーカー)

・米穀物最終作付け面積トウモロコシ 9,201万エーカー(市場予想 9,514万エーカー)大豆 8,383万エーカー(8,483万エーカー)小麦 4,425万エーカー(4,472万エーカー)

・3月米需給報告単収見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 172.0Bu/エーカー(NA、172.0)大豆 50.2Bu/エーカー(NA、50.2)小麦 49.7Bu/エーカー(NA、49.7)

・3月米需給報告生産見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 141億8,200万Bu(NA、141億8,200万Bu)大豆 41億3,500万Bu(NA、41億3,500万Bu)小麦 18億2,600万Bu(NA、18億2,600万Bu)

・3月米需給報告輸出見通し(実績/前月)トウモロコシ 26億Bu(25億5,000万Bu)大豆 22億5,000万Bu(22億3,000万Bu)小麦 9億8,500万Bu(9億8,500万Bu)

・3月米需給報告在庫見通し(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 15億200万Bu(14億6,035万Bu、15億5,200万Bu)大豆 1億2,000万Bu(1億1,673万Bu、1億4,000万Bu)小麦 8億3,600万Bu(8億3,838万Bu、8億3,600万Bu)

・12月末四半期在庫(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 113億2,200万Bu(117億4,670万Bu、19億5,000万Bu)大豆 29億3,300万Bu(29億2,900万Bu、5億2,500万Bu)小麦 16億7,400万Bu(16億9,555万Bu、21億5,800万Bu)

・2月CONABブラジル作付け面積(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 1,909万ha(1,946万ha、1,846万ha)大豆 3,827万ha(3,845万ha、3,819万ha)

・2月CONABブラジル生産量(実績/市場予想/前月)トウモロコシ 1億548万トン(1億853万トン、1億231万トン) 単収 5,525Kg/ha(5,576kg/ha、5,541kg/ha)大豆 1億3,382万トン(1億3,327万トン、1億3,369万トン) 単収 3,497Kg/ha(3,469kg/ha、3,500kg/ha)

【投機筋のポジション動向】

・直近の投機筋のポジションは以下の通り。

トウモロコシはロングが578,046枚(前週比 ▲28,437枚)、ショートが74,281枚(▲2,368枚)ネットロングは503,765枚(▲26,069枚)

大豆はロングが262,350枚(▲14,934枚)、ショートが38,688枚(+1,212枚)ネットロングは223,662枚(▲16,146枚)

小麦はロングが129,502枚(+1,011枚)、ショートが99,571枚(▲1,522枚)ネットロングは29,931枚(+2,533枚)

◆本日のMRA's Eye


「工業金属価格見通しダイジェスト」

原油を初めとる商品価格が上昇しているが、産業向けの原料として用いられる非鉄金属の価格も軒並み水準を切り上げる展開となっている。

現在の価格水準は中国の経済が急速に拡大して資源不足となった2000年代中頃、リーマンショック後に中国政府が4兆元の経済対策を行った時の水準である。

非鉄金属価格のベンチマークである銅のキャッシュ価格は、コロナショック発生後に4,617.5ドルまで低下したが1万ドルを目指す展開となり、ステンレス鋼材や電気自動車のバッテリーに用いられるニッケル価格も7年ぶりの高値、錫も一時、3万ドルに迫った。ここまでの価格上昇は、概ね類似した要因で上昇している。

価格上昇の背景には需要が増加することが必須だが、ほとんどの工業金属の最大消費国である中国が、コロナウイルスの影響による景気悪化からの回避を目指して財政出動を伴う経済対策を実施、住宅セクターが過熱した。銅は住宅向けの配電に用いられ、ニッケルはステンレス鋼向けが主要用途であり、住宅セクターの加熱は需要増加を通じて価格を押し上げる。

なお、巷で話題になっている電気自動のモーター向けの需要やバッテリー向けの需要が、これらの金属価格を押し上げるほどの増加になっているとは考え難い。あくまで住宅などの既存のエリアでの需要増加と見るべきだ。錫は巣ごもり消費の増加の影響で電子機器や半導体向けの需要が増加した。

今回の価格上昇は供給面の影響も無視できない。コロナウイルスの感染拡大は、上述の「公的需要の増加」をもたらしたが、同時に供給面では鉱山生産に影響を及ぼした。鉱山の形態にもよるが、通常、鉱山は地下に潜って生産するため生産環境が密であり、コロナの感染拡大防止の観点からは稼働率を上げにくい。

また、コロナの影響によってスクラップからの回収品が減少していることも供給減少に寄与した。これに加えて悪天候による高波発生が輸送や生産にも影響を及ぼしたことも無視できない。

また、価格が上がるばかりではなく、感染拡大防止の観点からヒトとモノの移動に制限がかかり、輸送手段も制限される中でコンテナ不足などが発生、実際の現物取得にも影響が出た。

これらは実際の現物需給への影響だが、景気刺激のために各国中央銀行が金融緩和策を継続、FRBパウエル議長は多少のインフレには目をつぶる姿勢を示しており、市場参加者のリスク選好の回復に伴いドル安が進行したことも、金融面で価格を押し上げた。

さらに、中国だけではなく米政府も景気刺激のために1.9兆ドルの経済対策実施を可決、さらには4年総額2兆ドルの「クリーン・インフラ投資」も行われる見込みであり、こうした政策への期待が期待インフレ率を押し上げ、インフレ資産でもある工業金属価格を押し上げた。実際、昨年3月からの投機資金の買越しは記録的な水準となっている。

こうした原材料価格の上昇は、製造業の業績の悪化要因となる。仕入先との契約条件にもよるが、通常、精錬品の形で購入するものは前月の価格で金属価格は値決めされ、価格反映は1ヵ月後となる。

しかし、精錬品を原料とした部品や半製品を購入している場合、通常3ヵ月や半年といった時間差をもって価格に反映されることも多い。つまり、現時点ではまだ製造業の調達コストが上昇を始めている訳ではなく、3ヵ月、半年後に今回の素材価格の上昇が意識されることになる。

さらに悪いことには円安が急速に進行しており、「円建ての資源価格」が上昇してる点である。こうした原料価格の上昇を最終消費者に転嫁することができれば企業業績への影響は限定されるが、特に日本はデフレが続き最終消費が弱い状態が続いているためこの価格上昇分を転嫁するのは難しいのではないか。

今後も工業金属価格は高値での推移になると予想されるが、短期的には調整圧力が高まる展開を予想している。というのも、ドル安がドル建ての名目価格上昇に寄与してきたが、これが米長期金利の上昇や景気回復期待でドル高バイアスがかかっているためである。

銅やニッケルなどのその商品自体に価値があるもの(本源的価値という)は、為替レートが変わったとしても変わるものではないため、ドル安でドルの価値が減価すればその商品を購入するために必要なドルは増加するが、逆にドルが増価していれば、その商品を購入するために必要なドルは減少、名目価格は下落することになる。

そして恐らく、常識的に考えれば米テーパリングは早ければこの年末頃から始まる可能性があり、その間は「現物を必要としない」投機的な市場参加者の利益確定売りの動きが加速すると予想される。

また、世界景気が、リーマンショック前、リーマンショック後ほど回復しているとは考え難く、価格の上昇が商品需要を減じるレーショニングが発生する可能性も有り得る。また、逆説的だがコロナの影響が緩和すれば鉱山生産不安が後退するため供給面で価格には下押し圧力が強まる展開が予想される。

しかし、大規模な人口を抱えるインドが、経済が爆発的に成長する人口ボーナス期にあることや、米中対立によってサプライチェーンに影響がでることを考えると、下落があったとしてもその余地は限定される、と考えられるし、株が調整したり、長期金利の上昇が景気を冷やす可能性が意識される中では各国中銀もハト派に傾かざるを得ないためこの点も価格を下支えしよう。

むしろ、米国は来年、早くも中間選挙が予定されている。そのスケジュールを考えると、政権与党である民主党が金融政策の変更による景気の減速を容認しないシナリオは十分に考えられ、金融正常化どころか緩和を強化し、財政出動もさらに強化する可能性も十分に有り得る。

この場合、特に財政出動が強化される場合には、恐らくインフラ投資が主体となるため、工業金属価格がさらに上げ幅を拡大する可能性は十分に有り得る。

なお、現在世界中が急速に舵を切っている環境重視型社会へのシフトが「本当に進むのであれば」、化石燃料需要が減少してそれを代替するための「省エネ金属」の需要が増えることは確実で価格を押し上げることになるだろう。

この時、作業現場での化石燃料・エネルギー消費の多い鉱山での生産活動に対して、炭素税が課される場合、生産コストの上昇を通じて工業金属価格が上昇するリスクがあることも無視できないと考えられる。

◆主要ニュース


・2月中国消費者物価指数 前年比▲0.2%(前月▲0.3%)
 生産者物価指数 +1.7%(+0.3%)

・2月中国マネーサプライ M2 前年比+10.1%の223兆6,000億元(前月+9.4%の221兆3,000億元)
 M1 +7.4%の59兆3,500億元(+14.7%の62兆5,600億元)
 ファイナンス規模 1兆7,100億元(5兆1,742億元)
 国内企業全体の総財務残高 291兆4,000億元(289兆7,000億元)

・2月中国人民元建て新規融資
 前年比+50.2%の13,600億元(前月+7.2%の35,800億元)

・米MBA住宅ローン申請指数 前週比 ▲1.3%(前週+0.5%)
 購入指数 +7.2%(+1.8%)
 借換指数 ▲5.0%(+0.1%)
 固定金利30年 3.26%(3.23%)、15年 2.63%(2.64%)

・2月米消費者物価指数 前月比+0.4%(前月+0.3%)、前年比 +1.7%(+1.4%)
 コア 前月比+0.1%(±0.0%)、前年比+1.3%(+1.4%)

・2月米実質平均賃金 前年比+4.1%(前月+5.7%)
 実質平均時給+3.4%(+3.9%)

・3.11から10年。

・ECB経済予測草案、「インフレ上昇は一時的に過ぎないと見込む。」

・米10年国債入札、応札倍率2.38倍(前月2.37倍)、最高落札利回り1.523%(1.155%)、最低落札利回り0.880%(0.08%)

・バイデン政権、対北朝鮮政策を1ヵ月以内に見直す計画。ブリンケン国務長官は新たな制裁を科す可能性を示唆。

◆エネルギー・メタル関連ニュース


【エネルギー】
・DOE米石油統計 原油+13.8MB(クッシング+0.5MB)
 ガソリン▲11.9MB
 ディスティレート▲5.5MB
 稼働率+13.0

 原油・石油製品輸出 7,131KBD(前週比▲151KBD)
 原油輸出 2,790KBD(+4KBD)
 ガソリン輸出 566KBD(▲15KBD)
 ディスティレート輸出 742KBD(▲120KBD)
 レジデュアル輸出 154KBD(+30KBD)
 プロパン・プロピレン輸出 1,063KBD(+6KBD)
 その他石油製品輸出 1,746KBD(▲55KBD)

・イラン ロウハニ大統領、「米国の核合意への段階的な復帰のオプションは容認できる。」

・リビア議会、統一政府を賛成多数で信任。東西の対立する2勢力に変わる統一政府として、12月に予定する総選挙と大統領選挙の円滑な実施を目指す。

・サウジアラビア 石油施設への攻撃を防ぐ対策を導入へ。

【メタル】
・錫の欧州現物プレミアムは過去最高値。

・ニッケル現物の上海プレミアムは18ヵ月ぶりの高値。

・Antofagasta、Los Pelambres鉱山、ストライキの投票を実施。

・1月ペルー銅生産、前年比▲7.6%、亜鉛 ▲3.5%、銀 ▲13%、金 ▲27%

・Norilsk Nickel、3月16日以降、地下水の浸水で停止していたOktyabraskyとTaimyrsky鉱山の再稼働を予定。

◆主要商品騰落率


【上昇率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
1.ICE欧州天然ガス ( エネルギー )/ +4.93%/ ▲20.41%
2.ビットコイン ( その他 )/ +4.81%/ +96.34%
3.NYB綿花 ( その他農産品 )/ +2.96%/ +9.09%
4.プラチナ ( 貴金属 )/ +2.73%/ +12.43%
5.欧州排出権 ( 排出権 )/ +2.19%/ +27.25%

【下落率上位5商品】

商品名(カテゴリー)/前日比上昇率/年初来上昇率
66.原料炭スポット ( 鉄鋼原料 )/ ▲2.61%/ +15.38%
65.CBTトウモロコシ ( 穀物 )/ ▲2.54%/ +13.17%
64.TCM原油 ( エネルギー )/ ▲2.31%/ +37.19%
63.CBT大豆ミール ( 穀物 )/ ▲2.17%/ ▲5.59%
62.CBT大豆 ( 穀物 )/ ▲2.06%/ +7.32%

※弊社が重要と考える主要商品の前日比騰落率上位・下位5品目です。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。

◆主要指標


【為替・株・金利・ビットコイン】
NY ダウ :32,297.02(+464.28)
S&P500 :3,898.81(+23.37)
日経平均株価 :29,036.56(+8.62)
ドル円 :108.38(▲0.10)
ユーロ円 :129.29(+0.18)
米10年債 :1.52(▲0.01)
中国10年債利回り :3.24(▲0.00)
日本10年債利回り :0.13(+0.00)
独10年債利回り :▲0.31(▲0.01)
ビットコイン :56,931.77(+2611.72)

【MRAコモディティ恐怖指数】
総合 :29.16(▲0.07)
エネルギー :27.24(+0.04)
ベースメタル :37.82(▲0.32)
貴金属 :26.37(▲0.99)
穀物 :21.74(+0.7)
その他農畜産品 :30.39(▲0.08)

【主要商品ボラティリティ】
WTI :33.75(▲0)
Brent :33.54(▲0)
米天然ガス :50.29(▲0.03)
米ガソリン :26.30(▲0.28)
ICEガスオイル :23.45(+0.72)
LME銅 :35.33(▲0.27)
LMEアルミニウム :21.31(▲0.3)
金 :19.90(+1.39)
プラチナ :37.06(▲3.72)
トウモロコシ :27.51(+1.15)
大豆 :19.90(+1.39)

【エネルギー】
WTI :64.44(+0.43)
Brent :67.90(+0.38)
Oman :66.05(▲0.30)
米ガソリン :207.95(+2.93)
米灯油 :191.73(+1.00)
ICEガスオイル :530.50(▲7.25)
米天然ガス :2.69(+0.03)
英天然ガス :44.89(+2.11)

【貴金属】
金 :1726.71(+10.61)
銀 :26.21(+0.28)
プラチナ :1205.43(+32.04)
パラジウム :2317.40(+9.40)
※ニューヨーククローズ。

【LME非鉄金属】
(3ヵ月公式セトル)
銅 :8,917(+40:22B)
亜鉛 :2,773(+16:23C)
鉛 :1,946(▲31:21.5C)
アルミニウム :2,169(+12:19C)
ニッケル :16,080(+129:40C)
錫 :24,885(+545:2815B)
コバルト :52,763(±0.0)

(3ヵ月ロンドンクローズ)
銅 :8893.50(+67.50)
亜鉛 :2757.50(▲22.50)
鉛 :1944.00(▲23.00)
アルミニウム :2165.50(▲0.50)
ニッケル :16125.00(▲45.00)
錫 :25135.00(+340.00)
バルチック海運指数 :1,901.00(+48.00)
※C=Cash-3M コンタンゴ、B=Cash-3M バック

【鉄鋼原料】
62%鉄鉱石スポット(CFR中国、1営業日前) :168.8(▲4.62)
SGX鉄鉱石 :165.98(▲0.08)
NYMEX鉄鉱石 :168.44(+0.01)
NYMEX豪州原料炭スワップ先物 :117(▲3.14)
大連原料炭先物 :237.80(+2.81)
上海鉄筋直近限月 :4,476(▲144)
上海鉄筋中心限月 :4,597(▲115)
米鉄スクラップ :551(▲31.00)

【農産物】
大豆 :1411.50(▲29.75)
シカゴ大豆ミール :410.10(▲9.10)
シカゴ大豆油 :55.36(+0.21)
マレーシア パーム油 :4122.00(+47.00)
シカゴ とうもろこし :547.75(▲14.25)
シカゴ小麦 :650.75(▲5.75)
シンガポールゴム :243.00(+1.10)
上海ゴム :15125.00(+165.00)
砂糖 :15.96(+0.06)
アラビカ :129.35(+0.45)
ロブスタ :1396.00(+10.00)
綿花 :85.22(+2.45)

【畜産物】
シカゴ豚赤身肉 :88.78(+0.43)
シカゴ生牛 :118.78(▲0.88)
シカゴ飼育牛 :136.20(▲0.95)

※全ての価格は注記が無い限り、取引所で取引される通貨建。
※限月交代に伴う価格の不連続性は考慮されていません。予めご容赦ください。